JP3079561B2 - ヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びに電子写真感光体及び有機薄膜el素子 - Google Patents

ヒドラゾン化合物及びその製造方法、並びに電子写真感光体及び有機薄膜el素子

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JP3079561B2 JP02304151A JP30415190A JP3079561B2 JP 3079561 B2 JP3079561 B2 JP 3079561B2 JP 02304151 A JP02304151 A JP 02304151A JP 30415190 A JP30415190 A JP 30415190A JP 3079561 B2 JP3079561 B2 JP 3079561B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規なヒドラゾン化合物とその製造方法お
よび該化合物を用いたデバイスに関し、さらに詳しく
は、電子写真感光体および有機薄膜EL素子等に用いられ
る電荷移動性の材料として優れた機能を有するヒドラゾ
ン化合物およびその製造方法と該化合物を用いた電子写
真感光体および有機薄膜EL素子に関するものである。
[従来の技術およびその課題] 従来、電子写真方式において使用される感光体の光電
導材料として、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、ア
モルファスシリコン等の無機物質がある。これらの無機
系感光体は多くの長所を持っているが、それと同時に種
々の欠点、例えば有害であることや、コスト高であるこ
と等の欠点を持っている。このため、近年になって、こ
れらの欠点のない有機物質を用いた有機感光体が数多く
提案され、実用化に供されている。
また、この感光体の構造としては、電荷担体を発生す
る材料(以下、電荷発生材料と呼称する。)と、発生し
た電荷担体を受け入れ、これを移動させる材料(以下、
電荷移動材料と呼称する。)とを別々の層にした機能分
離型感光体を有する多層構造と、電荷発生と電荷移動を
同一材料で行う単層タイプ感光体を有する単層構造が挙
げられるが、多層構造の方が材料の選択の幅が大きく、
かつ高感度になることから、多く採用されている。
近年、ノンインパクトプリンティング技術の発展に伴
い、レーザ光源を使用した電子写真プリンタの研究開発
が盛んに行われている。これらの装置においては、装置
サイズの小型化と、高速化が進められており、感光体材
料についても高感度、高移動度化が望まれているが、従
来の電荷移動材料を電荷移動層に用いた電子写真感光体
では、未だに十分な感度が得られていない。
また有機物質を原料としたEL(電界発光)素子は、安
価な大面積フルカラー表示素子を実現するものとして注
目を集めている。例えばアントラセンやペリレン等の縮
合多環芳香族系を原料としてLB法や真空蒸着法等で薄膜
化した直流駆動の有機薄膜EL素子が製造されている。し
かしながら、その発光輝度、効率は無機薄膜EL素子のそ
れと比べて低かった。また、発光特性の劣化も著しく、
実用レベルのものができなかった。
ところが、最近、有機薄膜を3層構造にした新しいタ
イプの有機薄膜EL素子が報告され、強い関心を集めてい
る。報告によれば、この有機薄膜EL素子は、第3図に示
すように、強い光を発する12−フタロペリノン誘導体を
有機蛍光体薄膜層14に、アミン系有機材料を有機正孔伝
導性薄膜層13に、さらにペリレン誘導体を有機電子伝導
性薄膜15に使用して3層構造とし、これらを透明電極12
及び背面電極16で挾むことにより、明るい黄色発光を得
たことが報告されている。この素子は、約30Vの直流電
圧印加で500cd/m2以上の輝度を得ているので、実用レベ
ルに近い性能を持っている。しかしながら、上記の輝度
を得るためには100mA/cm2以上の電流を流さなければな
らず、従来使用していた有機物質の正孔伝導性薄膜層で
は、安定して充分電流を流すことができなかった。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、このような従来の状況に鑑みて研究を
続けた結果、カルバゾール誘導体構造を有するヒドラゾ
ン化合物が、非常に良好な電荷移動(正孔伝導)特性を
示すことを見い出した。
すなわち本発明は、一般式; (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
はベンジル基を示し、R10、R11は、水素原子、アルキル
基、置換基を含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基
またはナフチル基で同一でも異なっていても構わな
い。) で示されることを特徴とするヒドラゾン化合物である。
またその製造方法は、一般式; (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
はベンジル基を表す。) で示される化合物と、一般式; (式中、R10、R11は、水素原子、アルキル基、置換基を
含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基またはナフチ
ル基で同一でも異なっていても構わない。) で示されるヒドラジン化合物とを反応させることを特徴
とする、一般式; (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
はベンジル基を示し、R10、R11は、水素原子、アルキル
基、置換基を含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基
またはナフチル基で同一でも異なっていても構わな
い。) で示されるヒドラゾン化合物の製造方法を特徴とする。
本発明によるヒドラゾン化合物は、例えば次のように
して製造することができる。即ち、N−メチルアニリン
を亜硝酸でニトロソ化し、還元して1−フェニル−1−
メチルヒドラジンを得る。このヒドラジンとシクロヘキ
サノンとを縮合させ、カルバゾール誘導体を得る。これ
を還元した後、ビルスマイヤー反応によりアルデヒド基
を導入し、次いでヒドラジン化合物と縮合反応させるこ
とにより、本発明のヒドラゾン化合物を得ることができ
る。
また上述のカルバゾール誘導体は、N−ニトロソ−N
−エチルアニリンとシクロヘキサノンを亜鉛の存在下、
酢酸溶媒中で反応させることにより、一段階で得ること
もできる。
本発明の化合物は、テトラヒドロフラン、クロロホル
ム、塩化メチレンなどの溶液に可溶であり、ポリカーボ
ネート等の樹脂とともに溶解した溶液をキャストするこ
とによって硬いフィルムを製造することができるため、
電子写真感光体の電荷移動材料として有用であり、また
蒸着によっても成膜可能であり、有機薄膜EL素子の正孔
伝導性物質としても有用である。
即ち、本発明によれば、電荷発生材料と電荷移動材料
を含む電子写真感光体において、電荷移動材料が、上記
一般式[I]で示されるヒドラゾン化合物であることを
特徴とする電子写真感光体が提供される。
本発明の電子写真感光体は、導電性基板上に、アンダ
ーコート層、電荷発生層、電荷移動層の順に積層された
ものが望ましいが、アンダーコート層、電荷移動層、電
荷発生層の順で積層されたものや、アンダーコート層上
に電荷発生材料と電荷移動材料を適当な樹脂で分散塗工
されたものでもよい。また必要に応じてアンダーコート
層は省略することもできる。本発明によるヒドラゾン化
合物を電荷移動層として適当なバインダーと共に基板上
に塗工することで、きわめて分散性がよく、高い電荷移
動度を示す電荷移動層を得ることができる。
電荷移動層の塗工は、スピンコーター、アプリケータ
ー、スプレーコーター、バーコーター、浸漬コーター、
ドクターブレード、ローラーコーター、カーテンコータ
ー、ビードコーター装置を用いて行い、乾燥は、望まし
くは加熱乾燥で、40〜200℃、10分から6時間の範囲
で、静止または送風条件下で行う。
電荷移動層を塗工によって形成する際に用いるバイン
ダー樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、ま
たポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセ
ン樹脂やポリビニルピレン樹脂などの有機光導電性ポリ
マーからも選択できる。好ましくは、ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩
ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリア
クリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、
カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロ
リドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。電荷
移動層中に含有する樹脂は、99重量%以下、好ましくは
40重量%以下が適している。またこれらの樹脂は、1種
または2種以上組み合わせて用いても良い。
電荷移動材料およびバインダー樹脂を溶解する溶剤は
樹脂等の種類によって異なり、後述する電荷発生層やア
ンダーコート層に塗工時に影響を与えないものから選択
することが好ましい。具体的には、ベンゼン、キシレ
ン、リグロイン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エ
タノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸
エチル、メチルセロソルブなどのエステル類、四塩化炭
素、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、
トリクロルエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素
類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル
類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト
アミドなどのアミド類、およびジメチルスルホキシドな
どのスルホキシド類が用いられる。
なお、電子写真感光体の電荷移動層の膜厚としては10
〜25μmが好ましい。さらに、この電荷移動層に、通常
用いられる各種添加剤、例えば紫外線吸収剤等を必要に
応じて添加することは劣化防止に有効である。
本発明で用いられる導電性基板としては、アルミニウ
ム、ニッケル、クロム基板およびこれらの導電性物質の
薄層を設けたプラスチックフィルムなどが用いられる。
電荷発生層としては、公知の光導電性材料、例えばCd
S,Se,ZnO等の無機材料、あるいはCu,Al,In,Ti,Pb,V等の
金属原子を有するフタロシアニン類、さらには無金属フ
タロシアニン、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、あるいは
シアニン系顔料等の有機材料を単独あるいは混合して使
用できる。
電荷発生層を塗工によって形成する際に用いるバイン
ダー樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、ポ
リビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アク
リル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩ビ−酢ビ
共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアクリロニ
トリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、カゼイ
ン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン
樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。電荷発生層
中に含有する樹脂は、99重量%以下、好ましくは30〜65
重量%が適している。またこれらの樹脂は、1種または
2種以上組み合わせて用いてもよい。
電荷発生材料およびバインダー樹脂を溶解する溶剤は
樹脂等の種類によって異なり、後述するアンダーコート
層に塗工時に影響を与えないものから選択することが好
ましい。具体的には、ベンゼン、キシレン、リグロイ
ン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香
族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソ
プロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、メチル
セロソルブなどのエステル類、四塩化炭素、クロロホル
ム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリクロルエチ
レンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロ
フラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミ
ド類、およびジメチルスルホキシドなどのスルホキシド
類が用いられる。
なお、電子写真感光体の電荷発生層の膜厚は、帯電性
の保持、安定性確保のために0.1〜0.5μmが好ましい。
また必要に応じてバインダーと共に可塑剤等を用いるこ
ともできる。塗工は、前述した電荷移動層と同等な方法
で行うことができる。
アンダーコート層に用いられるバインダー樹脂として
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン61
0、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロンなど
のアルコール可溶性ポリアミド樹脂、カゼイン、ポリビ
ニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、エチレン
−アクリル酸共重合体、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂が用いられる。アンダーコー
ト層の塗工は、前述の電荷移動層、電荷発生層と同等な
方法で行うことができる。その際、アンダーコート層の
膜厚は0.1〜20μm、望ましくは0.5〜10μmが良い。ま
たこれらのアンダーコート層は必要に応じて省略するこ
ともできる。
本発明の電子写真感光体は、レーザビームプリンタの
みではなく、半導体レーザ等、波長750〜850nmの光源を
使用したその他の各種デバイスにも応用することができ
る。
さらに、本発明によれば、少なくとも一方が透明な一
対の電極間に、少なくとも有機正孔伝導性薄膜と有機蛍
光体薄膜とが積層された有機薄膜EL素子において、有機
正孔伝導性薄膜が、上記一般式[IV]で示されるヒドラ
ゾン化合物を含むことを特徴とする有機薄膜EL素子が提
供される。
本発明の有機薄膜EL素子としては、第2図に示すよう
に、透明でかつ正孔注入電極である透明電極7の上に正
孔伝導性薄膜層8としてヒドラゾン化合物を使用し、透
明電極7からの正孔注入効率および正孔伝導性薄膜層内
の輸送効率を高めた構造の他、第3図に示すように、有
機蛍光体薄膜層14と背面電極16の間に有機電子伝導性薄
膜層15を設置した、いわゆる3層構造の有機薄膜EL素子
も含まれる。ヒドラゾン化合物層の膜厚は100オングス
トローム以上であれば効果が認められる。
なお、透明電極としては、通常用いられるものであれ
ばいずれでもよく、例えば、ITO、SnO2:Sb、ZnO:Al、Au
等が挙げられる。背面電極には、In、Mg:Ag等が使われ
る。
また本発明に用いられる有機蛍光体の具体的な例とし
ては、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウ
ム、12−フタロペリノン、8,9,10,11−テトラクロロ−1
2−フタロペリノン、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペ
ンタジエン、ナフタル、4−アミノナフタルイミド、N
−メチル−4−アミノナフタルイミド、N−エチル−4
−アミノナフタルイミド、N−プロピル−4−アミノナ
フタルイミド、N−n−ブチル−4−アミノナフタルイ
ミド、4−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル
−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−エチル−4
−アセチルアミノナフタルイミド、N−n−ブチル−4
−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル−4−メ
トキシナフタルイミド、N−エチル−4−メトキシナフ
タルイミド、N−プロピル−4−メトキシナフタルイミ
ド、N−n−ブチル−4−メトキシナフタルイミド、N
−メチル−4−エトキシナフタルイミド、N−エチル−
4−エトキシナフタルイミド、N−プロピル−4−エト
キシナフタルイミド、N−n−ブチル−4−エトキシナ
フタルイミド、N−(2,4−キシリル)−アミノナフタ
ルイミド、N−ブチル−4−ブチルアミノナフタルイミ
ドなどがあるが、この限りではない。
本発明に用いられる有機電子伝導性物質の具体的な例
としては、2−(4′−ターシャリーブチルフェニル)
−5−(4′−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾー
ル、メチルビオロゲン、エチルビオロゲン、ポリ[(ス
チレン−コークロロメチルスチレン)ペンダントメチル
ビオロゲン]、ポリ(プロピレンビオロゲン)、ポリ
(ブチルビオロゲン)、ポリ(ペンチルビオロゲン)、
ポリ(ヘキシルビオロゲン)、ポリ(ヘプチルビオロゲ
ン)、ポリ(オクチルビオロゲン)、ポリ(オルト−キ
シリルビオロゲン)、ポリ(メタ−キシリルビオロゲ
ン)、ポリ(パラ−キシリルビオロゲン)、2,6−ジメ
チル−2′,6′−ジ−ターシャリーブチルジフェノキノ
ン、2,2′,6,6′−テトラターシャリーブチルジフェノ
キノン、2,2′,6,6′−テトラメチルブチルジフェノキ
ノンなどがあるが、この限りではない。
本発明による有機薄膜EL素子は、従来の有機薄膜EL素
子に比べて、発光効率は2から3倍改善された。また、
従来よりも発光効率が改善されただけ、ジュール熱の発
生量が少なくなり、この結果、素子発熱に伴う発光特性
の劣化も少なくなった。
[実施例] 以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本
発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定
されるものではない。
実施例1 本実施例では、次の一連の反応式で示される方法によ
って、式(5)で示されるヒドラゾン化合物を製造し
た。
化合物(1)の製造 亜鉛末20g(0.31mol)と水30mlの混合物に攪拌下、氷
酢酸20ml(21g,0.35mol)に溶かしたN−ニトロソ−N
−メチルアニリン10g(0.073mol)を滴下した。反応温
度は10〜20℃で1.5〜2時間かけて滴下した後、室温で
1時間攪拌した。水浴上で、80℃に温め、未反応の亜鉛
を濾別した。固体を5%塩酸で洗い、濾液と合わせて40
%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。エーテルで抽出し
た後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸溜して1
−メチル−1−フェニルヒドラジンを得た。
得られた化合物(1)の性状は次の通りであった。
無色透明液体 収量4.6g(収率52%) NMR(溶媒:CDCl3化合物(2)の製造 シクロヘキサノン19.6g(0.2mol)を酢酸72g(1.2mo
l)に溶かし、還流下、1−メチル−1−フェニルヒド
ラジン24.4g(0.2mol)を滴下した。3時間還流した
後、水を加え、析出した結晶を濾別した。水、エタノー
ルで順次洗浄し、メタノールを用いて再結晶することに
より、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾールを得た。収
量26.1g(収率70%)。
またこの化合物(2)は次の方法によっても製造でき
る。
N−ニトロソ−N−メチルアニリン5g(36mmol)、亜
鉛末15g(230mmol)のエタノール溶液50mlに、シクロヘ
キサノン2.5g(25mmol)の酢酸溶液50mlを10〜20℃に保
ちながら1〜1.5時間かけて滴下した。室温で1時間、
還流下で2時間攪拌した後、水中に加えた。析出する結
晶を濾別し、メタノールを用いて再結晶した。収量2.7g
(収率58%)。
得られた化合物(2)の性状は次の通りであった。
白色結晶 NMR(溶媒:CDCl3化合物(3)の製造 化合物(2)1.9g(10mmol)の10N−塩酸−エタノー
ル溶液に還流下、亜鉛末1.6g(25mmol)を少量ずつ加え
た。8時間加熱還流した後、水中に加え、溶液を水酸化
カリウムでアルカリ性にし、クロロホルムで抽出した。
減圧下、溶媒を除去し、化合物(3)を得た。
得られた化合物(3)の性状は次の通りであった。
黄色液体 収量1.1g(収率60%) NMR(溶媒:CDCl3化合物(4)の製造 化合物(3)0.95g(5mmol)のDMF溶液15mlに塩化ホ
スホリル1.1g(7mmol)のDMF溶液10mlを滴下した。50℃
で3時間攪拌した後、溶液を水酸化カリウムでアルカリ
性にし、クロロホルムで抽出した。減圧下、溶媒を除去
し、化合物(4)を得た。
得られた化合物(4)の性状は次の通りであった。
黄色液体 収量0.83g(収率76%) NMR(溶媒:CDCl3化合物(5)の製造 化合物(4)1.1g(5mmol)、1,1−ジフェニルヒドラ
ジン0.92g(5mmol)、ベンゼン10mlを50mlフラスコに仕
込み、さらに少量のp−トルエンスルホン酸を加えた。
6時間還流した後、酢酸エチルで抽出した。溶媒にヘキ
サン−ベンゼン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより単離し、化合物(5)を得た。
得られた化合物(5)の性状は次の通りであった。
黄色粉末 収量1.2g(収率70%) NMR(溶媒:CDCl3実施例2 電子写真感光体 アルミニウム基板上にナイロンよりなるアンダーコー
ト層を形成し、該アンダーコート層上に電荷発生層とし
てフタロシアニンを含むブチラールフィルム(0.1μm
厚)を形成した。さらにその上に化合物(5)/ポリカ
ーボネート樹脂(1:1重量比)の塩化メチレン溶液を塗
布し、80℃、30分間焼き付けて15μm厚の電荷移動層を
形成させた。川口電機製静電記録試験装置を用いて−5k
Vのコロナ放電で表面電位を−900Vにした後、5ルック
スの白色光を照射し、その表面電位が1/2になるまでの
時間(秒)を求め、半減露光量(ルックス秒)を得た。
その結果は、半減露光量=0.3ルックス秒と非常に高い
光感度を示した。また機械的物性も非常に良好であっ
た。
第1図は本実施例にて製造した電子写真感光体の概略
断面図で、図中、1はアルミニウム(Al)基板、2は電
荷発生層、3は電荷移動層、4はアンダーコート層であ
る。
実施例3 有機薄膜EL素子 ガラス基板上にITO透明電極を形成する。次に真空中
で有機正孔移動材料である化合物(5)を蒸着して有機
正孔伝導性薄膜層を形成し、その後、有機蛍光体である
トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを同様
に蒸着し、有機蛍光体薄膜層を形成した。最後にMgとAg
が10:1で混合した合金の背面金属電極を電子ビーム蒸着
法で500オングストローム形成して有機薄膜EL素子を作
製した。
この素子の発光特性を乾燥窒素中で測定したところ、
約8Vの直流電圧の印加で、300cd/m2の発光が得られた。
従来の素子に比べ、発光輝度、効率が2から3倍改善さ
れている。この有機薄膜EL素子を電流密度0.5mA/cm2
状態でエージング試験をしたところ、輝度半減時間は50
0時間以上であった。
第2図は、本実施例にて製造した有機薄膜EL素子の概
略断面図で、図中、6はガラス基板、7は透明電極、8
は有機正孔伝導性薄膜層、9は有機蛍光体薄膜層、10は
背面電極である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明による新規なヒドラゾン
化合物は、電子写真感光体における電荷移動材料として
用いた場合、機械的に優れた物性を有し、かつ高い移動
度を有しており、優れた機能を有する材料としてその有
用性が期待される。
また、本発明のヒドラゾン化合物を有機薄膜EL素子の
有機正孔伝導性材料として用いた場合、発光特性および
信頼性が大幅に改善された有機薄膜EL素子が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による電子写真感光体の一実施例の概略
断面図、第2図は本発明による有機薄膜EL素子の一例の
概略断面図、第3図は本発明の有機薄膜EL素子の他の一
例の概略断面図である。 1……アルミニウム基板 2……電荷発生層 3……電荷移動層 4……アンダーコート層 6,11……ガラス基板 7,12……透明電極 8,13……有機正孔伝導性薄膜層 9,14……有機蛍光体薄膜層 10,16……背面電極 15……有機電子伝導性薄膜層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 209/86 G03G 5/06 H05B 33/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I); (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
    いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
    し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
    キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
    ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
    アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
    はベンジル基を示し、R10、R11は、水素原子、アルキル
    基、置換基を含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基
    またはナフチル基で同一でも異なっていても構わな
    い。) で示されることを特徴とするヒドラゾン化合物。
  2. 【請求項2】一般式(II); (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
    いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
    し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
    キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
    ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
    アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
    はベンジル基を表す。) で示される化合物と、一般式(III); (式中、R10、R11は、水素原子、アルキル基、置換基を
    含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基またはナフチ
    ル基で同一でも異なっていても構わない。) で示されるヒドラジン化合物とを反応させることを特徴
    とする、一般式(I); (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
    いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
    し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
    キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
    ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
    アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
    はベンジル基を示し、R10、R11は、水素原子、アルキル
    基、置換基を含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基
    またはナフチル基で同一でも異なっていても構わな
    い。) で示されるヒドラゾン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】電荷発生材料と電荷移動材料を含む電子写
    真感光体において、電荷移動材料が、一般式(I); (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
    いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
    し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
    キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
    ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R9は、
    アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニル基また
    はベンジル基を示し、R10、R11は、水素原子、アルキル
    基、置換基を含んでいてもよいフェニル基、ベンジル基
    またはナフチル基で同一でも異なっていても構わな
    い。) で示されるヒドラゾン化合物であることを特徴とする電
    子写真感光体。
  4. 【請求項4】少なくとも一方が透明な一対の電極間に、
    少なくとも有機正孔伝導性薄膜と有機蛍光体薄膜とが積
    層された有機薄膜EL素子において、有機正孔伝導性薄膜
    が、一般式(IV); (式中、R1は、水素原子、アルキル基、置換基を含んで
    いてもよいフェニル基、アリル基またはベンジル基を示
    し、R2〜R8は、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、アルコ
    キシ基、アルキル基または置換基を含んでいてもよいフ
    ェニル基で同一でも異なっていてもかまわない。R
    12は、水素原子、アルキル基、置換基を含んでいてもよ
    いフェニル基またはベンジル基を示し、R10、R11は、水
    素原子、アルキル基、置換基を含んでいてもよいフェニ
    ル基、ベンジル基またはナフチル基で同一でも異なって
    いても構わない。) で示されるヒドラゾン化合物を含むことを特徴とする有
    機薄膜EL素子。
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