JP2600642B2 - 熱可塑性樹脂積層フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂積層フィルム

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JP2600642B2
JP2600642B2 JP3307846A JP30784691A JP2600642B2 JP 2600642 B2 JP2600642 B2 JP 2600642B2 JP 3307846 A JP3307846 A JP 3307846A JP 30784691 A JP30784691 A JP 30784691A JP 2600642 B2 JP2600642 B2 JP 2600642B2
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ethylene
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂積層フィル
ム関する。さらに詳しくは、たとえば包装用材料などと
して好適に使用しうる帯電防止性、印刷性などにすぐれ
た熱可塑性樹脂積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱可塑性樹脂積層フィルムは、
疎水性が大きかったり、樹脂の極性が強かったりするた
め、静電気の発生が著しい。したがって、このようなフ
ィルムをたとえば包装用材料として用いたばあいには、
埃が付着し、内容物の商品価値の低下、接着不良、印刷
不良、蒸着性不良、巻取時の端部の不揃いなどを生じた
り、静電気の放電により人体にショックを与えることが
あり、また可燃性有機溶剤を使用する雰囲気中において
は引火などの問題があった。
【0003】そこで、従来から発泡体に帯電防止性を付
与するために、アニオン系、カチオン系または両性界面
活性剤を添加したり、塗布する方法が採用されている。
【0004】しかしながら、前記方法では、界面活性剤
は、その分子量がたかだか500 〜600 程度と比較的小さ
いものであるため、フィルムの製造中に揮散したり、ま
たフィルムとしたあとには経時とともにブリードアウト
し、フィルムの表面を汚染し、ブロッキングを発生した
り、接着性、印刷性や蒸着性などを悪化させるという問
題がある。また、前記界面活性剤を用いた熱可塑性樹脂
フィルム以外にも帯電防止性にすぐれたポリオレフィン
系樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂に1種または2種
以上の特定の官能基をもつ樹脂や特殊変性樹脂(特開昭
62-121717 号公報、特公平1-29820 号公報)を添加し、
フィルムにしたものが知られている。
【0005】しかしながら、前記樹脂はいずれもアクリ
レート構造やアクリルアミド構造を有するものではない
ため、種々の熱可塑性樹脂との相溶性がわるく、透明性
が悪化したりボイドが発生し、表面性に劣るという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、帯電防止性にすぐれる
ことは勿論のこと、接着性、印刷性にもすぐれ、ブリー
ドやブロッキングの発生などがない熱可塑性樹脂積層フ
ィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は式:
【0008】
【化4】
【0009】で表わされるエチレン構造単位65〜99モル
%、一般式:
【0010】
【化5】
【0011】(式中、 R1 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位0〜15モル
%および一般式:
【0012】
【化6】
【0013】(式中、 R2 は炭素数2〜8のアルキレン
基、 R3 および R4 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、 R5 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基または炭素数6〜12の脂環アルキル
基、X はハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5
OSO3 を示す)で表わされるアクリルアミド構造単位
1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均
分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂を含有した
樹脂層と熱可塑性樹脂層(ただし、ポリオレフィン系発
泡樹脂層を除く)とからなる熱可塑性樹脂積層フィルム
に関する。
【0014】
【作用および実施例】本発明の熱可塑性樹脂積層フィル
ムは、前記したように、式:
【0015】
【化7】
【0016】で表わされるエチレン構造単位65〜99モル
%、一般式:
【0017】
【化8】
【0018】(式中、 R1 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位0〜15モル
%および一般式:
【0019】
【化9】
【0020】(式中、 R2 は炭素数2〜8のアルキレン
基、 R3 および R4 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、 R5 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基または炭素数6〜12脂環アルキル
基、X はハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5
OSO3 を示す)で表わされるアクリルアミド構造単位
1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均
分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂を含有した
樹脂層を設けたものである。
【0021】前記ポリオレフィン系樹脂中の式:
【0022】
【化10】
【0023】で表わされるエチレン構造単位の割合は65
〜99モル%である。該エチレン構造単位の割合が65モル
%未満であるばあいには、前記ポリオレフィン系樹脂の
軟化点が低くなってタックやベタツキが生じ、また99モ
ル%をこえるばあいには、前記ポリオレフィン系樹脂の
帯電防止性が小さくなりすぎるようになる。なお、本発
明においては、前記エチレン構造単位の割合は、軟化点
および帯電防止性の釣り合いの点から、85〜97モル%で
あることがとくに好ましい。
【0024】前記ポリオレフィン系樹脂の中の一般式:
【0025】
【化11】
【0026】(式中、 R1 は前記と同じ)で表わされる
アクリレート構造単位の割合は0〜15モル%である。該
アクリレート構造単位の割合が15モル%をこえるばあい
には、前記ポリオレフィン系樹脂の軟化点が低くなって
タックやベタツキが生じるようになる。本発明におい
て、前記アクリレート構造単位が含まれているばあいに
は、強靭性および耐衝撃性が付与されるので好ましい。
なお、本発明においては、前記アクリレート構造単位の
割合は、軟化点と強靭性および耐衝撃性との釣り合いの
点から、1〜15モル%、なかんづく3〜7モル%である
ことがとくに好ましい。
【0027】前記アクリレート構造単位において、 R1
は炭素数1〜4のアルキル基である。かかる R1 の具体
例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プ
ロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基があげられ、これら
の基は1分子中に混在してもよい。なお、これらの基の
なかでは、メチル基およびエチル基は前記ポリオレフィ
ン系樹脂の軟化点を維持するうえで好ましいものであ
る。
【0028】前記ポリオレフィン系樹脂中の一般式:
【0029】
【化12】
【0030】(式中、 R2 、 R3 、 R4および R5 は前
記と同じ)で表わされるアクリルアミド構造単位の割合
は1〜35モル%である。該アクリルアミド構造単位の割
合が1モル%未満であるばあいには、帯電防止性が小さ
くなりすぎ、また35モル%をこえるばあいには、前記ポ
リオレフィン系樹脂に吸湿性が生じるようになる。な
お、本発明においては、前記アクリルアミド構造単位の
割合は、帯電防止性および吸湿性の釣り合いの点から、
3〜15モル%であることがとくに好ましい。
【0031】前記アクリルアミド構造単位において、 R
2 は炭素数2〜8のアルキレン基である。かかる R2
具体例としては、たとえばエチレン基、プロピレン基、
ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基などがあげられ、
これらの基は1分子中に混在していてもよい。なお、こ
れらの基のなかでは、製造の容易性および経済性の面か
らエチレン基およびプロピレン基が好ましく、とくにプ
ロピレン基が好ましい。
【0032】前記 R3 および R4 はそれぞれ炭素数1〜
4のアルキル基である。かかる R3 および R4 の具体例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
があげられ、これらの基は1分子中に混在していてもよ
い。なお、これらの基のなかでは、帯電防止性の点から
メチル基およびエチル基が好ましい。
【0033】前記 R5 は炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数6〜12のアリールアルキル基または炭素数6〜12の
脂環アルキル基である。かかる R5 の具体例としては、
たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピ
ル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、n-オクチル基、n-ラ
ウリル基などのアルキル基;ベンジル基、4-メチルベン
ジル基などのアリールアルキル基;シクロヘキシル基、
メチルシクロヘキシル基などの脂環アルキル基があげら
れ、これらの基は1分子中に混在していてもよい。な
お、前記 R5 としては、耐熱性の点から、直鎖状アルキ
ル基およびアリールアルキル基が好ましく、また帯電防
止性の点から低級アルキル基が好ましい。とくに好まし
い R5 としては、メチル基およびエチル基があげられ
る。
【0034】前記X は、たとえばCl、Br、I などのハロ
ゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5 OSO3 であ
り、これらは1分子中に混在していてもよい。なお、こ
れらのなかでは、帯電防止性の点からCl、CH3 OSO
3 およびC2 5 OSO3 が好ましい。
【0035】前記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子
量は、1000〜50000 である。該重量平均分子量が1000未
満であるばあいには、分子量が小さくなりすぎて加熱し
たときに揮散し、また50000 をこえるばあいには、熔融
したときの粘度が大きくなりすぎ、作業性がわるくな
る。好ましい重量平均分子量は3000〜30000 である。
【0036】なお、本発明における重量平均分子量と
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC) で測定
した単分散のポリスチレン換算の重量平均分子量をい
う。
【0037】本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂
は、テトラヒドロフラン(THF) やキシレンなどの通常ゲ
ルパーミエーション溶離液に難溶であるので、その重量
平均分子量を容易に測定することができないが、超高温
GPC (絹川、高分子論文集、44巻、2号、139 〜141 頁
(1987年))にしたがって測定することができる。
【0038】前記ポリオレフィン系樹脂の中間体である
式:
【0039】
【化13】
【0040】で表わされるエチレン構造単位、一般式:
【0041】
【化14】
【0042】(式中、 R1 は前記と同じ)で表わされる
アクリレート構造単位および一般式:
【0043】
【化15】
【0044】(式中、 R2 、 R3 および R4 は前記と同
じ)で表わされるアクリルアミド構造単位からなる線状
に不規則に配列した重量平均分子量1000〜50000 のオレ
フィン系共重合体は、たとえば以下の方法によってえら
れる。
【0045】まず、前記オレフィン系共重合体の原料と
しては、とくに限定はないが、より有利にはエチレン
(C2 4 )と一般式:CH2 CHCOOR1 (式中、
R1 は前記と同じ)で表わされるアクリレートとからな
る共重合体の(部分)加水分解物が用いられる。かかる
共重合体は、エチレンと前記アクリレートを高圧重合法
で共重合させることによって容易にえられる。
【0046】前記エチレンに由来するエチレン構造単位
と前記アクリレートに由来するアクリレート構造単位と
の比率は、えられるオレフィン系共重合体のエチレン構
造単位、アクリレート構造単位およびアクリルアミド構
造単位の比率を決定することになる。
【0047】前記共重合体は、通常メルトインデックス
5〜300 程度の高分子量を有するものであるので、たと
えば水の存在下で高温高圧下で加水分解と同時に熱分解
を行なう減成方法により低分子量化されることが好まし
い。
【0048】このとき、アクリレートに起因する一般
式:
【0049】
【化16】
【0050】(式中、 R1 は前記と同じ)で表わされる
アクリレート構造単位の全部または一部が加水分解によ
り式:
【0051】
【化17】
【0052】で表わされるアクリル酸構造単位となる。
【0053】前記共重合体を熱分解することにより低分
子量化し、重量平均分子量が1000〜50000 の共重合体を
調製するためには、水の存在下で前記共重合体を反応温
度150 〜500 ℃、圧力3〜500kg/cm2 で加熱により分
子を切断すればよい。
【0054】また、本発明において、前記アクリル酸構
造単位の割合は、水の仕込み量、反応温度、圧力および
反応時間を調整することによって適宜調節しうる。
【0055】前記減成方法の具体例としては、たとえば
特開昭53-57295号公報、特開昭53-65389 号公報、特開
昭60-79008号公報、特開昭60-79015号公報などに記載さ
れた方法があげられる。
【0056】なお、本発明に用いられるポリオレフィン
系樹脂は、着色されたばあいには商品的価値を損なうこ
とがあるので、本発明に用いる原料としては、たとえば
特開昭60-79008号公報に例示された方法の生成物を用い
ることが好ましい。
【0057】かくしてえられるポリオレフィン系樹脂の
中間体を用いて本発明に用いられるポリオレフィン系樹
脂がえられる。
【0058】前記中間体から本発明に用いられるポリオ
レフィン系樹脂を製造する方法についてはとくに限定は
ない。以下にその一例について説明する。
【0059】前記中間体をたとえばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサノン、デカン、クメン、シ
メンなどの芳香族または脂肪族炭化水素などの不活性溶
媒に溶解し、これに前記中間体のカルボキシル基に対し
て100 〜150 モル%のジアルキルアミノアルキルアミン
などのジアルキルアミン系モノマーを添加し、130 〜22
0 ℃にて反応させてアクリル酸構造単位に含まれるカル
ボキシル基をジアルキルアミノアルキルアミド基に変換
して中間体としたのち、たとえばアルキルハライド、ジ
アルキル硫酸塩などの公知の4級化剤でカチオン変性す
ることにより、本発明に用いられる線状のランダム共重
合体であるポリオレフィン系樹脂がえられる。
【0060】かくしてえられるポリオレフィン系樹脂は
すぐれた帯電防止性を呈する。このように帯電防止性を
呈する理由は定かではないが、ポリオレフィン系樹脂に
含まれるアクリルアミド構造単位が空気中に含まれる水
分を取り込み、
【0061】
【化18】
【0062】がイオン化して電気伝導性を呈することに
より低い電気抵抗を示すことに起因するものと考えられ
る。
【0063】また、本発明においては、アクリルアミド
構造単位が高温下であっても揮発性を示さず、かつ本発
明に用いられるポリオレフィン系樹脂中に化学的に組み
込まれているので、加工時における揮散がなく、加工後
においてはブロッキングの発生などを招くことがないも
のと考えられる。
【0064】本発明に用いられる樹脂層は、前記ポリオ
レフィン系樹脂を含有したものであり、熱可塑性樹脂と
混合して用いられる。
【0065】前記熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ
プロピレン、エチレン含量が2〜30重量%のエチレン-
プロピレン共重合体、前記エチレン- プロピレン共重合
体にブテン-1をさらに共重合した三元共重合体、高圧法
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレ
ン- 酢酸ビニル共重合体、前記エチレン- 酢酸ビニル共
重合体のケン化物、エチレン- (メタ)アクリル酸共重
合体、エチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合
体、エチレン- (メタ)アクリル酸- 無水マレイン酸三
元共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル- 無
水マレイン酸三元共重合体などのポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂な
どがあげられ、これらの樹脂は、単独でまたは2種以上
を混合して用いられる。
【0066】なお、前記ポリオレフィン系樹脂の使用量
は、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性樹脂の総
量に対して0.3 〜50重量%、好ましくは0.5 〜20重量%
である。かかるポリオレフィン系樹脂の使用量は、0.3
重量%未満であるばあいには、分子量が公知の界面活性
剤型の帯電防止剤よりも大きいため、樹脂組成物中に占
める割合が小さくなり、ブロッキング性の点ではよいが
表面抵抗、電荷の半減期、すなわち帯電防止性が劣るよ
うになり、また50重量%をこえるばあいには、前記ポリ
オレフィン系樹脂の分子量が、混合する熱可塑性樹脂よ
りも小さいので、帯電防止性の点では好ましいものの、
えられる積層フィルムの機械的物性が劣るようになる。
【0067】前記樹脂層の厚さは、最終の製品としたと
きに0.1 〜50μm であればよい。かかる厚さは0.1 μm
未満であるばあいには、樹脂層と樹脂フィルムとの界面
で凝集破壊を生じ、結果的に接着性および蒸着性が悪化
するようになり、また50μmをこえるばあいには、樹脂
層の柔軟性が顕著となるのでブロッキングを生じるよう
になる。
【0068】本発明において基材として用いられる熱可
塑性樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、たとえば
プロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂、密度
が0.925g/cm3 以上の低圧法高密度ポリエチレンや直鎖
状低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂(例
えば、チーグラー法やメタロセン法で合成される)、ポ
リエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS 系樹脂などがあげ
られ、これらの樹脂は単独でまたは必要に応じて2種以
上を混合して用いられる。
【0069】前記樹脂フィルムの製造法についてはとく
に限定がなく、公知の各種の製膜方法を採用することが
できる。かかる熱可塑性樹脂フィルムの製造法の具体例
としては、たとえばキャスト法、インフレーション法、
チューブラ法、テンター法などがあげられる。
【0070】なお、前記樹脂フィルムは、未延伸、縦一
軸延伸あるいは二軸延伸のいずれのものであってもよ
い。
【0071】前記樹脂フィルムの厚さについてはとくに
限定はなく、えられる積層フィルムの用途に応じて適宜
選択すればよいが、通常かかるフィルムの厚さは10〜50
0 μm とされる。
【0072】なお、本発明においては、本発明の目的が
阻害されない範囲内で、たとえば炭酸カルシウム、タル
ク、ガラス単繊維などの無機充填剤、酸化防止剤、難燃
剤、着色剤、多官能モノマーなどの各種助剤などを樹脂
層および樹脂フィルム中に含有せしめてもよい。
【0073】また、本発明においては、前記樹脂層には
公知の低分子量の界面活性剤を前記ポリオレフィン系樹
脂に対して30重量%をこえない範囲内で用いてもよい。
このように30重量%をこえない範囲内で界面活性剤を用
いたばあいには、えられる樹脂層からのブリードが認め
られない。
【0074】前記樹脂層と前記樹脂フィルムとを一体化
する方法としては、たとえば前記樹脂層用の樹脂を加熱
溶融させた状態でまたはエマルジョンの状態でリバース
ロールコート法、グラビアコート法やバーコート法など
により樹脂フィルム上にコーティングする方法、前記樹
脂フィルムを製造する際に、樹脂フィルム用樹脂と樹脂
層用樹脂を短管内複合法、口金内複合法や溶融押し出し
ラミネート法などにより複合一体化する方法などがあげ
られるが、本発明はかかる方法のみに限定されるもので
はない。
【0075】また、本発明の積層フィルムには、さらに
少なくとも片面にコロナ放電処理を施して表面濡れ張力
をあげ、水溶性の各種コーティング剤との接着性を向上
させることができる。またコーティング剤層を設け、各
種フィルム、シート、ヒートシーラント層などを積層し
て複合体とし、各種包装材料、梱包装材料として用いる
こともできる。また、本発明の積層フィルムの少なくと
も片面に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を
設けて各種包装材料、梱包材料として用いることもでき
る。
【0076】つぎに本発明の熱可塑性樹脂積層フィルム
を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は
かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0077】実施例1 式:
【0078】
【化19】
【0079】で表わされるエチレン構造単位85モル%、
式:
【0080】
【化20】
【0081】で表されるアクリレート構造単位5モル%
および式:
【0082】
【化21】
【0083】で表わされるアクリルアミド構造単位10モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量31
300 のポリオレフィン系樹脂を直鎖状低密度ポリエチレ
ン樹脂(密度:0.930g/cm3 、メルトインデックス:3.
7g/10分)100 部(重量部、以下同様)に対して20部添
加し、ドライブレンドして樹脂層用樹脂組成物とした。
【0084】前記樹脂層用樹脂組成物を副押出し機に、
また直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.930g/cm3
メルトインデックス:3.7g/10分)を主押出し機に導入
し、ついで短管内複合装置を装備した共押出しフィルム
化装置に導入して共押出しし、20℃設定された冷却ロー
ルを通して厚さ100 μm 、幅1200mmの未延伸フィルムを
えた。えられた未延伸フィルムの厚さは、樹脂層が20μ
m 、樹脂フィルム層が80μm であった。このとき、押出
し機、短管内複合装置および口金の温度はいずれも180
〜220 ℃であった。
【0085】えられた積層フィルムの表面比抵抗を下記
の方法にしたがって調べたところ、3.2×1011Ωときわ
めて小さく、帯電防止性にすぐれていることがわかっ
た。
【0086】つぎに、えられた積層フィルムを2枚重ね
合わせ、40℃、80%RH(相対湿度)の雰囲気中に7日間
放置したのち積層フィルムを剥がして表面状態を観察し
たが、ブリードアウトによるベタツキの発生がなく、ま
たえられた積層フィルムの表面上にポリプロピレン用印
刷インキを用いて印刷したが、ブリードアウトによる印
刷不良がなかった。
【0087】つぎに、えられた積層フィルムの片面にコ
ロナ放電処理を施し、表面濡れ張力を37dyne/cm以上と
し、各種コーティング剤との接着性を向上させることが
できた。
【0088】また、コーティング剤層を設け、その他の
フィルムやシートと貼り合わせ、またヒートシーラント
層を施して各種の包装材料、梱包材料として用いること
ができた。また、えられた積層フィルムの少なくとも片
面に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を施し
て各種の包装材料、梱包材料として用いることができ
た。
【0089】(表面比抵抗)積層フィルムを10cm×10cm
に切り出し、20℃、60%RHにコントロールされた恒温恒
室中に48時間放置してエージングする。
【0090】エージング終了後、前記雰囲気中で表面比
抵抗を測定する。
【0091】測定器:(株)川口電機製作所製の超絶縁
計(VE-40 型)に常温測定箱(RC-02型)を接続したも
の 測定条件:印加電圧100V 本器で測定した値を採用する。
【0092】なお、上記表面比抵抗において1×1013Ω
以下、かつ上記電荷の半減期が3分間以下のものを帯電
防止性があるとする。
【0093】実施例2 樹脂フィルム用樹脂として、ポリプロピレン(メルトイ
ンデックス:2.8g/10分)を用いた。
【0094】また、樹脂層用樹脂として式:
【0095】
【化22】
【0096】で表わされるエチレン構造単位85モル%、
式:
【0097】
【化23】
【0098】で表わされるアクリレート構造単位5モル
%および式:
【0099】
【化24】
【0100】で表わされるアクリルアミド構造単位10モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量33
500 のポリオレフィン系樹脂を用いた。
【0101】つぎに、前記樹脂フィルム用樹脂および樹
脂層用樹脂を用い、実施例1と同様にして積層フィルム
をえた。この積層フィルムは、全体の厚さが40μm 、幅
が1200mm、樹脂層の厚さが5μm のものであった。
【0102】つぎに、えられた積層フィルムの物性とし
て表面比抵抗を実施例1と同様にして、また電荷の半減
期、ブリードアウト、ブロッキング剪断力および印刷性
を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示
す。
【0103】(電荷の半減期)表面比抵抗を測定したと
きと同じ雰囲気中でスタチックオネストメーター
((株)宍戸商会製)を用い、試料に10KVの電圧を印加
し、印加された電荷の減衰速度を半減期として求める。
【0104】(ブリードアウト) 積層フィルムの表面に無添加2軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムを重ね、40℃、80%RHの雰囲気中に7日間入れた
のち、取出して積層フィルムからポリプロピレンフィル
ムを剥がしてポリプロピレンフィルムの表面の付着物の
有無を調べる。
【0105】(ブロッキング剪断力)2枚の積層フィル
ムを幅3cm、長さ4cmにわたって重ね合わせ、この上に
550gの重りをのせ、40℃、80%RHの雰囲気中に7日間入
れたのち、2枚のフィルムの剪断剥離力をショッパー型
引張り試験機で求める。
【0106】剪断剥離力が1000g 以下を合格とする。な
お、好ましくは500g以下である。
【0107】(印刷性)ポリプロピレン用印刷インキPP
ST(東洋インキ製造(株)製)を#50のバーコーターを
使用して塗布し、80℃の熱風乾燥器で乾燥したのち、印
刷部分にセロテープ(ニチバン(株)製、24mm幅)を長
さ20cmに切り出し、そのうち15cmを印刷部に貼り付け、
セロテープ上を数回強くこすり確実に貼り付ける。残っ
たテープの部分を手にもって素早くテープを剥離し、剥
離したインキ部のフィルムへの残存量をみて印刷性を求
める。
【0108】印刷性はつぎの評価基準にて判定する。
【0109】(評価基準) 50%未満 指数1 50%以上〜75%未満 指数2 75%以上〜90%未満 指数3 90%以上〜100 %未満 指数4 100 % 指数5 なお、合格は指数4以上とする。
【0110】実施例3 樹脂フィルム用樹脂として低密度ポリエチレン(密度:
0.921g/cm3 、メルトインデックス: 3.2g /10分)を
用いた。
【0111】また、樹脂層用樹脂として式:
【0112】
【化25】
【0113】で表わされるエチレン構造単位80モル%お
よび式:
【0114】
【化26】
【0115】で表わされるアクリルアミド構造単位20モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量31
000 のポリオレフィン系樹脂30部と低密度ポリエチレン
(密度:0.921g/cm3 、メルトインデックス:3.2g/10
分)70部を混合したものを用いた。
【0116】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と前記
樹脂層用樹脂を用いて実施例1と同様にして積層フィル
ムをえた。この積層フィルムは、全体の厚さが40μm 、
全幅1200mm、樹脂層の厚さが5μm のものであった。
【0117】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0118】実施例4 樹脂フィルム用樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン
(密度:0.935g/cm3 、メルトインデックス:8.3g/10
分)と低密度ポリエチレン(密度:0.923g/cm3 、メル
トインデックス:3.7g/10分)を重量比30/70で混合し
たものを用いた。
【0119】また、樹脂層用樹脂として式:
【0120】
【化27】
【0121】で表わされるエチレン構造単位80モル%、
式:
【0122】
【化28】
【0123】で表わされるアクリレート構造単位1モル
%および式:
【0124】
【化29】
【0125】で表わされるアクリルアミド構造単位19モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量27
000 のポリオレフィン系樹脂20部および実施例3で用い
たのと同じ低密度ポリエチレン80部を用いた。
【0126】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と前記
樹脂層樹脂を用いて実施例1と同様にして積層フィルム
をえた。この積層フィルムは、全体の厚さが27μm 、全
幅が1200mm、樹脂層の厚さが2μm のものであった。
【0127】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0128】実施例5 樹脂フィルム用樹脂としてエチレン- プロピレン共重合
体(エチレン含量:8重量%、メルトインデックス:2.
3g/10分)を用いた。
【0129】また、樹脂層用樹脂として式:
【0130】
【化30】
【0131】で表わされるエチレン構造単位88モル%、
式:
【0132】
【化31】
【0133】で表わされるアクリレート構造単位3モル
%および式:
【0134】
【化32】
【0135】で表わされるアクリルアミド構造単位9モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量33
000 のポリオレフィン系樹脂60部をポリプロピレン(メ
ルトインデックス:2.5g/10分)40部に添加したものを
用いた。
【0136】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。えられた積層フィルムは、全体の厚さが14
μm、全幅が1200mm、樹脂層の厚さが2μm のものであ
った。
【0137】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0138】実施例6 樹脂フィルム用樹脂としてナイロン-6(CM1021T 、東レ
(株)製)を用いた。
【0139】また、樹脂層用樹脂として式:
【0140】
【化33】
【0141】で表わされるエチレン構造単位80モル%お
よび式:
【0142】
【化34】
【0143】で表わされるアクリルアミド構造単位20モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量31
000 のポリオレフィン系樹脂30部と低密度ポリエチレン
(密度:0.921g/cm3 、メルトインデックス:3.2g/10
分)70部を混合したものを用いた。
【0144】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と前記
樹脂層用樹脂を用い、押出し機、単管内複合装置および
口金の温度をそれぞれ220 〜250 ℃としたほかは実施例
1と同様にして積層フィルムをえた。この積層フィルム
は、全体の厚さが40μm 、全幅1200mm、樹脂層の厚さが
5μm のものであった。
【0145】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0146】実施例7 樹脂フィルム用樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(固有粘度:0.598)70部を熱可塑性エラストマー(ハイ
トレル4074、東レ・デュポン(株)製)15部に添加した
ものを用いた。
【0147】また、樹脂層用樹脂として式:
【0148】
【化35】
【0149】で表わされるエチレン構造単位80モル%、
式:
【0150】
【化36】
【0151】で表わされるアクリレート構造単位1モル
%および式:
【0152】
【化37】
【0153】で表わされるアクリルアミド構造単位19モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量27
000 のポリオレフィン系樹脂20部および実施例3で用い
たのと同じ低密度ポリエチレン80部を用いた。
【0154】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂と樹脂
層樹脂を用い、シリンダー温度を240 〜280 ℃とし、ま
た口金温度を260 〜280 ℃に設定したほかは実施例1と
同様にして積層フィルムをえた。この積層フィルムは、
全体の厚さが27μm 、全幅が1200mm、樹脂層の厚さが2
μm のものであった。
【0155】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0156】
【表1】
【0157】比較例1 樹脂フィルム用樹脂としてポリプロピレン(メルトイン
デックス:2.8g/10分)を用いた。
【0158】エチレン- プロピレン共重合体(エチレン
含量:8重量%、メルトインデックス:2.3g/10分)99
部と帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセライド1
部を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0159】つぎに、樹脂フィルム用樹脂および樹脂層
用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィルムをえ
た。
【0160】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0161】比較例2 低密度ポリエチレン(密度:0.921g/cm3 、メルトイン
デックス:3.2g/10分)99.2部および帯電防止剤として
式:
【0162】
【化38】
【0163】で表わされるベタイン型両性界面活性剤0.
8 部を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0164】上記で用いたものと同じ低密度ポリエチレ
ンを樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0165】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。
【0166】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0167】比較例3 低密度ポリエチレン(密度:0.921g/cm3 、メルトイン
デックス:3.2g/10分)98.5部および帯電防止剤として
ステアリン酸モノグリセライドと式:
【0168】
【化39】
【0169】で表わされるベタイン型両性界面活性剤を
3:7の重量比で混合したもの1.5 部を混合して樹脂層
用樹脂をえた。
【0170】また、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:
0.930 g/cm3 、メルトインデックス:5.2g/10分)と低
密度ポリエチレン(密度:0.920 g/cm3 、メルトインデ
ックス:2.1g/10分)を混合して樹脂フィルム用樹脂を
えた。
【0171】つぎにえられた樹脂フィルム用樹脂および
樹脂層用樹脂を用いて実施例4と同様にして積層フィル
ムをえた。
【0172】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0173】比較例4 エチレン含量5重量%のエチレン- プロピレン共重合体
(メルトインデックス:1.2g/10分)95部および帯電防
止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダとポリエ
チレングリコールを15:85の重量比で混合したもの5部
を混合して樹脂層用樹脂をえた。
【0174】比較例1で用いたのと同じエチレン- プロ
ピレン共重合体を樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0175】つぎに樹脂フィルム用樹脂および樹脂層用
樹脂を用いて実施例1と同様にして積層フィルムをえ
た。
【0176】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0177】比較例5 ポリプロピレン(メルトインデックス:2.5g/10分)9
9.5部および帯電防止剤としてステアリルジエタノール
アミン20部と比較例2で用いたのと同じベタイン型両性
界面活性剤80部とを混合したもの0.5 部を混合して樹脂
層用樹脂をえた。
【0178】また、比較例4で用いたのと同じエチレン
- プロピレン共重合体を樹脂フィルム用樹脂として用い
た。
【0179】つぎに、えられた樹脂フィルム用樹脂およ
び樹脂層用樹脂を用いて実施例2と同様にして積層フィ
ルムをえた。
【0180】えられた積層フィルムの物性を実施例2と
同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0181】
【表2】
【0182】表1に示した結果から、本発明の積層フィ
ルムは、帯電防止性の指標である表面比抵抗が1×1013
Ω以下でかつ電荷の半減期が180 秒以下とすぐれている
とともに帯電防止成分の積層フィルムの樹脂層からのブ
リードアウトがなく、したがってブロッキングのない帯
電防止性にすぐれた積層フィルムであることがわかる。
【0183】一方、比較例1〜5でえられた積層フィル
ムは、従来の比較的低分子量の界面活性剤型帯電防止剤
が用いられたものであり、表2に示した結果から、帯電
防止性を満足させようとするならば、樹脂層から帯電防
止剤がブリードアウトするため、ブロッキングが発生す
るという欠点があることがわかる。
【0184】実施例8 実施例1で用いたのと同じポリオレフィン系樹脂を用意
し、ポリオレフィン系樹脂を60℃に加温したイオン変換
純水に投入し、ホモライザーで高速攪拌して樹脂を分散
させてエマルジョンとし、さらにこのものを室温まで冷
却して該樹脂を24重量%含有したエマルジョンをえた。
【0185】つぎに、Tダイ法押出し機にて溶融、混練
り、押出しし、20℃設定された冷却ロールを通してえた
ポリプロピレンからなる厚さが900 μm の未延伸フィル
ムを130 ℃の温度で長さ方向に5倍に延伸したのち、ロ
ールコート法で前記エマルジョンを樹脂層が厚さ18μm
となるようにコーティングした。さらに、このものを16
0 ℃に設定したテンターに供給し、幅方向に9倍延伸し
て、リラックス処理をしたのち、フィルムとして巻き取
った。このものの樹脂層の厚さは2μm 、樹脂フィルム
の厚さは20μm であった。
【0186】えられた積層フィルムの表面比抵抗を実施
例1と同様にして調べたところ、3.2 ×108 Ωときわめ
て小さく、帯電防止性にすぐれていることがわかった。
【0187】つぎに、えられた積層フィルムを2枚用意
し、コーティング面とコーティング面とを重ね合わせ、
40℃、80%RHの雰囲気中に7日間入れたのち、剥がして
積層フィルムの表面を観察したが、ブリードアウトによ
るベタツキの発生がなく、またブロッキングも発生して
いなかった。またえられた積層フィルムの樹脂層面にポ
リプロピレン用印刷インキおよびセロファン用印刷イン
キを用いて印刷したが、印刷性は良好であり、ブリード
アウトによる印刷不良がなかった。
【0188】つぎに、えられた積層フィルムの樹脂層面
に厚さが28nm程度となるようにアルミニウムの蒸着を施
したが、きわめて良好な蒸着膜の接着性を示し、ブリー
ドアウトによる蒸着膜の白化現象、剥離、脱落などは認
められなかった。
【0189】また、えられた積層フィルムの少なくとも
片面にコロナ放電処理を施し、表面濡れ張力を37dyne/
cm以上とし、各種コーティング剤との接着性を向上させ
ることができた。
【0190】また、樹脂層上にコーティング剤層を設
け、その他のフィルム、シートと貼り合わせ、またはヒ
ートシーラント層を設けて各種の包装材料、梱包材料と
して用いることができた。
【0191】実施例9 ポリプロピレン(メルトインデックス:2.8g/10分)を
樹脂フィルム用樹脂として用いた。
【0192】実施例2で用いたのと同じポリオレフィン
系樹脂と、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル
含量:45重量%)エマルジョン(樹脂固形分量:35重量
%)とを10:90の重量比で混合したものを用意した。
【0193】つぎに、上記でえられた樹脂フィルム用樹
脂を用いて実施例8と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記エマルジョンをコーティングして厚さ20.3μm
の積層フィルムをえた。
【0194】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは0.
3 μm であった。
【0195】つぎにえられた積層フィルムの表面比抵抗
を実施例1と同様にして、電荷の半減期、ブリードアウ
ト、ブロッキング剪断力および印刷性を実施例2と同様
にして、また蒸着性を下記の方法にしたがって測定し
た。その結果を表3に示す。
【0196】(蒸着性)巻出し機、蒸着装置、冷却装置
および巻取機を内装する真空蒸着機に装着し、蒸着装置
のルツボにアルミニウムを所定量投入後、蒸着機を密閉
し、真空ポンプを作動させて蒸着系内を密閉し、真空ポ
ンプを作動させて蒸着系内を10-5〜10-4Torrの真空状態
にした。フィルムを所定の速度で走行させ、冷却装置で
冷却しながらルツボを700 〜800 ℃に加熱してアルミニ
ウムを厚さが25nmになるように蒸着させて巻き取った。
【0197】この蒸着フィルムの蒸着面にセロファン粘
着テープ(ニチバン(株)製、幅24mm)を貼付したの
ち、50mm/分の速度で180 ℃剥離したのちの蒸着金属の
付着面積に基づいてつぎの評価基準にて判定した。
【0198】(評価基準) 剥離後の蒸着面積 100 % 指数5 90%以上〜100 %未満 指数4 70%以上〜90% 未満 指数3 50%以上〜70% 未満 指数2 90% 未満 指数1 なお、合格は指数4以上とする。
【0199】実施例10 低密度ポリエチレン(密度:0.921g/cm3 、メルトイン
デックス: 3.2g /10分)を樹脂フィルム用樹脂として
用いた。
【0200】つぎに、実施例3で用いたのと同じポリオ
レフィン系樹脂と、実施例7で用いたのと同じエチレン
- 酢酸ビニル共重合体エマルジョンとを30:70の重量比
で混合して樹脂層用エマルジョンとした。
【0201】つぎに、上記でえられた樹脂フィルム用樹
脂を用いて実施例8と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記エマルジョンをコーティングして厚さ40.1μm
の積層フィルムをえた。えられた積層フィルムの樹脂層
の厚さは1μm であった。
【0202】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例7と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0203】実施例11 直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.930g/cm3 、メル
トインデックス:5.2g/10分)と低密度ポリエチレン
(密度:0.920g/cm3 、メルトインデックス:2.1g/10
分)を30:70の重量比で混合したものを樹脂フィルム用
樹脂として用いた。
【0204】実施例4で用いたのと同じポリオレフィン
系樹脂と、エチレン-アクリル酸共重合体(アクリル酸
含量:25重量%)トルエン溶液(樹脂固形分量:30重量
%)とを20:80の重量比で混合したものを用意した。
【0205】つぎに上記でえられた樹脂フィルム用樹脂
を用いて実施例8と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記トルエン溶液をコーティングして厚さ62μm の
積層フィルムをえた。
【0206】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは2
μm であった。
【0207】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0208】実施例12 エチレン- プロピレン共重合体(エチレン含量:8重量
%、メルトインデックス:2.3g/10分)を樹脂フィルム
用樹脂として用いた。
【0209】式:
【0210】
【化40】
【0211】で表わされるエチレン構造単位88モル%、
式:
【0212】
【化41】
【0213】で表わされるアクリレート構造単位3モル
%および式:
【0214】
【化42】
【0215】で表わされるアクリルアミド構造単位9モ
ル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量33
000 のポリオレフィン系樹脂を32メッシュパスとなるよ
うに粉砕したものと、エチレン- アクリル酸共重合体エ
マルジョン(樹脂固形分量:15重量%)とを30:70の重
量比で混合したものを用意した。
【0216】つぎに上記でえられた樹脂フィルム用樹脂
を用いて実施例8と同様にしてフィルムを形成したの
ち、前記エマルジョンをコーティングして厚さ27μm の
積層フィルムをえた。
【0217】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは、
2μm であった。
【0218】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0219】
【表3】
【0220】比較例6 ポリプロピレンとしてメルトインデックスが2.8g/10分
のものを用い、実施例9と同様にして樹脂フィルムをえ
た。えられた樹脂フィルムの厚さは20μm であった。
【0221】エチレン- 酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含量45重量%)と塩素化ポリエチレン(塩素化度34重
量%)とを70:30の重量比で混合したものの25%トルエ
ン溶液を用意した。
【0222】つぎに実施例9と同様にして樹脂フィルム
の表面上にトルエン溶液をコーティングして厚さ22.5μ
m の積層フィルムをえた。
【0223】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは2.
5 μm であった。
【0224】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0225】比較例7 実施例10で用いたものと同じ低密度ポリエチレンを用
い、実施例10と同様にして厚さが40μm の樹脂フィルム
をえた。
【0226】つぎに、実施例10で用いたのと同じエチレ
ン- 酢酸ビニルエマルジョンを用い、実施例10と同様に
して積層フィルムをえた。
【0227】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは4
μm であった。
【0228】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0229】比較例8 実施例11で用いたものと同じ直鎖状低密度ポリエチレン
と低密度ポリエチレンの混合物を用い、実施例11と同様
にして厚さが60μm の樹脂フィルムをえた。
【0230】つぎに、エチレン- アクリル酸共重合体
(アクリル酸含量25重量%)を苛性ソーダで中和したエ
マルジョン(樹脂固形分量:20重量%)を用い、前記で
えられた樹脂フィルムに実施例11と同様にして被覆して
積層フィルムをえた。
【0231】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは5.
2 μm であった。
【0232】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0233】比較例9 実施例12で用いたのと同じエチレン- プロピレン共重合
体を用い、実施例12と同様にして厚さが30μm の樹脂フ
ィルムをえた。
【0234】つぎに、エチレン- アクリル酸共重合体
(アクリル酸含量25重量%)の18%トルエン溶液を用
い、実施例11と同様にして前記でえられたフィルムにコ
ーティングして積層フィルムをえた。
【0235】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは5.
2 μm であった。
【0236】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0237】比較例10 実施例12で用いたのと同じエチレン- プロピレン共重合
体を用い、実施例12と同様にして厚さが25μm の樹脂フ
ィルムをえた。
【0238】エチレン- アクリル酸共重合体(アクリル
酸含量:25重量%)とドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダとを90:10の重量比で混合したもののエマルジョン
(樹脂固形分量:20重量%)を用い、実施例12と同様に
して前記でえられた樹脂フィルムにコーティングして積
層フィルム物をえた。
【0239】えられた積層フィルムの樹脂層の厚さは3
μm であった。
【0240】つぎにえられた積層フィルムの物性を実施
例9と同様にして調べた。その結果を表4に示す。
【0241】
【表4】
【0242】表3に示した結果から明らかなように、本
発明の積層フィルムは表面比抵抗が1×1012以下でかつ
電荷の半減期が180 秒以下とすぐれているとともに帯電
防止成分のブリードアウトがなく、またブロッキングの
発生がなく、しかも印刷性および金属蒸着性にもきわめ
てすぐれたものであることがわかる。
【0243】一方、表4に示した結果から明らかなよう
に、従来の積層フィルムは、帯電防止剤として添加した
界面活性剤により帯電防止性は満足しても接着性および
蒸着性に劣るものであることがわかる。
【0244】上記のことから、本発明の熱可塑性樹脂積
層フィルムは、帯電防止性にすぐれ、しかも帯電防止剤
のブリードアウトがなく、ブロッキングも発生しないた
め、たとえば静電気による障害の発生を防止しなければ
ならない分野や印刷、蒸着を必要とする包装、梱包材分
野などに好適に使用しうることがわかる。
【0245】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂積層フィルムは、
ブリードアウトがないきわめてすぐれた帯電防止性を示
すため、埃の付着がなく、また静電気の放電により人体
にショックを与えることがないため、接着性、印刷性、
蒸着性およびハンドリング性にすぐれた積層フィルムで
ある。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 で表わされるエチレン構造単位65〜99モル%、一般式: 【化2】 (式中、 R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
    わされるアクリレート構造単位0〜15モル%および一般
    式: 【化3】 (式中、 R2 は炭素数2〜8のアルキレン基、 R3 およ
    び R4 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、 R5 は炭
    素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアル
    キル基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、X はハロ
    ゲン原子、 CH3 OSO3 またはC2 5 OSO3 を示す)で表わ
    されるアクリルアミド構造単位1〜35モル%からなる線
    状に不規則に配列した重量平均分子量1000〜50000 のポ
    リオレフィン系樹脂を含有した樹脂層と熱可塑性樹脂層
    (ただし、ポリオレフィン系発泡樹脂層を除く)とから
    なる熱可塑性樹脂積層フィルム。
  2. 【請求項2】 樹脂層の厚さが0.1 〜50μm である請求
    項1記載の熱可塑性樹脂積層フィルム。
  3. 【請求項3】 樹脂層が前記ポリオレフィン系樹脂を0.
    3 〜50重量%含有したものである請求項1記載の熱可塑
    性樹脂積層フィルム。
  4. 【請求項4】 樹脂層がエチレン含量が2〜30重量%
    のエチレン−プロピレン共重合体または直鎖状低密度ポ
    リエチレンを含有することを特徴とする請求項1記載の
    熱可塑性樹脂積層フィルム。
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