JP3077844B2 - 熱可塑性樹脂積層フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂積層フィルム

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JP3077844B2
JP3077844B2 JP04007948A JP794892A JP3077844B2 JP 3077844 B2 JP3077844 B2 JP 3077844B2 JP 04007948 A JP04007948 A JP 04007948A JP 794892 A JP794892 A JP 794892A JP 3077844 B2 JP3077844 B2 JP 3077844B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂積層フィル
ムに関する。さらに詳しくは、たとえば包装用材料など
として好適に使用しうる帯電防止性、印刷性などにすぐ
れた熱可塑性樹脂積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱可塑性樹脂積層フィルムは、
疎水性が大きかったり、樹脂の極性が強かったりするた
め、静電気の発生が著しい。したがって、このようなフ
ィルムをたとえば包装用材料として用いたばあいには、
埃が付着し、内容物の商品価値の低下、接着不良、印刷
不良、蒸着性不良、巻取時の端部の不揃いなどを生じた
り、静電気の放電により人体にショックを与えることが
あり、また可燃性有機溶剤を使用する雰囲気中において
は引火などの問題があった。
【0003】そこで、従来から発泡体に帯電防止性を付
与するために、アニオン系、カチオン系または両性界面
活性剤を添加したり、塗布する方法が採用されている。
【0004】しかしながら、前記方法では、界面活性剤
は、その分子量がたかだか500 〜600 程度と比較的小さ
いものであるため、フィルムの製造中に揮散したり、ま
たフィルムとしたあとには経時とともにブリードアウト
し、フィルムの表面を汚染し、ブロッキングを発生した
り、接着性、印刷性や蒸着性などを悪化させるという問
題がある。また、前記界面活性剤を用いた熱可塑性樹脂
フィルム以外にも帯電防止性にすぐれたポリオレフィン
系樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂に1種または2種
以上の特定の官能基をもつ樹脂や特殊変性樹脂(特開昭
62-121717 号公報、特公平1-29820 号公報)を添加し、
フィルムにしたものが知られている。
【0005】しかしながら、前記樹脂はいずれもアクリ
レート構造やマレイミド構造を有するものではないた
め、種々の熱可塑性樹脂との相溶性がわるく、透明性が
悪化したりボイドが発生し、表面性におとるという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、帯電防止性にすぐれる
ことは勿論のこと、接着性、印刷性にもすぐれ、ブリー
ドやブロッキングの発生などがない熱可塑性樹脂積層フ
ィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式(I) :
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示す)で表わされるオレフィン構造単位50〜98モル%、
一般式(II):
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位1〜15モル
%および一般式(III) :
【0012】
【化6】
【0013】(式中、R3 は炭素数2〜8のアルキレン
基、R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R6 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基、アルキル基で置換されていてもよ
い炭素数2〜4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環
アルキル基、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 または
2 5 OSO3 を示す)で表わされるマレイミド構造
単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量
平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂を含有
した樹脂層を設けてなる熱可塑性樹脂積層フィルムに関
する。
【0014】
【作用および実施例】本発明の熱可塑性樹脂積層フィル
ムは、前記したように、一般式(I) :
【0015】
【化7】
【0016】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示す)で表わされるオレフィン構造単位50〜98モル%、
一般式(II):
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位1〜15モル
%および一般式(III) :
【0019】
【化9】
【0020】(式中、R3 は炭素数2〜8のアルキレン
基、R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R6 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基、アルキル基で置換されていてもよ
い炭素数2〜4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環
アルキル基、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 または
2 5 OSO3 を示す)で表わされるマレイミド構造
単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量
平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂を含有
した樹脂層を設けたものである。
【0021】前記ポリオレフィン系樹脂中の前記オレフ
ィン構造単位の割合は50〜98モル%である。該オレフィ
ン構造単位の割合が50モル%未満であるばあいには、前
記ポリオレフィン系樹脂の軟化点が高くなり、前記ポリ
オレフィン系樹脂の可撓性を損い、また98モル%をこえ
るばあいには、前記ポリオレフィン系樹脂の帯電防止能
が小さくなりすぎるようになる。前記オレフィン構造単
位において、R1 は水素原子またはメチル基であり、こ
れらの基は1分子中に混在していてもよい。また本発明
においては、前記オレフィン構造単位の割合は、軟化点
および帯電防止能の釣り合いの点から、85〜97モル%で
あることが好ましい。
【0022】前記ポリオレフィン系樹脂中の前記アクリ
レート構造単位の割合は1〜15モル%である。該アクリ
レート構造単位の割合が1モル%未満であるばあいに
は、前記ポリオレフィン系樹脂の強靭性や耐衝撃性を損
い、また15モル%をこえるばあいには、前記ポリオレフ
ィン系樹脂の軟化点が低くなり、熱可塑性樹脂に配合し
たときにタックやベタツキが生じるようになる。本発明
において、前記アクリレート構造単位が含まれているこ
とにより、熱可塑性樹脂に配合したときに強靭性、耐衝
撃性、可撓性、フィルム形成性および接着性が付与され
る。なお、本発明においては、前記アクリレート構造単
位の割合は、軟化点と強靭性および耐衝撃性との釣り合
いの点から、3〜7モル%であることが好ましい。
【0023】前記アクリレート構造単位において、R2
は炭素数1〜4のアルキル基である。かかるR2 の具体
例としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基な
どがあげられ、これらの基は1分子中に混在していても
よい。なお、これらの基のなかでは、メチル基およびエ
チル基はえられる前記ポリオレフィン系樹脂の軟化点を
維持するうえでとくに好ましいものである。
【0024】前記ポリオレフィン系樹脂中の前記マレイ
ミド構造単位の割合は1〜35モル%である。該マレイミ
ド構造単位の割合が1モル%未満であるばあいには、帯
電防止能が小さくなりすぎ、また35モル%をこえるばあ
いには、前記ポリオレフィン系樹脂に吸湿性が生じる。
なお、本発明においては、前記マレイミド構造単位の割
合は、帯電防止能および吸湿性の釣り合いの点から、3
〜15モル%であることが好ましい。
【0025】前記マレイミド構造単位において、R3
炭素数2〜8のアルキレン基である。かかるR3 の具体
例としては、たとえばエチレン基、プロピレン基、ヘキ
サメチレン基、ネオペンチレン基などがあげられ、これ
らの基は1分子中に混在していてもよい。なお、これら
の基のなかでは、製造の容易性および経済性の面からエ
チレン基およびプロピレン基が好ましく、とくにプロピ
レン基が好ましい。
【0026】前記R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜
4のアルキル基である。かかるR4 およびR5 の具体例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
があげられ、これらの基は1分子中に混在していてもよ
い。なお、これらの基のなかでは、帯電防止能付与の点
からメチル基およびエチル基が好ましい。
【0027】前記R6 は炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数6〜12のアリールアルキル基、アルキル基で置換さ
れていてもよい炭素数2〜4のエポキシ基または炭素数
6〜12の脂環アルキル基である。かかるR6 の具体例と
しては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n
−オクチル基、n−ラウリル基などのアルキル基;ベン
ジル基、4−メチルベンジル基などのアリールアルキル
基;エポキシエチル基、1,2−エポキシプロピル基、
2,3−エポキシプロピル基、1,2−エポキシブチル
基、1,2−エポキシ−2,3−エポキシブチル基など
のアルキル基で置換されていてもよいエポキシ基;シク
ロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などの脂環アル
キル基があげられ、これらの基は1分子中に混在してい
てもよい。なお、前記R6 としては、耐熱性の観点か
ら、直鎖状アルキル基およびアリールアルキル基が好ま
しく、また帯電防止能付与の観点から低級アルキル基が
好ましい。とくに好ましいR6 としては、メチル基およ
びエチル基があげられる。
【0028】前記Xは、たとえばCl、Br、Iなどの
ハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5 OSO3
であり、これらは1分子中に混在していてもよい。な
お、これらのなかでは、帯電防止能の点からCl、CH
3 OSO3 およびC2 5 OSO3 が好ましい。
【0029】前記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子
量は、1000〜50000 である。該重量平均分子量が1000未
満であるばあいには、分子量が小さくなりすぎて加熱し
たときに揮散し、また50000 をこえるばあいには、熔融
したときの粘度が大きくなりすぎ、作業性がわるくな
る。好ましい重量平均分子量は3000〜35000 である。
【0030】なお、本明細書でいう重量平均分子量と
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定した単分散のポリスチレン換算の重量平均分
子量をいう。
【0031】本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂
は、テトラヒドロフラン(THF)やキシレンなどの通
常のゲルパーミエーションの溶離液に難溶であるので、
その重量平均分子量を容易に測定することができない
が、超高温GPC法(絹川、高分子論文集、44巻、2
号、139 〜141 頁(1987 年))にしたがって測定するこ
とができる。
【0032】前記ポリオレフィン系樹脂の中間体である
前記一般式(I) で表わされるオレフィン構造単位、前記
一般式(II)で表わされるアクリレート構造単位および一
般式(IV):
【0033】
【化10】
【0034】(式中、R3 、R4 およびR5 は前記と同
じ)で表わされるマレイミド構造単位からなる線状に不
規則に配列した重量平均分子量1000〜50000 のオレフィ
ン系共重合体は、たとえば以下の方法によってえられ
る。
【0035】まず、前記オレフィン系樹脂の中間体を製
造する原料としては、とくに限定はないが、たとえばオ
ートクレーブ中にベンゼン、トルエンなどの溶媒を用
い、アクリレート、無水マレイン酸、過酸化ベンゾイル
などのラジカル重合開始剤を溶解させ、オレフィンをえ
られた溶液に所定量吹きこみ、50〜80℃で200 〜300 kg
/cm2 の圧力下で8〜12時間反応させ、その後オートク
レーブ中の内容物を大量のたとえばエーテルなどの溶媒
中に投入する方法などの公知の方法によってえられるオ
レフィン−アクリレート−無水マレイン酸共重合体が用
いられる。ここでそれぞれの単量体の仕込モル比は、目
的とする共重合体の構造単位の割合にほぼ等しくなる。
【0036】かくしてえられるオレフィン−アクリレー
ト−無水マレイン酸共重合体を原料として前記ポリオレ
フィン系樹脂およびその中間体がえられる。
【0037】前記オレフィン−アクリレート−無水マレ
イン酸共重合体から前記ポリオレフィン系樹脂およびそ
の中間体を製造する方法についてはとくに限定がない
が、以下にその一例について説明する。
【0038】前記オレフィン−アクリレート−無水マレ
イン酸共重合体をたとえばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサノン、デカン、クメン、シメンなどの
芳香族または脂肪族炭化水素、ケトンなどの不活性溶媒
に溶解し、これに前記オレフィン−アクリレート−無水
マレイン酸共重合体の無水マレイン酸含有量に対して10
0 〜150 モル%のジアルキルアミノアルキルアミンを添
加し、130 〜180 ℃にて反応させて無水マレイン酸構造
単位に含まれる酸無水物基をジアルキルアミノアルキル
イミド基に変換することにより、ポリオレフィン系樹脂
の中間体がえられる。
【0039】つぎに、前記中間体を、たとえばアルキル
ハライド、ジアルキル硫酸塩などの公知の4級化剤でカ
チオン変性することにより、本発明に用いられる線状の
ポリオレフィン系樹脂がえられる。
【0040】かくしてえられるポリオレフィン系樹脂は
すぐれた帯電防止能を呈するばかりでなく、マレイミド
基にもとづく特有のすぐれた耐熱性を呈する。その理由
は定かではないが、おそらくポリオレフィン系樹脂に含
まれたマレイミド構造単位が空気中の水分を取り込み、
- がイオン化して電気伝導性を示すため、低い電気抵
抗を示すことに起因するものと考えられる。
【0041】また、本発明においては、マレイミド構造
単位が高温下であっても揮発性を示さず、かつ前記ポリ
オレフィン系樹脂中に化学的に組み込まれているので、
加工時における揮散がなく、加工後においてはブロッキ
ングの発生や熱可塑性樹脂の物性の低下を招くことがな
いと考えられる。
【0042】本発明に用いられる樹脂層は、前記ポリオ
レフィン系樹脂を含有したものであり、熱可塑性樹脂と
混合して用いられる。
【0043】前記熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ
プロピレン、エチレン含量が2〜30重量%のエチレン−
プロピレン共重合体、前記エチレン−プロピレン共重合
体にブテン-1をさらに共重合した三元共重合体、高圧法
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、前記エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸三
元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−
無水マレイン酸三元共重合体などのポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂な
どがあげられ、これらの樹脂は、単独でまたは2種以上
を混合して用いられる。
【0044】なお、前記ポリオレフィン系樹脂の使用量
は、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性樹脂の総
量に対して0.3 〜50重量%、好ましくは0.5 〜20重量%
である。かかるポリオレフィン系樹脂の使用量は、0.3
重量%未満であるばあいには、分子量が公知の界面活性
剤型の帯電防止剤よりも大きいため、樹脂組成物中に占
める割合が小さくなり、ブロッキングの面ではよいが、
表面抵抗、電荷の半減期、すなわち帯電防止性がおとる
ようになり、また50重量%をこえるばあいには、前記ポ
リオレフィン系樹脂の分子量が、混合する熱可塑性樹脂
よりも小さいので、帯電防止性の点では好ましいもの
の、えられる積層フィルムの機械的物性がおとるように
なる。
【0045】前記樹脂層の厚さは、最終の製品としたと
きに0.1 〜50μmであればよい。かかる厚さは0.1 μm
未満であるばあいには、樹脂層と樹脂フィルムとの界面
で凝集破壊を生じ、結果的に接着性および蒸着性が悪化
するようになり、また50μmをこえるばあいには、樹脂
層の柔軟性が顕著となるのでブロッキングを生じるよう
になる。
【0046】本発明において基材として用いられる熱可
塑性樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、たとえば
プロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂、密度
が0.925 g/cm3 以上の低圧法高密度ポリエチレンや直
鎖状低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂などが
あげられ、これらの樹脂は単独でまたは必要に応じて2
種以上を混合して用いられる。
【0047】前記樹脂フィルムの製造法についてはとく
に限定がなく、公知の各種の製膜方法を採用することが
できる。かかる熱可塑性樹脂フィルムの製造法の具体例
としては、たとえばキャスト法、インフレーション法、
チューブラ法、テンター法などがあげられる。
【0048】なお、前記樹脂フィルムは、未延伸、縦一
軸延伸あるいは二軸延伸のいずれのものであってもよ
い。
【0049】前記樹脂フィルムの厚さについてはとくに
限定はなく、えられる積層フィルムの用途に応じて適宜
選択すればよいが、通常かかるフィルムの厚さは10〜50
0 μm程度とされる。
【0050】なお、本発明においては、本発明の目的が
阻害されない範囲内で、たとえば炭酸カルシウム、タル
ク、ガラス単繊維などの無機充填剤、酸化防止剤、難燃
剤、着色剤、多官能モノマーなどの各種助剤などを樹脂
層および樹脂フィルム中に含有せしめてもよい。
【0051】また、本発明においては、前記樹脂層には
公知の低分子量の界面活性剤を前記ポリオレフィン系樹
脂に対して30重量%をこえない範囲内で用いてもよい。
このように30重量%をこえない範囲内で界面活性剤を用
いたばあいには、えられる樹脂層からのブリードが認め
られない。
【0052】前記樹脂層と前記樹脂フィルムとを一体化
する方法としては、たとえば前記樹脂層用の樹脂を加熱
溶融させた状態でまたはエマルジョンの状態でリバース
ロールコート法、グラビアコート法やバーコート法など
により樹脂フィルム上にコーティングする方法、前記樹
脂フィルムを製造する際に、樹脂フィルム用樹脂と樹脂
層用樹脂を短管内複合法、口金内複合法や溶融押し出し
ラミネート法などにより複合一体化する方法などがあげ
られるが、本発明はかかる方法のみに限定されるもので
はない。
【0053】また、本発明の積層フィルムには、さらに
少なくとも片面にコロナ放電処理を施して表面濡れ張力
をあげ、水溶性の各種コーティング剤との接着性を向上
させることができる。またコーティング剤層を設け、各
種フィルム、シート、ヒートシーラント層などを積層し
て複合体とし、各種包装材料、梱包材料として用いるこ
ともできる。また、本発明の積層フィルムの少なくとも
片面に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を設
けて各種包装材料、梱包材料として用いることもでき
る。
【0054】つぎに本発明の熱可塑性樹脂積層フィルム
を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明
はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0055】実施例1 式:
【0056】
【化11】
【0057】で表わされるオレフィン構造単位85モル
%、式:
【0058】
【化12】
【0059】で表されるアクリレート構造単位5モル%
および式:
【0060】
【化13】
【0061】で表わされるマレイミド構造単位10モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量31300
のポリオレフィン系樹脂を直鎖状低密度ポリエチレン樹
脂(密度:0.930 g/cm3 、メルトインデックス:3.7
g/10分)100 部(重量部、以下同様)に対して20部添
加し、ドライブレンドして樹脂層用樹脂組成物とした。
【0062】前記樹脂層用樹脂組成物を副押出し機に、
また直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.930 g/c
m3 、メルトインデックス:3.7 g/10分)を主押出し
機に導入し、ついで短管内複合装置を装備した共押出し
フィルム化装置に導入して共押出しし、20℃に設定され
た冷却ロールを通して厚さ100 μm、幅1200mmの未延伸
フィルムをえた。えられた未延伸フィルムの厚さは、樹
脂層が20μm、樹脂フィルム層が80μmであった。この
とき、押出し機、短管内複合装置および口金の温度はい
ずれも180 〜220 ℃であった。
【0063】えられた積層フィルムの表面比抵抗を下記
の方法にしたがって調べたところ、3.2 ×1011Ωときわ
めて小さく、帯電防止性にすぐれていることがわかっ
た。
【0064】つぎに、えられた積層フィルムを2枚重ね
合わせ、40℃、80%RH(相対湿度)の雰囲気中に7日間
放置したのち積層フィルムを剥がして表面状態を観察し
たが、ブリードアウトによるベタツキの発生がなく、ま
たえられた積層フィルムの表面上にポリプロピレン用印
刷インキを用いて印刷したが、ブリードアウトによる印
刷不良がなかった。
【0065】つぎに、えられた積層フィルムの片面にコ
ロナ放電処理を施し、表面濡れ張力を37dyne/cm以上と
し、各種コーティング剤との接着性を向上させることが
できた。
【0066】また、コーティング剤層を設け、その他の
フィルムやシートと貼り合わせ、またヒートシーラント
層を施して各種の包装材料、梱包材料として用いること
ができた。また、えられた積層フィルムの少なくとも片
面に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を施し
て各種の包装材料、梱包材料として用いることができ
た。
【0067】(表面比抵抗)積層フィルムを10cm×10cm
に切り出し、20℃、60%RHにコントロールされた恒温恒
湿室中に48時間放置してエージングする。
【0068】エージング終了後、前記雰囲気中で表面比
抵抗を測定する。
【0069】測定器:(株)川口電機製作所製の超絶縁
計(VE-40 型)に常温測定箱(RC-02型)を接続したも
の 測定条件:印加電圧100 V 本器で測定した値を採用する。
【0070】なお、前記表面比抵抗において1×1013Ω
以下、かつ前記電荷の半減期が3分間以下のものを帯電
防止性があるとする。
【0071】実施例2 樹脂フィルム用樹脂として、ポリプロピレン(メルトイ
ンデックス:2.8 g/10分)を用いた。
【0072】また、樹脂層用樹脂として式:
【0073】
【化14】
【0074】で表わされるオレフィン構造単位85モル
%、式:
【0075】
【化15】
【0076】で表わされるアクリレート構造単位5モル
%および式:
【0077】
【化16】
【0078】で表わされるマレイミド構造単位10モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量37400
のポリオレフィン系樹脂を用いた。
【0079】つぎに、前記樹脂フィルム用樹脂および樹
脂層用樹脂を用い、実施例1と同様にして積層フィルム
をえた。この積層フィルムは、全体の厚さが40μm、幅
が1200mm、樹脂層の厚さが5μmのものであった。
【0080】つぎに、えられた積層フィルムの物性とし
て表面比抵抗を実施例1と同様にして、また電荷の半減
期、ブリードアウト、ブロッキング剪断力および印刷性
を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示
す。
【0081】(電荷の半減期)表面比抵抗を測定したと
きと同じ雰囲気中でスタチックオネストメーター
((株)宍戸商会製)を用い、試料に10KVの電圧を印加
し、印加された電荷の減衰速度を半減期として求める。
【0082】(ブリードアウト)積層フィルムの表面に
無添加2軸延伸ポリプロピレンフィルムを重ね、40℃、
80%RHの雰囲気中に7日間入れたのち、取出して発泡体
からフィルムを剥がしてフィルムの表面の付着物の有無
を調べる。
【0083】(ブロッキング剪断力)2枚の積層フィル
ムを幅3cm、長さ4cmにわたって重ね合わせ、この上に
550gの重りをのせ、40℃、80%RHの雰囲気中に7日間
入れたのち、2枚のフィルムの剪断剥離力をショッパー
型引張り試験機で求める。
【0084】剪断剥離力が1000g以下を合格とする。な
お、好ましくは500 g以下である。
【0085】(印刷性)ポリプロピレン用印刷インキPP
ST(東洋インキ製造(株)製)を#50のバーコーターを
使用して塗布し、80℃の熱風乾燥器で乾燥したのち、印
刷部分にセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製、24mm
幅)を長さ20cmに切り出し、そのうち15cmを印刷部に貼
り付け、セロハン粘着テープ上を数回強くこすり確実に
貼り付ける。残ったテープの部分を手にもって素早くテ
ープを剥離し、剥離したインキ部のフィルムへの残存量
をみて印刷性を求める。
【0086】印刷性はつぎの評価基準にて判定する。
【0087】(評価基準) 50%未満 指数1 50%以上〜75%未満 指数2 75%以上〜90%未満 指数3 90%以上〜100 %未満 指数4 100 % 指数5 なお、合格は指数4以上とする。
【0088】実施例3 樹脂フィルム用樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン
(密度:0.935 g/cm3 、メルトインデックス:8.3 g
/10分)と低密度ポリエチレン(密度:0.923 g/c
m3 、メルトインデックス:3.7 g/10分)を重量比30
/70で混合したものを用いた。
【0089】また、樹脂層用樹脂として式:
【0090】
【化17】
【0091】で表わされるオレフィン構造単位80モル
%、式:
【0092】
【化18】
【0093】で表わされるアクリレート構造単位1モル
%および式:
【0094】
【化19】
【0095】で表わされるマレイミド構造単位19モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量29800
のポリオレフィン系樹脂20部および実施例3で用いたの
と同じ低密度ポリエチレン(密度:0.921 g/cm3 、メ
ルトインデックス:3.2 g/10分)80部を用いた。
【0096】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と前記
樹脂層樹脂を用いて実施例1と同様にして積層フィルム
をえた。この積層フィルムは、全体の厚さが27μm、全
幅が1200mm、樹脂層の厚さが2μmのものであった。
【0097】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0098】実施例4 樹脂フィルム用樹脂としてエチレン−プロピレン共重合
体(エチレン含量:8重量%、メルトインデックス:2.
3 g/10分)を用いた。
【0099】また、樹脂層用樹脂として式:
【0100】
【化20】
【0101】で表わされるオレフィン構造単位88モル
%、式:
【0102】
【化21】
【0103】で表わされるアクリレート構造単位3モル
%および式:
【0104】
【化22】
【0105】で表わされるマレイミド構造単位9モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量33000
のポリオレフィン系樹脂60部をポリプロピレン(メルト
インデックス:2.5 g/10分)40部に添加したものを用
いた。
【0106】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。えられた積層フィルムは、全体の厚さが14
μm、全幅が1200mm、樹脂層の厚さが2μmのものであ
った。
【0107】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0108】実施例5 樹脂フィルム用樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(固有粘度:0.598 )70部を熱可塑性エラストマー(ハ
イトレル4074、東レ・デュポン(株)製)15部に添加し
たものを用いた。
【0109】また、樹脂層用樹脂として式:
【0110】
【化23】
【0111】で表わされるオレフィン構造単位80モル
%、式:
【0112】
【化24】
【0113】で表わされるアクリレート構造単位1モル
%および式:
【0114】
【化25】
【0115】で表わされるマレイミド構造単位19モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量27000
のポリオレフィン系樹脂20部および実施例3で用いたの
と同じ低密度ポリエチレン80部を用いた。
【0116】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と樹脂
層樹脂を用い、シリンダー温度を240 〜280 ℃とし、ま
た口金温度を260 〜280 ℃に設定したほかは実施例1と
同様にして積層フィルムをえた。この積層フィルムは、
全体の厚さが27μm、全幅が1200mm、樹脂層の厚さが2
μmのものであった。
【0117】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】比較例1 樹脂フィルム用樹脂としてポリプロピレン(メルトイン
デックス:2.8g/10分)を用いた。
【0120】エチレン−プロピレン共重合体(エチレン
含量:8重量%、メルトインデックス:2.3g/10分)99
部と帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセライド1
部を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0121】つぎに、樹脂フィルム用樹脂および樹脂層
用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィルムをえ
た。
【0122】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0123】比較例2 低密度ポリエチレン(密度:0.921 g/cm3 、メルトイ
ンデックス:3.2 g/10分)99.2部および帯電防止剤と
して式:
【0124】
【化26】
【0125】で表わされるベタイン型両性界面活性剤0.
8 部を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0126】前記で用いたものと同じ低密度ポリエチレ
ンを樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0127】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。
【0128】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0129】比較例3 低密度ポリエチレン(密度:0.921 g/cm3 、メルトイ
ンデックス:3.2 g/10分)98.5部および帯電防止剤と
してステアリン酸モノグリセライドと式:
【0130】
【化27】
【0131】で表わされるベタイン型両性界面活性剤を
3:7の重量比で混合したもの1.5 部を混合して樹脂層
用樹脂をえた。
【0132】また、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:
0.930 g/cm3 、メルトインデックス:5.2 g/10分)
と低密度ポリエチレン(密度:0.920 g/cm3 、メルト
インデックス:2.1 g/10分)を混合して樹脂フィルム
用樹脂をえた。
【0133】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂および
樹脂層用樹脂を用いて実施例3と同様にして積層フィル
ムをえた。
【0134】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0135】比較例4 エチレン含量5重量%のエチレン−プロピレン共重合体
(メルトインデックス:1.2 g/10分)95部および帯電
防止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダとポリ
エチレングリコールを15:85の重量比で混合したもの5
部を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0136】比較例1で用いたのと同じエチレン−プロ
ピレン共重合体を樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0137】つぎに樹脂フィルム用樹脂および樹脂層用
樹脂を用いて実施例1と同様にして積層フィルムをえ
た。
【0138】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0139】比較例5 ポリプロピレン(メルトインデックス:2.5 g/10分)
99.5部および帯電防止剤としてステアリルジエタノール
アミン20部と比較例2で用いたのと同じベタイン型両性
界面活性剤80部とを混合したもの0.5 部を混合して樹脂
層用樹脂をえた。
【0140】また、比較例4で用いたのと同じエチレン
−プロピレン共重合体を樹脂フィルム用樹脂として用い
た。
【0141】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。
【0142】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】表1に示した結果から、本発明の積層フィ
ルムは、帯電防止性の指標である表面比抵抗が1×1013
Ω以下でかつ電荷の半減期が180 秒以下とすぐれている
とともに帯電防止成分の積層フィルムの樹脂層からのブ
リードアウトがなく、したがってブロッキングのない帯
電防止性にすぐれた積層フィルムであることがわかる。
【0145】一方、比較例1〜5でえられた積層フィル
ムは、従来の比較的低分子量の界面活性剤型帯電防止剤
が用いられたものであり、表2に示した結果から、帯電
防止性を満足させようとするならば、樹脂層から帯電防
止剤がブリードアウトするため、ブロッキングが発生す
るという欠点があることがわかる。
【0146】実施例6 実施例1で用いたのと同じポリオレフィン系樹脂を用意
し、ポリオレフィン系樹脂を60℃に加温したイオン変換
純水に投入し、ホモライザーで高速攪拌して樹脂を分散
させてエマルジョンとし、さらにこのものを室温まで冷
却して該樹脂を24重量%含有したエマルジョンをえた。
【0147】つぎに、Tダイ法押出し機にて溶融、混練
り、押出しし、20℃に設定された冷却ロールを通してえ
たポリプロピレンからなる厚さが900 μmの未延伸フィ
ルムを130 ℃の温度で長さ方向に5倍に延伸したのち、
ロールコート法で前記エマルジョンを樹脂層が厚さ18μ
mとなるようにコーティングした。さらに、このものを
160 ℃に設定したテンターに供給し、幅方向に9倍延伸
して、リラックス処理をしたのち、フィルムとして巻き
取った。このものの樹脂層の厚さは2μm、樹脂フィル
ムの厚さは20μmであった。
【0148】えられた積層フィルムの表面比抵抗を実施
例1と同様にして調べたところ、3.2 ×108 Ωときわめ
て小さく、帯電防止性にすぐれていることがわかった。
【0149】つぎに、えられた積層フィルムを2枚用意
し、コーティング面とコーティング面とを重ね合わせ、
40℃、80%RHの雰囲気中に7日間入れたのち、剥がして
積層フィルムの表面を観察したが、ブリードアウトによ
るベタツキの発生がなく、またブロッキングも発生して
いなかった。またえられた積層フィルムの樹脂層面にポ
リプロピレン用印刷インキおよびセロファン用印刷イン
キを用いて印刷したが、印刷性は良好であり、ブリード
アウトによる印刷不良がなかった。
【0150】つぎに、えられた積層フィルムの樹脂層面
に厚さが28nm程度となるようにアルミニウムの蒸着を施
したが、きわめて良好な蒸着膜の接着性を示し、ブリー
ドアウトによる蒸着膜の白化現象、剥離、脱落などは認
められなかった。
【0151】また、えられた積層フィルムの少なくとも
片面にコロナ放電処理を施し、表面濡れ張力を37dyne/
cm以上とし、各種コーティング剤との接着性を向上させ
ることができた。
【0152】また、樹脂層上にコーティング剤層を設
け、その他のフィルム、シートと貼り合わせ、またはヒ
ートシーラント層を設けて各種の包装材料、梱包材料と
して用いることができた。
【0153】実施例7 ポリプロピレン(メルトインデックス:2.8g/10分)を
樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0154】実施例2で用いたのと同じポリオレフィン
系樹脂と、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル
含量:45重量%)エマルジョン(樹脂固形分量:35重量
%)とを10:90の重量比で混合したものを用意した。
【0155】つぎに、前記でえられた樹脂フィルム用樹
脂を用いて実施例7と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記エマルジョンをコーティングして厚さ20.3μm
の積層フィルムをえた。
【0156】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは0.
3 μmであった。
【0157】つぎにえられた積層フィルムの表面比抵抗
を実施例1と同様にして、電荷の半減期、ブリードアウ
ト、ブロッキング剪断力および印刷性を実施例2と同様
にして、また蒸着性を下記の方法にしたがって測定し
た。その結果を表3に示す。
【0158】(蒸着性)巻出し機、蒸着装置、冷却装置
および巻取り機を内装する真空蒸着機に装着し、蒸着装
置のルツボにアルミニウムを所定量投入後、蒸着機を密
閉し、真空ポンプを作動させて蒸着系内を密閉し、真空
ポンプを作動させて蒸着系内を10-5〜10-4Torrの真空状
態にした。フィルムを所定の速度で走行させ、冷却装置
で冷却しながらルツボを700 〜800 ℃に加熱してアルミ
ニウムを厚さが25nmになるように蒸着させて巻き取っ
た。
【0159】この蒸着フィルムの蒸着面にセロハン粘着
テープ(ニチバン(株)製、幅24mm)を貼付したのち、
50mm/分の速度で180 ℃剥離したのちの蒸着金属の付着
面積に基づいてつぎの評価基準にて判定した。
【0160】(評価基準) 剥離後の蒸着面積 100 % 指数5 90%以上〜100 %未満 指数4 70%以上〜90% 未満 指数3 50%以上〜70% 未満 指数2 90% 未満 指数1 なお、合格は指数4以上とする。
【0161】実施例8 直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.930 g/cm3 、メ
ルトインデックス:5.2 g/10分)と低密度ポリエチレ
ン(密度:0.920 g/cm3 、メルトインデックス:2.1
g/10分)を30:70の重量比で混合したものを樹脂フィ
ルム用樹脂として用いた。
【0162】実施例3で用いたのと同じポリオレフィン
系樹脂と、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸
含量:25重量%)のトルエン溶液(樹脂固形分量:30重
量%)とを20:80の重量比で混合したものを用意した。
【0163】つぎに前記でえられた樹脂フィルム用樹脂
を用いて実施例6と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記トルエン溶液をコーティングして厚さ62μmの
積層フィルムをえた。
【0164】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは2
μmであった。
【0165】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0166】実施例9 エチレン−プロピレン共重合体(エチレン含量:8重量
%、メルトインデックス:2.3g/10分)を樹脂フィルム
用樹脂として用いた。
【0167】式:
【0168】
【化28】
【0169】で表わされるオレフィン構造単位88モル
%、式:
【0170】
【化29】
【0171】で表わされるアクリレート構造単位3モル
%および式:
【0172】
【化30】
【0173】で表わされるマレイミド構造単位9モル%
からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量33000
のポリオレフィン系樹脂を32メッシュパスとなるように
粉砕したものと、エチレン−アクリル酸共重合体エマル
ジョン(樹脂固形分量:15重量%)とを30:70の重量比
で混合したものを用意した。
【0174】つぎに上記でえられた樹脂フィルム用樹脂
を用いて実施例6と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記エマルジョンをコーティングして厚さ27μmの
積層フィルムをえた。
【0175】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは、
2μmであった。
【0176】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0177】
【表3】
【0178】比較例6 ポリプロピレンとしてメルトインデックスが2.8g/10分
のものを用い、実施例7と同様にして樹脂フィルムをえ
た。えられた樹脂フィルムの厚さは20μmであった。
【0179】エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含量:45重量%)と塩素化ポリエチレン(塩素化度:
34重量%)とを70:30の重量比で混合したものの25%ト
ルエン溶液を用意した。
【0180】つぎに実施例7と同様にして樹脂フィルム
の表面上にトルエン溶液をコーティングして厚さ22.5μ
mの積層フィルムをえた。
【0181】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは2.
5 μmであった。
【0182】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0183】比較例7 実施例8で用いたものと同じ直鎖状低密度ポリエチレン
と低密度ポリエチレンの混合物を用い、実施例8と同様
にして厚さが60μmの樹脂フィルムをえた。
【0184】つぎに、エチレン−アクリル酸共重合体
(アクリル酸含量:25重量%)を苛性ソーダで中和した
エマルジョン(樹脂固形分量:20重量%)を用い、前記
でえられた樹脂フィルムに実施例8と同様にして被覆し
て積層フィルムをえた。
【0185】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは5.
2 μmであった。
【0186】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0187】比較例8 実施例9で用いたのと同じエチレン−プロピレン共重合
体を用い、実施例9と同様にして厚さが30μmの樹脂フ
ィルムをえた。
【0188】つぎに、エチレン−アクリル酸共重合体
(アクリル酸含量:25重量%)の18%トルエン溶液を用
い、実施例8と同様にして前記でえられたフィルムにコ
ーティングして積層フィルムをえた。
【0189】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは5.
2 μmであった。
【0190】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0191】比較例9 実施例9で用いたのと同じエチレン−プロピレン共重合
体を用い、実施例9と同様にして厚さが25μmの樹脂フ
ィルムをえた。
【0192】エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル
酸含量:25重量%)とドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダとを90:10の重量比で混合したもののエマルジョン
(樹脂固形分量:20重量%)を用い、実施例9と同様に
して前記でえられた樹脂フィルムにコーティングして積
層フィルム物をえた。
【0193】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは3
μmであった。
【0194】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0195】
【表4】
【0196】表3に示した結果から明らかなように、本
発明の積層フィルムは表面比抵抗が1×1012Ω以下でか
つ電荷の半減期が180 秒以下とすぐれているとともに帯
電防止成分のブリードアウトがなく、またブロッキング
の発生がなく、しかも印刷性および金属蒸着性にもきわ
めてすぐれたものであることがわかる。
【0197】一方、表4に示した結果から明らかなよう
に、従来の積層フィルムは、帯電防止剤として添加した
界面活性剤により帯電防止性は満足しても接着性および
蒸着性に劣るものであることがわかる。
【0198】前記のことから、本発明の熱可塑性樹脂積
層フィルムは、帯電防止性にすぐれ、しかも帯電防止剤
のブリードアウトがなく、ブロッキングも発生しないた
め、たとえば静電気による障害の発生を防止しなければ
ならない分野や印刷、蒸着を必要とする包装、梱包材分
野などに好適に使用しうることがわかる。
【0199】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂積層フィルムは、
ブリードアウトがないきわめてすぐれた帯電防止性を示
すため、埃の付着がなく、また静電気の放電により人体
にショックを与えることがないため、接着性、印刷性、
蒸着性およびハンドリング性にすぐれた積層フィルムで
ある。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) : 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基を示す)で表わ
    されるオレフィン構造単位50〜98モル%、一般式(II): 【化2】 (式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
    わされるアクリレート構造単位1〜15モル%および一般
    式(III) : 【化3】 (式中、R3 は炭素数2〜8のアルキレン基、R4 およ
    びR5 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R6 は炭
    素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアル
    キル基、アルキル基で置換されていてもよい炭素数2〜
    4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、
    Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5 OS
    3 を示す)で表わされるマレイミド構造単位1〜35モ
    ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量10
    00〜50000 のポリオレフィン系樹脂を含有した樹脂層を
    設けてなる熱可塑性樹脂積層フィルム。
  2. 【請求項2】 樹脂層の厚さが0.1 〜50μmである請求
    項1記載の熱可塑性樹脂積層フィルム。
  3. 【請求項3】 樹脂層が前記ポリオレフィン系樹脂を0.
    3 〜50重量%含有したものである請求項1記載の熱可塑
    性樹脂積層フィルム。
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