JP3087588U - 磁気テープ装置の回転駆動装置 - Google Patents

磁気テープ装置の回転駆動装置

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JP3087588U JP2002000337U JP2002000337U JP3087588U JP 3087588 U JP3087588 U JP 3087588U JP 2002000337 U JP2002000337 U JP 2002000337U JP 2002000337 U JP2002000337 U JP 2002000337U JP 3087588 U JP3087588 U JP 3087588U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成の変更が少なくしかも再生画質の劣化を
伴わずに高速早送り及び巻き戻しが可能である磁気テー
プ装置の回転駆動装置を提供する。 【解決手段】 キャプスタンモータ4から供給リール2
または巻き取りリール3へ回転を伝達する経路に、クラ
ッチ機構6と変速クラッチ機構20とを選択的に配置可
能である。クラッチ機構6は、モータからの回転を切換
歯車に第1の減速比で減速して伝達する。変速クラッチ
機構20は、第1伝達軸11、プーリ歯車21、一定値
トルク伝達部23、変速出力歯車24、変速用中間歯車
26、変速用可動歯車27を有する。変速用中間歯車2
6及び変速用可動歯車27は、第1伝達軸に近接した第
2伝達軸25に配置されており、プーリ歯車21の回転
を一定値トルク伝達部23を介してあるいは直接かつ変
速して変速出力歯車24に伝達する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、磁気テープ装置の回転駆動装置、特に早送り及び巻き戻しが可能な 磁気テープ装置の回転駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープ装置は、磁気テープの再生終了時や映像の選択のために早送りや巻 き戻しが頻繁に行われる。このような早送りや巻き戻しの際には、通常のテープ 走行速度に比べて速く磁気テープを走行させる必要がある。 そこで、モータからリールへの回転伝達経路の減速比を小さく設定し、リール の回転速度を速めることが考えられる。しかし、この減速比をあまり小さく設定 すると、通常再生時にモータを非常に低速回転させることとなる。このため、再 生時におけるリールの回転安定性が悪くなり、再生画像に乱れが生じたり、画質 の劣化が生じるおそれがある。
【0003】 このため、高速の早送り及び巻き戻しが可能な磁気テープ装置は、例えば特開 平5−274749号公報に記載されているように、再生時と異なる伝達経路に よりモータからリールへの回転伝達を行うような機構を備えている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
高速の早送り及び巻き戻しを可能とするために、再生時と別の回転伝達経路を 備えた磁気テープ装置では、別の回転伝達経路を構成するために部品が増えたり 、特別な構成となるために汎用性に欠ける。また、高速巻き戻しに必要な部品を 設けるための空間が必要になることもあるため、省スペース化に反することにな る。
【0005】 本考案の課題は、特に構成を大きく変更することなく、しかも再生画質の劣化 を伴うことなく高速早送り及び巻き戻しが可能な磁気テープ装置の回転駆動装置 を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の磁気テープ装置の回転駆動装置は、モータからの回転を、ク ラッチ機構に伝達し、クラッチ機構から回転伝達経路切換用の切換歯車を介して 回転を供給リール又は巻き取りリールに選択的に伝達するための磁気テープ装置 の回転駆動装置である。クラッチ機構として、第1クラッチ機構と第2クラッチ 機構とを選択的に配置可能である。第1クラッチ機構は、モータからの回転を切 換歯車に第1の減速比で減速して伝達する。また、第1クラッチ機構は、第1軸 、第1プーリ、第1クラッチ出力歯車、第1一定値トルク伝達部、及びクラッチ 部を有する。第1プーリは、第1軸に回転自在に支持されたモータからの回転が 伝達される。第1クラッチ出力歯車は、第1軸に回転自在に支持され切換歯車に 噛み合う。第1一定値トルク伝達部は、第1プーリと第1クラッチ出力歯車との 間に設けられ第1プーリからの所定値未満のトルクを伝達する。クラッチ部は、 第1プーリの回転を第1一定値トルク伝達部を介してあるいは直接に第1クラッ チ出力歯車に伝達する。一方、第2クラッチ機構は、モータからの回転を切換歯 車に第2の減速比で減速して伝達する。第2クラッチ機構は、第2軸、第2プー リ、第2クラッチ出力歯車、第2一定値トルク伝達部、及び変速クラッチ部を有 する。第2プーリは、第2軸に回転自在に支持される。第2クラッチ出力歯車は 、第2軸に回転自在に支持され切換歯車に噛み合う。第2一定値トルク伝達部は 、第2プーリと第2クラッチ出力歯車との間に設けられ、第2プーリからの所定 値未満のトルクを伝達する。変速クラッチ部は、第2軸に近接して配置されてお り、第2プーリの回転を第2一定値トルク伝達部を介してあるいは直接かつ変速 して第2クラッチ出力歯車に伝達する。
【0007】 ここでは、回転伝達経路のクラッチ機構として、第1クラッチ機構と第2クラ ッチ機構とを選択的に配置できる。第1クラッチ機構とは異なり、第2クラッチ 機構では、モータからの回転を変速して伝達することが可能となる。すなわち、 第2クラッチ機構を用いることにより、例えば早送り及び巻き戻しの際に変速を 行うことで、第1クラッチ機構に比べて高速な早送り及び巻き戻しを実現できる 。また逆に、早送り及び巻き戻しの際において変速を行うため、再生時には低速 に安定してリールを回転させることが可能となる。また、この磁気テープ装置の 回転駆動装置は、クラッチ機構以外の構成を共通化できるため、生産時の量産効 率が向上し、安価に生産することが可能となる。
【0008】 請求項2に記載の磁気テープの回転駆動装置は、請求項1に記載の磁気テープ の回転駆動装置であって、第1クラッチ機構のクラッチ部は、第1軸に回転自在 で、かつ第1プーリに係合及び離脱可能なように軸方向に移動自在に支持され、 第1プーリから離脱した状態で第1プーリの回転を第1一定値トルク伝達部を介 して第1クラッチ出力歯車に伝達し、第1プーリに係合した状態で第1プーリの 回転をクラッチ出力歯車に直接伝達する。
【0009】 ここでは、クラッチ部が第1プーリに係合及び離脱可能となっている。クラッ チ部が第1プーリから離脱している場合には、第1一定値トルク伝達部により第 1プーリの回転を第1クラッチ出力歯車に伝達することになるため、所定値未満 のトルクのみが伝達されることになる。よって、モータから急激なトルクが伝達 された場合に、第1クラッチ出力歯車に伝達されることを避けることができる。 これにより、磁気テープに急激な張力が掛かり断裂するおそれを抑えられる。一 方、早送り及び巻き戻しの際にクラッチ部を第1プーリに係合させると、モータ の回転を全て伝達することができる。
【0010】 請求項3に記載の磁気テープ装置の回転駆動装置は、請求項1または2に記載 の磁気テープ装置の回転駆動装置であって、第2クラッチ機構の第2プーリは、 外周部に歯車部を有している。また、第2クラッチ機構は、第2プーリの回転が 第2一定値トルク伝達部を介して伝達される伝達歯車を有しており、さらに第2 クラッチ機構の変速クラッチ部は、変速用支持軸、変速用中間歯車、及びクラッ チを有している。変速用支持軸は、第2軸に平行に配置されている。変速用中間 歯車は、変速用支持軸に回転自在に支持され第2プーリの歯車部と噛み合う。ク ラッチは、変速用支持軸に回転自在でかつ変速用中間歯車に係合及び離脱可能な ように軸方向に移動自在に支持されている。また、クラッチは、伝達歯車に噛み 合い可能な第1歯車部及び第2クラッチ出力歯車に噛み合い可能な第2歯車部を 有する。さらに、クラッチは、変速用中間歯車から離脱した状態では伝達歯車か らの回転を第1歯車部及び第2歯車部を介して変速して第2クラッチ出力歯車に 伝達し、変速用中間歯車に係合した状態では変速用中間歯車の回転を第2歯車部 を介して第2クラッチ出力歯車に伝達する。なお、第1歯車部と第2歯車部とは 、歯数が同じであり且つ変速用中間歯車よりも多く、伝達歯車と第2クラッチ出 力歯車とは、歯数が同じであり且つ第2プーリの歯車部よりも少ない。
【0011】 ここでは、クラッチが変速用中間歯車に係合及び離脱可能となっている。クラ ッチが変速用中間歯車から離脱している場合には、第2一定値トルク伝達部によ り第2プーリの回転を第2クラッチ出力歯車に出力することができる。第2一定 値トルク伝達部により第2プーリの回転を第2クラッチ出力歯車に伝達すること になるため、所定値未満のトルクのみが伝達されることになる。よって、モータ から急激なトルクが伝達された場合に、第2クラッチ出力歯車に伝達されること を避けることができる。これにより、磁気テープに急激な張力が掛かり断裂する おそれを抑えられる。具体的な伝達経路としては、モータの回転が第2プーリ、 第2一定値トルク伝達部、伝達歯車、クラッチ(第1歯車部、第2歯車部)、第 2クラッチ出力歯車を経て切替歯車へ伝達される経路である。
【0012】 一方、早送り及び巻き戻しの際にクラッチを変速用中間歯車に係合させると、 モータの回転を全て伝達することができる。また、このときには、第2プーリの 回転を変速して第2クラッチ出力歯車に伝達するので、高速に早送り及び巻き戻 しを行うことが可能となる。すなわち、具体的な伝達経路としては、モータの回 転が第2プーリ、変速用中間歯車、クラッチ(第2歯車部)、第2クラッチ出力 歯車を経て切替歯車へ伝達されている。このため、クラッチが変速用中間歯車に 係合しない場合と比べて、伝達経路における歯数の違いから減速比が異なってお り、変速されていることになる。
【0013】 以上により、再生時などリールを低速に回転させる際における減速比と早送り 及び巻き戻しなどリールを高速に回転させる際における減速比とを変えることが できるため、リールを低速に安定して回転させることと高速に回転させることと を両立することができる。 請求項4に記載の磁気テープ装置の回転駆動装置は、モータからの回転を、ク ラッチ機構に伝達し、クラッチ機構から回転伝達経路切換用の切換歯車を介して 回転を供給リール又は巻き取りリールに選択的に伝達するための磁気テープ装置 の回転駆動装置である。クラッチ機構は、第1軸、プーリ、伝達歯車、一定値ト ルク伝達部、変速出力歯車、第2軸、変速用中間歯車、及びクラッチを有してい る。プーリは、第1軸に回転自在に支持され、外周部に歯車部を有し、モータか らの回転が伝達される。伝達歯車は、第1軸に回転自在に支持されている。一定 値トルク伝達部は、プーリからの所定値未満のトルクを伝達歯車に伝達する。変 速出力歯車は、第1軸に回転自在に支持され切換歯車に噛み合う。第2軸は、第 1軸に平行に配置される。変速用中間歯車は、第2軸に回転自在に支持されプー リの歯車部と噛み合う。クラッチは、伝達歯車に噛み合い可能な第1歯車部及び 第2軸に移動自在かつ回転自在に支持されるとともに変速出力歯車に噛み合い可 能な第2歯車部を有している。また、クラッチは、変速用中間歯車から離脱して 伝達歯車からの回転を第1歯車部及び第2歯車部を介して変速出力歯車に伝達す る第1位置と、変速用中間歯車に係合して変速用中間歯車の回転を第2歯車部を 介して変速出力歯車に伝達する第2位置とを取り得る。
【0014】 ここでは、クラッチが変速用中間歯車に係合及び離脱可能となっている。クラ ッチが変速用中間歯車から離脱している場合、すなわち第1位置にある場合には 、一定値トルク伝達部によりプーリの回転をクラッチ出力歯車に出力することが できる。一定値トルク伝達部によりプーリの回転をクラッチ出力歯車に伝達する ことになるため、所定値未満のトルクのみが伝達されることになる。よって、モ ータから急激なトルクが伝達された場合に、クラッチ出力歯車に伝達されること を避けることができる。これにより、磁気テープに急激な張力が掛かり断裂する おそれを抑えられる。具体的な伝達経路としては、モータの回転がプーリ、一定 値トルク伝達部、伝達歯車、クラッチ(第1歯車部、第2歯車部)、クラッチ出 力歯車を経て切替歯車へ伝達される経路である。
【0015】 一方、早送り及び巻き戻しの際にクラッチを変速用中間歯車に係合させる、す なわち第2位置にある場合には、モータの回転を全て伝達することができる。ま た、このときには、プーリの回転を変速してクラッチ出力歯車に伝達するので、 高速に早送り及び巻き戻しを行うことが可能となる。すなわち、具体的な伝達経 路としては、モータの回転がプーリ、変速用中間歯車、クラッチ(第2歯車部) 、クラッチ出力歯車を経て切替歯車へ伝達されている。このため、クラッチが変 速用中間歯車に係合しない場合と比べて、伝達経路における歯数の違いから減速 比が異なっており、変速されていることになる。
【0016】 以上により、再生時などリールを低速に回転させる際における減速比と早送り 及び巻き戻しなどリールを高速に回転させる際における減速比とを変えることが できるため、リールを低速に安定して回転させることと高速に回転させることと を両立することができる。 また、クラッチ機構の構成を簡易にして、変速を有さないクラッチ機構を配す ることにより、早送り及び巻き戻しが遅い代わりにより安価である回転駆動機構 を製造することが可能となる。
【0017】
【考案の実施の形態】
本考案の一実施形態による磁気テープ装置の回転駆動装置を図1及び図2に示 す。図1に示す装置は、早送り及び巻き戻しにおいて90倍速を実現するための 装置であり、図2は、同様に300倍速を実現するための装置である。これらの 装置は一部の部品を交換するだけで実現が可能となっている。まず図1の装置に 関して説明を行い、続いて図2の装置に関しては、図1の装置との相違点につい てのみ説明を行う。
【0018】 <図1の磁気テープ装置の全体構成> 磁気テープ装置は、磁気テープ1を供給リール2から巻き取りリール3へ供給 し、図示しない磁気ヘッドにより画像音声信号を磁気データとして磁気テープ1 に記録再生する装置である。図1及び図2においては、ほぼ全ての磁気テープ1 が巻き取りリール3に巻き取られている状態を示している。
【0019】 供給リール2及び巻き取りリール3は、回転駆動装置によって駆動させられる ようになっている。回転駆動装置は、駆動源としてのキャプスタンモータ4を有 するとともに、キャプスタンモータ4の回転を各リールに伝達するためのベルト 5、クラッチ機構6、アイドラ歯車7、センサ歯車8、及び中間歯車9を有して いる。
【0020】 ベルト5はキャプスタンモータ4に設けられたプーリとクラッチ機構6に設け られたプーリとの間に掛け渡されている。 クラッチ機構6は、キャプスタンモータ4からの回転をアイドラ歯車7に伝達 するための機構であり、詳細は後述する。 アイドラ歯車7は、クラッチ機構6の回転軸(後記する第1伝達軸11)を支 点とする首振部10により回動可能であり、クラッチ機構6からの回転を、巻き 取りリール3へ伝達するか、供給リール2へ伝達するかの選択を行うための歯車 である。すなわち、アイドラ歯車7と供給リール2側に設けられた歯車とが噛み 合う場合は、アイドラ歯車7から供給リール2へ回転が伝達される。これにより 、供給リール2が回転し、磁気テープ1の巻き戻しが行われる。一方、アイドラ 歯車7とセンサ歯車8とが噛み合う場合には、アイドラ歯車7からセンサ歯車8 へ回転が伝達される。
【0021】 センサ歯車8は、アイドラ歯車7及び中間歯車9に噛み合っている歯車である 。センサ歯車8の上下には、図示しない光学センサが設けられている。この光学 センサがセンサ歯車8に開けられているスリットを通る光量の変化を検知するこ とにより、センサ歯車8の回転の有無を検知することができる。アイドラ歯車7 からの回転は中間歯車9へと伝えられる。
【0022】 中間歯車9は、センサ歯車8から伝達される回転を巻き取りリール3へと伝達 するための歯車である。中間歯車9により、巻き取りリール3とキャプスタンモ ータ4との回転方向が同一方向になる。これにより、巻き取りリール3が回転す ることにより、磁気テープ1を正転させて再生や早送りを行うことができる。 上述したようなリール駆動のトルク伝達経路により、キャプスタンモータ4か ら供給リール2又は巻き取りリール3へとトルクが伝達される。
【0023】 <図1のクラッチ機構の構成> 図3にクラッチ機構6及びアイドラ歯車7の側面模式図を示す。クラッチ機構 6は、第1伝達軸11、プーリ12、伝達部13、可動クラッチ14、及び一定 トルク伝達部15からなる。 プーリ12は、第1伝達軸11に回転自在に支持されており、キャプスタンモ ータ4側のプーリとの間にベルト5が掛けられることにより、キャプスタンモー タ4からのトルクを受けて回転する。また、プーリ12の上面には固定爪16が 形成されている。
【0024】 伝達部13は、プーリ12と対向して配置されたプレート部13aと、プレー ト部13aの中央部から上方に延びる筒状のハブ13bと、ハブ13bの上端部 に設けられアイドラ歯車7と噛み合う歯車部13cとを有している。そして、ハ ブ13bの中央部を第1伝達軸11が挿通しており、この伝達部13は第1伝達 軸11に対して回転自在に支持されている。
【0025】 可動クラッチ14は、伝達部13の歯車部13cに設けられており、歯車部1 3cに対して相対回転自在にかつ軸方向移動自在に支持されている。また、この 可動クラッチ14はその下面に下方に突出する可動爪17を有している。ここで は、可動クラッチ14が下方向へ移動し、その可動爪17がプーリ12の固定爪 16とが噛合することにより(図3に示す状態)、プーリ12からの回転を歯車 部13cへ直接伝達することができる。
【0026】 なお、可動クラッチ14は、図示されないスプリングによりプーリ12と離れ るように付勢されている。また、可動クラッチ14にはクラッチレバー18が係 合しており、このクラッチレバー18により可動クラッチ14を下方へ移動させ 、可動クラッチ14の可動爪17をプーリ12の固定爪16に噛合させることが 可能である。
【0027】 一定トルク伝達部15は、プーリ12から伝達部13へ一定値未満のトルクを 伝達するものであり、磁気テープ装置の再生時(可動爪17とプーリ12の固定 爪16とが噛合していない状態)におけるトルク伝達手段として用いられる。こ の一定トルク伝達部15は、環状の摩擦部材であり、プーリ12と伝達部13の プレート部13aとの間に一定の圧接力で挟持されている。ここでは、通常再生 時において一定値以上のトルクがプーリ12に加わると、この一定トルク伝達部 15で滑りが生じ、過大なトルクがリールに伝達するのを防止し、磁気テープ1 の破損などの事故を予防することができる。なお、磁気テープ1の早回しや巻き 戻しなどにより大きなトルクを伝達する必要がある場合には、固定爪16と可動 爪17とを噛み合わせることにより、キャプスタンモータ4の大きなトルクを供 給リール2及び巻き取りリール3に伝達することができる。
【0028】 <図1の磁気テープ装置の動作> まず、磁気テープ1の再生を行う場合を説明する。 再生を行う場合は、アイドラ歯車7がセンサ歯車8と噛合するように首振部1 0が移動する。また、可動クラッチ14は図示しないスプリングによって上方に 移動させられており、可動クラッチ14の可動爪17はプーリ12の固定爪16 から離れている。このような状態で、キャプスタンモータ4が時計回りに回転す る。キャプスタンモータ4の回転は、ベルト5、プーリ12、一定トルク伝達部 15、伝達部13、アイドラ歯車7、センサ歯車8、及び中間歯車9を経て巻き 取りリール3に伝達される。なお、キャプスタンモータ4は、巻き取りリール3 が磁気テープ1の再生に適切な回転速度となるように駆動される。
【0029】 磁気テープ1の早送りを行う場合には、首振部10の位置は前記再生時と同様 の位置に移動している。また、クラッチレバー18により可動クラッチ14が下 方に移動され、可動爪17が固定爪16に噛合する。これにより、キャプスタン モータ4からの回転は、ベルト5を介してプーリ12に伝達され、さらにプーリ 12からの回転は一定トルク伝達部15を介することなく伝達部13に直接伝達 される。この伝達部13以降は再生時と同様の経路を経て回転が伝達される。キ ャプスタンモータ4は、早送りに適切な回転速度となるように駆動される。
【0030】 一方、磁気テープの巻き戻しを行う場合には、アイドラ歯車7が供給リール2 側の歯車と噛合するように首振部10が移動される。また、クラッチレバー18 により固定爪16と可動爪17とが噛合する。このような状態で、キャプスタン モータ4が反時計回りに回転する。これにより、キャプスタンモータ4の回転は 、ベルト5、プーリ12、可動クラッチ14、伝達部13の歯車部13c、アイ ドラ歯車7を経て供給リール2に伝達される。キャプスタンモータ4は、巻き戻 しに適切な回転速度となるように駆動される。
【0031】 この装置における早送り及び巻き戻しの際の減速比i(90)は、キャプスタ ンモータ4に装着されたプーリの径を20mm、プーリ12の径を33mmとし 、伝達部13の歯車部13c及びアイドラ歯車7のピッチ円径を17mm、供給 リール2側又は巻き取りリール3側の歯車のピッチ円径を36mmとすると、 i(90)=(20/33)×(17/36)=0.286 となる。
【0032】 <図2の磁気テープ装置の全体構成> 図2の装置は、早送り及び巻き戻しにおける300倍速を実現するために、図 1の磁気テープ装置におけるクラッチ機構6が変速クラッチ機構20に変更され ている。 <図2の変速クラッチ機構の構成> 変速クラッチ機構20は、第1伝達軸11、プーリ歯車21、伝達部22、一 定トルク伝達部23、変速出力歯車24、第2伝達軸25、変速用中間歯車26 、及び変速用可動歯車27からなる。この変速クラッチ機構20は、供給リール 2と巻き取りリール3との間に配置されている。
【0033】 プーリ歯車21は、第1伝達軸11に回転自在に支持されており、キャプスタ ンモータ4側のプーリとの間にベルト5が掛け渡されたプーリ部21aと、プー リ部21aの上方に形成された歯車部21bとを有している。 伝達部22は、プーリ部21aと対向して配置されたプレート部22aと、プ レート部22aの中央部から上方に延びる筒状のハブ22bと、ハブ22bの上 端部に設けられた伝達歯車部22cとを有している。そして、ハブ22bの中央 部を第1伝達軸11が挿通しており、この伝達部22は第1伝達軸11に対して 回転自在に支持されている。
【0034】 一定トルク伝達部23は、一定トルク伝達部15と同様の構成であり、磁気テ ープ装置の再生時における伝達手段として用いられ、摩擦部材からなる。 変速出力歯車24は、第1伝達軸11に回転自在に設けられており、アイドラ 歯車7と噛合している。また、変速出力歯車24は、伝達歯車部22cと同じ歯 数を有している。
【0035】 第2伝達軸25は、第1伝達軸11の近傍側方に第1伝達軸11と平行に設け られている。 変速用中間歯車26は、第2伝達軸25の下端部に回転自在に設けられており 、プーリ歯車21の歯車部21bに噛み合っている。また、変速用中間歯車26 の上面には嵌合用の凹部28が形成されている。
【0036】 変速用可動歯車27は、変速用中間歯車26の上方において第2伝達軸25に 回転自在に設けられており、さらに第2伝達軸25の軸方向に移動可能である。 変速用可動歯車27は、下端部に伝達歯車部22cと噛み合い可能な第1歯車2 9を有し、上端部に変速出力歯車24と噛み合い可能な第2歯車30を有してい る。第1歯車29と第2歯車30の歯数は同じである。さらに、変速用可動歯車 27は、下端部に、下方に突出する可動爪31を有しており、下方に移動した場 合には、この可動爪31が変速用中間歯車26の嵌合用の凹部28に嵌合可能と なっている。ここでは、可動爪31が凹部28に嵌合すると、変速用中間歯車2 6と変速用可動歯車27とが連動し、これにより減速比を変更することが可能で ある。
【0037】 なお、変速用可動歯車27は、図示されないスプリングにより変速用中間歯車 26と離反するように付勢されており、図4(a)に示すように、通常の状態で は、上方に移動して、第1歯車29と伝達歯車部22cとが噛み合い、かつ第2 歯車30と変速出力歯車24とが噛み合っている。一方、変速用可動歯車27に は、クラッチレバー32が係合しており、図4(b)に示すように、クラッチレ バー32によって、変速用可動歯車27を下方に移動させ、その可動爪31を変 速用中間歯車26の凹部28に係合させることができるようになっている。
【0038】 <図2の磁気テープ装置の動作> 磁気テープ1の再生を行う場合を説明する。 再生を行う場合は、アイドラ歯車7がセンサ歯車8と噛合するように首振部1 0が移動する。また、変速用可動歯車27は図示しないスプリングによって上方 に移動させられており、変速用可動歯車27の可動爪31はプーリ歯車21の凹 部28から離れている。このような状態で、キャプスタンモータ4が時計回りに 回転する。キャプスタンモータ4の回転は、ベルト5、プーリ歯車21、一定ト ルク伝達部23、伝達部22、変速用可動歯車27(第1歯車29、第2歯車3 0)、変速出力歯車24、アイドラ歯車7、センサ歯車8、及び中間歯車9を経 て巻き取りリール3に伝達される。なお、キャプスタンモータ4は、巻き取りリ ール3が磁気テープ1の再生に適切な回転速度となるように駆動される。
【0039】 磁気テープ1の早送りを行う場合には、首振部10の位置は前記再生時と同様 の位置に移動している。また、クラッチレバー32により変速用可動歯車27が 下方に移動され、可動爪31が凹部28に噛合する。これにより、キャプスタン モータ4からの回転は、ベルト5を介してプーリ歯車21に伝達される。さらに プーリ歯車21からの回転は、一定トルク伝達部23を介することなく、歯車部 21bを経て変速用中間歯車26に伝達され、さらに変速用可動歯車27に伝達 される。その後、変速用可動歯車27の第2歯車30から変速出力歯車24を経 て、再生時と同様の経路を経て回転が伝達される。キャプスタンモータ4は、早 送りに適切な回転速度となるように駆動される。
【0040】 一方、磁気テープの巻き戻しを行う場合には、アイドラ歯車7が供給リール2 側の歯車と噛合するように首振部10が移動される。また、クラッチレバー32 により変速用可動歯車27が下方に移動され、可動爪31が凹部28に噛合する 。このような状態で、キャプスタンモータ4が反時計回りに回転する。これによ り、キャプスタンモータ4の回転は、ベルト5、プーリ歯車21、変速用中間歯 車26、変速用可動歯車27の第2歯車30、変速出力歯車24、アイドラ歯車 7を経て供給リール2に伝達される。キャプスタンモータ4は、巻き戻しに適切 な回転速度となるように駆動される。
【0041】 この装置における早送り及び巻き戻しの際の減速比i(300)は、キャプス タンモータ4に装着されたプーリの径を20mm、プーリ歯車21の径を33m mとし、プーリ歯車21の歯車部21bのピッチ円径を28mm、変速用中間歯 車26のピッチ円径を12mm、変速用可動歯車27の第1歯車29及び第2歯 車30のピッチ円径を23mm、変速出力歯車24及びアイドラ歯車7のピッチ 円径を17mm、供給リール2側又は巻き取りリール3側の歯車のピッチ円径を 36mmとすると、 i(300)=(20/33)×(28/12)×(23/17)×(17/ 36)=0.903 となる。一方、再生時における減速比i(P)は、伝達部22の伝達歯車部22 cのピッチ円径を17mmとすると同様に i(P)=(20/33)×(17/23)×(23/17)×(17/36 )=0.286 となる。
【0042】 <実施形態の効果> 本実施形態にかかる磁気テープ装置では、図1の装置におけるクラッチ機構6 と、図2の装置における変速クラッチ機構20とを変更することにより、他の部 分を変更することなく、90倍速の装置と300倍速の装置とを容易に実現する ことができる。
【0043】 なお、300倍速の装置を実現するための変速クラッチ機構20では、第2伝 達軸25及びそれに回転自在に支持された部品が必要になるが、これらの部品は 、供給リール2と巻き取りリール3との間に配置されるので、コンパクト化の妨 げになることはない。 <他の実施例> 本実施形態にかかる磁気テープ装置では、第2伝達軸25に2つの歯車部材( 変速用中間歯車26及び変速用可動歯車27)が設けられている。しかし、これ らを一体化しても良い。
【0044】
【考案の効果】
本考案に掛かる磁気テープの回転駆動装置は、回転伝達経路のクラッチ機構と して、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とを選択的に配置できる。第1クラ ッチ機構とは異なり、第2クラッチ機構では、モータからの回転を変速して伝達 することが可能となる。これにより、早送り及び巻き戻しの際に変速を行うこと で、第1クラッチ機構に比べて高速な早送り及び巻き戻しを実現できる。また逆 に、早送り及び巻き戻しの際において変速を行うため、再生時には低速に安定し てリールを回転させることが可能となる。また、この磁気テープ装置の回転駆動 装置は、クラッチ機構以外の構成を共通化できるため、生産時の量産効率が向上 し、安価に生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチ機構を備える磁気テープ装置のリール
駆動のトルク伝達経路。
【図2】変速クラッチ機構を備える磁気テープ装置のリ
ール駆動のトルク伝達経路。
【図3】クラッチ機構及びアイドラ歯車の側面模式図。
【図4】変速クラッチ機構及びアイドラ歯車の側面模式
図。
【符号の説明】 1 磁気テープ 2 供給リール 3 巻き取りリール 4 キャプスタンモータ 6 クラッチ機構 7 アイドラ歯車 10 首振部 11 第1伝達軸 12 プーリ 13 伝達部 13c歯車部 14 可動クラッチ 15 一定トルク伝達部 16 固定爪 17 可動爪 18 クラッチレバー 20 変速クラッチ機構 21 プーリ歯車 21b歯車部 22 伝達部 22c伝達歯車部 23 一定トルク伝達部 24 変速出力歯車 25 第2伝達軸 26 変速用中間歯車 27 変速用可動歯車 28 凹部 29 第1歯車 30 第2歯車 31 可動爪 32 クラッチレバー

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータからの回転を、クラッチ機構に伝達
    し、前記クラッチ機構から回転伝達経路切換用の切換歯
    車を介して前記回転を供給リール又は巻き取りリールに
    選択的に伝達するための磁気テープ装置の回転駆動装置
    において、 前記クラッチ機構は、前記モータからの回転を前記切換
    歯車に第1の減速比で減速して伝達する第1クラッチ機
    構と、前記モータからの回転を前記切換歯車に第2の減
    速比で減速して伝達する第2クラッチ機構とを選択的に
    配置可能であり、 前記第1クラッチ機構は、第1軸と、前記第1軸に回転
    自在に支持された前記モータからの回転が伝達される第
    1プーリと、前記第1軸に回転自在に支持され前記切換
    歯車に噛み合う第1クラッチ出力歯車と、前記第1プー
    リと前記第1クラッチ出力歯車との間に設けられ前記第
    1プーリからの所定値未満のトルクを伝達する第1一定
    値トルク伝達部と、前記第1プーリの回転を第1一定値
    トルク伝達部を介してあるいは直接に前記第1クラッチ
    出力歯車に伝達するクラッチ部とを有し、 前記第2クラッチ機構は、第2軸と、前記第2軸に回転
    自在に支持された第2プーリと、前記第2軸に回転自在
    に支持され前記切換歯車に噛み合う第2クラッチ出力歯
    車と、前記第2プーリと前記第2クラッチ出力歯車との
    間に設けられ前記第2プーリからの所定値未満のトルク
    を伝達する第2一定値トルク伝達部と、前記第2軸に近
    接して配置され前記第2プーリの回転を前記第2一定値
    トルク伝達部を介してあるいは直接かつ変速して前記第
    2クラッチ出力歯車に伝達する変速クラッチ部とを有し
    ている、磁気テープの回転駆動装置。
  2. 【請求項2】前記第1クラッチ機構のクラッチ部は、前
    記第1軸に回転自在で、かつ前記第1プーリに係合及び
    離脱可能なように軸方向に移動自在に支持され、前記第
    1プーリから離脱した状態で前記第1プーリの回転を前
    記第1一定値トルク伝達部を介して前記第1クラッチ出
    力歯車に伝達し、前記第1プーリに係合した状態で前記
    第1プーリの回転を前記クラッチ出力歯車に直接伝達す
    るものである、請求項1に記載の磁気テープの回転駆動
    装置。
  3. 【請求項3】前記第2クラッチ機構の第2プーリは外周
    部に歯車部を有し、 前記第2クラッチ機構は、前記第2プーリの回転が前記
    第2一定値トルク伝達部を介して伝達される伝達歯車を
    有し、 前記第2クラッチ機構の変速クラッチ部は、 前記第2軸に平行に配置された変速用支持軸と、 前記変速用支持軸に回転自在に支持され前記第2プーリ
    の歯車部と噛み合う変速用中間歯車と、 前記変速用支持軸に回転自在でかつ前記変速用中間歯車
    に係合及び離脱可能なように軸方向に移動自在に支持さ
    れており、前記伝達歯車に噛み合い可能な第1歯車部及
    び前記第2クラッチ出力歯車に噛み合い可能な第2歯車
    部を有し、前記変速用中間歯車から離脱した状態では前
    記伝達歯車からの回転を前記第1歯車部及び前記第2歯
    車部を介して前記第2クラッチ出力歯車に伝達し、前記
    変速用中間歯車に係合した状態では前記変速用中間歯車
    の回転を前記第2歯車部を介して変速して前記第2クラ
    ッチ出力歯車に伝達するクラッチと、を有しており、 前記第1歯車部と前記第2歯車部とは、歯数が同じであ
    り且つ前記変速用中間歯車よりも多く、 前記伝達歯車と前記第2クラッチ出力歯車とは、歯数が
    同じであり且つ前記第2プーリの前記歯車部よりも少な
    い、請求項1または2に記載の磁気テープ装置の回転駆
    動装置。
  4. 【請求項4】モータからの回転を、クラッチ機構に伝達
    し、前記クラッチ機構から回転伝達経路切換用の切換歯
    車を介して前記回転を供給リール又は巻き取りリールに
    選択的に伝達するための磁気テープ装置の回転駆動装置
    において、 前記クラッチ機構は、 第1軸と、 前記第1軸に回転自在に支持され、外周部に歯車部を有
    し、前記モータからの回転が伝達されるプーリと、 前記第1軸に回転自在に支持された伝達歯車と、 前記プーリからの所定値未満のトルクを前記伝達歯車に
    伝達する一定値トルク伝達部と、 前記第1軸に回転自在に支持され前記切換歯車に噛み合
    う変速出力歯車と、 前記第1軸に平行に配置された第2軸と、 前記第2軸に回転自在に支持され前記プーリの歯車部と
    噛み合う変速用中間歯車と、 前記伝達歯車に噛み合い可能な第1歯車部及び前記第2
    軸に移動自在かつ回転自在に支持されるとともに前記変
    速出力歯車に噛み合い可能な第2歯車部を有しており、
    前記変速用中間歯車から離脱して前記伝達歯車からの回
    転を前記第1歯車部及び第2歯車部を介して前記変速出
    力歯車に伝達する第1位置と前記変速用中間歯車に係合
    して前記変速用中間歯車の回転を前記第2歯車部を介し
    て前記変速出力歯車に伝達する第2位置とを取り得るク
    ラッチと、を有している、磁気テープ装置の回転駆動装
    置。
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