JP3072095B1

JP3072095B1 - プレス装置

Info

Publication number: JP3072095B1
Application number: JP11179235A
Authority: JP
Inventors: 光男松岡
Original assignee: ユミックス株式会社
Priority date: 1999-06-25
Filing date: 1999-06-25
Publication date: 2000-07-31
Anticipated expiration: 2019-06-25
Also published as: EP1063030A2; JP2001001046A; EP1063030A3

Abstract

【要約】【課題】スライドカムベースと、スライドカムベース
に案内されパンチなどの加工部材を取付けるスライドカ
ムと、スライドカムベースとスライドカムとの間に介在
してスライドカムを付勢する付勢体と、スライドカムに
当接してスライドカムを駆動する作動カムとよりなるプ
レス装置のスライドカムベースがスライドカムを保持す
る際、撓みやローリングが殆どなく、精度良いプレス加
工ができるプレス装置を安価に提供することを目的とす
る。【解決手段】スライドカムベースと、スライドカムベ
ースに案内されパンチなどの加工部材を取付けるスライ
ドカムと、スライドカムベースとスライドカムとの間に
介在してスライドカムを付勢する付勢体と、スライドカ
ムに当接してスライドカムを駆動する作動カムとよりな
るプレス装置であって、スライドカムベースに架設した
所定間隔へだてて円形断面の２本のガイドポストにスラ
イドカムを摺動自在に設け、スライドカムベース一面は
Ｖ溝でスライドカムの前記スライドカムベース一面に対
向する対向面はＶ溝と当接する山状案内部を作動カムに
形成したプレス装置とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はプレス装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】通常、プレス装置は、プレス機械のベッ
ドに下型をラムに上型をそれぞれに取付けて、上型が昇
降して、孔あけや成形加工などのプレス加工を行ってい
る。上型が上下方向に昇降するため、横方向の加工は、
カム部材を用いて上下方向の加工力を横方向に変換して
行っている。

【０００３】このことを、カム部材を備えたプレス装置
で、ワークの側壁に孔あけする例について説明する。図
９および図１０に示すように、下型１０１にワークＷを
位置決めする位置決め材１０４を突設する。ワークＷの
側壁の打ち抜き孔１０５に対向する位置に、パンチ１０
６を備えた受動カム１０７を摺動自在に設ける。受動カ
ム１０７の後方にヒール１０８を固着する。コイルスプ
リング１０９を、前記受動カム１０７に螺着してヒール
１０８を挿通したロッド１１０の先端側に外嵌めし、コ
イルスプリング１０９の一端をヒール１０８に当接さ
せ、コイルスプリング１０９の他端にワッシャ１１１を
介在させてナット１１２を螺着して、ワークＷに孔あけ
した後の受動カム１０７を引き戻すように付勢する。前
記受動カム１０７の対向する位置の上型１１６に作動カ
ム１１８を突設する。

【０００４】上型１１６が下降し、作動カム１１８はコ
イルスプリング１０９の付勢力に抗して受動カム１０７
を前進させ、ワークＷにパンチ１０６とダイ１２５とに
より孔１０５を穿設し、上型１１６が上昇すると、受動
カム１０７はコイルスプリング１０９の付勢力により後
退させられる。ワークＷの側壁に孔あけするため、前記
のようにパンチ１０６を備えた受動カム１０７はワーク
Ｗに接近したり遠ざかったりし、下型１０１上を摺動す
る。パンチ１０６とダイ１２５とで孔あけするため、受
動カム１０７は正確に摺動しなければならず、受動カム
１０７の下部両側方にフランジ１２１を突設し、フラン
ジ１２１を案内する側方ガイド板１２２と上ガイド板１
２３が下型１０１に固定してある。

【０００５】上記のプレス装置で、受動カム１０７を所
定位置の間を摺動して往復させるため、受動カム本体１
０７ａの側方に突出したフランジ１２１の側面を案内す
る側方ガイド板１２２とフランジ１２１の上面を案内す
る上ガイド板１２３が設けてある。このフランジ１２
１、側方ガイド板１２２・上ガイド板１２３があるため
に、図１０に示すように、受動カム１０７の本体部分１
０７ａより両側方にそれぞれ長さＬだけ突出し、この長
さＬは通常最小でも１００〜１５０ｍｍ程度あり、プレ
ス装置の下型１０１上で大きなスペースをとっている。

【０００６】そのため、プレス装置にカム機構を設ける
とスペースを多くとられる。カム機構を設けてスペース
を多くとられるため、プレス装置の大きさはプレス機械
のベッド面積により制限を受けることから、必要な部材
をプレス装置上に設けることができないこともあって、
加工工程数を増やしてプレス装置を追加しなければなら
ないこともある。

【０００７】受動カム１０７の本体部分１０７ａの側方
に突出したフランジ１２１先端のウェアプレート１２４
は、この受動カム１０７が摺動を繰り返しているうちに
磨耗していき、側方ガイド板１２２との間に隙間が生じ
て、受動カム１０７が一直線方向に摺動できず、その隙
間の存在により蛇行するようになる。受動カム１０７に
取付けたパンチ１０６も同様に蛇行するので、パンチ１
０６はダイ１２５に対し全周にわたって適正なクリアラ
ンスがある状態での打ち抜きができず、打ち抜かれた孔
の周囲にカエリが生じ、高品質な孔あけ加工ができなか
った。また、パンチ１０６やダイ１２５はカエリが生じ
る打ち抜きをするので、パンチ１０６やダイ１２５の刃
部が欠ける原因ともなっていた。

【０００８】そこで、前記の問題点を解決するために、
図１１、図１２および図１３に示す、先端に四面体案内
部２１６を形成し上型２１１に設けられたスライドカム
ベース２１３と、スライドカムベース２１３の四面体案
内部２１６を抱持し四面体案内部２１６を摺動しパンチ
２４３やトリミング切刃２５１などの加工部材を取付け
るスライドカム２１７と、スライドカムベース２１３と
スライドカム２１７との間に介在してスライドカム２１
７を付勢する弾性体２６４と、スライドカム２１７に当
接してスライドカム２１７を駆動する下型２０２に設け
られた作動カム２０８と、前記加工部材によりプレス加
工されるワークＷを支持し下型２１１に設けられた位置
決め材２０４とよりなるプレス装置（日本特許第１９７
５５４２号、米国特許第５，１０１，７０５号）が提案
され、カム部材を備えたプレス装置において、カム部材
としての必要な機能を与えその上に、コンパクトな設計
ができ、かつ、カム部材を蛇行しないようにして高品質
の加工を可能とした。

【０００９】このプレス装置で、スライドカム２１７は
上型２１１が下降すると作動カム２０８とスライドカム
ベース２１３との間で横方向に移動して孔あけ、トリミ
ングなどのプレス加工を行う。加工が完了し上型２１１
が上昇すると、弾性体２６４に付勢されてスライドカム
２１７は復帰する。図１２に示すように、スライドカム
２１７の上端は前記スライドカムベース２１３の四面体
案内部２１６と同一の傾斜面で、かつ、四面体案内部２
１６を受ける溝に形成し、ウェアプレート２２３をボル
ト２２４により固定して前記スライドカムベース２１３
の四面体案内部２１６の下平面２２５を支持させ、上平
面２２６はスライドカム２１７にボルト２２７により取
付けた押え板２２８で押圧して、スライドカムベース２
１３の四面体案内部２１６にスライドカム２１７を摺動
自在に設ける。

【００１０】図１３に示すように、上型２１１が上昇す
るとき、スライドカム２１７を強制的に後退させるため
に、リターンプレート２７１がスライドカム２１７にボ
ルト２７２により固着され、その下端は作動カム８に係
合させてある。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】前記の図１１、図１２
および図１３に示すプレス装置（日本特許第１９７５５
４２号、米国特許第５，１０１，７０５号）は、従来の
カム部材を備えたプレス装置を改良したものであるが、
さらに改良すべき点が次のようにある。（１）加工精度図１２に示すような幅方向（図での左右方向）が短い場
合はあまり問題にならないが、特に、スライドカム２１
７の幅方向の長さが、例えば３００ｍｍ程度以上の長さ
になると、スライドカムベース２１３の四面体案内部２
１６の保持を、スライドカム２１７に取付けたウェアプ
レート２２３と押え板２２８とで行うには不十分で、撓
みが顕著に生じて精度良いプレス加工ができにくい。そ
の上、四面体案内部２１６やウェアプレート２２３、押
え板２２８の加工に加工時間がかかり過ぎてプレス装置
が高価となる。

【００１２】また、スライドカム２１７のスライドカム
ベース２１３上の移動は、スライドカム２１７が十分に
案内されておらず、必ずしも正確に移動するものではな
かった。さらに、従来のプレス装置、特に大型プレス装
置は、摺動面の面圧が１５０ｋｇ／ｃｍ²程度の大きさ
にもなり摩耗が激しく、摩耗対策が十分ではなかった。

【００１３】（２）保守時の作業性従来のプレス装置では、保守の際、スライドカム２１７
をスライドカムベース２１３から取り外すには、図１２
に示すように、多数のボルト２２７を緩めて押え板２２
８を取り外さねばならず、保守に時間がかかっていた。
また、スライドカム２１７を作動カム２０８から取り外
すには、図１３に示すように、リターンプレート２７１
のボルト２７２を外さねばならず、図示はしてないがリ
ターンプレート２７１は両側に設けられており、外すの
に時間がかかる。

【００１４】（３）摺動面の保護スライドカム２１７とスライドカムベース２１３との摺
動面は、図１１および図１２より分かるように露出して
おり、スクラップなどの進入のおそれがある。（４）スライドカムの活用パンチ２４３やトリミング切刃２５１などの加工部材が
取付けられるスライドカムは、スプリングなどの種々な
構成部品の装着などに活用できることが望ましい。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の事情に
鑑み、撓みやローリングがなく、精度のよい加工とすべ
く、スライドカムベースと、スライドカムベースに案内
されパンチなどの加工部材を取付けるスライドカムと、
スライドカムベースとスライドカムとの間に介在してス
ライドカムを付勢する付勢体と、スライドカムに当接し
てスライドカムを駆動する作動カムとよりなるプレス装
置であって、スライドカムベースに架設した所定間隔へ
だてて円形断面の２本のガイドポストにスライドカムを
摺動自在に設け、スライドカムの一面をＶ溝に形成し、
前記スライドカムのＶ溝と対向する作動カムにＶ溝と当
接する山状案内部を形成したプレス装置とした。

【００１６】また、具体的には、スライドカム一面のＶ
溝の両端部に垂直面を形成し、作動カムの山状案内部の
両端部に垂直面を形成し、スライドカムのＶ溝のウェア
プレートと作動カムの山状案内部のウェアプレート、ス
ライドカムの垂直面のウェアプレートと作動カムの垂直
面のウェアプレートとをそれぞれ当接させるようにした
プレス装置とした。

【００１７】さらに、本発明は、保守の際、スライドカ
ムをスライドカムベースより容易に取り外せるようにす
べく、スライドカムベースに固着した２個の支持板に架
設した２個のガイドポストと、１個の付勢体を一方の支
持板側から取外し、取付けをできるようにしたプレス装
置とした。さらにその上に、本発明は、スライドカムと
スライドカムベースとの摺動面にスクラップなどの進入
を防止すべく、スライドカムとスライドカムベースとの
摺動面を、スライドカムベース、スライドカムと、ガイ
ドポストおよび付勢体を架設させる両側の支持板で覆う
ようにしたプレス装置とした。

【００１８】

【００１９】

【発明の実施の態様】本発明を添付する図面に示す具体
的な実施例に基づいて、以下詳細に説明する。図１は、
本発明の具体的一実施例のプレス装置で、その下死点時
の縦断面図、図２は図１のII矢視図、図３は図１の III
矢視図、図４は図１のIV矢視図、図５は上死点時の縦断
面図である。図６〜図８はスライドカムを下型に配置し
た例のプレス装置の縦断面図である。なお、スライドカ
ムを上型に配置すると、ワークの搬送時にスライドカム
が下型に位置していないので、ワークの搬送が行いやす
い。

【００２０】本実施例は、ワークに孔をあける例につい
て述べる。図１に示すように、下型１の下基板２上には
ワークＷを位置決めする支持部材３をボルト４により固
定する。支持部材３の近傍に上面を支持部材３に近づく
にしたがって下がる、図に向かった右上がりの作動カム
５をボルト６により下基板２に固定する。また、この作
動カム５は、その傾斜面７を図２に示すように山状案内
部８に形成する。

【００２１】また、山状案内部８には、図２に示すよう
に、ウェアプレート２７をボルト２８により固定し、さ
らに山状案内部８の両端部に連なる作動カム５の両垂直
面１５にもウェアプレート９をボルト１０に固定する。
図２に示すように、下面にＶ溝１１を刻設し、Ｖ溝１１
にウェアプレート１２をボルト１３で取付け、Ｖ溝１１
の端部に連なる両垂直面５３にウェアプレート２９をボ
ルト３０で取付けた、全体の概略形状がくさび状のスラ
イドカム１４は、そのＶ溝１１のウェアプレート１２を
作動カム５のウェアプレート２７に、ウェアプレート２
９を作動カム５のウェアプレート９にそれぞれ当接させ
て、作動カム５にスライドカム１４を摺動自在に載置す
る。

【００２２】一方、前記作動カム５と逆傾斜状、図に向
かって右下がりのスライドカムベース２１は上型２２の
上基板２３にボルト２４により固定し、スライドカムベ
ース２１下端部に架設した右下がり状の所定間隔へだて
た２本のガイドポスト２５に、前記のスライドカム１４
を摺動自在に設ける（図１、図３および図４参照）。ま
た、スライドカム１４はスライドカムベース２１内に内
蔵し、右下がり状に配置したガススプリング２６により
付勢する。なお、図１のガススプリング２６の位置は理
解を容易にするために、上方に位置させ模式的に表現し
てある。

【００２３】ガイドポスト２５は、図１に示すように、
スライドカムベース２１の両側にボルト３１・３２でそ
れぞれ固定した支持板３３・３４に架設する。このガイ
ドポスト２５はスライドカム１４の上部のガイドポスト
保持部３５の挿通孔３６に同軸心状に圧入固定したブッ
シュ３７・３８に嵌合させる。ガイドポスト２５の一端
の細径部３９にはネジ山を刻設し、支持板３３のネジ孔
４０に螺合させ、他端部４１は支持板３４の嵌合孔４２
に嵌める。このガイドポスト２５の他端部４１の端面に
は取外し用に六角穴などの係合穴４３を凹設する。

【００２４】円形状の外周面や円形の孔は、角状やその
他の形状に比して、円形であるため、精度よく機械加工
することができる。そこで、本発明では、ガイドボスト
２５は円形断面に、ブッシュ３７・３８、嵌合孔４２は
円形孔にしたので、精度よく機械加工できる。円形状の
外周面のガイドポスト２５と円形孔のブッシュ３７・３
８との嵌合関係であるので、軸心から３６０°の全周に
わたり高精度の嵌合が維持される。

【００２５】また、ガイドポストは円形断面であれば、
中実であっても中空であってもよいが、できれば強度の
観点からは中実の方が好ましい。スライドカム１４や作
動カム５、スライドカムベース２１などの保守で、スラ
イドカム１４をスライドカムベース２１から取り外すこ
とがある。この時は、従来のように多数のボルト２２７
を外すことなく、支持板３４側の２本のガイドポスト２
５の係合穴４３とガススプリング２６を支持板３４の貫
通孔８２を通して係合穴４４に、断面六角形のＬ字状棒
材などの取外し工具を嵌めて回転させてからガイドポス
ト２５およびガススプリング２６を容易に引き抜くこと
で、スライドカム１４とスライドカムベース２１との分
解ができ、保守作業が容易となる。

【００２６】スライドカムベース２１の下面には、右下
がり状で断面Ｖ溝の案内溝４５を設け、スライドカム１
４は上面に右下がり状で断面山状のガイドポスト保持部
３５を突設し、このガイドポスト保持部３５の山状上面
と前記案内溝４５とを摺動可能に設定する。ガイドポス
ト保持部３５の山状上面にはウェアプレート４６をボル
ト４７で固定し、案内溝４５にはウェアプレート４８を
ボルト４９で固定し、ウェアプレート４６とウェアプレ
ート４８を当接させ、摺動させる。このガイドポスト保
持部３５の両端に右下がり状の挿通孔３６を穿設し、こ
の挿通孔３６に同軸心状にブッシュ３７・３８を圧入
し、ブッシュ３７・３８にガイドポスト２５を内嵌めす
る。前記案内溝４５とガイドポスト保持部３５を覆うよ
うに前記支持板３４を設けボルト３２で固定する。

【００２７】図３・４に示されているように、スライド
カム１４とスライドカムベース２１との摺動面は緩やか
なハの字状の傾斜面で、しかもこの傾斜面の両外側のや
や下部にガイドポスト２５が配置してあるので、スライ
ドカム１４は安定した移動ができ、高精度のプレス加工
ができるようになる。このガススプリング２６を右下が
り状に配置してその先端を支持板３３の内面に当接させ
て付勢し、外周にネジ山５０を有するプラグ８１をガイ
ド保持部３５に螺合させ、プラグ８１と支持板３３との
間にガススプリング２６を介在させる。なお、このプラ
グ８１の端面には取外し用の六角穴などの係合穴４４が
設けてある。ガススプリング２６のシリンダー５１の先
端の伸縮するロッド５２は、支持板３３の内面に当接
し、シリンダー５１の基端はプラグ８１に当接する。ス
ライドカム１４の全体的形状はくさび状体で作動カム５
とスライドカムベース２１とに挟まれて押圧されて支持
部材３上のワークＷに向けて移動し、ワークＷを加工す
る。図１は下死点の状態である。スライドカム１４は支
持部材３寄り、図で最も左側に位置し、ガススプリング
２６のロッド５２は最も収縮した状態である。スライド
カム１４に作動カム５とスライドカムベース２１との拘
束力がなくなると、スライドカム１４にはガススプリン
グ２６の付勢力が働き、そのロッド５２は伸長しだす。
上死点の位置がロッド５２が最も伸長した状態で図５に
示した状態である。

【００２８】ガススプリング２６は、シリンダー５１内
に使用用途に応じた高圧ガス、例えば１５０ｋｇ／ｃｍ
²の高圧が収容されていて、シリンダー５１から突出し
たロッド５２が伸縮しても、ロッド伸縮行程の全長にわ
たりほぼ一定の出力、例えば１５０ｋｇ／ｃｍ²が得ら
れる。これは、２個のタンクがシリンダー５１内に内蔵
されているが、ロッド５２が収縮し、一方のタンクに圧
力がかかると一方のタンクから高圧ガスが流出し、他方
のタンクに流入させて、ロッドの全行程にわたり、ほぼ
一定の出力が得られる。

【００２９】このように、ガススプリング２６は、弾性
体（コイルスプリング）２６４と異なり、作動し始めか
ら高出力が全行程にわたり得られ、スライドカム１４を
確実に復帰させることができ、安全である。また、ガス
スプリング２６によるとスライドカム１４に１５０ｍｍ
程度の長い距離の移動をさせることができ、大形のワー
クの自動車の薄板成形品のサイドパネルなどの加工も可
能となる。

【００３０】スライドカムベース２１とスライドカム１
４の摺動面には、それぞれにウェアプレート４８・４６
を設ける。ウェアプレート４８はボルト４９によりスラ
イドカムベース２１に固定し、ウェアプレート４６はボ
ルト４７によりスライドカム１４に固定する。ウェアプ
レート４６とウェアプレート４８との摺動面はスライド
カムベース２１、スライドカム１４および支持板３３・
３４で覆われているので、スクラップなどの進入を防止
し、摺動面を保護している。

【００３１】従来のこの種のスライドカムを備えたプレ
ス装置では、面圧も５０〜６０ｋｇ／ｃｍ²程度で、ス
ライドカムベースかスライドカムかのいずれか一方にの
みウェアプレートを設けていたが、本発明では大形のプ
レス装置の面圧が１５０ｋｇ／ｃｍ²程度のものにも使
用できるように、スライドカムベースとスライドカムに
それぞれウェアプレートを設け、摩耗したウェアプレー
トのみ取り替えればよいようにする。

【００３２】スライドカム１４は、前述のように、スラ
イドカムベース２１に架設し所定間隔へだてた２本のガ
イドポスト２５に案内されるので、スライドカム１４は
スライドカムベース２２上を精密に直進できる。また、
所定間隔へだてた２本のガイドポスト２５でスライドカ
ム１４を保持しているので、１本のガイドポスト２５で
保持している場合とは異なり、スライドカム１４がロー
リングするようなことはなく、正確なプレス加工ができ
る。さらに、２本の中実の比較的大径のガイドポスト２
５でスライドカム１４を吊り下げているので、スライド
カム１４が落下することはなく、ガイドポスト２５は安
全ピンの役割も果たす。さらにその上に、従来は図１１
に示すように、上型２１１が上昇するとき、スライドカ
ム２１７を強制的に後退させるために、リターンプレー
ト２７１を用いていたが、ガイドポスト２５とガススプ
リング２６を用いるとスライドカム１４は完全に復帰す
るので、リターンプレート２７１を使用する必要はな
い。

【００３３】スライドカム１４の作動カム５上での移動
を正確にするため、図２に示すように、山状案内部８の
ウェアプレート２７にスライドカム１４のＶ溝１１のウ
ェアプレート１２を当接させ、作動カム５の垂直面１５
のウェアプレート９にスライドカム１４の垂直面５３の
ウェアプレート２９を当接させて、スライドカム１４を
摺動させスライドカム１４の横ブレを無くしている。ス
ライドカム１４と作動カム５との摺動は、Ｖ溝１１と山
状案内部１８の摺動のみならず、スライドカム１４の垂
直面５３と作動カム５の垂直面１５も摺動するので、側
面からの圧力を受け止め、スライドカム１４の直進を維
持する。また、スライドカム１４と作動カム５とに垂直
面５３・１５があり垂直面のガイドがあるため、スライ
ドカム１４と作動カム５との組付けが容易にできる。

【００３４】図１に示すように、スライドカム１４のワ
ークＷの支持部材３に対向する位置に、スペーサ６１を
ボルト６２でスライドカム１４の前面に固定する。ワー
クＷに孔を抜くパンチ６３をパンチプレート６４に保持
し起立させ、そのパンチプレート６４をボルト６５で固
定する。パンチ６３の先端はストリッパープレート６６
に内嵌めし、ストリッパープレート６６は加圧用ゴム６
７で付勢させる。このストリッパープレート６６は吊り
ボルト６８により吊り下げられている。一方、支持部材
３のパンチ６３に対向する位置にダイブッシュ６９を埋
設する。

【００３５】一方、このプレス装置の上死点での状態を
図５に示す。次に、このプレス装置の作動について述べ
る。図５に示すように、ワークＷを支持部材３に載せ、
上型２２を下降させる。図５に示す状態は上死点の状態
で、ここで、上型２２の上基板２１に取付けられている
スライドカムベース２１のガイドポスト２５にスライド
カム１４は摺動自在に設けられ、スライドカム１４は支
持板３４に当接した状態である。

【００３６】この状態から上型２２が下降すると、スラ
イドカム１４のウェアプレート１２・２９が作動カム５
のウェアプレート２７・９に当接して、スライドカム１
４は作動カム５とスライドカムベース２１との間で、上
型２２が下降するにしたがって、ワークＷに向かって前
進し、パンチ６３とダイブッシュ６９でワークＷに孔あ
けをする。

【００３７】パンチ６３で孔あけをし、下死点の状態が
図１に示す状態である。この後、上型２２が上昇する
と、ガススプリング２６の付勢力がプラグ８１からスラ
イドカム１４に伝達されてスライドカム１４は後退し、
支持板３４に当接して停止する。本実施例は孔あけの加
工例について述べたが、この他のトリミング加工、成形
加工や折り曲げ加工などにも本発明は適用できる。

【００３８】また、スライドカムベース２１、スライド
カム１４および作動カム５の大きさを標準化しておく
と、種々の大きさのワークの加工に直ちに対応できる。
上記では、スライドカムベース２１が上型２２に作動カ
ム５が下型１に設けた例について述べたが、図６〜図８
に示すように、スライドカムベース２１およびスライド
カム１４を下型１に設け、作動カム５を上型２２に設け
ても前記の場合と同様の効果を奏する。なお、前記例と
同じ部品には同じ符号を付する。スライドカム１４には
ウェアプレート７１はボルト７２で固定され、対向する
作動カム５にはウェアプレート７３がボルト７４で固定
されている。この例ではスライドカム１４が上型２１に
吊り下げられてなく、下型１にあるので、作業上安全と
認識される場合もある。

【００３９】本発明は、スライドカム１４が上型２２に
ある場合のみならず、スライドカム１４が下型１に配置
された場合にも及ぶ。

【００４０】

【発明の効果】本発明は、上述のように、スライドカム
ベースと、スライドカムベースに案内されパンチなどの
加工部材を取付けるスライドカムと、スライドカムベー
スとスライドカムとの間に介在してスライドカムを付勢
する付勢体と、スライドカムに当接してスライドカムを
駆動する作動カムとよりなるプレス装置であって、スラ
イドカムベースに架設した所定間隔へだてて円形断面の
２本のガイドポストにスライドカムを摺動自在に設け、
スライドカムの一面をＶ溝に形成し、前記スライドカム
のＶ溝と対向する作動カムにＶ溝と当接する山状案内部
を形成したプレス装置であるので、撓みやローリングが
なく、精度のよい加工ができる。

【００４１】また、本発明は、スライドカム一面のＶ溝
の両端部に垂直面を形成し、作動カムの山状案内部の両
端部に垂直面を形成し、スライドカムのＶ溝のウェアプ
レートと作動カムの山状案内部のウェアプレート、スラ
イドカムの垂直面のウェアプレートと作動カムの垂直面
のウェアプレートとをそれぞれ当接させるようにしたこ
とにより、確実に精度のよい加工ができる。

【００４２】さらに、本発明は、スライドカムベースに
固着した２個の支持板に架設した２個のガイドポスト
と、１個の付勢体を一方の支持板側から取外し、取付け
をできるようにしたプレス装置であるので、スライドカ
ムをスライドカムベースから容易に取り外すことがで
き、保守作業が容易になる。さらにその上に、本発明
は、スライドカムとスライドカムベースとの摺動面を、
スライドカムベース、スライドカムと、ガイドポストお
よび付勢体を架設させる両側の支持板で覆うようにした
プレス装置であるので、スクラップなどの進入を防止す
ることができる。

【００４３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の具体的一実施例のプレス装置でその下
死点での縦断面図である。

【図２】図１のII矢視図である。

【図３】図１の III矢視図である。

【図４】図１のIV矢視図である。

【図５】本発明の具体的一実施例のプレス装置でその上
死点での縦断面図である。

【図６】スライドカムベースを下型に配置した他の例の
プレス装置の縦断面図である。

【図７】図６の VII矢視図である。

【図８】図６のVIII矢視図である。

【図９】従来のプレス装置の縦断面図である。

【図１０】図７の受動カムとそのガイド部の縦断面図で
ある。

【図１１】従来のプレス装置の下死点での縦断面図であ
る。

【図１２】図９のＸII−ＸII矢視断面図である。

【図１３】図９のXIII−XIII矢視断面図である。

【符号の説明】

２１…スライドカムベース６３…パンチ１４…スライドカム５１…付勢体５…作動カム２５…ガイドポスト４５…Ｖ溝８…山状案内部

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】スライドカムベースと、スライドカムベ
ースに案内されパンチなどの加工部材を取付けるスライ
ドカムと、スライドカムベースとスライドカムとの間に
介在してスライドカムを付勢する付勢体と、スライドカ
ムに当接してスライドカムを駆動する作動カムとよりな
るプレス装置であって、スライドカムベースに架設した
所定間隔へだてて円形断面の２本のガイドポストにスラ
イドカムを摺動自在に設け、スライドカムの一面をＶ溝
に形成し、前記スライドカムのＶ溝と対向する作動カム
にＶ溝と当接する山状案内部を形成したことを特徴とす
るプレス装置。
【請求項２】スライドカム一面のＶ溝の両端部に垂直
面を形成し、作動カムの山状案内部の両端部に垂直面を
形成し、スライドカムのＶ溝のウェアプレートと作動カ
ムの山状案内部のウェアプレート、スライドカムの垂直
面のウェアプレートと作動カムの垂直面のウェアプレー
トとをそれぞれ当接させるようにした請求項１記載のプ
レス装置。
【請求項３】スライドカムベースに固着した２個の支
持板に架設した２個のガイドボストと、１個の付勢体を
一方の支持板側から取外し、取付けをできるようにした
請求項１記載のプレス装置。
【請求項４】スライドカムとスライドカムベースとの
摺動面を、スライドカムベース、スライドカムと、ガイ
ドポストおよび付勢体を架設させる両側の支持板で覆う
ようにした請求項１記載のプレス装置。