JP2001354899A - コーティング布帛およびその製造方法 - Google Patents
コーティング布帛およびその製造方法Info
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Abstract
圧と剥離強度の低下がなく、透湿性防水布帛や合成皮革
として優れた性能を有するコーティング布帛を提供す
る。 【解決手段】 繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜
を含むポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂皮膜が形成
されており、この皮膜中に3次元テトラポット形状のウ
ィスカを充填材として含むコーティング布帛。繊維布帛
の少なくとも片面に3次元テトラポット形状のウィスカ
を充填材として含むポリウレタン系樹脂を主体とする樹
脂の溶液を塗布し、得られた布帛を水系溶剤中で凝固
し、脱溶媒し、乾燥することにより製造される。
Description
およびその製造方法に関する。本発明は、特に、着用時
に快適であるスポーツ衣料用の透湿性防水布帛や崇高性
の改良された透湿性防水布帛もしくは合成皮革およびそ
の製造に関する。
ーバーロールコーターその他のコーティング機を使用
し、ポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂の溶液を塗布
し、水中凝固して得られる微多孔質膜と布帛との複合素
材は、透湿性防水布帛としてスポーツ衣料用等に多用さ
れており、その要求特性としてはより高い透湿性がある
ことおよび高度の防水性があること、すなわち、耐水圧
ができるだけ高いことが挙げられる。また、そのような
素材が有する崇高性(風合い、ふくらみ)を生かし、利
用する場合には、衣料用の合成皮革、ゴルフ手袋、家具
用合成皮革にも多用されている。
を向上させるために各種の充填材を微多孔質膜に添加す
る技術があり、これにより水凝固時に形成される微多孔
質ウレタン皮膜の空孔率を向上させ、より微細な空孔を
形成させようとする試みは、数多くなされている。例え
ば、特開平7−3655号公報には、ポリウレタン樹脂
皮膜に膨潤性中層状ケイ酸塩の層間に第4級アンモニウ
ムイオンを導入せしめた粘土有機複合体を充填すること
により、透湿性を向上させることが提案されている。ま
た、特開平5−222677号公報には、ポリウレタン
樹脂を主体とする合成重合体からなる樹脂に、無孔で、
平均粒径が0.1μm以下の無機微粒子、例えば、二酸
化ケイ素、酸化マグネシウムなどを1重量%以上含むポ
リウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を用いて皮膜を形
成することにより、透湿性を向上させることが提案され
ている。また、特開平9−158051号公報には、ポ
リウレタン樹脂皮膜に繊維径が2μm以下で、結晶の長
さが30〜60μmの無機系ウィスカを充填することが
提案されている。さらに、特開平11−61648号公
報には、酸化アルミニウムの微粒子を充填剤として使用
して、JIS L1069 B−1酢酸カリウム法によ
る透湿性が15,000g/m2 ・24hrで、耐水圧
が8,000mm以上を達成できることが記載されてい
る。
る樹脂溶液に添加して、微多孔質膜を形成する場合に共
通する課題は、微多孔質膜をより微細化し、空孔率を向
上させる結果として、微多孔質膜の透湿性が向上する効
果は認められるが、空孔率の増加は耐水圧の低下につな
がり、さらにはウレタン皮膜強度の低下の結果、布帛と
の剥離強度の低下が課題になる。
として、透湿性を向上させながら、耐水圧の低下や剥離
強度の低下を生じない充填材を選択することが求められ
ている。一方、近年、ゴルフ手袋、衣料用合成皮革、家
具用合成皮革の各用途において、織物やニットなどの布
帛に湿式凝固した微多孔質ウレタン膜を形成した商品は
多い。これらの用途において、微多孔質ウレタン膜には
崇高性が要求される。しかしながら、この目的に使用さ
れるウレタン樹脂としてはエーテルエステル系のウレタ
ン樹脂が多く、凝固性が悪く、崇高性に欠けることが多
く、この問題の解決のために種々の微多孔質膜調整剤が
添加されているが、その効果は十分ではないという問題
もある。
で、崇高性(風合い、ふくらみ)をも向上させることの
できる充填材を選択することが課題となっている。
従来技術の課題を解決し、高い透湿性と崇高性(風合
い、ふくらみ)とを有する一方で、耐水圧と剥離強度の
低下がなく、透湿性防水布帛や合成皮革として優れた性
能を有するコーティング布帛を提供することを目的とす
る。
決するため、繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜を
含むポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂皮膜が形成さ
れており、この皮膜中に3次元テトラポット形状のウィ
スカを充填材として含むコーティング布帛を提供する。
面に3次元テトラポット形状のウィスカを充填材として
含むポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂の溶液を塗布
し、得られた布帛を水系溶剤中で凝固し、脱溶媒し、乾
燥することを含むコーティング布帛の製造方法を提供す
る。
は、コーティング皮膜中にテトラポット形状のウイスカ
を充填材として含む。これは、繊維布帛の少なくとも片
面にポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂(以下におい
ては簡単のため単にウレタン樹脂という)の極性有機溶
剤溶液中に3次元テトラポット形状のウィスカの粉末を
均一分散させた塗布液を塗布し、次いで水中に浸漬して
樹脂膜を形成し、脱溶媒するという、いわゆる湿式コー
ティング法により製造することができる。
トラポット形状のウィスカは酸化亜鉛からなるものが代
表的であるが、これは他の無機ウィスカ、シリカ系粒
子、炭酸カルシウム粉末などと比較すると特異的であ
る。すなわち、本発明に用いられる3次元テトラポット
形状のウィスカを充填材として用いた場合、得られる微
多孔質膜の透湿性が向上されるが、それとともに耐水圧
はそのまま維持され、かつ、剥離強度は低下されない
か、あるいはむしろ向上されるのである。
カのさらなる特徴としてウレタン樹脂の微多孔質膜の崇
高性を向上させ、柔軟な風合いを与え、ふくらみを持た
せて表面の手触りを滑らかくもする。3次元テトラポッ
ト形状のウィスカが、充填剤として、他の形状のウィス
カよりも有効なのは、その立体構造のテトラポットが重
なりあって形成する空間体積が粒状や針状構造のみの場
合よりも格段に大きくなる結果、ウレタン樹脂が水中で
凝固する際に空孔容積が大きくなって透湿性を向上さ
せ、かつ、崇高性をも向上させ、柔軟な風合いを与え、
ふくらみをもたせ表面の手触りを滑らかもすることによ
るのであろうと考えられる。一方で、ウレタン樹脂との
接触面積が少なく、そのため剥離強度や耐水性のレベル
が維持されるものと推察される。
カは、図1に示す如く、繊維の長さ(針状脚部の長さ)
として2〜50μm、繊維の太さ(針状脚部のほぼ中間
部分の太さ)として0.2〜3μmであり、これらの長
さや太さができる限り均一であるものが好ましい。ま
た、3次元テトラポット形状のウィスカは、ウレタン樹
脂からなる皮膜中に均一に樹脂重量に対して1重量%以
上の量、特に1〜30重量%の範囲の量で含有されてい
るのが好ましく、より好ましくは3〜25重量%であ
る。1重量%未満では得られる透湿性防水布帛の透湿性
の向上や崇高性の向上の効果は不十分であることがあ
る。
ド、ポリエステル、レーヨンなどの合成繊維や再生繊維
もしくは半合成繊維や、綿、ウールなどの天然繊維また
はそれらを混用したものからなる、織物、編物、不織布
などであってよく、特に限定されない。本発明では、上
記の繊維布帛に湿式凝固によりウレタン樹脂の皮膜を形
成する前に、繊維布帛にウレタン樹脂の溶液が過度に浸
透するのを防止するために予め繊維布帛に撥水処理また
はカレンダー処理を施してもよい。この場合の撥水剤と
しては、フッ素系撥水剤等の公知のものであってよく、
その処理方法も一般的に行われているパディング法、ス
プレー法等の公知の方法であってよい。
記の繊維布帛上に3次元テトラポット状のウィスカを均
一に分散させたウレタン樹脂の溶液を公知のコーティン
グ法により、少なくとも繊維布帛の片面に塗布する。用
いられるポリウレタン系樹脂は、エーテル系、エステル
系、エーテルエステル系などのポリウレタン系樹脂であ
ればよく、特に限定されるものでない。
溶剤としては、樹脂の溶解性、凝固性、脱溶媒の容易性
から、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドンなどの水溶性の極性有機溶剤を主
体とするものが好ましく選択される。溶媒の使用量は、
固形分濃度30%の市販の元樹脂のジメチルホルムアミ
ド溶液100重量部に対して20〜100重量部の範囲
であるのがよい。この範囲以下では、繊維布帛に対する
接着性は高まるが、透湿性が低下し、崇高性も低下する
ことがある。
を含む上記ウレタン樹脂の溶液を、公知のコーティング
法、例えば、パイプコーター、ナイフコーター、コンマ
コーター、リバースコーター等を用い、繊維布帛の少な
くとも片面に塗布し、凝固し、脱溶媒し、乾燥する。そ
の配合樹脂溶液の塗布量としては、繊維布帛上で、0.
08〜0.5mmの厚さになる量であるのが好ましく、
より好ましくは0.1〜0.2mmの厚さの範囲であ
る。
ばよい。凝固浴には、樹脂溶媒の水溶液や水が好ましく
用いられる。凝固温度は、樹脂膜中に形成される微多孔
の孔径を適度の範囲に調整する観点から、5〜40℃の
範囲が好ましい。脱溶媒としては水が好ましく、脱溶媒
の温度は5〜80℃の範囲が好ましく選択される。脱溶
媒された布帛は、次いで、常法により乾燥されるが、乾
燥温度は90〜140℃が好ましく選択される。
に、耐久性のある防水性を付与するために撥水処理を行
うこともできる。撥水処理には公知の撥水剤を用いるこ
とができ、また布帛製品の品質を向上させる観点からさ
らに仕上げセットを施すのが好ましい。なお、他の添加
剤としてイソシアネート架橋剤、白顔料などを添加する
こともできる。
のようなものがある。繊維布帛としてはレーヨン起毛織
物、ナイロン起毛トリコット、レーヨン/ナイロン起毛
トリコットなどが好ましく使用できるが、ポリエステル
や綿などの他の素材や不織布などの組織のものであって
もよい。繊維布帛へのウレタン樹脂溶液が過度に浸透す
るのを防止するため撥水加工や水含浸を行い、次いでウ
レタン樹脂溶液をコーティングする。
重合ウレタンなどが30%のジメチルホルムアミドの溶
液の形で市販されているもの100重量部を、さらにジ
メチルホルムアミドを50〜200重量部程度で希釈
し、着色顔料や微多孔質膜調整剤などを加えて樹脂溶液
を調製する。この溶液を上記の繊維布帛上に、布帛との
間に適当なスリットを設けて、例えば、0.1〜2.0
mm程度の厚みに塗布した後、水中に導き凝固させる。
さらに湯洗いし、乾燥して、ウレタン樹脂膜を得る。
与するなどの目的があれば、次の工程を付加することも
できる。例えば、銀付き合成皮革を得るには、皮革調の
エンボス離型紙の上にウレタン樹脂溶液を塗布した後、
乾燥し、熱ロールを使用して上記のウレタン樹脂膜の上
に熱ラミネートを行うことにより、表面に皮革調のシボ
を形成することができる。
には、ウレタン樹脂皮膜の表面をサンドペーパーで研削
する方法やジメチルホルムアミド溶剤を表面にグラビア
ロール等で薄く塗布して乾燥することによりウレタン樹
脂皮膜の表面を溶解して表面に均一な穴を形成する方法
があり、さらには柄模様をグラビヤロールでプリントし
て意匠性を付与することもできる。
ン樹脂の溶液に3次元テトラポット形状のウィスカを均
一に分散させた場合、柔軟な風合いやふくらみの向上が
ありながらも剥離強度の低下が全くないという優れた効
果を得ることができる。上記のようにして得られたウレ
タン樹脂皮膜を電子顕微鏡で観察すると、図2に示され
る如く、表皮部分では従来にない微細な多孔質膜空孔が
形成され、膜の中央部から布帛との界面部分までの間で
は3次元テトラポット形状のウィスカを骨格とする、大
きさおよび形状ともに均一な多孔質膜空孔が形成されて
いる。
るが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるもの
ではない。例中、部は重量部を示す。なお、以下の実施
例で記述する製品の品質は次の方法により評価したもの
である。
した。 2) 透湿性 JIS L1099 A−1法(塩化カルシウム法)に
より測定した。ただし、表示を24時間に換算した。
酸性染料を用いてグレー色に染色した。次に、アサヒガ
ードAG710(旭ガラス株式会社製の撥水剤)の5%
溶液を織物に含浸させ、マングルで絞り、乾燥した後、
150℃で30秒間熱処理した。
を調製した。 ポリエステルウレタン樹脂 100部 (30%ジメチルホルムアミド溶液) ジメチルホルムアミド 30部 テトラポット形状酸化亜鉛ウィスカ 5部 (松下アムテック株式会社製パナテトラ) 白顔料 2部 架橋剤 1部 (大日本インキ化学工業株式会社製コロネートHL) この配合液をパイプコーターを使用して、上記の布帛上
に、0.14〜0.16mmの厚みでコーティングし
た。次いで、これを水中に導き、2分間凝固させた後、
50℃の湯で5分間洗浄し、さらにテンターを使用して
乾燥した。
ードAG5690(旭ガラス株式会社製の撥水剤)の5
%ミネラルターペン溶液を用いて、コーティング済みの
織物に含浸させ、マングルで絞り、乾燥した後、150
℃で30秒間熱処理して、透湿性防水布帛を得た。 比較例1 実施例1で用いたのと同じ織物をコーティング加工用の
布帛として使用した。ただし、ここではコーティングす
るウレタン樹脂組成物の組成を下記のように変更した。
水布帛を得た。
鉛ウィスカ(パナテトラ)に代えて表1に示す各種充填
材を用いた以外は、実施例1と同様に処理して透湿性防
水布帛を得た。上記の実施例および比較例で用いた充填
材の詳細を表1に示す。
た透湿性防水布帛の耐水圧、透湿性、剥離強度、崇高性
の評価の結果を表2に示す。
帛では、透湿性が向上しているが、耐水圧や剥離強度は
低下されずに元のレベルを維持していることがわかる。
しかも、崇高性が向上しており、すなわち、柔軟な風合
いを有し、ふくらみが有り、表面の手触りも滑らかであ
る。実施例2レーヨンの起毛平織物にアサヒガードAG
710(旭ガラス株式会社製の撥水剤)の5%溶液を織
物に含浸させ、マングルで絞り、乾燥した後、150℃
で30秒間熱処理した。
を調製した。 エーテルエステル系ウレタン樹脂 80部 (大日本インキ化学工業株式会社製MP105) エーテルエステル系ウレタン樹脂 20部 (大日本インキ化学工業株式会社製MP145) ジメチルホルムアミド 100部 微多孔質膜調整剤 1部 (大日本インキ化学工業株式会社製SD−7) 微多孔質膜調整剤 2部 (大日本インキ化学工業株式会社製SD−17B) テトラポット形状酸化亜鉛ウィスカ(パナテトラ) 5部 この配合液を、ナイフオーバーロールコーターを使用
し、布帛とナイフ間のスリット0.15mmで上記の布
帛上に塗布した。次いで、これを水中に導き、3分間凝
固させた後、60℃の温水で5分間洗浄し、乾燥した。
次いで、ウレタン樹脂皮膜の表面をサンドペーパーで研
削してスエード調の合成皮革を得た。
な風合いやふくらみを有し、しかも手触りも良好で、崇
高性のあるものであった。 比較例5 実施例2で用いたのと同じ織物をコーティング加工用の
布帛として使用した。ただし、ここではコーティングす
るウレタン樹脂組成物の組成を下記のように変更した。
ン樹脂皮膜が硬い風合いを有し、ふくらみに乏しく、し
かも手触りも滑らかではなかった。
耐水圧や剥離強度においても十分なバランスのとれた性
能を有する透湿性防水布帛が得られる。また、柔軟な風
合いやふくらみを有し、表面の手触りも滑らかである透
湿性防水布帛乃至は合成皮革が得られる。したがって、
それらは、雨具、ウィンドブレーカー、スキーウェアー
などの用途だけでなく、衣料用の合成皮革、ゴルフ手
袋、家具用合成皮革の用途の快適素材として広く用いる
ことができる。
スカの一例の拡大図。
の構造を示す図面代用電子顕微鏡写真。
Claims (4)
- 【請求項1】 繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜
を含むポリウレタン系樹脂を主体とする樹脂皮膜が形成
されており、この皮膜中に3次元テトラポット形状のウ
ィスカを充填材として含むコーティング布帛。 - 【請求項2】 3次元テトラポット形状のウィスカの含
有量が皮膜の樹脂重量に対して1重量%以上である、請
求項1記載のコーティング布帛。 - 【請求項3】 繊維布帛の少なくとも片面に3次元テト
ラポット形状のウィスカを充填材として含むポリウレタ
ン系樹脂を主体とする樹脂の溶液を塗布し、得られた布
帛を樹脂溶液の溶媒の水溶液または水で凝固し、脱溶媒
し、乾燥することを含むコーティング布帛の製造方法。 - 【請求項4】 乾燥後、さらに撥水処理を行う、請求項
3記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000174113A JP2001354899A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | コーティング布帛およびその製造方法 |
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-
2000
- 2000-06-09 JP JP2000174113A patent/JP2001354899A/ja active Pending
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