JP3073453B2 - 無鉛クラウンフリントガラス - Google Patents

無鉛クラウンフリントガラス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率nd が1.
50〜1.55でアッベ数νd が50〜55の無鉛クラ
ウンフリントガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、社
会的に環境保護的思考がますます高く位置づけられるよ
うになり、ガラスの二成分としてのAs23 とPbO
も議論の対象になってきた。その理由は、これらのガラ
ス成分が環境に対して有害な影響を及ぼすと推定される
からである。従って、現在では光学機器の分野でも、P
bOやAs23 を含んでいないガラスへの指向が見ら
れる。このことから、それぞれの分野に必要な光学的性
質を備えたPbOやAs23 を含まないガラスを市場
に提供することは、有意義で且つ必要なことである。P
bOを他の1種又は2種以上の成分で単純に置き換える
ことは、多くの場合不可能である。酸化鉛の影響に基づ
く好ましいガラス工学的性質及び光学的性質の全てを代
替成分で再現させるために、殆どの場合、ガラス組成の
広範な変更あるいは時として全く新しい開発が必要であ
る。特許文献には、無鉛のフリントガラス及びクラウン
フリントガラスについて記述した幾つかの公報を見い出
すことはできる。しかし、それらのガラスには、実に様
々な欠点がある。
【0003】ヨーロッパ特許出願公開EP O 645
350Alには、Nb25 の下限含有量がかなり高
い(15.5重量%)ガラスが記載されている。この成
分は極めて高価なので、このガラスも極めて高価なもの
になってしまう。ヨーロッパ特許出願公開EP O 6
45 349Alにも、固化成分としてNb25 が記
載されている。この二つの公開公報並びにドイツ特許公
報DE 973 350及び特開平1−133956号
に記載のガラスには、一部少なからぬ量のフッ化物が含
まれている(0.1〜10重量%、0.1〜8重量%、
0.15〜25重量%、1〜20モル%)。従って、既
に言及した環境保護的思考を顧慮して、徹底を期すとい
う意味でこのフッ化物の使用も断念すべきであろう。す
なわちフッ化物は、溶解工程で有害ガスを発生させる場
合があるからである。さらにこれらのガラスが含むフッ
素含有量では、条件によってはガラスの乳白濁化が起こ
ることもある。従って、この種のガラスは、高収量が前
提になっている経済的生産に不向きと言えるのである。
【0004】ドイツ特許出願公告DE 1 050 9
65及び特開平1−2390361号のガラスは、鉛代
替物質として一定量のZnOを含んでいる。しかし、亜
鉛ガラスは、純水な石灰ガラスと同様に結晶化傾向がか
なり大きい。イギリス特許出願公開GB 2 233
781Aには、ZrO2 を含む無鉛ガラスが記載されて
いる。ZrO2 の含有量は最高で23重量%までとなっ
ているが、この様に含有量が多い場合には、ガラスの充
分な失透安定性はもはや期待できない。ヨーロッパ特許
公報EP O 151 346Blには、かなり多量の
23 を含んだガラスが記載されている。このガラス
には、さらに塩化物とAs23 が含まれている。
【0005】従って、本発明の目的は、良好な溶解性及
び加工性を示し、それにより経済的生産が可能な屈折率
d が1.50〜1.55、アッベ数νd が50〜55
の無鉛クラウンフリントガラスを見い出すことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、酸化物基準で以下の組成 SiO2 >70〜81重量%、B23 0〜<5重量%、 Al23 0〜5重量%、Na2 O 6〜15重量%、 K2 O 0〜15重量%、Li2 O 0〜3重量%、 Cs2 O 0〜5重量%、Nb25 0〜8重量%、 TiO2 2〜8重量%、ZnO 0〜<5重量%、 ZrO2 0〜6重量%、 Σ Li2 O+Na2 O+K2 O+Cs2 O 8〜30重量%、 Σ TiO2 +ZrO2 +Nb25 2〜10重量%、 を有し、場合により通常の量の清澄剤を含有することを
特徴とする1.50〜1.55の屈折率nd 及び50〜
55のアッベ数νd を有する無鉛クラウンフリントガラ
スが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態と作用・効果】本発明のガラスは、
SiO2 −M2 O−TiO2 のガラス系からなる。この
ガラス系でSiO2 は網目構造形成成分としての役割を
果たす。この成分は、>70〜81重量%という比較的
多量に含まれており、そして網目構造形成剤B23
の置換は、限られた狭い範囲内(0〜<5重量%)では
行うことができる。B23 の含有量がそれ以上になる
と化学的安定性にマイナス効果が現われる。
【0008】アルカリ金属酸化物M2 Oは、溶解温度を
下げるためにガラスに加えられる。原則的には、アルカ
リ金属酸化物のグループからは、いずれの元素を選んで
も差し支えないが、原材料費をできるだけ低く抑えてお
く意味からもNa2 O(6〜15重量%)及びK2
(0〜15重量%)が好ましい。この好適に使用される
両成分も、他のアルカリ金属酸化物で全面的に置き換え
ることはできない。すなわち、この両成分がなくては、
場合によって好ましからぬガラスの失透あるいは元の成
分への凝離が起こることがあるからである。Li2 Oの
含有量は3重量%まで差し支えない。Cs2 Oは、含有
量5重量%までガラス中に含まれてもよい。アルカリ金
属酸化物の総量(Li2 O+Na2 O+K2 O+Cs2
O)は、溶解温度を充分下げるため、少なくとも8重量
%はなければならない。溶解温度が高いということは、
不必要なエネルギー消費及び不必要な出費を意味するの
である。他方、アルカリ金属酸化物の含有量は30重量
%を超えてはならない。さもないとガラスの熱膨張が望
ましからぬ程増大し、その化学的性質も劣化するからで
ある。
【0009】ガラス中のTiO2 の含有量は、屈折率と
アッベ数に大きく影響する。また、TiO2 は同時に耐
酸性を向上させる。しかし、もし8重量%の上限を超え
たり、2重量%の下限を下回ると、望ましい光学的性質
はもはや得られなくなる。TiO2 の屈折率及びアッベ
数に及ぼす好ましい効果は、ZrO2 の添加によりさら
に助長され、またその場合、ガラスの耐アルカリ性も副
次的に改良される。しかし、ZrO2 の含有量は、6重
量%、好ましくは5重量%を超えてはならない。さもな
いと、ガラスの失透傾向が増大するからである。望まし
い光学値を達成するために、8重量%以下、好ましくは
6重量%以下、特に好ましくは5重量%以下の含有量で
Nb25 を添加してもよい。しかし、その使用により
原料混合物のコストは明らかに高くなるので、可能な限
り、最初に挙げた成分TiO2 とZrO2 が優先して使
用される。TiO2 、ZrO2 及びNb25 の含有量
の合計は2〜10重量%の範囲内になければならない。
その理由は、これらの限界を上回る場合や下回る場合に
は、目的とする光学的性質がもはや得られなくなるから
である。
【0010】光学的状態を変性するために、ガラスにさ
らに5重量%未満のZnOを加えることもできる。ガラ
スにはさらに、最高5重量%までAl23 を添加する
ことができる。それにより、耐薬品性が向上し、失透傾
向が減少し、そして加工温度域は広がるのであって、こ
れらはガラスの機械的成形にとって極めて重要である。
また同時に、このガラスの比抵抗が低下する。
【0011】ガラスの化学的及び加工技術的性質に課せ
られる高度な要求を満たすために、ガラスに先に挙げた
任意に選択できる成分の少なくとも2種を添加し、その
中の1種が少なくともアルカリ金属酸化物でない場合に
有利になる。特に有利なのは、追加成分であるこれらの
酸化物がAl23 、K2 O、Nb25 、ZrO2
びZnOからなる群から選択され、合計で少なくとも5
重量%の量で含有される場合である。
【0012】請求項1に記載の本発明に係るガラスの組
成範囲の中には、特に好ましいガラス組成範囲が2種あ
る。それは、諸成分がバランス良く組み合わされている
ことから非常に優れた溶解性及び加工性を有し、さらに
極めて高い耐薬品性を示すものであって、その点で傑出
したものである。その一つは、酸化物基準の重量%でS
iO2 :73〜81、Al23 :0〜1、K2 O:4
〜14、Na2 O:6〜14、TiO2 :3〜7、Zn
O:0〜<5の組成物であり、この場合にも、ガラスは
Si、Ti、Na及びKの酸化物以外に少なくとも1種
類の別の酸化物を含んでいる場合に有利になる。他の一
つは、酸化物基準の重量%でSiO2 :76〜81、B
23 :0〜<5、Al23 :1〜3、Na2 O:8
〜14、Nb25 :0.5〜6、TiO2 :3〜7、
ZrO2 :0〜4で、Σ TiO2 +ZrO2 +Nb2
5 が3.5〜10である組成物である。
【0013】光学的状態を変性するために、ガラスに必
要に応じてさらに0〜6重量%の量のアルカリ土類金属
酸化物を添加することができ、より詳細には0〜6重量
%のMgO、0〜<3重量%のCaO、0〜6重量%の
SrO及び0〜<1重量%のBaOを添加することもで
きる。なお、この場合、溶解性と加工性は大きく変わる
ことはない。しかし、これらの諸成分とZnOとの合計
量は、同様に6重量%を上回ってはならない。それぞれ
の場合に望まれる光学値を達成するために、ガラスにさ
らに0〜5重量%の量のTa25 を添加することもで
きる。しかし、その場合には、TiO2 、ZrO2 、N
25 及びTa25 の含有量の合計は2〜10重量
%、好ましくは3.5〜10重量%の範囲内になければ
ならない。最後に、ガラスにはまた2重量%以下の同様
に高屈折性を付与するWO3 を添加することもできる。
【0014】ガラスの清澄化のために、原料混合物には
それ自体公知の清澄剤を加えることができる。清澄剤と
してAs23 もフッ化物も使用せず、代りに例えば硫
酸塩、塩化物、Sb23 又はCeO2 を使用すれば
(これら代替品はガラスの品質を損なうことなく使用で
きる)、本発明による無鉛ガラスはさらにヒ素やフッ素
を含まないものになる。
【0015】以上のような組成を有するため、本発明に
係る無鉛クラウンフリントガラスは、1.50〜1.5
5の屈折率nd 及び50〜55のアッベ数νd を有し、
充分な失透安定性を有すると共に、良好な溶解性及び加
工性を示すので経済的な生産が可能となる。環境に対し
て有害な影響を及ぼすと考えられる鉛酸化物を含有せ
ず、さらに請求項9に記載のようにヒ素酸化物やフッ化
物も含有しないようにすることにより、環境保護の観点
から極めて有意義な発明と言える。
【0016】
【実施例】以下、実施例を示して本発明について具体的
に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるもので
ないことはもとよりである。
【0017】実施例1〜7 本発明によるガラスの7種類の実施例は通常の原材料か
ら溶融製造したものである。表1にそれらの組成(酸化
物としての重量%)並びに屈折率nd 及びアッベ数νd
を示す。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物基準で以下の組成 SiO2 >70〜81重量%、B23 0〜<5重量%、 Al23 0〜5重量%、Na2 O 6〜15重量%、 K2 O 0〜15重量%、Li2 O 0〜3重量%、 Cs2 O 0〜5重量%、Nb25 0〜8重量%、 TiO2 2〜8重量%、ZnO 0〜<5重量%、 ZrO2 0〜6重量%、 Σ Li2 O+Na2 O+K2 O+Cs2 O 8〜30重量%、 Σ TiO2 +ZrO2 +Nb25 2〜10重量%、 を有し、場合により通常の量の清澄剤を含有することを
    特徴とする1.50〜1.55の屈折率nd 及び50〜
    55のアッベ数νd を有する無鉛クラウンフリントガラ
    ス。
  2. 【請求項2】 Si、Ti及びNaの酸化物以外に少な
    くとも2種類の他の酸化物を含有し、その中の少なくと
    も1種類がアルカリ金属酸化物でないことを特徴とする
    請求項1に記載のガラス。
  3. 【請求項3】 他の酸化物がAl23 、K2 O、Nb
    25 、ZrO2 及びZnOからなる群から選ばれ、そ
    れらが合計量で少なくとも5重量%の量で含有されてい
    ることを特徴とする請求項2に記載のガラス。
  4. 【請求項4】 酸化物基準で以下の組成 SiO2 73〜81重量%、Al23 0〜1重量%、 Na2 O 6〜14重量%、K2 O 4〜14重量%、 TiO2 3〜7重量%、ZnO 0〜<5重量% を有し、場合により通常の量の清澄剤を含有することを
    特徴とする請求項1に記載のガラス。
  5. 【請求項5】 Si、Ti、Na及びKの酸化物以外に
    少なくとも1種類の他の酸化物を含有することを特徴と
    する請求項4に記載のガラス。
  6. 【請求項6】 酸化物基準で以下の成分 Nb25 0〜6重量%、ZrO2 0〜5重量%、 MgO 0〜6重量%、CaO 0〜<3重量%、 SrO 0〜6重量%、BaO 0〜<1重量%、 Ta25 0〜5重量%、WO3 0〜2重量% を含み、 Σ MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 0〜6重量%、 Σ TiO2 +ZrO2 +Nb25 +Ta25 2〜10重量% であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項
    に記載のガラス。
  7. 【請求項7】 酸化物基準で以下の組成 SiO2 76〜81重量%、B23 0〜<5重量%、 Al23 1〜3重量%、Na2 O 8〜14重量%、 Nb25 0.5〜6重量%、TiO2 3〜7重量%、 ZrO2 0〜4重量%、 Σ TiO2 +ZrO2 +Nb25 3.5〜10重量% を有し、場合により通常の量の清澄剤を含有することを
    特徴とする請求項1に記載のガラス。
  8. 【請求項8】 さらに酸化物基準で以下の成分 MgO 0〜6重量%、CaO 0〜<3重量%、 SrO 0〜6重量%、BaO 0〜<1重量%、 ZnO 0〜<5重量%、Ta25 0〜5重量%、 WO3 0〜2重量% を含み、 Σ MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 0〜6重量%、 Σ TiO2 +ZrO2 +Nb25 +Ta25 3.5〜10重量%、 であることを特徴とする請求項7に記載のガラス。
  9. 【請求項9】 不可避的不純物を除いてヒ素酸化物及び
    フッ化物を含有しないことを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれか一項に記載のガラス。
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