JP3082624B2 - 静電チャックの使用方法 - Google Patents

静電チャックの使用方法

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JP3082624B2 JP18283695A JP18283695A JP3082624B2 JP 3082624 B2 JP3082624 B2 JP 3082624B2 JP 18283695 A JP18283695 A JP 18283695A JP 18283695 A JP18283695 A JP 18283695A JP 3082624 B2 JP3082624 B2 JP 3082624B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウエハ等の半導体素子
基板の試料を吸着保持する試料台に用いられる静電チャ
ックの使用方法に関し、特にプラズマ処理装置内の試料
台に用いられる静電チャックの使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エッチング装置やCVD装置等におい
て、半導体素子基板を処理室内に保持するために試料台
部分に静電チャックが多く用いられている。
【0003】いわゆる単極型の静電チャックは、導電体
と、導電体上の試料の吸着面を被覆する絶縁体と、導電
体と試料との間に直流電圧を印加する手段とから構成さ
れる。導電体と試料との間に所定の直流電圧を印加する
ことにより、両者間にクーロン力を生ぜしめて、試料を
導電体上に吸着し保持することができる。
【0004】この試料を吸着保持する際に試料に電荷を
供給し、脱離の際に試料に蓄積した電荷を除電する方法
として、イジェクターピンを介して試料を接地する方法
が提案されている。例えば、ウエハ脱離時にウエハを接
地し除電するもの(特開平4−253356号公報)、
ウエハ吸着時にウエハを接地し電荷を供給し、ウエハ脱
離時にウエハを接地し除電するもの(特開平5−226
292号公報)である。
【0005】図6は、イジェクターピンを介して試料に
電荷を供給し、また試料に蓄積した電荷を除電する従来
の静電チャックを備えたプラズマ処理装置の模式的断面
図である。静電チャック11はアルミニウムの導電体1
2をアルミナの絶縁膜13で被覆して構成され、基台1
4上に配設されている。導電体12に直流電圧を印加す
る直流電源27がスイッチ26を介して接続されてい
る。スイッチ26と直流電源27との間には、直流電源
27を保護するフィルタ(図示せず)が接続されてい
る。導電体12内には冷却経路(図示せず)が設けら
れ、静電チャック11を介してウエハ1を冷却できる。
【0006】静電チャック11及び基台14には、上面
から下面に貫通する4つの孔(図6では2つのみ図示)
が設けられ、イジェクターピン16を挿通可能としてい
る。
【0007】イジェクターピン16はイジェクターピン
昇降板17に固定され、シャフト21が底板15の孔を
挿通する。シャフト21の下端に連結されたエアシリン
ダ23の駆動により、イジェクターピン16は昇降す
る。シャフト21と底板15の間隙にはスライドガイド
24が嵌着され、底板15の下面からシャフト21の封
止板22にかけてベローズ25が環装されており、処理
室51内を真空封止している。イジェクターピン16、
イジェクターピン昇降板17およびシャフト21はSU
S316等の導電性の金属で形成され、イジェクターピ
ン16をスイッチ30により接地できる。
【0008】導電体12は下部電極を兼ねており、スイ
ッチ28を介して高周波電源29が接続されている。ス
イッチ28と高周波電源29との間には、直流電流遮断
のためのコンデンサ(図示せず)と高周波の整合をとる
整合器(図示せず)が接続されている。また、静電チャ
ック11の外周部はアルミナ等のシールド部材46で被
覆されている。
【0009】静電チャック11の上方には、上部電極4
1がシールド部材42で支持されている。上部電極41
は接地されている。上部電極41はアルミニウム等の導
電体で、シールド部材42はアルミナ等の絶縁体で作製
される。処理室壁43はアルミニウム等の金属で作製さ
れ、接地されている。プロセスガスはプロセスガス供給
路44から処理室51に導入され、排気ポンプ(図示せ
ず)によって排気路45から排気される。
【0010】このプラズマ処理装置において、ウエハ1
にプラズマ処理を施す場合について説明する。
【0011】搬送アーム(図示せず)によってウエハ1
を静電チャック11上に搬送する。
【0012】予めイジェクターピン16はスイッチ30
をオンにして接地されている。イジェクターピン16を
上昇させ、ウエハ1をイジェクターピン16で押し上げ
て、搬送アームを抜き取る。スイッチ26をオンにして
導電体12に直流電圧を印加し、またイジェクターピン
16を下降させてウエハ1を静電チャック11上に載置
する。イジェクターピン16を介してウエハ1に電荷が
供給されて、クーロン力によってウエハ1が静電チャッ
ク11に吸着保持される。
【0013】処理室51にプロセスガスを供給し、所定
の圧力に設定する。イジェクターピン16をさらに下降
させた後、スイッチ30をオフにしてイジェクターピン
16を接地していない(フローティング)の状態とす
る。スイッチ28をオンにして高周波電源29から下部
電極である導電体12に高周波電力を印加する。プロセ
スガスがプラズマ化され、ウエハ1にプラズマ処理が施
される。このとき個々のイジェクターピン16はウエハ
1の裏面から離れた位置にある。所定のプラズマ処理終
了後、高周波電力の印加を止める。
【0014】ウエハ1を脱離するとき、スイッチ26を
オフにして導電体12に直流電圧を印加することを止
め、またスイッチ30をオンにしてイジェクターピン1
6を介してウエハ1を接地する。ウエハ1に蓄積されて
いた電荷が除電され、ウエハ1の静電チャック11への
吸着力が減少する。イジェクターピン16を上昇させウ
エハ1を押し上げ、静電チャック11から脱離させる。
搬送アーム(図示せず)によって、ウエハ1を処理室5
1から搬出する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記の構成の静電チャ
ックにおいては、ウエハの吸着および脱離を確実に速や
かに行うためには、静電チャック上にウエハを載置した
状態でイジェクターピンをウエハの裏面に正確に接触さ
せる必要がある。
【0016】しかしながら、このイジェクターピンの昇
降の位置制御が困難であるという問題があった。また、
ウエハを支持するためには、少なくとも3つ以上のイジ
ェクターピンが必要である。したがって、静電チャック
上にウエハを載置するときは4点以上の支持となり、ウ
エハの裏面にイジェクターピンを全て接触させることは
幾何学的にも困難である。このため、イジェクターピン
がウエハの裏面に正確に接触せず、特にウエハの脱離の
とき、ウエハの電荷の除電に時間がかかっていた。
【0017】また、プラズマ処理の際には、ウエハ裏面
とイジェクターピンとの隙間で放電が発生する場合があ
った。これはイジェクターピンが接地されていない(フ
ローテイング)状態の場合にも生じていた。このため、
この放電により、(1)ウエハが局部的に温度上昇す
る、(2)静電チャックの絶縁膜が破壊する、(3)イ
ジェクターピンの先端に絶縁物が付着し導電性が低下し
て吸着および脱離に要する時間が長くなるという問題が
あった。
【0018】本発明は、上記の問題点の解決を課題とし
てなされたものであり、イジェクターピンを容易に確実
にウエハの裏面に接触させ、ウエハの吸着および脱離を
確実に速やかに行うことができる静電チャックの使用方
を提供することを目的としている。
【0019】即ち、ウエハ裏面とイジェクターピンとの
隙間での放電を防止してこれに起因する上記の種々の問
題を解決できる静電チャックの使用方法を提供すること
を目的としている。
【0020】また、プラズマ処理中にウエハの裏面にイ
ジェクターピンを接触させた状態にしておくとチャージ
アップダメージが生じるおそれがあることがわかった。
【0021】本発明は、さらにプラズマ処理を施すとき
試料上の絶縁膜にチャージアップダメージを与えない静
電チャックの使用方法を提供することを目的としてい
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明方法で使用する静電チャック(以下、便宜的に
「本発明の静電チャック」という)は、図1に示すよう
に、イジェクターピン16とイジェクターピンを昇降す
る手段(シャフト21、エアシリンダ23等)とイジェ
クターピンを接地する手段(接地するスイッチ30)と
を備えた静電チャックにおいて、イジェクターピン16
とイジェクターピンを昇降する手段との間に、個々のイ
ジェクターピンの昇降緩衝機構(バネ20等)を備えた
ことを特徴としている。
【0023】また、本発明の静電チャックの使用方法
は、図2(c)に示すように、試料(ウエハ1)にプラ
ズマ処理を施すときには、全てのイジェクターピン16
を接地しない状態で試料(ウエハ1)に接触させておく
ことを特徴としている。
【0024】さらに、チャージアップダメージの問題を
解決する本発明の静電チャックの使用方法は、図3
(d)に示すように、試料(ウエハ1)にプラズマ処理
を施すときには、全てのイジェクターピン16を接地し
ない状態で、かつ、イジェクターピン16と試料(ウエ
ハ1)との間で放電が起きない範囲内、即ち、0.6mm
以内の間隔で試料(ウエハ1)から離しておくことを特
徴としている。
【0025】
【作用】本発明の静電チャックは、イジェクターピンと
イジェクターピンを昇降する手段との間に、個々のイジ
ェクターピンの昇降緩衝機構を備えている。こうするこ
とにより、イジェクターピンを昇降する手段の位置制御
を所定の範囲で行えば、個々のイジェクターピンをウエ
ハの裏面に接触させて、ウエハを静電チャック上に載置
できる。このため、イジェクターピンを昇降する手段に
高精度の制御機構を設けなくとも、容易に確実にウエハ
の裏面に接触させることができ、ウエハの吸着および脱
離を確実に速やかに行うことができる。
【0026】また、プラズマ処理を施すとき、全てのイ
ジェクターピンを接地しない状態で、ウエハに接触させ
ておく。こうすることにより、ウエハとイジェクターピ
ン間の電位差がなくなるため、この部分での放電を抑え
ることができる。その結果、この放電に起因する種々の
問題を解決できる。
【0027】さらに、本発明者は、ウエハ裏面とイジェ
クターピンとの隙間の放電が隙間の間隔に依存してお
り、隙間の間隔を所定の範囲内(即ち、0.6mm以内)
とすることにより、放電を抑制できることを発見した。
【0028】また、プラズマ処理を施すとき、ウエハ裏
面とイジェクターピンとを接触させないことにより、ウ
エハ上の絶縁膜へのチャージアップダメージを抑制でき
ることを発見した。プラズマ処理中にウエハの裏面にイ
ジェクターピンを接触させておくと、イジェクターピン
が負荷抵抗、負荷容量となって、正のチャージがイジェ
クターピン接触位置近傍で大きくなるために、チャージ
アップダメージが生じるのである。
【0029】すなわち、プラズマ処理を施すとき、全て
のイジェクターピンをイジェクターピンとウエハとの間
で放電を起きない範囲内でウエハから離しておくことに
より、ウエハ上の絶縁膜へのチャージアップダメージを
抑制できる。
【0030】
【実施例】本発明の静電チャックの実施例を図面に基づ
いて説明する。
【0031】図1は本発明の静電チャックを備えたプラ
ズマ処理装置の模式的断面図である。以下では、図6の
従来の静電チャックを備えたプラズマ処理装置に対する
変更部分のみを説明する。
【0032】図6の従来の静電チャックでは、イジェク
ターピン16はイジェクターピン昇降板17を介して直
接シャフト21に接続されていた。これに対して、本実
施例では、イジェクターピン16はイジェクターピンボ
ックス19及びその内部に設けられたバネ20からなる
イジェクターピンの昇降緩衝機構を介してシャフト21
に接続されている。
【0033】イジェクターピンボックス19は、イジェ
クターピン16及びバネ20が設置される空間19cを
有するステンレス鋼(JIS−SUS316)製のボッ
クス基部19bとポリイミド製のボックス蓋部19aと
からなる。個々のイジェクターピン16は個々のイジェ
クターピン昇降板18に固定されている。イジェクター
ピン昇降板18とイジェクターピンボックス19は、ボ
ックス空間19c内に設置された個々のバネ18を介し
て接続されている。このバネ20の伸縮によって、個々
のイジェクターピン16の昇降がシャフト21の昇降に
対して緩衝されるのである。本実施例では、バネ20と
してステンレス鋼製の圧縮バネ(コイル)を用いた。
【0034】イジェクターピン16は、スイッチ30を
オンにすることにより、イジェクターピン昇降板18、
バネ20、ボックス基部19b、シャフト21を介して
接地できる。
【0035】本発明の静電チャックの使用方法の実施例
について、図1および図2に基づき説明する。
【0036】本実施例のイジェクターピン16の昇降の
基準点について説明する。イジェクターピン16の昇降
はイジェクターピンボックス19の下面の位置を基準と
した。これがUP位置のときを、イジェクターピン16
の上昇位置、これがDOWN位置のときを、イジェクタ
ーピン16の下降位置とした。
【0037】DOWN位置の位置の決め方について説明
する。ウエハ1をイジェクターピン16上に載置したと
き個々のバネ20が縮む長さをL2とし、ウエハ1をイ
ジェクターピン16上に載置しないときイジェクターピ
ン16が静電チャック11のウエハ載置面から突出する
長さをL1とする。DOWN位置は、L2に対してL1
が小さくなる位置として決めれば良い。本実施例ではL
1を0.5mm、L2を1.0mmとした。
【0038】本実施例のウエハの搬送、吸着、プラズマ
処理および脱離の方法について説明する。
【0039】待機状態ではイジェクターピンボックス1
9の下面がDOWN位置にある。イジェクターピン16
は静電チャック11からL1だけ先端を突出した状態で
待機する(図2a)。
【0040】搬送アーム(図示せず)によってウエハ1
を静電チャック11上に搬送する。
【0041】イジェクターピンボックス19の下面をU
P位置まで上昇させる。ウエハ1をイジェクターピン1
6で押し上げて、搬送アームを抜き取る。バネ20はウ
エハの荷重によりL2だけ縮んだ状態でウエハ1を保持
する(図2b)。
【0042】イジェクターピンボックス19の下面をD
OWN位置まで下降させる。イジェクターピン16が下
降し、ウエハ1を静電チャック11上に載置する。この
イジェクターピンの下降時に、スイッチ26をオンにし
て導電体12に直流電圧を印加する。予めスイッチ30
をオンにしてイジェクターピン16は接地されており、
イジェクターピン16を介してウエハ1に電荷が供給さ
れる。こうしてウエハ1はクーロン力によって静電チャ
ック11上に吸着される。L1<L2であるのでバネ2
0の伸張によって、個々のイジェクターピン16は、ウ
エハ裏面と確実に接触する。(図2c) 処理室51にプロセスガスを供給し、所定の圧力に設定
する。スイッチ30をオフにしてイジェクターピン16
を接地していない(フローティング)状態とする。スイ
ッチ28をオンにして高周波電源29から下部電極を兼
ねている導電体12に高周波電力を印加する。プロセス
ガスがプラズマ化され、ウエハ1にプラズマ処理が施さ
れる。所定の時間後、高周波電力の印加を止めプラズマ
処理を終える。
【0043】ウエハ1を脱離するとき、スイッチ26を
オフにして導電体12に直流電圧の印加を止め、スイッ
チ30をオンにしてイジェクターピン16を接地する。
ウエハ1上の電荷はイジェクターピン16を介して除電
され、静電チャックの吸着力が失われる。
【0044】イジェクターピンボックス19の下面をU
P位置に上昇させる。ウエハ1をイジェクターピン16
で押し上げて、静電チャック11から脱離させる(図2
b)。
【0045】搬送アーム(図示せず)によって、ウエハ
1を処理室41から搬出する。イジェクターピンボック
ス19の下面をDOWN位置まで下降させる。イジェク
ターピン16が下降し、イジェクターピン16が静電チ
ャック11からL1だけ先端を突出した状態で待機する
状態に戻る(図2a)。
【0046】これを繰り返すことにより、ウエハの処理
を続けることができる。
【0047】本実施例では、イジェクターピンを昇降す
る手段の位置制御の制御幅に、バネがウエハの荷重によ
って縮む長さL2の幅がある。すなわち、1.0mmの
幅があるので、L1を0.5mmとすることにより、イ
ジェクターピンをウエハの裏面に確実に接触させること
ができた。
【0048】この結果、従来に比べてイジェクターピン
の昇降の位置制御を容易にでき、ウエハの吸着および脱
離を確実に速やかに行うことができた。また、ウエハ裏
面とイジェクターピンとの隙間での放電を抑えることが
できた。
【0049】本発明の静電チャックの使用方法の別の実
施例について、図1および図3に基づき説明する。
【0050】本実施例のイジェクターピン16の昇降の
基準点について説明する。先の実施例のUP位置および
DOWN位置に加えて、DOWN2位置を設けた。
【0051】このDOWN2位置は、イジェクターピン
ボックス19の下面をDOWN位置からさらに下げ、個
々のバネ20が伸びた状態で、ウエハ1の裏面とイジェ
クターピン16との隙間L3が放電を生じない間隔とな
るように決めれば良い。本実施例ではL3を0.5mm
とした。L1およびL2は先の実施例と同じく0.5m
mおよび1.0mmとした。
【0052】本実施例のウエハの搬送、吸着、プラズマ
処理および脱離の方法について説明する。本実施例では
プラズマ処理のときのみ、先の実施例と異なる。
【0053】待機状態では、イジェクターピンボックス
19の下面がDOWN位置にある。
【0054】イジェクターピン16が静電チャック11
からL1だけ先端を突出した状態で待機する(図3
a)。
【0055】搬送アーム(図示せず)によってウエハ1
を静電チャック11上に搬送する。
【0056】イジェクターピンボックス19の下面をU
P位置まで上昇させる。ウエハ1をイジェクターピン1
6で押し上げ、搬送アームを抜き取る。バネ20はウエ
ハの荷重によりL2だけ縮んだ状態でウエハ1を保持す
る(図3b)。
【0057】イジェクターピンボックス19の下面をD
OWN位置まで下降させる。イジェクターピン16が下
降し、ウエハ1を静電チャック11上に載置する。この
イジェクターピンの下降時に、スイッチ26をオンにし
て導電体12に直流電圧を印加する。予め、スイッチ3
0をオンにしてイジェクターピン16は接地されてお
り、イジェクターピン16を介してウエハ1に電荷が供
給される。こうして、ウエハ1はクーロン力によって静
電チャック11上に吸着される。L1<L2であるので
バネ20の伸張によって、個々のイジェクターピン16
は、ウエハ裏面と確実に接触する(図3c)。
【0058】処理室51にプロセスガスを供給し、所定
の圧力に設定する。イジェクターピンボックス19の下
面をDOWN2位置まで下降させる。イジェクターピン
16がさらに下降し、ウエハ1の裏面とL3の間隔だけ
離れる(図3d)。
【0059】スイッチ30をオフにしてイジェクターピ
ン16を接地していない(フローティング)状態とす
る。スイッチ28をオンにして高周波電源29から下部
電極でもある導電体12に高周波電力を印加する。プロ
セスガスがプラズマ化され、ウエハ1にプラズマ処理が
施される。所定の時間後、高周波電力の印加を止めてプ
ラズマ処理を終える。
【0060】ウエハ1を脱離するとき、イジェクターピ
ンボックス19の下面をDOWN位置まで上昇させる。
スイッチ26をオフにして導電体12に直流電圧の印加
を止めた後、イジェクターピン16を上昇させて、ウエ
ハ1の裏面に接触させる。スイッチ30をオンにしてイ
ジェクターピン16を接地する。ウエハ1上の電荷はイ
ジェクターピン16を介して除電され、静電チャックの
吸着力が失われる(図3c)。
【0061】イジェクターピンボックス19の下面をU
P位置に上昇させる。ウエハ1をイジェクターピン16
で押し上げ、静電チャック11から脱離させる(図3
b)。
【0062】搬送アーム(図示せず)によって、ウエハ
1を処理室41から搬出する。イジェクターピンボック
ス19の下面をDOWN位置まで下降させる。イジェク
ターピン16が下降し、イジェクターピン16が静電チ
ャック11からL1だけ先端を突出した状態で待機する
状態に戻る(図3a)。
【0063】これを繰り返すことにより、ウエハの処理
を続けることができる。
【0064】本実施例においては、プラズマ処理時にウ
エハ裏面とイジェクターピンとの隙間を所定の範囲とす
ることにより、ウエハ裏面とイジェクターピンとの隙間
での放電を抑制できた。本実施例の静電チャックにおい
ては、隙間を0.6mm以下とした場合に放電がほぼ抑
制されることを確認した。
【0065】上述のプラズマ処理時にウエハの裏面にイ
ジェクターピンを確実に接触させておく方法と、プラズ
マ処理時にウエハの裏面とイジェクターピンを所定の距
離(0.5mm)だけ離しておく方法について、チャー
ジアップダメージの評価を行った。
【0066】チャージアップダメージの評価にはアンテ
ナMOS(Metal-Oxide-Semiconductor )を用いた。図
4はこの評価に用いたアンテナMOSの模式図である。
61はp型(100)シリコンウエハ、62はシリコン
酸化膜(SiO2 )のゲート絶縁膜、63はシリコン熱
酸化膜(SiO2 )のフィールド絶縁膜、64はポリシ
リコン( poly-Si)のゲート電極である。アンテナ比
は64万倍、ゲート絶縁膜の膜厚は8nmである。
【0067】このアンテナMOSが形成されたウエハ上
にシリコン酸化膜(SiO2 )成膜し、これを図1の静
電チャックを備えたプラズマ処理装置によりエッチバッ
クし、ウエハ上のアンテナMOSの耐圧良品率を評価し
た。評価は、ウエハの裏面とイジェクターピン接触させ
た条件と、ウエハの裏面とイジェクターピンを所定の距
離(0.5mm)だけ離した条件について行った。シリ
コン酸化膜はLPCVD法により250nmの厚さ成膜
した。エッチバックの条件は以下の通りである。Ar:
400sccm、CF4 :20sccm、CHF3 :3
0sccm、圧力:250mTorr、高周波の周波
数:13.56MHz、高周波パワー:800W、電極
間距離:11mm。
【0068】図5は、アンテナMOSの耐圧良品率を示
す図である。本発明例1はウエハの裏面とイジェクター
ピンを接触させた状態でエッチバックを行ったものであ
り、本発明例2はウエハの裏面とイジェクターピンを所
定の距離(0.5mm)だけ離した状態でエッチバック
を行ったものである。
【0069】本発明例2のアンテナMOSの耐圧良品率
が向上している。ウエハの裏面とイジェクターピンを所
定の距離(0.5mm)だけ離した状態でプラズマ処理
を行うことにより、絶縁膜に対するチャージアップダメ
ージを低減できた。
【0070】なお、上述した実施例においては、ウエハ
の吸着時および脱離時ともに、イジェクターピンを介し
てウエハへの電荷の供給およびウエハからの除電を行っ
たが、Arガス等の不活性ガスのプラズマ照射によるウ
エハへの電荷の供給およびウエハからの除電を併用して
も良いことは言うまでもない。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の静電チャッ
クの使用方法においては、イジェクターピンの昇降の位
置制御を容易にすることができ、ウエハの吸着および脱
離を確実に速やかに行うことができる。
【0072】プラズマ処理時には確実にイジェクターピ
ンをウエハの裏面に接触させることにより、ウエハ裏面
とイジェクターピンとの隙間での放電を抑えることがで
き、この放電に起因する種々の問題を解決することがで
きる。
【0073】また、プラズマ処理時にウエハの裏面とイ
ジェクターピンを所定の間隔だけ離しておくことによ
り、さらにチャージアップダメージも低減することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックを用いたプラズマ処理装
置を示した模式的断面図である。
【図2】本発明の静電チャックの使用方法を説明する模
式的断面図である。
【図3】本発明の静電チャックの別の使用方法を説明す
る模式的断面図である。
【図4】チャージアップダメージの評価に用いたアンテ
ナMOSの模式図である。
【図5】アンテナMOSの耐圧良品率を示す図である。
【図6】従来の静電チャックを用いたプラズマ処理装置
を示した模式的断面図である。
【符号の説明】
1 ウエハ 11 静電チャック 12 導電体 13 絶縁膜 16 イジェクターピン 17 イジェクターピン昇降板 18 イジェクターピン昇降板 19 イジェクターピンボックス 20 バネ 21 シャフト 23 エアシリンダ 26 スイッチ 27 直流電源 30 スイッチ 41 上部電極 43 処理室壁 51 処理室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−326180(JP,A) 特開 平7−7072(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/68 B23Q 3/15 H01L 21/205 H01L 21/3065

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イジェクターピンとイジェクターピンを昇
    降する手段とイジェクターピンを接地する手段とを備え
    た静電チャックであって、イジェクターピンとイジェク
    ターピンを昇降する手段との間に、個々のイジェクター
    ピンの昇降緩衝機構を備えた静電チャックを使用し、
    料にプラズマ処理を施すとき、全てのイジェクターピン
    を接地しない状態で試料に接触させておくことを特徴と
    する静電チャックの使用方法。
  2. 【請求項2】イジェクターピンとイジェクターピンを昇
    降する手段とイジェクターピンを接地する手段とを備え
    た静電チャックであって、イジェクターピンとイジェク
    ターピンを昇降する手段との間に、個々のイジェクター
    ピンの昇降緩衝機構を備えた静電チャックを使用し、
    料にプラズマ処理を施すとき、全てのイジェクターピン
    を接地しない状態でその先端と試料裏面との間隔が0.
    6mm以下となるように試料から離しておくことを特徴と
    する静電チャックの使用方法。
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