JP3068139B2 - 酵母よりヒト血清アルブミンおよびその他の異種蛋白質を微生物学的に生産する方法 - Google Patents

酵母よりヒト血清アルブミンおよびその他の異種蛋白質を微生物学的に生産する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、組換え体DNA技術を用いて修飾された酵
母、特にクルベロミセス(Kluyveromyces)属の酵母、
を培養することによるヒト血清アルブミン(HSA)の微
生物学的構造方法に関する。
HSAは球状の非グリコシル化モノマーの形態をとる分
子量66キロダルトン(kd)を有する585アミノ酸のタン
パク質である。その球状構造は9つの二重ループが連続
した構造を作り出す17のジスルフィド結合によって維持
されている(Brown,J.R.,“Alubumin sStructure,Funct
ion and Uses"Rosenoer,V.M.et al.(eds.),Pergamon
Press,Oxford,(1977)27−51)。
HSAをコードする遺伝子は非常に多形であることが知
られており、30種以上の明らかに異なる遺伝子変異体が
種々の条件下での電気泳動解析によってタイプ分けされ
ている(Weitkamp,L.R.et al.,Ann.Hum.Genet.37(197
3)219−226)。
HSA遺伝子は、14のイントロン配列によって15のエキ
ソン配列に分断されており、推定“キャップ”部位から
最初のポリ(A)付加部位まで16.9キロベース(kb)以
上ある。
ヒトアルブミンは肝臓の肝細胞で合成され、そこから
血流に分泌される。これは血中で最も多いタンパク質で
その濃度は約40g/リットル血清であり、したがって常時
約160gのアルブミンがヒト体内中に循環している。HSA
の最も重要な役割は血流の正常な浸透度を維持すること
である。また種々の物質に対してひときわ高い結合能を
有し、さらに疎水性分子(例えばステロイド及び胆汁酸
塩)や治療物質をその作用部位に運搬する体内輸送の役
目を果たしている。さらにHSAがプロスタグランジンの
異化に係わっていることが最近わかってきた。肝細胞に
おけるHSAの合成ではまず前駆体プレプロHSAができる
が、これは新生ポリペプチドを分泌経路に導く18アミノ
酸のシグナル配列を含んでいる。このシグナル配列は、
おそらくは翻訳に共役したプロセシングによって、タン
パク質が小胞体から放出される前に切り離される。この
最初のタンパク質分解切断により前駆体プロHSAができ
るが、これはまだ循環HSAの成熟形態には普通存在しな
いN末端ヘキサペプチド(Arg−Gly−Val−Phe−Arg−A
rg)を含んでいる。
おそらくゴルジ体に存在するコンベルターゼが2番目
のタンパク分解段階において成熟HSAのN末端アスパラ
ギン酸に結合しているヘキサペプチドを切断して除去す
るのであろう(Judah,J.D.,and Quinn,P.L.,Nature 271
(1987)384−385;Bathurst,I.C.et al.,Science 235
(1987)348−350)。しかし、プロペプチド配列中に遺
伝性の変異を有する珍しいヘテロ個体では血流中のアル
ブミンの半分が、非常に希なホモ接合体個体では全部
が、切断を受けていないヒトアルブミンである(Takaha
shi,N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(1987),740
3−7407)。これらの変異体の一つはクライストチャー
チプロアルブミンと呼ばれ、配列Arg−Gly−Val−Phe−
Arg−Gln-1−Asp+1で始まるが、このような変異体ではA
rg-1がGln-1に置き換わったためプロペプチドの切断が
妨げられている(Brennan,S.O.,and Carrel,R.W..Natur
e 273(1987)908−909)。その他のプロアルブミン変
異体でLilleとして知られる変異体(Abdo,Y.et al.,FEB
S Letters 131(1981)286−288)およびTakefuとして
知られる変異体(ナガタ等、臨床病理30(1982)791−7
96)は、それぞれ次のN末端配列Arg−Gly−Val−Phe−
Arg−His−AspとArg−Gly−Val−Phe−Arg−Pro−Aspを
有する。これらの各々の場合に観察される突然変異は、
正常ならば成熟ヒトアルブミンのアミノ酸配列の前にあ
る塩基性アミノ酸Arg−Argに影響を及ぼし、これはアル
ギニンコドン中のたった1つの塩基の変化により生じる
(Takahashi,N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(19
87)7403−7407)。
1対の塩基性アミノ酸の後ろでの切断は、ペプチドホ
ルモンや神経ペプチド及びHSA以外の血漿タンパク質の
成熟の基本的特徴である(Douglass,O.et al.,Ann.Rev.
Biochem.53(1984)665)。最近肝臓中でプロアルブミ
ンをアルブミンに切断するコンベルターゼが酵母のプロ
テアーゼyscFにきわめて密接に関係しているらしいこと
が示された(Bathurst,I.C.et al.,Science 235(198
7)348−350)。このカルシウム依存チオールプロテア
ーゼはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces ce
revisiae)のKEX2遺伝子によってコードされ、ゴルジ装
置の膜に結合していると考えられる。このプロテアーゼ
はα因子と呼ばれるフェロモン及びキラートキシンの成
熟に関与していることがわかっている。なぜならS.セレ
ビシエのkex2変異体は一対の塩基性アミノ酸Lys−Argに
おいてこれらのプロタンパク質を切断できないからであ
る(Julius,D.J.et al.,Cell 32(1983)839)。さらに
KEX2遺伝子によってコードされる酵母の酸素はインビト
ロでアルブミンの正常なプロ配列(Arg−Arg)を正しく
認識して切断するが、クライストチャーチ型プロアルブ
ミンの変異プロ配列(Arg−Gln)を切断できないことが
示される(Bathurst,I.C.et al.,Science 235(1987)3
48−350)。yscFプロテアーゼに似たコンベルターゼ
が、K.ラクチスのKEX1遺伝子によってコードされている
ことが最近報告された(Wesolowski−Louvel,M.et al.,
Yeast (1988)71−81)。この知見を考慮してこれら
の酵母がヒト組換えアルブミンを正しく切り出し成熟ア
ルブミンを培地中に分泌することができるかを試験し
た。
アルブミンは、血漿タンパク質の世界市場の40%を占
めている。アルブミンが広く用いられているという事
実、例えば手術、事故、大量出血による血液の損失を補
うのに用いられるいわゆる血液増量剤中で一日当たり、
一人当たり数グラムといった用量で使用されているため
に、商業的興味が持たれている。
現在までHSAは一般に血液供給者から得た血漿を常法
により分画して生産されており(Cohn,E.J.et al.J.Am.
Chem.68(1946)459pp.)、世界における血漿の年間消
費量は、9.5×106リットルに達している。HSAはJ.Liaut
aud等の方法でヒト胎盤から抽出することもできる(13t
h Intern.Congress of IABS,Budapest;A:“Purificatio
n of proteins,Development of biological standard",
Karger(ed.),Bale,27(1973)107pp.)。
遺伝子工学及び新しい抽出・精製の技術の開発は、ウ
イルス汚染(たとえばB型肝炎やエイズ)がなく低コス
トで高純度で安定性のよい製品を作る可能性に道を開い
たが、いまのところ遺伝子工学に基づいた方法でHSAの
工業的規模の生産のため経済的重要性があるほど効率的
なものは知られていない。
適当な三次構造と天然ヒトアルブミンの生理化学的特
性を有する、正しく成熟し分泌されたアルブミンを高レ
ベルで生産することができる有効な宿主/ベクター系が
ない、というのがその主な理由である。
たとえ哺乳類細胞培養がヒトタンパク質発現には理想
的にみえても、このような方法のコストは医薬目的に使
用されるアルブミンの現在の販売価格をはるかに越える
ものとなろう(Klausner,A.,Biotechnology (198
5).119−125)。この製品は一般に数グラムといった量
で低い価格単位で処方されるため、HSAのバイオテクノ
ロジーによる生産は微生物発酵系でのみ可能であるとお
もわれる。
現在に至るまで遺伝子工学実験の大多数は、経済的に
重要な異種タンパク質を微生物に生産させるための宿主
として大腸菌を使用している。しかしこのタイプの方法
が数多くの異種タンパク質について満足のいくものに見
えても、この微生物を用いて経済的に引き合う条件下で
HSAを生産しようとする試みはすべて部分的成功しか納
めていない。
大腸菌の使用に関連する多くの欠点の1つは、この細
菌が、ほとんどの場合、異種タンパクを培地中に排泄す
ることができずにこれらのタンパク質が細胞内のコンパ
ートメントの1つに蓄積されるということである。した
がって所望のタンパク質は細胞物質から単離しなければ
ならず、複雑で費用のかかる操作が必要となる。さら
に、大腸菌は内毒素と発熱物質をつくり、これが生産さ
れたタンパク質を汚染することがある。このため特に最
終生産物を医薬として用いる場合、最終産物から残留内
毒素を除去するように精製には十分な注意が必要とな
る。
分泌タンパク質は合成されて細胞質に蓄積される場
合、正しく折りたたまれる性質を失う。一般に、HSA中
に存在するようなジスルフィド結合を形成するためには
分泌が必要である。大腸菌で生産されるHSAは分泌され
ず、不溶形態で細胞内に蓄積することになる(Latta,M.
et al.,Bio/Technology (1987)1309−1314)。従っ
て細菌細胞から抽出した後インビトロでタンパク質を変
性させ、ついで再変性させなければならない。
さらに、大腸菌は酵母やヒトを含む真核生物に特異的
な転写後及び翻訳後の修飾を可能にする細胞機構がな
い。HSAについては、天然HSA前駆体、即ちプレプロHSA
を充分なレベルで大腸菌に発現させることは困難である
ように思われる。そのうえ、細菌のpacまたはompA遺伝
子に由来する分泌シグナルにHSA構造遺伝子が融合され
ている人工アルブミンはプロセシングが不完全なことが
多い(上掲)。さらに、プレプロ配列のないHSA、即ちM
et−HSA形のHSAを発現させると、N末端メチオニン残基
は大腸菌メチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)によっ
て切りとられない(上掲、欧州特許出願第198745号、公
開日1986年10月22日)。従って大腸菌に由来するHSAは
インビボでは成熟形態で得ることができず、インビトロ
でトリプシン切断によってファージ由来リーダー配列を
切り出し、ついで変性し再生して、インビトロで改造す
る必要がある(欧州特許出願236210号、公開日1987年9
月9日)。
他の細菌宿主に関しては枯草菌(Bacillus subtili
s)でのHSAの分泌についての研究が細菌発表されている
(Saunders,C.W.et al.J.Bacteriol.169(1987)2917−
2925)。この研究は、原核微生物例えば枯草菌が高分子
のヒトタンパク質例えばHSAを分泌できる能力はあって
も、生育培地中への分泌が起こるのは枯草菌のプロトプ
ラスト、即ち正常な細胞壁を酵素処理によって除去した
細菌細胞、を用いたときだけであることを示した。さら
に修飾を受けたHSAの割合は生産されるタンパク質のレ
ベルに逆比例し、発現レベルが高いと組換え体HSAのほ
とんどが未成熟な形で残る(上掲)。そのうえ、枯草菌
からの組換えHSAの物理化学的性質に関するデータは報
告されていない。さらに、この微生物によって得られる
HSA分泌のレベルは免疫学的方法を用いて培養上清に検
出されるHSA量で見る限りきわめて低い(欧州特許出願
第0229712A2、公開日1987年7月2日)。
異種タンパク質の製造に細菌宿主を用いる代わりに真
核系微生物、例えば酵母や真菌を使用することは魅力的
である。事実これらの微生物は、もっと複雑な真核生
物、例えば哺乳類細胞に見られる構造と細胞内器官をす
べて持っている。特に酵母は多くのタンパク質の活性に
重要な転写後及び翻訳後修飾を行うことができる。さら
に酵母は工業的規模の生産において非常にポピュラーで
あり、高い細胞密度で生育させることができ、病原性が
なく、内毒素を生産せず、古代から食品工業に使用され
ている。最後に哺乳類細胞と対照的に酵母を用いた遺伝
子操作は行うのが容易であり、古典的遺伝学と分子遺伝
学が大量のデータを提供している。酵母という言葉はし
ばしばサッカロミセス・セレビシエ即ちパン酵母を指し
て用いられる。パン酵母は最も一般的で最もよく知られ
た種の1つである。ここでは酵母という用語はセレビシ
エ種に限定されず、他属にも用いられるものである。
S.セレビシエにおいて、ケラチンプロモーターの制御
下でプレプロHSAを発現させると、最大で全タンパク質
の約1%にもなることが示されている(Etcheverry,T.e
t al.,Bio/Technology (1986)726−730)。しかし
ながらこの研究に述べられている、抗HSA抗体によって
認識される物質は細胞に結合したままであり、組換えタ
ンパク質の詳しい特徴は報告されていない。
またビール醸造中の発酵後工程を用いる醸造用酵母に
おけるHSAの生産が報告されている(欧州特許出願第020
1239号、公開日1986年11月12日)が、これもまた得られ
た生産物に関する量的又は質的データは記載されていな
い。さらに、この方法はMet−HSA、即ち成熟アルブミン
配列のすぐ上流のアミノ酸であるメチオニンから始まる
HSA遺伝子を発現させるものである。シグナル配列が欠
けているため、組換えHSAの分泌及び成熟は起こらず、
三次構造の確認されていない細胞内アルブミンの蓄積が
起こる。さらに最終産物にN末端メチオニンがないこと
は確認されていない。
本発明は、大量生産用培養で生育させることができ生
育培地に天然のコンフォーメーションのHSAを効率よく
生産及び排出することができる遺伝子操作した改良酵母
種を作ることに関する。
好ましい発現系は宿主としてクルベロミセス(Kluyve
romyces)属の酵母を必要とし、天然のK.marxianus va
r.drosophilarumのプラスミドpKD1に由来するベクター
を使用する。
さらに、アルブミン生産を目的とした研究から、pKD1
中のある配列がそれらの配列を組み込んだ発現ベクター
の効率、特に安定性にとって重要であることが明らかに
なった。
従って本発明は、アルブミン以外のタンパク質の発
現、特に組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、メ
タロプロテアーゼインヒビター(TIMP)及びインターロ
イキン例えばインターロイキン1β(Il−1β)の発現
に、これらのpKD1の必須エレメントを使用することにも
関する。これらのタンパク質は、pKD1プラスミド誘導体
の使用が「普遍的」なものであること、即ち発現及び/
または分泌をさせたいタンパク質の種類には全くといっ
てよいほど関係ないものであることを示すための例とし
て考えてほしい。
クロベロミセス属の酵母、特にK.marxianus(変種のl
actisとfragilisを含む。これらは以後K.lactis、K.fra
gilisと呼ぶ)重要な生物で、バイオテクノロジー産業
において商業的にかなり重要である。K.lactisとK.frag
ilisは、たとえば酵素のラクターゼ(βガラクトシダー
ゼ)の商業生産に用いられている。これらの酵母は、乳
業の主な副産物であるホエイ(乳漿)中で生育させるこ
とができる。クルベロミセスのいくつかの菌株は家畜の
飼料で重要な役割を果たしている「単細胞タンパク質
(SCP)」の大規模生産に用いられる。最後に、クルベ
ロミセス属の微生物はGRAS(generally recognized as
safe;広く安全と認められている)リストに入ってお
り、これは医薬グレードの製品の生産にとっては大事な
点である。
クルベロミセスの遺伝子操作技術は最近開発されたば
かりである。この微生物に関しては3種のクローニング
ベクターが記述されている。
i)クロベロミセスのゲノム領域に相同な配列を含む組
込ベクター;これは細胞に導入されるとインビボ組換え
によりクルベロミセス染色体に組み込まれる。組込は有
効な選択マーカーが存在することを必要とするきわめて
希なできごとで、これらのベクターが細胞内で自律複製
できる配列を持っていない場合に起こる。このシステム
の利点は、形質転換株の安定性、即ち組み込まれた配列
の保持に選択圧を必要とせず、通常の栄養培地で生育す
ることができる点である。しかしその欠点は組み込まれ
た遺伝子が細胞当たり1個よくて数個のコピーでしか存
在しないことである。この遺伝子量の低さのため異種タ
ンパク質が少ししか生産されないことが多い。
ii)クロベロミセス種の染色体DNAに由来する自律的複
製配列(ARS)を持つ複製ベクター(Das,S.& Hollenba
rg,C.P.,Current Genetics (1982)123−128;国際特
許出願WO83/04050,公開1983年11月24日、国際特許出願W
O83/04051,公開1983年11月24日)。このようなベクター
は有糸細胞分裂での分離がきわめて不均一で、細胞が選
択圧下で生育するときでさえ高頻度で細胞から失われる
ので、重要性は中程度である。
iii)天然に存在する酵母プラスミドたとえばK.lactis
から分離された線状キラープラスミドpGK1−1(K1)
(de Louvencourt,L.et al.,J.Bacteriol.154(1982)7
37−742;欧州特許出願第0095986号、公開日1983年12月
7日)、あるいはK.marxianus var.drosophilarumから
分離された環状プラスミドpKD1(欧州特許出願第024143
5A2、公開日1987年10月14日)に由来する複製ベクタ
ー。
線状キラープラスミドに由来する複製配列を含むベク
ターはそれら配列の保持に特別の栄養培地が必要であ
り、選択圧下でさえもわずか15世代後には集団中の40〜
99%の細胞で失われてしまうため、異種タンパク質の大
量生産における実用性は全くない(欧州特許出願第0095
5986号、公開日1983年12月7日)。これまでに記載され
ているクルベロミセス属の酵母の形質転換に最も有能な
ベクター系は内在性プラスミドpKD1に由来する。pKD1の
全配列を含む構築体は、高頻度で導入することができ、
細胞内に70から100コピーで存在し、最も重要な点は非
選択条件下で比較的安定性が高い。しかし、工業規模の
発酵では少なくとも40世代のプラスミド安定性が要求さ
れるため欧州特許出願第0241435号に記載されるベクタ
ーの有用性は研究用途に限定される。欧州特許出願第02
41435号に記載される最も有効なベクター(P3)でさえ
も非選択培地中わずか6世代後には細胞集団中の約70%
で失われてしまう(欧州特許出願第0241435A2、公開日1
987年10月14日)。大規模な発酵が選択圧を維持するこ
とは技術上可能であっても、選択培地を使用するとしば
しば細胞密度がかなり低くなり、よく性質のわかった菌
株を使用することが必要であるため、あまり魅力的な方
法ではなくコストもかさむ。欧州特許出願第0241435号
は商業的に重要な異種タンパク質の発現の例を1つも含
まない。事実pKD1由来のベクターから発現されることを
示した“異種”遺伝子は酵母S.cerevisiaeのURA3遺伝子
のみである。従って非酵母遺伝子、例えば哺乳類由来の
遺伝子、をpKD1に導入しクルベロミセスで過剰に発現さ
せたときにプラスミドの安定性が減少しないかはまた証
明されていない。
本発明の目的は、クロベロミセス属の酵母を形質転換
することができ、欧州特許出願第0241435号に記載され
るものより著しく優れた安定性を有する新規な発現ベク
ターを作ることである。本発明で述べる新規な構築体が
非選択培地中で50世代の増殖後にも85〜90%の細胞にお
いて高コピー数で維持されることをこれから示す。従っ
て最適な生育特性を持ち高細胞密度で長年使用されてき
たクルベロミセス属の工業用菌株を用いて、異種タンパ
クを安定な多コピー数ベクターから生産することができ
る。
詳しく述べると、本発明は特定のタンパク質の構造方
法に関し、その方法は、以下の構成要素からなる発現ベ
クター; ○プラスミドpKD1の遺伝子A、B、C ○プラスミドpKD1の逆方向反転(inverted repeat:IR) ○pKD1の複製起点と、該タンパク質を酵母中で発現させ
ることができる配列の制御下にある該タンパク質構造遺
伝子をコードするDNAとを含む発現カセット ○形質転換酵母を選択できるマーカー ○(任意に)大腸菌用の複製起点と選択可能マーカー で形質転換されたクルベロミセス酵母を増殖培地中で生
育させることを特徴とするものである。
本発明で記載されるベクターの高い安定性は、プラス
ミドpKD1の特徴を十分に利用することによって達成され
た。pKD1に由来するベクターは、プラスミドを高コピー
数で安定に保持することに関与する特別の複製系を含む
点で既知のすべてのクルベロミセスベクターとは異な
る。この系は複製起点に加え、各々の長さが346ヌクレ
オチドである2個の逆方向反復、及びこのプラスミドに
不可欠な部分である3個の読み取り枠(遺伝子A、B、
C)(Cnen,X.J,et al.,Nuc.Acids Res.14(1986)4471
−4481)を含む。これらの複製及び、安定性のエレメン
トである遺伝子A、B、Cと逆方向反復(IR)が、保持
されれば、細胞分裂における安定性が極めて高いベクタ
ーができる。最もよく研究されている系である、構造的
に似たS.セレビシエの2μプラスミドからの類推によ
り、これらの遺伝子の2つ(BとC)がコードするタン
パク質は、おそらく有糸細胞分裂中のプラスミドの分配
に関与し、また位置特異的レコンビナーゼ(FLP;Futche
r,A.B.,Yeast 4(1988)27−40)をコードする遺伝子A
を負に調節する役割の一部を果たしているらしい。2μ
DNAの逆方向反復間のFLP介在組換えは、通常の複製モー
ド(細胞分裂1回あたり2μプラスミドが倍になる)か
らローリングサークル型の複製(コピー数が細胞当たり
約50コピーに増幅する)へプラスミドを切り替えること
が示されている(上掲書)。プラスミドのコピー数が低
くなってFLPリコンビナーゼをコードする遺伝子Aのリ
プレッサーとして作用する遺伝子BとCの産物が十分量
生産されなくなると直ちにこの複製の正常モードが変化
するよう誘発される。この機構によって2μ(及び構造
上類似したプラスミド例えばpKD1でも)のコピー数は自
律的に高レベルに保持され、選択マーカーの存在にはよ
らない。
以前に欧州特許出願第0241435号で開示されたベクタ
ーは、pKD1(A15)の一部のみを含むか、あるいは中断
された遺伝子A(P1とP3ではPst Iクローニング部位が
遺伝子Aのコード配列内にある)を有するので、常在プ
ラスミドpKD1の特徴の1つである自律調節複製系が破壊
されている。対照的に、本発明に記載されるpKDから誘
導されるプラスミド構築体は、pKD1の重要な読み取り枠
のすべての機能的一体性を重視している。従って以下に
述べるプラスミドの安定性は、プラスミドP1及びP3に比
べ相当増強され、新規ベクターのコピー数は細胞集団に
わたって高レベルで維持される。
本発明においてHSAという用語は、ヒト由来のいかな
る血清アルブミン、又は酵母細胞から分離されたヒト由
来の天然HSAと同じアミノ酸配列、三次構造及び物理化
学的特性を有するタンパク質を指すのに用いられる。さ
らに、HSA変異体とは自然突然変異体及び、HSAと同じ活
性を有する分子で適当な場所で問題の活性には必要ない
ドメインが除去されているものを指すものである。
本発明は、真核微生物宿主として酵母細胞を用い、HS
Aを容易に精製できる形態で生産できる新規ベクターを
遺伝子工学により創り出すことに関する。生産方法の特
徴は、該酵母の増殖培地に成熟未変性HSAを効率よく排
泄させて、それにより組換えタンパク質の精製をずっと
容易にすることである。HSAの生産は組換えプラスミド
で形質転換された酵母を培養することにより得られる。
ここで組換えベクターは該宿主で有効に機能する転写及
び翻訳開始領域、及び組換えタンパク質を該酵母の分泌
経路に導くための分泌シグナルの後ろに来るHSAをコー
ドする読み取り枠とを有する。
本発明によれば、新規な構築体はHSAの構造遺伝子又
はその変異体の1つを含む発現カセットを持つ。この構
築体は通常、適当な各種ベクターを用いて発現、分泌又
はプラスミド保持に必須のエレメントを段階的に組み合
わせて1つのベクターになるよう調製される。このベク
ターを新規の宿主に導入して所望のタンパク質を発現、
排泄させる。使用される宿主は真核由来、特に酵母、さ
らにはサッカロミセス又はクルベロミセス属であり、好
ましくはK.maxianusとそのすべての変種であり、特に好
ましくはK.maxianus var.lactisである。従って本発明
によれば、調製され記載された構築体は、微生物真核生
物における例のようなものであるが、好ましくはクルベ
ロミセスにおけるものである。
使用される特定の宿主は、安定であり、適当な培地で
高細胞密度まで増殖し、高レベルの生産ができる工業用
菌株であることが好ましい。
pKD1由来のプラスミドで形質転換できる菌株のなか
で、K.wickerhamii,K.waltii、特にK.marxianus var.bu
lgaricus(K.bulgaricus)、K.marxianus var.drosophi
laum(K.drosophilarum)、K.marxianus var.fragilis
(K.fragilis)、およびk.marxianus var.lactis(K.la
ctis)種の菌株については特に述べるべきである。
HSAをコードする配列は種々の方法で得ることができ
るが、最も簡単な方法はヒト肝臓からメッセンジャーRN
Aを分離し、相補性DNA(cDNA)の形でそのコピーを合成
することである。それからクローン化された配列をいろ
いろな方法、たとえばインビトロでの部位特異的突然変
異誘発、プライマー伸長、制限切断、アダプターの挿入
又はオリゴデオキシヌクレオチドリンカーとの連結、な
どにより修飾してもよい。例えば、宿主におけるタンパ
ク質合成(翻訳)の効率を最適にするためにコード配列
を酵母にとって好ましいコドンを使うように改変するこ
とができる。
新生タンパク質を宿主細胞の分泌系に向かわせるよう
に、タンパク質のN末端のシグナルペプチド(プレ配
列)を導入してもよい。このプレ配列はそのタンパク
質、具体的にはアルブミン、の本来のN末端リーダーに
相当するものでもよいし、別の起源、例えばαフェロモ
ン又はキラー毒素をコードするような酵母遺伝子のから
とってもよい。
さらに、もう1つのペプチド伸長をコードするプロ配
列を分泌シグナル配列と成熟アルブミンをコードする配
列の間に挿入することもできる。このプロ配列は通常特
異的プロテアーゼによって切断される部位でコード配列
に結合され、少なくとも2つの塩基性アミノ酸、好まし
くはLys−Arg又はArg−Argを含むのが普通である。
発現カセットは、コード配列の転写及び翻訳を指示調
節するためにコード配列の5′末端に連結した転写及び
翻訳開始部位を包含する。これらのプロモーター領域の
選択は使用される個々の宿主によって異なってよい。こ
れらの配列は一般に酵母遺伝子に由来するプロモーター
から選ぶ。サッカロミセス又はクルベロミセス型酵母の
解糖遺伝子、例えばホスホグリセリン酸キナーゼ(PG
K)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナー
ゼ(GDP)、エノラーゼ(ENO)、アルコールデヒドロゲ
ナーゼ(ADH)をコードする遺伝子に由来するか又は他
の強い発現遺伝子例えばラクターゼ(LAC4)、酸性ホス
ファターゼ(PHO5)などに由来する特定のプロモーター
及び/またはターミネーター領域が特に興味深い。これ
らの制御領域は例えばインビトロ突然変異誘発、追加の
制御因子又は合成配列の導入、あるいは欠失によって修
飾することができる。具体的には転写調節因子例えば別
のプロモーター、たとえばS.セレビシエのGAL10又はK.
ラクチスのLAC4遺伝子のプロモーターなどを起源とする
いわゆる上流活性化配列(upperstream activating seq
uences:USA)を使用すれば、選択される炭素源に依存し
て酵母培養の増殖期と異種遺伝子の発現期とを分離する
ことができるハイブリッドプロモーターを構築すること
ができる。意図した宿主で機能する転写及び翻訳終結領
域は、コード配列の3′末端におく。
こうして構築された発現カセットは形質転換宿主を選
択することができる1種またはそれ以上のマーカーに融
合させる。好ましい酵母マーカーは優性マーカーであ
る、即ちゲネチシン(G418)のような抗生物質に対する
耐性を与えるマーカー(これは細菌トランスポゾンTn90
3のaph(3′)−I遺伝子(aph)を酵母で発現させる
場合と同様)であり、又は銅イオンのような別の毒性化
合物に対する耐性を与えるマーカーである。後者は特別
の宿主特異性を持たない限り使用することができる。こ
れらの耐性遺伝子は、問題の宿主中で適当な転写及び翻
訳シグナルの制御下におかる。また、S.セレビシエのUR
A3又はLEU2遺伝子のような栄養要求性を相補するマーカ
ーを使用することもできる。
発現カセットと選択マーカーからなるアッセンブリー
は直接宿主を形質転換するために使用することもできる
し、あるいは複数ベクターに挿入することもできる。直
接形質転換の場合には、染色体又は常在プラスミドに存
在する領域と相同な配列がこのアッセンブリーに導入さ
れる。この配列は、インビボ組換えによって対応する部
位で挿入が起るように、発現カセットの両側に配置され
る。また発現カセットは問題の宿主で機能する複製系と
組み合わせることもできる。クルベロミセスにおける好
ましい複製系は、もともとはK.ドロソフィラムから分離
されたプラスミドpKD1(Falcone,C.et al.,Plasmid 15
(1986)248−252;Chan,X.J.et al.,Nuc.Acids Res.14
(1986)4471−4481)に由来するものである。サッカロ
ミセスにおける好ましい複製系は、酵母2μプラスミド
に由来するものである。発現プラスミドは、複製系の全
部又は一部を含むことができるし、又はpKD1を2μプラ
スミドに由来するエレメントを組み合わせることもでき
る。好ましい構築体は、クルベロミセスでの発現が望ま
れる場合にはプラスミドpKD1の全配列を含むものであ
る。もっと具体的にいうと、好ましい構築体とは、異種
配列がpKD1に挿入される部位がSac I部位(pKD1のB型
の4714位、Chen,X.J.et al.,Nuc.Acids Res.14(1986)
4471−4481)とMst II部位(pKD1のB型の154位、同
書)の間にある196bp領域、またはこれらの部位のどち
らか1つ、あるいはプラスミドpKD1のSph I部位に限定
されてあるものである。
プラスミドは、シャトルベクターであるととても便利
である。それだと構築の各段階において、酵母より操作
が容易である大腸菌のような細菌宿主に移すことができ
る。この場合、細菌宿主で機能する複製起点と選択可能
なマーカーを必要とする。また発現ベクターにそれしか
ない制限部位を細菌性配列の両隣に配置することもでき
る。こうすると、酵母細胞を形質転換する前に、細菌の
複製起点を切除してベクターを連結することができ、高
プラスミドコピー数で高安定性のプラスミドができる。
例えば、5′−GGCCNNNNNGGCC−3′(Sfi I)あるいは
5′−GCGGCCGC−3′(Not I)のような便利な部位を
使える。これらは酵母にはきわめて希であり、一般に発
現プラスミドにはないからである。これらの部位はオリ
ゴデオキシヌクレオチド指定突然変異誘発又は特定のオ
リゴデオキシヌクレオチドリンカー又はアダプターを付
け加えることによってベクターに導入することができ
る。
本発明の説明はヒトアルブミンに関して使われること
が多いが、プラスミドpKD1から適正に誘発されたベクタ
ーを用いる操作は、その酵母での発現/排泄の恩恵を被
ることができるアルブミン、インターロイキン、tPA、T
IMPその他のタンパク質に応用することができる。
発現できるコード配列のうちとりわけ述べておいた方
がいいのは、 Il−Iβ、 プレプロHSA、 Met−HSA プレプロtPA、 Met−tPA、 TIMP である。
発現ベクターの構築が終わればベクターは所望の宿主
に導入される。酵母における形質転換については種々の
プロトコールが説明されている(Sherman,F.et al.,“M
ethods in Yeast Genetics",Cold Spring Harbor Labor
atory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)。ついで形質転
換細胞は所望の産物を生産するために適当な培地で生育
させることができる。
所望の産物が排泄される場合、産物は種々の方法で培
養上清から精製することができる。低温沈降させるか、
アフィニティクロマトグラフィ、電気泳動その他の常法
を用いて抽出することができる。分泌タンパク質はバッ
チ培養または連続培養から回収することができる。
以下の実施例はそれらに限定することを意味するもの
ではなく、本発明特有の実施態様とその利点を示すもの
である。
実施例 一般的クローニング法 分子生物学の古典的方法、例えばプラスミドDNAの塩
化セシウム−臭化エチジウム勾配遠心法、制限酵素切
断、ゲル電気泳動法、アガロースゲルからのDNA断片の
電気溶離法、大腸菌の形質転換等は文献に記載されてい
る(Maniatis,T.et al.,“Molecular Cloning;a Labora
tory Mannual",Cold Spring Harbor Laboratory,Cold S
pring Harbor,N.Y.,1982;Ausubel,F.M.et al.(ed
s.),“Current Protocols in Molecular Biology",Jo
hn Wiley & Sons,New York 1987)。
制限酵素は、New England Biolabs,Bethesda Researc
h Laboratories(BRL)、またはAmarshamから入手し
た。
連結反応については、DNA断片を0.7%アガロース又は
8%アクリルアミドゲルでサイズによって分離し、電気
溶離で精製し、フェノールで抽出し、エタノールで沈降
させてから、ファージT4DNAリガーゼ(Biolabs)の存在
下50mMトリス−HCl、10mM MgCl2、10mMジチオスレイト
ール、2mM ATPを含む緩衝液pH7.4でインキュベートし
た。
必要に応じて、3′末端が短くなったDNA断片を、子
牛小腸アルカリホスファターゼ(CIP,Pharmacia)を含
む緩衝液(100mMグリシン、1mM MgCl2、ZnCl2、pH10.
5)中37℃30分間処理して脱リン酸化する。同じ操作を
5′が短いもしくは平滑末端の脱リン酸化にも用いる
が、37℃で15分間、ついで56℃で15分間処理する。反応
混合液を1%SDS及び100mM NaCl存在下で68℃15分間加
熱して酵素を失活させ、フェノール/クロロホルム抽
出、エタノール沈殿をおこなう。
3′が短くなった末端の補填は、大腸菌DNAポリメラ
ーゼIのクレノウ断片(Biolabs)で行う。この反応は5
0mMトリス−HCl、0.4mM dNTP、10mM MgSO4、0.1mMジチ
オスレイトール、50μg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)
(pH7.2)からなる緩衝液中で30分間室温で行う。5′
の方が短い末端を平滑末端にするには製造業者が勧める
ようにしてファージT4DNAポリメラーゼ(Biolabs)の存
在下で行う。片方が短くなった末端を消化するには、製
造業者の指示に従いS1ヌクレアーゼ(BRL)で限定処理
する。
インビトロオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発は、
Amershamが供給するキットを用いてTaylor等が開発した
方法(Taylor,J.W.et al.,Nucleic Acids Res.13(198
5)8749−8764)によって行う。ヌクレオチド配列の決
定は連鎖終了法(ジデオキシ法)(Sanger,F.et al.,Pr
o.Natl.Sci.USA 74(1977)5463−5467)によって行
う。特定DNA断片の酵素増幅はポリメラーゼ連鎖反応法
(PCR)(Mullis,K.B.and Falona,F.A.,Meth.Enzym.155
(1987)335−350;Saiki R.K.et al.,Science 230(198
5)1350−1354)により、製造者の指示に従い、DNAサー
マルサイクラー(Perkin Elmer Cetus)を用いて行う。
連結したDNAを用いて、以下の大腸菌の菌株のコンピ
テント細胞を形質転換する。即ちE.coli MC1060([lac
I POZYA],X74,gal U,gal K,str Ar)またはE.coli TG
1([lac pro A,B],sup E,thi,hsd D5/F′tra D36,pro
A+B+,lac Iq,lac Z M15)である。プラスミドDNAをア
ンピシリン又はテトラサイクリン耐性形質転換細胞から
適宜精製する。プラスミドの抽出はManiatis等によって
記載される操作(Maniatis,T.et al.,“Molecular Clon
ing;a Laboratory Mannual",Cold Spring Harbor Labor
atory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1982)に従って行われ
るが、この方法はBirnboimとDollyのアルカリ溶解法(B
irnboim,H.C.& Dolly,J.,Nucleic Acids Res.(197
9)1513−1523)に由来するものである。迅速プラスミ
ド解析については、細菌溶解物をHolmes及びQuigley(H
olmes,D.C.and Quigley,M.,Analytical Biochem.114(1
981)193−197)の方法に従って調製し、精製せずにア
ガロース電気泳動分析にかける。エンドヌクレアーゼ制
限分析を行って所望の構造を示す組換えプラスミドは、
0.5〜1リットルの培養液を用いてアルカリ溶解法(Man
iatis,T.et al.,“Molecular Clonig;a Laboratory Man
nual",Cold Spring Harbor Laboratry,Cold Spring Har
bor,N.Y.,1982)により大量に調製し、塩化セシウム密
度勾配遠心によって精製する。
K.ラクチスの外来DNAによる形質転換及びK.ラクチス
からのプラスミドの精製については本文で記載する。
実施例1 プレプロ−HSA構造遺伝子を含むカセットの
クローニング E.1.1 HSAをコードする相補性DNA(cDNA) 大腸菌でHSAを発現させることができる組換えプラス
ミドの構築は、先の特許出願EP0198745(欧州特許出願
第198745号、公開日1986年10月22日)に詳細に記載され
ている。概要は、グアニジンイソチオシアネート法(Ch
irgwin,J.M.,et al.,Biochemistry 18(1979)5294p
p.)に従ってヒトの肝臓から単離したポリA mRNAからcD
NAを得る。DNA配列分析から、アルブミン構造遺伝子の
部分重複する断片を含み、その重複部分に共通の制限部
位を有する3つのクローン、pT1B11、pAA38、p6D8が単
離された(図1)。これらの制限部位は、プレプロ配列
を除けば完全長のHSAのcDNAクローンを1つ再構築する
のに用いられた。
E.1.2 HSAプレプロ配列の合成 プラスミドpXL276の構築は欧州特許出願第0198745号
に詳細に記載されており、このプラスミド中では、成熟
HSAのコード配列はバクテリオファージλのC II遺伝子
のリボゾーム配合部位(RBS)のATGコドンに読みとり枠
に合わせて融合してある(図2)。これはHSA遺伝子翻
訳開始コドンのすぐ上流にNde I部位を作る。プラスミ
ドpXL276は、cDNA中ではTaq I部位のすぐ上流、アミド
酸番号“−1"で切り取られているHSAのプレプロ領域を
再構成するために用いられる。HSAのプレプロ配列を相
当する、4つの33−36塩基長のオリゴデオキシヌクレオ
チドから構成されたDNA断片(Sq32,Sq34,Sq35,Sq38)
(図2)と、大腸菌遺伝子の発現シグナルを有するpXL2
76由来の120bpのEcoR I−Nde I断片とをプラスミドpUC8
のEcoR IとAcc I部位の間に挿入することによって再構
成が達成される。従ってTaq I部位はこのpXL290と名付
けられたプラスミド中では挿入体の一端に再構成される
(図2)。RBSとTaq Iより上流のプレプロ配列を有する
Hind III−Taq Iの小断片をHSAcDNAクローン(プラスミ
ドp1B11、HSAの5′末端を含む)のTaq I−Pst I断片と
ともにpUC8のHind IIIとPst I部位の間に連結して、プ
ラスミドpXSL299を得る(図3)。RBSとPvu II部位まで
のプレプロHSA配列を有するpXL299のHind III−Pvu II
断片、レプリコンとHSAコード配列の3′側を有するpXL
276の大断片、プロモーターを含むpXL276のEcoR I−Hin
d III断片とを連結してプラスミドpXL322を構築する
(図4)。
E.1.3 HSA翻訳開始コドンの上流におけるHind III部位
の創出 発現ベクターに容易に組み込むことができるプレプロ
HSAカセットを得るために、上述したプラスミドpXL322
のNde I部位をオリゴデオキシヌクレオチド特異的突然
変異誘発によってHind III部位に変える。そのために
は、プレプロHSAの5′末端を含むpXL322のHind III−B
gl II断片をM13mp18にサブクローニングし、合成オリゴ
オキシヌクレオチドの (下線部と太字部はそれぞれHind III部位と翻訳開始部
位を表す)を一本鎖鋳型にハイブリッドさせることによ
り突然変異させる。こうしてプラスミドpXL855を得(図
5)、このプラスミドの突然変異が起きた領域のヌクレ
オチド配列を連鎖終結法により証明した。完全プレプロ
HSAをコードする配列は、突然変異させたファージのHin
d III−Pvu II断片と、HSA構造遺伝子の3′側を含むpX
L322のPvu II−Hind III断片をpUC8のHind III部位を挿
入して再構築し、プラスミドpXL869を得る(図6)。従
ってこのプラスミドは、完全プレプロHSA構造遺伝子と
その3′末端に61bpの非翻訳領域を含む1.87kb Hind II
I断片を含んでいる。Hind III断片の完全配列並びに組
換えHSAのアミノ酸配列を図7に示す。分泌シグナルを
全く含まずにMet−HSA構造遺伝子を含むHind IIIカセッ
トは、合成オリゴデオキシヌクレオチドの プラスミドをもちいて、pXL276のM13派生体を突然変異
させることを除いて同じ操作で構築される。完全Met−H
SAコード配列をpUC8中に再構築すると、プラスミドpXL8
69と同じ方法で、プラスミドpXL868が得られる。
実施例2 酵母クローニングベクターの構築 E.2.1 プラスミドpKD1の分離精製 プラスミドpKD1はK.ドロソフィラムのUCD51−130株
(U.C.D.コレクション、カリフォルニア大学、Davies,C
A 95616)の後期対数期培養から、Fleer等の方法(Mol.
Cell Biol.(1987)1180−1192)から導かれる以下の
方法に従って精製することができる。YPD培地(1%酵
母エキス、2%バクト−トリプトン(Difco)、2%グ
ルコース)1リットルで培養したものを遠心し、洗浄
し、1.2Mソルビトール溶液に再懸濁し、細胞をザイモリ
アーゼ(300μg/ml)、25mM EDTA、50mMリン酸塩、およ
びβメルカプトエタノール(1μg/ml)の存在下でスフ
ェロプラストにする。1.2Mソルビトール溶液で洗浄した
後、スフェロプラスト(試験管当たり、元の培養液250m
lに相当する量)を1.2Mソルビトール2.5mlに再懸濁し、
25mMトリス−HCl、50mMグルコースおよび10mM EDTAを含
む同量の緩衝液(pH8.0)を加える。それ以後の工程
は、DNA沈殿をイソプロパノール14mlを加えて23℃で15
分間行う以外は、既に述べたアルカリ溶解法(Maniati
s,T.et al.,“Molecular Cloning;a Laboratory Mannua
l",Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbo
r,N.Y.,1982)に対応する。得られた物を0.5M NaCl、0.
5%ザルコシル、25mM EDTAからなる溶液中で、RNase(5
0μg/ml)で37℃20分間処理し、ついで60℃1時間プロ
テイナーゼK(150μg/ml)で処理する。エッペンドル
フマイクロ遠心機で遠心したのち、上清をエタノールで
−70℃10分間処理して沈殿させる。ペレットを溶解し、
DNAを臭化エチジウムの存在下でCsCl密度勾配心で精製
する。
E.2.2 プラスミドpCXJ1の構築 構築中間体pUC−URA3(図8)は、プラスミドpUC19
(Yanisch−Perrron,C.et al.,Gene 33(1985)103−11
9)のただ1つのNar I部位にS.cerevisiaeのURA3遺伝子
を含む1.1kbのHind III断片が挿入されたものである。H
ind III断片は、プラスミドpG64(Gerbud,C.et al.,Cur
r.Genet.(1981)173−180)をHind IIIで断片し、E.
coli DNAポリメラーゼIのクレノウ断片で処置して平滑
末端にしたものである。このURA遺伝子を含む1.1kbの断
片を精製し、予めNar Iで断片してからE.coli DNAポリ
メラーゼIのクレノウ断片で処理しておいたuPC19に挿
入する。従ってpUC−URA3プラスミドは、プラスミドを
大腸菌中で保持するための複製起点、E.coliを形質転換
するためのアンピシリン耐性マーカー、ポリリンカー
(EcoR I,Sac I,Kpn I,BamH I,Xba I,Sal I,Sph I,Hind
IIIを1つづつ)を持ったLacZ遺伝子、およびK.lactis
のuraA変異株における選択マーカーとして働くS.Cerevi
siaeのURA3遺伝子、とを含む。
プラスミドpCXJ1(図9)はpUC−URA3の唯一のAat II
部位に挿入されたプラスミドpKD1の完全配列を持ってい
る。この構築体は、EcoR I部位でpKD1で切って直線にし
てから大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片で処理
し、予めAat IIで切断しT4DNAポリメラーゼで処理したp
UC−URA3と連結した。これらの2つの断片を連結する
と、EcoR I制限部位が再構築される。プラスミドpKD1の
E.coR I部位にpUC−URA3のDNAを挿入してもプラスミド
安全性及びコピー数の保持に必要とされる遺伝子をどれ
も失活させることはない(E.coR I部位は遺伝子BのATG
コドンから205ヌクレオチド上流にある(Chen.X.J.et a
l.,Nucl.Acids Res.14(1986)4471−4481)。
結果として、K.lactisのuraAclr゜細胞を高頻度で形
質転換するプラスミドpCXJ1は1細胞当たり約70から100
コピーまで増幅し、選択圧がなくても安定に保持され
る。pUC−URA3由来の複製起点のため、pCXJ1は大腸菌中
でも複製することができるので、プラスミド構築及び精
製工程が容易になる。プラスミドpCXJ1の外来DNAを挿入
するのに用いることができる特定の部位はpUC19ポリリ
ンカーに由来するHind III及びSal I部位である。
E.2.3 K.lactis Pk1プロモーターとTn903の3′−アミ
ノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子間の融合
体の構築 K.ラクチス及び他のクルベロミセス種を形質転換する
ためのベクターとしてpCXJ1を使用できるのは、独立栄
養マーカーとして染色体のuraA突然変異を有する菌株に
限定される。そこでクルベロミセスの野生型工業用菌株
を形質転換できるように、我々は優性抗生物質耐性マー
カーとして、細菌トランスポゾンTn903の3′−アミノ
グリコシドホスホトランスフェラーゼ(aph)遺伝子を
選択し、pCXJ1を挿入した。aph遺伝子は大腸菌でカナマ
イシン耐性を与え、野生型酵母菌株で発現させると、細
胞増殖を強力に阻害する抗生物質G418(ゲンチシン)に
たいして耐性を与える(Jimenez,A.and Davis,J.,Natur
e 287(1980)869−871)。K.ラクチスでaph遺伝子を十
分強力に発現させるためにはaph遺伝子の細菌性転写シ
グナルはK.ラクチスのキラープラスミドk1から分離され
たORF1プロモーター(PK1)に置き換える。
Pk1−aph融合体の構築は、数工程を経て行う(図10−
12)。まず、プラスミドpk1の1.5kb Sca I−Pst I断片
をpBR322にひとつずつしかないSca IとPst I部位間にサ
ブクローン化し、アンピシリン感受性かつテトラサイク
リン耐性組換えプラスミドをpK1−PS1535−6を名付け
る(図10)。1.5kbのSca I−Pst Iサブクローン断片は
線状キラープラスミドの一方の末端に由来し、プラスミ
ドk1の持つORF1の5′側の半分とその上流の約220塩基
対を含む(Sor,F.and Fukuhara,H.,Curr.Gent.9(198
5)147−155)。Sca I部位はk1の左末端から22塩基目に
あるので(図10)、1.5kbのSca I−Pst I断片はおそら
くORF1(Pk1)のプロモーター領域を全部含む。pK1−PS
1535−6をDde Iで消化すると、その一方の末端(Sca I
の近く)にpBR322由来の17pbを、もう一方の末端にORF1
の最初の11コドンを有する266bp断片が生じる。大腸菌D
NAポリメラーゼIのクレノウ断片で処理したあと、精製
断片をプラスミドpUC−kan1のただ1箇所のXho I部位に
挿入する(図11)。プラスミドpUC−kan1はTn903に由来
するaph遺伝子を含む1.25kbのEcoR I断片(Kanamycin r
esistant gene blockTM,Pharmacia)のpUC19の単一EcoR
I部位に挿入して作られた。プラスミドpUC−kan202
は、pUC−kan1をXho Iで消化した後、S1ヌクレアーゼで
軽く消化して末端を平滑にし、ついで大腸菌DNAポリメ
ラーゼIのクレノウ断片で平滑末端にしたpk1−PS1535
−6のDde I断片と連結して得られる(図11)。この構
築体は線状プラスミドk1のORF1遺伝子の最初の11アミノ
酸とTn903のaph遺伝子の5′側が短くなったものとの読
み取り枠を合わせた融合を可能にする。実際、ORF1とap
hとを融合すると、aphの12番目のコドン(AGG)が元に
戻るので、aphの最初の11アミノ酸がORF1の最初の11ア
ミノ酸で置き換えられた。Pk1−aph融合に用いられたOR
F1のプロモーターの完全配列はaphをコードする構造遺
伝子の開始部とともに図12に示す。
E.2.4 プラスミドpKan707の構築 プラスミドpKan707(図13)は上述したプラスミドpCX
J1の誘導体である。これはプラスミドpCXJ1をHind III
で切断し、ついで大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断
片で処理し、この平滑末端を持つ直線化プラスミドと、
Pk1−aph融合体を含んでいるpUC−Kan202プラスミドに
由来する1.2kb Sca I−Hinc II断片とを連結することに
よって構築される(図13)。pUC−Kan202をSac IとHinc
IIで消化すると、当初の細菌プロモーターを含んでい
ない、平滑末端のカナマイシン耐性カセットが得られる
のである。得られたプラスミドpKan707は、G418に対す
る極めて高い耐性(>2.5g/)をK.lactis株に付与す
る。pCXJ1のばあいとおなじように、プラスミドpKan707
は高頻度でK.lactis cir0株に導入することができ、細
胞当たり70−100コピーにまで増え、選択圧なしで安定
に保持することができる(図14)。ほとんどのクルベロ
ミセス株がG418に対して高い感受性を示すことと、工業
的菌株を効率よく形質転換できる優性マーカーを有する
ため、pKan707はクルベロミセス属の酵母用のきわめて
有用なクローニングベクターである。
実施例3 酵母におけるアルブミンの発現及び/または
分泌カセットを含む発現ベクターの構築 E.3.1 S.cerevisiaeのPGKロモーターの制御下でのMet
−HSA及びプレプロHSAの発現カセットの構築 プラスミドpYG12(図15)は、S.cerevisiaeのPGK遺伝
子のプロモーター及びターミネーター領域からなる1.8k
bのSal I−BamH I制限断片を含む。この断片は3.0kbのH
ind III遺伝子断片から、翻訳開始コドンATGと翻訳の終
了を指定するTAAから30コドン上流に位置するBgl IIと
の間の領域からなる構造遺伝子に相当する1.2kbの断片
が欠失しているものである(Mellor,J.et al.,Gene 24
(1983)1−14)。これによって得られる1.8kb断片に
隣接するHind III部位を破壊し、プロモーターの上流は
Sal I部位で、PGK転写ターミネーターの下流はBamH I部
位でそれぞれ置き換える。ついでHind III部位をプロモ
ーターとターミネーターの連結部に挿入する。この部位
はただ1つであるため、異種遺伝子の導入が容易であ
る。この領域のヌクレオチド配列は図15に示す。ついで
プラスミドpXL868(E.1.3参照)由来のMet−HSAをコー
ドする1.8kbのHind III断片をプラスミドpYG12のHind I
II部位を導入して組換えプラスミドpYG10を得る。同様
の方法でプラスミドpXL869由来のプレプロHSAをコード
するHind III断片(E.1.3参照)をプラスミドpYG12に挿
入してプラスミドpYG11を作成する(図15)。結果とし
て大きさが約3.6kbの2つのSal I−BamH I発現カセット
が構築され、これはS.セレビシエのPGK遺伝子プロモー
ター、それに続くMet−HSAあるいはプレプロHSAをコー
ドする遺伝子、最後にmRNAのポリアデニル化部位を含む
領域であるPGK遺伝子の転写ターミネーター(Tpgk)に
相当する領域、を有する。
E.3.2 発現プラスミドpYG19、pYG23、pYG221の構築 上述した発現カセットをベクターpKan707に導入する
ために、まずプラスミドpYG10およびpYG11由来の3.7kb
のSal I−BamH I断片をプラスミドpIC−20R(Marsh,L.e
t al.,Gene 32(1984)481−485)の対応する部位にサ
ブクローン化した。この方法でプラスミド構築体のpYG1
8(プレプロHSA)、pYG22(Met−HSA)を得る。これら
の構築中間体はSal I−Sac I制限断片の形でPPGK/met−
HSA/TPGKおよびPPGK/prepro−HSA/TPGK発現カセットを
生じる。これらの断片は、pKan707の対応する部位に直
接挿入することができる(図17)。pKan707をSal IとSa
c Iで消化するとURA3マーカーとpKD1の遺伝子Bの上流
にある35bp断片が欠失する。こうして得られたpYG19(p
repro−HSA)(図18)、およびpYG23(met−HSA)と呼
ぶ構築体は、PPGK/HSA/TPGK発現カセット、K.deosophil
arumプラスミドpKD1のほとんど完全配列、E.coli中での
自律増殖を可能にする配列及び、アンピシリン存在下で
大腸菌の選択を、G418の存在下でK.lactisの選択をそれ
ぞれ可能にするβラクタマーゼと3′−アミノグリコシ
ドホスホトランスフェラーゼをコードする遺伝子(Pk1
プロモーターの制御下で)とからなる。
またプラスミドpKan707のURA3遺伝子を保持するHSA分
泌ベクターも構築された。図19Aに示すように、プラス
ミドpYG208は、BamH I/Sal Iアダプター(5′−GATCCG
TCGACG−3′)をPGKターミネーターの下流に挿入する
ことによりプラスミドpYG12から誘導される。プレプロH
SAをコードするHind III断片は、電気溶離によりプラス
ミドpXL869(prepro−HSA)から精製され、ベクターpYG
208のHind III部位に正しい配向でクローニングしてプ
ラスミドpYG210を作る:こうしてできたSal I発現カセ
ット(PGKプロモーター/プレプロHSA/PGKターミネータ
ー)で、電気溶離により精製し、プラスミドpKan707のS
al I部位にクローニングして発現プラスミドpYG221A及
びpYG221Bを作る(図19B)。これらは、ベクターpKan70
7におけるSal I発現カセットの向きだけが異なる。プラ
スミドpYG221Bにおいては、G418に対する耐性をコード
するKmr遺伝子との関係でみたSal I発現カセットの向き
は、プラスミドpYG19が有するSal I−Sac I発現カセッ
トの向きと同じである。
E.3.3 ATGとの関係が最適なPGK/LACハイブリッドプロ
モーターの構築 発現プラスミドpYG19に存在するPGKプロモーターの誘
導性の派生体を得るために、PKGプロモーターのUASをK.
ラクチスのLAC4プロモーターに由来するUASと置き換え
た(Breunig,K.D.et al.,Nucl.Acid Res.12(1984)232
7−2341)。この目的のために、PGKプロモーターを有す
るpYG12のSal I−Hind III断片をバクテリオファージM1
3p18にクローニングし、構築体pYG14を得た(図20)。
上に述べたプロトコルに従い、部位特異的突然変異誘発
を経て、2つのNot I部位をPGKプロモーター領域に導入
した。この目的に使用された合成オリゴヌクレオチド
は、 これにより、全部で4つの塩基対の変化(下線)で部位
−397、−399、−536、−541に導入された(ATG開始コ
ドンを+1として;図21)。この方法で得られた2つの
Not I部位(太字)はUASPGKの2つの機能的に異なるド
メイン(図21AのA及びM)を有することが予めわかっ
ているPGKプロモーター領域(Stanway,C.et al.,Nucl.A
cids Res.15(1987)6855−6873)に隣接している。こ
のPGK誘導体を酵素Not Iで切断してUASPGKを欠失させ、
そこをPGKプロモーターに関しどちらかの向きでクロー
ニングされた両側にNot I部位を持つ合成UASPGKに置き
換える(図22)。UASLACは、ハイブリダイゼーションと
それに続く以下の4種のオリゴデオキシヌクレオチドの
連結によって得た。
かっこ内の数字は野生型LAC4プロモーターのATGコド
ン(+1)に対する各オリゴデオキシヌクレオチドの位
置を示す(Breunig,K.D.et al.,Nucl.Acid Res.12(198
4)2327−2341)。−328位から−435位にわたる領域はL
AC4プロモーターの3つのUASエレメントのうちの最初の
エレメントを含んでいることがわかっている(Breunig,
K.D.et al.,5th Internat.Sympos.Genet.Industr.Micro
organ.(1986)Alacevic M.et al.,(eds.)551−560;L
eonardo,J.M.et al.,Mol.Cell.Biol.(1987)4369−4
376)。太字で印刷された文字は、K.lactisのLAC4遺伝
子のUASに隣接する2つのNot I部位の一部であり、Sq52
5に相補的なSq527のジャンクション配列は下線が引いて
ある。
高度に発現されている真核生物の遺伝子の開始コドン
ATGの近接のヌクレオチド配列は翻訳開始効率に影響を
及ぼすと考えられるので(Kozak,M.,Microbiol.Rev.47
(1983)1−45;Hamilton,R.et al.,Nucl.Acid Res.15
(1987)3581−3593)、PGKプロモーターのATGとの関連
は次のように改変される。部位特異的突然変異誘発によ
り、pYG26が持つPGKプロモーターの−25位にHind III部
位(太字)をつけ加え、pYG29を得る(図20)。この実
験に用いられる合成オリゴデオキシヌクレオチドは、 である。ついで上述したUASLac断片をpYG29のNot I部位
にクローン化し、プラスミドpYG63−1とpYG63−2を得
た(図22)。得られたプラスミドのPGK/LAC4ハイブリッ
ドプロモーター領域をSal I−Hind III断片として精製
し、次の2つの相補性オリゴデオキシヌクレオチドから
なる合成Hind III/BstE IIアダプターに連結した。
このアダプターは野生型PGKプロモーターのすぐ上流
の22塩基対を再構成し(図21B)、プレプロHSA構造遺伝
子の天然に存在するBstE II部位までの最初の4つのコ
ドンを含んでいる。ついでこの方法で得たSal I−BstE
II断片(ATG開始コドンとの関連で最適のPGK/LAC4ハイ
ブリッドプロモーターを含んでいる)で、構築したpYG1
8(図16)の対応する制限断片(変異させてないPGKをも
っている)を置き換えた。この方法で、PGKプロモータ
ーに関してUASLacの向きが違っているだけの2つの構築
中間体が得られた。これらの新しい構築体を用いてSal
I−Sac I発現カセットを作成し、pKan707の対応する制
限部位にクローン化し、プラスミドpYG44−5及びpYG44
−7を得た(図23)。これらのプラスミドは、UASLac
含んでいる合成Not I断片がpYG44−5では野生型の方向
であり、pYG44−7においては反対方向であることを除
いては同遺伝子型である。
E.3.4 S.セレビシエのPHO5プロモーターの制御下での
プレプロHSA分泌のためのベクターの構築 ベクターpEPHO(図24)はS.セレビシエの酸性ホスフ
ァターゼ遺伝子(PHO5)のプロモータ及びタミネーター
領域を含む0.94kbのBamH I−Pst I制限断片を含む。こ
の断片は、2.03kbのゲノムBamH I−Pst I断片(Bajwa,
W.et al.,Nucl.Acid Res.12(1984)7721−7739)からP
HO5構造遺伝子を欠失させることにより誘導される。こ
の欠失は−3位(ATG開始コドンを+1として)から+1
109(TAGターミネーターコドンの上流に位置するSau3A
部位)までである。ポリリンカーEcoR I/Sma I/BamH I
は、プロモーターとターミネーターの間に連結部に挿入
され、異種遺伝子導入のクローニング部位として用いる
ことができる。PHO5プロモーターとこのポリリンカーの
間の結合を以下に示す(下線部はポリリンカーに対応す
るヌクレオチド配列)。
HSA遺伝子がPHO5プロモーター制御下及びPGK遺伝子の
非翻訳リーダー領域下で発現されるような構築体を得る
ために、Hind III部位をプラスミドpEPHO由来PHO5プロ
モーター断片の−20位に導入した。この目的のため、pE
PHOの0.83kbのSal I−EcoR I断片をバクテリオファージ
M13mp9のポリリンカー中にサブクローン化し、得られた
一本鎖鋳型(pYGRF3)は、突然変異誘発プライマーとし
てオリゴデオキシヌクレオチド (Sq487:誘導されたHind III部位は太字で表す)を用い
て突然変異させて、プラスミドpYGRF4を得た(図24)。
異なったプロモーター及び/またはターミネーターを持
つ種々の発現カセットの構築を容易にするために、大腸
菌ポリメラーゼIの大フラグメント(クレノウ)で粘着
末端を処理することによりポリリンカーのHind III部位
が破壊されたプラスミドpIC−20Rの誘導体を作成した
(図16参照)。この新しいクローニングベクター(pIC
−20RΔH3)を用いて、プラスミドpYG12のSal I−Hind
III断片(図15参照)(PGK遺伝子のプロモーターとター
ミネーター領域を有する)を導入し、プラスミドpYG61
を作った。Sal I−Hind III断片としてプロモーターモ
ジュールを、Hind III−BamH I断片としてターミネータ
ーモジュールを用いることにより、どのような転写開始
−終了シグナル(そのあいだに発現させる構造遺伝子が
Hind III制限断片としてクローン化されている)の組合
せをもつ発現カセットでも作ることができる。これらの
構築中間体を酵素Sal IとSac Iで切断すると、酵母のク
ローニングベクターpKan707の相当部位に新しい発現カ
セットを導入することができる(図17及び18)。
基本的な戦略に従い、pYGRF4のSal I−Hind III PGK
プロモーター断片を、PHO5プロモーターを持っているpY
GRF4のSal I−Hind III断片に置き換えることができ
る。ここにプラスミpYG44−5からHind III断片として
単離されたプレプロHSA構造遺伝子を挿入し、得られた
発現カセットをSal I−Sac I断片としてプラスミドpKan
707に移すと、分泌ベクターpYG51が得られる(図23)。
このプラスミドは従って、(全転写開始部位全部を含
む)−17位までのS.セレビシエのPHO5プロモーター(Ru
dolph,H.and Hinnen,A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(1
987)1340−1344)(図25)と、それに続く21bpの非翻
訳PGKリーダー配列、プレプロHSA構造遺伝子、最後にPG
Kターミネーターとを持っている。
E.3.5 K.ラクチスのLac4プロモーターの制御下でHSAを
分泌するベクターの構築 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Mullis,K.B.and
Falooa F.A.,Meth.Enzym.155(1987)335−350;Saiki
R.K.et al.,Science 230(1985)1350−1354)を用い
て、K.ラクチスのLAC4プロモーターをSal I−Hind III
制限断片として酵母ゲノムDNAから増幅した。Taq−ポリ
メラーゼ反応に対する鋳型としてCBS2359株から単離し
た全ゲノムDNAを、プライマーとして以下の合成オリゴ
デオキシヌクレオチドを使用した(K.ラクチスのLAC4プ
ロモーターの上流及び下流に導入されたSal I及びHind
III部位は太字で表す)。
これらプライマーの設計は既にLeonardo,J.M.et al.,
(Mol.Cell.Biol.,(1987)4369−4376)によって発
表されたLAC4配列に基づいている。こうして得られたSa
l I−Hind III制限断片は、、−1198から−1位までのL
AC4プロモーター領域(ATG開始コドンを+1とする)を
含んでいる。増幅されたものは酵素Sal IとHind IIIと
で処理して、プラスミドpYG61中にクローン化した(E.
3.4参照)。そのヌクレオチド配列はジデオキシ鎖終結
法(Sanger,F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74(197
7)5463−5467)を用いて確認した。
前節で説明した一般的方法に従い、pYG404と呼ぶpKan
707の誘導体が1つ得られた(図23)。この中ではプレ
プロHSA遺伝子は、ラクトース−ガラクトース通すで誘
導されるK.ラクチスのLAC4プロモーターの制御下で発現
される。この特別な構築体のHSA開始コドンのすぐ上流
にある配列は、プラスミドpYG44−5に由来し(Hind II
I断片として)、従ってPGK遺伝子の非翻訳リーダー配列
を含んでいる(図3.3)。
E.3.6 S.セレビシエのPGKプロモーター制御下及びK.ラ
クチスのキラートキシン分泌シグナル下のHSA分泌ベク
ターの構築 2組の相補性オリゴデオキシヌクレオチドを用いて、
以下の要素を含むHind III−Dar I断片を再構成した。
(i)PGKプロモーターのATGに隣接する21bp、(ii)K.
ラクチスのプラスミドk1からのキラートキシン遺伝子の
分泌シグナル配列(“プレ”領域)(Stark,M.J.R.and
Bayd,A.,EMBO J.(1986)1995−2005)、および(ii
i)キラートキシンプレ領域に読みとり枠を合わせて融
合した、プロHSAのはじめからN末端側Dra I部位までの
17アミノ酸。この構築に使用される4種のオリゴデオキ
シヌクレオチドは次の通りである。
太字で印刷された文字はこの実験で用いられたHind I
IIとDra I部位の一部である;Sq997に相補的なSq1000の
連結配列は下線を引いてある。
オリゴデオキシヌクレオチドSq996及びSq998をリン酸
化した後、二重鎖Hind III−Dra I断片が図26に示す手
順に従って作られた。この130bpの断片はゲル電気泳動
により精製し、1.04kbのDra I−Xba I断片に連結され
た。このDra I−Xba I断片はプラスミドpXL896から単離
されたHSA構造遺伝子の一部を含んでいる(図6参
照)。こうして得られたHind III−Xba I断片はバクテ
リオファージM13mp10中にクローン化されて構築体pYG56
(図26)が生じる。この中間体の正確なヌクレオチド配
列はジデオキシ配列法により確認した。
次に全プレプロ−HSA構造遺伝子は次の3つのエレメ
ントの連によって再構成することができる。(i)今説
明したばかりのpYG56構築体から誘導される1.17kbのHin
d III−Xba I断片、(ii)HSA遺伝子のカルボキシ末端
側の半分とPGKターミネーター領域を含むpYG18のXba I
−BamH I断片(図16参照)、及び(iii)プラスミドpYG
62のBamH I−Hind III断片。このpYG62プラスミドは構
築体pYG61(E.3.4節参照)の誘導体で、PGKプロモータ
ーを含むSal I−Hind III断片がプラスミドpYG29由来の
相当する制限断片に置き換えられているものである(図
20)。従って、この構築に用いられるプラスミドpYG62
のBamH I−Hind IIIは大腸菌の複製起点、アンピシリン
耐性遺伝子及び−25位にHind III部位が導入されたPGK
プロモーターを含んでいる(E.3.4参照)、得られたpIC
誘導体はpYG57と命名された。このpYG57プラスミドから
得られるSal I−Sac I断片は、酵母クローニングベクタ
ーpKan707の対応する部位にクローニングされ、発現ベ
クターpYG58が得られた(図23)。
E.3.7 PGK/プレプロHSA分泌カセットをK.ラクチスのRA
G2座に導入するための組込ベクターの構築 M.Wesolowski−Louvel博士(Institut Curie,フラン
ス、Orsay)の恵与によるプラスミドp31/RAG2:URA3(図
27)は、K.ラクチスのホスホグリコースイソメラーゼを
コードしている可能性の高いRAG2構造遺伝子のプロモー
ター及びN末端領域を含む2.3kbのゲノム性Nhe I断片を
含んでいる(Wesolowski−Louvel,M.et al.,Nucl.Acid
Res.,16(1988)8714)。プラスミドp31/RAG2:URA3は、
S.セレビシエのURA3遺伝子を有するプラスミドpCXJ1
(図9)由来の1.6kbのEcoR I断片をRAG2プロモーター
のEcoR I部位に挿入することによって構築されたもので
ある。こうして得られた3.9kbのNhe I断片をプラスミド
PBR322の単一Nhe I部位にクローン化した。
プラスミドpYG18(図18)を制限酵素EcoR V及びSma I
で切断することによって我々は酵母用分泌ベクターpYG1
9(図18)を用いられたのと同じPGK/prepro−HSA発現カ
セットを含む3.7kb断片を得た。このカセットをプラス
ミドp31/RAG2:URA3の単一Sma I部位(URA3マーカー遺伝
子の3′に位置する)に挿入してプレプロHSA発現カセ
ットの向きが異なるpYG60−21とpYG60−5とを構築した
(図27)。
プラスミドpYG60−21およびpYG60−5を酵素Nhe Iで
切断することによって我々はHSA発現カセットとRAG2に
由来する配列に囲まれたURA3マーカー遺伝子を含む7.7k
b断片を作成した。これらのRAG2由来配列は、同種組換
えによりK.ラクチスのMW98−8C株のRAG2座に断片全体を
組み込む働きをする(Rothstein,R.J.,Methods in Enzy
mol.101(1983)201−211)。RAG2座への組込はサザン
分析により試験した6個の組込体のうち3つで確認され
た(MW98−8C::60−5の組込体クローン#6、MW98−8
C::60−21組込体クローン#7、#9)。残りの3つの
組込体は、RAG2以外の座に組み込まれたHSA発現カセッ
トを1つもつもの(MW98−8C::60−5の組込体クローン
#8、MW98−8C::60−21の組込体クローン#11)と2つ
持つもの(MW98−8C::60−5の組込体クローン#4)で
あることが見出された。確認された組込体6個全部につ
いてHSAの分泌について試験した。
実施例4 HSAを発現するプラスミドによるクルベロミ
セス種の形質転換 E.4.1 形質転換操作 K.ラクチスMW98−8C株(α,uraA arg lys K+ pKD1
゜)の形質転換は、Hinnen等(Hinnen,A.et al.,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 75(1978)1929−1933)のスフェロ
プラスト形成法を適当に改変した方法、あるいは酢酸リ
チウムで全細胞を処理する方法(Ido,H.,et al.,J.Bact
eriol.153(1983)p.163−198)によって行った。これ
らはポリエチレングリコール(PEC4000,Sigma)の存在
下でDNAの取り込みを容易にする。なかでも以下に述べ
るクルベロミセスの形質転換株はもっぱら酢酸リチウム
処理によって得られた。
菌株MW98−8Cは、ブタペスト条約の規定に従って、オ
ランダ国BaarnのCentraalbreau voor Sckimmelkulturer
en(CBS)に、1988年9月16日にCBS579.88という番号で
寄託された。
スフェロプラスト形成に関する改変法は既に記載され
ている(Bianchi,M.,et al,Curr.Genet.12(1987)185
−192)。酢酸リチウムを使う方法では、細胞の培養は2
8℃、50mlのYPD培地中で振とうしながら600nmにおける
光学濃度(OD600)が0.6と0.8の間になるまで行う。細
胞を低速遠心で集め、滅菌TE溶液(10mM Tris−HCl,pH
7.4,1mM EDTA)で洗浄し、3−4mlの酢酸リチウム溶液
(TE中0.1M)に再懸濁して細胞濃度を約2x108細胞/mlと
し、穏やかに攪拌しながら30℃で1時間インキュベート
する。
このコンピテント細胞の懸濁液を0.1mlずつに分け、D
NAと最終濃度35%のPEG400の存在下で30℃1時間インキ
ュベートする。42℃5分間の熱ショックを加えた後、細
胞を滅菌水で2回洗い、0.2mlの滅菌水に再懸濁し、10m
lの試験管に移す。46℃で溶融状態に保った0.7%の寒天
を含むYPD培地5mlをこれに加え、混合物を速やかにYPD
平板培地上に流しいれる。固化後、5mlの上層寒天をさ
らに加える。28℃18から24時間のインキュベーション後
に、0.16mlのG418(Geneticin 50mg/ml,GIBCO,米国ニュ
ーヨーク州、Grand Island)溶液を平板上にひろげ、28
℃でさらに4、5日インキュベートした後に形質転換株
の数を数える。YPD+G418平板上に直に(上層寒天なし
に)細胞を播くと、形質転換K.ラクチスの大きいコロニ
ーが出現する。しかし、コロニーを観察するには低濃度
のG418(最終濃度50μg/ml)を使用しなければならず、
非形質転換株に由来する部分的にG418に耐性の変異株を
選択してしまうことにつながる。さらに、この形質転換
効率は耐性遺伝子の形質発現を18から24時間行わせた後
に認められる形質転換効率の十分の1以下である。
E.4.2 pKD1由来HSA発現プラスミドの非選択増殖条件下
での細胞分裂安定性 異なる時間間隔で非選択培地で生育させた後、プラス
ミドpYG19及びpYG23の細胞分裂安定性を測定する。開始
時及び最終時における200μg/mlのG418を含むYPDプレー
トで生育する細胞の%の比として表す。図28に示すよう
に、両プラスミドは異種遺伝子を高レベルで発現してい
るにも係わらず、非常に安定である。菌株MW98−8Cの形
質転換株を非選択培地で40世代増殖させた場合、細胞の
40〜45%はこれらプラスミドを保持している。プラスミ
ドpYG19はK.ラクチスCBS683中においてさらに高い細胞
分裂安定性を示し、非選択的に40世代増殖した後でも80
%以上の細胞がプラスミドを保持している。
E.4.3 K.ラクチスMW98−8CのpYG19及びpYG23形質転換
体:HSAの発現及び分泌 プラスミドpYG19(プレプロHSA)及びpYG23(Met−HS
A)を有するK.ラクチスMW98−8C細胞の発現と分泌レベ
ルは、細胞を非選択YPD培地中28℃で常時攪拌しながら
経時的に測定した。細胞が混入する可能性を完全に除外
するために、2回続けて遠心分離して(Kontron Harmle
Z−365 K遠心機で4000rpmで5分、次に12000rpmで10
分)、培養上清を得る。2回目の上清のサンプル(0.5m
l)を0.125Mトリス−HCl、20%グリセロール、10%2−
メルカプトエタノール(β−ME)、4.6%ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)、及び0.4%ブロモフェノールブルー
を含む同量のサンプルバッファーの存在下95℃で15分間
加熱する。この上清に存在するタンパク質を濃縮したい
場合には、100%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)0.4mlを
上清8mlに加え、氷上に1時間おいてタンパク質を沈降
させる。この沈殿物を15000rpmで20分間遠心して回収し
た後、63mMトリス−HCl、10%グリセロール、5%β−M
E、2.3%SDS及び2.2%ブロモフェノールブルーを含むサ
ンプルバッファ0.5ml中で95℃15分間加熱して再溶解す
る。
アルブミンの細胞内発現は、次のように調製した細胞
抽出液を用いて検出する。0.25mlに相当する細胞のペレ
ット(生理食塩緩衝液で1回洗浄)を、氷上においてお
いた同量の溶解バッファー(67mMリン酸塩、pH7、5mMβ
−ME、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、
2μMロイペプチン及び2μMペプスタチンA(シグ
マ))に再懸濁する。4℃でリン酸緩衝液(67mM、pH
7)中で保存してあるジルコニウムビーズ(直径0.5mm)
0.5mlを加えた後、細胞破壊機(Biospec Mini Bead−be
ater,Biospec社の製品)を用い、30秒間の破壊−氷上で
2分間冷却のサイクルを7回繰り返して、細胞を破壊す
る。この条件下で細胞破壊の効率は位相差顕微鏡で細胞
を計数して判断した場合90%以上である。ジルコニウム
ビーズを含まない液体画分をエッペンドルフ管に移し、
ビーズを溶解バッファー0.2mlで3回洗浄した液も同じ
エッペンドルフ管に入れる。この管を4℃で15分間、12
000×gで遠心して可溶性タンパク質画分(上清)と不
溶性タンパク質画分(ペレット)とはこうして分ける。
これら2つの画分を分けて希釈して最終的に同量になる
ようサンプルバッファ中に溶解する。これらの試料を95
℃15分間加熱し、5%濃縮ゲルを上においた8.5%SDSポ
リアクリルアミドゲル上に重層する。ついでブロモフェ
ノールブルーがゲルの底部に達するまで25mAの電流を流
す。
図29は、プラスミドpYG19(プレプロHSA)、pYG23(M
et−HSA)、pYG25(発現カセットを含まないベクター)
で形質転換したK.ラクチスMW98−8Cを用い、G418を含ま
ないYPD培地50ml中で28℃68時間生育させた後に得られ
た、アルブミンの発現及び分泌を評価することができる
典型的な実験結果を示す。各サンプルは元の培養液100
μlに相当し、8.5%ポリアクリルアミドゲルで泳動し
た後クーマシーブルーで染色した後、可溶性画分、不溶
性画分及び培養上清を比較することができる。分子量の
標準としての市販のヒトアルブミン(シグマ)と同じと
ころに泳動するタンパク質のバンドは、プラスミドpYG1
9又はpYG23で形質転換された細胞からの試験中には検出
されるが、HSA遺伝子を含まないベクターpYG25を含む細
胞には認められない。プラスミドpYG19(プレプロHSA)
を用いて発現されるアルブミンはすべてが培養上清に分
泌されるが、pYG23(Met−HSA)を用いて産生されるア
ルブミンはすべて不溶性細胞質タンパク質画分に存在す
ることが注目される。さらに図29の結果は、相当量存在
する細胞外タンパク質はプラスミドpYG19を含む細胞が
分泌するアルブミンだけであることを示す。プラスミド
pYG19で形質転換され適当な条件下(E.4.6の項参照)で
生育したMW98−8Cのフラスコ振とう培養の上清では、ア
ルブミン濃度は150mgHSA/リットルに達する。
E.4.4 K.ラクチスによって産生されるアルブミンの免
疫学的検出 標準アルブミンと一緒に泳動する酵母タンパク質の素
性は、免疫学的検出法で試験できる。このためにポリア
クリルアミドゲルからニトロセルロースフィルター(Sc
hliecher and Schuell,0.45μm)へのブロッティング
を25mMトリス塩基、150mMグリシン及び10%メタノール
を含むトランスファバッファ中セミドライブロッティン
グ装置(Biometra)を用いて行う。ブロッティング時間
は、ゲル面1平方センチ当たり約0.85mAの電流を用い
て、30分間である。ブロッティング後、フィルターを緩
衝液A(PBS緩衝液(137mM NaCl,2.7mM KCl,4.3mM Na2H
PO4)中5%スキムミルク末、0.2%Tween20)で5分間
インキュベートした後、1:1000に希釈したHSAに対する
ウサギポリクロナール抗体を含む緩衝液A40ml中で30分
間インキュベートするサイクルを3回繰り返す。緩衝液
Aでフィルターを3回すすいだ後、ウサギ抗体を認識す
る2番目のビオチニル化抗体(Vectastain ABC Immuno
Peroxidase Kit,Vector Laboratories)を緩衝液A50ml
について1滴を基準として加える。フィルターを30分間
インキュベートした後、フィルターを緩衝液B(PBS中
0.2%Tween20)で3回すすいだ後、アビジンDH/ビオチ
ニル化ペルオキシダーゼHの複合体の存在下でインキュ
ベートする。アビジン/ビオチニル化ペルオキシダーゼ
複合体は使用直前に、23℃で30分間インキュベート後キ
ットの試薬AとBの各1滴を5mlの緩衝液Bで希釈して
調製する。緩衝液Bで1:10に希釈した複合体(全部で50
ml)中でフィルターを30分間インキュベートする。フィ
ルターは緩衝液Bで3−5分間すすぎ、0.02%H2O2を含
む溶液10mlと、0.1Mトリス−HCl pH7.4中ジアミノベン
ジジン1mg/mlと0.4mgのNiCl2を含む溶液10ml中で2〜3
分間発色させる。図30はK.ラクチスMW98−8Cが抗HSAポ
リクローナル抗体によって認識されるタンパク質を発現
し(pYG23)、分泌する(pYG19)ことを示す。この抗原
物質は、発現カセットを含まないベクターで形質転換さ
れた酵母の細胞抽出液や培養上清中には検出されないの
で、アルブミン発現カセットの存在と本質的な関係があ
る。
E.4.5 HSA分泌の動態 図31Aに示すように、アルブミンの分泌は三角フラス
コ中では比較的起こるのが遅い。105細胞/mlで接種して
から70〜100時間インキュベートした後に最大排出レベ
ルに達すると思われる(図31B)。培養100〜240時間の
間では顕著な増加も減少も認められず、この増殖及び温
度条件下でHSAの安定性がよいことが示唆される。この
期間中にはタンパク質分解物の蓄積が全くないので、、
排出されたアルブミンを分解する細胞外プロテアーゼは
存在しないと考えられる。
図32には排出の動態をグラフで表したもの(A)、お
よびプラスミドpYG19で形質転換されたMW98−8C株の生
育曲線(B)を示す。これらの結果は、細胞が生育の定
常期に入った後でもアルブミンの排出が続くことを示
す。この観察結果は以前に酵母における他の発現系につ
いて観察された結果と一致する(Tschopp,J.F.,et al.,
Bio/Technology (1987)1305−1308)。
E.4.6 プラスミドpYG44,pYG51,pYG404及びpYG58のHSA
分泌効率 HSA分泌効率を各種プロモーターの制御下で試験し
た。即ちS.セレビシエのPGKプロモーター(プラスミドp
YG19、図29−32)、ATGの文脈で最適化したPGK/LAC4ハ
イブリッドプロモーター(プラスミドpYG44−5及びpYG
44−7、図33)、S.セレビシエのPHO5プロモーター(プ
ラスミドpYG51、図34A)およびK.ラクチスのLAC4プロモ
ーター(プラスミドpY404、図35)である。さらにK.ラ
クチスのキラートキシンの分泌シグナル配列(プレ領
域)をプロHSA構造遺伝子と読み取り枠を合わせて融合
させ(プラスミドpYG58、図34B)、融合タンパクの分泌
効率を天然プレプロHSAと比較した(詳細は第3章のプ
ラスミド構築参照)。これらの構築体で得られた結果は
次の通り要約することができる。
プラスミドpYG44に存在するPGK/LAC4ハイブリッドプ
ロモーターから発現させると培地に分泌されるHSAのレ
ベルは、グルコースを含みラクトースを増殖の対数期中
期と定常期初期の間に加えた培地で細胞を培養した場
合、2〜3倍に増加する(図33)。添加するラクトース
を等価量のグルコースに変えるとこの効果は観察されな
い(データは示さない)。ラクトースを単独炭素源とす
る培地で細胞を培養すると、分泌HSAのレベルはグルコ
ース含有培地の場合ほど高くならない(図33B)。細胞
をグルコースで培養してからラクトースで誘導した場合
に観察されるラクトースによるHSA分泌の増加は、K.ラ
クチスのLAC4プロモーターのUASエレメントの存在には
よらない。このラクトースを介した増加は、HSAの分泌
がPGKプロモーターの制御下にある場合(MW98−8Cの形
質転換株については図33A,B、CBS2359の形質転換株につ
いては図35)、あるいはS.セレビシエのPHO5プロモータ
ーの制御下にある場合(データ示さず)においても同様
に観察される。
K.ラクチスのLAC4プロモーターの制御下におけるHSA
の分泌は、S.セレビシエのPGKプロモーターで得られる
場合と同様、低レベルである(図35)。他方、LAC4制御
下のHSA発現はきっちりと調節され、グルコースが唯一
炭素源である場合にはCBS2359形質転換株の培養上清に
は分泌HSAは検出されない。
驚いたことに、細胞を完全培地で生育させた場合、PH
O5制御下のHSA分泌効率は、解糖系のPGKプロモーターを
有する構築体で観察される場合(図34A)より僅かに低
いだけである。
K.ラクチスのキラートキシンのプレ領域でHSAの分泌
シグナルを置き換えた場合、HSA分泌の動態も効率もど
ちらも影響されない(図34)。
E.4.7 組込発現カセットによるHSA分泌の効率 プラスミドpYG19に存在するPGKプレプロHSA発現カセ
ットは、Rothstein等が述べるワンステップ遺伝子破壊
法(Methods in Enzymol.101(1983)202−211、実験の
詳細については3.7参照)によりK.ラクチスの染色体DNA
に組み込まれた。Fig.36に示すように、組込菌株によっ
て培地中に分泌されるHSA(レーン2−7)のレベルはp
GD1由来pYG19によって得られるHSA(レーン1)に比べ
ると約20分の1である。HSA分泌は発現カセットの組込
がRAG座あるいはそれ以外のK.ラクチスゲノムで起ころ
うが基本的には同じである(図36)。さらに、発現カセ
ットがURA3選択マーカーに対してどの方向で組み込まれ
ていてもHSA分泌レベルには著しい影響を与えなかった
(図36、レーン2及び3)。形質転換体で分泌HSAが2
倍に増加したのが観察されたが、ここでは2つの発現カ
セットがゲノムに組み込まれていた(図36、レーン
5)。HSAの効率は形質転換酵母細胞が有する構造遺伝
子のコピー数に直接関連しているようである。
E.4.8 クルベロミセス属の様々な種と菌株におけるHSA
の分泌 プラスミドpYG19、pYG221B、pKan707を用いて、クル
ベロミセスの次のような菌株を形質転換した:ATCC16045
(K.marxianus var bulgaricus)ATCC24178(K.wicherh
amii)ATCC12424(K.marxianus var.marxianus)ATCC56
500(K.waltii)ATCC36906(K.marxiamus var.drosophi
larum)CBS4574(K.marxiaums var.lactis)CBS683(K.
marxiamus var.lactis)MW98−8C(K.marxianus var.la
ctis)。異なる菌株間では相当のばらつきが見られたも
のの、調べた全ての形質転換株において、検出量の分泌
HSAが得られた。最もレベルが高かったのは菌株MW98−8
C(CBS579.88)とCBS683の形質転換体を用いた場合に認
められ、最もレベルが低かったのは菌株ATCC16045の場
合で、ここでは切断を受けていないHSAが免疫学的方法
でのみ検出された(データは示さない)。プラスミドpY
G19及びpYG221Bは試験した全菌株において同じような分
泌HSAのレベルをもたらした。
実施例5 生育培地中に分泌されたHSAの精製 典型的な精製実験では、プラスミドpYG19で形質転換
した菌株MW98−8Cを既に記載した標準的条件下で72時間
YPD培地中で生育させる。培養上清(0.5リットル)を遠
心分離して全ての細胞混入物を除き、60%エタノール
(v/v)の存在下4℃で15分インキュベートする。沈降
物を遠心分離で回収し、50mMトリス−HCl、pH8.0の溶液
10mlに再溶解し、次にトリスアクリルブルー(trisacry
l blue)カラム(I.B.F.,フランス)に加える。ヒトア
ルブミンはこのカラムから3MのNaCl溶液で溶出してく
る。HSAを含む画分を50mMトリス−HClに対して透析した
後、これらの画分をMONO Qカラム(ファルマシア)で精
製し、0.25M濃度のNaClで溶出する。最終段階でSuperos
e12(ファルマシア)でクロマトグラフィを行うと、HSA
はSDSポリアクリルアミドゲルの銀染色から判断して、9
9%以上の純度で得られる。
実施例6 分泌され精製されたHSAの性質 インビトロでアルブミンの生物学的特性をテストする
方法がないので、組換え体アルブミンの品質を評価する
簡単な手段がない。このため、K.ラクチスにより排出さ
れたアルブミンは精製後に、いくつかの物理化学的方法
及び免疫学的試験によって確認される。これらの試験
は、組換え体アルブミンが成熟形態及び天然のコンフォ
ーメーションでK.ラクチスから分泌されることを示し、
全ての基準から言って血漿から抽出されたヒト血清アル
ブミンと区別することができない。
E.6.1 PAGE−SDS:クーマシーブルー及び銀染色 上述したとおり、SDSポリアクリルアミドゲル(7.5
%)(図38C)、またはPhast gelシステム(ファルマシ
ア)(図38A)をもちいて電気泳動を行う。組換え体ア
ルブミンの量を変えて、ヒト血漿から抽出した市販の標
準アルブミン(シグマ)と比較した。ゲルをクーマシー
ブルーで染色する(図38C)か、銀染色する(図38A)
と、酵母からのアルブミン標品が完全に均一であること
がわかる。
E.6.2 等電点焦点電気泳動 等電点焦点電気泳動はpH4.5とpH6.0の間(ファストゲ
ル(Phast gel)、ファルマシア)およびpH4.0と7.0の
間(Immobiline,LKB)で行う。組換えHSAの等電点は対
照ヒトHSAと同じである(pI=4.8) E.6.3 未変性PAGE及びイムノブロッティング 組換えHSAを非変性ポリアクリルアミドゲル(10%)
中で電気泳動し、ついでニトロセルロースフィルターへ
ブロッティングして、E.4.4.に記載した条件下で免疫検
出を行うと、ヒト血漿から抽出された標準アルブミンと
同じに泳動することが示された。これは組換えプレプロ
HSAの成熟がK.ラクチスからの分泌の過程で正確に起こ
っていることを強く示唆するものである。未成熟HSAの
混入は検出できず、HSAのシグナル配列及びプロ配列の
切断がこの酵母で効率よく起こることを示す。
E.6.4 分子篩クロマトグラフィ Superrose 12(ファルマシア)を用いて分子篩クロマ
トグラフィを行う。溶出バッファ(50mMトリス−HCl p
H8.0)の流速は1ml/分とする。組換えアルブミンと対照
ヒト血漿アルブミンの濃度はそれぞれ0.4mg/mlと1mg/ml
とする。アルブミンの溶出は280nmにおける吸光度を測
定して検出する。どちらの場合も、溶出体積は同じであ
る(11.5ml)。
E.6.5 陰イオン交換クロマトグラフィ 組換えアルブミンを対照ヒト血漿アルブミンと同様に
Mono Q HR5/5カラム(ファルマシア)から0.31M濃度のN
aClで溶出する。
図39は50mMトリス−HCl pH8.0で平衡化したカラムを
用い、100μlの組換えHSA(0.4mg/ml)と100μlの対
照HSA(0.5mg/ml)を注入し一定流速1ml/分で得られた
クロマトグラフィのプロフィルを示す。
E.6.6 逆相クロマトグラフィ 逆相における酵母アルブミンの挙動を、ヌクレオシル
(C4)カラム上でバッファA(0.1%トリフルオロ酢酸
(TFA)を含む水)、バッファB(0.1%TFAを含むアセ
トニトリル)を用いて解析する。図40はA中Bを20%か
ら80%にかえる勾配で酵母アルブミンを溶出した場合を
示すが、比較アルブミンと同じ保持時間を示す。
E.6.7 アミノ酸組成 酸加水分解(6N HCl)とフェニルイソチオシアニル
誘導体化した後、組換えHSAのアミノ酸組成を逆相クロ
マトグラフィにより決定する。この方法によって得られ
る結果は、ヒト血漿由来の対照アルブミンと明らかに同
じ組成を示す。
E.6.8 N末端配列 エドマン分解用自動化装置(Applied Biosystems)を
使用すると、K.ラクチスから分泌されたHSAのN末端配
列は、Asp−Ala−His−Lys−Ser−Glu−Val−Ala−His
−Arg−Phe−Lys−Asp−Leu−Glyである。従ってこの配
列が決定されたことにより、末変性ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動実験から導かれる結果が確認され、K.ラク
チス酵母により分泌されるアルブミンの正しく完全な成
熟が起こっていることを示す。
E.6.9 トリプトファン蛍光 295nmで励起した後の単一トリプトファンの蛍光発光
は、組換えアルブミンと血漿アルブミンについて同じプ
ロフィルを示し(337nmで最大)、このアミノ酸の回り
が同じ疎水性条件であることを示す。
E.6.10 熱安定性 対照アルブミン(シグマ)と、酵母によって分泌され
たアルブミンは75℃で同じ安定性キネティクスを有し
(図42)、タンパク質構造を安定化する結合(疎水性相
互作用及びジスルフィド結合)はどちらも同じであるこ
とが示唆される。
E.6.11 モノクローナル抗体に対する反応性 組換えアルブミンの抗原性をヒトアルブミンに対する
異なるモノクローナル抗体について調べた。図43はそれ
らの特異性を示し、抗体HA10、HA11、HA13は、分子全体
が完全であることがその維持に必要とされるエピトープ
に対応する。抗体HA21、HA6、HA4、HA3、HA8、HA1はN
末端からC末端までのペプチド鎖にそって局在するエピ
トープに対応する(Doyen,N.et al.,Mol.Immun.22(198
5)1−10;Lapresle,C.,Anal.Biochem.174(1988)308
−312)。
用いたテストはELIZA阻害テストである。異なる抗体
をポリスチレンプレートにそれぞれ吸着させ、アルカリ
ホスファターゼで標識したアルブミンの結合曲線を各抗
体について求める。各抗体に対する飽和曲線はS字状と
なり、50%結合に相当する標識アルブミン量を各抗体に
よる阻害を調べるために選んだ。
阻害は組換えアルブミン試料により行い、血漿アルブ
ミン(シグマ)試料で得られたものと比較した。図44は
試験された9抗体に対して組換えアルブミンが天然アル
ブミンと同様に阻害することを示す。このテストが非常
に敏感であることを考えると、観察される差異は重要で
はないと思われる。
実施例7 インターロイキシン−1βの分泌に対する酵
母発現ベクターを含むカセット E.7.1 IL−1β構造遺伝子の合成 IL−1βに対応する構造遺伝子の化学的合成は既に記
載されており(ユング,G.等、Ann.Inst.Pasteur/Microb
iol.第139巻(1988年)129〜146頁)、簡単に言えば構
造遺伝子をNde I−Hind III制限フラグメントとして14
個の合成オリゴデオキシヌクレオチドから組み立てる。
オーロン等によって発表された配列(Proc.Natl.Acad.S
ci.第81巻(1984年)7907〜7911頁)と比較すると本実
施例で使用した合成遺伝子は次の修飾を含む、i)Hind
III部位を取り除くために483位のAGCコドン(Ser)をT
CCコドンに置き換えるii)Nde I部位を取り除くために5
06位のCにTを置換するiii)翻訳開始メチオニンを含
む435位(GAATTCATATG)にEcoR I部位、次にNde I部位
を作製するiv)翻訳終結コドンから直下流にHind III部
位を導入するために896位にAAGCTT配列を加える。
従って組換え体IL−1βをエンコードする構造遺伝子
はプラスミドpUC19指示pCI131の誘導体に含まれるEcoR
I−Hind III制限フラグメントとして利用できる。
E.7.2 S.セレビシエのPGKのプロモーター及びK.ラクチ
スのキラー毒素分析シグナルの制御下IL−1βを含む分
泌ベクターの構築 K.ラクチスのキラープラスミドK1(スターク,M.J.R及
びボイド,A.EMBO J.第5巻(1986年)1955〜2002頁)の
毒素遺伝子の分泌シグナル(“プレ”領域)に対応する
DNAフラグメントを次の2つの合成オリゴデオキシヌク
レオチドから組み立てた。
チドをハイブリッド化し、それによってキラー毒素のシ
グナル配列次にK.ラクチスのKEX1遺伝子によって産生さ
れるエンドペプチダーゼによって認識できる潜在的な切
断部位を示すジペプチドLysArg(Tanguy−Rougeau.C.
等、FEBSレターズ等234巻(1988年)464〜470頁)を再
構成した。この配列はEcoR I部位と適合する付着端が側
面にある。この構築に於てシグナル配列から下流に位置
する末端だけが機能的EcoR I部位を再生することができ
る。このDNAフラグメントは、プラスミドpEPGK41の単一
EcoR I部位に所望の配向でクローンされてプラスミドpS
PGK1(第45図)を作成する。pEPGK41はEcoR I部位(第4
5図で示した配列参照)によって置き換えられたHind II
Iクローニング部位を除いてプラスミドpYG12(実施例3
で既に記載した)に存在するものと一致するS.セレビシ
エのPGK遺伝子のプロモーターとターミネーターを含むS
al I−BamH Iカセットを含む。使用した方策の結果とし
てプラスミドpSPGK1は合成シグナル配列から下流に構造
遺伝子のクローニングを可能にする唯一のEcoR Iを有す
る。
EcoR I制限フラグメントの形でIL−1βをエンコード
する構造遺伝子を得るためにプラスミドpCI131(E.7.1
項参照)を酵素Hind IIIで直線とし、大腸菌DNAポリメ
ラーゼIのクレノウフラグメントで処理して末端ブラン
トエンドにし、合成EcoR Iリンカー(5′−GGAATTCC−
3′)と連結した。酵素EcoR Iで切断した後、Met−IL
−1βに対応するフラグメントを電気溶離で精製し、プ
ラスミドpSPGK1のEcoR I部位にクローンしてプラスミド
pSPGK−IL17(第46図)を作成した。この構築では、IL
−1βにコードする配列はキラー毒素から誘導される分
泌シグナルを有する翻訳枠内で起こる。成熟IL−1β遺
伝子(Ala Pro Val……)の開始はペンタペプチドLys A
rg Ile His Metによるシグナルペプチダーゼ(Gln Gly
)によって確認される切断部位から分離される。
プラスミドpSPGK−IL17は、発現カセット(PGKプロモ
ーター/分泌シグナル−IL−1β/PGKターミネーター)
に対応するSal I−Hind III制限フラグメント源であ
る。このフラグメントは電気溶離で精製され、プラスミ
ドpCXJ1(第9図参照)にクローンされ、同じ酵素で切
断してプラスミドpSPGK−IL21(第47図)を作成する。
プラスミドpUC4K(ファーマシア)は、ゲネチシン(G41
8)に耐性の遺伝子源であり、Sal I制限フラグメントと
して電気溶離で精製した。次いでこのフラグメントをプ
ラスミドpSPGK−IL21のSal I部位にクローンして発現プ
ラスミドbSPGK−IL31(第48図)を作成した。
E.7.3 S.セレビシエのPHO5プロモーターの制御下IL−
1βを含む分泌ベクターの構築 PHO5プロモーターの重要性はこれがK.ラクチスの誘発
性発現系を表わし、S.セレブシエに於けるようにこのプ
ロモーターが高無機リン酸塩濃度で抑制され、リン酸塩
のない培地中で誘発される(チェン,X.J.及びフクハラ,
H.ジーン第369巻(1988年)181〜192頁)という事実に
ある。
本プラスミドpEPHOはS.セレビシエのPHO5のプロモー
ターとターミネーター領域からなる0.94kbpの大きさのB
amH I−Pst I制限フラグメントを含む。このフラグメン
トは2.03kbp BamH I−Pst Iゲノムフラグメント(Bajw
a,W.等、Nucl.Acid Res.第12巻(1984年)7721〜7739
頁)から誘導され、酸ホスファターゼをエンコードする
構造遺伝子が−4位(翻訳開始ATGに関して)と翻訳終
結TAGコドンから上流に局在する単一Sau3A部位との間で
欠失されている。プロモーターとそのターミネーター間
の結合にEcoR I/Sma I/BamH Iポリリンカーが挿入さ
れ、翻訳開始コドンを含む構造遺伝子を導入させること
ができる。
K.ラクチスキラープラスミドK1(E.7.2項参照)の毒
素遺伝子の分泌シグナルに対応するEcoR Iフラグメント
はプラスミドpEPHOのEcoR Iに所望の配向にクローンさ
れてプラスミド(第49図)を作成する。Met−IL−1β
に対応するEcoR I制限フラグメントはプラスミドpSPGK
−IL17(第46図)から精製され、プラスミドpSPHO4のEc
oR I部位にクローンされてプラスミドpSPHO−IL14(第5
0図)を作成する。このプラスミドは発現カセット(pHO
5プロモーター/分泌シグナル−IL−1β/PHO5ターミネ
ーター)に対応するSal I−Hind III制限フラグメント
源であり、このフラグメントは電気溶離で精製され、同
じ酵素で切断されるプラスミドpCXJIにクローンされて
プラスミドpSPHO−IL23(第51図)を作成する。ゲネチ
シン(G418)に耐性の遺伝子を含むSal I制限フラグメ
ントはプラスミドpUC4Kから電気溶離で精製され、次に
プラスミドpSPHO−IL23のSal I部位にクローンして発現
プラスミドpSPHO−IL35(第52図)を作成した。
E.7.4 選択増殖条件下IL−1β発現pKD1由来プラスミ
ドの分裂安定性 プラスミドpSPGK−IL31及びpSPHO−IL35の分裂安定性
は時間をおいて行なわれ、非選択培地中で規定された発
生数増殖させた後、最小選択培地(ウラシルで捕捉され
ていない)での増殖能を保持する細胞の%として定義し
た。第53図に示される等り、これらの2つのプラスミド
は著しく安定であるが、PHO5プロモーターを含む構築と
比較されるPGKプロモーター用いる構築間に異なった安
定性があり、非選択培地で40個の細胞発生後、75%(プ
ロモーター誘発)〜93%(プロモーター誘発しない)の
細胞はプラスミドpSPHO−IL35を維持するが、プラスミ
ドpSPGK−IL31はわずか44%の細胞で保持される。これ
らの結果は、プラスミドpKD1の由来発現ベクターの工業
利用の見地から潜在的毒性異種タンパク質の生産相から
の酵母培養の増殖相をカップリングしない誘発性発現系
の重要性を示す。
E.7.5 IL−1βの分泌 構築pSPGK−IL31とpSPHO−IL35を既に記載した手法に
従ってK.ラクチス菌株M98−8Cに移入した。ウラシルを
欠く最小培地で形質転換体を選択した後、わずかのクロ
ーンをG418 200μg/mlを含むYPD培地に接種し、IL−1
βの分泌能を研究した。
分泌されたIL−1βを沈降させるために培養上清の試
料をエタノールで処理した(最終濃度60%で−20℃に於
て60分)。沈降物質を遠心分離(15,000gで20分)で回
収し、原容量の1/10に95℃で15分間加熱して試料緩衝液
(レムリ,U.K.ネイチュア第227巻(1970年)680〜685
頁)に再溶解した後、12.5%ポリアクリルアミドゲルに
析出させた。試料を電気泳動にかけた後、製造業者(ポ
ーリンガーマンハイム)の指示に従ってエンドグリコシ
ダーゼHで試料を前処理して又はせずにゲルをニトロセ
ルロース膜にブロットし、ヒトIL−1β(ゲンチーム)
に対するポリクローナル抗体を用いた後にクーマシーブ
ルーで染色したゲルを変性(第54図)して、あるいは免
疫学的に検出した。
IL−1βに相当する構築で形質転換した酵母の上清か
ら得た免疫学的シグナルはエンドグリコシダーゼHでの
処理に感受性であり(見掛けの分子量24kD〜19kDで減
少)、酵母の組換え体IL−1βがグリコシル化されるこ
とを示す。この結果は、IL−1βのN末端部分の潜在的
なN−グリコシル化部位の存在と一致する(7位のAs
n)。
プラスミドpSPHO−IL35の形質転換され、無機リン酸
塩のない培地中三角フラスコで増殖したK.ラクチスMW98
−8Cの培養上清2ml(チェン,X.J.及びフクハラ,H.ジー
ン第369巻(1988年)181〜192頁)を分泌されたIL−1
βを精製するために逆相カラムに直接適用した。35%の
アセトニトリルに対応する溶出ピークを集め、これは組
換え体インターロイキンに相当する。この手法で精製し
た物質量を分光光度法で定量し、IL−1βが培養上清1
につき35mgのレベルでK.ラクチスによって分泌される
ことを推定した。
精製IL−1β(自動操作エドマン分解アプライド バ
イオシステム)のN末端部分の配列化はキラー毒素の
“プレ”領域が全く存在しないこと従って酵母シグナル
ペプチダーゼ(スターク,M.J.R.及びボイド,A.EMBO J.
第5巻(1986年)1955〜2002頁)によって認識されるGl
n Gly切断部位に於てK.ラクチス菌株MW98−8Cによる
有効な成熟を示す。プラスミドpSPHO−IL35に存在するI
L−1β発現カセットの構築で使用した手順の結果とし
て組換え体IL−1βのN末端は成熟ヒトIL−1βと一致
されず、マイクロ配列化(Lys Arg Ile His Met Ala Pr
o Val Arg Ser Leu)によって決定された最初の11残基
の配列は成熟ヒトIL−1βに対応する配列から上流に更
にいくつかのアミノ酸(Lys ArgIleHisMet)の存在を確
認し、特にK.ラクチスの酵素KEX1(Lys Arg)による
切断の潜在的部位がこの配列関係に認識されないことを
示す。従ってキラー毒素に対する分泌シグナルと成熟IL
−1βに対する構造遺伝子(Gln GlyAla Pro Val)間
の正しい結合の部位指示突然変異生成による作製は、正
しく成熟分泌したIL−1βを得ることができる。
実施例8 tPAの発現分泌に対して酵母発現ベクターを
含むカセット E.8.1 S.セレビシエのPGKプロモーターの制御下Met−t
PA発現及びプレプロ−tPA分泌のためのベクターの構築 tPAをエンコードする構造遺伝子をプラスミドpXL348
(Met−tPA)及びpXL459(プレプロ−tPA)から分離し
(サーミエントス,P.等、バイオテクノロジー第7巻(1
989年)495〜501頁)、その制限地図を第55図に示す。
プラスミドpXL348(Met−tPA)、プラスミドpYG224 A
/B(Met−tPA)及びpYG225 A/B(プレプロ−tPA)は次
の図に従って誘導される。
プラスミドpXL348を酵素Xho IIで消化し、制限混合物
をリン酸化Xho II−Hind III−アダプター(合成オリゴ
デオキシヌクレオチド5′−GATCAAGCTT−3′)と連結
する。次いで混合物を酵素Hind IIIで消化し、Met−tPA
をエンコードする制限フラグメントをベクターpUC8のHi
nd IIIにクローンして中間体プラスミドpYG205を作成す
る。このプラスミドを酵素Nde Iで切断し、リン酸化合
成オリゴデオキシヌクレオチド5′−TAAGCTTCA−3′
及び5′−TATGAAGCT−3′の等モル混合物と連結してN
de I−Hind III−Nde Iアダプターを再構成する。試験
管内で連結した後、この混合物をHind IIIで消化し、Me
t−tPAをエンコードする制限フラグメントを電気溶離で
精製し、ベクターpYG206のHind III部位にクローンして
プラスミドpYG211を作成する。ベクターpYG206は、唯一
のNde I部位が酵素Nde Iとベクターの自己連結の前の大
腸菌ポリメラーゼIのクレノウフラグメントによる付着
端の充填で破壊されているプラスミドpUC8に相当し、従
って、プラスミドpYG211はMet−tPAのATG開始コドンに
位置する唯一Nde I制限部位があるMet−tPAをエンコー
ドするHind IIIフラグメントを含む。プラスミドpYG211
中では翻訳開始コドンから上流のヌクレオチド配列は次
の通りである、5′AAGCTTCATATG...3′。
プラスミドpYG211はプラスミドpYG219源であり、プレ
プロ−tPAをエンコードするHind IIIフラグメントを含
む。このプラスミドはpYG211のNde I−Sst Iフラグメン
トをプラスミドpXL459のNde I−Sst Iフラグメントで置
換することによって構築され、プレプロ−tPAのN末端
部分を含む(第55図)。従ってプラスミドpYG211(Met
−tPA)とpYG219(プレプロ−tPA)はプラスミドpYG211
が開始コドンに直接付随したtPAの成熟型をエンコード
する違いを除いて厳密には同遺伝子型であるが、プラス
ミドpYG219では成熟tPA配列はそのプレプロ天然エクス
ポーション配列に付随している。
Met−tPA及びプレプロtPAをエンコードするHind III
フラグメントを電気溶離でプラスミドpYG211とpYG219か
ら精製し、同じ制限酵素で切断されるベクターpYG208
(第19A図参照)を正しい配向でクローンし、中間体プ
ラスミドpYG222とpYG223を作成する。これらのプラスミ
ドはSal I制限フラグメントとして利用される発現カセ
ットを含み、次いでベクターpKan707にクローンされて
プラスミドpYG224 A/B(Met−tPA)とpYG225 A/B(プレ
プロ−tPA)を作成する。このベクターに関してSal Iカ
セットのA及びB配向は上記の通りプラスミドpYG221 A
/B(プレプロ−HSA)に対して規定された。
E.8.2 tPAの分泌 構築物pYG224 A/B(Met−tPA)及びpYG225 A/B(プレ
プロ−tPA)を特にE.4.1項で記載した手法に従ってK.ラ
クチス菌株MW98−8Cに移入した。G418の存在下で細胞を
選択した後、いくつかのクローンを選択YPD培地に接種
し、tPAの発現分泌能を次の手法(i)クーマシーブル
ー染色SDSポリアクリルアミドゲル(ii)ゲルをニトロ
セルロース膜にブロットし、製造業者の指示(ボーリン
ガーマンハイム)に従って使用した脱グリコシル化酵素
エンドグリコシダーゼH又はグリコペプチダーゼFで細
胞画分を前処理した又はしないヒトtPAに関する一次抗
体(バイオプール)を使用した後、免疫学的検出(ii
i)PBS緩衝液に溶解した次の組成1%アガロース、0.1
%フィブリノーゲン(カビビトルム)、0.2単位/mlトロ
ンビン(シグマ)を有する指示プレートによるフィブリ
ンプレートアッセイに従って研究した。
これらの実験結果は、未処理培養上清(構築物pYG225
B)又は細胞抽出物に特異免疫学的シグナルが検出され
ないことを示す。構築物pYG224 A/B(Met−tPA)は細胞
抽出物、特に不溶性タンパク質に相当する画分にかなり
の特異シグナル(1〜10mg/培養液1)を生じるため
この検出方法は異議はない。
脱グリコシル化酵素の使用はS.セレビシエのPGKプロ
モーターの制御下K.ラクチスによって発現分泌されるプ
レプロ−tPAの免疫学的検出に必要条件のように思われ
る。この説明は、このプロモーターの制御下でこの菌株
で発現される場合、このタンパク質の不均一な過グリコ
シル化によって説明することができる。特にこの過グリ
コシル化は、PGKプロモーターから発現される酵母組換
え体tPAの弱い抗原性の原因てあることができる。
第56図は、プラスミドpYG225B(プレプロ−tPA)で形
質転換されたK.ラクチスMW98−8Cの培養上清に酵素活性
があることを示すが、プラスミドpKan707(対照ベクタ
ー)又はpYG224B(Met−tPA)で形質転換された菌株MW9
8−8Cの培養上清に存在しない。従って分泌tPA活性の検
出はtPAのプレプロ配列がK.ラクチスMW98−8C酵母で機
能することを示す。また指示プレートによるtPA活性の
試験は、構築物Met−tPAで形質転換された菌株MW98−8C
の細胞内画分に活性化があることを示す(結果は示され
ない)。
E.8.3. tPA分泌に関する宿主菌株の影響 宿主細胞の選択は、プラスミドpKan707の誘導体を複
製することができる酵母によるtPA分泌レベルに関して
基本的要素である。クルイベロミセス属酵母によるベク
ターpKan707にクローンしたtPAの分泌能をフィブリノー
ゲン寒天指示プレートにより上述の通り試験した。K.ラ
クチス菌株ATCC34609及びATCC34610,ATCC36906(K.ドロ
ソフィラルム)及びK.フラギリスATCC36534及びATCC369
07はK.ラクチス菌株MW98−8Cのそれと同じ程度のtPA分
泌に有効であるが、同じ条件下で菌株ATCC12424(K.フ
ラギリス),ATCC24178(K.ウィッカーハミイ)及びATCC
56500(K.ワルチ)で実施した試験は、tPA活性を培養上
清に検出することができなかった。
実施例9 TIMPの発現分泌に対する酵母発現ベクター含
有カセット E.9.1 S.セレビシエのPGKプロモーターの制御下TIMPの
発現分泌に対するベクターの構築 TIMPをエンコードする完全構造遺伝子をプラスミドpP
V2−TIMPから分離した。このベクターはHind III制限フ
ラグメント(カクレゾレック,M.等、Bio/Technol.第5
巻(1987年)595〜598頁)として利用できるTIMP cDNA
からなる。この制限フラグメントを電気溶離で精製し、
構築中間体pYG208(D19A図)のHind IIIに正しい配向で
クローンしてプラスミドpYG220を作成した。このプラス
ミドは発現カセット(PGKプロモーター/TIMP/PGKターミ
ネーター)に相当するSal Iフラグメント源であり、ベ
クターpKan707(第13図参照)のSal I部位にクローン
し、ベクターに関してこのSal Iフラグメントの配向だ
けが互いに異なる発現プラスミドpYG226A/Bを作成し
た。プラスミドpYG226A/BのA及びB配向を上述の通り
プラスミドpYG221A/B(プレプロ−HSA),pYG224A/B(Me
t−tPA)及びpYG225A/B(プレプロ−tPA)に対して規定
した。
E.9.2 TIMPの分泌 構築物pYG226A/B(TIMP)を既に記載した手法に従っ
てK.ラクチス菌株MW98−8Cに移入した。G418の存在下細
胞を選択した後、2.3のクローンをYPD選択培地に接種
し、TIMPの発現分泌能をクーマシーブルー染色SDSポリ
アクリルアミドゲルであるいはゲルをニトロセルロース
膜にブロットし、細胞画分をエンドグリコシダーゼHで
前処理して又はせずにヒトTIMPに関する一次抗体(Rh
ne−Poulenc Sant)を用いた後、免疫学的検出によっ
て研究した。
TIMPに対応する免疫学的シグナルは非脱グリコシル化
細胞内抽出液(不溶性タンパク質画分)で検出される
が、非脱グリコシル化培養上清には検出されない(第57
図)。この免疫学的シグナルは脱グリコシル化酵素での
処理に感受性であり、酵母組換え体TIMPがN−グリコシ
ル化されることを示す。組換え体TIMPの分泌は、プラス
ミドpYG226Bで形質転換された菌株MW98−8Cの培養上清
を試験管内脱グリコシル化した後証明され、TIMPの天然
エキスポーテーション配列がK.ラクチスMW98−8Cで機能
することを示す。
注 菌株MW98−8Cの試料は、1988年9月16日に第CBS 579.
88号として登録されたブタペスト条約の規定に従ってオ
ランダバーンのCentraalbureau voor Schimmelkulturen
(CBS)に寄託されている。
【図面の簡単な説明】
図面に示すプラスミドの模式図は、構築に重要な制限部
位のみを示すものであって、縮尺は合っていない。 第1図 ヒト肝臓から単離されたポリ(A)−mRNAから
得られた3種のcDNAクローン(本文参照)から得られた
Met−HSAをコードする完全配列を含む、プラスミドpXL2
76の構築 第2図 4種の合成オリゴデオキシヌクレオチドからの
アルブミンのプレプロ配列の再構成:プラスミドpXL290
の構築 第3図 プラスミドpXL299の構築 第4図 プラスミドpXL322の構築 第5図 プラスミドpXL855の構築 第6図 プラスミドpXL869の構築 第7図 プラスミドpXL869から得られた、プレプロ−HS
A構造遺伝子を含むHind III断片のヌクレオチド及びア
ミノ酸配列。濃い矢印は「プレ」及び「プロ」領域の端
を示す。 第8図 プラスミドpUC−URA3の構築 第9図 プラスミドpCXJ1の構築 第10図 プラスミドpK1−PS1535−6の構築 第11図 プラスミドpUC−kan202の構築 第12図 Sca I制限部位から始まり、Tn903に由来するア
ミノグリコシドホスホトランスフェラーゼをコードする
細菌性遺伝子の5′領域とORF1の間の連結部を含む、プ
ラスミドk1のORF1プロモーターのヌクレオチド配列 第13図 プラスミドpKan707の構築 第14図 非選択生育条件下での、MW98−9C株中でのプラ
スミドpKan707の安定性曲線 第15図 プラスミドpYG11の構築 第16図 プラスミドpYG18の構築 第17図 プラスミドpYG19の構築 第18図 プラスミドpYG19(プレプロ−HSA)およびpYG2
3(Met−HSA)の説明図。各プラスミドの下に記載され
たヌクレオチド配列はPGK遺伝子プロモーターと形態の
異なるHSAの構造遺伝子との間の連結部である。 第19図 プラスミドpYG208、pYG210(パネルA)、pYG2
21B(パネルB)の構築 第20図 プラスミドpYG14、pYG26、pYG29の構築 第21図 A.UAS領域の横にNot I部位を導入するためのPG
Kプロモーターの変異誘発。部位特異的突然変異誘発に
より変化した4つの塩基対はNot I部位の下に星印で示
してある。 B.構築体pYG19とpYG44中の非翻訳PGKリーダー配列。部
位特異的突然変異誘発により野生型PGKプロモーターの
−25位に導入されたHind III部位は四角で囲ってある。 第22図 K.ラクチスのLAC4プロモーターのUASを含む合
成DNA断片でのUAS PGKの置き換え、および変異PGKプロ
モーターに合成アダプターを連結することによるPGK野
生型ATG文脈の再構築。 第23図 pKan707由来のプラスミド中に存在する種々の
プロモーターおよびシグナル配列を有する、Sal I−Sac
I発現カセット。これはHSAの生育培地中への排出を指
示する。 第24図 −20位にHind III部位を導入するための、S.セ
レビシエのPHO5プロモーターの部位特異的突然変異誘
発。 第25図 構築体pYG51のATG開始コドンの近くのプロモー
ター領域のヌクレオチド配列。 第26図 PGKプロモーターの5′非翻訳リーダー配列、
K.ラクチスのキラートキシンのシグナル配列(プレ領
域)及びプロHSAの最初の数コドンを含む、合成Hind II
I−Dra I DNA断片の再構築。 第27図 プラスミドp31/RAG:URA3、pYG60−5およびpYG
60−21の模式的表示。 第28図 HSA発現プラスミドであるpYG19およびpYG23
の、非選択生育条件下での細胞分裂安定性。■はプラス
ミドpYG19で形質転換したMW98−8C、□はプラスミドpYG
23で形質転換したMW98−8C、△はプラスミドpYG19で形
質転換したCBS683。 第29図 クーマーシーブルーで染色した8.5%SDS−ポリ
アクリルアミドゲル、MW98−8C株からのHSAの発現と分
泌を示す。レーン1−4:ヒト血漿から抽出された対照ア
ルブミン(シグマ)、濃度に従ってスポットされている
(レーン当たり0.2μg、0.6μg、2μg、6μg)。
pYG19(プレプロHSA)、pYG23(Met−HSA)、pYG25(発
現カセットを持たない対照ベクター):各レーンは元の
培養100μlと等価のタンパク質量に相当する。a)可
溶性画分、b)不溶性画分、c)培養上清。 第30図 本文に記載されたようにニトロセルロースにブ
ロットした7.5%ポリアクリルアミドゲルのイムノブロ
ッティング。レーン1〜5:種々の濃度でYPD培地に溶解
し、TCA(5%最終濃度)で沈降させた、ヒト血漿から
抽出した比較用アルブミン(シグマ)。従って標準HSA
試料は培養上清と同じ方法で処理されている。どちらも
ゲルに載せた量は同体積である。沈降実験:1)HSA濃度1
00mg/ ; 2)50mg/; 3)12.5mg/; 4)12.5mg/
; 5)6mg/。pYG19(プレプロ−HSA)およびpYG2
3(Met−HSA):各レーンは元の培養の20μlと等価量
のタンパク質に対応。a)培養上清 b)不溶性画分
c)可溶性画分。 第31図 MW98−8C株からのHSAの分泌動態をしめす、ク
ーマシーブルー染色後の8.5%ポリアクリルアミドゲ
ル。 A.レーンA〜e:種々の濃度でYPD培地に溶解し、TCA(5
%最終濃度)で沈降させた、ヒト血漿から抽出した比較
用アルブミン(シグマ)(第21図の説明文参照)。HSA
(シグマ)の濃度 1)6mg/、2)12.5mg/、3)2
5mg/、4)50mg/、5)100mg/。pYG19:培養時間
に応じたpYG19によるHSA分泌、図示するように16〜61時
間まで。各サンプルは培養上清の160μlに相当。 B.レーンa〜e:レーン当たり0.4μg、0.6μg、0.8μ
g、1.0μg、1.2μgで濃度が増すようにスポットされ
た比較用HSA(シグマ)。pYG19:培養時間に応じたpYG19
によるHSA分泌、図示するように72〜240時間まで。各サ
ンプルは培養上清の25μlに相当。 第32図 A.本文に記載したように、プラスミドpYG19で
形質転換され、三角フラスコ中で生育させたMW98−8C株
からのHSAの排出動態のグラフ。生育培地で検出された
アルブミン濃度(mg/)を培養時間の関数として示
す。4回の独立実験の結果を示す。 B.プラスミドpYG19で形質転換されたMW98−8C株の生育
曲線。 第33図 PGKまたはPGM/LAC4ハイブリッドプロモーター
の制御下でのアルブミン分泌効率に対する炭素源の影
響:プラスミドpYG19及びpYG44で形質転換したK.ラクチ
スMW98−8C株の培養上清のSDS−PAGE解析(クーマシー
ブルー染色後)。 A.振とうフラスコ培養の上清(レーン当たり12.5μ
l)。レーン1〜3:YPD(2%グルコース含む)培地中
で211時間培養、レーン4〜6:YPD培地で43時間生育させ
た後にラクトース2%を加え211時間まで培養、レーン
aおよびb:HSA(シグマ)0.5μgと1.0μg、レーン1
と4:プラスミドpYG44、レーン2と5:プラスミドpYG44−
7、レーン3と6:プラスミドpYG19。 B.振とうフラスコ培養の上清(レーン当たり25μl)。
レーン1、4、7:YPD(2%グルコース含む)培地中で1
13時間培養、レーン2、5、8:YPL(2%ラクトースを
含む)培地中で113時間培養、レーン3、6、9:YPD培地
で43時間生育させた後にラクトース2%を加え113時間
まで培養、レーンa、b、c:それぞれHSA(シグマ)0.2
5μg、0.5μgと1.0μg、レーン1−3:プラスミドpYG
44−5、レーン4−6:プラスミドpYG19、レーン7−9:
発現カセットを持たないプラスミドpKan707。 第34図 アルブミン分泌効率に対するプロモーターとシ
グナル配列置換の影響:プラスミドpYG51、pYG19および
pYG58で形質転換されたK.ラクチスMW98−8C株の培養上
清のSDS−PAGE解析(クーマシーブルー染色後) A.YPD培地中で43時間生育させてから2%ラクトースを
加え115時間まで生育させた振とうフラスコ培養の上清
(各レーン当たり25μl)。レーンa、b、c:それぞれ
HSA(シグマ)0.2、0.5、1.0μg。レーン1:プラスミド
pYG51(PHOプロモーター)、レーン2:プラスミドpYG19
(PGKプロモーター)。 B.YPD培地中で66時間培養(レーン1〜3)、138時間培
養(レーン4〜6)した振とうフラスコ培養上清(レー
ン当たり25μl)。レーンa、b、c:HSA(シグマ)が
それぞれ0.25、0.5、1.0μg。レーン1、2、4、5:プ
ラスミドpYG58(キラートキシン分泌シグナル、2種の
独立の形質転換体)、レーン3、6:プラスミドpYG19
(アルブミンの分泌シグナル)。 第35図 LAC4またはPGKプロモーターの制御下でのアル
ブミン分泌効率に関する炭素源の影響:プラスミドpYG4
04およびpYG19で形質転換されたK.ラクチス株CBS2359の
培養上清のSDS−PAGE解析(クーマシーブルー染色
後)。 振とうフラスコ培養の上清(レーン当たり25μl)。レ
ーン1と4:YPD(2%グルコース含む)培地中で166時間
培養、レーン3と6:YPL(2%ラクトースを含む)培地
中で166時間培養、レーン2と5:YPD培地で48時間生育さ
せた後にラクトース2%を加え166時間まで培養。レー
ンa、b、c:それぞれHSA(シグマ)0.25μg、0.5μ
g、1.5μg、レーン1−3:プラスミドpYG404、レーン
4−6:プラスミドpYG19。 第36図 プラスミドベースのPGK発現カセット、あるい
は組み込まれたPGK発現カセットの制御下でのアルブミ
ン分泌の効率:K.ラクチスの組込株MW98−8C::60−CとM
W98−8C::60−21、およびプラスミドpYG19で形質転換さ
れたMW98−8Cの培養上清のSDS−PAGE及びイムノブロッ
ト解析。YPD培地中137時間培養した振とうフラスコ培養
から培養上清(レーン当たり25μl)を採取。 A.PAGE−SDS:レーンa、b、c、d:各々HSA(シグマ)
0.1、0.25、0.5、1.0μg。レーン1:プラスミドpYG19で
形質転換したMW98−8C株、レーン2〜7:独立の6つの組
込株(MW98−8C::60−5#6、MW98−8C::60−21#9、
MW98−8C::60−21#7、MW98−8C::60−5#4、MW98−
8C::60−5#8、MW98−8C::60−21#11)(E.3.7参
照)。 B.ウェスタンブロット解析:Aと同じサンプル(レーンご
と25μlの上清をおいた) 第37図 プラスミドpYG19とpYG221Bで形質転換した種々
のクルベロミセス株におけるアルブミン分泌の効率:濃
縮培養上清のSDS−PAGE解析(クーマシーブルー染
色)。細胞はG418(200μg/ml)を添加したYPD培地中で
89時間培養。上清はセントリコン30精密濾過ユニット
(Amicon)を用いて精密濾過により10倍に濃縮。各レー
ンに負荷する濃縮上清の量はバイオマス生産の関数とし
て標準化され、9から25μlの間で変化する。 レーンaおよびb:HSA(シグマ)0.5μgと1.0μg。レ
ーンcおよびd:精密濾過したHSA(シグマ)(YPD倍地に
溶かしたHSA(10mg/ml)を精密濾過により10倍に濃縮し
た)25μlと2.5μlをレーンcとレーンdに負荷し
た。レーン1:プラスミドpYG221Bで形質転換したATCC160
45株(K.marxianus var.bulgaricus)。レーン2:プラス
ミドpYG221Bで形質転換したATCC24178株(K.wickerhami
i)。レーン3:プラスミドpYG221Bで形質転換したATCC12
424株(K.marxianus var.marxinus)。レーン4:プラス
ミドpYG19で形質転換したATCC56500株(K.waltii)。レ
ーン5:プラスミドpYG221Bで形質転換したATCC36906株
(K.marxianus var.drosophilarum)。レーン6:プラス
ミドpYG19で形質転換したCBS574株(K.marxianus var.l
actis)。レーン7:プラスミドpYG19で形質転換したCBS6
83株(K.marxianus var.lactis)。レーン8:プラスミド
pYG19で形質転換したMW98−8C株(K.marxianus var.lac
tis)。レーン9:プラスミドpYG Kan707(ベクターの
み)で形質転換したMW98−8C株(K.marxianus var.lact
is)。レーン10:プラスミドpYG221Bで形質転換したMW98
−8C株(K.marxianus var.lactis)。 第38図 電気泳動手法(S=スタンダード品、L=酵母
アルブミン) A PAGE−SDS(ファストゲル、ファルマシア、勾配8
−25%)銀塩で染色、S=1μg、L=0.05〜0.25μ
g。 B 等電点焦点電気泳動(ファストゲル、pH4.5−6.
0)、クーマシーブルー染色、負荷=1μg。 C PAGE−SDS(7.5%)クーマシーブルー染色、S=0.
2〜1.0μg、L=0.25〜2.5μg。 第39図 イオン交換クロマトグラフィ MonoQ(ファル
マシア)、下:酵母HSA40μg、上:標準品HSA50μg。 第40図 逆相クロマトグラフィ ヌクレオシルC4 a)
標準品HSA b)酵母HSA。 第41図 トリプトファン蛍光発光スペクトル、実線:標
準品HSA、破線:酵母HSA。 第42図 75℃における温度安定性、実線:標準品HSA、
破線:酵母HSA。 第43図 抗原性特定に使用される種々のモノクローナル
抗体によって認識されたアルブミンの領域 第44図 A、B、C:特異性を図43に示した9種のモノク
ローナル抗体に関する阻害曲線(本文参照)、アルブミ
ン濃度(μg/ml)の関数としての阻害%、□:標準品HS
A、■:酵母HSA。 第45図 プラスミドpSPGK1の構築、および分泌シグナル
として用いられる合成EcoR I断片のヌクレオチド配列の
表示。プラスミドpEPGK41のEcoR Iクローニング部位を
囲むヌクレオチド配列も示す。 第46図 プラスミドpSPGK−IL17の構築、および分泌配
列とMet−IL−1βの間の連結部似た硫黄するヌクレオ
チド配列の表示。 第47図 プラスミドpSPGK−IL21の構築。 第48図 プラスミドpSPGK−IL31の構築。 第49図 プラスミドpSPHO4の構築。 第50図 プラスミドpSPHO−IL14の構築。 第51図 プラスミドpSPHO−IL23の構築。 第52図 プラスミドpSPHO−IL35の構築。 第53図 非選択条件下でのMW98−8C株におけるプラスミ
ドpCXJ1、pSPGK−IL31、およびpSPHO−IL35の安定性曲
線。■pCXJ1、▲pSPHO−IL35(未誘導プロモーター)、
△pSPHO−IL35(誘導プロモーター)、□pSPGK−IL31。 第54図 MW98−8C株のIL−1β分泌:培養上清のSDS−P
AGE分析(クーマシーブルーで染色)。各負荷試料は下
記プラスミドで形質転換されたK.ラクチスMW98−8Cの培
養上清0.2mlに相当。 プラスミドpKan707(対照ベクター、レーン1)、pSPGK
−IL31(レーン2)、pSPHO−IL35(レーン3)、レー
ン4は大腸菌で生産されたMet−IL−1β(ローヌプー
ランサント)1μgにあたる。形質転換細胞はG318を20
0μg/ml加えたYPD倍地で3日間培養した。この上清を本
文に記載したように沈降させて濃縮した。 第55図 プラスミドpXL348(Met−tPA)およびpXL459
(プレプロtPA)の制限地図 第56図 分泌tPAの活性試験 プラスミドpYG225B(プレプロtPA、レーン1)、pYG2
24B(Met−tPA、レーン2)、またはpKan707(ベクタ
ー、レーン3)で形質転換されたK.ラクチスMW98−8C株
を選択YPD培地(200μg/mlのG418)で5日間培養した後
の培養上清5μlをtPA活性をみることのできるプレー
ト上にスポットする。 第57図 プラスミドpYG226BまたはpKan707で形質転換し
たMW98−8C株におけるTIMPの発現と分泌。 ヒトTIMP0.25μg(ローヌプーランサント、レーン
1)、酵母組換えTIMP(プラスミドpYG226B)の細胞内
発現、非脱グリコシル化(レーン2)、エンドグリコシ
ダーゼHで処理後(レーン3);大腸菌組換えTIMP(ロ
ーヌプーランサント、レーン4);コントロールベクタ
ーのpKan707で形質転換されたMW98−8C株の細胞内画
分:非脱グリコシル化サンプル(レーン5)、エンドグ
リコシダーゼHで処理後のサンプル(レーン6);非脱
グリコシル化濃縮培養上清:プラスミドpKan707で形質
転換したMW98−8C株(レーン7)、pYG226Bで形質転換
したMW98−8C(レーン8);濃縮してからエンドグリコ
シダーゼH処理した培養上清:プラスミドpKan707で形
質転換されたMW98−8C(レーン9)、またはプラスミド
pYG226Bで形質転換されたMW98−8C(レーン10);ヒトT
IMP0.25μg(ローヌプーランサント、レーン11)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:865) (C12P 21/02 C12R 1:645) (72)発明者 パトリス イェー フランス国.75005 パリ,バット.ビ, リュ リネ 13 (56)参考文献 特開 昭63−112988(JP,A) 特開 昭58−90515(JP,A) 特開 昭63−290(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 ZNA C07K 14/765 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロベロミセス(Kluyveromyces)属の酵
    母を発現プラスミドで形質転換し、形質転換酵母を増殖
    培地で培養することからなるヒト血清アルブミ(HSA)
    を作る方法であって、 該発現プラスミドが (イ)プラスミドpKD1の機能性遺伝子A、B、C、 (ロ)プラスミドpKD1の逆方向反復配列、 (ハ)プラスミドpKD1の安定性領域 (ニ)pKD1の複製起点と、 (ホ)ヒト血清アルブミンの構造遺伝子をコードする非
    酵母性DNAを酵母中でのその遺伝子の発現を可能にする
    制御配列下に有する発現カセット、 (ニ)形質転換酵母のための選択マーカー、および (ヘ)所望により大腸菌用の複製起点と選択マーカー、 とからなることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】発現カセットと選択マーカーがpKD1のEcoR
    I部位に挿入されている、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】発現カセットと選択マーカーがpKD1のSac
    I部位とMst II部位で限定される197ヌクレオチドの領域
    中、又はpKD1のSph I部位に挿入されるものである、請
    求項1及び2に記載の方法。
  4. 【請求項4】構造遺伝子の発現を可能にする配列が、サ
    ッカロミセス属又はクルベロミセス属の酵母の遺伝子に
    由来するプロモーターである、請求項1から3のいずれ
    かに記載の方法。
  5. 【請求項5】これらのプロモーターがサッカロミセス属
    又はクロベロミセス属の酵母の解糖系遺伝子に由来する
    プロモーターである、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】構造遺伝子の発現を可能にする配列が、ホ
    スホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、グリセルアルデヒ
    ド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)、エノラーゼ
    (ENO)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、ラクタ
    ーゼ(LAC4)、又は酸性ホスファターゼ(PHO5)をコー
    ドする遺伝子から選択される、請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】構造遺伝子の発現を可能にする配列が、ホ
    スホグリセリン酸キナーゼ(PGK)又は酸性ホスファタ
    ーゼ(PHO5)をコードする遺伝子から選択される、請求
    項4記載の方法。
  8. 【請求項8】ヒト血清アルブミンをコードする配列の前
    に、ヒト血清アルブミンの天然N末端リーダーから選択
    されるタンパク質輸送配列がくるものである、請求項1
    から7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】ヒト血清アルブミンをコードする配列の前
    に、天然配列とは異なる輸送配列がくるものである、請
    求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】ヒト血清アルブミンの輸送シグナルをコ
    ードする配列が、酵母のαフェロモン又はキラートキシ
    ンをコードする遺伝子から得られる配列である、請求項
    9記載の方法。
  11. 【請求項11】ヒト血清アルブミンの排出を可能にする
    配列がプレプロアルブミンの天然末端リーダーである、
    請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】形質転換酵母の選択マーカーが、抗生物
    質又は銅イオンに対する耐性を付与する遺伝子から選ば
    れるものである、請求項1から11のいずれかに記載の方
    法。
  13. 【請求項13】選択性配列がG418に対する耐性を付与す
    る遺伝子である、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】選択性配列がK.lactisの線状プラスミド
    k1のORF1プロモーターとトランスポゾンTn903のアミノ
    グリコシドホスホトランスフェラーゼの融合体である、
    請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】選択性マーカーが栄養要求性を保証する
    遺伝子である、請求項1から14のいずれかに記載の方
    法。
  16. 【請求項16】菌株がK.marxianus、K.wickerhamii、K.
    waltii種のものである、請求項1から16のいずれかに記
    載の方法。
  17. 【請求項17】菌株がK.marxianus var.drosophilarum,
    K.marxiaunus var.marxianus,またはK.marxianus var.l
    actis種のものである、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】酵母がグルコースを含む培地中で培養さ
    れ、対数増殖期中期と定常期初期の間にラクトースが培
    地に添加されるものである、請求項1から17のいずれか
    に記載の方法。
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