JP4356773B2 - 弾性表面波デバイスとこれを用いたモジュール装置又は発振回路 - Google Patents

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Description

本発明は、水晶基板を用いた弾性表面波デバイスにおいて、デバイスサイズを小型にし、Q値を高め、周波数温度特性を改善した弾性表面波デバイスに関する。
近年、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAW)デバイスは移動体通信用端末や車載用機器等の部品として幅広く利用され、小型であること、Q値が高いこと、周波数安定性が優れていることが強く要求されている。
これらの要求を実現するSAWデバイスとして、STカット水晶基板を用いたSAWデバイスがある。STカット水晶基板は結晶X軸を回転軸としてXZ面を結晶Z軸より反時計方向に42.75°回転した面(XZ’面)を持つ水晶板のカット名であり、結晶X軸方向に伝搬するレイリー波と呼ばれる(P+SV)波であるSAW(以下、STカット水晶SAWと称す)を利用する。STカット水晶SAWデバイスの用途は、発振素子として用いられるSAW共振子や、移動体通信端末のRF段とIC間に配置されるIF用フィルタなど幅広く存在する。
STカット水晶SAWデバイスが小型でQ値の高いデバイスを実現できる理由として、SAWの反射を効率良く利用できる点が挙げられる。以下、図13に示すSTカット水晶SAW共振子を例に説明する。該STカット水晶SAW共振子は、STカット水晶基板101上にそれぞれ互いに間挿し合う複数本の電極指を有するくし形電極(以下、IDTと称す)102を配置し、該IDT102の両側にSAWを反射する為のグレーティング反射器103a、103bを配置した構造である。STカット水晶SAWは圧電基板の表面に沿って伝搬する波であるので、グレーティング反射器103a、103bにより効率良く反射され、SAWのエネルギーをIDT102内に十分閉じ込めることができるので、小型で且つQ値の高いデバイスが得られる。
更に、SAWデバイスを使用する上で重要な要素に周波数温度特性がある。上述のSTカット水晶SAWにおいては、周波数温度特性の1次温度係数が零であり、その特性は2次曲線で表され、頂点温度を使用温度範囲の中心に位置するように調整すると周波数変動量が格段に小さくなるので周波数安定性に優れていることが一般的に知られている。
しかしながら、前記STカット水晶SAWデバイスは、1次温度係数は零であるが、2次温度係数は−0.034(ppm/℃2)と比較的大きいので、使用温度範囲を拡大すると周波数変動量が極端に大きくなってしまうという問題があった。
前記問題を解決する手法として、Meirion Lewis, “Surface Skimming Bulk Wave, SSBW”, IEEE Ultrasonics Symp. Proc., pp.744〜752 (1977)及び特公昭62−016050号に開示されたSAWデバイスがある。このSAWデバイスは、図14に示すように回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−50°回転した付近に設定し、且つ、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対して垂直方向(Z’軸方向)にしたことが特徴である。なお、前述のカット角をオイラー角で表示する場合は(0°,θ+90°,90°)=(0°,40°,90°)となる。このSAWデバイスは、圧電基板の表面直下を伝搬するSH波をIDTによって励起し、その振動エネルギーを電極直下に閉じ込めることを特徴としていて、周波数温度特性が3次曲線となり、使用温度範囲における周波数変動量が極めて少なくなるので良好な周波数温度特性が得られる。
しかしながら、前記SH波は基本的に基板内部に潜って進んでいく波である為、圧電基板表面に沿って伝搬するSTカット水晶SAWと比較してグレーティング反射器によるSAWの反射効率が悪い。従って、小型で高QなSAWデバイスを実現し難いという問題がある。また、前述の先行文献においてもSAWの反射を利用しない遅延線としての応用については開示されているものの、SAWの反射を利用する手段は提案されておらず実用は困難であると言われていた。
この問題を解決すべく、特公平01−034411号では、図15に示すように回転Yカット水晶基板のカット角θを−50°付近に設定し、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対し垂直方向(Z’軸方向)にした圧電基板111上に800±200対もの多対のIDT112を形成することにより、グレーティング反射器を利用せずIDT112自体の反射だけでSAWエネルギーを閉じ込め高Q化を図った所謂多対IDT型SAW共振子が開示されている。
しかしながら、前記多対IDT型SAW共振子はグレーティング反射器を設けたSAW共振子と比較して効率的なエネルギー閉じ込め効果が得られず、高いQ値を得るのに必要なIDT対数が800±200対と非常に多くなってしまうので、STカット水晶SAW共振子よりもデバイスサイズが大きくなってしまい、近年の小型化の要求に応えることができないという問題があった。
また、前記特公平01−034411号に開示されているSAW共振子においては、IDTにて励振されたSAWの波長をλとした時、電極膜厚を2%λ以上、好ましくは4%λ以下にすることによりQ値を高めることができるとされており、共振周波数200MHzの場合、4%λ付近でQ値が飽和に達するが、その時のQ値は20000程度しか得られずSTカット水晶SAW共振子と比較してもほぼ同等のQ値しか得られない。この原因として、膜厚が2%λ以上4%λ以下の範囲ではSAWが圧電基板表面に十分集まっていないので反射が効率良く利用できないことが考えられる。
特公昭62−016050号公報 特公平01−034411号公報 Meirion Lewis, "Surface Skimming Bulk Wave, SSBW", IEEE Ultrasonics Symp. Proc., pp.744〜752 (1977)
解決しようとする問題点は、圧電基板にSTカット水晶基板を用いると周波数温度特性の2次温度係数が−0.034(ppm/℃2)と大きいので実用上の周波数変動量が極端に大きくなってしまう点であり、また特公平01−034411号に開示されているSAWデバイスの構造では、IDTの対数を非常に多くしなければならないのでデバイスサイズが大型になってしまう点である。
上記課題を解決するために本発明に係るSAWデバイスの適用例1の発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、前記圧電基板は、そのカット角θを結晶X軸を回転軸とした結晶Z軸の回転角度とし、結晶+Z軸から結晶+Y軸側へ回転させる方向を前記カット角θが負となる回転方向として、−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板からなる回転Yカット水晶基板であり、励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、前記IDTを構成する電極指の電極指幅/(電極指幅+電極指間のスペース)をライン占有率mrとした時に、カット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係が、−8.04489×10-5×θ3−1.40981×10-2×θ2−0.825038×θ−16.0737<H/λ×mr<−6.15517×10-5×θ3−1.03943×10-2×θ2−0.586564×θ−11.0052を満足していることを特徴とした。
本発明の適用例1のSAWデバイスは、カット角θが−64.0°<θ<−49.3°の範囲にある回転Yカット水晶基板を用い、SAWの伝搬方向が結晶X軸に対して90°±5°として励振されるSH波を用い、IDTやグレーティング反射器の電極材料をAlまたはAlを主とした合金にて構成し、波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とすることで、本来基板内部に潜って進んでいく波を基板表面に集中させてグレーティング反射器等によりSAWの反射を効率良く利用できるようにしたので、STカット水晶SAWデバイスと比較して小型でQ値が高く、且つ周波数安定性が優れたSAWデバイスを提供することができる。
また、電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrとカット角θの条件を満足することにより、頂点温度Tp(℃)を実用的な温度範囲内に設定することができる。
適用例2の発明は、圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、前記圧電基板は、そのカット角θを結晶X軸を回転軸とした結晶Z軸の回転角度とし、結晶+Z軸から結晶+Y軸側へ回転させる方向を前記カット角θが負となる回転方向として、−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板からなる回転Yカット水晶基板であり、励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.05<H/λ<0.10とし、前記IDTを構成する電極指の電極指幅/(電極指幅+電極指間のスペース)をライン占有率mrとした時に、カット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係が、−8.67632×10-5×θ3−1.50414×10-2×θ2−0.870514×θ−16.7678<H/λ×mr<−5.92554×10-5×θ3−1.02183×10-2×θ2−0.588704×θ−11.2768を満足していることを特徴とした。
本発明の適用例2のSAWデバイスは、カット角θが−61.4°<θ<−51.1°の範囲にある回転Yカット水晶基板を用い、SAWの伝搬方向が結晶X軸に対して90°±5°として励振されるSH波を用い、IDTやグレーティング反射器の電極材料をAlまたはAlを主とした合金にて構成し、波長で基準化した電極膜厚H/λを0.05<H/λ<0.10とすることで、本来基板内部に潜って進んでいく波を基板表面に集中させてグレーティング反射器等によりSAWの反射を効率良く利用できるようにしたので、STカット水晶SAWデバイスと比較して小型でQ値が高く、且つ周波数安定性が優れたSAWデバイスを提供することができる。
また、電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrとカット角θの条件を満足することにより、頂点温度Tp(℃)を実用的な温度範囲内に設定することができる。
適用例3の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上にIDTを少なくとも1個配置した1ポートの弾性表面波共振子であることを特徴とした。
適用例4の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDTを少なくとも2個配置した2ポートの弾性表面波共振子であることを特徴とした。
適用例5の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に対して複数個の弾性表面波共振子を平行に近接配置した横結合型多重モードフィルタであることを特徴とした。
適用例6の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って複数個のIDTからなる2ポートの弾性表面波共振子を配置した縦結合型多重モードフィルタであることを特徴とした。
適用例7の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に複数個の弾性表面波共振子を梯子状に接続したラダー型弾性表面波フィルタあることを特徴とした。
適用例8の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に弾性表面波を双方向に伝搬させるIDTを所定の間隔を空けて複数個配置したトランスバーサルSAWフィルタであることを特徴とした。
適用例9の発明は、前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に弾性表面波を一方向に伝搬させるIDTを少なくとも1つ配置したトランスバーサルSAWフィルタであることを特徴とした。
適用例10の発明は、前記弾性表面波デバイスは、弾性表面波センサであることを特徴とした。
適用例3乃至10の種々の方式のSAWデバイスを用いれば、小型でQ値が高く、且つ周波数安定性が優れたSAWデバイスを提供することができる。
適用例11の発明は、前記弾性表面波デバイスは、IDTの両側にグレーティング反射器を有することを特徴とした。
適用例11のSAWデバイスは、IDTの両側にグレーティング反射器を配置してSAWのエネルギーを前記IDT内に十分閉じ込めることができるので、小型でQ値が高いSAWデバイスを提供することができる。
適用例12の発明は、少なくともIDT上に保護膜を設けたことを特徴とする。
適用例13の発明は、前記保護膜がSiO2であることを特徴とする。
適用例14の発明は、前記保護膜がAlを陽極酸化したものであることを特徴とする。
本発明は、適用例12乃至14に記載のSAWデバイスのように、保護膜を設けた場合でも適用が可能である。
適用例15の発明は、適用例1乃至14のいずれかに記載のSAWデバイスを用いたモジュール装置、又は発振回路であることを特徴とする。
適用例15に記載のモジュール装置、又は発振回路は、本発明のSAWデバイスを用いているので小型で高性能なモジュール装置、又は発振回路を提供することができる。
以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1(a)は本発明に係るSAW共振子の平面図を示しており、圧電基板1上に正電極指と負電極指とがそれぞれ互いに間挿し合うIDT2と、該IDT2の両側にSAWを反射する為のグレーティング反射器3a、3bとを配置する。そして、前記IDT2の入出力パッド4a、4bとパッケージ6の入出力用端子とを金属ワイヤ5a、5bにより電気的に導通し、パッケージ6の開口部を蓋(リッド)で気密封止する。圧電基板1は、図14に示すように回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−50°回転した付近に設定し、SAWの伝搬方向を結晶X軸に対しほぼ垂直方向(90°±5°)にした水晶平板であって、励振するSAWはSH波である。なお、IDT2及びグレーティング反射器3a、3bの電極材料はAl又はAlを主成分とする合金である。また、図1(b)はIDT2の断面図を示しており、本実施例においてはIDT2上を励振するSAWの波長をλとした時に電極膜厚を波長で基準化した値H/λで表し、IDT2を構成する電極指の電極指幅L/(電極指幅L+電極指間のスペースS)をライン占有率mrとした時にmr=0.60としている。
本発明においては、従来の欠点を鑑みて電極膜厚H/λを従来より大きく設定することで、SAWを圧電基板表面に集中させて、グレーティング反射器によりSAWの反射を効率良く利用できるようにし、少ないIDT対数やグレーティング反射器本数でもSAWエネルギーをIDT内に閉じ込めるようにしてデバイスサイズの小型化を図った。
一般的にSAW共振子における最適設計とは、周波数温度特性が優れており、Qが高く且つ容量比γの小さいもの、即ち性能指数(Q/γ)が大きいことが重要である。ここで、本発明のSAW共振子の諸特性について調べた。図2は、図1に示すSAW共振子において、圧電基板1に−51°回転Yカット90°X伝搬水晶基板(オイラー角表示では(0°,39°,90°))を用い、共振周波数を315MHz、電極膜厚H/λを0.06、IDT2の対数を100対、グレーティング反射器3a、3bの本数を各々100本とした場合の共振子の諸特性を表している。図2(a)にQ値、性能指数、2次温度係数を、図2(b)に周波数温度特性を実際の試作結果に基づき示している。また、比較の為に、圧電基板のサイズを同じにしたSTカット水晶SAW共振子の諸特性を従来品として併記した。
図2より本発明のSAW共振子と従来のSTカット水晶SAW共振子とを比較すると、Q値が1.8倍強、性能指数が約2倍と大きい値が得られている。また、周波数温度特性については、頂点温度Tpは約+25℃が得られ、温度による周波数変動量は従来の約0.6倍程度に小さくなるという非常に優れた効果が確認された。
更に、本発明のSAW共振子はSTカット水晶SAW共振子よりも良好なQ値を保ちながら圧電基板のサイズを小型化できる。これは、本発明のSAW共振子の電極膜厚H/λの増加に対するIDT又はグレーティング反射器でのSAWの反射量の増加分が、STカット水晶SAW共振子と比較して著しく大きいことに起因する。即ち、本発明のSAW共振子は電極膜厚H/λを大きくすることで、STカット水晶SAW共振子よりも少ないIDT対数又はグレーティング反射器本数で高いQ値を実現可能である。
図3は本発明のSAW共振子における電極膜厚H/λとQ値の関係を示したものであり、共振子設計条件は前述と同等である。同図より、0.04<H/λ<0.12の範囲においてSTカット水晶SAW共振子のQ値(=15000)を上回る値が得られることが分かる。更に、0.05<H/λ<0.10の範囲に設定することにより20000以上もの高いQ値が得られる。
また、特公平01−034411号にある多対IDT型SAW共振子と本発明のSAW共振子のQ値を比較すると、特公平01−034411号で得られているQ値は共振周波数が207.561(MHz)における値であり、これを本実施例で適用している共振周波数315(MHz)に変換するとQ値は15000程度となり、STカット水晶SAW共振子とほぼ同等である。また、共振子のサイズを比較すると、特公平01−034411号の多対IDT型SAW共振子は800±200対もの対数が必要なのに対し、本発明ではIDTとグレーティング反射器の両方で200対分の大きさで十分であるので格段に小型化できる。従って、電極膜厚を0.04<H/λ<0.12の範囲に設定し、グレーティング反射器を設けて効率良くSAWを反射することで、特公平01−034411号に開示されている多対IDT型SAW共振子よりも小型で且つQ値が高いSAWデバイスを実現できる。
次に、図4は本発明のSAW共振子における電極膜厚H/λと2次温度係数の関係を示したものであり、共振子設計条件は前述と同等である。同図より、高いQ値が得られる0.04<H/λ<0.12の範囲においてSTカット水晶SAW共振子の2次温度係数−0.034(ppm/℃2)よりも良好な値が得られることが分かる。
以上より、電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12の範囲に設定することで、STカット水晶SAWデバイス及び特公平01−034411号に開示されているSAWデバイスよりも小型でQ値が高く、且つ周波数安定性に優れたSAWデバイスを提供できる。
また、これまでカット角θを−51°とした場合についてのみ示してきたが、本発明のSAW共振子においてはカット角θを変えても膜厚依存性は大きく変化せず、−51°から数度ずれたカット角においても電極膜厚を0.04<H/λ<0.12の範囲に設定することで、良好なQ値と2次温度係数が得られる。
ところで、本発明のSAW共振子は、非常に広い温度範囲では3次的な温度特性となるが、特定の狭い温度範囲では2次特性と見なすことができ、その頂点温度Tpは電極膜厚やカット角によって変化する。従って、いくら周波数温度特性が優れていても頂点温度Tpが使用温度範囲外となってしまうと周波数安定性は著しく劣化してしまうので、実用的な使用温度範囲(−50℃〜+125℃)において優れた周波数安定性を実現するには、2次温度係数だけでなく頂点温度Tpについても詳細に検討する必要がある。
図5(a)は、本発明のSAW共振子においてカット角θを−50.5°とした時の電極膜厚H/λと頂点温度Tpの関係を示している。同図から明らかなように、電極膜厚H/λを大きくすると頂点温度Tpは下がり、電極膜厚H/λと頂点温度Tpの関係は次の近似式で表わされる。
Tp(H/λ)=−41825×(H/λ)2+2855.4×(H/λ)−26.42 ・・・(1)
また、−50°近傍のカット角においても切片を除けばおおよそ(1)式が適用できる。
また、図5(b)は、本発明のSAW共振子において電極膜厚H/λを0.06とした時のカット角θと頂点温度Tpの関係を示している。同図から明らかなように、カット角θの絶対値を小さくすると頂点温度Tpは下がり、カット角θと頂点温度Tpの関係は次の近似式で表わされる。
Tp(θ)=−43.5372×θ−2197.14 ・・・(2)
式(1)及び式(2)から電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とした時に頂点温度Tpを実用的な使用温度範囲(−50〜+125℃)に設定するには、カット角θを−59.9°≦θ≦−48.9°の範囲に設定すれば良いことが分かる。
また、電極膜厚H/λとカット角θの双方を考慮する場合、頂点温度Tpは式(1)及び式(2)から次の近似式で表わされる。
Tp(H/λ,θ)=Tp(H/λ)+Tp(θ)=−41825×(H/λ)2+2855.4×(H/λ)−43.5372×θ−2223.56 ・・・(3)
式(3)より、頂点温度Tpを使用温度範囲(−50〜+125℃)に設定するには、次式で表される範囲に電極膜厚H/λ及びカット角θを設定すれば良い。
0.9613≦−18.498×(H/λ)2+1.2629×(H/λ)−0.019255×θ≦1.0387 ・・・(4)
このように、本発明ではカット角θが−59.9°≦θ≦−48.9°の範囲にある回転Yカット水晶基板を用い、SAWの伝搬方向がX軸に対してほぼ垂直方向として励振されるSH波を用い、IDTやグレーティング反射器の電極材料をAlまたはAlを主とした合金にて構成し、その電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とすることで、STカット水晶SAWデバイスより小型で、且つQ値が大きく、且つ周波数安定性の優れているSAWデバイスを実現できる。
ここで、より最適な条件について検討すると、電極膜厚H/λは図3よりQ値が20000以上得られる0.05<H/λ<0.10の範囲に設定するのが好ましい。また、頂点温度Tpをより実用的な使用温度範囲(0°〜+70℃)に設定する為には、カット角θは−55.7°≦θ≦−50.2°の範囲に設定するのが好ましく、更には、式(3)より得られる次式の範囲にカット角θ及び電極膜厚H/λを設定するのが好ましい。
0.9845≦−18.518×(H/λ)2+1.2643×(H/λ)−0.019277×θ≦1.0155 ・・・(5)
以上では、図5(a)のカット角θを−50.5°とした時の電極膜厚H/λと頂点温度Tpの関係、及び図5(b)の電極膜厚H/λを0.06とした時のカット角θと頂点温度Tpの関係から、頂点温度Tpが実用的な使用温度範囲に入るような電極膜厚H/λとカット角θの関係式を導き出したが、更にカット角θの範囲を広げて実験を行ったところ、より詳細な条件を見出すことができたので以下説明する。
図6は、前記SAW共振子において頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時の水晶基板のカット角θと電極膜厚H/λの関係を示しており、各Tp特性の近似式は以下の通りである。
Tp=−50(℃):H/λ≒−1.02586×10-4×θ3−1.73238×10-2×θ2−0.977607×θ−18.3420
Tp=0(℃):H/λ≒−9.87591×10-5×θ3−1.70304×10-2×θ2−0.981173×θ−18.7946
Tp=+70(℃):H/λ≒−1.44605×10-4×θ3−2.50690×10-2×θ2−1.45086×θ−27.9464
Tp=+125(℃):H/λ≒−1.34082×10-4×θ3−2.34969×10-2×θ2−1.37506×θ−26.7895
図6から、頂点温度Tp(℃)を実用的な範囲である−50≦Tp≦+125に設定するには、Tp=−50℃及びTp=+125℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−1.34082×10-4×θ3−2.34969×10-2×θ2−1.37506×θ−26.7895<H/λ<−1.02586×10-4×θ3−1.73238×10-2×θ2−0.977607×θ−18.3420となるようにカット角θ及び電極膜厚H/λを設定すれば良いことが分かる。また、この時の電極膜厚H/λの範囲は、従来のSTカット水晶デバイスより優れた特性が得られる0.04<H/λ<0.12とし、カット角θの範囲は図6の点Aから点Bに示す範囲の−64.0<θ<−49.3とする必要がある。
更に、より最適な条件について検討すると、頂点温度Tp(℃)はより実用的な使用温度範囲である0≦Tp≦+70に設定するのが望ましい。Tp(℃)を前述の範囲に設定するには、図6に示すTp=0℃及びTp=+70℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−1.44605×10-4×θ3−2.50690×10-2×θ2−1.45086×θ−27.9464<H/λ<−9.87591×10-5×θ3−1.70304×10-2×θ2−0.981173×θ−18.7946となるようにカット角θ及び電極膜厚H/λを設定すれば良い。また、電極膜厚H/λはQ値が20000以上得られる0.05<H/λ<0.10の範囲にするのが望ましく、電極膜厚を前述の範囲とし、頂点温度Tp(℃)を0≦Tp≦+70の範囲内に設定するには、カット角θを図6(a)の点Cから点Dに示す範囲の−61.4<θ<−51.1に設定する必要がある。
以上、詳細に検討した結果、カット角θが−64.0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°の範囲にある回転Yカット水晶基板を用い、SAWの伝搬方向がX軸に対してほぼ垂直方向として励振されるSH波を用い、IDTやグレーティング反射器の電極材料をAlまたはAlを主とした合金にて構成し、その電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10とすることで、STカット水晶SAWデバイスよりQ値が大きく優れた温度特性が得られると共に、頂点温度Tpを実用的な使用温度範囲内に設定できることを見出した。
ところで、これまでIDTのライン占有率mrを0.60と固定した時の例について説明してきたが、以下ではライン占有率を変数に含めた場合のTp特性について検討した。
図7は、電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrと頂点温度Tpの関係を示している。なお、縦軸は頂点温度Tp(℃)を、横軸は電極膜厚とライン占有率との積H/λ×mrを示しており、この時の水晶基板のカット角θは−51.5°としている。同図に示すように、電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの値を大きくする程、頂点温度Tpは下がることが分かる。
次に、図8は頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時の水晶基板のカット角θと電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係を示している。なお、各Tp特性の近似式は以下の通りである。
Tp=−50(℃):H/λ×mr≒−6.15517×10-5×θ3−1.03943×10-2×θ2−0.586564×θ−11.0052
Tp=0(℃):H/λ×mr≒−5.92554×10-5×θ3−1.02183×10-2×θ2−0.588704×θ−11.2768
Tp=+70(℃):H/λ×mr≒−8.67632×10-5×θ3−1.50414×10-2×θ2−0.870514×θ−16.7678
Tp=+125(℃):H/λ×mr≒−8.04489×10-5×θ3−1.40981×10-2×θ2−0.825038×θ−16.0737
図8から、頂点温度Tp(℃)を実用的な範囲である−50≦Tp≦+125に設定するには、Tp=−50℃及びTp=+125℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−8.04489×10-5×θ3−1.40981×10-2×θ2−0.825038×θ−16.0737<H/λ×mr<−6.15517×10-5×θ3−1.03943×10-2×θ2−0.586564×θ−11.0052となるようにカット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrを設定すれば良いことが分かる。また、この時の電極膜厚H/λの範囲は従来のSTカット水晶デバイスより優れた特性が得られる0.04<H/λ<0.12とし、カット角θの範囲は−64.0<θ<−49.3とする必要がある。
また、頂点温度Tp(℃)をより実用的な使用温度範囲である0≦Tp≦+70に設定するには、図8に示すTp=0℃及びTp=+70℃の曲線に囲まれた領域、即ち、−8.67632×10-5×θ3−1.50414×10-2×θ2−0.870514×θ−16.7678<H/λ×mr<−5.92554×10-5×θ3−1.02183×10-2×θ2−0.588704×θ−11.2768となるようにカット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrを設定すれば良い。また、この時の電極膜厚H/λはQ値が20000以上得られる0.05<H/λ<0.10とするのが望ましく、電極膜厚を前述の範囲とし、且つ、頂点温度Tp(℃)を0≦Tp≦+70の範囲内に設定するには、カット角θは−61.4<θ<−51.1とするのが望ましい。
これまで、図1に示すような1ポートのSAW共振子についてのみ言及してきたが、それ以外のSAWデバイスにおいても本発明を適用できる。以下、種々のSAWデバイスの構造について説明する。
図9は圧電基板31上にSAWの伝搬方向に沿ってIDT32、33を配置し、その両側にグレーティング反射器34a、34bを配置した2ポートSAW共振子を示しており、1ポートSAW共振子と同じく高いQ値を実現できる。
図10は、共振子フィルタの1つの方式としてSAW共振子の音響結合を利用した2重モードSAW(DMS)フィルタを示しており、(a)は圧電基板41上にSAW共振子42を伝搬方向に対して平行に近接配置した横結合型DMSフィルタ、(b)は圧電基板51上にIDT52からなるSAW共振子をSAWの伝搬方向に沿って配置した2ポートの縦結合型DMSフィルタである。前記横結合型DMSフィルタは伝搬方向に対し垂直方向の音響結合を利用し、前記縦結合型DMSフィルタは伝搬方向に対し水平方向の音響結合を利用している。これらDMSフィルタは平坦な通過帯域と良好な帯域外抑圧度が得られる特徴がある。なお、前記縦結合型DMSフィルタは、通過域近傍を高減衰にするためにSAW共振子を接続する場合がある。また、更に高次のモードを利用した多重モードSAWフィルタや、伝搬方向に対し垂直方向と水平方向の双方で音響結合させた多重モードSAWフィルタにも応用できる。
図11は、共振子フィルタの別の方式として、圧電基板61上に複数の1ポートSAW共振子62を直列、並列、直列と梯子(ラダー)状に配置してフィルタを構成したラダー型SAWフィルタを示している。ラダー型SAWフィルタは前記DMSフィルタと比較して通過域近傍の減衰傾度が急峻なフィルタ特性が得られる。
図12は、トランスバーサルSAWフィルタを示しており、(a)は圧電基板71上にSAWの伝搬方向に沿って入力用IDT72と出力用IDT73を所定の間隙をあけて配置したトランスバーサルSAWフィルタである。なお、前記IDT72、73は双方向にSAWを伝搬させる。また、入出力端子間の直達波の影響を防ぐためにシールド電極74を設けたり、基板端面からの不要な反射波を抑圧するために圧電基板71の両端に吸音材75を塗布する場合がある。トランスバーサルSAWフィルタは、振幅特性と位相特性を別々に設計可能であり、帯域外抑圧度が高いためIF用フィルタとして多用されている。
前記トランスバーサルSAWフィルタにおいて、SAWは伝搬方向に沿って左右に等しく伝搬するためフィルタの挿入損失が大きくなってしまうという問題がある。この問題を解決する手法として、図12(b)に示すように電極指配列や電極指幅を変化させることによりSAWの励振及び反射に重み付けを施してSAWの励振を一方向性にした所謂単相一方向性電極(Single Phase Uni-Directional Transducer:SPUDT)82、83を配置したトランスバーサルSAWフィルタがある。SAWの励振が一方向性となるので低損失なフィルタ特性が得られる。また、他の構造として、IDTの励振電極間にグレーティング反射器を配置した所謂反射バンク型トランスバーサルSAWフィルタ等がある。
以上の種々のSAWデバイスにおいて、圧電基板に回転Yカット水晶基板のカット角θを結晶Z軸より反時計方向に−64.0°<θ<−49.3°、好ましくは−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定し、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°した水晶平板を用い、電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12、好ましくは0.05<H/λ<0.10の範囲に設定すれば、本発明と同様な効果が得られることは明らかである。
また、上述のSAWデバイスにおいて、IDTやグレーティング反射器上にSiO2等の保護膜やAlを陽極酸化した保護膜等を形成したり、Al電極の上部あるいは下部に密着層あるいは耐電力向上等の目的で別の金属薄膜を形成した場合においても、本発明と同様の効果を得られることは明らかである。また、センサ装置やモジュール装置、発振回路等に本発明のSAWデバイスが適用できることは言うまでもない。また、電圧制御SAW発振器(VCSO)等に本発明のSAWデバイスを用いれば、容量比γを小さくできるので周波数可変幅を大きくとれる。
また、本発明のSAWデバイスは、図1に示すようなSAWチップとパッケージをワイヤボンディングした構造以外でも良く、SAWチップの電極パッドとパッケージの端子とを金属バンプで接続したフリップチップボンディング(FCB)構造や、配線基板上にSAWチップをフリップチップボンディングしSAWチップの周囲を樹脂封止したCSP(Chip Size Package)構造、或いは、SAWチップ上に金属膜や樹脂層を形成することによりパッケージや配線基板を不要としたWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)構造等にしても良い。更には、水晶デバイスを水晶又はガラス基板で挟んで積層封止したAQP(All Quartz Package)構造としても良い。前記AQP構造は、水晶又はガラス基板で挟んだだけの構造であるのでパッケージが不要で薄型化が可能であり、低融点ガラス封止や直接接合とすれば接着剤によるアウトガスが少なくなりエージング特性に優れた効果を奏する。
本発明に係るSAW共振子を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はIDTの断面図である。 本発明に係るSAW共振子と従来品の比較を示したものであり、(a)はQ値及び性能指数及び2次温度係数の比較を示す図、(b)は周波数温度特性の比較を示す図である。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λとQ値との関係を示す図である。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λと2次温度係数との関係を示す図である。 (a)は本発明に係るSAW共振子の電極膜厚H/λと頂点温度Tpの関係を示す図、(b)はカット角θと頂点温度Tpの関係を示す図である。 本発明に係るSAW共振子の頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時のカット角θと電極膜厚H/λの関係を示す図である。 本発明に係るSAW共振子の電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrと頂点温度Tpの関係を示す図である。 本発明に係るSAW共振子の頂点温度Tp(℃)がTp=−50,0,+70,+125である時のカット角θと電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係を示す図である。 本発明に係る2ポートSAW共振子を説明する図である。 本発明に係るDMSフィルタを説明する図であり、(a)は横結合型DMSフィルタを示す図、(b)は縦結合型DMSフィルタを示す図である。 本発明に係るラダー型SAWフィルタを説明する図である。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタを説明する図であり、(a)は双方向にSAWを励振させるIDTを配置したトランスバーサルSAWフィルタを示す図、(b)は一方向にSAWを励振させるIDTを配置したトランスバーサルSAWフィルタを示す図である。 従来のSTカット水晶SAW共振子を説明する図である。 (a)及び(b)は−50°回転Yカット90°X伝搬水晶基板を説明する図である。 従来の多対IDT型SAW共振子を説明する図である。
符号の説明
1 圧電基板
2 IDT、3a、3b グレーティング反射器、4a、4b 入出力用パッド、5a、5b 金属ワイヤ、6 パッケージ、31 圧電基板、32、33 IDT、34a、34b グレーティング反射器、41 圧電基板、42 SAW共振子、51 圧電基板、52 IDT、61 圧電基板、62 1ポートSAW共振子、71 圧電基板、72 入力用IDT、73 出力用IDT、74 シールド電極、75 吸音材、82、83 一方向性電極

Claims (15)

  1. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、
    前記圧電基板は、そのカット角θを結晶X軸を回転軸とした結晶Z軸の回転角度とし、結晶+Z軸から結晶+Y軸側へ回転させる方向を前記カット角θが負となる回転方向として、−64.0°<θ<−49.3°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板からなる回転Yカット水晶基板であり、
    励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.04<H/λ<0.12とし、
    前記IDTを構成する電極指の電極指幅/(電極指幅+電極指間のスペース)をライン占有率mrとした時に、カット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係が、−8.04489×10-5×θ3−1.40981×10-2×θ2−0.825038×θ−16.0737<H/λ×mr<−6.15517×10-5×θ3−1.03943×10-2×θ2−0.586564×θ−11.0052を満足していることを特徴とした弾性表面波デバイス。
  2. 圧電基板と、該圧電基板上に形成されAl又はAlを主成分とする合金からなるIDTとを備え、励振波をSH波とした弾性表面波デバイスであって、
    前記圧電基板は、そのカット角θを結晶X軸を回転軸とした結晶Z軸の回転角度とし、結晶+Z軸から結晶+Y軸側へ回転させる方向を前記カット角θが負となる回転方向として、−61.4°<θ<−51.1°の範囲に設定し、且つ、弾性表面波の伝搬方向を結晶X軸に対し90°±5°とした水晶平板からなる回転Yカット水晶基板であり、
    励振する弾性表面波の波長をλとした時、前記IDTの波長で基準化した電極膜厚H/λを0.05<H/λ<0.10とし、
    前記IDTを構成する電極指の電極指幅/(電極指幅+電極指間のスペース)をライン占有率mrとした時に、カット角θ及び電極膜厚とライン占有率の積H/λ×mrの関係が、−8.67632×10-5×θ3−1.50414×10-2×θ2−0.870514×θ−16.7678<H/λ×mr<−5.92554×10-5×θ3−1.02183×10-2×θ2−0.588704×θ−11.2768を満足していることを特徴とした弾性表面波デバイス。
  3. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上にIDTを少なくとも1個配置した1ポートの弾性表面波共振子であることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  4. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDTを少なくとも2個配置した2ポートの弾性表面波共振子であることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  5. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に対して複数個の弾性表面波共振子を平行に近接配置した横結合型多重モードフィルタであることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  6. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板の弾性表面波の伝搬方向に沿って複数個のIDTからなる2ポートの弾性表面波共振子を配置した縦結合型多重モードフィルタであることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  7. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に複数個の弾性表面波共振子を梯子状に接続したラダー型弾性表面波フィルタあることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  8. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に弾性表面波を双方向に伝搬させるIDTを所定の間隔を空けて複数個配置したトランスバーサルSAWフィルタであることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  9. 前記弾性表面波デバイスは、前記圧電基板上に弾性表面波を一方向に伝搬させるIDTを少なくとも1つ配置したトランスバーサルSAWフィルタであることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  10. 前記弾性表面波デバイスは、弾性表面波センサであることを特徴とした請求項1乃至2のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  11. 前記弾性表面波デバイスは、IDTの両側にグレーティング反射器を有することを特徴とした請求項1乃至10のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  12. 少なくともIDT上に保護膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  13. 前記保護膜がSiO2であることを特徴とする請求項12に記載の弾性表面波デバイス。
  14. 前記保護膜がAlを陽極酸化したものであることを特徴とする請求項12に記載の弾性表面波デバイス。
  15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の弾性表面波デバイスを用いたモジュール装置、又は発振回路。
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