JP3066087B2 - 固体水性電解質、それを用いた電気化学セル及びその製造方法 - Google Patents

固体水性電解質、それを用いた電気化学セル及びその製造方法

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JP3066087B2
JP3066087B2 JP2415602A JP41560290A JP3066087B2 JP 3066087 B2 JP3066087 B2 JP 3066087B2 JP 2415602 A JP2415602 A JP 2415602A JP 41560290 A JP41560290 A JP 41560290A JP 3066087 B2 JP3066087 B2 JP 3066087B2
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ウルトラセル・インコーポレイテッド
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性電気化学装置の製造
技術に関し、特に水性電解質が固体状態に保持されるよ
うな電気化学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水性電解質を有する電気化学装置が当該
技術分野に於て良く知られている。このようなセルの例
として、従来から知られているルクランシェセル、Ni
−Cd、Ni−Zn、Zn−MnO2 、Ni−H2
及びPb−酸セル等がある。これらのセルは、一般にア
ノード材料と、カソード材料と、液体水性電解質材料
と、固体セパレータとを備えている。典型的な構造に於
ては、セパレータが、電解質内に於て、アノードとカソ
ードとの間に配置されている。固体としての性質を有す
るセパレータは、アノード材料とカソード材料との直接
的な接触に対するバリアとして機能することにより自然
放電を防止する働きを果す。セパレータは、2次電池の
場合には、デンドライトの形成を防止するべく、電極間
の活性材料の移動を阻止する働きをも有する。
【0003】電解質材料が液体であることから、セパレ
ータは固体であることを必要とする。セパレータとして
有用な材料の例としては、木綿、ナイロン、ポリプロピ
レン、セルロースレーヨン紙、セルロースナイロン紙、
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ4フッ化エチレ
ン、ポリスルフォン、セロファン等がある。これらの材
料、通常、織布或いは膜状をなしている。セル内にセパ
レータを設けることが必要ではあるが、セパレータが、
液体電解質と化学的な適合性を有していない場合があ
り、電池の寿命を短縮したり、セルのインピーダンスを
増大させたり、セルの製造を複雑化かつコストアップし
てしまう等の問題を抱えている。従って、従来から、セ
パレータ材料及びセパレータ/電解質要素の性能を向上
せんとする試みが種々なされてきた。
【0004】例えば、米国特許第4,262,067号
及び同じ第4,218,280号明細書には、架橋した
膜からなる電池のセパレータが開示されている。即ち、
ポリビニルアルコール等の、フィルムを形成する材料の
水溶液が、塩基性のpH値を有する架橋材と混合され、
この混合物はモールディング或いはキャスティング等に
より所望の物理的形状を有するものとされ、このように
して得られたシート材を自己支持能力を有する形状に乾
燥され、架橋を行うために水性酸溶液内に浸漬される。
架橋した後に、完成したセパレータ材料は、KOH等の
導電性材料を含む電解質溶液内に浸漬される。この種の
セパレータは優れたセパレータとしての特徴を備えてい
るが、セパレータをKOH溶液内に浸漬した後は、得ら
れた材料は多相材料即ち固体マトリックス内に支持され
た液体の状態を呈する。また、このセパレータは製造が
困難である。
【0005】特願昭56−116274号及び特願昭5
5−105969号明細書には、アルカリ性電気化学セ
ルに用いられる、放射により硬化する材料からなるセパ
レータが開示されている。セパレータは、硬化した後
に、液体電解質材料内に浸漬され、多相電解質/セパレ
ータ材料を形成する。
【0006】非水性電解質を用いる固体アルカリ金属ア
ノードセルの技術分野に於ては、独立したセパレータを
必要としないセルが製造されている。即ち、これらのセ
ルは、アノード層とカソード層との間に挾設された固体
電解質を用いる。電解質が固体であることから、電解質
は電解質及びセパレータの両者として機能する。このよ
うなセルの例が、米国特許第4,792,504号明細
書に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ電池や鉛−酸
電池に於ては、所謂ゲル化電解質が用いられている。こ
れらの材料は、アルカリ電池の場合には、電解質の分解
を抑制するために、鉛−酸電池の場合には、自然放電を
抑制するために用いられる。このようなゲル化電解質を
用いたセルの例は、特開昭61−93544号公報、特
開昭62−164558号公報、特開昭62−2655
56号公報、特開昭62−264571号公報、特開昭
63−126174号公報、特開昭63−152881
号公報等に種々開示されている。
【0008】現在までのところ、水性電解質を用いる電
気化学セルは、独立したセパレータ材料の存在を必要と
していた。従って、水性電解質を用いる電気化学セルを
開発せんとする技術分野に於ては、独立したセパレータ
材料の存在を必要としないセルが望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、固体と
しての性質を有する水性電解質を用いる電気化学装置が
提供される。
【0010】電解質が固体であることから、セルはその
作動のために独立したセパレータを必要としない。しか
も、電解質が固体であることから、アノード層と、電解
質層と、カソード層とのみからなる積層構造をなす固体
水性電解質セルを提供することができる。固体積層構造
は、与えられた体積に対して最大限の表面積を有するよ
うな高い効率を有するセルを提供することを可能にす
る。
【0011】本発明に基づく電解質を製造するために
は、水と、活性電解質化合物と、必要に応じて重合開始
剤と、フリーラジカル重合可能なオリゴマー或いはモノ
マー等からなる、放射エネルギに曝露された時に架橋し
得る材料とを均質に混合してなるものが用いられる。こ
均質な単一相材料は放射エネルギに曝露されることに
より硬化される。このようにして得られた材料は、活性
イオン導電性電解質材料を含む固体材料を含む。電解質
材料の寸法が安定していることから、電解質材料をアノ
ード層とカソード層との間に挟設し、水性電解質を含む
が、固体のセパレータを含まない固体電気化学装置を形
成することができる。
【0012】本発明の或る実施例によれば、電気化学装
置に用いるための固体水性電解質が提供される。電解質
、イオン導電性材料と、水と、放射エネルギに曝露さ
れた時に架橋することにより硬化可能な放射硬化材料と
からなる均質の水性混合体を形成し、前記混合体が、前
記硬化材料を架橋するべく、放射エネルギに曝露され
る。
【0013】本発明の好適実施例に於ては、イオン導電
性材料はKOHを含み、電解質がアルカリ電池に用いら
れる。しかしながら、他のイオン導電性材料を特定のセ
ルの形式に応じて自由に選択して用いることができる。
例えば、酸性電解質電池に於ては、イオン導電性材料と
してH2 SO4 を用いることができる。更に、或る好
適実施例に於ては、架橋可能な材料は、放射により硬化
し得るポリカルボン酸、ポリアクリル酸或いはポリビニ
ルアルコールを含む。
【0014】硬化可能な材料の主な必要事項は、硬化に
先立って、水性イオン導電性材料及び水と混合し得るこ
とである。硬化に先立って、得られた材料は均質である
と考えられる混合体からなる。
【0015】或る実施例に於ては、硬化手段として、電
解質を電子ビーム放射に曝露する。しかしながら、紫外
線や熱線等異なる波長を有する放射エネルギを選択する
こともできる。
【0016】本発明の更に別の実施例によれば、固体水
性電解質積層電気化学セルが提供される。セルは、アノ
ード層と、カソード層と、アノード層とカソード層との
間に挾持された上記形式の水性電解質層とを備えてい
る。電解質が活性アノード或いはカソード材料を含まな
い限り、セルは自己放電することなく作動することがで
きる。
【0017】或る好適実施例に於ては、電気化学セルが
亜鉛/MnO2 アルカリセルからなるが、水性電解質
を含む他の形式のセルからなるものであっても良い。こ
のようなセルの例としては、鉛−酸セルや、Ni−H2
セルや、Ni−Cdセルがある。第2の好適実施例と
しては、Pb/PbO2 電池がある。
【0018】積層部品から電気化学セルを形成すること
により、部品をなす層の単位体積当りに最大限の表面積
を得ることができる。その結果、セルの電子的及びイオ
ン的効率が高まり、従来技術に基づく同様の大きさのセ
ルに比較してより高い電力を得ることができる。
【0019】本発明の別の実施例によれば、水性電解質
を備える固体積層電気化学セルを製造する方法が提供さ
れる。この方法は、イオン導電性材料と、水と、放射エ
ネルギに曝露された時に架橋し得る放射硬化材料とから
なる水性混合体をアノード組成体に塗布する過程と、カ
ソード組成体を前記水性混合体に塗布してセルアセンブ
リを形成する過程と、前記セルアセンブリを放射エネル
に曝露することにより前記水性混合体の前記硬化材
を架橋させる過程とを有することを特徴とする。
【0020】この方法によれば、セルに、独立したセパ
レータを必要とすることなく、薄い層を用いた水性電解
質積層セルを製造することができる。
【0021】このようには本発明の主な目的は、イオン
導電性の材料及び水を含む固体電解質を提供することに
ある。
【0022】本発明の別の目的は、独立したセパレータ
を含まない固体水性電解質積層電気化学セルを提供する
ことにある。
【0023】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を詳しく説明す
る。尚、以下の記載に於て説明の便宜のために特定の用
語が用いられるが、これらの用語は、言及された実施例
に限らず、実質的に同一の機能を果し、実質的に同様の
結果を同様の要領をもって達成するようなすべての技術
的均等物に及ぶものであることを了解されたい。
【0024】本発明は、固体水性電解質を提供する。電
解質は、イオン導電性材料と、水と、放射エネルギに曝
露されることにより硬化可能な放射硬化材料と、紫外線
の照射或いは熱が用いられた場合には更に開始剤とを
に混合することにより製造される。次に、硬化材料を
放射エネルギに曝露し、架橋させることにより、固体を
形成し、特にアモルファスな固体を形成する。特に、こ
れらの材料が互いに溶解或いは混合可能であって、均質
な混合体を形成することが重要である。当業者には容易
に理解できるように、選択されたイオン導電性材料は、
選択された放射エネルギにより硬化可能な放射硬化材料
と溶解可能或いは混合可能であることを必要とする。
【0025】イオン導電性材料として、電解質として現
在市販されている酸、塩基材料或いは中性塩を用いるこ
とができる。これらの材料は、一次アルカリ電池、Ni
−H2セル、Ni−Cdセル等の場合には、KOH、鉛
−酸セル等の場合には、H2SO4 、ルクランシェセル
等の場合には、水酸化第4アンモニウムなどの第4級電
解質、水性ZnCl2 、NH4 Cl等からなるもので
あって良い。その他の材料としては、NaOH、LiO
H、水酸化第4アンモニウム、H3 PO4、HNO3
及びHClO4 などがある。
【0026】放射エネルギにより硬化可能な材料として
は、放射エネルギに曝露された時に硬化可能であって、
水性イオン導電性材料及び水と均質混合体を形成し得る
任意の材料を用いることができる。一般に、このような
材料は、連鎖反応によりフリーラジカル重合を行う。放
エネルギにより硬化可能な放射硬化材料の好適例とし
ては、アクリル酸、アクリル系材料、高分子アルコール
材料、エポキシ材料、高分子イミン材料及びウレタン材
料等がある。
【0027】アルカリ電池として好適な、放射により硬
化可能なポリマーとしては、ポリアクリル酸等のポリカ
ルボン酸類がある。ポリカルボン酸のカルボン酸基は、
有機高分子鎖に結合されていることを要し、ポリカルボ
ン酸要素はグラフト共重合体或いはブロック共重合体で
あっても良い。ポリカルボン酸はアクリル酸、メタクリ
ル酸、エタクリル酸、アルファ−クロロアクリル酸等の
不飽和カルボン酸モノマーを単独重合させることにより
得ることができる。ポリアクリル酸の高分子鎖は、殆ど
或いは全てポリスチレンからなるポリマーの一部に結合
されたポリカルボン酸高分子鎖とポリマーを形成する重
合反応に際して、共重合用モノマーの比を調整すること
により、スチレン及びアクリル酸等から得られるポリマ
ー内に含まれるものとすることができる。ポリカルボン
酸はアクリル系列のモノカルボン酸を、スチレン、ビニ
ルトルエン、安息香酸ビニル、塩化ビニル、イソブチレ
ン、メタクロレイン、酢酸ビニル等、重合可能なビニル
或いはビニリデン化合物と共重合させることにより得る
ことができる。また、ポリカルボン酸を、ポリビニルア
ルコール、部分的に加水分解された酢酸ポリビニル等多
数のヒドロキシル基を含むポリマーをカルボキシアルキ
ル化することにより得ることができる。カルボキシアル
キル化は、アルカリ触媒の存在下に於てクロロアセトル
酸(chloracetric acid)と反応を行い、ニトリル基を
加水分解することにより得ることができる。ポリカルボ
ン酸の誘導体を、それぞれについて、放射により引起さ
れる架橋を連鎖反応として行うことができるか否かを判
定しなければならない。
【0028】米国特許第4,830,939号明細書に
開示されているアクリル材料を用いることもできる。必
要に応じて、これらの特許明細書を参照されたい。
【0029】アルカリ電池の用途に適する放射エネルギ
(以下、単に「放射」ともいう)により硬化可能なオリ
ゴマー或いはモノマーの好適実施例として、酸性部分
(moiety)があり、そのようなものとしては、フ
ェノール及びスルホン酸誘導体がある。その前者の例と
しては、4−ヒドロキシスチレンがあり、後者の例とし
てはCH2 =CHCOOCH2 CH2 CH2 SO3 Hが
ある。
【0030】放射により硬化可能な高分子アルコールの
例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール及びそれらのカルボン酸塩誘導体がある。後者の
高分子アルコールは塩基性溶液内に於て用いることがで
き、純粋なポリビニルアルコールは、酸性溶液内に於て
のみ用いることができる。即ち、ポリビニルアルコール
はH2 SO4 等の酸性のイオン導電性材料とのみ用い
ることができ、KOH等のような塩基性の水性イオン導
電性材料と組合わせて用いることができない。
【0031】放射により硬化可能なエポキシ材料の例と
しては、Henkel Photomer3038等の
単官能基及び2官能基アクリルエポキシがある。放射に
より硬化可能な高分子イミン材料としてはポリエチレン
イミンがある。この材料は、酸性の水性イオン導電性材
料と組合わせて用いるのに適する。放射により硬化可能
なウレタン材料として、Henkel Photome
r6140等の2官能基アクリルウレタン或いは3官能
基アクリルウレタン等がある。
【0032】均質な混合体の第3の要素は水である。実
用上、混合体の組成の重量比は、約5〜15部のイオン
導電性材料、10〜25部の放射エネルギにより硬化可
能な材料及び残余量の水となっている。それぞれの量
は、最大限のイオン導電性及び最大限の化学的安定性を
得るように適宜最適化される。上記した3つの要素に加
えて、必要に応じて他の材料を混合体に加えることがで
きる。例えば、混合体が紫外線に曝露することにより硬
化される場合には、紫外線開始剤を、通常0.1〜0.
5重量%程度の少量添加することができる。同様に、混
合体を熱により硬化する場合には、熱的開始剤を混合体
に加えることができる。水溶性の開始剤としては、過硫
酸カリウム、K228 或いはV−50、VA−04
4及びVA−088等テキサス州ダラスに所在するWa
ko Chemicalsにより市販されたいくつかの
アゾ化合物がある。当業者であれば、他にも使用可能な
添加剤があることを理解されよう。
【0033】均質な混合体が形成されると、この混合体
放射エネルギに曝露され、放射エネルギにより硬化可
能な放射硬化材料が硬化する。好適実施例に於ては、選
択されるべき放射エネルギは、適当な波長及び強度を有
する電磁波からなるものであって良いが、実用上はエッ
クス線、ガンマ線、可視光、紫外線、電子ビーム及び熱
線が好ましい。放射エネルギの量は、硬化可能な放射硬
材料が曝露された時に完全に架橋し得る程度に定めら
れる。例えば、電子ビーム照射源を用いた場合には約1
4Mradsを照射した場合に所望の最終製品を得るこ
とができる。すなわち、本明細書において「放射エネル
ギ」とは、本明細書に記載の放射硬化材料をその放射エ
ネルギに曝露した場合に該放射硬化材料に架橋を形成し
て硬化するに適したエネルギであり、例えば、適当な波
長及び強度の電磁波、より好ましくは、エックス線、ガ
ンマ線、可視光、紫外線、電子ビーム及び熱線等であ
る。
【0034】製造された電解質は、コンデンサ、セン
サ、電気化学セル等多数の実用的な用途に用いることが
できる。特に好適な実施例に於ては、電解質がアノード
層及びカソード層と共に用いられ、高い効率を有する水
性電解質を用いた積層固体電気化学セルを実現すること
ができる。水性電解質固体電気化学セルを製造するため
には、活性アノード材料を含むアノード層が必要とな
る。活性アノード層材料は通常導電性の金属フォイル部
材或いは電着の手段その他により導電性金属膜が被着さ
れた基層からなる。市販されているアノード材料として
は、アルカリ電池の用途に於ては亜鉛或いはカドミウム
があり、鉛−酸セルの用途に於ては鉛があり、Ni−H
2 セルの用途に於てはLaNi4.7 Al0.3 等の水素吸
収アモルファス合金がある。
【0035】アノード層の電子的及びイオン的効率を更
に改善するために、アノード層に、本発明に基づく電解
質と、活性アノード材料に加えて、カーボン等の非活性
な導電性材料を含む複合アノード層として形成するのが
好ましい。本発明に基づく電解質及び導電性材料は、活
性アノード層と混合したり、活性アノード層材料を含む
基層上に直接塗布し、その後に電解質の放射により硬化
可能な材料を架橋により硬化することにより得られる。
活性アノード材料を含む基層上に電解質材料を塗布する
際には、任意の塗布方法を用いることができる。適当な
塗布方法としては、ロッドコーティング、ロールコーテ
ィング、ブレードコーティング等がある。硬化した後
に、活性アノード材料を含む基層は、その表面に水性イ
オン導電性ネットワークが付着した状態となる。これに
より、アノード層支持体と電解質との間の密接な接触が
可能になるばかりでなく、これをカソード層と組合わせ
る後段の製造過程に際して、下側に位置するアノード支
持面を損傷から保護することができる。複合カソード層
として、活性カソード材料を含む基層或いは活性カソー
ド材料からなる基層を用いることができる。活性カソー
ド材料は、通常、イオン導電性材料及び導電性材料の両
者を含む。活性カソード要素として用いられるイオン導
電性材料は公知のものであって良い。そのような材料の
例としては、アルカリ電池の用途に於てはMnO2
あり、鉛−酸セルの用途に於てはPbO2があり、Ni
2 セルに於てはNiOHがあり、Ni−Cdセルの
用途に於てはCdOがある。導電性添加剤としては、グ
ラファイト、カーボンブラック、ポリピラール(polypy
rol)及びポリアセチレン等のポリマーがある。ステン
レス鋼 のフォイルに被着されたMnO2 や、ニッケ
ルフォイル上に電気メッキされたPbO2 等、電解メ
ッキによるカソードを用いることもできる。
【0036】上記したアノード層の場合と同様に、複合
カソード層のイオン的及び電子的効率を改善するため
に、本発明に基づく電解質を、活性カソード層材料に直
接添加したり、活性カソード材料を含む基層上に塗布す
ることができる。実用上は、活性カソード材料と電解質
との混合体を形成して、この混合体を放射エネルギに曝
露させ、混合体を硬化させることにより特に好適になカ
ソード層が得られる。
【0037】完成した電気化学積層セルを得るために、
本発明に基づく電解質は、カソード層とアノード層との
間に挾設され、アセンブリ全体が放射エネルギに曝露さ
れ、電解質を硬化させる。特に好適な実施例に於ては、
アノード要素層及びカソード要素層がそれぞれ或る量の
本発明に基づく電解質を含んでいる。
【0038】このセルを製造するためには、先ずアノー
ド層に対するコーティングを行う。実用上は、所望に応
じて電解質及び導電性材料を含むアノード層の厚さは約
25〜200ミクロンである。このアノード層は極めて
平坦であることを要し、電解質を介してアノード層をカ
ソード層に対して短絡させるようなことがあってはなら
ない。場合によっては、アノード層が金属フォイルから
なるために、このような薄いコーティングステップが不
必要となる。
【0039】それに続いて本発明に基づく電解質がアノ
ード層の表面に塗布される。塗布される液体が比較的高
い粘性を有するため、活性アノード材料は電解質層内に
向けて突出することがない。電解質層の厚さは比較的薄
く、ここで注意しなければならないのは、電解質の上面
が何等の活性アノード材料を含んではならないことであ
る。電解質層の厚さは25〜200ミクロンである。
セルのエネルギ密度を最大限にするために、電解質の厚
さを最小限に保たなければならない。最小限の厚さは、
電解質が、短絡を回避し得るものであって、また電解質
が放電時に発生する金属カチオンのための貯留部として
機能する要請により定められる。
【0040】電解質層がアノード層に塗布された後、所
望に応じて電解質材料を含むカソード層が電解質層上に
塗布される。電解質が粘性を有するため、活性カソード
材料は塗布された時に、電解質層の上面の内部に突入す
ることがなく、活性アノード材料が活性カソード材料に
直接接触することがない。カソード層が、活性カソード
材料と電解質材料との混合体からなる実施例の場合、カ
ソード層は高い粘性を有する液体として塗布される。実
用上は、カソード層の厚さは約75〜200ミクロンで
ある。
【0041】3つの層が、アセンブリを形成するべく全
て塗布された後、アセンブリ全体が放射エネルギに曝露
され、電解質を架橋させる。或いは、各層を個別に製造
し、熱、圧力等を用いて互いに接着させることもでき
る。しかしながら、電解質材料が、イオン導電性を提供
することに加えて、層間の接着を助けることから、アセ
ンブリ後に硬化を行うことにより、各層間の良好な接着
を達成し得ることが見い出された。
【0042】導電性を一層改善するために、カソード要
素層を電流コレクタ上に塗布し、電流コレクタが、電解
質に対向するようカソード表面に位置するようにするこ
とができる。電流コレクタ材料は公知であって、固体及
び多孔質材料を含む。電流コレクタとして用いる材料と
しては、カーボン、銅、アルミニウム、ニッケル、鋼、
鉛及び鉄或いはそれらの混合物がある。また、カーボン
等の導電性材料が大量に加えられたポリマー基層を用い
ることもできる。実用上は、電流コレクタの厚さは約5
〜25ミクロンである。
【0043】更に、容易に理解されるように、セルを製
造するために他の組合わせを用いることもできる。例え
ば、アノード層上に電解質層を塗布し、それに引き続い
て電解質上にカソード層を塗布することによりセルを形
成する代りに、塗布順序を逆にすることもできる。
【0044】更に、全体的なセルのイオン的及び電子的
効率を改善するために他のプロセスステップを用いるこ
ともできる。例えば、活性アノード或いはカソード材料
と電解質層との間の接触状態を改善するために、セルを
構成する層のいずれかを圧力ロールを用いて処理するこ
とができる。積層セル層を圧力ロールにより処理するこ
とをもって接着状態及び電気的及びイオン的効率を改善
する技術については、1989年4月25日に出願され
た米国特許出願第343,976号明細書を参照された
い。更に、層間の接着状態を改善するために複数の曝露
ステップを用いることもできる。例えば第1の曝露ステ
ップを、アノード層上に電解質を塗布した後に行い、第
2の曝露ステップを電解質層上にカソード層を塗布した
後に行うことができる。この技術も前記した米国特許出
願第343,976号明細書に記載されている。
【0045】上記した方法は、塩基性及び酸性領域の両
者を含むハイブリッド電池を製造するためにも用いるこ
とができる。これは、電池の要素が、固体マトリックス
が硬化した後に殆ど移動不可能な状態になることによる
ものである。このような電池は、亜鉛アノード、塩基性
電解質、酸性電解質及びPbO2 カソードを含む。こ
の種のセルの動作原理は、プロトンの伝導によるもので
ある。
【0046】本発明を次の非限定的な実施例について更
に詳しく説明する。 例1 電解質活性材料としてKOHを含む固体アルカリ電池を
製造するために次の手順を用いた。33.3部のMnO
2 、16.7部のカーボン、5.55部のKOH、1
1.1部のポリアクリル酸(MW=150,000)及
び33.3部の水を含むカソード組成体を、約10ミク
ロンの厚さを有するニッケル電流コレクタ上に75ミク
ロンの厚さをもって塗布した。カソード組成体は、2m
Aの電流及び175KeV(照射量=7.2Mrad
s)の電圧からなる設定状態をもって電子ビームに曝露
することにより硬化させた。約50ミクロンの厚さと、
30°Cに於いて、約3,500cpの粘性度を有し、
22.2部のポリアクリル酸(MW=150,000)
と、11.1部のKOHと、66.7部の水とからなる
電解質層が、カソード組成体層上に塗布され、アセンブ
リは7.2Mradsの照射量をもって硬化され、電解
質層をゲル状の粘着状態にした。3.5cm角のポリプロ
ピレンマスクが、電解質層と約50〜100ミクロンの
厚さを有する亜鉛アノードとの間に挾設され、4cm角の
オーバーコート層が電解質層の表面に形成された。電解
質層は、亜鉛アノードをセルの他の部分に接着するのに
十分な接着力を発生した。65KHzに於けるセルのイ
ンピーダンスは0.22オームであって、1.04Hz
に於けるインピーダンスは37.8オームであって、硬
化した電解質の導電率は1.4×10-2/オーム・cm
(22°C)であった。
【0047】例2 例1と同様の手順が繰り返されたが、電解質は12.5
部のポリアクリル酸(MW=150,000)と、9.
7部のポリアクリル酸(MW=25,000)と、1
1.1部のKOHと、66.7部のH2 Oとを含み、
カソード層は40.91部のMnO2 と、9.09部
のカーボンと、5.55部のKOHと、11.1部の上
記した電解質と、33.3部のH2 Oを含むものであ
った。65KHzに於けるセルのインピーダンスは0.
34オームであって、1.04Hzに於けるセルのイン
ピーダンスは51.2オームであった。
【0048】例3 鉛−酸電池に用いるために、9.1部のポリビニルアル
コール、9.1部のH2 SO4 と、81.8部のH2
Oとを含む電解質層をなすべき組成体が調製された。
ポリビニルアルコールは、1mAの電流及び170Ke
Vの電圧に於ける電子ビームに曝露することにより架橋
させた。このようにして得られたフィルムの室温に於け
る導電率は約10-3(オーム・cm)-1であった。この電
解質は、金属フォイル上に電着されたPbO2 を含む
カソード層と、鉛フォイルを含むアノード層との間に挾
設された。この電池を約2ボルトの電位に充電すること
が可能であった。
【0049】以上本発明の特定の実施例について説明し
たが、当業者であれば、本発明の概念から逸脱すること
なく種々の変形変更実施例に思い至り得ることを了解さ
れたい。また、本明細書に於て言及された全ての刊行物
及び特許明細書は、言及されたことにより、本明細書の
一部をなすものと了解されたい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 6/22 H01M 6/22 B Z 10/10 10/10 Z 10/26 10/26 (72)発明者 デニス・ジー・フォートー アメリカ合衆国オハイオ州・モンゴメリ ーカウンティー・センタービル (番地 なし) (56)参考文献 特開 昭64−54602(JP,A) 特開 昭49−6417(JP,A) 特開 昭62−66235(JP,A) 特開 昭61−203564(JP,A) 特開 昭63−110553(JP,A) 特開 昭59−16270(JP,A) 実開 昭61−8850(JP,U) 特公 昭51−48252(JP,B2) 「岩波理化学辞典第3版増補版」P. 966〜967,P.1444

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層固体水性電気化学セルであって、 (a)アノード層と、 (b)カソード層と、 (c)前記アノード層と前記カソード層との間の固体水
    性電解質層とを有し、前記固体水性電解質層は、イオン
    導電性材料と放射エネルギに曝露されたときに架橋形成
    が可能な放射硬化材料と60乃至85重量%の水とから
    なる均質な水性混合体を放射エネルギに曝露して前記放
    射硬化材料に架橋形成して生成された材料より成り、前
    記水性混合体は、前記イオン導電性材料と前記放射硬化
    材料の錯体を含まないことを特徴とする電気化学セル。
  2. 【請求項2】イオン導電性材料、放射エネルギに曝露さ
    れたときに架橋形成が可能な放射硬化材料、及び60乃
    至85重量%の水からなる均質な水性混合体であって、
    前記イオン導電性材料と前記放射硬化材料の錯体を含ま
    ない該水性混合体を作成する過程と、 カソード層とアノード層の間に前記水性混合体を挟設す
    る過程と、 前記カソード層と前記アノード層と前記水性混合体から
    成るセルアセンブリ全体を放射エネルギに曝露して前記
    放射硬化材料に架橋形成して前記水性混合体を固体水性
    電解質に硬化する過程とよりなることを特徴とする積層
    固体水性電解質電気化学セルを製造する方法。
  3. 【請求項3】イオン導電性材料、放射エネルギに曝露さ
    れたときに架橋形成が可能な放射硬化材料、及び60乃
    至85重量%の水からなる均質な水性混合体であって、
    前記イオン導電性材料と前記放射硬化材料の錯体を含ま
    ない該水性混合体を作成する過程と、 アノード組成体の上に前記水性混合体を塗布する過程
    と、 前記水性混合体の上にカソード組成体を塗布してセルア
    センブリを形成する過程と、 前記セルアセンブリを放射エネルギに曝露して前記硬化
    可能材料に架橋形成して前記水性混合体を固体水性電解
    質に硬化する過程とよりなることを特徴とする水性電解
    質を有する固体積層電気化学セルを製造する方法。
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