JP2005303518A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 弾性表面波フィルタにおいて、1/4波長電極を用いながら、電極指のもつ反射係数を相殺低減して、トランスバーサル型の弾性表面波フィルタを提供する。
【解決手段】 圧電体平板上の伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と
、前記励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極を有する弾性表面波装置において、前記の入力側および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼ1/4λで構成され、かつ前記の入力側および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電気現象を有するの圧電体平板上に1/4波長幅のすだれ状電極を形成し、レイリー波とかSTW(Surface Transversal Wave)波、SH波、ラブ波等の弾性表面波を利用して構成した、いわゆるトランスバーサル型の弾性表面波フィルタに関する。
従来、圧電気を有する圧電体として水晶STWカット基板が使われてきた。前記基板は弾性表面波(STW)の速度が5100m/sと速く、GHz帯用途のSAWデバイスとして使用されて来た経緯がある。
前記のSTWカット水晶板については、すでによく知られているものであり、水晶結晶の基本軸である電気軸X,機械軸Y,光軸Zからなる直交座標系において、機械軸Yに直交するY板を電気軸X回りにθ度(特に零温度係数が得られるθ=33度から47度)回転した基板において、回転後のY板の光軸方向Z’に伝播するレイリー型弾性表面波を利用したものである。
前記のSTW基板を利用して、位相直線性を有するいわゆるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを構成する場合には、例えば金属アルミニウムからなる多数の平行導体の電極指を周期的に配置したすだれ状電極(以下略してIDT:Interdegital Transducerと称す)を形成して素子を構成する。ここで使用されるすだれ状電極は電極幅L(ライン)と電極間距離(スペース)がそれぞれ弾性表面波の波長λの1/8であるものが使用されている。この理由は、1/8電極(ダブル電極とも呼ばれる)を使用することにより、各電極から発生する弾性表面波の反射波を相殺することにより位相直線性のある弾性表面波フィルタを実現できるためである。前記トランスバーサル型弾性表面波フィルタの従来例として、たとえば特許文献1の特開昭56−42419公報公報、特許文献2の特開昭56−4913公報を上げることができる。
特開昭56−42419公報 特開昭56−4913公報
しかしながら、前述の従来技術を使用しトランスバーサル型弾性表面波フィルタを構成した場合には、前述のIDTの電極幅Lは、L=λ/8=Vs/(8f)となって、通常SAW共振子等で使われているL=λ/4電極と比べて、半分の低周波数しか実現できない。現在、製作可能な0.5×10-6mの加工寸法を用いてSTW基板を使ってL=λ/8電極を形成すれば、1275MHzとなり、一方L=λ/4電極であれば、2550MHzが実現できることになる。従ってλ/4電極を使用したいわけであるが、この場合にはλ/4電極各々から反射する弾性表面波が一部定在波を形成することによって、前記弾性表面波フィルタの動作伝送量特性SB(f)における位相特性(arg(SB(f))の直線性が損なわれことになり、デジタル通信におけるデータのエラーレイトを劣化させると言う不具合があった。
そこで本発明は、周期的構造を有するIDTの新規導入と、“周波数ポテンシャル設計手法”を活用して、このような問題点を解決するものである。前記“周波数ポテンシャル設計手法”を簡単に言えば、周波数ポテンシャル関数FTP(X)、弾性表面波の速度Vs、素子の空間波長2P(X)の関係式 FTP(X)=Vs/{2P(X)} を弾性波動の伝搬制御に利用するものである。 ただし、Xは弾性表面波の位相進行方向の位置座標であり、省略して弾性表面波フィルタを素子と記述することがある。
その目的とするところは、例えば零温度係数を有して周波数温度特性が優れ、かつ材料のQ値が優れ、高速度な水晶STW基板等とλ/4電極を使用し、低挿入損失かつ位相直線性と位相変動が安定なトランスバーサル型弾性表面波フィルタを実現し、伝送速度がギガビットである高速光通信系のジッタ改善用途のフィルタ等を安価に提供することにある。
(1)本発明の弾性表面波フィルタは、圧電体平板上の伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と、
前記励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極を有する弾性表面波装置において、
前記の入力側および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつ、すだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつ、すだれ状電極の対数がMBであることを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、電極からの反射波の総和がゼロに消滅し、結果としてλ/4電極各々から反射する弾性表面波が一部定在波を形成することが原因となって発生する、前記弾性表面波フィルタの動作伝送量特性SB(f)における位相特性(arg(SB(f))の直線性が損なわれないため、広帯域な周波数成分から形成されるデジタル信号の時間波形歪みを軽減することができるという効果がある。
さらに、従来のλ/8電極に対してλ/4電極であるため、同一加工精度で2倍の動作周波数をもつトランスバーサル型弾性表面波フィルタが実現できる。
(2)本発明の弾性表面波フィルタは、請求項1の記載において、前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.1の範囲であることを特徴とする。
上記(2)の構成であれば、弾性表面波の速度が5100m/sと高速な、従って高周波数動作が可能な水晶STWカットを使用して、十分に厚い膜厚約1000×10-10mのλ/4電極を形成して信頼性のあるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを形成できる。さらに零温度係数を有するため周波数温度特性に優れ、素子基板のQ値が高く、周囲の温度環境に対して位相変動が安定な弾性表面波フィルタが実現できるため、デジタル通信における信号品質の向上が期待できる。
(3)本発明の弾性表面波フィルタは、請求項1記載において、前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であることを特徴とする。
上記(3)の構成であれば、弾性表面波の速度が5100m/sと高速な、従って高周波数動作が可能な水晶STWカットを使用して、1.25GHzにおいて膜厚み約1000×10-10mのλ/4電極を形成して、IDT全体のもつ反射係数Γがほぼゼロとなるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを形成できるため、優れた位相直線性を有するものが実現できるという効果がある。
(4)本発明の弾性表面波フィルタは、請求項1記載において、前記すだれ状電極の対数MAおよびMBが、6から10の範囲であることを特徴とする。
上記(4)の構成とすれば、全体のすだれ状電極対数Mが200対程度でも、IDT全体のもつ反射係数Γをほぼゼロとできるため、小型なトランスバーサル型弾性表面波フィルタが実現できるという効果がある。
(5)本発明の弾性表面波フィルタは、請求項1記載において、前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であり、かつ実動作状態における電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.01以下であることを特徴とする。
上記(5)の構成とすれば、弾性表面波の速度が5100m/sと高速な、従って高周波数動作が可能な水晶STWカットを使用して、1.25GHzにおいて膜厚み約1000×10-10mのλ/4電極を形成して、全体の反射係数Γがほぼゼロとなるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを形成できるため、優れた位相直線性を有するものが実現できるという効果がある。
(6)本発明の弾性表面波フィルタは、請求項1記載において、前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAが、PB/PA<1の場合には、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、PA/PB<1の場合には、区間Aのみの電極指を給電導体に接続しことを特徴とする。
上記(6)の構成とすれば、位相直線性のあるトランスバーサル型のみを有するフィルタ特性が実現できるという効果がある。
水晶からなる圧電体基板(圧電体平板)から前述のSTWカットを切り出して、その表面を鏡面研磨した後、レイリー型あるいはSTW型弾性表面波の位相伝搬方向Xに対して直交して、例えば金属アルミニウムからなる多数の平行導体の電極指を周期的に配置した入力側IDT及び出力側のIDTを形成し、トランスバーサル型の弾性表面波フィルタを形成する(以降、省略して弾性表面波フィルタと呼ぶことにする)。
以下本発明の弾性表面波フィルタの実施の形態について、まず理解を容易ならしめるために、図1および図3によって具体的な実施例の構成を説明した後、図2に動作概念図を示し、図5には従来のλ/8電極品の伝送特性を示し、さらに図4、図6、図7、図8、図9、図10を使用して、本発明の弾性表面波フィルタが有する特性を詳細に説明する。
図1は請求項1の発明に係わる弾性表面波フィルタ(以下略して本素子と称すことがある)の一実施例について、圧電体平板上に形成した電極パターンを図示したものである。
図1中の各部位の名称は、100は水晶、LiTaO3等からなる圧電体平板、101は外部信号源、102は終端インピーダンス、103は入力側すだれ状電極、105は出力側すだれ状電極、105と106は正極と負極の電極指、107と108は各々正極側と負極側の給電導体(ブスバー)である。さらに、圧電体平板上の1091は本素子に利用する弾性表面波の伝播方向であるX軸(1091)である。また、103の入力側すだれ状電極は区間A(109)、区間B(110)、・・・・区間A(111)のように、区間Aと区間Bを交互に配置して構成されており、また104の出力側すだれ状電極も、区間A(112)、区間B(113)、・・・・区間A(114)のように、区間Aと区間Bを交互に配置して構成されている。
前記区間Aはすだれ状電極(以下略してIDT:Interdegital Transducerと称す)を構成する正負の電極指を1対として、その対数がMA対からなり、一方、前記区間BはIDTを構成する正負の電極指を1対として、その対数がMB対からなる。図1は全体でいわゆるトランスバーサル型弾性表面波フィルタを構成している。また、前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつ、すだれ状電極の対数がMAであり、前記区間Bは、電極周期長PがPBかつ、すだれ状電極の対数がMBであるとする。前記対数MAおよびMBは、6から10の範囲が有効である。前記の電極間寸法Sは相互に隣り合う電極指の端部から端部までの寸法と定義している。
さらに構成条件として、前記圧電体平板100と前記IDT(103,104等)が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.1の範囲である。
さらにまた、電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつ前記の電極周期長PAとPBの比であるPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02とする条件をとる。
さらには、電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であり、かつ実動作状態における電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.01以下であると本発明の構成がより効果的である。
つぎに、図2は本発明になる図1のような区間Aと区間Bからなる周期的構造を取るIDTを“周波数ポテンシャル設計手法”を活用して表示したものである。図2中の、200と202は前述の区間Aからなるブロックであり、201と203は前述の区間Bからなるブロックである。また、図2中の4つの209等の曲線は、弾性表面波の伝搬状態である伝搬帯(斜線領域)および、弾性表面波が伝搬できずに減衰する状態を示めす非伝搬帯(ストップバンド,白い領域)の特性全体を示す特性曲線であり、波数分散曲線と呼ばれている。波数分散曲線は横軸波数k=2π/λ(1/m)であり、縦軸は周波数FTP(Hz)で記述されている。FTPは本発明において活用する“周波数ポテンシャル”の略号である。FTPは利用する弾性表面波の速度をVsとすれば、前述の電極周期長P=PA,PBと、FTP=Vs/(2*P)の関係にある。さらに、基準周波数をFTP0として、周波数の変化率D=(FTP−FTP0)/FTP0で表現することが効率的である。分散曲線上の白丸印204等はIDTによって発生する弾性表面波の動作点を示すもので、208の矢印にて示される右進行波、左進行波が生じている。また206で示される周波数差分量Dは前記の周波数変化率表示であり、区間Aと区間Bの周波数ポテンシャル差である。すなわち、区間AのFTPAは、FTPA=Vs/(2*PA),区間BのFTPB=Vs/(2*PB)の差D=FTPA−FTPBの関係にある。さらに、205の破線枠で示す領域は、本発明の図1の構成により発生した無反射係数γ=0をもつ伝搬帯領域である。ちなみに各区間Aおよび区間BはIDTの対数MPは検討の結果、2から10程度の数対が良く、さらには6から8対がさらによいことがわかり、この程度の対数で構成するのがよい。
つぎに、図3は本発明の他の実施例であり図3中の各部位の名称は300が、圧電体平板であり、301は電気的交流信号源、302は終端インピーダンス、303は入力側IDT、304は出力側IDT、305と306等は正負極性の電極指を給電導体307および308への接続端部においてカットして浮き電極状態としたものである。また、309、311、312、314等は区間A、310、313等は区間Bである。図3において特徴的に前述の図1の実施例と異なる点は、区間AにあるIDTの電極指が給電導体307、308、315、316に接続されずに分離されている点にある。
前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAが、PB/PA<1の場合には、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、PA/PB<1の場合には、区間Aのみの電極指を給電導体に接続する。本構成によるフィルタ特性については、図4、図7において詳述する。
つぎに、本発明の前述の実施例1のフィルタ特性について説明する。
図4は弾性表面波フィルタの伝送特性図であり、3つの特性図(4−a)と(4−b)と(4−c)から構成されている。いずれも、同図横軸は周波数変化率df/f(ppm)であり、縦軸は対数表示されたフィルタの動作伝送量伝送特性SB(f)(dB)である。
まず、(4−a)から説明すると、(4−a)は、前述のFTPAとFTPBの比であるPPT=FTPA/FTPBが1.0の場合であり、この条件はまた区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比がPPT=PB/PA=1.0の関係にある場合である。 これは従来の技術によるものであり、この条件において、区間Aおよび区間Bが発生する弾性表面波の周波数は同一の動作点となるため一致した周波数であり、従ってフィルタ特性は最低挿入損失ピークが1個となっている(400のA&B)。
つぎに(4−b)は、前記比PPT=0.85の場合であり、この条件はまた区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比がPPT=PB/PA=0.85の関係にある場合である。この状態においては、区間Aより区間Bが発生する弾性表面波の周波数が15%上昇した配置となる。区間AがつくるIDTの周波数特性が411であり、区間Bがつくる周波数特性が401であるため、フィルタ特性は最低挿入損失ピークが2個となっている(401および411)。また、401と411のピーク間の周波数変化率差は約12,000ppm差となつている(1ppm=10-06)。
つぎに(4−c)は、前記比PPTをさらに小さくしたPPT=0.78の場合であり、この条件はまた区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比がPPT=PB/PA=0.78の関係にある場合である。この状態においては、区間Aより区間Bが発生する弾性表面波の周波数が22%上昇した配置となる。区間AがつくるIDTの周波数特性が412であり、区間Bがつくる周波数特性が402であるため、フィルタ特性は最低挿入損失ピークが2個となっている(401および411)。また、402と412のピーク周波数変化率差は(4−b)の場合より広がり、約15,000ppm差となつている。
図4において注目すべき特性は、特性曲線のピーク400、401、402付近の領域の特性の形状が大きく変化している点である。図中の記号であるΓがIDTを構成する電極指の1本、1本からの反射効果の総和に比例する特性量である。前記の反射効果の総和とは、電極指の1本の反射係数をγとして、IDT全体のもつ反射係数Γ=2γMのことである。従って、前記のΓが小さいほど電極指1本のもつ反射係数が小さいことになる。図(4−c)の場合には、402ピークのΓがほぼゼロとなり、素子のもつ反射効果が消滅した状態を示している。現時点で、厳密な動作原理の説明はできないが、これは半導体において周知な“トンネル効果”に類似の現象のように思われる。
つぎに図5は、従来の技術である電極指の幅が1/8波長(λ/8)をもつ、正規型の弾性表面波フィルタの特性図である。横軸は周波数変化率df/fであり、縦軸はフィルタの動作伝送量SB(f)である。この従来の構成においては、電極指からの反射波が相互に打ち消しあう結果、IDT全体の反射係数Γがゼロとなり、無反射なフィルタの伝送特性である曲線500が実現している。この場合においては、挿入損失の最低領域は緩やかな曲線を描いていることがわかる。ちなみに図5はIDTの対数Mが370対の場合の特性である。
つぎに、図6は図5におけるPPTとΓの関係を取り出した特性図である。図6はまた本発明の前述の実施例1および実施例2の構成を有する弾性表面波フィルタの物理的な特徴を図示するものである。図6において、横軸は前述のPPTであり、縦軸は前述のΓ値をとって、これらの関係を図示した特性図600である。同図6において、PPTが0.78±0.02付近となると、前記の全反射係数Γがほぼゼロとなっている。
つぎに図7は、前述の本発明の実施例2が有する弾性表面波フィルタの伝送特性である。図7の横軸は周波数変化率df/f(ppm)であり、縦軸は前記SB(f)である。図7と図4の(4−C)図を比較して、周波数が−5000ppm付近に存在するピーク412が図7においては存在していないことがわかる。図4のピーク402は、図7の701に対応する。この原因は実施例2において、低周波数側の周波数成分を励振する区間Aの電極指群を給電導体から切り離したことによる。ちなみに、前記PPTをPPT=PA/PB=0.78と分母と分子を入れ換えれば、PAとPBの役割が逆転することは容易に推測できる。
つぎに図8は図7のピーク701付近を周波数拡大したものである。図8は、周波数範囲を+70000ppmから+120000ppmに拡大してある。本発明の図8と従来の図5を比較しても、最低挿入損失を示す周波数領域800の伝送特性の滑らかさは、1/8波長(λ/8)電極と遜色無いことがわかる。従って、1/4波長(λ/4)幅の電極を用いる本発明により、従来の2倍の周波数で動作するトランスバーサル型SAWフィルタが実現できることがわかる。
つぎに、図9は水晶STWカットにおいて、アルミニウム金属にて電極指を形成した場合に、電極指の作るストリップ形状の導体幅Lと電極指周期長Pとの比ηに対する、電極指1本当りの反射係数γの関係を図示したものである。図9のSTWカットは、通常使われるオイラー角表示(φ,θ,ψ)により表すと、φ=0度,θ=127±2度,ψ=90度の場合についてのものである。図9中の900は電極の膜厚Hが615オングストローム(10-10m)の場合で、動作周波数を2.487GHzとして、弾性表面波速度Vs=5100m/sであるため、波長λ=5100/2500=2.4×10-6mであるから、H/λ=0.03となる。この場合において、前記反射係数γはηの範囲が0.3から0.8において3〜6%の程度である。また、曲線901は、H/λ=0.05の場合であり、H=1026オングストロームの場合であり、反射係数γは16%の大きさに達する。いずれの条件においても、STWカットの場合には反射係数γが大きく、前述の図4の(4−a)にみられるようなΓの大きな従来品の特性をとることになる。本発明の場合にはこのような反射係数の大きな基板においても、前記Γをゼロあるいは小さくして使用することが可能である。
つぎに、図10は従来品と本発明の実施例2が有する動作伝送量SB(f)の位相特性の比較である。上段の図において位相曲線1000は、動作周波数範囲が20000ppmから23000ppmの約3000ppmレンジにおいて直線的である。一方、実施例2の場合の下段の図においては、位相曲線1001は、動作周波数範囲が95000ppmから115000ppmの約20000ppmレンジにおいて直線的であり、従来品より明らかに広帯域かつ位相直線性に優れたものとなっていることがわかる。従って、デジタル通信において有利な位相直線性に優れた弾性表面波フィルタの実現が可能となる。
以上のとおり、本発明が水晶のみからなる基板について、STW型の弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタの構成および特性につき説明したが、前記基板が水晶以外の材料例えばダイヤモンド基板からなるものでも、また基板表面にSiO2、ZnO、等の薄膜が本素子の特性を損なわない程度に形成されても、本発明の構成条件が満足される範囲であれば有効であることを付け加える。
本発明の弾性表面波フィルタは、水晶STW基板等を利用して、周波数温度特性が優れかつ材料のQ値が優れた水晶基板を用いて区間Aおよび区間Bを周期的に構成し、IDTの有する反射係数を消滅させて、トランスバーサル型の弾性表面波を実現できる。これにより、低ジッタかつ低位相ノイズなSAW発振器を用いて構成するジッタ−クリーナのような高価なデバイスに替わって、高周波数でかつ広帯域幅かつ位相直線性の良い弾性表面波フィルタによって簡易に実現できるため、用途によってはコストメリットが高く有益である。
さらには、従来の1/8波長(λ/8)電極では実現できなかったGHz帯のトランスバーサル型IFフィルタが実現でき、益々高速化する無線装置の実現を可能にする。
本発明の弾性表面波フィルタの一実施例1が有する電極パターンを示す平面図。 本発明の弾性表面波フィルタの動作原理を説明する概説図。 本発明の弾性表面波フィルタの他の実施例2が有する電極パターンを示す平面図。 従来およびの本発明の弾性表面波フィルタが有する伝送特性図。 従来の1/8波長電極で構成される弾性表面波フィルタが有する伝送特性図。 本発明の弾性表面波フィルタの一実施例が有する特性図。 本発明の弾性表面波フィルタの実施例2が有する伝送特性図。 本発明の弾性表面波フィルタの実施例2が有する伝送特性の拡大図。 水晶STWカットが有する反射係数特性図。 従来および本発明の弾性表面波フィルタの一実施例が有する位相特性図。
符号の説明
100 圧電体平板
101 信号源
102 終端インピーダンス
105,107 電極指
107,108 給電導体
109 区間AのIDT
110 区間BのIDT

Claims (6)

  1. 圧電体平板上の伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と
    、前記励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極を有する弾性表面波装置において、
    前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
    かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
    前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
    前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
  2. 前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  3. 前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  4. 前記すだれ状電極の対数MAおよびMBが、6から10の範囲であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  5. 前記前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.01であり、かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であり、 かつPA/PBあるいはPB/PAの比が0.78±0.02であり、かつ実動作状態における電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.01以下であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  6. 前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAが、PB/PA<1の場合には、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、PA/PB<1の場合には、区間Aのみの電極指を給電導体に接続しことを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
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KR20200061409A (ko) * 2017-12-27 2020-06-02 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 필터

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