JP3062655B2 - ねじ締め装置 - Google Patents

ねじ締め装置

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JP3062655B2
JP3062655B2 JP9144179A JP14417997A JP3062655B2 JP 3062655 B2 JP3062655 B2 JP 3062655B2 JP 9144179 A JP9144179 A JP 9144179A JP 14417997 A JP14417997 A JP 14417997A JP 3062655 B2 JP3062655 B2 JP 3062655B2
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俊彦 佐々木
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株式会社ワコー技研
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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ねじ(ボルト、
ナット)の締結(締め付け作業及びゆるめ作業をも含
む)に使用するねじ締め装置に関し、特に、永久磁石式
同期モータを利用した小型軽量かつ安全でトルク絶対値
及び精度の管理可能なねじ締め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、モータはモータの発生する速度及
び/又はトルクを利用して産業界に広く用いられてい
る。また、デジタル技術の進歩により電流ベクトル制御
が可能になり、速度及びトルクをそれぞれ望む値に制御
する技術も知られて来た。ここで、永久磁石式同期モー
タ(以下、「PMモータ」と呼ぶ)の制御方法を復習す
ると、d−q軸座標で表したPMモータの電圧方程式及
びトルクは次式で与えられる。
【数1】
【数2】 T=Pn・Ψa・iq+Pn(Ld−Lq)id・iq …(2) 但し、id、iqは電機子電流のd、q軸成分、vd、
vqは電機子電圧のd、q軸成分、Ψa=√3/2・Ψ
fでΨfは永久磁石による電機子鎖交磁束の最大値、R
は電機子抵抗、Ld、Lqはd、q軸インダクタンス、
p=d/dt、Pn:極対数である。また、インバータ
で駆動されるPMモータでは、使用できる電機子電流I
a及び端子電圧Vaに物理的上限があり、ここではその
制御条件を次式で表現する。
【数3】 Ia=√(id2+iq2)=√3Ie≦Iamc又はIami… (3)
【数4】 Va=√(vd2+vq2)=Vt≦Vam … (4) 但し、Ieは相電流の実効値であり、Vtは線間電圧の
実効値である。また、Iamcは連続運転状態でのモー
タの定格電流であり、Iamiは短時間的にインバータ
の供給できる最大電流である。更にまた、Vamはイン
バータの電源電圧で規定される最大供給電圧である。し
かして、PMモータを電流ベクトル制御する方法は種々
の方法が知られている。先ず、id=0制御は、d軸電
流指令値id*を常に0に保つ制御法で、PMモータの
制御方法として最も一般的であり、この時の発生トルク
【数5】 T=Pn・Ψa・iq … (5) となり、q軸電流指令値に比例する。また、永久磁石の
経時変化及び/又は温度変化によりΨaが変化し、トル
ク絶対値が変動する第1原因である。次にPMモータが
突極機の場合には、Ld≠Lqとなり、数2により生じ
るリラクタンストルクを有効利用することが可能とな
り、同一電流で最大のトルクを得るように電流ベクトル
を制御すると効率良く、d、q軸電流の関係は次式で与
えられる。
【数6】 id=0.5*Ψa/(Lq−Ld)−√(0.25*Ψa2/(Lq−Ld )2+iq2) … (6) 更にまた、モータを6000〜15000rpm等の高
速回転領域で運転したい場合には、モータの端子電圧が
速度の上昇に伴い逆起電圧ωΨaと共に増加し、数4の
条件を満たすことができなくなり、物理的運転限界に至
る。一般に、数4の条件のもとで速度制御範囲を拡大す
るには、弱め界磁制御が用いられる。一般に、永久磁石
で界磁磁束を得るPMモータの場合、界磁磁束は固定さ
れているので磁束の大きさを変えることができない。そ
こで、d軸電機子反作用による減磁作用を利用して空隙
磁束を減少させる弱め磁束制御を行うと、弱め界磁制御
と等価な効果が得られ、この効果を本発明では等価弱め
界磁制御と呼ぶ。制御の簡単化のために電圧制限条件式
4を次のように変換する。
【数7】 V0=√(vd02+vq02)≦V0m … (7) 但し、vd0=−ωLq・iq vq0=ωΨa+ωLd・id V0m=Vam−R・Iam 数7より等価弱め界磁制御の条件は次式のようになる。
【数8】 id=−Ψa/La+√(V0m2/ω2−Lq2*iq2)/Ld…(8) この場合、V0=V0mとなり端子電圧はVam以下に
制限され、高速運転が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
なモータのベクトル制御では、ロボットに使用されるサ
ーボモータのように電圧が制限値に達しない速度領域で
は、トルク一定制御や同一電流に対して発生トルクが最
大となるように電流ベクトルを制御する最大トルク制御
が当然の制御方法として採用され一般に議論されている
が、ここで議論しているトルク一定制御や最大トルク制
御とはトルク制御と呼んでいるが、実際には所与のトル
ク条件のもとでモータの速度をいかに所望の運転パター
ンに近づけるかということが制御の目標となっており、
トルク制御の精度より速度制御の精度を重視した、この
発明で定義する速度優先制御方法が議論されているに過
ぎない。すなわち、モータの使用方法には、モータの速
度制御の精度を重視した使用方法と、モータの発生する
トルク絶対値の大きさや精度を重視した使用方法とがあ
り、一般的にはモータのトルク精度より位置や回転速度
の検出精度の方が高く容易であるので、速度優先制御方
法及び装置が当然のこととして使用されていた。そし
て、速度優先制御の中でのトルク制御が議論されて来
た。しかしながら、ねじ締め作業等にモータを使用する
場合には、ねじ締め作業の品質はモータの速度制御の精
度をどのように向上させても改善できず、モータの生成
トルクの絶対値トルク精度がねじ締め作業では決定的に
重要となる。従って、モータの速度制御の精度とトルク
制御の精度とを明確に区別してそれぞれ優先順位を付
け、速度精度優先制御とトルク精度優先制御とを区別し
て各運転状態に応答して適宜切替えて制御していく方法
及び装置は一般に知られていなかった。より具体的に説
明すると、一般に、ねじ締め装置においては、ボルト/
ナットが着座するまでは高速回転(低トルク)が必要で
あり、締付け時(ボルト/ナットが着座後)には低速回
転高トルクが必要である。しかして、上述の高速回転数
は通常8000〜15000rpmの速度となり、締付
け時の低速度は0.1〜60rpmとなるので、0.1
〜15000rpmの広い速度制御範囲において、減速
器の切替えや、モータタップの切替えを行わず同一のハ
ードウェア構成で上述の速度制御範囲をカバーできるね
じ締め用モータは従来一般的ではなかった。そこで、従
来はエアー駆動のねじ締め装置が使用されていたが、エ
アー式ねじ締め付けトルクは機械的なトルクリミット機
構によりトルクを調整しているので、個々のねじの間の
締付けトルクのばらつきが大きく、実際の締付けトルク
データの記録を自動的に収集管理することができず、締
付けトルク値の自動変更もできないといった問題点があ
った。また、自動車のねじ締めには、締め付けトルク精
度が要求されるため、近年サーボモータを使用したナッ
トランナが使用されるようになったが、ナットが結合部
に着座するまでの空回り期間中は、作業時間を短縮する
ため、出来る限り高速で回すことが求められる。他方
で、締め付けトルクを上げるため、一般的に減速機が使
用される場合が多く、モ−タの回転数は6000〜15
000rpmの高速となり、この高速回転を実現するた
めには高いモ−タ供給電圧が必要で、一般的に電源とし
てAC200V動力系が使用されている。このサ−ボ式
のナットランナを手持ちのハンドツ−ルとして使用する
には、モ−タケ−ブルがAC200Vの動力系統に接続
されているため、作業者が200Vで感電する危険があ
り、また減速機の並設のためハンドツ−ルの重量が重く
なり作業性が劣る等の問題点もあった。この発明は上述
のような事情に鑑みてなされたものであり、この発明の
目的は等価弱め界磁制御により、モータの速度制御範囲
を拡大すると共に、モータのトルク制御精度と速度制御
精度との間に優先順位を付け、速度制御精度を高めたい
場合にはトルク精度より速度精度を重視したモータの制
御を行い、トルク制御精度を高めたい場合には速度精度
よりトルク精度を重視したモータの制御が可能なモータ
の制御方法及び装置を提供することにある。また、この
発明の目的は、永久磁石式同期モータを利用した小型軽
量かつ安全でトルク絶対値及びトルク精度の管理可能な
ねじ締め方法及び装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、ねじ締め機
構と、当該ねじ締め機構を駆動するモータと、当該モー
タの駆動用電源部と、当該モータの動作制御を行う制御
手段とを具えたねじ締め装置に関し、この発明の上記目
的は、前記モータに永久磁石式同期モータを使用し、前
記制御手段内に前記モータの速度制御部と、トルク制御
部とを設け、前記速度制御部において速度優先制御を行
う場合、等価弱め界磁制御部を設け、当該ねじが着座す
るまでの期間、当該モータの速度制御範囲を電流ベクト
ル制御して、拡大することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施例を
図面を用いて説明する。図1は、この発明のモータ制御
方法及び装置を締付けトルク絶対値及びトルク精度の管
理可能なねじ締め装置に用いた構成例を示したもので、
ねじ締め部10はナット1を保持するスパナ2、駆動軸
3及びトルクセンサ4及びギア5aで構成されたねじ締
め機構5と、これを駆動するSm−CoやNd−Fe−
B材で永久磁石ロータ部が構成されたPMモータ6及び
エンコーダ、レゾルバ等の位置(角度)センサ8で構成
され、PMモータ6の電源は電源ケーブル12aを介し
て整流器16及びインバータ18で構成された電源部1
4に接続され、PMモータ6の制御信号等は信号ケーブ
ル12bを介して制御手段40に接続されるようになっ
ている。更に、制御手段40は通信部41及び運転制御
部42から構成され、通信部41はRS−232Cやイ
ーサネット等の通信回線を介してモータパラメータ、運
転パラメータ等を記憶するパソコン20に接続されるよ
うになっている。また、運転制御部42の内部には、信
号ケーブル12bからのセンサ信号等を入力してモータ
の運転状態を監視判定する運転状態判定部44や、モー
タ6の運転パターンを記憶すると共に生成する運転パタ
ーン発生部50が設けられ、モータの運転パターンとし
ては、アイドリング加速パターン部52、着座迄の減速
パターン部54、締付トルクパターン部56、ゆるめト
ルクパターン部58等にそれぞれモータの加減速の速度
/トルクパターンや、ねじ締め/ゆるめ作業で使用する
締付/ゆるめトルクパターンが記憶され、モータの運転
状態の変化やトルクセンサの出力変化に応答して運転パ
ターン切替部51によりモータの運転パターンが適宜切
替えられるようになっている。しかして、運転パターン
発生部50からは速度制御部60に速度指令ωr*が出
力され、トルク制御部100にトルク指令tr*が出力
され、速度制御部60又はトルク制御部100からそれ
ぞれ出力される、dq軸電流指令id*及びiq*はス
イッチ手段78で切替選択されて電流制御部80に入力
され、非干渉化された後、dq軸座標からu、v、w座
標に変換され、ドライバ92を介してPWMインバータ
18を駆動し、PMモータ6を制御するようになってい
る。
【0006】図1に対応させて示す図2はこの発明のモ
ータ制御部の構成を更に詳細に示したブロック図であ
り、それぞれ同一の番号を付した装置はそれぞれ同一の
機能を果たすと共に、速度制御部60には位置(角度)
センサ8の出力等を演算処理してモータ6の実速度ωr
を出力する速度検出部62が設けられ、その出力は運転
制御部42から出力される速度指令ωr*と共に加減算
器64に入力されて速度偏差が演算され、その出力はP
I補償器66及びリミッタ68によりq軸電流指令iq
*に変換されるようになっている。また、界磁制御部7
0はq軸電流指令iq*及び実速度ωrを入力してd軸
電流指令id*を演算するd軸電流指令演算部72と、
突極形PMモータの場合、q軸インダクタンスLqの大
きさを補正して界磁部の磁気飽和を補正する磁気飽和補
正部74とから構成され、その出力id*はスイッチ手
段78を介して電流制御部80の非干渉電流制御部86
に入力されるようになっている。またトルク制御部10
0では、比例器102を介してモータ出力トルクtrが
演算されると共に、運転制御部42からトルク指令tr
*が出力され、これらが加減算器104に入力されてト
ルク偏差が演算され、PI補償器106とリミッタ10
8を介してq軸電流指令iq*が出力されるようになっ
ている。又、d軸電流指令id*はトルク制御部100
からはid*=0で出力されるとする。そして、運転制
御部42からスイッチ手段78に出力される選択信号t
vcにより速度優先制御の場合には速度制御部60の出
力iq*、id*が選択され、電流制御部80に入力さ
れ、トルク優先制御の場合にはトルク制御部100の出
力iq*、id*が選択されて電流制御部80に入力さ
れるようになっている。しかして電流制御部80は、位
置(角度)センサ8の出力を入力してモータ6の現在位
置θを演算する位置(電気角)検出部82と、その出力
θ及びu、v相電流を入力してdq軸電流id、iqを
演算する座標変換部84と、電流偏差(id*−i
d),(iq*−iq)をPI補償すると共に、干渉項
とΨaによる逆起電力を補償し電圧指令ベクトル(vd
*,vq*)を演算出力する非干渉電流制御部86と、
電圧余裕の少ない弱め界磁運転領域で発生する飽和電圧
ベクトル指令値を補正する電圧ベクトル補正部88と、
dq座標電圧からuvw座標電圧へ変換する座標変換部
90とで構成され、速度制御部60、電流制御部80、
トルク制御部100は一般にデジタルシグナルプロセッ
サ(DSP)のソフトウェア処理でその動作が実行され
るようになっている。
【0007】かかる構成において、その動作を次に説明
する。先ず、運転パターン発生部50に記憶する加減速
運転パターン及び締付/ゆるめトルクパターンに関して
説明する。ここで、ねじ締め分野で一般的に使用されて
いる「トルク勾配法」に基づくねじ締め方法を説明する
と、これはねじ締付け過程中におけるナットの一定微小
回転角当りの締付けトルクの増分(トルク勾配)を制御
手段により計算してボルトねじ部の降伏現象を検出し、
ボルト軸力が降伏域に入ったところでナット回転を停止
するという締付け方法である。図4(a)はナット回転
角θに対する締付けトルクTfの変化曲線、図4(b)
はこの曲線の勾配△Tf/△θのθに対する変化を描い
たもので、締付けの初期段階で△Tf/△θが増大して
いる範囲がいわゆる「スナグ域」、ほぼ一定に保たれて
いる範囲が弾性域、一定値から減少に転じるところでボ
ルトが降伏し、そこから先が降伏域となる。制御手段で
θが△θ経過する毎に△Tf/△θの値を演算し、この
値が(△Tf/△θ)maxの例えば1/2になったθ
位置でナット回転を停止することで、トルク勾配法によ
る塑性域締付けがなされる。次に「ナット回転角法」に
基づいたねじ締め方法を説明すると、これはボルト・ナ
ット間の相対的回転角を指標として締付け軸力を管理す
る方法で、塑性域締付けのナット回転角法はナット回転
角そのものが大きく、この間のボルト軸力の変化が少な
いので、締付けの際与えたナット回転角に誤差があって
もそれが締付け軸力のばらつきに及ぼす影響が小さく、
かつ、最大の締付け軸力を発生することができるねじ締
め方法である。ナット回転角法では同じ仕様のボルトで
あっても、生産ロットが違えば降伏軸力、極大軸力等が
異なるので、生産ロット毎に予備試験を行って使用する
ボルト、ナット及び座金の組について回転角θ−軸力F
s線図を求め、この線図からナット回転の開始点を与え
る「スナグトルク値Ts」及びナット回転の停止点を与
える「ナット回転角の目標値θn」を演算する。別途実
験装置によりナット回転角θを横軸、締付け軸力Fsを
縦軸としてこれらの測定値をプロットすると図5のよう
な「OSYUT」なる線図が得られる。ここで、Oは座
標の原点、Yは降伏点、Uは極大点、Tはボルトの破断
点である。点Sは立ち上がりの曲線が直線へ移行する点
で「スナグ点」と呼ばれる。スナグ点Sの前後ではθを
小刻みに変化させ、点Sの位置を精度良く求める。点C
は、直線SYの延長線と、点Uを通る横軸に平行な直線
との交点である。ボルト・ナット系の弾性伸び及び被締
付け部材の弾性縮みは塑性域においても存在し、両者の
弾性変形に基づくナットの回転角は、点Cの横座標θC
と点Yの横座標θYとの差(θC−θY)として与えら
れる。また、点Yから点Uまでの間に生ずるボルト・ナ
ット系の塑性伸びに基づくナット回転角は、点Uの横座
標θUと点Cの横座標θCとの差(θU−θC)に等し
く、被締付け部材の違いに影響されない。ところで、ナ
ット回転角締付けの場合、ナット回転の開始点は、スナ
グ点における軸力Fsに対応するナット回転角位置とす
るのが精度が良いが、現場では毎回軸力の測定はできな
いので、締付け軸力がFsとなる締付けトルクの値を予
め実験機で測定しておき、スナグトルク値Tsとする。
ナット回転角の目標値θNはナット回転角のばらつきが
締付け軸力に及ぼす影響が最小になるという意味では、
極大点Uの横座標値θUが良い。しかしながらボルトの
破断の前兆である「くびれ」が極大点Uの直後から始ま
るので、締付け早々にくびれが発生することは避けると
共に、現場における作業能率を考慮すればナット回転角
はなるべく小さい方が好ましい。そこで、一例として、
降伏点Yの横座標θYと極大点Uの横座標θUとの平均
値、
【数9】θN=(θY+θU)/2 をナット回転角の目標値θNとする。かかる回転角θ−
トルク指令tr*パターンを予め締付けトルクパターン
部56に実験データに基づいて記憶しておく。
【0008】しかして、ねじ締め工程を時間軸に沿って
眺めると、図6に示すようにナット装着期間Taと、ア
イドリング加速期間Tbと、着座迄の減速期間Tcと、
締付け期間Tdとの4つの期間に大別される。先ず、ナ
ット装着期間Taではモータは動かないので、速度優先
又はトルク優先のどちらで運転しても良い。次のアイド
リング加速期間Tbでは初期速度0からスタートしてで
きるだけ短い期間で最高回転速度まで加速するのが作業
能率の観点から好ましい。かかる運転状態では速度優先
制御モードにおいてモータを制御するのが好ましく、後
述するようにモータの出力可能な最大トルクでモータを
加速し始め、モータの逆起電力が端子電圧をオーバーす
る手前からいわゆる等価弱め界磁制御により更にモータ
の回転数を上げて目標の回転速度まで加速することが好
ましく、かかる運転パターンをアイドリング加速パター
ン部52に記憶する(図7(a))。続いて減速期間T
cでは不必要に過大なトルクがねじ部にかからないよう
に降伏トルク以内のトルク絶対値でかつトルク制御精度
は降伏トルク以内であれば厳密な管理は不要なので速度
優先制御が好ましく、所定のトルク値以内ですみやかに
モータの回転を停止させる運転パターンを減速パターン
部54に記憶する(図7(b))。最後の締付け期間T
dではトルク制御精度優先制御を行ない、ナット回転角
法に基づく締付けでは所定の締付けトルクパターンに応
答して予め指定された回転角θNだけナット等を回転さ
せる運転パターンを締付けトルクパターン部56に記憶
する(図7(c))。また、ねじ等をゆるめる場合には
トルク優先制御を行ない、ゆるめトルクの運転パターン
をゆるめトルクパターン部58に記憶する(図7
(d))。尚、図7(c)及び(d)のトルク優先制御
モードでは、記憶(登録)する運転パターンはトルク/
位置パターンで、ねじ締めやねじのゆるめ作業ではこの
トルク/位置パターンでモータを制御する方法が基本に
なっており、一般のサーボモータの運転パターンとは大
きく異なる所である。又、上述のような運転パターンや
モータ固有のパラメータ(機械時定数、電気時定数、最
大トルク等)は予め実験機等により求めておき、パソコ
ン20及び通信回線を介してそれぞれ所定の記憶手段に
登録すると効率的である。
【0009】かくして運転パターン発生部50への運転
パターンの登録及びモータパラメータの登録が終了する
と、現場でのねじ締め作業が可能になり、ねじ締め作業
の動作例を以下に詳しく説明する。先ず、図6(a)の
ナット装着期間Ta1、Ta2…では図示しないナット
搬送機構によりスパナ2にナット1が搬送され装着され
る。この間モータは動かないが、次の加速期間の準備と
してこの停止期間中に運転制御部42よりスイッチ手段
78に切換信号tvcを出力し、電流制御部80への電
流指令値の入力系をトルク制御部100から速度制御部
60に切換えて速度優先制御が実行できるようにしてお
くことが好ましい。次のアイドリング加速期間Tb1、
Tb2…では、速度優先制御モードでアイドリング加速
パターン部52に記憶されたトルク/速度運転パターン
に従って初期速度0から高回転速度までできるだけ短期
間でモータを加速運転する。この加速期間における速度
制御部60及び電流制御部80の動作を図3、図7
(a)のトルク/速度パターン及び図8,図9のフロー
チャートに従って説明すると、ナット1の慣性モーメン
トはPMモータ6の慣性モーメントと比較すると、ほと
んど無視できるので、モータの出力できる最大トルクで
モータ6を加速する。すなわち、スイッチ手段78を速
度制御部60側に切替え、速度優先制御モードに入り
(ステップS2)、加速モードであるので(ステップS
4)、アイドリング加速パターン部52からωr=0で
のトルク指令値tr*に対応した電流指令値iq*を読
出す(ステップ6)。又、加速初期ではωr<ωo(無
負荷誘起電圧が端子電圧に等しくなる速度)なので(ス
テップS8)、d軸電流指令値id*=0として(ステ
ップS10)、これらの電流指令id*、iq*を電流
制御部80に出力する(ステップS14)。続いて電流
制御部80の非干渉電流制御部86では座標変換部84
から出力されるid、iq値と指令値id*、iq*と
の偏差を次式によりPI補償すると共に非干渉化する。
【数10】 vd*=Gcd(s)・(id*−id)+vd0 …(10) vq*=Gcq(s)・(iq*−iq)+vq0 但し、Gcd(s)、Gcq(s)はPI補償器であ
る。その後、電圧ベクトル補正部88を介して座標変換
部90によりu、v、w相電圧に変換し、ドライバ9
2、インバータ18を介してモータ6を駆動する。かか
る最大加速トルク(又は最大電流指令)によるモータの
加速制御は速度がωr<ωoの期間継続する。しかし
て、ω=ωoの近くまでモータ6が加速されると、逆誘
起電圧が端子電圧まで上昇しid*=0ではωo以上の
速度に加速できない。そこでωoの少し手前の速度(ω
o−△ω)から(ステップS8)、d軸電流指令演算部
72において永久磁石の見かけ上の界磁を減少させるた
め負のd軸電流id*を流し、逆誘起電圧を低下させ
る。尚、d軸電流指令値id*は上述の数8に基づいて
演算される(ステップS12)。又、少ないd軸電流で
大きな弱め界磁効果を引出すためには図10に示すよう
に回転子の表面に永久磁石を配置し、ステンレス又は珪
素鋼板等の電磁鋼板を回転軸方向に積層した磁性リング
を永久磁石の外周表面に配置した構造のPMモータを使
用すると、次のような効果が期待できる。すなわち、磁
性リングと回転子鉄心間に磁気回路が形成され、電機子
反作用磁界が大となる。従って、少ないd軸電流で大き
な弱め界磁が可能となる。また、永久磁石と電機子間に
磁性材があるため永久磁石にかかる負のd軸電流による
電機子反作用の減磁界は少となる。更に、磁性リングは
バイパス磁路となり、回転子鉄心と閉じた磁気回路を形
成する。従って弱め界磁の減磁状態においても、永久磁
石のパーミアンス係数は大となり、磁気的に安定した状
態が得られる。特に図10のような構造のロータは高エ
ネルギー積であると共に温度特性の悪いNd−Fe−B
形永久磁石を使用したモータに効果的である。かくして
50%の減磁率までd軸電流を流すと、2・ωoの速度
迄増速することが可能となり、この場合、出力トルクは
1/2となる。また、75%の減磁率まで負のd軸電流
を流すと、4・ωoの速度迄速度制御範囲を拡大するこ
とができる。
【0010】ナット装着期間にスパナ2にナット1が搬
送され装着されると、ただちにこのアイドリング加速期
間に移り、ナットがねじ部に嵌合し呼び込まれ、ナット
が締結部に着座することになるが、このときトルクセン
サ4の出力tsや、速度検出部62の出力ωr、及び/
又は座標変換部84の出力iqが急激に変化する。そこ
で、出力ts,ωr,iqのいずれか一つ又は複数の出
力を組合わせて運転状態判定部44に入力し、その微分
波形等を適当な判定レベルで閾値処理すると、ナット1
が着座しはじめたか否か判定することができ、かかるボ
ルトが着座しはじめた状態を検知すると運転パターン切
替部51により運転パターン発生部50から出力するト
ルク/速度パターンを加速パターンから減速パターンに
切替える。そこで、次に図6の減速期間Tc1,Tc2
…の動作を説明すると、この期間は速度優先制御モード
で減速パターン部54に記憶されたトルク/速度運転パ
ターンに従って、高回転速度から速度0まで、モータを
減速させる。この減速期間における速度制御部60及び
電流制御部80の動作を図7(b)のトルク/速度パタ
ーン及び図8,図9のフローチャートに従って説明する
と、着座しはじめた直後は速度優先制御モードで(ステ
ップS2)、減速モードであり(ステップS4)、弱め
界磁制御中であるが、図7(b)の減速パターン部54
から現在速度ωrでのトルク指令値tdに対応した電流
指令値iq*を読出す(ステップS20)。次に、この
電流指令値が所定の値iqth(例えば降伏トルクtb
に対応した電流値)より小さいか否か判定し、値iqt
hよりも小さければステップS12に移り、弱め界磁制
御のためd軸電流指令値id*を演算し(ステップS1
2)、非干渉電流制御部86へ出力する(ステップS1
4)。また、現在速度ωrでの電流指令値が値iqth
より大きくなるような低速の速度領域では加速期間と同
一の電流指令値では過大な締付けトルクが発生する可能
性があるので(ステップS22)、電流指令値iq*=
iqth、id*=0として(ステップS24)、非干
渉電流制御部86へ出力する(ステップS14)。以
後、電流制御部80の動作は加速期間と同様である。
【0011】かくしてモータ6が停止すると、図6の締
付け期間Td1、Td2…に移り、この期間はトルク制
御精度優先モードで制御を行うので、スイッチ手段78
の入力をトルク制御部100側に切替え(ステップS
2)、締付けトルクパターン部56に記憶されたトルク
/位置運転パターンに従って所定の回転角度又はトルク
勾配値までねじ締めを行う。この締付け期間におけるト
ルク制御部100及び電流制御部80の動作を図7
(c)のトルク/位置パターン及び図8,図9のフロー
チャートに従って説明すると、ナットが着座してモータ
が停止した後の締め付け期間はトルク制御精度優先モー
ドで制御が行われ(ステップS2)、締付け動作では
(ステップS30)、図7(c)の締付けトルクパター
ン部56から現在位置θrでの締付トルク指令値tfに
対応した電流指令値iq*を演算又は読出す(ステップ
S32)。次に、ナットが所定の位置θNまで回転した
か否か判定し(ステップS34)、θr<θNの場合に
は、電流指令値id*=0、iq*=iq*+Δiqf
として、少し出力トルクを増加させ(ステップS3
6)、非干渉電流制御部86へ出力する(ステップS1
4)。以後、電流制御部80の動作は加速期間と同様で
ある。次に、出力トルクが増加すると、ナット2が微小
角回転するので、位置(電気角)検出部82によりこの
微小回転角を検出し、締付けを開始した位置をθr=0
としてθr=θNの位置まで少しずつ締付けトルクを増
加させるねじ締め動作を行う(ステップS34及びS3
8)。また、目標位置θNに達した時点で出力している
トルク指令値tr*又は回転角θrを通信部41を介し
て外部の図示しない管理コンピュータ等に転送すると、
ねじ締め作業の対象となったボルトナットの組1つ1つ
に対してその締付トルク値を管理することができ、現場
の作業者による組立作業の品質を数値データで管理する
ことができる。かくしてねじ締め工程の1サイクルが終
了すると、上述のナット装着、加速、減速及び締付け処
理を再び必要な回数繰り返すようにする。
【0012】図1に対応させて示す図11はこの発明の
別の一実施例を示したものであり、それぞれ同一の番号
を付した装置は同一の機能を果たす共に、ねじ締め部1
0aからトルクセンサ4を削除し、装置の小型軽量化を
計ったものである。また、電源部14aは低圧50V以
内の整流器16a又はバッテリー16bで構成され、速
度制御部の600の内部には、速度制御部60a及びト
ルク制御部100aが設けられ、速度優先制御モード及
びトルク優先制御モードに応じて適宜切換えられるよう
になっている。更にまた、制御手段40aの内部には、
外部に設けられたトルク計測装置400と結合して、モ
ータ6の出力トルクを計測し校正するトルク校正部50
0が設けられ、永久磁石の温度変化を温度センサ9及び
温度計測手段800により入力し温度補正処理したり、
磁石の経時変化をトルクセンサ4により計測して出力ト
ルクの変動を自動補正するようになっている。また、図
2に対応させて示す図12には、この発明の制御手段4
0aの構成を更に詳細に示したブロック図であり、それ
ぞれ同一の番号を付した装置はそれぞれ同一の機能を果
たすと共に、トルク制御部100aにはトルク補正部2
00及び補正パラメータメモリ202が設けられ、トル
ク指令tr*及びその出力トルクを外部のトルク計測装
置に内蔵されたトルクセンサ4で計測して入力し、トル
ク校正部500により温度変化補正パラメータ及び経時
変化補正パラメータを演算処理してメモリ202に格納
し、ねじ締め部10aにトルクセンサが装着されていな
くても高精度の締付けトルクを出力できるようにしたも
のである。
【0013】かかる構成において、その動作を図13,
図14のフローチャート及び図15のトルク補正図を参
照して説明すると、先づ、運転モードには校正運転モー
ドと自動運転モードとが有り、最初に校正運転モードに
設定して、永久磁石の経時変化に基づくトルク補正デー
タの計測及び/又は永久磁石の温度変化に基づくトルク
補正データを計測/収集する(ステップS80)。この
校正運転モードでは、外部のトルク計測装置400に設
けられたトルクセンサ4にスパナ2を結合させ、ねじ締
め部10aのモータ6の出力トルクをトルク校正部50
0に入力すると共に、モータ6の温度を温度センサ9及
び温度計測手段800を介してトルク校正部500及び
トルク補正部200に入力するようになっている。しか
してトルク校正部500制御に基づいて、速度制御部6
00はトルク制御部100a側に切換えられ、トルク優
先制御を行うと共に、トルク校正部500から運転パタ
ーン発生部50に対し、図15(a)に示すようなトル
ク換算したq軸電流指令が格納されているトルク校正パ
ターン部57に運転指令が順次出力され、各電流指令値
に対するモータの出力トルクの絶対値がトルクセンサ4
を介して順次トルク校正部500に入力される(図15
(a)及びステップS82〜S86)。通常、永久磁石
モータでは、永久磁石の経時変化に基づく減磁傾向は数
%の範囲内であるので、トルク保証条件である図15
(a)の定格値直線cを上回り電流−トルク特性が存在
するように着磁されている。そこで、着磁直後では、同
図の曲線aのように定格値直線cより少し大きめにトル
ク特性が乖離し、年月が経過すると曲線bのように定格
値直線cに接近して来る。そこで、例えば、所定の間隔
で電流指令iq*を種々の値に変化させて出力し(ステ
ップS82)、その時点でのトルク絶対値trをトルク
センサ4を介して入力し、図15(a)のような電流−
トルク特性曲線を作成する(S84,S86)。また、
永久磁石の温度特性を計測する場合には、ねじ締め部1
0aを図示しない恒温槽等に入れ、温度Sを一定に保っ
た状態でトルク指令(又は等価q軸電流指令)を順次変
化させ、種々の温度Sでのトルク指令値と実際の出力ト
ルク値とを図15(b)のように所定のメモリに記憶す
る(ステップS82〜86)。
【0014】かくして、永久磁石の経時変化に基づくト
ルクデータの収集及び/又は永久磁石の温度変化に基づ
くトルクデータの収集が終了すると、経時変化用トルク
補正パラメータの演算処理及び温度変化用トルク補正パ
ラメータの演算処理を行う(ステップS88,S9
0)。先づ、経時変化用トルク補正パラメータの演算処
理では、図15(a)に示すような電流−トルク特性曲
線が直線近似可能であれば、 トルク(t)=kt・電流指令(iq*)+Δkt による直線近似用係数kt,△ktを最小2乗法等の演
算により求めても良い。また、電流−トルク特性曲線に
規則性がなければ複数回実行した、計測データの平均値
等をそのままテーブル形式で補正パラメータメモリ20
2に登録しても良い。他方、温度変化用トルク補正パラ
メータの演算処理では、図15(b)に示すような温度
−トルク特性曲線が直線近似可能であれば、 実際のトルク(t)=トルク指令(tr*)・(ks・
(273+s)/(273+So)+Δks) 但しSoは基準温度で例えば15℃である。による直線
近似用係数ks,Δksを最小2乗法等の演算により求
めても良い。トルク特性曲線に規則性がなければ、複数
回実行した計測データの平均値等をそのままテーブル形
式で補正パラメータメモリ202に登録しても良い。か
くして、モータ6の校正運転動作は終了する。
【0015】次に、自動運転モードにおけるねじ締め作
業又はねじ締め作業を説明すると(S80,S92),
ねじ締め作業の全体の工程は図6に示すように前回と同
様であり、ナット装着期間、アイドリング加速期間及び
減速期間では、トルク制御の精度は厳密でなくても良
く、速度優先制御モードなので、前回と同様の図9のフ
ローチャートが、そのまま適用可能である。また、自動
運転におけるトルク優先制御モード(S94)での締付
け作業では(S96)、先づ、永久磁石の経時変化補正
を行う否か判定し、経時変化補正を行う場合には(S9
8)、ナットの回転角θr等を入力すると共に、締付け
トルクパターン図7(c)等から、現在の回転角θrに
対する締付けトルクtr1*を演算する。続いて、この
トルクtr1*に対する電流指令ig*を補正パラメー
タメモリ202を参照して演算する(S100)。図1
5(a)の例では、着磁直後の磁石では電流指令はig
1a*であるが、時間が経過すると共に、電流指令はi
g1b*のように増加する傾向にある。かくして、経時
変化補正後のトルク指令tr1c*が演算できると、次
に、温度補正を行うか否か判定する(S102)。そし
て、温度補正を行う場合には、温度センサ9を介してモ
ータ6の現在の温度Sを入力すると共に、トルク指令t
r1c*に対し、次のような温度補正演算を実行する。
温度−トルク特性曲線が直線近似可能であれば、次式に
よりトルク指令tr1cs*を演算する。 補正後トルクtr1cs*=tr1c*/(ks・(2
73+s)/(273+So)+Δks) また、温度−トルク特性曲線に規則性がなければ、補正
パラメータメモリ202に格納された温度−トルク特性
テーブルより、現在の温度sに対するトルク低下量Δt
(tr1c*,s)を求め、このトルク低下量Δt(t
r1c*,s)を加算して、温度補正後のトルク指令t
r1cs*=tr1c*+Δt(tr1c*,s)とす
る。かくして補正後のトルク指令tr1cs*が演算で
きると、d軸電流指令id*=0として、q軸電流指令
ig*は ig*=tr1cs/KT から演算できる(S104) そして、ナット等の回転角θrが目標値θNに達しない
場合(S106),id*=0,ig*=ig*+Δi
gfとして(S108)、電流指令ig*,ig*を電
流制御部80の非干渉電流制御部86へ出力する(S1
12)。通常、永久磁石式同期モータでは経時変化に基
ってトルク変動が数%存在し、また、Nd−Fe−B系
磁石では温度変化に基づくトルク変動も数%存在する。
従って、上述のステップS100及びS104の補正演
算を実施することにより、モータ6の出力トルク変動を
1〜2%以内に納めることが可能となり、高精度のトル
ク管理が可能となる。かかるステップS92〜S112
のねじ締め処理を所望の回転角θNまで繰り返し実行す
ると、締付け期間Tdのねじ締め動作を終了する。
【0016】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明のモータ
制御方法及び装置によれば、速度制御精度とトルク制御
精度とを明確に区別してそれぞれ制御しているので、短
時間でモータの加減速ができると共に、制御対象に過大
な負荷トルクをかけることなくモータの運転を制御する
ことができる。又、電子的等価弱め界磁制御を行うこと
によりモータの電源供給がバッテリー又は電圧50V以
下の電源のような低電圧電源であっても永久磁石式同期
モータの速度制御範囲を2〜8倍に拡大することができ
る。更に、この発明のねじ締め方法及び装置によれば組
立ライン等の作業でAC200V系の交流動力系を使用
することなく、DC50V以下の低電圧でモータを駆動
しても必要なモータ回転速度及びトルクを出力でき、組
立作業の安全性を著しく向上させることができる。ま
た、ねじ締めしたボルト・ナットの全てに対してそれぞ
れ個別に締付けトルクを管理できるので、製品の組立品
質を数値データとして管理することが可能となる。更に
また、増速機構、トルクセンサ等が不要なねじ締め装置
を実現できるので、10kg以内の軽量小型ねじ締め装
置により高速回転及び高締付けトルクを出力でき、ねじ
締め作業が効率化できる利点がある。更に、永久磁石の
経時変化/温度変化に対する補正演算を付加することに
より、永久磁石のトルク精度を1〜2%以内に高めるこ
とが可能となり、高精度かつトルクセンサ不要で小型・
軽量のねじ締め装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の全体の一構成例を示すブロック図で
ある。
【図2】この発明のモータ制御部の一構成例を示すブロ
ック図である。
【図3】モータの運転パターンを説明する図である。
【図4】トルク勾配法によるねじ締めの原理を示す図で
ある。
【図5】ナット回転角法によるねじ締めの原理を示す図
である。
【図6】ねじ締めサイクルを説明するタイムチャートの
一例である。
【図7】記憶するモータ運転パターンの一例である。
【図8】電流ベクトルのトルク優先制御の演算過程を示
すフローチャートの一例である。
【図9】電流ベクトルの速度優先制御の演算過程を示す
フローチャートの一例である。
【図10】磁性リングを装着したロータ断面の一例であ
る。
【図11】この発明の、トルク補正付ねじ締め装置の全
体の構成を示すブロック図である。
【図12】そのモータ制御部の一構成例を示すブロック
図である。
【図13】トルク校正運転のフローチャートの一例であ
る。
【図14】トルク補正付ねじ締め運転のフローチャート
の一例である。
【図15】磁石の経時変化特性及び温度変化特性の一例
である。
【符号の説明】
1 ナット 2 スパナ 4 トルクセンサ 6 モータ 8 位置(角度)センサ 9 温度センサ 10 ねじ締め部 12 ケーブル 14 電源部 18 インバータ 20 パソコン 40 制御手段 41 通信部 42 運転制御部 44 運転状態判定部 50 運転パターン発生部 52、54、56、57,58 運転パターン記憶部 600,60,60a 速度制御部 62 速度検出部 64、104 加減算器 66、106 補償器 68、108 リミッタ 70 界磁制御部 72 d軸電流指令演算部 74 磁気飽和補正部 78 スイッチ手段 80 電流制御部 82 位置(電気角)検出部 84、90 座標変換部 92 ドライバ 100,100a トルク制御部 200 トルク補正部 202 補正パラメータメモリ 400 トルク計測装置 500 トルク校正部 800 温度計測手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23P 19/06 B25B 23/14 620 B25B 23/14 640 H02P 21/00

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ねじ締め機構と、当該ねじ締め機構を駆
    動するモータと、当該モータの駆動用電源部と、当該モ
    ータの動作制御を行う制御手段とを具えたねじ締め装置
    において、 前記モータは永久磁石式同期モータであり、前記制御手
    段内に前記モータの速度制御部と、トルク制御部とを設
    け、 前記速度制御部において速度優先制御を行う場合、等価
    弱め界磁制御部を設け、 当該ねじが着座するまでの期間、当該モータの速度制御
    範囲を電流ベクトル制御して、拡大するようにしたこと
    を特徴とするねじ締め装置。
  2. 【請求項2】 前記モータの供給電源が、バッテリー及
    び/又は電圧50V以下の電源である請求項1に記載の
    ねじ締め装置。
  3. 【請求項3】 前記等価弱め界磁制御部には、d軸電流
    指令演算部、または磁気飽和補正部に結合されたd軸電
    流指令演算部を含む請求項1または2に記載のねじ締め
    装置。
  4. 【請求項4】 前記永久磁石式ロータの表面に磁性リン
    グを設け、d軸電流で、界磁変化を実現した請求項1乃
    至3のいずれか1項に記載のねじ締め装置。
  5. 【請求項5】 前記等価弱め界磁制御部により、当該モ
    ータの永久磁石の界磁を見かけ上30%以上減磁させた
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のねじ締め装置。
  6. 【請求項6】 前記ねじ締め装置が、手で持って操作可
    能な重量である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    ねじ締め装置。
  7. 【請求項7】 前記ねじ締め装置の、位置、速度及び/
    又は温度の検出にレゾルバを使用した請求項1乃至6の
    いずれか1項に記載のねじ締め装置。
  8. 【請求項8】 前記トルク制御部においてトルク優先制
    御を行う場合、前記永久磁石の経時変化及び/又は温度
    変化に対するトルク補正を行うためのトルク補正演算部
    を設けた請求項1乃至7のいずれか1項に記載のねじ締
    め装置。
  9. 【請求項9】 前記トルク制御部に、外部に設けられた
    トルクセンサを内蔵したトルク校正装置と結合して、ト
    ルク補正係数を自動更新するトルク補正係数自動決定部
    を内蔵した請求項1乃至8のいずれか1項に記載のねじ
    締め装置。
  10. 【請求項10】 前記速度制御部及びトルク制御部に結
    合され、所望の運転パターンを記憶すると共に生成する
    運転パターン発生部を設け、この運転パターン発生部か
    ら優先制御項目指令、速度指令及びトルク指令を出力
    し、当該モータの運転速度及びトルクを優先順位を付け
    てそれぞれ独立に制御するようにしたことを特徴とする
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載のねじ締め装置。
  11. 【請求項11】 前記運転パターン発生部では、減速運
    転パターンから全ての減速期間において、所定のトルク
    指令値以内のトルク指令値しか出力しない運転パターン
    である請求項10に記載のねじ締め装置。
  12. 【請求項12】 前記モータ及び運転パターン発生部に
    結合された当該モータの運転状態判定部を設け、前記モ
    ータの運転状態に変化が検出された場合、前記モータの
    運転パターンを自動的に切替えるようにした請求項10
    又は11に記載のねじ締め装置。
  13. 【請求項13】 前記運転状態判定部では、a)前記モ
    ータの回転速度の変化、b)電機子電流の変化、c)前
    記モータの出力軸に結合したトルクセンサの出力変化
    の、少なくとも、いずれか1つに応答して、当該モータ
    の運転状態変化を検知するようにした請求項12に記載
    のねじ締め装置。
  14. 【請求項14】 前記速度制御部及び/又はトルク制御
    部をデジタルシグナルプロセッサで構成するようにした
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載のねじ締め装
    置。
  15. 【請求項15】 前記永久磁石の材料がSm−Co又は
    Nd−Fe−Bで構成されている請求項1乃至14のい
    ずれか1項に記載のねじ締め装置。
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