JP3080698B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造方法
関する。
【0002】
【従来の技術】II−VI族化合物半導体は、発光素子ある
いは受光素子材料として大きな期待がかけられているも
のの、その製品化への道のりは未だ遠いものと思われ
る。その原因の一つとして電極材料及び形成方法には大
きな改善の余地を残しているといえる。
【0003】従来n型亜鉛カルコゲナイドの電極材料と
しては、インジウムとガリウムの合金や、水銀とインジ
ウムのアマルガムなどが知られている。これらの金属を
用いて電極を形成するには電極とn型カルコゲナイドと
の間の接触抵抗を低く制御することが難しい上に、熱処
理が必須の工程であるため、表面に付着した金属はこの
熱処理の過程で凝集してしまい、電極形状を任意にデザ
インする事ができない。さらに、これらの合金を蒸着等
の手法により均一に半導体表面に被着させることがむず
かしいため、量産デバイスの製造工程に適合しなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みなされたもので、例えばn型亜鉛カルコゲナイド結
晶に対する量産に適した良好なオーム性電極を再現性良
く、制御性良く形成可能とする半導体装置の構造を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体装置
の製造方法は、Znを含むカルコゲナイド結晶のn型領
域表面に、少くともインジウムを含有する第1の層及
び、この第1の層に少くとも金または白金を含有する第
2の層を順次形成し、その後第1の層の融点より高い温
度で熱処理を行ってオーム性電極を得ることを特徴とす
る。
【0006】
【作用】前述したように、一例のn型亜鉛カルコゲナイ
ドを用いた半導体装置を製造する場合にはn型半導体上
に形成するオーム性電極を再現性良くかつ安定に形成す
ることが必要である。本発明によれば、これが可能にな
る。
【0007】すなわち、n型半導体上の電極形成に際
し、n型カルコゲナイド結晶上にインジウムを被着させ
ることによりオーム性接触が形成でき、さらに金を被着
させることにより電極の密着性が高まり、熱処理等を行
っても電極金属の凝集が起こらない。これにより安定し
てn型カルコゲナイド結晶上にオーム性電極が形成でき
る。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例をn型ZnSSeを例
にとって以下に説明する。
【0009】第1実施例 図1に示すように、p型GaAs結晶基板11上にMO
CVD法によってLiを添加したp型ZnSSe結晶を
成長させたp型ZnSSe層12、また、その上に塩素
添加n型ZnSSe結晶を成長させたn型ZnSSe層
13、さらに表面にインジウム層14を2000オング
ストローム(以下Aと略記する)厚蒸着法により積層
し、引続いて金層15を1000A厚蒸着して一方の電
極を形成する。また、前記基板11の裏面に形成された
他方の電極のAu−Zn層16を備える。
【0010】上記半導体装置の構造に対する比較ため
に、従来用いられてきたIn−Ga電極21をオーム性
電極とした場合の素子の構造を断面図で図2に示す。こ
の場合にはIn−Gaを表面に塗布した後、不活性ガス
中、もしくは水素中で350℃、5分の熱処理を施し
た。双方ともp型GaAs基板側のオーム性接触はAu
−Znを蒸着する事によって形成した。このようにして
作製した各ダイオードは順方向に電流を通じると460
nm付近に発光ピークを有する青色発光を示した。これ
らの発光素子(LED)の電流−電圧特性を図3に示
す。電流の立ち上がる電圧はほぼ両者に違いは見られな
いが、その後、本発明の実施例の場合には急峻に立ち上
がっているのに対して、比較例の場合には立ち上がりが
緩やかである。これは両者に電極n型結晶との間におけ
る接触抵抗の相違が反映している。すなわち、本発明に
よる実施例の場合には、比較例に比べてはるかに接触抵
抗が小さいことを示している。さらに実施例の場合に
は、比較例と同じ熱処理を行うことによりさらに一層の
接触抵抗の低減が可能となる。従って同じ電圧を負荷し
た場合、より多くの電流を流すことができそれによる発
熱を低減できるため、発光光度の飽和が生じにくい(図
4)。また、熱処理により電極が凝集することなく電極
形状を任意にデザインすることが可能である。すなわ
ち、図5(a)に示すような環状の電極31ばかりでな
く、図5(b)に示すような櫛形の電極41形成も可能
であるし、レーザーダイオードで見られるような矩型の
電極形状(図示省略)も形成できる。これらは従来の方
法では熱処理の過程でいずれも凝集してしまうため形成
が困難なものであった。上に述べたように本発明による
実施例では、電極材料を蒸着あるいはスパッタといった
ような量産化に適した手段で積層できる上に、熱処理に
より積そうした電極材料が凝集することがないために、
電極のデザインが容易になり光取り出し効率等の素子目
的に合致した電極形状を選択できる。
【0011】次に、n型ZnSe単結晶を基板とした場
合についての実施例を次に示す。
【0012】第2実施例 図6は本実施例に係る素子の断面図である。n型ZnS
e結晶基板51上にn型ZnSe層52をMOCVD法
により成長させ、さらにp型ZnSe結晶層53を成長
させた。n型ZnSe基板には全面にIn層54を蒸着
した後、Au層55を蒸着した。その後熱処理(350
℃、5分)を行ってオーム性電極とした。p型結晶層5
3表面にはAuを蒸着し、オーム性電極の電極56とし
た。この素子の場合には発光はp型結晶側で生じるため
発光波長は480nm付近に極大を持つ。このような光
はZnSeの禁止帯幅よりも小さいエネルギーを持って
いるため基板中で吸収をほとんど受けない。そのため基
板側の電極が反射板としての役割を果たし発光の外部へ
の光取り出し効率が格段に向上する。ZnSeを基板に
用いた場合には従来用いられていた電極では熱処理で凝
集が生じるため実施例の場合のように全面電極を形成す
ることが困難である。
【0013】図7は実施例の1について形成した電極を
熱処理の前後で深さ方向にSIMS分析して元素組成を
調べたものである。熱処理前にはInとAuの層が明瞭
に区別できるが熱処理後には相互に混じりあって合金の
ようになる。さらに、熱処理によりInがn型結晶中に
拡散し、結晶表面近傍にInの高濃度層を形成してい
る。このような合金化の過程が均一におこるため凝集が
生じることなく均一な電極が形成されるものである。
【0014】本発明は、上記実施例に限られるものでは
ない。例えばn型カルコゲナイド結晶はZnSeあるい
はZnSに限られず、ZnSでも同様な効果が達成され
。さらに、素子構造にしても発光素子に限られるもの
ではなく受光素子、レーザ素子、非線形光学素子、トラ
ンジスタ等の電子デバイスなどでn型II族カルコゲナイ
ド結晶のオーム性電極形成を行う場合に適用できる。ま
た、電極材料の積層方法においても蒸着やスパッタ法に
限られるものではない。さらに第1の層は、少くともイ
ンジウムを含有しておれば良く、純粋なインジウムや
インジウムにTi、Ga等を添加したインジゥムを主と
する金属でも良い。第2の層は純粋な金、白金でも良い
が、これらにZnを添加した金、白金を主とする金属で
も良い。
【0015】その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で
種々変形して実施することができる。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、n
型カルコゲナイド結晶へのオーム性電極を形成する場合
において、InとAuとを積層する事により再現性に優
れかつ量産性に優れさらに接触抵抗の低い良好な電極を
得ることができる。そのためカルコゲナイド結晶を用い
た素子の特性も飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す素子の断面図。
【図2】本発明を説明するための比較例を示す素子の断
面図。
【図3】素子の電流電圧特性を示す図。
【図4】素子の電流光出力特性を示す図。
【図5】(a)、(b)は本発明による電極形状の例を
示すいずれも斜視図。
【図6】本発明の第二の実施例を示す断面図。
【図7】(a)、(b)はいずれも本発明による電極の
組成を深さ方向にSIMS分析した図。
【符号の説明】
13…n型ZnSSe層 14、54…In層 15、55…Au層 51…n型ZnSe基板

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Znを含むカルコゲナイド結晶のn型領
    域表面に、少くともインジウムを含有する第1の層及
    び、この第1の層に少くとも金または白金を含有する第
    2の層を順次形成し、その後第1の層の融点より高い温
    度で熱処理を行ってオーム性電極を得ることを特徴とす
    る半導体装置の製造方法
JP18910791A 1991-07-30 1991-07-30 半導体装置の製造方法 Expired - Lifetime JP3080698B2 (ja)

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