JP2632975B2 - p型ZnSeに対するオーミック電極形成法 - Google Patents

p型ZnSeに対するオーミック電極形成法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は化合物半導体を用いた青色発行素子の作製法
においてp型ZnSeに対するオーミック電極形成法に関す
るものである。
(従来の技術) ZnSeは直接遷移型半導体であり、青色発行材料として
有望視されているが、残留不純物や結晶中の欠陥により
アクセプタが補償されるためp型伝導膜を得ることは長
い間困難とされてきた。最近になって、分子ビームエピ
タキシー,有機金属気相成長法などのような新しい結晶
薄膜成長技術の進歩によりp型伝導ZnSeの成長が可能と
なり、ZnSeによるPn接合の作製も試みられるようになっ
た。そこで素子作製上オーミック電極の形成が重要とな
ったが、p型ZnSeに対する電極として金(Au)の蒸気膜
が試みに使用されているが、この方法では良好なオーミ
ック特性が得られない。なぜならば、ZnSeはアクセプタ
が極めて補償され易い性質を有する半導体であり、また
金のZnSe中へ固容度が低いため、単純に蒸着した金を加
熱によりZnSeと合金化してもオーミックな特性を有する
p+伝導に変換することはできない。
(発明が解決しようとする課題) 上述の問題を避けるために、p型GaAs基板上にp型Zn
Se,n型ZnSeの順に積層し、p型GaAs基板とn型ZnSe上に
オーミック電極を形成する方法が採用されている。しか
し、この構造では、p型GaAsとp型ZnSe界面の価電子帯
の不連続が正孔に対する障壁となるうえ、電解印加によ
りGaAs基板よりGaがZnSe中に拡散し易いなどの問題があ
った。このため、素子の動作電圧が7−10Vと高く、そ
の特性が経時変化を示すなど信頼性に欠けるものであっ
た。
第5図は従来のZnSe青色発光素子の構造(イ)及びバ
ンドダイアグラム(ロ)を示す。(イ)図においてp型
GaAs基板上に、p型ZnSe、ついでn型ZnSeが形成され、
かつ基板にAu−Zu電極、n型ZnSeにIn−Au電極が形成さ
れている構造を示す。
本発明は、上記従来技術の欠点を解決し、p型ZnSeに
対する良好なオーミック電極形成法を提供することによ
り、ZnSeを用いた高発光率の青色発光阻止を実現するこ
とを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するため、ZnTeが金を用いて
容易にオーミック電極が形成できるp型半導体であるこ
とを着目し、p型ZnSeにまずTeあるいはSe−Te合金を蒸
着し、アニールすることで表面付近をZnSeTeの混晶とす
るか、あるいはp型ZnSe上にp型ZnSeTeあるいはZnTeを
エピタキシャル成長した後、さらにZnTe中でアクセプタ
となるSbを含む金を蒸着し、再度アニールによりオーミ
ック電極とすることを最も主要な特徴とする。
(作用) 本発明は従来技術がp型ZnSe上に直接金を蒸着してい
た点で異なっており、Te−Se系合金膜を用いて、p型Zn
Se膜表面に薄いZnTeSe混晶層を形成することによって良
好なオーミック電極が容易に得られる。
(実施例) 次に本発明の実施例について説明する。なお、実施例
は一つの例示であって、本発明の精神を逸脱しない範囲
で、種々の変更あるいは改良を行いうることは言うまで
もない。
(実施例1) 第1図に示すように、半絶縁性GaAs基板上に350℃の
基板温度でDEZ((C2H52Zn)とH2Seを原料として有機
金属気相成長法で、ドーパントの原料であるNH3を用い
てアクセプタである窒素を含むp型ZnSe(キャリア濃度
p〜1016cm-3,4μm)を作製した後、該ZnSeを200℃に
してTe−Se(Se10%)を1000Å蒸着し、350℃で10分間
加熱してアロイ化する。さらに、その上にAu−Sb(Sb1
%)を2000Å蒸着した後400℃,30分間、水素気流中で熱
処理して電極とした。なお、基板表面のpチャンネルの
影響を取り除くため、ノンドープZnSeバッファ層(厚さ
0.3μm)を使用している。
第2図は、このようにして得られた資料の表面に設け
た、2箇所の電極(A,B)間で測定した電流−電圧特性
を示す。電流と電圧が直線関係にあり、オーミックな特
性を示していることがわかる。この電流−電圧特性から
求めたp型ZnSe膜の比抵抗は50Ωcmでホール測定の結果
とよく一致している。
この場合、SeとTeを含む合金膜のTe組成が50%以上で
あることを特徴とする。
Te−Se合金の代わりに、ZnTe結晶を上記と同様に蒸着
した場合にもオーミック電極が得られることを確認して
いる。
(実施例2) 第3図は、本発明による青色発光素子の構造(イ)お
よびバンドダイアグラム(ロ)を示す。実施例1と同様
な有機金属気相成長法により、n型GaAs基板(n〜1018
cm-3)上にヨウ素を添加したn型ZnSe(厚さ2μm,n〜1
017cm-3)、窒素を添加したp型ZnSe(厚さ3μm,p〜10
16cm-3)の順に積層して素子を作製した。なおn型GaAs
基板に帯してAu−Ge電極を設け、p型ZnSeに対してはSe
−Te層、ついでAu−Sb層を設け電極とする。ヨウ素の原
料としてはヨウ化エチル(C2H5I)を用いた。この素子
構造では(ロ)に示すように、n型GaAs基板とn型ZnSe
膜との間に伝導帯の不連続がほとんど存在せず、伝導電
子は障壁により阻止されることなくZnSeのpn接合部へ注
入される。また、GaAs基板よりGaが拡散してきたとして
も、Gaはドナーであるためn型ZnSe中では問題にならな
い。
一方、正孔はp型ZnSe層上に設けられたオーミック電
極よりZnSeのpn接合部へ供給され、伝導帯の電子と再結
合し、高効率な青色発光を得られる。また正孔に対して
も障壁が存在しないため、素子特性も良好で信頼性の高
いものとなっている。なお、この素子において、n型Ga
As基板へのオーミック電極としてはAu−Ge(Ge:10%)
を蒸着し、水素気流中で400℃30秒間、熱処理をして電
極とした。p型ZnSeに対するオーミック電極は実施例1
の通りにして得た。
第4図は前記の素子の動作特性を示している。動作電
圧は2.5Vで、バンドダイアグラムから予想される値とよ
く一致している。その特性も安定しており、素子として
の信頼性も高い。青色発光強度も5倍程増している。
(実施例3) 実施例1と同様に半絶縁性GaAs基板上にp型ZnSe(p
〜〜1016cm-3)を積層した後、さらにDEZ,H2Se,DETe
((C2H52Te)を原料として基板温度450℃で窒素添加
p型ZnTexSe1-x(厚さ2000Å,x=0.65)を有機金属気相
成長法により積層した。このp型ZnTexSe1-x層はキャリ
ア濃度(1018cm-3)のp+層になっている。その上にAu−
Sb(Sb:1%)を2000Å蒸着した後400℃,30秒間,水素気
流中で熱処理することで電極とした。
この場合、TeとSeを含む亜鉛化合物膜(ZnTexSe1-x
の組成が少なくともx>0.5の範囲であることを特徴と
する。
この表面に設けた2箇所の電極間で設けられた電流−
電圧特性は実施例1において得られたのと同様の特性を
示し、良好なオーミック電極がこの方法によっても得ら
れることが確認された。
(発明の効果) このように本発明によれば、Te−Se系合金膜を用いて
p型ZnSe膜表面に薄いZnTeSe混晶層を形成することによ
り、p型ZnSeに対する良好なオーミック電極が得られ、
その結果、ZnSe青色発光素子の特性および、信頼性が大
幅に向上し、発光効率も増大する効果がある。本発明が
利用される分野は表示素子および光ディスク媒体などへ
の書き込み用光源などで利用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1においてオーミック特性を確認するた
めに作られた素子の構造を示す。第2図は第1図の素子
の表面電極間の電流−電圧特性を示す。第3図は本発明
を利用して作られた発光素子の構造およびバンドダイア
グラムを示す。第4図は第3図の素子の動作特性を示
す。第5図は従来のZnSe青色発光素子の構造およびバン
ドダイアグラムを説明する図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型伝導ZnSe半導体を用いた発行素子を作
    製する工程において、p型ZnSeに対するオーミック電極
    を形成する際に、前記ZnSe上にまずTeとSeを含む合金膜
    あるいはTeとSeを含む亜鉛化合物膜を形成した後、熱処
    理を行い、引き続き電極として使用する金属である微量
    のVb族元素を含む金(Au)を蒸着することを特徴とする
    p型ZnSeに対するオーミック電極形成法。
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