JP3077126B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
液晶表示素子Info
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- JP3077126B2 JP3077126B2 JP27025091A JP27025091A JP3077126B2 JP 3077126 B2 JP3077126 B2 JP 3077126B2 JP 27025091 A JP27025091 A JP 27025091A JP 27025091 A JP27025091 A JP 27025091A JP 3077126 B2 JP3077126 B2 JP 3077126B2
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- Japan
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- crystal display
- display device
- sio
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、強誘電性液晶を用い
た液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、この発明
は、強誘電性液晶を用い、液晶配向膜としてSiO斜方
蒸着膜を有する液晶表示素子であって、直交偏光板の間
に挟んで使用した場合に、大きなコントラストがメモリ
ー性よく得られる液晶表示素子に関する。
た液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、この発明
は、強誘電性液晶を用い、液晶配向膜としてSiO斜方
蒸着膜を有する液晶表示素子であって、直交偏光板の間
に挟んで使用した場合に、大きなコントラストがメモリ
ー性よく得られる液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュター、ワードプロセッサ
ーの発展に伴い、それらのディスプレイとして様々な種
類の液晶表示素子が広く開発されている。中でも強誘電
性液晶を用いた液晶表示素子は高速応答性とメモリ−性
(双安定性)に優れ、大表示容量のマトリックス表示に
好適な液晶表示素子として注目されている。
ーの発展に伴い、それらのディスプレイとして様々な種
類の液晶表示素子が広く開発されている。中でも強誘電
性液晶を用いた液晶表示素子は高速応答性とメモリ−性
(双安定性)に優れ、大表示容量のマトリックス表示に
好適な液晶表示素子として注目されている。
【0003】強誘電性液晶を用いた液晶表示素子として
は、近年、その液晶層(SmC*)の厚さを液晶のらせ
んピッチに対して薄く形成し、らせんがほどけた状態で
使用する所謂SSFLC(surface stabilized ferroel
ectric liqiud crystal )について研究が進められてい
る。このSSFLCの使用態様としては、液晶を直交偏
光板の間に挟み複屈折効果を利用するものと、偏光板を
1枚用いたゲスト・ホスト形とがある。このうち、前者
の態様においては、液晶分子のみかけのコーン角(Sm
C*層の液晶分子の長軸方向がスイッチングする際に描
く円錐の頂角)が45°となる場合に液晶表示素子は最
大のコントラストを有するようになる。このため、この
ような液晶表示素子の研究においては、液晶のみかけの
コーン角を45°に近づけ、液晶表示素子が大きなコン
トラストを有するようにする方法が種々が試みられてい
る。
は、近年、その液晶層(SmC*)の厚さを液晶のらせ
んピッチに対して薄く形成し、らせんがほどけた状態で
使用する所謂SSFLC(surface stabilized ferroel
ectric liqiud crystal )について研究が進められてい
る。このSSFLCの使用態様としては、液晶を直交偏
光板の間に挟み複屈折効果を利用するものと、偏光板を
1枚用いたゲスト・ホスト形とがある。このうち、前者
の態様においては、液晶分子のみかけのコーン角(Sm
C*層の液晶分子の長軸方向がスイッチングする際に描
く円錐の頂角)が45°となる場合に液晶表示素子は最
大のコントラストを有するようになる。このため、この
ような液晶表示素子の研究においては、液晶のみかけの
コーン角を45°に近づけ、液晶表示素子が大きなコン
トラストを有するようにする方法が種々が試みられてい
る。
【0004】たとえば、液晶のコーン角は基板に形成し
た配向膜の影響を大きく受けるので、種々の方法で配向
膜を形成することが試みられており、一般に、高真空下
で耐熱ボート中のSiOを加熱蒸発させ、基板に対して
SiOを斜めに蒸着させたSiO斜方蒸着膜が有効であ
ることが知られている。
た配向膜の影響を大きく受けるので、種々の方法で配向
膜を形成することが試みられており、一般に、高真空下
で耐熱ボート中のSiOを加熱蒸発させ、基板に対して
SiOを斜めに蒸着させたSiO斜方蒸着膜が有効であ
ることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
有効であるとされている従来のSiO斜方蒸着膜を形成
した強誘電性液晶表示素子においても、液晶のみかけの
コーン角を45°にすることは困難であり、そのために
最大のコントラストを実現することができなかった。ま
た、強誘電性液晶の特徴である、電界をオフしてもなお
表示が保持されるメモリ効果についても、電界のオフ時
には電界の印加時と比較してみかけのコーン角が減少
し、メモリ時の表示がそこなわれ易いという問題もあっ
た。さらに、液晶注入時にSiO斜方蒸着膜の多孔性が
原因と考えられる気泡が液晶内に混入し、均一な配向が
得られ難いという問題もあった。
有効であるとされている従来のSiO斜方蒸着膜を形成
した強誘電性液晶表示素子においても、液晶のみかけの
コーン角を45°にすることは困難であり、そのために
最大のコントラストを実現することができなかった。ま
た、強誘電性液晶の特徴である、電界をオフしてもなお
表示が保持されるメモリ効果についても、電界のオフ時
には電界の印加時と比較してみかけのコーン角が減少
し、メモリ時の表示がそこなわれ易いという問題もあっ
た。さらに、液晶注入時にSiO斜方蒸着膜の多孔性が
原因と考えられる気泡が液晶内に混入し、均一な配向が
得られ難いという問題もあった。
【0006】この発明は以上のような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、強誘電性液晶を用いた液
晶表示素子において、液晶のみかけのコーン角が45°
に十分近づくようにし、液晶表示素子を直交偏光板の間
に挟んで使用した場合に最大コントラストあるいはそれ
に近い大きなコントラストが得られるようにすること、
またメモリー性を向上させ、液晶注入時に気泡が混入し
ないようにすることを目的とする。
解決しようとするものであり、強誘電性液晶を用いた液
晶表示素子において、液晶のみかけのコーン角が45°
に十分近づくようにし、液晶表示素子を直交偏光板の間
に挟んで使用した場合に最大コントラストあるいはそれ
に近い大きなコントラストが得られるようにすること、
またメモリー性を向上させ、液晶注入時に気泡が混入し
ないようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明者は、上記の目
的が、強誘電性液晶表示素子の液晶配向膜として、単な
るSiO斜方蒸着膜を設けるのではなく、SiO斜方蒸
着膜を形成後、特定の温度範囲でアニール処理してその
SiO斜方蒸着膜が適度の表面粗度を有するようにした
ものを設けるか、あるいはSiO斜方蒸着膜を形成後、
特定の温度範囲でアニール処理してそのSiO斜方蒸着
膜が適度のSi2p結合エネルギーを有するようにした
ものを設けることにより達成できることを知見し、この
発明をなすに至った。
的が、強誘電性液晶表示素子の液晶配向膜として、単な
るSiO斜方蒸着膜を設けるのではなく、SiO斜方蒸
着膜を形成後、特定の温度範囲でアニール処理してその
SiO斜方蒸着膜が適度の表面粗度を有するようにした
ものを設けるか、あるいはSiO斜方蒸着膜を形成後、
特定の温度範囲でアニール処理してそのSiO斜方蒸着
膜が適度のSi2p結合エネルギーを有するようにした
ものを設けることにより達成できることを知見し、この
発明をなすに至った。
【0008】即ち、第1のこの発明は、強誘電性液晶を
用い、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着膜を有する液晶
表示素子において、該SiO斜方蒸着膜が250〜30
0℃でアニール処理され、その表面粗度が5.5nm以
下となっていることを特徴とする液晶表示素子を提供す
る。
用い、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着膜を有する液晶
表示素子において、該SiO斜方蒸着膜が250〜30
0℃でアニール処理され、その表面粗度が5.5nm以
下となっていることを特徴とする液晶表示素子を提供す
る。
【0009】また、第2のこの発明は、強誘電性液晶を
用い、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着膜を有する液晶
表示素子において、該SiO斜方蒸着膜が250〜30
0℃でアニール処理され、Si2p結合エネルギーが1
03.0〜103.3eVとなっていることを特徴とす
る液晶表示素子を提供する。
用い、液晶配向膜としてSiO斜方蒸着膜を有する液晶
表示素子において、該SiO斜方蒸着膜が250〜30
0℃でアニール処理され、Si2p結合エネルギーが1
03.0〜103.3eVとなっていることを特徴とす
る液晶表示素子を提供する。
【0010】このように、この発明においては、液晶配
向膜として、表面粗度あるいはSi2p結合エネルギー
が上記の範囲を有するSiO斜方蒸着膜を設ける。これ
により、液晶のみかけのコーン角がメモリ時、電界印加
時共に最大コントラストが得られる45°付近となる。
また、このように形成したSiO斜方蒸着膜は、気泡が
混入することもない。一方、表面粗度あるいはSi2p
結合エネルギーが上記の範囲外となると液晶のみかけの
コーン角が45°から離れた値となり、最大コントラス
トを実現することができない。
向膜として、表面粗度あるいはSi2p結合エネルギー
が上記の範囲を有するSiO斜方蒸着膜を設ける。これ
により、液晶のみかけのコーン角がメモリ時、電界印加
時共に最大コントラストが得られる45°付近となる。
また、このように形成したSiO斜方蒸着膜は、気泡が
混入することもない。一方、表面粗度あるいはSi2p
結合エネルギーが上記の範囲外となると液晶のみかけの
コーン角が45°から離れた値となり、最大コントラス
トを実現することができない。
【0011】表面粗度あるいはSi2p結合エネルギー
が上記の範囲を有するSiO斜方蒸着膜の形成方法とし
ては、まず従来例と同様にSiO斜方蒸着膜を形成し、
次いで、通常250〜300℃程度に加熱し、アニール
処理すればよい。アニール温度をこの範囲よりも低い2
00℃程度とすると、通常SiO斜方蒸着膜の表面粗度
は5.5nmよりも大きく、Si2p結合エネルギーは
103.0eV未満となり、液晶のみかけのコーン角は
約35°という小さい値をとるようになる。一方、アニ
ール温度をこの範囲よりも高い360℃程度とすると、
通常SiO斜方蒸着膜の表面粗度は5.5nmよりも大
きく、Si2p結合エネルギーは103.3eVよりも
大きくなり、この場合も液晶のみかけのコーン角は約3
5°という小さい値をとるようになる。なお、アニール
温度を200℃以下とすると気泡が混入し、液晶表示素
子のセル全体にわたって均一な配向が得られないので好
ましくない。
が上記の範囲を有するSiO斜方蒸着膜の形成方法とし
ては、まず従来例と同様にSiO斜方蒸着膜を形成し、
次いで、通常250〜300℃程度に加熱し、アニール
処理すればよい。アニール温度をこの範囲よりも低い2
00℃程度とすると、通常SiO斜方蒸着膜の表面粗度
は5.5nmよりも大きく、Si2p結合エネルギーは
103.0eV未満となり、液晶のみかけのコーン角は
約35°という小さい値をとるようになる。一方、アニ
ール温度をこの範囲よりも高い360℃程度とすると、
通常SiO斜方蒸着膜の表面粗度は5.5nmよりも大
きく、Si2p結合エネルギーは103.3eVよりも
大きくなり、この場合も液晶のみかけのコーン角は約3
5°という小さい値をとるようになる。なお、アニール
温度を200℃以下とすると気泡が混入し、液晶表示素
子のセル全体にわたって均一な配向が得られないので好
ましくない。
【0012】上述したように、この発明の液晶表示素子
においては、液晶配向膜として、表面粗度が5.5nm
以下となるように、あるいはSi2p結合エネルギーが
103.0〜103.3eVとなるように、250〜3
00℃でアニール処理したSiO斜方蒸着膜を設けるこ
とを特徴とし、それ以外の構成要素、例えば基板、基板
間に注入する強誘電性液晶などについては従来の液晶表
示素子と同様にすることができる。
においては、液晶配向膜として、表面粗度が5.5nm
以下となるように、あるいはSi2p結合エネルギーが
103.0〜103.3eVとなるように、250〜3
00℃でアニール処理したSiO斜方蒸着膜を設けるこ
とを特徴とし、それ以外の構成要素、例えば基板、基板
間に注入する強誘電性液晶などについては従来の液晶表
示素子と同様にすることができる。
【0013】
【作用】この発明の液晶表示素子においては、液晶配向
膜として表面粗度が5.5nm以下となるように250
〜300℃でアニール処理したSiO斜方蒸着膜、ある
いはSi2p結合エネルギーが103.0〜103.3
eVとなるように250〜300℃でアニール処理した
SiO斜方蒸着膜を設けるので、液晶のみかけのコーン
角が45°付近となる。したがって、このような液晶を
直交偏光板の間に挟むようにして使用すると、メモリ
時、電界印加時共に最大のコントラストを得ることが可
能となる。
膜として表面粗度が5.5nm以下となるように250
〜300℃でアニール処理したSiO斜方蒸着膜、ある
いはSi2p結合エネルギーが103.0〜103.3
eVとなるように250〜300℃でアニール処理した
SiO斜方蒸着膜を設けるので、液晶のみかけのコーン
角が45°付近となる。したがって、このような液晶を
直交偏光板の間に挟むようにして使用すると、メモリ
時、電界印加時共に最大のコントラストを得ることが可
能となる。
【0014】また、このようなSiO斜方蒸着膜には気
泡が混入することもないので、液晶表示素子のセル全体
にわたって均一な配向を得ることが可能となる。
泡が混入することもないので、液晶表示素子のセル全体
にわたって均一な配向を得ることが可能となる。
【0015】
【実施例】以下、この発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。
説明する。
【0016】実施例1 ピンホールのあいた蓋付きタンタル製ボートにSiO粉
末(純度99.99%、フルウチ化学製)を入れ、それ
を以下の条件で抵抗加熱することにより、ITO(面抵
抗100Ω/□)が設けられたガラス基板上に膜厚60
0オングストロームのSiO斜方蒸着膜を形成した。
末(純度99.99%、フルウチ化学製)を入れ、それ
を以下の条件で抵抗加熱することにより、ITO(面抵
抗100Ω/□)が設けられたガラス基板上に膜厚60
0オングストロームのSiO斜方蒸着膜を形成した。
【0017】真空度: 8×10−6Torr 基板温度: 170℃ ガラス基板の法線とボートの垂線との為す角度: 8
5° 蒸着速度: 1オングストローム/秒 なお、基板温度は、真空蒸着器内部に設置された熱電対
で常時モニターし、得られた情報に応じて基板加熱用電
源を自動的に操作することにより一定に保持した。ま
た、蒸着速度は、水晶振動子膜厚計(CRTM−500
0、アルバック社製)を用いて常時モニターし、得られ
た情報にタンタル製ボート加熱用電源を自動的に操作す
ることにより一定に保持した。
5° 蒸着速度: 1オングストローム/秒 なお、基板温度は、真空蒸着器内部に設置された熱電対
で常時モニターし、得られた情報に応じて基板加熱用電
源を自動的に操作することにより一定に保持した。ま
た、蒸着速度は、水晶振動子膜厚計(CRTM−500
0、アルバック社製)を用いて常時モニターし、得られ
た情報にタンタル製ボート加熱用電源を自動的に操作す
ることにより一定に保持した。
【0018】次に、このようにしてSiO斜方蒸着膜を
形成したガラス基板を、ヤマト科学製クリーンオーブン
DT−62を用い、空気中にて一定温度(240℃)で
1時間加熱し、アニール処理した。
形成したガラス基板を、ヤマト科学製クリーンオーブン
DT−62を用い、空気中にて一定温度(240℃)で
1時間加熱し、アニール処理した。
【0019】次に、アニール処理したSiO斜方蒸着膜
が形成されているガラス基板2枚を、1.6〜1.8μ
mの基板間ギャップで互いに蒸着方向が反平行になるよ
うに組み、その間に強誘電性液晶(CS−1014、チ
ッソ株式会社製)を、真空オーブン(DP−32、ヤマ
ト科学製)を用いて真空下、等方相で注入し、その後、
自然冷却した。
が形成されているガラス基板2枚を、1.6〜1.8μ
mの基板間ギャップで互いに蒸着方向が反平行になるよ
うに組み、その間に強誘電性液晶(CS−1014、チ
ッソ株式会社製)を、真空オーブン(DP−32、ヤマ
ト科学製)を用いて真空下、等方相で注入し、その後、
自然冷却した。
【0020】このように製造した液晶セル中の液晶は欠
陥のない均一なモノドメイン(SmC*)を形成してい
た。
陥のない均一なモノドメイン(SmC*)を形成してい
た。
【0021】実施例2〜4 250℃、260℃、300℃の各温度でアニール処理
する以外は実施例1と同様にしてSiO斜方蒸着膜をガ
ラス基板上に形成し、液晶セルを製造した。
する以外は実施例1と同様にしてSiO斜方蒸着膜をガ
ラス基板上に形成し、液晶セルを製造した。
【0022】比較例1 アニール処理をしない以外は実施例1と同様にしてSi
O斜方蒸着膜をガラス基板上に形成し、液晶セルを製造
した。
O斜方蒸着膜をガラス基板上に形成し、液晶セルを製造
した。
【0023】比較例2〜6 100℃、200℃、220℃、340℃、360℃の
各温度でアニール処理する以外は実施例1と同様にして
SiO斜方蒸着膜をガラス基板上に形成し、液晶セルを
製造した。
各温度でアニール処理する以外は実施例1と同様にして
SiO斜方蒸着膜をガラス基板上に形成し、液晶セルを
製造した。
【0024】評価 (表面粗度)実施例4(アニール温度300℃)および
比較例1〜3、6(アニールなし、アニール温度100
℃、200℃、360℃)のSiO斜方蒸着膜(アニー
ル処理後のもの)について、AFMにより表面粗度Rz
を測定し、表面粗度Rzとアニール温度との関係を調べ
た。なお、アニール処理をしなかった比較例1は、アニ
ール温度を25℃とした。
比較例1〜3、6(アニールなし、アニール温度100
℃、200℃、360℃)のSiO斜方蒸着膜(アニー
ル処理後のもの)について、AFMにより表面粗度Rz
を測定し、表面粗度Rzとアニール温度との関係を調べ
た。なお、アニール処理をしなかった比較例1は、アニ
ール温度を25℃とした。
【0025】結果を図1に示す。同図のように、室温か
ら300℃程度まではアニール温度が高くなるにつれて
表面粗度Rzは低下するが、360℃では表面粗度Rz
が飛躍的に増大していた。
ら300℃程度まではアニール温度が高くなるにつれて
表面粗度Rzは低下するが、360℃では表面粗度Rz
が飛躍的に増大していた。
【0026】(Si2p結合エネルギー)実施例1、
3、4(アニール温度240℃、260℃、300℃)
および比較例1〜6(アニールなし、アニール温度10
0℃、200℃、220℃、340℃、360℃)のS
iO斜方蒸着膜(アニール処理後のもの)について、X
PSにより組成解析を行い、Si2p結合エネルギーと
アニール温度との関係を調べた。
3、4(アニール温度240℃、260℃、300℃)
および比較例1〜6(アニールなし、アニール温度10
0℃、200℃、220℃、340℃、360℃)のS
iO斜方蒸着膜(アニール処理後のもの)について、X
PSにより組成解析を行い、Si2p結合エネルギーと
アニール温度との関係を調べた。
【0027】結果を図2に示す。なお、同図において、
縦軸はSi2p結合エネルギーのピーク位置を示してい
る。また、エネルギーの較正は、コンタミカーボンのピ
ーク位置を284.6eVとして行った。
縦軸はSi2p結合エネルギーのピーク位置を示してい
る。また、エネルギーの較正は、コンタミカーボンのピ
ーク位置を284.6eVとして行った。
【0028】この結果、アニール温度が上昇するにつれ
て次第にSiO斜方蒸着膜の酸化が進んでSiO2のS
i2p結合エネルギーのピーク位置である103.4e
Vに近づき、アニール温度が340℃以上ではほとんど
SiO2と変わらず、酸化がほぼ完了することがわか
る。
て次第にSiO斜方蒸着膜の酸化が進んでSiO2のS
i2p結合エネルギーのピーク位置である103.4e
Vに近づき、アニール温度が340℃以上ではほとんど
SiO2と変わらず、酸化がほぼ完了することがわか
る。
【0029】(コーン角)実施例2、4および比較例1
〜3、6で得た液晶セルに、±20V、1msecのパ
ルスを印加して液晶分子を反転させ、クロスニコル下の
消光位により、電界印加時およびメモリ時の液晶のみか
けのコーン角を測定した。また、気泡の有無をクロスニ
コル下で液晶セルを回転させることにより観察した。結
果を表1に示す。
〜3、6で得た液晶セルに、±20V、1msecのパ
ルスを印加して液晶分子を反転させ、クロスニコル下の
消光位により、電界印加時およびメモリ時の液晶のみか
けのコーン角を測定した。また、気泡の有無をクロスニ
コル下で液晶セルを回転させることにより観察した。結
果を表1に示す。
【0030】
【表1】 アニール温度 気泡 メモリ時コーン角 電界印加時コーン角 比較例1 25℃ 有 43.1° 45.8° 比較例2 100℃ 有 44.6° 46.6° 比較例3 200℃ 有 29.9° 35.0° 実施例2 250℃ 無 46.1° 49.5° 実施例4 300℃ 無 42.3° 44.8° 比較例6 360℃ 無 28.4° 35.2° 表1、図1および図2から、250〜300℃程度の温
度でアニール処理し、表面粗度Rzを5.5nm以下と
し、Si2p結合エネルギーを103.0〜103.3
eVとすると、メモリ時および電界印加時における液晶
のみかけのコーン角が45°付近となることが確認でき
た。
度でアニール処理し、表面粗度Rzを5.5nm以下と
し、Si2p結合エネルギーを103.0〜103.3
eVとすると、メモリ時および電界印加時における液晶
のみかけのコーン角が45°付近となることが確認でき
た。
【0031】(光学応答特性)実施例4で得た液晶セル
(アニール温度300℃、表面粗度2.8nm、Si2
p結合エネルギー103.24eV)および比較例6で
得た液晶セル(アニール温度360℃、表面粗度9.1
nm、Si2p結合エネルギー103.38eV)に、
±20V、1msecのパルスを印加した際のクロスニ
コル下での光学応答(透過率)を図3に示した。
(アニール温度300℃、表面粗度2.8nm、Si2
p結合エネルギー103.24eV)および比較例6で
得た液晶セル(アニール温度360℃、表面粗度9.1
nm、Si2p結合エネルギー103.38eV)に、
±20V、1msecのパルスを印加した際のクロスニ
コル下での光学応答(透過率)を図3に示した。
【0032】同図から、実施例の液晶セルは、比較例の
液晶セルに比べてコントラストおよびメモリ特性が格段
に良好であることが確認できた。
液晶セルに比べてコントラストおよびメモリ特性が格段
に良好であることが確認できた。
【0033】
【発明の効果】この発明の強誘電性液晶を用いた液晶表
示素子によれば、液晶のみかけのコーン角が45°に十
分近づき、液晶表示素子を直交偏光板の間に挟んで使用
した場合に最大コントラストあるいはそれに近い大きな
コントラストが得られるようになる。またメモリー性も
向上し、液晶セル内の配向も均一となる。
示素子によれば、液晶のみかけのコーン角が45°に十
分近づき、液晶表示素子を直交偏光板の間に挟んで使用
した場合に最大コントラストあるいはそれに近い大きな
コントラストが得られるようになる。またメモリー性も
向上し、液晶セル内の配向も均一となる。
【図1】実施例および比較例の表面粗度Rzとアニール
温度との関係図である。
温度との関係図である。
【図2】実施例および比較例のSi2p結合エネルギー
とアニール温度との関係図である。
とアニール温度との関係図である。
【図3】実施例および比較例の光学応答性を表した図で
ある。
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 宮下 真由美 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−267915(JP,A) 特開 平3−33722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337
Claims (2)
- 【請求項1】 強誘電性液晶を用い、液晶配向膜として
SiO斜方蒸着膜を有する液晶表示素子において、該S
iO斜方蒸着膜が250〜300℃でアニール処理さ
れ、その表面粗度が5.5nm以下となっていることを
特徴とする液晶表示素子。 - 【請求項2】 強誘電性液晶を用い、液晶配向膜として
SiO斜方蒸着膜を有する液晶表示素子において、該S
iO斜方蒸着膜が250〜300℃でアニール処理さ
れ、Si2p結合エネルギーが103.0〜103.3
eVとなっていることを特徴とする液晶表示素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27025091A JP3077126B2 (ja) | 1991-09-21 | 1991-09-21 | 液晶表示素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27025091A JP3077126B2 (ja) | 1991-09-21 | 1991-09-21 | 液晶表示素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0580339A JPH0580339A (ja) | 1993-04-02 |
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