JP3079254B2 - ブドウ酒の醸造方法 - Google Patents

ブドウ酒の醸造方法

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JP3079254B2 JP09162030A JP16203097A JP3079254B2 JP 3079254 B2 JP3079254 B2 JP 3079254B2 JP 09162030 A JP09162030 A JP 09162030A JP 16203097 A JP16203097 A JP 16203097A JP 3079254 B2 JP3079254 B2 JP 3079254B2
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克己 橋爪
隆 佐無田
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国税庁長官
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブドウ酒醸造法に
関し、更に詳細には、果梗に由来するフェノール化合物
量を多く含み且つ果梗に由来する特異臭が低減された、
蒸煮処理した果梗を添加するブドウ酒の醸造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ブドウ果実の果梗は、通常のブドウ酒醸
造においては除去される(除梗処理)。その理由は、果
梗の添加は、フェノール化合物をブドウ酒中に供給し味
の幅を付与する利点がある反面、赤ブドウ酒の色を薄く
し、果梗に由来する特徴的な臭気を付与する欠点がある
ためである。
【0003】また、一部、赤ブドウ酒を醸造する場合
に、ブドウ果実を果房ごと又は果実だけ比較的短時間高
温(例えば60℃で30分)で加熱処理し、ブドウ果皮
の色素の抽出を促し、色の濃いブドウ酒を造ることが行
われる。この方法は色素の抽出には有利であるが、果汁
が酸化されて褐変したり、ワインに植物性やフーゼル油
の特有の臭気が付与され、さらに加熱によって新鮮な好
ましい香味の特徴が失われる欠点がある。
【0004】一方、ブドウ果房から除梗機等によって除
梗された果梗は、量が多く、そのまま廃棄すれば、公害
の原因ともなり、公害防止上もその効率的処理方法の開
発が希求されているし、貴重な天然物の有効利用の面か
らも問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術の現状に鑑みなされたものであって、フェノール化
合物量を多く含み、風味にすぐれたブドウ酒を醸造する
効率的なシステムを新たに開発する目的でなされたもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、各方面から検討の
結果、通常は除去廃棄されているブドウ果梗に敢えて着
目し、それに含まれているフェノール化合物の有効利用
を目途として各種の研究を行った。
【0007】そして本発明者らは、検討、研究を重ねた
結果、通常のブドウ酒醸造と同様にブドウ果房と果梗を
予め分離し、加熱処理に向かない果実は通常通り処理
し、ブドウ果梗を蒸煮処理して後にブドウ果実のもろみ
に添加することによって、果梗中の特徴的な香りを付与
する成分を著しく低減し、且つ果梗を添加しない場合又
は無処理の果梗を添加する場合と比較して果梗中のフェ
ノール化合物をより多くブドウ酒中に抽出し、味の幅が
ありかつ果梗に由来する特徴的な臭気のない品質の優れ
たブドウ酒を製造する方法を開発するのに成功した。
【0008】すなわち本発明は、ブドウ酒醸造におい
て、蒸煮処理したブドウ果梗をブドウ果実のもろみに添
加して発酵させる工程を含有する点を基本的技術思想と
するものである。以下、本発明について詳述する。
【0009】本発明においては、蒸煮したブドウ果梗を
使用する点にひとつの大きな特徴を有するものである
が、ブドウ果梗としては、ブドウ果房の果実と果梗を分
離して得られた果梗であればすべてのものが使用でき
る。したがって、上記したように、ブドウ果房の果実と
果梗を分離し、得られた果梗を当該果実もろみに添加す
ることができるほか(つまり、果梗と果実は同一のブド
ウ果房に由来する)、果実もろみの果実とは別の果房に
由来する果梗も使用することができる(つまり、果梗と
果実はそれぞれ別異のブドウ果房に由来)。また、これ
らの果梗を混合して使用することもできる。
【0010】したがって本発明によれば、同一のブドウ
果房に由来する果梗から奏される卓越した効果が得られ
るだけではなく、果実もろみの果実とはブドウ品種を異
にする果梗(また、同一品種であっても、ブドウ園、ブ
ドウ畑を異にする果梗)も使用することができるので、
フェノール化合物含量や風味、外観においてバラエティ
ーに富んだ従来未知の新しいブドウ酒の醸造も可能であ
る。
【0011】ブドウ果梗は、蒸煮処理する。蒸煮は、せ
いろ等を用いて常法にしたがい常圧で蒸煮すればよい。
蒸煮処理時間は、3分以上、好ましくは5分以上とす
る。蒸煮処理時間は、一般には長い方がよく例えば15
0分、180分あるいはそれ以上といった長時間処理も
可能であるが、使用するエネルギー、時間等のコスト面
から、適宜処理時間を定めればよい。以下に、果梗の蒸
煮処理に関する試験例について述べる。
【0012】(試験例1) (1)材料は、カベルネ・ソービニヨン種のブドウ果房
から分離した果梗を用いた。 (2)果梗の蒸煮時間とモデルもろみ溶液中へ抽出成分
量との関係について、下記により検討した。
【0013】果梗を、ステンレス製のせいろを用いて、
蒸圧で5、20、60、120分蒸煮した。果梗生重量
に対して20倍量のモデル果もろみ溶液(酒石酸0.5
%(W/V)、ブドウ糖10%(W/V)、エタノール
5%(V/V)水溶液)に蒸煮した果梗を浸し、18℃
で緩やかに振とうしつつ5日間放置した後、フェノール
化合物の総量、色及び果梗の特異臭の原因物質であるア
ルキルメトキシピラジン(MP)量を測定した。表1に
抽出期間と紫外部吸収(100倍希釈したA280値:フ
ェノール化合物量の指標)を、表2に蒸煮時間と抽出成
分との関係を示す。測定値は3連の実験の平均値であ
る。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】上記した表1に示すように、蒸煮処理した
果梗からは、無処理と比較して、紫外部吸収をもつ成分
が多く抽出され、その量は4〜5日で最大となった。表
2に示すように、5日目の蒸煮処理した抽出液のフェノ
ール化合物量は、対照と比較して顕著に増加し、逆にM
P量は減少することを見いだした。さらに、蒸煮処理に
より抽出液の黄色の着色も低減された。フェノール化合
物の溶出量に関しては、60分が最も多く、MP量の減
少に関しては120分が優れていた。
【0017】本発明における蒸煮処理した果梗を用いる
ブドウ酒醸造法は、ブドウ原料を処理する工程以外は、
従来の一般に行われている方法にしたがって行うことが
できる。すなわち、原料ブドウ果房を除梗して後、果実
を破砕して発酵タンクに仕込み、それに別に蒸煮した梗
を添加してかもし、発酵させる。ここで蒸煮処理して添
加する梗は、該当する果房に由来する梗の一部又は全部
もしくは該当する果房以外の果梗であってもよい。目的
の成分が望ましい量だけ溶出された時点で圧搾して果実
及び果梗の粕を分離し、更に発酵を進めた後にろ過又は
おり澱引きによって酵母を分離し、ブドウ酒を得る。
【0018】果梗の添加量及び果梗の蒸煮の条件につい
ては、目的とするブドウ酒の品質に応じて最適条件が求
められる。フェノール化合物の抽出量に着目すれば、5
分の処理でも十分な効果が期待できるが、MP成分の低
減からは、より長時間の処理が望ましい。したがって、
MP量が多い果梗を利用する場合には60分程度の処理
が必要となる。また、蒸煮処理した梗の添加量を増減す
ることによっても、フェノール化合物の量を増減するこ
とができる。例えば、果梗の添加量は、果実重量に対し
て果梗を0.5%以上、好適には1%以上とするのがよ
い。添加量の上限については格別の限度はないが、一応
の目安として、15〜25%とすればよい。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されな
い。
【0020】(実施例1)カベルネ・ソービニヨン及び
マスカット・ベリーAの果房を使用してブドウ酒醸造を
行った。完全に果実と果梗を分離し、果実量400gを
一つの仕込単位とし、亜硫酸100ppmを添加し、破
砕の後、ガラス容器に仕込んだ。果梗無添加、無処理の
果梗添加を対照とし、60分蒸煮処理した果梗を実施例
として添加した。添加した果梗の量は、カベルネ・ソー
ビニヨンは果実重量に対して5.0%、マスカット・ベ
リーAは3.0%とした。酵母は、ブドウ酒用の市販乾
燥酵母を1仕込み当たり200mg使用し、果汁で活性
化後に添加した。発酵は25℃で行い、7日目に圧搾
し、さらに1週間室温で発酵した後、4℃に保存し、成
分分析と官能評価を行った。その分析値を表3に示す。
仕込みは3連で実施し、成分分析値は平均値を示した。
【0021】
【表3】
【0022】表3より明かなごとく、蒸煮処理した果梗
を添加したブドウ酒は、対照と比較して、総フェノール
量は増加し、MP量は、梗を添加しない対照と概ね同じ
レベルに低減されている。さらに、赤い色の強さの指標
であるA520は、無処理の梗を添加した区分と比較して
大きく、色調の保持の点でも梗を蒸煮する効果が認めら
れる。その他の成分については、顕著な差異は見られな
かったが、果梗の添加によってわずかな発酵の抑制(ア
ルコール分がやや少なくエキス分がやや多い。)と若干
のpHの増大、酸度の減少傾向が見られるので、目的と
する酒質によっては、小量の補酸が必要となる可能性が
ある。
【0023】官能評価は、3連の試験酒を等量に混合し
たものに対して、7名のパネラーで、総合品質及びタン
ニンの強さを3試験区分について順位付けする方法(1
点良い又は強い→3点悪い又は弱い)で行った。その結
果を表4に示した。
【0024】
【表4】
【0025】表4に示すごとく、官能評価においても蒸
煮梗を添加すると総合品質が優れておりタンニンが強い
という評価結果を得た。
【0026】
【発明の効果】以上詳述したように、ブドウ果房から果
梗を区分し、果梗を蒸煮処理して果もろみに添加するこ
とにより、総合品質の優れたタンニンの強いブドウ酒の
醸造が可能となる。また、これまで廃棄されていた生の
果梗の有効な利用にもつながる。したがって、本発明は
ブドウ酒醸造上きわめて有用な醸造法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−48494(JP,A) 日本醸造協会誌,83(1),p.52− 56,1988 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12G 1/02 - 1/04 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸煮処理したブドウ果梗をブドウ果実の
    もろみに添加して発酵させる工程を含有すること、を特
    徴とするブドウ酒の醸造方法。
  2. 【請求項2】 ブドウ果房の果実と果梗を分離し、当該
    果房に由来する果梗の一部あるいは全部、及び/又は、
    当該果房以外の果梗を蒸煮処理した後、果実もろみに添
    加して発酵させる工程を含有すること、を特徴とする請
    求項1に記載の醸造方法。
  3. 【請求項3】 果実重量に対して果梗を0.5%以上、
    好適には1%以上添加すること、を特徴とする請求項1
    又は2に記載の醸造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方
    法によって醸造してなるブドウ酒。
  5. 【請求項5】 フェノール化合物含量が高いことを特徴
    とする請求項4に記載のブドウ酒。
JP09162030A 1997-06-05 1997-06-05 ブドウ酒の醸造方法 Expired - Lifetime JP3079254B2 (ja)

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日本醸造協会誌,83(1),p.52−56,1988

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