JP2005303893A - 共振子型sawフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 縦2重モード型の共振子型SAWフィルタにおいて、1/4波長電極を用いながら、電極指のもつ反射係数を相殺低減して、従来より通過帯域幅の広い共振子型SAWフィルタを提供する。
【解決手段】 圧電体平板上の位相伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と、前記励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極と、さらに前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の両側に1対の反射器を有する共振子型SAWフィルタにおいて、
前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであり、前記PAとPBが異なることを特徴とする共振子型SAWフィルタ。
【選択図】 図1
【解決手段】 圧電体平板上の位相伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と、前記励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極と、さらに前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の両側に1対の反射器を有する共振子型SAWフィルタにおいて、
前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであり、前記PAとPBが異なることを特徴とする共振子型SAWフィルタ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、圧電気現象を有するの圧電体平板上に1/4波長幅の入力側および出力側すだれ状電極とその両側に一対の反射器を形成し、レイリー波とかSTW(Surface Transversal Wave)波あるいはSSBW波、SH波、ラブ波、セザワ波等の弾性表面波を利用して実現する縦2重モード型等の共振子型SAWフィルタに関する。
従来、圧電気を有する圧電体として水晶STWカット基板が使われてきた。前記基板は弾性表面波(STWあるいはSSBW)の速度が5100m/sと速く、GHz帯用途のSAWデバイスとして1979年の早くから研究され使用されて来た経緯がある。
前記のSTWカット水晶板については、すでによく知られているものであり、水晶結晶の基本軸である電気軸X,機械軸Y,光軸Zからなる直交座標系において、機械軸Yに直交するY板を電気軸X回りにθ度(特に零温度係数が得られるθ=33度から47度)回転した基板において、回転後のY板の光軸方向Z’に伝播するSTWあるいはSSBW(surface skimming bulk acoustic wave)型弾性表面波を利用したものである(参考文献として、非特許文献4を揚げることができる)。
前記のSTW基板を利用して、縦2重型とか縦3重型等の共振子型SAWフィルタを構成すると、1GHzから3GHz帯のSAWデバイスが実現できる。前記の共振子型SAWフィルタの従来技術の例として、たとえば特許文献1及び特許文献2を揚げることができる。または、従来の技術により実現された共振子型SAWフィルタの例として、非特許文献5を揚げることができる。
しかしながら、前述の従来技術を使用し共振子型SAWフィルタを構成した場合には、通過比帯域幅が500ppm程度の極めて狭帯域なものしか実現できないという課題が存在した(非特許文献5を参照のこと)。ちなみに、通過比帯域幅とは3dB帯域幅をフィルタ中心周波数で割った値である。
そこで今回の本発明は、この狭帯域化の原因を究明して、解決策を考案したものである。本発明において用いた技術的および理論的手段は、周期的構造を有するすだれじょう電極の新規導入と、著者等の考案による“周波数ポテンシャル設計手法”を活用して、このような問題点を解決するものである。前記“周波数ポテンシャル設計手法”を簡単に言えば、周波数ポテンシャル関数FTP(X)、弾性表面波の速度Vs、素子の空間波長2P(X)の関係式 FTP(X)=Vs/{2P(X)} を弾性波動の伝搬制御に利用するものである。ただし、Xは弾性表面波の位相進行方向の位置座標である。
その目的とするところは、例えば零温度係数を有して周波数温度特性が優れ、かつ材料のQ値が数万と優れかつ高速度な水晶STW基板とλ/4電極を使用し、低挿入損失かつ比帯域幅が2000ppmと比較的広帯域幅で安定な縦多重モード型の共振子型SAWフィルタを実現することにある。さらに本発明のSAWフィルタの用途としては、GPS装置(grobal positioning system)のRF−フィルタ用が最適であり、これによって、従来品に対して、1/10に通過帯域幅を縮小して、益々に輻輳するデジタル無線通信装置が発生する雑音の影響を大幅に低減し、社会的に重要な機能を果すGPS装置の精度を著しく向上し維持することができる他、GPS装置とUWB(Ultru Wide Band)とか他の通信装置の近接使用などにおいて今後多大な利点が期待できる。
(1)本発明の共振子型SAWフィルタは、圧電体平板上の位相伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と、前記入力側すだれ状電極により励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極と、さらには前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の両側に1対の反射器を有する共振子型SAWフィルタにおいて、
前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長PをP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであり、前記PAとPBが異なることを特徴とする。
前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長PをP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであり、前記PAとPBが異なることを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、区間Aと区間Bの各電極指からの反射波の総和が相互に相殺して減少する。その結果、基板の実効的な反射係数を低減して広帯域幅な縦2重型および縦3重モード型等の共振子型SAWフィルタが実現できる。
(2)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.10の範囲であることを特徴とする。
上記(2)の構成であれば、弾性表面波の速度が5100m/secと高速な、従って高周波数動作が可能な水晶STWカットであるとか、速度が10000m/secのダイヤモンドを用いた基板の利用が可能である。さらに前記の基板を用いて1〜3GHzの周波数をもつ共振子型SAWフィルタにおいて、十分に厚い膜厚約1000×10-10mのλ/4電極を形成して信頼性のある共振子型SAWフィルタを形成できる。
(3)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記すだれ状電極の対数MAおよびMBが、2から6対の範囲であることを特徴とする。
上記(3)の構成であれば、反射係数を低減するための単位となる前記区間Aと区間Bのもつ対数が少ないために、電極指の交差幅を自由に変えて周波数特性を設計する手法の一つである幅重み付け法が使用でき、共振子型SAWフィルタの周波数特性精度が出せるという効果がある。
(4)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、PB/PA<1とした場合に、区間Bのみの電極指を給電導体に接続しことを特徴とする。
上記(4)の構成とすれば、区間Aのすだれ状電極によって発生する反射係数が大きな下側の周波数成分(不用な周波数成分)を発生させないため、希望する単一の周波数特性を実現することができるという効果がある。
(5)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記共振子型SAWフィルタにおいて、利用する共振モードが対称モードS0と斜対称モードA0の2個の共振状態であり、前記2個の共振現象を結合して得られる縦2重モード型であり、かつ前記区間Aと区間Bの全体が示す反射係数γabが0.01から0.02の範囲であることを特徴とする。
上記(5)の構成とすれば、弾性表面波の速度が5100m/secと高速で、従って高周波数動作が可能な水晶STWカットのもつ電気機械結合係数K2が0.0017と小さな基板において、電極膜厚を著しく薄くしなくても、通過比帯域幅が2000から3000ppmの縦2重型の共振子型SAWフィルタが実現できる。例えば、1.5GHzにおいて膜厚み約1000×10-10mのλ/4電極を形成して、前記通過比帯域幅の特性をもつものが実現できるという効果がある。
(6)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記反射器の中心周波数f(Ref)と、前記区間Bのすだれ状電極が発生する周波数f(IDT)を一致させたことを特徴とする。
上記(6)の構成とすれば、圧電体平板とすだれ状電極から形成される本来の大きな反射係数γをもつ反射器の反射特性の最大値が利用できるため、反射器の導体本数が少なくでき、共振子型SAWフィルタの小型化ができるという効果がある。
(7)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、0.8<PB/PA<1範囲としたことを特徴とする。
(7)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、0.8<PB/PA<1範囲としたことを特徴とする。
上記(6)の構成とすれば、圧電体平板の反射係数γが0.03から0.1であるものにおいて、区間Aと区間Bの各電極指からの反射波の総和が相互に相殺して減少させ、区間Aと区間Bの全体が示す反射係数γabが0.01から0.02の範囲とすることができるという効果がある。
(8)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ実動作状態における電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γabが0.01から0.02範囲であることを特徴とする。
上記(8)の構成とすれば、比較的大きな反射係数をもつ圧電体平板、例えば水晶STカットにおるレイリー波使用、STWカットにおるSSBW使用、ダイヤモンド基板におるセザワ波使用の場合等において、特定の構成上件を設定し上記(8)の構成をとれば、通過帯域幅の広い共振子型SAWフィルタを実現できるという効果がある。
(9)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記前記圧電体平板が水晶STWカットであり、前記すだれ状電極はアルミニウム金属により形成されて電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ前記MaとMBが4対であり、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、かつ前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の和Mが116±10対であり、かつ前記すだれ状電極の交差指幅WCRが90〜110波長であり、前記反射器の導体本数は20から80本であることを特徴とする。
(9)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項1の記載において、前記前記圧電体平板が水晶STWカットであり、前記すだれ状電極はアルミニウム金属により形成されて電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ前記MaとMBが4対であり、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、かつ前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の和Mが116±10対であり、かつ前記すだれ状電極の交差指幅WCRが90〜110波長であり、前記反射器の導体本数は20から80本であることを特徴とする。
上記(9)の構成とすれば、1.57GHz動作のGPS装置用途のRFフィルタが実現でき、通過帯域幅が2MHzであるため、従来のLiTaO3基板を用いた30MHz幅のものに対して、約1/10の狭帯域幅であることより、受信信号に関して約10倍のS
/N比の改善ができるという効果がある。
/N比の改善ができるという効果がある。
(10)本発明の共振子型SAWフィルタは、請求項9の記載において、前記水晶STWカットは、水晶回転Y板を電気軸(X軸)回り反時計方向にθ=35度から38度回転した水晶平板であることを特徴とする。
上記(10)の構成とすれば、請求項(9)の条件が最良に適用できるという効果がある。
水晶からなる圧電体基板すなわち圧電体平板から前述のSTWカットを切り出して、その表面を鏡面研磨した後、レイリー型あるいはSSBW型等の弾性表面波の位相伝搬方向Xに対して直交して、例えば金属アルミニウムからなる多数の平行導体の電極指を周期的に配置した入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極を形成しさらには、前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の両側に1対の反射器を形成して、縦2重モード型の共振子型SAWフィルタを構成することができる。
以下本発明の共振子型SAWフィルタの実施の形態について、まず理解を容易ならしめるために、図1によって具体的な実施例の構成を説明した後、図2、図3、図4、図5に動作特性と原理の概念を説明し、図8、図9に従来品の特性、図6、図7、図10、図11を使用して、本発明の共振子型SAWフィルタが有する特性を詳細に説明する。
(実施例1)
図1は請求項1の発明に係わる共振子型SAWフィルタ(以下略して本素子と称すことがある)の一実施例について、圧電体平板上に形成した電極パターンを図示したものである。
図1は請求項1の発明に係わる共振子型SAWフィルタ(以下略して本素子と称すことがある)の一実施例について、圧電体平板上に形成した電極パターンを図示したものである。
図1中の各部位の名称は、100は水晶、LiTaO3等からなる圧電体平板、101および102は反射器、103は入力側すだれ状電極、104は出力側すだれ状電極、105および114は反射器を構成する導体ストリップ、106Aと107Aは給電導体(ブスバー)から切断された区間Aの正極と負極の電極指、106Bと107Bは給電導体(ブスバー)に接続された区間Bの正極と負極の電極指、108と109は各々正極側と負極側の入力側給電導体(ブスバー)である。同様に、110Aと111Aは給電導体(ブスバー)から切断された区間Aの正極と負極の電極指、110Bと111Bは給電導体(ブスバー)に接続された区間Bの正極と負極の電極指である。112と113は各々正極側と負極側の出力側給電導体(ブスバー)である。さらに、圧電体平板上の115は利用する弾性表面波の位相伝搬方向であるX軸である。さらにまた、実線にて区分された116、118等は区間Aに対応する入力側すだれ状電極の部分、117、119は区間Bに対応する入力側すだれ状電極の部分、実線にて区分された120、122等は区間Aに対応する出力側すだれ状電極の部分、121、123は区間Bに対応する出力側すだれ状電極部分である。103の入力側すだれ状電極は区間A(116)、区間B(117)、区間A(118)、区間B(119)、・・・のように、区間Aと区間Bを交互に配置して構成されており、また104の出力側すだれ状電極も、区間A(120)、区間B(121)、区間A(122)、区間B(123)・・・のように、区間Aと区間Bを交互に配置して構成されている。このように構成されたすだれ状電極103と104の前記X軸方向の両側に1対の反射器101と102が配置されている。前記反射器は無くても良い場合があるが、付加すると素子の特性を著しく向上できる。
さらに説明すると、前記区間Aはすだれ状電極(以下略してIDT:Interdegital Transducerと称す)を構成する正負の電極指を1対として、その対数がMA対からなり、一方、前記区間BはIDTを構成する正負の電極指を1対として、その対数がMB対からなる。図1は全体でいわゆる一般的には縦2重モード型の共振子型SAWフィルタを構成している。
また、前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長PをP=L+
Sとした場合に、電極周期長PがPAかつ、すだれ状電極の対数がMAであり、前記区間Bは、電極周期長PがPBかつ、すだれ状電極の対数がMBであるとする。前記の電極周期長PAとPBは異ならしめて使用する。また前記対数MAおよびMBは、2から6対の範囲が良好である。また前記のMAあるいはMBが7対以上の範囲でも素子の構成が可能であるが、入力および出力側IDTの対数は40から60対程度が多いため、MAあるいはMBは最大20対程度である。あまりMAとMBが大きいと、IDTの構造が大きく離散的となりフィルタ特性設計の自由度が損なわれ好ましくない。
Sとした場合に、電極周期長PがPAかつ、すだれ状電極の対数がMAであり、前記区間Bは、電極周期長PがPBかつ、すだれ状電極の対数がMBであるとする。前記の電極周期長PAとPBは異ならしめて使用する。また前記対数MAおよびMBは、2から6対の範囲が良好である。また前記のMAあるいはMBが7対以上の範囲でも素子の構成が可能であるが、入力および出力側IDTの対数は40から60対程度が多いため、MAあるいはMBは最大20対程度である。あまりMAとMBが大きいと、IDTの構造が大きく離散的となりフィルタ特性設計の自由度が損なわれ好ましくない。
また、前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、PB/PA<1とした場合に、区間Bのみの電極指を給電導体に接続する。図1の場合には、入力および出力IDTの区間Bのみの電極指106B、107B、110B、111Bが給電導体108、109、112、113に接続している。
さらに、前記反射器の中心周波数f(Ref)と、前記区間Bのすだれ状電極が発生する周波数f(IDT)を一致させており、両周波数は区間AのIDTおよび区間BのIDTの電極周期長PAとPBの組み合わせと、反射器101と102の電極周期長PRの関係を適切に設定して、前記f(Ref)=f(IDT)と設定する。
以上に述べた図1の構成全体で、入力側のIDTで発生した弾性表面波は1対の反射器101と102で反射して定在波振動状態を形成して利用すべき固有共振モードを発生する。これら固有モードはX軸方向に振動変位が変わる対称モードS0と斜対称モードA0の2個の共振状態であり、前記2個の共振現象を結合して縦2重モード型のSAWフィルタを構成している。ただし、従来の技術と異なる点は、前記区間Aと区間Bの全体が示す反射係数γabが0.01から0.02の範囲であることである。
さらに構成条件として、前記圧電体平板100と前記IDT(103,104等)が形成する105、106A、106B等電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.1の範囲である場合において、本発明の手段は特に効果的である。
さらにまた、前記前記圧電体平板が水晶STWカットであり、前記すだれ状電極はアルミニウム金属により形成されて電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ前記MaとMBが4対であり、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、かつ前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の和Mが116±10対であり、かつ前記すだれ状電極の交差指幅WCRが90〜110波長であり、前記反射器の導体本数は20から80本である。さらに前記水晶STWカットは、水晶回転Y板を電気軸(X軸)回り反時計方向にθ=35度から38度回転した水晶平板である。
つぎに、図2において本発明の素子の動作原理につき説明する。
図2は本発明になる図1のような区間Aと区間Bからなる周期的構造を取るIDTを“周波数ポテンシャル設計手法”を活用して表示したものである。図2中の、200と202は前述の区間Aからなるブロックであり、201と203は前述の区間Bからなるブロックである。また、図2中の4つの209等の曲線は、弾性表面波の伝搬状態である伝搬帯(斜線領域)および、弾性表面波が伝搬できずに減衰する状態を示めす非伝搬帯(ストップバンドとも呼ばれる白い領域)の特性全体を示す特性曲線であり、波数分散曲線と呼ばれている。波数分散曲線は横軸波数k=2π/λ(1/m)であり、縦軸は周波数FTP(Hz)で表示した。FTPは本発明において活用する“周波数ポテンシャル”の略号である。FTPは利用する弾性表面波の速度をVsとすれば、前述の電極周期長P=PA,PBと、FTP=Vs/(2×P)の関係にある。さらに、基準周波数をFTP0として、周波数の変化率D=(FTP−FTP0)/FTP0で表現することが効率的である。分散曲線上の白丸印204等はIDTによって発生する弾性表面波の動作点を示すもので、208の矢印にて示される右進行波、左進行波が生じている。また206で示される周波数差分量Dは前記の周波数変化率表示であり、区間Aと区間Bの周波数ポテンシャル差である。すなわち、区間AのFTPAは、FTPA=Vs/(2×PA),区間BのFTPB=Vs/(2×PB)の差D=FTPA−FTPBの関係にある。さらに、205の破線枠で示す領域は、本発明の図1の構成により発生した無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域である。ちなみに各区間Aおよび区間BはIDTの対数MP(=MA=MB)は検討の結果、2から6対程度の数対で構成できることがわかった。前記の無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域の発生メカニズムについては、さらに図5を用いて詳述する。
図2は本発明になる図1のような区間Aと区間Bからなる周期的構造を取るIDTを“周波数ポテンシャル設計手法”を活用して表示したものである。図2中の、200と202は前述の区間Aからなるブロックであり、201と203は前述の区間Bからなるブロックである。また、図2中の4つの209等の曲線は、弾性表面波の伝搬状態である伝搬帯(斜線領域)および、弾性表面波が伝搬できずに減衰する状態を示めす非伝搬帯(ストップバンドとも呼ばれる白い領域)の特性全体を示す特性曲線であり、波数分散曲線と呼ばれている。波数分散曲線は横軸波数k=2π/λ(1/m)であり、縦軸は周波数FTP(Hz)で表示した。FTPは本発明において活用する“周波数ポテンシャル”の略号である。FTPは利用する弾性表面波の速度をVsとすれば、前述の電極周期長P=PA,PBと、FTP=Vs/(2×P)の関係にある。さらに、基準周波数をFTP0として、周波数の変化率D=(FTP−FTP0)/FTP0で表現することが効率的である。分散曲線上の白丸印204等はIDTによって発生する弾性表面波の動作点を示すもので、208の矢印にて示される右進行波、左進行波が生じている。また206で示される周波数差分量Dは前記の周波数変化率表示であり、区間Aと区間Bの周波数ポテンシャル差である。すなわち、区間AのFTPAは、FTPA=Vs/(2×PA),区間BのFTPB=Vs/(2×PB)の差D=FTPA−FTPBの関係にある。さらに、205の破線枠で示す領域は、本発明の図1の構成により発生した無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域である。ちなみに各区間Aおよび区間BはIDTの対数MP(=MA=MB)は検討の結果、2から6対程度の数対で構成できることがわかった。前記の無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域の発生メカニズムについては、さらに図5を用いて詳述する。
つぎに、本発明の共振子型SAWフィルタの特性についての説明に入る前に、図3と図4を用いて、前述の図2の周期的構造を取るIDTを用いて構成した正規型のトランスバーサルフィルタの特性につき説明する。ちなみに前記正規型のトランスバーサルフィルタとは、図1の実施例において反射器101と102が存在しない構成の素子である。
まず、図3は前記正規型のトランスバーサルフィルタの伝送特性図であり、3つの特性図(3−a)と(3−b)と(3−c)から構成されている。いずれも、同図横軸は周波数変化率df/f(ppm)であり、縦軸は対数表示されたフィルタの動作伝送量特性SB(f)の対数表示(dB)である。
まず、(3−a)から説明すると、(3−a)は、前述区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比であるPPT=PB/PA=1.0の関係にある場合である。 この条件は従来品の設計条件によるものであり、この条件において、区間Aおよび区間Bが発生する弾性表面波の周波数は同一の動作点となるため一致した周波数であり、従ってフィルタ特性は最低挿入損失ピークが1個である伝送特性となっている(300のA&B)。
つぎに(3−b)は、前記比PPT=0.85の場合であり、この条件はまた区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比がPPT=PB/PA=0.85の関係にある場合である。この状態においては、区間Aより区間Bが発生する弾性表面波の周波数が15%上昇した配置となる。区間AがつくるIDTの周波数特性が311であり、区間Bがつくる周波数特性が301であるため、フィルタ特性は最低挿入損失ピークが2個となっている(301および311)。また、301と311のピーク間の周波数変化率差は約12,000ppm差となっている(ここで、1ppm=10-06)。
つぎに(3−c)は、前記比PPTをさらに小さくしたPPT=0.78の場合であり、この条件はまた区間Aの電極周期長PAと区間Bの電極周期長PBの比がPPT=PB/PA=0.78の関係にある場合である。この状態においては、区間Aより区間Bが発生する弾性表面波の周波数が22%上昇した配置となる。区間AがつくるIDTの周波数特性が312であり、区間Bがつくる周波数特性が302であるため、フィルタ特性は最低挿入損失ピークが2個となっている(302および312)。また、302と312のピーク周波数変化率差は(3−b)の場合より広がり、約15,000ppm差となっている。
図3において注目すべき特性は、特性曲線のピーク300、301、302付近の領域における伝送特性の形状が大きく変化している点である。図中の記号であるΓがIDTを構成する電極指の1本、1本からの反射効果の総和に比例する特性量である。前記の反射効果の総和とは、電極指の1本の反射係数をγとして、IDT全体のもつ反射係数Γ=2γMのことである。従って、前記のΓが小さいほど電極指1本のもつ反射係数が小さいことになる。図(3−c)の場合には、302ピークのΓがほぼゼロとなり、素子のもつ反射効果が消滅した状態を示している(無反射係数γab=0に相当する)。前記の無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域の発生メカニズムについては、さらに図5を用いて詳述することはすでに述べた。
図4は図3におけるPPT=PB/PAとΓの関係を取り出した特性図である。図4はまた本発明の前述の実施例1および図2の周期的構造が有する弾性表面波の反射現象の物理的な特徴を図示するものである。図4において、横軸は前述のPPTであり、縦軸は前述のΓ値をとって、これらの関係を図示した特性曲線400である。同図4において、PPTが0.78±0.02付近(Q点)となると、前記の全反射係数Γがほぼゼロとなっている。また、PPT=PB/PA=0.9付近(P点)では、従来品の反射係数に対して約6dBの減少が認められる。
つぎに図5は、前述のQ点である無反射係数γab=0をもつ伝搬帯領域の発生メカニズムについて図示したものである。 図中の縦軸のFは周波数軸であり、右側半面に位置する横軸は、反射係数γの振幅を表し、左側半面に位置した横軸は、前記反射係数γの位相角θであり、反射波の位相角θに相当する。図中の曲線500は前述の区間Aがつくる反射係数γaの振幅特性であり、502は反射係数γaの位相特性である。位相が0度の場合は、反射波は入射波と同位相状態であり、位相が180度の場合には入射波と反射波は逆位相状態であることを意味する。一方、500から上方に周波数変化率にして+0.22シフトした曲線501は、前記区間Bのもつ反射係数γbの振幅特性である。また503はγbの位相特性である。まず区間AのIDTは給電導体から切り離されており弾性表面波を励振しないが、500と502の反射特性を有する。500は電極周期長がPAの区間AのIDT対数が4対で、電極指1本当りの反射係数が0.05の場合につき計算したものである。前記反射特性500においてγ=0となる周波数点は弾性表面波の伝搬点を示すものであり、入射波は反射せずに区間Aを通過する。下側の伝搬点と上側の伝搬点の幅であるストップバンド幅BWは、この場合0.25(25%)の大きな幅となっている。これはIDTの対数MPが4対と極めて小さいことによる。反射特性501は、電極周期長がPBの区間BのIDT対数が4対で、電極指1本当りの反射係数が0.05の場合につき同様に計算したものである。特性501は特性500を0.22(22%)上昇させたもので、これは電極周期長PBがPAの78%に設定されていることによる。特性501のストップバンド幅BWは0.25(25%)であり、区間Aと同一である。区間Bは給電導体と接続し励振されるため弾性表面波を励起して放射する点が区間Aとは異なる。前記の励起された弾性表面波は、おおむね振幅動作点B1と位相動作点B2の近傍の周波数成分を持ち、この発生した表面波は、区間Aに至り同一周波数の振幅動作点A1と位相動作点B2で動作する。位相動作点A2とB2は位相がほぼ反転するような配置であり、区間Aと区間Bからの反射波は合成され、相殺されて全体の反射波がゼロとなるため、反射係数γab=0が実現する。従って、前記動作点(B1,B2)のつくる近傍の周波数は無反射の伝搬帯となるわけである。以上が本発明の基礎となる現象の説明である。また、周波数上昇量が0から+0.22の範囲であれば、前記区間Aと区間Bの多数繰り返しが作るトータルな反射係数Γは1から0の間の値を取ることになる。前述の図4の特性はこの状態を示している。 本発明は以上の動作原理にもとづき、前記区間Aと区間Bの全体が示す反射係数γabが0.01から0.02の範囲である状態を実現し、対称モードS0と斜対称モードA0の2個の共振状態を利用して、共振子型のSAWフィルタを実現するものである。
つぎに、本発明の前述の実施例図1が示すフィルタ特性について説明する。
まず図6は、水晶STWカットが示す反射係数γの特性図である。前記STWカットはオイラー角(φ,θ,ψ)表示で、(0°,127±2°,90°)のものである。図6の横軸は、電極指の導体幅Lと電極周期長Pとの比である線幅比η=L/Pであり、縦軸は電極指1本当りのもつ反射係数γの値を%表示したものである。図中の特性曲線600は電極膜厚Hに対する弾性表面波の波長λの比が0.03の場合であり、特性曲線601はH/λ=0.05の場合である。仮に素子の動作周波数が1.5GHzの場合については、波長λはSSBW弾性表面波の速度が約5100(m/s)であるから、λ=5100/1.5×10+9=3.4×10-6mであり、この場合のHは、H/λ=0.03において1020×10-10m、H/λ=0.05において1700×10-10mとなる。電極膜の安定な形成においては、1000×10-10m程度の膜厚みが必要であり、この状態における反射係数γは約5〜6%程度となる。
まず図6は、水晶STWカットが示す反射係数γの特性図である。前記STWカットはオイラー角(φ,θ,ψ)表示で、(0°,127±2°,90°)のものである。図6の横軸は、電極指の導体幅Lと電極周期長Pとの比である線幅比η=L/Pであり、縦軸は電極指1本当りのもつ反射係数γの値を%表示したものである。図中の特性曲線600は電極膜厚Hに対する弾性表面波の波長λの比が0.03の場合であり、特性曲線601はH/λ=0.05の場合である。仮に素子の動作周波数が1.5GHzの場合については、波長λはSSBW弾性表面波の速度が約5100(m/s)であるから、λ=5100/1.5×10+9=3.4×10-6mであり、この場合のHは、H/λ=0.03において1020×10-10m、H/λ=0.05において1700×10-10mとなる。電極膜の安定な形成においては、1000×10-10m程度の膜厚みが必要であり、この状態における反射係数γは約5〜6%程度となる。
つぎに、図7は前述の反射係数を有する圧電体平板上に本発明の縦2重モード型のSAW共振子を構成した状態を示す概念図である。図中の700は圧電体平板、701と704は反射器、702と703は入力および出力側のIDTであり、これらは区間Aと区間Bを交互に配置して構成してある。この状態において、前記素子の715のX座標位置に対応して、前記素子において利用する固有の共振モードの電荷分布Q(X)の相対値を図示した。上段が対称な変位状態をもつS0モードであり、下段が斜対称な変位状態をもつA0モードである。ちなみに、横軸はX座標であり、1/2波長単位で記述した。ここで、本発明のフィルタの特性を説明する前に、理解を容易ならしめるために、従来技術によるフィルタ特性につき例を示して説明しておく。
つぎに図8は、本発明の構成において、前記H/λ=0.03であり、電極指1本の反射係数が0.05の状態において、従来技術の条件である区間Aと区間Bの電極周期長PAとPBを等しくした場合である。また1区間のIDT対数MP=4対、入力と出力のIDT全体の対数は120対、反射器の本数は80本、電極指の交差幅は50波長の場合である。同図の横軸は、周波数変化率df/f(ppm)であり、縦軸はフィルタの動作伝送量SB(f)デシベル(dB)表示したものである。ちなみに、fは周波数である。特性曲線800が前記のSB(f)特性、800においてピークを示す801がフィルタの通過帯域幅付近を示すものであり、みての通り、単峰性の狭帯域特性を有していることがわかる。本発明はこのような特性状態を改善して、広い通過帯域幅をもたせる手段を提供する。
つぎに、図9は従来の設計条件の場合(PPT=1)であり、電極指1本当りの反射係数γの値を変えた場合のフィルタの伝送特性を計算したものである。図9の上段はγ=0.05の場合であり、全IDT対数M=80対、電極指交差幅WCR=100、反射器の導体ストリップ本数N=80、1区間のIDT対数MP=4である。この場合の通過帯の比帯域幅は1200ppmである。また、図9の下段はγ=0.015の場合であり、全IDT対数M=160対と倍に設定し、電極指交差幅WCR=50、N=80、MP=4である。この場合の通過帯の比帯域幅は約1000ppmである。図9が示す意味は、全IDT対数Mを小さくすれば通過帯域幅を広げることができること、反射係数を小さくすれば、全IDT対数Mが大きくても、通過帯域幅を広くすることができることを意味している。本発明は上記の結論であるMを小さくすることと、反射係数を小さくすることを利用して1〜3GHz帯で動作する比帯域幅2000ppmの共振子型SAWフィルタを実現したものである。従来の技術ではすでに述べた通り約500ppmmが限界であった。原因は実用的な電極膜厚みにあっては、反射係数γが5〜10%に至るからであった。
つぎに本発明の図1の実施例が示すフィルタ特性について説明する。
図10はフィルタの伝送特性1001を上段に示し、下段には本素子を構成する反射器の反射特性1002を図示したものである。本発明においては、反射器の中心周波数f(Ref)とフィルタの通過帯域幅の中心周波数f(IDT)を一致させている。このような状態では、区間BのIDTが放射する弾性表面波を完全に反射できるため(反射係数がΓ=1)、反射器の構成本数を少なくできる。このために、反射器の電極周期長PRを0.96PAとした。他の条件は、PPT=PB/PA=0.90であり、全IDT対数M=100〜120対、N=100本、WCR=100〜80波長、PM=4対、電極指1本の反射係数は0.05である。前記γが0.05であれば、20本の導体ストリップがあれば、全反射係数Γは1となる勘定であるが、現実には20〜80本、さらには100本程度あれば十分な反射特性が得られる。
図10はフィルタの伝送特性1001を上段に示し、下段には本素子を構成する反射器の反射特性1002を図示したものである。本発明においては、反射器の中心周波数f(Ref)とフィルタの通過帯域幅の中心周波数f(IDT)を一致させている。このような状態では、区間BのIDTが放射する弾性表面波を完全に反射できるため(反射係数がΓ=1)、反射器の構成本数を少なくできる。このために、反射器の電極周期長PRを0.96PAとした。他の条件は、PPT=PB/PA=0.90であり、全IDT対数M=100〜120対、N=100本、WCR=100〜80波長、PM=4対、電極指1本の反射係数は0.05である。前記γが0.05であれば、20本の導体ストリップがあれば、全反射係数Γは1となる勘定であるが、現実には20〜80本、さらには100本程度あれば十分な反射特性が得られる。
つぎに図11は、本発明になる前述の図10の縦2重モード型SAWフィルタを2段縦続接続した場合のフィルタの動作伝送量特性SB(f)をデシベル表示で示したものである。横軸は周波数変化率df/f(ppm)であり、縦軸はフィルタの動作伝送量SB(f)である。本素子はフィルタのインピーダンスが50Ωとなるように設計されている。本素子の動作周波数は1.5GHzとしてある。この場合において伝送特性は上段の図(11−a)の特性曲線1100のようになり、挿入損失の最小値は約2.1dBであり、通過帯域である平坦領域の幅(比帯域幅)は約2000ppmが得られている。特性曲線1100の周波数1400ppm付近がA0モードであり、16000ppm付近がS0モードである。下段の図(11−b)は周波数範囲を広げた場合のフィルタ特性1101である。帯域外の抑圧特性は一部に狭い周波数を除き80dB程確保されており、良好な特性が得られていることがわかる。
つぎに図12は、前述の本発明になる縦2重モード型SAWフィルタを、水晶STWカットのウエハ上に形成した後切断してチップ形状となし、セラミック材料で構成されるパッケジ容器内に収納した状態図である。図中の1200は水晶チップ、1201と120
2は本発明の共振子型SAWフィルタ、1203と1205は正極性のパッド、1204と1206は負極性のパッドである。また、1207と1208はワイヤボンディング線である。1209はパッケジ部材、1210と1211は1段目と2段目を接続するためのアルミ金属で形成された導体部である。本素子は本発明になる縦2重モード型SAWフィルタをX軸の中心位置をずらして、縦方向に少し重ねて2段縦接続している。こうすることにより、縦方向(X軸方向)チップサイズを小さくできる。
2は本発明の共振子型SAWフィルタ、1203と1205は正極性のパッド、1204と1206は負極性のパッドである。また、1207と1208はワイヤボンディング線である。1209はパッケジ部材、1210と1211は1段目と2段目を接続するためのアルミ金属で形成された導体部である。本素子は本発明になる縦2重モード型SAWフィルタをX軸の中心位置をずらして、縦方向に少し重ねて2段縦接続している。こうすることにより、縦方向(X軸方向)チップサイズを小さくできる。
以上のとおり、本発明が水晶のみからなる基板について、STW型の弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタの構成および特性につき説明したが、前記基板が水晶以外の材料例えばダイヤモンド基板からなるものでも、また基板表面にSiO2、ZnO、等の薄膜が本素子の特性を損なわない程度に形成されても、本発明の構成条件が満足される範囲であれば有効であることをつけくわえる。
最後に、本発明の共振子型SAWフィルタの具体的な用途を考えてみる。
水晶STW基板等を利用して、1.57GHzのRF−フィルタを製作した場合につき特徴を列記すると、
1)周波数温度特性が零温度係数をもち安定である(約-35°〜+75°範囲において、周波数変動量が200ppmと小さい)。
2)材料のQ値が優れ、1.5GHzにおいて共振子のQ値が6000程度と高いため、低損失フィルタが実現できる。
3)区間Aおよび区間Bを周期的に構成しIDTの有する反射係数を消滅させて、約2000ppm程度が実現でき、この帯域幅は3MHzの通過帯域幅となって、必要十分にGPS装置に利用される信号の周波数成分範囲2MHzをカバーできる。
3)通過帯域幅内の振幅リップルが小さい50Ωフィルタができる。
水晶STW基板等を利用して、1.57GHzのRF−フィルタを製作した場合につき特徴を列記すると、
1)周波数温度特性が零温度係数をもち安定である(約-35°〜+75°範囲において、周波数変動量が200ppmと小さい)。
2)材料のQ値が優れ、1.5GHzにおいて共振子のQ値が6000程度と高いため、低損失フィルタが実現できる。
3)区間Aおよび区間Bを周期的に構成しIDTの有する反射係数を消滅させて、約2000ppm程度が実現でき、この帯域幅は3MHzの通過帯域幅となって、必要十分にGPS装置に利用される信号の周波数成分範囲2MHzをカバーできる。
3)通過帯域幅内の振幅リップルが小さい50Ωフィルタができる。
本発明になる前記共振子型のSAWフィルタをGPS装置用のRFフィルタに用いれば、1.57GHzにおいて約3MHzの通過帯域幅が確保でき、従来のLiTaO3基板を用いて作られる通過帯域幅が30MHz程のフィルタに対して、約1/10に装置が受信する雑音レベルが低減できる他、温度環境の変化に対して周波数変動が小さいために、位相変動が少なく低ジッタかつ低位相ノイズなデジタル信号が受信できるため、測地精度にバラツキが無く、高精度な位置精度が計測可能なGPS装置を市場に提供できる。
さらに昨今は、3〜10GHz帯にて使用するUWB(Ultru Wide Band)等の微弱近距離無線が商品化段階にある他、GPS装置とUWBあるいは他の通信装置の近接使用などの手段も研究中であり、本発明の共振子型SAWフィルタはこれらの分野において使用されれば、測地精度の維持のために益々有益な素子となることが考えられる。
100 圧電体平板
101,102 反射器
103,104 入出力IDT
107,108 給電導体
116 区間AのIDT
117 区間BのIDT
101,102 反射器
103,104 入出力IDT
107,108 給電導体
116 区間AのIDT
117 区間BのIDT
Claims (10)
- 圧電体平板上の位相伝播方向Xに弾性表面波を励振する入力側すだれ状電極と、前記入力側すだれ状電極により励振された弾性表面波を受信する出力側すだれ状電極と、さらには前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の両側に1対の反射器を有する共振子型SAWフィルタにおいて、
前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、前記弾性表面波の波長をλとして電極幅Lがほぼλ/4で構成され、
かつ前記の入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極は、2種類の異なる区間Aと区間Bとを交互に配置してなり、
前記区間Aは、電極幅寸法Lと電極間寸法Sの和である電極周期長をP=L+Sとした場合に、電極周期長PがPAかつすだれ状電極の対数がMAであり、
前記区間Bは、電極周期長PがPBかつすだれ状電極の対数がMBであり、前記PAとPBが異なることを特徴とする共振子型SAWフィルタ。 - 前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.03から0.10の範囲であることを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記すだれ状電極の対数MAおよびMBが、2から6対の範囲であることを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、PB/PA<1とした場合に、区間Bのみの電極指を給電導体に接続しことを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記共振子型SAWフィルタにおいて、利用する共振モードが対称モードS0と斜対称モードA0の2個の共振状態であり、前記2個の共振現象をを結合して得られる縦2重モード型であり、かつ前記区間Aと区間Bの全体が示す反射係数γabが0.01から0.02の範囲であることを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記反射器の中心周波数f(Ref)と、前記区間Bのすだれ状電極が発生する周波数f(IDT)を一致させたことを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記区間Aと区間Bの電極周期長の比PB/PAについて、0.8<PB/PA<1範囲としたことを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記圧電体平板と前記すだれ状電極が形成する電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ実動作状態における電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γabが0.01から0.02範囲であることを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記前記圧電体平板が水晶STWカットであり、前記すだれ状電極はアルミニウム金属により形成されて電極指1本当りの弾性表面波の反射係数γが0.05±0.02であり、かつPB/PAの比が0.9±0.02であり、かつ前記MaとMBが4対であり、区間Bのみの電極指を給電導体に接続し、かつ前記入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の和Mが116±10対であり、かつ前記すだれ状電極の交差指幅WCRが90〜110波長であり、前記反射器の導体本数は20〜80本であることを特徴とする請求項1記載の共振子型SAWフィルタ。
- 前記水晶STWカットは、水晶回転Y板を電気軸(X軸)回り反時計方向にθ=35度から38度回転した水晶平板であることを特徴とする請求項9記載の共振子型SAWフィルタ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004120330A JP2005303893A (ja) | 2004-04-15 | 2004-04-15 | 共振子型sawフィルタ |
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2004
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