JP2993654B2 - 電極構造 - Google Patents

電極構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属と半導体との良好
なオーミック接触を実現するための電極構造に関し、特
にp型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、
z≦1,x+y≦1)化合物半導体に対する良好なオー
ミック接触実現のための電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
(従来例1)図5(a)に、従来の青色発光素子によく
用いられているAu/p型ZnSe電極構造の概略図を
示す。この電極構造は、p型ZnSe層21の上にAu
(金)からなるAu電極3、3が形成されている。この
電極構造は、例えば(”Blue−green las
er diodes”,M.A. Haase et.
al, Appl. Phys.Lett. 59 p
1272)、あるいは(”Blue−green in
jection laser diodesin Zn
CdSe/ZnSe Quantum wells”,
H.Jeon et.al,Appl.Phys.L
ett.59 p3919)に紹介されている。
【0003】このAu/p型ZnSe接合を有する素子
は図5(b)に示したような電流―電圧特性を示し、オ
ーミック接触が実現されている場合のような直線で対称
な電流―電圧特性を示さない。エネルギーバンド図は、
図8に示すような、ショットキー接合のバンド図とな
る。このように、Au/p型ZnSeの電極構造におい
ては、オーミック接触を得ることは困難となっている。
【0004】(従来例2)図6に、従来例2の素子の電
極構造と、その素子の有する電流―電圧特性を示す。図
6(a)が電極構造であり、図6(b)がその電流―電
圧特性である。この電極構造は、図6(a)に示すよう
に、p型CdSe22上にAuを蒸着し300℃で熱処
理を行うことによってAu電極3が形成されたものであ
る。
【0005】このような電極構造を有する素子は、図6
(b)に示すような直線で対称な電流―電圧特性を有
し、オーミック接触が形成されていることが理解され
る。このことは、”p型CdSeの製作と評価”(大塚
他、第24回結晶成長国内学会)において明かにされ
ている。
【0006】(従来例3)図7に、従来例3の素子の電
極構造と、その素子の有する電流―電圧特性を示す。図
7(a)が電極構造であり、図7(b)がその電流―電
圧特性である。この電極構造は、図7(a)に示すよう
に、p型ZnSe21上に、分子線エピタキシー(MB
E)法によりHgSe23を成長し、このHgSe23
の上にAu電極3が形成された構造をとる。
【0007】このような電極構造を有する素子は、図7
(b)に示すような直線で対称な電流―電圧特性を有
し、オーミック接触が形成されていることが、”Imp
roved ohmic contanct for
p−type ZnSe and Related p
−on−n diode”(Y.Lansari e
t. al, Appl. Phys. Lett.
61 p2554)に明かにされている。
【0008】(従来例4)従来例4の素子として、”G
raded band gap ohmic cont
act to p−ZnSe”(Y.Fan et.a
l, Appl.Phys. Lett. 61. p
3160)に紹介されている素子を取り挙げる。この従
来例4の素子においては、p型ZnSeに対するオーミ
ック接触の形成法として、ZnSe上にZnTeの歪超
格子を形成した構造が示されている。
【0009】(従来例5)従来例5として、特開平2―
122565号公報に開示されている素子を取り挙げ
る。この素子は、p型ZnSe上にTe(テルル)とS
e(セレン)を含む合金膜あるいはTeとSeを含む亜
鉛化合物膜が形成され、電極は周期律表Vb族元素を含
むAuで形成された構造をとる。このような構造によっ
てp型ZnSeとAuとの間にオーミック接触が実現さ
れている。この素子は、p型ZnSe上にTeとSeを
含む合金膜あるいはTeとSeを含む亜鉛化合物膜を形
成した後、熱処理を行い、周期律表Vb族元素を含むA
uを蒸着することによって作製する。
【0010】(従来例6)従来例6として、特開平1―
187884号公報に開示されている素子を取り挙げ
る。この素子は、p型ZnSe上にSeが堆積され、こ
のSe上にAu/Li(リチウム)合金の電極が形成さ
れた構造をとる。このような構造によってp型ZnSe
とAu/Li電極との間にオーミック接触が実現されて
いる。この素子は、p型ZnSe上にSeを堆積し、S
eの堆積に引続きAu/Liの合金を堆積し、熱処理を
行うことによって作製される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来例1の素子構造を
青色発光素子に適用した場合には、電極部にショットキ
ー接合が形成されるので、素子の動作に必要な電流を得
るのに、十数V程度の電圧をAu/ZnSe界面に印加
する必要があり、動作電圧が大きくなる。
【0012】さらにZnSeにMg、Sを添加すること
によってショットキー障壁電位が大きくなり、オーミッ
ク接触の形成がより困難になる。
【0013】従来例3の素子の構造の作製においては、
HgSeを素子構造作製のためのMBE装置と同一の装
置で成長した場合、Hg原子が素子構造内に混入される
ので、素子特性が劣化するといった問題がある。この問
題に対処するためには、HgSe成長のための専用MB
E装置を用いればよいが、この場合、生産性が低下する
といった新たな問題が生じる。
【0014】従来例4の場合、ZnTeとZnSeとの
間に、1.2eVの大きな価電子帯のバンドの不連続が
生じるため、必ずしもオーミック接触が得られるわけで
はなく、超格子構造・キャリア濃度の最適化が必要とな
る。
【0015】従来例5の場合、TeとSeを含む合金
膜、あるいはTeとSeを含む亜鉛化合物が必ずしも高
い電気伝導性を示すとは限らず、またAuとのオーミッ
ク性についても明かにはなっていない。
【0016】従来例6の電極構造を発光素子に用いた場
合、Li原子の拡散によって素子特性が悪化するといっ
た問題が生じる。
【0017】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、半導体としてp型ZnxMgy
1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦
1)化合物半導体を用いた電極構造において、優れた特
性を示すオーミック接触が実現される電極構造を提供す
ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の電極構造は、p
型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦
1,x+y≦1)化合物半導体と電極金属との間にp型
CdSvSe1-v(0≦v≦1)層が形成されており、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0019】ある実施例では、p型ZnxMgyCd
1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)
化合物半導体と電極金属との間にp型ZnSe/CdS
vSe1-v(0≦v≦1)よりなる超格子層が形成されて
なる。
【0020】
【作用】以上のような構成により、本発明の電極構造
は、ZnSe/CdSe界面において、周期律表VI族
元素がSeで共通であるので、図9(a)に示すように
価電子帯のバンドの不連続がほぼゼロ(0.05eV)
であり、バンドがほぼ連続した状態になっている。
【0021】従来例2でも述べたようにAu電極はCd
Seと容易にオーミック接触を形成する。従って、電極
に、例えばこのAu電極を用いると、Au電極から注入
された正孔は、ZnSe/ZnTe界面と比較すると、
容易にZnSe層に達することができる。
【0022】また、ZnSe/CdS界面は、図9
(b)に示すように、価電子帯の頂上の位置関係がZn
Se/CdSe界面のそれと逆転しているため、p型Z
nSe層への正孔の注入はZnSe/CdSe界面にお
ける場合より容易となる。
【0023】さらに、図9から明らかなように、ZnS
e上に成長するCdSvSe1-v単膜の組成比vを選択す
ることによって、ZnSeとCdSvSe1-vの価電子帯
のバンドの不連続をゼロにすることができる。
【0024】また、p型ZnxMgyCd1-x-yzSe
1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)上にp型Zn
Se/CdSvSe1-v超格子を形成する構成の場合に
は、傾斜組成中間層を形成し、これによって金属―半導
体界面のバンドの不連続をほぼゼロにできる。
【0025】さらに、超格子構造を形成する構成の場
合、ZnSe層を選択的に高濃度にドーピングすること
により、コンタクト層の抵抗率の低減が可能となる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。本実施例
によって本発明が限定されるものではない。
【0027】(実施例1)図1に、本発明の実施例1の
電極構造を示すための素子の概要を示す。この素子はp
型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦
1,x+y≦1)半導体1の上にp型CdSSeエピタ
キシャル層2が形成されており、このエピタキシャル層
2の上にAu電極3が形成されている。
【0028】このような素子の作製は、先ず、p型Zn
xMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦1,x
+y≦1)半導体1の上に、p型CdSvSe1-v(0≦
v≦1)エピタキシャル層2を成長する。本実施例1で
は、エピタキシャル層2の材料として、CdS0.2Se
0.8なる元素組成の化合物を用いた。その後、真空蒸着
法によりこのエピタキシャル層2の上にAuを蒸着し、
窒素雰囲気中300℃下、5分間熱処理することによっ
てAu電極3を形成した。
【0029】この素子は図2に示すような直線で対称な
電流−電圧特性を示し、p型ZnxMgyCd1-x-yz
1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)半導体1と
Au電極3との間に良好なオーミック接触が実現されて
いることが理解される。図2において(a)は半導体1
がZnSeの場合、(b)は半導体1がZn0.7Mg0.3
0.2Seo.8の場合である。
【0030】CdSvSe1-vの元素組成比vとしては、
0≦v≦1とできるが、上述したように、組成を選ぶこ
とによって価電子帯のバンド不連続をなくすことができ
る。実際には0≦v≦0.5とすることで同一の効果が
得られる。
【0031】(実施例2)図3に、本発明の実施例2の
電極構造を示すための素子の概要を示す。この素子はp
型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦
1,x+y≦1)半導体1の上にp型ZnSe/CdS
vSe1-v(0≦v≦1)超格子層4が形成されており、
この超格子層4の上にAu電極3が形成されている。
【0032】このような素子の作製は、先ず、p型Zn
xMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦1,x
+y≦1)半導体1の上に、p型ZnSe/CdSv
1-v超格子層4を成長する。本実施例2では、超格子
層4の材料として、p型ZnSe/CdS0.2Se0.8
る元素組成の化合物を用いた。その後、真空蒸着法によ
りこの超格子層4の上にAuを蒸着し、窒素雰囲気中3
00℃下、10分間熱処理することによってAu電極3
を形成した。
【0033】この素子は図4に示すような直線で対称な
電流−電圧特性を示し、p型ZnxMgyCd1-x-yz
1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)半導体1と
Au電極3との間に良好なオーミック接触が実現されて
いることが理解される。図4において(a)は半導体1
がZnSeの場合、(b)は半導体1がZn0.7Mg0.3
0.2Seo.8の場合である。
【0034】ZnSeおよびCdSSeの膜厚として
は、何らの制限を受けない。
【0035】また、実施例1の素子の場合と同様、Cd
vSe1-v層の組成としては、0≦v≦1とできるが、
組成を選ぶことによって価電子帯のバンド不連続をゼロ
にすることができる。実際には0≦v≦0.5とするこ
とで同一の効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればp
型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、y、z≦
1,x+y≦1)半導体化合物に対して良好なオーミッ
ク接触を形成することが可能となり、従来に比べて低い
動作電圧を有する青色発光素子の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る素子の概略の断面図で
ある。
【図2】実施例1の素子の電流−電圧特性を示す図であ
る。
【図3】本発明の実施例2に係る素子の概略の断面図で
ある。
【図4】実施例2の素子の電流−電圧特性を示す図であ
る。
【図5】従来例1の素子およびその電流−電圧特性を示
す図である。
【図6】従来例2の素子およびその電流−電圧特性を示
す図である。
【図7】従来例3の素子およびその電流−電圧特性を示
す図である。
【図8】従来例1の素子の金属−半導体電極構造におけ
るエネルギーバンド図である。
【図9】ZnSe/CdSeおよびZnSe/CdSの
エネルギーバンド図である。
【符号の説明】
1 p型ZnxMgyCd1-x-yzSe1-z(0≦x、
y、z≦1,x+y≦1)半導体 2 p型CdSSeエピタキシャル層 3 Au電極 4 p型ZnSe/CdSSe超格子層 21 p型ZnSe 22 p型CdSe 23 HgSe
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 29/43

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型ZnxMgyCd1-x-yzSe
    1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)化合物半導体
    と電極金属との間にp型CdSvSe1-v(0≦v≦1)
    層が形成された電極構造。
  2. 【請求項2】 p型ZnxMgyCd1-x-yzSe
    1-z(0≦x、y、z≦1,x+y≦1)化合物半導体
    と電極金属との間にp型ZnSe/CdSvSe1-v(0
    ≦v≦1)よりなる超格子層が形成された電極構造。
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