JP3081405B2 - 銀付調人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

銀付調人工皮革およびその製造方法

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JP3081405B2 JP05074995A JP7499593A JP3081405B2 JP 3081405 B2 JP3081405 B2 JP 3081405B2 JP 05074995 A JP05074995 A JP 05074995A JP 7499593 A JP7499593 A JP 7499593A JP 3081405 B2 JP3081405 B2 JP 3081405B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通気性、透湿性などの
機能性を有し、かつ従来の欠点であった面平滑性、防汚
性、耐摩耗性などを改良した銀付調人工皮革とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維質と高分子弾性体とからなる
人工皮革は、皮革の代替物として靴アッパー材、靴副材
料、衣料材料などの用途に多く使用され、現在ではこれ
らの用途には無くてはならない材料となっている。これ
らの人工皮革は、これらの表面形態により、スェードタ
イプ、ヌバックタイプ、および銀付タイプに大別され
る。この中で、スェードタイプおよびヌバックタイプ
は、通気性、透湿性の高いものが得られるが、銀付タイ
プは表面が無孔の仕上用合成樹脂で構成されているた
め、その通気性、透湿性は満足されるものになっていな
いのが現状である。特に、靴アッパー材や衣料などに使
用される場合は、着用時の「蒸れ感」が大きく、市場か
ら改善が望まれている。
【0003】これらの問題を解決するために、銀付タイ
プの人工皮革の表面に、機械的に針で穴を開けて通気性
を付与し、着用時の「蒸れ感」を軽減しようとする試み
がなされているが、この場合には針穴の径が大きすぎて
着用時に穴の中に汚れが入り込み、外観上の欠点を生じ
させる、あるいは穴が開いているにもかかわらず、充分
な透湿度が得られず目的を達成していないなど、満足で
きるものにはなっていない。
【0004】また、繊維質と高分子弾性体とが混在する
表面に仕上ポリウレタンの被膜を形成させ、不連続被膜
の性格を利用したものも提案されているが、やはり穴
(亀裂)の径が大きすぎるため汚れる原因となる上、繊
維肌が隠蔽できず平滑な気品のある外観が得られない、
あるいは多孔質ポリウレタン層が無いため耐摩耗強度に
劣るなどの欠点があるため満足されるものにはなってい
ない。
【0005】さらに、特開昭59−116479号公報
には、繊維または繊維と高分子重合体とが混在する表面
に銀面を形成させ気孔を形成させる方法が提案されてい
る。しかしながら、この方法は、銀面層が繊維質に直接
形成されているため、伸長時に繊維肌が直接形成されて
いるため伸長時に繊維肌が出現しやすい、あるいは多孔
質のポリウレタン層が無いためクッション性が劣る、摩
耗強度が劣るなどの欠点を有し、靴用途などには満足さ
れるものにはなっていないのが現状である。
【0006】さらに、特開平3−79643号公報に
は、仕上ポリウレタン被膜をW/Oエマルジョンから多
孔質被膜として形成し、通気、透湿性を有する人工皮革
を製造する方法が提案されている。しかしながら、この
方法は、最表面の仕上ポリウレタン被膜が多孔質である
ため、その機械的強度は無孔質ポリウレタン被膜に比べ
て弱く、耐摩耗性に欠陥がある。また、湿式多孔質ポリ
ウレタン層の表面に安定的に開放孔が形成されているこ
とが前提条件であり、この方法については工業的に完成
されているとは言えない。さらに、W/Oエマルジョン
の取り扱いには、ポットライフ、延展性などの面で制約
条件が多く、高度な技術が要求され、現段階で工業的に
実施されていない。さらに、ポリウレタン樹脂をこのW
/Oエマルジョン方法で多孔膜として成型しようとする
と、溶剤蒸発乾燥時での収縮が大きく、一旦多孔質とし
て形成されたものが充実化し、多孔制御には環境条件の
制約が多い。このような制約を回避するのに特開平3−
90684号公報にみられるように、ポリアミノ酸を主
体とした方法も提案されているが、工業的に製造されて
いるものの価格が高く経済的には不利である。
【0007】さらに、特開平3−140320号公報に
は、ポリアミノ酸ウレタンを相分離凝固核剤の併用で多
孔質仕上被膜として形成し、通気性を有する人工皮革を
製造する方法が提案されている。しかしながら、この方
法も、先に述べたように最表面の仕上ポリウレタン被膜
が多孔質であるため、その機械的強度は無孔質ポリウレ
タン被膜に比べて弱く、耐摩耗性に欠陥があること、あ
るいは湿式多孔質ポリウレタン層の表面に安定的に開放
孔が形成されなければならないことなど課題点が多い。
また、ポリアミノ酸ウレタンは、価格が高く経済的な面
においても不利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、靴、
衣料用途などに使用、着用された場合に、「蒸れ感」が
少なく、かつ汚れにくく、平滑な気品のある面外観と耐
摩耗性を兼ね備えた新規の銀付調の人工皮革を安価に提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維質、ある
いは繊維質と高分子弾性体とからなる基体(イ)の片面
に、厚さが50μm〜300μmの連通多孔質ポリウレ
タン層(ロ)が形成され、その表面に、仕上ポリウレタ
ン被膜(ハ)が形成されてなる銀付調人工皮革におい
て、表面に0.5μm〜35μmの径の開放孔が1cm
2 当たり200個以上存在し、仕上ポリウレタン被膜
(ハ)がその開放孔の孔壁を覆い、連通多孔質ポリウレ
タン層(ロ)内まで達するように形成され、通気度が
0.5リットル/cm2 ・hr以上、透湿度が6mg/
cm2 ・hr以上である銀付調人工皮革である。
【0010】また、本発明は、繊維質、あるいは繊維質
と高分子弾性体とからなる基体(イ)の片面に、厚さが
50μm〜300μmの湿式法による連通多孔質ポリウ
レタン層(ロ)を形成し、その表面に、仕上ポリウレタ
ン被膜(ハ)を形成して銀付調人工皮革を製造する方法
において、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に、
ポリウレタンの、良溶剤、貧溶剤、良溶剤と貧溶剤の混
合溶剤、または良溶剤と非溶剤の混合溶剤のいずれかを
グラビアメッシュロールで塗布して該表面に直径5μm
〜40μmの開放孔を発生させ、その後、仕上ポリウレ
タン被膜(ハ)を形成させ、連通多孔質ポリウレタン層
(ロ)の開放孔の部分を仕上ポリウレタン被膜(ハ)に
も開放孔として発現させることを特徴とする前記銀付調
人工皮革の製造方法である。
【0011】本発明の銀付調人工皮革を構成する繊維質
とは、従来公知の天然繊維、再生繊維、合成繊維からな
る織物、編物、不織布などである。本発明の着用時の
「蒸れ感」を軽減する目的では、裏面側からの吸汗性を
持たせる意味で、吸湿性の大きい繊維からなる繊維質が
望ましい。従って、好ましくは吸湿性の大きいレーヨン
繊維などが使用に適している。しかし、シート状物の物
理的強度を考慮すると、例えば、ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステル繊維、あるいはポリアミド繊
維などの物理的強度の大きい繊維と併用することが好ま
しい。
【0012】本発明の高分子弾性体とは、従来公知の皮
革代替物として使用される高分子弾性体である。例え
ば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレ
ア、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブ
タジエンゴムなどがあり、これらは水系エマルジョン、
または溶剤溶液として前記繊維質に含浸したのち、凝固
されて繊維質と高分子弾性体とからなる基体(イ)とさ
れる。
【0013】これらの繊維質、あるいは繊維質と高分子
弾性体とからなる基体(イ)の片面に形成される連通多
孔質ポリウレタン層(ロ)は、従来公知のポリウレタン
はすべて適用することができ、従来公知の成形方法によ
って形成されたものが適用できる。例えば、ポリウレタ
ンの有機溶剤溶液を繊維質、あるいは繊維質と高分子弾
性体とからなる基体(イ)の片面にコーティングしたの
ち、ポリウレタンの非溶剤でかつポリウレタンを溶解し
ている有機溶剤と混和性のある凝固浴中で凝固を生じさ
せる方法、あるいはポリウレタンの有機溶剤溶液、ある
いは分散液に水を微分散させたW/Oタイプのエマルジ
ョンを繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体とからな
る基体(イ)の片面にコーティングしたのち、有機溶剤
を選択的に蒸発させてポリウレタンを凝固させる方法な
どがある。
【0014】本発明の連通多孔質ポリウレタン層(ロ)
の厚さは、耐摩耗性、面平滑性、クッション性、ボリュ
ーム感を得るために、50μm〜300μm、好ましく
は100〜200μmである。厚さが50μmに満たな
い場合には、繊維質の生地目が表面に現れ表面のスムー
ス感が得られにくいので好ましくない。一方、厚さが3
00μmを超えると、ゴムライクな人工皮革になること
や、生産性が低下することなどの点で好ましくない。
【0015】本発明では、通気性を目的としているた
め、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)は、連続多孔質で
なければならない。すなわち、連通多孔質ポリウレタン
層(ロ)は、繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体と
からなる基体(イ)側の面から表面にかけて連通孔によ
って通気性が確保されている必要がある。前記の従来技
術のいずれの方法においても、多孔質ポリウレタン層の
最表面が緻密になるため、少量の通気性は得られても仕
上ポリウレタン被膜を形成する際にその溶剤により開放
孔が溶解されて閉ざされるか、仕上ポリウレタンにより
隠蔽されて通気性は失われてしまう。多孔質ポリウレタ
ンを成形する際に多孔調整剤(凝固調整剤)を併用して
表面の開放孔の径を大きくする方法もあるが、ほとんど
の場合、仕上ポリウレタン被膜を形成する際に前記と同
じ理由で通気性は失われてしまう。本発明は、仕上ポリ
ウレタン被膜(ハ)を形成する際に、通気性の失われな
い適度の径を有する開放孔を多孔質ポリウレタン層
(ロ)の表面に形成させる方法を鋭意研究し完成させた
ものであり、以下、本発明の製法について説明する。
【0016】確実に多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面
に開放孔を出現させるには、多孔質ポリウレタン層
(ロ)の表面に、ポリウレタンの、良溶剤、貧溶剤、良
溶剤と貧溶剤の混合溶剤、または良溶剤と非溶剤の混合
溶剤のいずれかを、グラビアメッシュロールで塗布する
ことである。ここで、ポリウレタンの良溶剤とは、実際
に使用するポリウレタンを溶解し得る良溶剤を意味し、
例えば芳香族系の有機ジイソシアネートから合成された
ポリウレタンであればジメチルホルムアミド、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなどの極性溶剤が挙げられる。
また、ポリウレタンの貧溶剤とは、同じく実際に使用す
るポリウレタンを溶解はしないが膨潤はさせ得る溶剤で
あり、例えばメチルエチルケトンなどのケトン類、イソ
プロピルアルコールなどのアルコール類、トルエンなど
の芳香族系溶剤が挙げられる。さらに、ポリウレタンの
非溶剤とは、同じく実際に使用されるポリウレタンを溶
解、膨潤をさせないものであり、例えば水などが代表的
である。
【0017】これらの溶剤を選択することにより、実際
に使用されるポリウレタンに対する溶解性を調整するこ
とができ、適度な開放孔を発現させることができる。こ
の場合、溶解性が強すぎる溶剤を使用すると、一旦は開
放孔が発現するが、その強すぎる溶解性のため溶剤の蒸
発乾燥の過程で再び開放孔が閉ざされてしまう。一方、
逆に溶解性が弱すぎる溶剤を使用すると、開放孔は発現
しない。
【0018】適正に選択された溶剤が、グラビアメッシ
ュロールで連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に塗
布される。この場合、グラビアメッシュロールのメッシ
ュの大きさが、形成される開放孔の径の大きさに大きく
影響を及ぼす。すなわち、メッシュの細かいロールを用
いれば相対的に小さい径の開放孔が得られるし、メッシ
ュの粗いロールを用いれば相対的に大きい径の開放孔が
得られる。また、塗布圧も、形成される開放孔の径の大
きさに影響を及ぼす。すなわち、塗布圧が大きければ、
得られる開放孔は径が大きく、塗布圧が小さければ、得
られる開放孔は径が小さいものとなる。以上のように、
適正な溶剤の選択、グラビアメッシュロールの選択、塗
布圧の適正化により、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)
の表面に5μm〜40μm、好ましくは10μm〜30
μmの開放孔を発現させる。
【0019】連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に
5μm〜40μmの開放孔を発現させたのち、その表面
に仕上ポリウレタン被膜(ハ)が形成される。本発明で
は、仕上ポリウレタン被膜(ハ)が連通多孔質ポリウレ
タン層(ロ)の表面に形成されることは勿論であるが、
連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に発現された開
放孔の孔壁にも被覆され、かつ連通多孔質ポリウレタン
層(ロ)内まで入り込んだ状態に被覆されることが耐摩
耗性、防汚性の点から必要である。このような仕上ポリ
ウレタン被膜(ハ)を形成させるには、ポリウレタンの
有機溶剤溶液を塗料として開放孔を有する連通多孔質ポ
リウレタン層(ロ)の表面に塗布することで達成でき
る。すなわち、開放孔を有する連通多孔質ポリウレタン
層(ロ)の表面に塗料が塗布されると、該開放孔の中に
塗料が流れ込み、孔壁をも塗布することになるからであ
る。この場合、塗料の粘度も、孔壁への塗布量、連通多
孔質ポリウレタン層(ロ)への塗布深さに重要な影響を
与えることになるが、一般的なグラビア塗布塗料の粘度
である80センチポイズ〜200センチポイズ、好まし
くは100センチポイズ〜140センチポイズで充分に
本発明の構造は達成できる。
【0020】この場合、仕上ポリウレタン被膜(ハ)を
形成させる塗料に使用される有機溶剤の種類が、最終的
に形成される開放孔の孔径に大きな影響を及ぼす。すな
わち、多孔質層を形成するポリウレタンに対して溶解性
が大きいと、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に
あらかじめ形成されていた開放孔の孔壁を溶解して孔径
を小さくしてしまうからである。溶解性が小さい程、連
通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に発現させた開放
孔の径を維持できることとなる。しかし、連通多孔質ポ
リウレタン層(ロ)と仕上ポリウレタン被膜(ハ)との
接着性を大きくするには、ある程度の溶解性を有する有
機溶剤を使用した塗料であることも必要である。従っ
て、塗料として使用する有機溶剤は、連通多孔質ポリウ
レタン層(ロ)を形成するポリウレタンに対し溶解性の
大きいものと小さいものとの混合溶剤を使用することが
好ましい。以上の説明のように、連通多孔質ポリウレタ
ン層(ロ)の表面に0.5μm〜35μmの開放孔を有
する銀付調人工皮革を得るには、仕上ポリウレタン被膜
(ハ)が形成された後ではやや孔径が小さくなるので、
仕上ポリウレタン被膜(ハ)を形成させる前の連通多孔
質ポリウレタン層(ロ)の表面の開放孔の径は5μm〜
40μmの範囲が適正ということになる。
【0021】塗料の塗布方法としては、従来の塗布方法
が採用できるが、好ましくはグラビア塗布機、ドクター
ナイフコーターなどが好ましい。塗布量としては、従来
の人工皮革の仕上被膜の範囲、固形膜厚として3g/m
2 〜20g/m2 、好ましくは5g/m2 〜10g/m
2 である。仕上ポリウレタン被膜(ハ)は、顔料、染料
などにより着色され衣装性を高めることができる。ま
た、本発明の開放孔を有する銀付調人工皮革は、表面か
ら裏面に渡って通気性があるため、靴アッパー材や衣料
などに加工使用された場合、雨などの水が浸入する恐れ
があるので仕上ポリウレタン被膜(ハ)に揆水剤を添加
し、揆水性を付与することが重要である。恒久的な揆水
性を付与するには、仕上ポリウレタン被膜(ハ)とし
て、フッ素変性ポリウレタンを用いることによって達成
できる。ここで、撥水剤としては、ポリウレタンとの相
溶性の優れたウレタン変性フッ素系撥水剤〔大日本イン
キ化学工業(株)製、クリスボンアシスターFX−3〕
などが挙げられる。また、フッ素変性ポリウレタンとし
ては、大日精化工業(株)製のレザロイドFF411
0、同FF4115などが挙げられる。そのほか、酸化
防止剤、防黴剤、紫外線吸収剤などを仕上ポリウレタン
被膜(ハ)に添加することによって特徴ずけることがで
きる。
【0022】なお、本発明の銀付調人工皮革は、通気性
を有し、NOxガスなども通過しやすい構造となってい
るため、ポリウレタンの変色が懸念される。特に、連通
多孔質ポリウレタン(ロ)を構成するポリウレタンは、
一般的には芳香族系ジイソシアネートから合成されたポ
リウレタンが使用されるケースが多い。従って、仕上ポ
リウレタン被膜(ハ)に用いるポリウレタンは変色の少
ないポリウレタン、例えば1,6−ヘキサンジイソシア
ネートなどの脂肪族系ジイソシアネートから合成された
ポリウレタン、あるいはイソホロンジイソシアネート、
4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト)などの脂環族系ジイソシアネートから合成されたポ
リウレタンが好ましい。本発明では、仕上ポリウレタン
被膜(ハ)を構成するポリウレタンが、連通多孔質ポリ
ウレタン層(ロ)の形成する開放孔の孔壁を深めに覆う
ため、変色防止にはより効果的に作用することとなる。
【0023】本発明では、表面の衣装効果を高めるた
め、通常、人工皮革の製造において行われているように
エンボスロールにより各種柄を施すことができる。エン
ボスを施す工程としては、開放孔発現処理の前、後、仕
上ポリウレタン被膜(ハ)の形成後、あるいは途中でも
可能である。しかし、熱エンボス法で行う場合は、開放
孔が熱により溶融して小さくなることがあるので注意し
なければならない。また、開放孔発現処理前に行うと、
連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面の緻密な部分の
密度がさらに高まり、開放孔発現処理が困難になる場合
があるので注意しなければならない。
【0024】以上のような方法で、表面に0.5μm〜
35μmの径の開放孔を有する銀付調人工皮革が製造さ
れる。開放孔の径が0.5μmに満たない場合には、空
気が通過するには抵抗が大きくなり本発明の目的とする
通気度が得られにくく好ましくない。一方、開放孔の孔
径が35μmを超えると、靴アッパー材、靴内装材、衣
料などの加工製品として着用された場合に汚れやすく、
あるいは汚れが開放孔の中に入り込み洗濯によっても汚
れを落とすことが困難となり好ましくない。汚れの原因
になる粒子は一般的に30μm以上の径であるため、銀
付調人工皮革の表面の開放孔の径は30μm以下である
ことが好ましい。
【0025】また、本発明の銀付調人工皮革の表面に形
成される開放孔は、1cm2 当たり200個以上、好ま
しくは500個〜3,000個形成されることが必要で
ある。通気度は、開放孔の径の大きさと数によって決定
されるため、径が小さければ数を多くし、開放孔の径が
大きければ数は少なくてよい。しかし、透湿度は開放孔
の数によるところが大きいため、本発明の目的を達成す
るためには、開放孔の数は1cm2 当たり200個以上
が必要である。開放孔の数が200個に満たない場合
は、本発明の透湿度を得ることは困難となる。
【0026】しかし、開放孔の数が多過ぎると、防汚
性、耐摩耗性などの面で問題となる。開放孔の数の上限
の目安としては、開放孔が形成する開口部の面積が全体
面積の好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.1%
〜0.3%であることである。1%を超えると開放孔の
大きさ、数にかかわらず耐摩耗性、および防汚性が極端
に低下してくるので好ましくない。
【0027】本発明の銀付調人工皮革は、以上のような
0.5μm〜35μmの径の開放孔を1cm2 当たり2
00個以上有し、その開口部の面積が全体面積の好まし
くは1%以下である人工皮革であり、なおかつ通気度が
0.5リットル/cm2 ・hr以上、好ましくは2リッ
トル/cm2 ・hr〜9リットル/cm2 ・hr、透湿
度が6mg/cm2 ・hr以上、好ましくは8mg/c
2 ・hr〜14mg/cm2 ・hrを有する人工皮革
である。通気度、透湿度がいずれも0.5リットル/c
2 ・hr、6mg/cm2 ・hrに満たない場合に
は、靴材料、衣料などに使用された際に、従来の人工皮
革に比べて差異がなく、蒸れを感じる。快適感が感じら
れるには、本発明の通気度、透湿度が必要となる。
【0028】本発明の構造であれば、大概は上記通気
度、透湿度を満足するはずであるが、本発明の銀付調人
工皮革を構成する繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性
体とからなる基体(イ)の構造によっては本発明の通気
度、透湿度を満たさないことも考えられる。逆に言え
ば、本発明の0.5リットル/cm2 ・hr以上の通気
度、および6mg/cm2 ・hr以上の透湿度が得られ
るような基体構造であることが必要条件となる。例え
ば、基体(イ)の裏面に高分子弾性体の充実膜が形成さ
れているなどの通気性、透湿性の妨げとなる構造が無い
ことが必要である。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお、実施例中に「部」、「%」とあるの
は、いずれも重量基準であり、また、特性測定値は下記
の方法により得られたものである。開放孔の孔径、孔の数 走査電子顕微鏡の画像より計測〔旭化成工業(株)製、
高精細画像解析ファイルシステムIP−1000を使
用〕。開放孔の開口部の面積比率 走査電子顕微鏡の画像より計測〔旭化成工業(株)製、
高精細画像解析ファイルシステムIP−1000を使
用〕。通気度 JIS P8117の方法に準じて、ガーレのデンソメ
ータを使用して測定した50ccの空気が通過するのに
要した時間から計算により「リットル/cm2・hr」
の単位に換算した値である。透湿度 JIS K6549の方法に準じて測定を行った値で
「mg/cm2 ・hr」で表す。防汚性 タバコの灰(マイルドセブン)を乳鉢で磨り潰したもの
を、直径36mmの大きさで、中指で右回転で25回、
左回転で25回こすりつけたのち、脱脂綿で拭き取り、
5級を汚れなしとして1〜5級で表す。
【0030】実施例1 <基体−1の作成>目付330g/m2 、厚さ1.0m
mのポリエステル繊維からなる不織布に、13%濃度の
ポリエステル系ポリウレタン(P,P′−ジフェニルメ
タンジイソシアネートより合成されたもの)−ジメチル
ホルムアミド溶液を含浸させた含浸基布の片面に18%
濃度のポリウレタン(上記含浸用ポリウレタンと同じも
の)−ジメチルホルムアミド溶液を650g/m2 の目
付でコーティングしたのち、水浸凝固、水洗、乾燥して
基体−1を作成した。得られた基体は、繊維質層の厚さ
が1.0mm、多孔質ポリウレタン層の厚さが280μ
mで構成されていた。
【0031】<開放孔発現処理>基体−1の表面に、メ
チルエチルケトン40%、ジメチルホルムアミド60%
の混合液をグラビア塗布機(110メッシュのロール使
用)で4kg/cm2 の圧力で塗布して乾燥した。得ら
れた基体−1の表面を走査電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、約30μmの開放孔が無数に形成されていた。
【0032】<仕上ポリウレタン被膜の形成>下記の組
成で作成した塗料−1を前記の開放孔発現処理した基体
の表面にグラビア塗布機(110メッシュのロール使
用)で塗布、乾燥を3回繰り返し、次に加熱エンボスロ
ールで毛穴調に柄付けし、さらにその表面に下記組成の
塗料−2をグラビア塗布機(110メッシュのロール使
用)で塗布、乾燥し、人工皮革−1を得た。 (塗料−1) クリスボンNY320 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA5303 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 40部 ジメチルホルムアミド 10部 (塗料−2) ハウラックA3454 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 20部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 40部 ジメチルホルムアミド 10部
【0033】得られた人工皮革−1は、表面が白色であ
り、表面には約13μmの径の開放孔が、孔壁は塗料−
1と塗料−2で覆われる状態で約1,700個/cm2
存在し、その開放部の面積は全体面積の0.23%に相
当するものであった。その通気度、透湿度は、共に従来
の銀付調人工皮革と比較して優れたものであり、かつ汚
れにくいものであった。得られた人工皮革−1の特性値
を表1に示す。
【0034】実施例2 <基体−2の作成>ポリエステルと6−ナイロンが交互
に隣接する分割可能な繊維を分割してなる繊維75%と
レーヨン繊維25%との混合繊維からなる不織布(目付
300g/m2 、厚さ1.3mm)に、13%濃度のポ
リエステル/ポリエーテル系ポリウレタン(P,P′−
ジフェニルメタンジイソシアネートより合成されたも
の)−ジメチルホルムアミド溶液を含浸させた含浸基布
の片面に、20%濃度のポリウレタン(上記含浸用ポリ
ウレタンと同じもの)−ジメチルホルムアミド溶液を4
00g/m2 の目付でコーティングしたのち、水浸凝
固、水洗、乾燥して基体−2を作成した。得られた基体
は、繊維質層の厚さが1.3mm、多孔質ポリウレタン
層の厚さが210μmで構成されていた。
【0035】<開放孔発現処理>基体−2の表面に、メ
チルエチルケトン30%、ジメチルホルムアミド70%
の混合液をグラビア塗布機(110メッシュのロール使
用)で3kg/cm2 の圧力で塗布して乾燥した。得ら
れた基体−2の表面を走査電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、約25μmの開放孔が無数に形成されていた。
【0036】<仕上ポリウレタン被膜の形成>下記の組
成で作成した塗料−3を前記の開放孔発現処理した基体
の表面にグラビア塗布機(110メッシュのロール使
用)で塗布、乾燥を2回繰り返し、次にその表面に下記
組成の塗料−4をグラビア塗布機(110メッシュのロ
ール使用)で塗布、乾燥を2回繰り返し、さらに加熱エ
ンボスロールで血筋調に柄付けし、人工皮革−2を得
た。 (塗料−3) クリスボンNY320 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA5303 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 クリスボンアシスターFX3(揆水剤) 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 2部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 40部 ジメチルホルムアミド 10部 (塗料−4) ハウラックA3454 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 20部 クリスボンアシスターFX3(揆水剤) 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 2部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 40部 ジメチルホルムアミド 10部
【0037】得られた人工皮革−2は表面が白色であ
り、表面には約10μmの径の開放孔が、孔壁は塗料−
3と塗料−4で覆われる状態で約2,200個/cm2
存在し、その開放部の面積は全体面積の0.17%に相
当するものであった。その通気度、透湿度は共に従来の
銀付調人工皮革と比較して優れたものであり、かつ汚れ
にくく揆水性の大きいものであった。得られた人工皮革
−2の特性値を表1に示す。
【0038】実施例3 <開放孔発現処理>実施例2において作成した開放孔発
現処理前の基体−2の表面に、メチルエチルケトン30
%、ジメチルホルムアミド70%の混合液をグラビア塗
布機(200メッシュのロール使用)で5kg/cm2
の圧力で塗布して乾燥した。得られた基体−3の表面を
走査電子顕微鏡で観察したところ、約15μmの開放孔
が無数に形成されていた。
【0039】<仕上ポリウレタン被膜の形成>実施例2
で作成した塗料−3を前記の開放孔発現処理した基体の
表面にグラビア塗布機(200メッシュのロール使用)
で塗布、乾燥を3回繰り返し、次にその表面に下記組成
の塗料−5をグラビア塗布機(200メッシュのロール
使用)で塗布、乾燥を2回繰り返し、さらに加熱エンボ
スロールで血筋調に柄付けし、人工皮革−3を得た。 (塗料−5) レザロイドLU4180SF (フッ素変性ポリウレタン) 〔大日精化工業(株)製〕 100部 クリスボンアシスターFX3(揆水剤) 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 2部
【0040】得られた人工皮革−3は、表面が白色であ
り、表面には約7μmの径の開放孔が、孔壁は塗料−3
と塗料−5で覆われる状態で約3,100個/cm2
在し、その開放部の面積は全体面積の0.12%に相当
するものであった。その通気度、透湿度は共に従来の銀
付調人工皮革と比較して優れたものであり、かつ汚れに
くく揆水性の大きいものであった。得られた人工皮革−
3の特性値を表1に示す。
【0041】実施例4 実施例2で作成した開放孔発現処理済みの基体−2の表
面に下記の組成で作成した塗料6をグラビア塗布機(1
10メッシュのロール使用)で塗布、乾燥を2回繰り返
し、次にその表面に実施例2で作成した塗料−4をグラ
ビア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾
燥を2回繰り返し、さらに加熱エンボスロールで血筋調
に柄付けし、人工皮革−4を得た。 (塗料−6) クリスボンNY320 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA5303 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 ハウラックA1361 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 2部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 クリスボンアシスターFX3(揆水剤) 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 2部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 40部 ジメチルホルムアミド 10部
【0042】得られた人工皮革−4は、多孔質ポリウレ
タン層が白色にもかかわらず均一なグレー色であり、表
面には実施例2で得られた人工皮革−2と全く同じ状態
で開放孔が形成され、その特性値も人工皮革−2と同程
度であった。得られた人工皮革−4の特性値を表1に示
す。
【0043】比較例1 実施例1で作成した基体−1(開放孔発現処理なしのも
の)の表面に、実施例1で作成した塗料−1をグラビア
塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾燥を
3回繰り返し、次に加熱エンボスロールで毛穴調に柄付
けし、さらにその表面に実施例1で作成した塗料−2を
グラビア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗
布、乾燥し、人工皮革−5を得た。得られた人工皮革は
表面が白であり、一見、実施例1で得られた人工皮革−
1同じものであるが、走査電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、開放孔は見当たらず通気性の全く無いものであり、
透湿度も従来の人工皮革と同程度のものであった。得ら
れた人工皮革−5の特性値を表2に示す。
【0044】比較例2 比較例1で作成した人工皮革−5の表面を機械的に針で
処理し1cm2 当たり9個の穴を設けた。表面の開放孔
の径は150μmであり、通気性は有するものの、透湿
性は従来の人工皮革と同程度のものであった。実際に靴
に成型して着用したところ、汚れ易く、洗濯をしても汚
れが開放孔に入り込んでいるため汚れはほとんど落ちな
かった。この針穴を設けた人工皮革−6の特性値を表2
に示す。
【0045】比較例3 目付330g/m2 、厚さ1.0mmのポリエステル繊
維からなる不織布を用い、実施例1と同様の操作で得ら
れた含浸基体の片面に、実施例1と同じポリウレタン−
ジメチルホルムアミド溶液を90g/m2 の目付でコー
ティングしたのち、水浸凝固、水洗、乾燥して基体−3
を作成した。得られた基体は、繊維質層の厚さが1.0
mm、多孔質ポリウレタン層の厚さが38μmで構成さ
れていた。基体−3の表面に、実施例1と同様の操作で
開放孔発現処理、仕上ポリウレタン被膜の形成、および
柄付けを施し、人工皮革−7を得た。得られた人工皮革
−7の表面には、人工皮革−1の表面と同程度の径の開
放孔が約同数存在し、通気度、透湿度も人工皮革−1と
同程度であったが、表面の平滑感がなく、毛羽立ちによ
る凸部が目立ち、なお伸長した場合には、不織布の繊維
質肌ば目立つものであり、商品価値を損なうものであっ
た。人工皮革−7の特性値を表2に示す。
【0046】比較例4 実施例1で作成した基体−1(開放孔発現処理なしのも
の)の表面に、メチルエチルケトン30%、ジメチルホ
ルムアミド70%の混合液を、グラビア塗布機(70メ
ッシュのロールを使用)を用い、4kg/cm2 の圧力
で塗布乾燥した。得られた基体−1の表面を走査電子顕
微鏡で観察したところ、約45μmの開放孔が無数に形
成されていた。この開放孔発現処理を施した基体−1の
表面に、実施例1と同様の操作で仕上ポリウレタン被膜
の形成、および柄付けを施し、人工皮革−8を得た。得
られた人工皮革−8の表面には、約40μmの径の開放
孔が約850個存在し、その開放部の面積は全面積の
1.07%に相当するものであった。その通気度、透湿
度は、ともに表2に示すように、従来の人工皮革に比較
して優れたものであったが、汚れが付着し易く、実際に
靴に成型して着用したところ、汚れやすく、洗濯をして
も汚れが開放孔に入り込んでいるため、汚れは完全に落
ちなかった。また、摩耗されやすく、開放孔の径が大き
くなり、着用時間とともに汚れが激しくなった。
【0047】実施例5 実施例1で作成した基体−1(開放孔発現処理なしのも
の)の表面に、メチルエチルケトン50%、ジメチルホ
ルムアミド50%の混合液を、グラビア塗布機(200
メッシュのロールで、かつメッシュ部が60%のものを
使用)を用い、4kg/cm2 の圧力で塗布乾燥した。
得られた基体−1の表面を走査電子顕微鏡で観察したと
ころ、約15μmの開放孔が無数に形成されていた。こ
の開放孔発現処理を施した基体−1の表面に、実施例1
と同様の操作で仕上ポリウレタン被膜の形成、および柄
付けを施し、人工皮革−9を得た。得られた人工皮革−
9の表面には、約6μmの径の開放孔が約630個存在
し、その開放部の面積は全面積の0.02%に相当する
ものであった。その通気度、透湿度は、ともに表1に示
すように、従来の人工皮革に比較して優れたものであっ
た。
【0048】比較例5 実施例1で作成した基体−1(開放孔発現処理なしのも
の)の表面に、メチルエチルケトン70%、ジメチルホ
ルムアミド30%の混合液を、グラビア塗布機(200
メッシュのロールで、かつメッシュ部が60%のものを
使用)を用い、2kg/cm2 の圧力で塗布乾燥した。
得られた基体−1の表面を走査電子顕微鏡で観察したと
ころ、約9μmの開放孔が散々と形成されていた。この
開放孔発現処理を施した基体−1の表面に、実施例1と
同様の操作で仕上ポリウレタン被膜の形成、および柄付
けを施し、人工皮革−10を得た。得られた人工皮革−
10の表面には、約3μmの径の開放孔が約150個存
在し、その開放部の面積は全面積の0.001%に相当
するものであった。その通気度、透湿度は、ともに表2
に示すように、0.1リットル/cm2 ・hr、3.7
mg/cm2 ・hrであり、実際に靴に成型して着用し
たところ、「蒸れ感」を感じ、従来の人工皮革との差異
は感じられなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】試験例 <靴成型後の着用テスト>実施例1で作成した人工皮革
−1、実施例−2で作成した人工皮革−2、ならびに比
較例−1で作成した人工皮革−5、および比較例−2で
作成した人工皮革−6を、それぞれ靴アッパー材として
用い、全く同じ工程でテニスシューズに成型し、これら
のシューズをそれぞれ右足、左足に同時に着用し、3k
mの距離をジョギングし、10分後の装着したままのシ
ューズ内の温度、湿度を測定した。このテストを10人
で実施し、その平均値で比較したところ、人工皮革−
1、および人工皮革−2で成型されたシューズのシュー
ズ内温度、湿度は、人工皮革−5、および人工皮革−6
で成型されたシューズのそれに対し、各々1℃、20%
RH低く、着用者もその蒸れ感の差を充分感じることが
できた。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、靴、衣料用途などに使
用、着用された場合に、「蒸れ感」が少なく、かつ汚れ
にくく、平滑な気品のある面外観と耐摩耗性を兼ね備え
た新規の銀付調の人工皮革が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−173381(JP,A) 特開 平1−124689(JP,A) 特公 昭56−27636(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14 B32B 27/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体
    とからなる基体(イ)の片面に、厚さが50μm〜30
    0μmの連通多孔質ポリウレタン層(ロ)が形成され、
    その表面に、仕上ポリウレタン被膜(ハ)が形成されて
    なる銀付調人工皮革において、表面に0.5μm〜35
    μmの径の開放孔が1cm2 当たり200個以上存在
    し、仕上ポリウレタン被膜(ハ)がその開放孔の孔壁を
    覆い、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)内まで達するよ
    うに形成され、通気度が0.5リットル/cm2 ・hr
    以上、透湿度が6mg/cm2 ・hr以上である銀付調
    人工皮革。
  2. 【請求項2】 仕上ポリウレタン被膜(ハ)が、揆水性
    を有している請求項1記載の銀付調人工皮革。
  3. 【請求項3】 仕上ポリウレタン被膜(ハ)が、フッ素
    変性ポリウレタンからなる請求項1または2記載の銀付
    調人工皮革。
  4. 【請求項4】 繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体
    とからなる基体(イ)の片面に、厚さが50μm〜30
    0μmの湿式法による連通多孔質ポリウレタン層(ロ)
    を形成し、その表面に、仕上ポリウレタン被膜(ハ)を
    形成して銀付調人工皮革を製造する方法において、連通
    多孔質ポリウレタン層(ロ)の表面に、ポリウレタン
    の、良溶剤、貧溶剤、良溶剤と貧溶剤の混合溶剤、また
    は良溶剤と非溶剤の混合溶剤のいずれかをグラビアメッ
    シュロールで塗布して該表面に直径5μm〜40μmの
    開放孔を発生させ、その後、仕上ポリウレタン被膜
    (ハ)を形成させ、連通多孔質ポリウレタン層(ロ)の
    開放孔の部分を仕上ポリウレタン被膜(ハ)にも開放孔
    として発現させることを特徴とする請求項1記載の銀付
    調人工皮革の製造方法。
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