JP4087667B2 - ボルト・ナット締結体の締付け力検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの破断事故を防止するなどのために行われるボルト・ナット締結体の締付け力検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの機械や、橋梁などの構造物の組立てには、ボルト・ナットによる締結が欠かせない。ここで、ボルト・ナットの締結体としての強度は、締付け力に大きく依存するのであるが、この締付け力の管理は、締付け時にだけ行われることが一般的であり、締付け後については、現状ではほとんど行われていない。しかし、機械の作動中に予期しない外力の作用によってボルトがゆるみ、締付け力が低下した場合には、疲労破断の危険性が著しく増加する。したがって、ボルトの破断事故を防止し、ボルト・ナット締結体の信頼性を向上するためには、締結後のボルトの締付け力の検出にも注意を払う必要がある。
【0003】
かかる締付け力検出方法としては、ボルト・ナット締結体のナットから突出したボルトの先端部を引張ることで、締付け力を直接検出する方法(特許文献1参照)が提案されている。この方法は、ボルトに負荷する引張力が締付け力に達したとき、ナット座面と被締結物座面が離間し、ボルトの見かけ上のばね定数が変化することから締付け力を検出するものである。この方法は簡便であり、すでに締結状態にあるボルト・ナットにも適用が可能である。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−170362号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この特開平10−170362に開示される発明は、引張力と、変位とを検出するため、歪みゲージが埋設される荷重測定手段が、引張力を発生させる部分と締結体を保持する部分との間に配設される必要がある。しかしながら、かかる構成であると、汎用性が低いと共に、荷重測定手段が備えられる分だけ検出部が高背化する問題が生じる。
そこで本発明は、汎用性が高く容易に締付け力を測定でき、また検出部を低背化できるボルト・ナット締結体の締付け力検出方法を提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一手段は、被締結物の挿通孔に締結用ボルトを挿入し、挿通孔を貫通した締結用ボルトの雄ねじ部に締結用ナットを螺合緊締してなるボルト・ナット締結体にあって、ボルト・ナット締結体の締結用ナット上に座定される受圧支持具(以下の受圧手段に相当)と、受圧支持具の支持面上に回転可能に配設され、下端に、締結用ナットから突出する締結用ボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ孔が形成されている引張回転軸からなる回動部と、回動部に作用するトルク T を検出するトルク検出手段とを具備してなり、回動部の回転により、締結用ボルトの雄ねじ部を、受圧支持具を介して締結用ナットに対して引張する引張手段を備え、雄ねじ部を締結用ナットに対して引張することにより締結用ボルトのバネ定数が急激に変化するときの変移点を、トルク検出手段により、回動部に作用するトルク勾配の変移点を検出することにより特定し、かかる変移点でのトルク T の値から引張力 F の値を算出して、この引張力 F の値を締付け力 F i とすることを特徴とするボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、引張手段の回動部を任意の角度θだけ回転させて、締結用ボルトの雄ねじ部を引張して回動部に作用するトルク勾配dT/dθを検出し、該トルク勾配dT/dθが急激に上昇し、その後急激に減少するときのトルク勾配dT/dθを第一トルク勾配Taとし、急激に減少した後、トルク勾配dT/dθが安定し始めるときのトルク勾配dT/dθを第二トルク勾配Tbとし、さらに(Ta+Tb)/2である特定トルク勾配を算出し、特定トルク勾配のときのトルクTcを回動部に作用するトルクTの変移点として、該トルクTcから締付け力Fiの検出をすることを特徴とする請求項1記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0008】
請求項3記載の発明は、ボルト・ナット締結体上面に座定される受圧手段と、接続部が回動部の下端に形成される雌ねじ孔であると共に、段面が周囲に形成される回動部及び該回動部に作用するトルクTを検出するトルク検出手段とを具備する引張手段と、前記受圧手段と引張手段との間に介装され、端部に回動部を支持する支持面が形成される支持手段とを備え、支持手段の支持面と回動部の段面とが対向接触して支持手段が回動部を支持し、回動部の回動に伴って雌ねじ孔が回転し、該雌ねじ孔と螺合する雄ねじ部を引張する締付け力検出部を用いる締付け力検出方法にあって、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数μsと、支持手段の支持面と回動部の段面とが接触する支持接触面の摩擦係数μwとが既知である場合に、
【0009】
【数11】
【0010】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク μs;雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数 μw;支持接触面の摩擦係数 d2;雄ねじ部の有効径 α';雄ねじ部のねじ山直角断面のフランク角 P;雄ねじ部のねじのピッチ Dw;支持接触面のトルクの等価直径)
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項2記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0011】
請求項4記載の発明は、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数μsが未知の場合に、回動部の雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部のみが接触する状態で、圧縮力Qを回動部の回転軸方向に負荷し、該圧縮力Qを負荷しながら回動部を回動させたときに回動部に作用する雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間の摩擦トルクである暫定トルクTlを検出すると共に、
【0012】
【数12】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク Q;圧縮力 P;雄ねじ部のねじのピッチ)
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項3記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0013】
請求項5記載の発明は、ボルト・ナット締結体上面に座定される受圧手段と、接続部が回動部の下端に形成される雌ねじ孔であると共に、回動部及び該回動部に作用するトルクTを検出するトルク検出手段とを具備する引張手段と、前記受圧手段と引張手段との間に介装され、回動部を支持する支持手段と、支持手段と引張手段との間に配設され、消費トルクTBが既知のスラストベアリングとを備え、回動部の回動に伴って雌ねじ孔が回転し、該雌ねじ孔と螺合する雄ねじ部を引張する締付け力検出部を用いる締付け力検出方法にあって、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数μsが既知である場合に、
【0014】
【数13】
(ここでTB;スラストベアリングの消費トルク f;スラストベアリングの回転軸方向に作用する力 β;定数 γ;定数)
と仮定して、
【0015】
【数14】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク μs;雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数 d2;雄ねじ部の有効径 α';雄ねじ部のねじ山直角断面のフランク角 P;雄ねじ部のねじのピッチ)
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項2記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0016】
請求項6記載の発明は、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数μsが未知の場合に、回動部の雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部のみが接触する状態で、圧縮力Qを回動部の回転軸方向に負荷し、該圧縮力Qを負荷しながら回動部を回動させたときに回動部に作用する雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間の摩擦トルクである暫定トルクTlを検出すると共に、
【0017】
【数15】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク Tl;回動部に作用する暫定トルク Q;圧縮力 P;雄ねじ部のねじのピッチ)
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項5記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0018】
本発明の第二手段は、ボルト・ナット締結体の締結用ナット上に座定される受圧支持具と、受圧支持具の支持面上に回転可能に配設されるスクリューナットからなる回動部と、スクリューナットが回転可能に螺合するものであり、締結用ボルトの雄ねじ部に下端が固定される支軸ねじと、回動部に作用するトルク T を検出するトルク検出手段とを具備してなり、支軸ねじに対する回動部の回転により、締結用ボルトの雄ねじ部を、受圧支持具を介して締結用ナットに対して引張してなる引張手段を備え、雄ねじ部を締結用ナットに対して引張することにより締結用ボルトのバネ定数が急激に変化するときの変移点を、トルク検出手段により、回動部に作用するトルク勾配の変移点を検出することにより特定し、かかる変移点でのトルク T の値から引張力 F の値を算出して、この引張力 F の値を締付け力 F i とすることを特徴とするボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
ここで請求項9記載の発明は、受圧手段と引張手段との間に介装される支持手段を備え、支持手段の支持面とスクリューナットの下面とが支持接触面を介して対向接触して支持手段がスクリューナットを支持するものであって、前記支持接触面の摩擦係数μwが既知である場合に、スクリューナットを回転させるときのトルクTkと引張力Fとの関係を、
【0019】
【数16】
(ここでTk;スクリューナットを回転させるときのトルク F;引張力 ρ;定数 ψ;定数)
と仮定して、
【0020】
【数17】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク P;雄ねじ部のねじのピッチ Dw;支持接触面のトルクの等価直径)
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項2記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0021】
請求項10記載の発明は、ボルト・ナット締結体上面に座定される受圧手段と、支軸ねじ及びスクリューナットとからなるボールねじにより構成され、回動部がスクリューナットで、かつ接続部が支軸ねじの下端に形成される雄ねじ部固定用雌ねじ孔であり、スクリューナットに作用するトルクTを検出するトルク検出手段を具備する引張手段と、前記受圧手段と引張手段との間に介装される支持手段と、支持手段と引張手段との間に介装され、消費トルクTBが既知のスラストベアリングとを備え、スクリューナットの回動に伴って、支軸ねじの雄ねじ部固定用雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部を引張する締付け力検出部を用いる締付け力検出方法にあって、スクリューナットを回転させるときのトルクTkと引張力Fとの関係を、
【0022】
【数18】
(ここでTk;スクリューナットを回転させるときのトルク F;引張力 ρ;定数 ψ;定数)
と仮定し、さらに、
【0023】
【数19】
(ここでTB;スラストベアリングの消費トルク f;スラストベアリングの回転軸方向に作用する力 β;定数 γ;定数)
と仮定し、
【0024】
【数20】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク P;雄ねじ部のねじのピッチ β;定数 γ;定数 )
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項2記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。
【0025】
本発明は、受圧手段が、締結用ナット上に座定されるものとしたボルト・ナット締結体の締付け力検出方法である。かかる構成は、締結用ボルトと締結用ナットのバックラッシュを利用してねじ面を離間させるものである。かかる構成とすることにより、検出した締付け力の誤差を少なくすることが可能となる。
【0026】
ここで、本発明の測定原理を説明する。
【0027】
<測定原理>
図1は、ボルト・ナット締結体1の概要図を示す。ここでボルト・ナット締結体1は、被締結物I,II(図中clamped PartI,IIと表記)の挿通孔hに締結用ボルト2を挿入し、挿通孔hを貫通した締結用ボルト2の雄ねじ部3に締結用ナット5を螺合緊締することにより、被締結物I,IIを挟圧してなる。このボルト・ナット締結体1にあって、締結用ボルト2と締結用ナット5により被締結物I,IIが締付け力Fiで締付けられると、締付け力Fiは締結用ボルト2に引張力として作用し、被締結物I,IIには圧縮力として作用する。
【0028】
図2に、締付け力検出方法の概要図を示す。図2におけるボルト・ナット締結体1は、あらかじめ締付け力Fiで締め付けられた状態にある。ここで締付け力Fiは、締結用ボルト2と締結用ナット5が噛み合う締結用ボルト2側の第1ねじ山(点A)を最大として分布する。しかし、ここでは便宜上、締付け力Fiは、点Aに集中的に作用すると仮定して考える。
【0029】
また、図2において、締結用ボルト2の首下長さをL、締結後の被締結物I(図2のClamped partI)の上面(点A)から締結用ボルト2の先端までの雄ねじ部3の長さをle(図中 l extraと表記)とする。締結後のボルト・ナット締結体1のねじ面では、ProcessI(図2(a)参照)のように締結用ボルト2の雄ねじ部3と締結用ナット5の雌ねじの間にバックラッシュが存在する。この状態で締結用ナット5の上面を押さえて、締結用ナット5から突出した締結用ボルト2の雄ねじ部3の先端部分(点O)を引張力Fで引っ張る。ここで、点Oを引張力Fで引っ張るとき、被締結物I、IIには引張力Fに相当する圧縮力が作用する。しかし、点Oの変位に寄与する量としては、被締結物I、IIの圧縮量に比べて、締結用ボルト2の伸び量が支配的になるので、点Oの変位を締結用ボルト2の伸びとして考える。
【0030】
点Oを引張力Fで引っ張ると、引張力Fが締付け力Fiより小さい間は、主に締結用ボルト2は点Aを基点として着力点Oまでの長さleの部分で伸びる。ここで、締結用ボルト2がleで伸びるときの締結用ボルト2のバネ定数をCbAとすると、引張力Fと点Oの変位δとの関係は、
F=CbA・δ (F<Fi)
となる。このとき、ナット座面5aは、図2に示すように、被締結物Iの上面と接触した状態である。その後引張力Fを増加させて、引張力Fが締付け力Fiに達すると、ねじ面間のバックラッシュにより、締結用ボルト2のねじ面と締結用ナット5のねじ面とが離間し、ProcessII(図2(b)参照)の状態となる。このとき、締結用ボルト2は点Bを基点とした締結用ボルト2の首下全体の長さLで伸びることになる。締結用ボルト2がLで伸びるときの締結用ボルト2のバネ定数をCbBとすると、引張力Fと変位δとの関係は、
F=CbB・δ (F>Fi)
となる。ここで、図2(a)(b)に示すProcessIからProcessIIへ移行するとき、締結用ボルト2が伸びる長さは急激に増加する。すなわち、締結用ボルト2のバネ定数CbAからCbBへ急激に変化する。そして、かかる変移点における引張力Fの値を締付け力Fiとする。なお、これまでに述べた一連の検出方法は、本発明者により既に特許出願している(特願2002−043062)。
【0032】
なお、本発明は、雄ねじ部3を引張手段の回動部を回動することにより引張すると共に、この回動部に作用するトルクを管理する点を特徴とする。すなわち、締結用ボルト2のバネ定数がCbAからCbBへ急激に変化するときの変移点を、回動部に作用するトルク勾配の変移点を検出することにより特定し、かかる変移点でのトルクTの値から引張力Fの値を算出して、この引張力Fの値を締付け力Fiとするものである。
【0033】
【発明の実施の形態例】
ボルト・ナット締結体1の締付け力を検出する方法として、いくつかの実施形態例が提案される。
【0034】
<第一実施形態例>
まず、ボルト・ナット締結体1の締付け力Fiの検出方法にかかる検出部について図3に従って説明する。
ここで図3の下側が、被締結物(図中Clamped PartI,IIと表記)の挿通孔hに締結用ボルト2を挿入し、挿通孔hを貫通した締結用ボルト2の雄ねじ部3に締結用ナット5を螺合緊締してなるボルト・ナット締結体1であり、上側が締付け力検出部10である。
【0035】
ボルト・ナット締結体1の締結用ナット5の上面には、締結用ナット5の上面に座定する座定面18を有する円筒状の受圧支持具14が備えられる。この受圧支持具14は、座定する締結用ナット5から突出する締結用ボルト2の雄ねじ部3が挿入される中空部15を具備している。また、受圧支持具14の上端部には、後述のスラストベアリング7を支持する支持面16が周成されている。なお、この受圧支持具14により、本発明にかかる受圧手段と支持手段とを構成している。
【0036】
前記受圧支持具14の支持面16には、自動調心式のスラストベアリング7が配設される。このスラストベアリング7の消費トルクTBは、製品仕様若しくは予備実験により既知であるものが採用される。
【0037】
さらに、スラストベアリング7の上部には、引張回転軸12が配設される。この引張回転軸12は、縦断面がほぼT字状であって、下端には締結用ボルト2の雄ねじ部3と螺合する雌ねじ孔13が形成されている。この雌ねじ孔13は、受圧支持具14の中空部15内に挿入され、この中空部15に下方から挿入された締結用ボルト2の雄ねじ部3と螺合される。なお、この引張回転軸12は、本発明にかかる回動部を構成し、引張回転軸12の下端に形成される雌ねじ孔13は、本発明かかる接続部を構成する。
【0038】
さらに、引張回転軸12には、引張回転軸12を回動させるためのハンドル9が接続される。ここで、このハンドル9は複数接続されると引張回転軸12を安定して回動させることができ、検出精度が向上する。さらに、このハンドル9には、引張回転軸12に作用するトルクTを検出する歪みゲージ8が備えられている。また、引張回転軸12の頂部には、引張回転軸12の回転角を検出するためのロータリーエンコーダ11が取付けられている。なお、前記歪みゲージ8は、本発明にかかるトルク検出手段を構成する。したがって、引張回転軸12及び歪みゲージ8とにより本発明にかかる引張手段を構成する。なお、受圧支持具14、スラストベアリング7、引張回転軸12、ハンドル9、歪みゲージ8、及びロータリーエンコーダ11により締付け力検出部10が構成される。
【0039】
なお、上述のハンドル9に代えて、モータを用いて引張回転軸12を回動させる構成としても良い。かかる構成とすることにより締付け力の検出が安定する。ただし、かかる構成とした場合は、モータで引張回転軸12を回動させるときの回転トルクを測定するためのトルク変換機等の機器を取り付ける必要がある。
【0040】
かかる構成にあって、ハンドル9を水平面内で回動操作し、これにより引張回転軸12が回動すると、下端に形成された雌ねじ孔13が回転し、螺合する雄ねじ部3が上方に引張される。そして、引張回転軸12に作用するトルクを歪みゲージ8が検出すると共に、ロータリーエンコーダ11が引張回転軸12の回転角を検出する。
【0041】
次に、上述の締付け力検出部10を用いたボルト・ナット締結体1の締付け力検出方法について説明する。
上述の<測定原理>に記載したように、変位δに対する引張力Fを監視すると、引張力Fが締付け力Fiに達したときに、引張力Fの勾配dF/dδは大きく変化する。そして、かかる原理に基づいて、本発明は引張力FをトルクTにより管理し、変位δを回転角θにより管理する構成である(図7参照)。以下に、引張力FとトルクTの関係、及びトルクTの変移点の検出法について説明する。
【0042】
上述の検出部10にあって、トルクTで引張回転軸12を回転させると、締結用ボルト2の雄ねじ部3は、引張力Fで引っ張られる。そのとき、トルクTは次式のように表させる。
【0043】
【数21】
ここで、数式(21)において、Tsは雌ねじ孔13と締結用ボルト2の雄ねじ部3間のねじ面間の摩擦トルク、TBはスラストベアリング7の消費トルク、Tfは引張力Fを発生させるためのトルクである。
【0044】
また、ねじ面間の摩擦トルクの係数をξとすると、Tsは次式で表されることとなる。
【0045】
【数22】
【0046】
さらに、ねじ面間の摩擦トルクξは次式で表される。
【0047】
【数23】
ここで、数式(23)において、μsはねじ面の摩擦係数、d2は雄ねじ部3の有効径、αは雄ねじ部3のねじ山直角断面のフランク角である。
【0048】
また、スラストベアリング7の消費トルクTsは、スラストベアリング7の回転軸方向に作用する力fの関数として、次式で与えられると仮定する。
【0049】
【数24】
【0050】
次に、Tfは、引張力Fを発生させるためのトルクの係数ζを用いて、次式で表される。
【0051】
【数25】
【0052】
さらに、ζは雄ねじ部3のねじのピッチをPとすると次式で表される。
【0053】
【数26】
【0054】
数式(21)に、数式(22),(24),(25)を代入すると、引張力FとトルクTの関係は、次式となる。
【0055】
【数27】
ここで、例えばスラストベアリング7の消費トルクTsが数式(28)で表されると仮定する。
【数28】
数式(28)におけるβ及びγは定数であり、スラストベアリング7の軸力fは引張力Fとなるので、数式(27)における引張力Fは、次式となる。
【0056】
【数29】
【0057】
さらに、回転角θに対するトルクTの勾配dT/dθが変化するときのトルクT(以下、特定トルクTc)の検出法について説明する。
まず、引張回転軸12をトルクTで回転させて、締結用ナット5から突出する締結用ボルト2の雄ねじ部3を引張すると、このトルクTは、図7に示されるように、回転角θが増加するにつれて増加する。ここで、回転角θを増加させていくと、トルクTの勾配dT/dθの値が変化する変移点が得られる。かかるトルクTの勾配dT/dθの値は、図4に示されるように、トルクTの勾配dT/dθが急激に上昇した後安定し、その後減少し始めるときのトルクTの勾配dT/dθを第一トルク勾配Taとし、トルクTの勾配dT/dθが急激に減少した後に安定し始めるときのトルクTの勾配dT/dθを第二トルク勾配Tbとし、さらにこの第一トルク勾配Taと第二トルク勾配Tbとを用いて、(Ta+Tb)/2となる特定トルク勾配を算出し、この特定トルク勾配のときのトルクTを特定トルクTcとして求めることができる。なお、引張回転軸12に作用するトルクTの勾配dT/dθは、急激に上昇した後安定する場合と、安定しない場合とがある。しかしながら、いずれの場合にあっても、トルクTの勾配dT/dθが急激に上昇し、その後急激に減少するときのトルクTの勾配dT/dθを第一トルク勾配Taとするようにしている。
【0058】
上述の関係、検出法を前提とし、具体的に締付け力Fiを求めるには、雌ねじ孔13と締結用ボルト2の雄ねじ部3間のねじ面の摩擦係数μsが既知の場合と、未知の場合とに場合分けする必要がある。
【0059】
まず、ねじ面の摩擦係数μsが既知の場合について説明する。
かかる場合には、ねじ面の摩擦係数μs、特定トルクTc、及び数式(23)とを数式(29)に代入することで、所望の締付け力Fiを求めることができる。(数式(30)参照)
【0060】
【数30】
【0061】
一方、ねじ面の摩擦係数μsが未知である場合、又はねじ面の摩擦係数μsが既知である場合であっても、その値がばらつき、検出精度が低下してしまう場合には、検出ごとにねじ面の摩擦係数μsを測定する必要がある。そこで、かかる場合には、本発明者らが既に提案している(特許番号第2964068)手法に基づき、圧縮力Qを雄ねじ部3に負荷しながら、ねじ面の摩擦係数μsを測定し、締付け力Fiの検出を行うこととなる。以下詳述する。
【0062】
まず、雌ねじ孔13と雄ねじ部3のみを接触させて圧縮力Qを負荷し、スラストベアリング7に圧縮力Qが作用せず、雌ねじ孔13と雄ねじ部3のみに圧縮力Qが作用する状態とする。かかる状態で雌ねじ孔13に作用するトルクTを暫定トルクTlとすると、ねじ面間の摩擦トルクTsは次式で表される。
【0063】
【数31】
ここで、Tq は圧縮力Qを発生させるためのトルクである。
【0064】
ここで、数式(22)より、ねじ面の摩擦トルクの係数は、暫定トルクTlを用いて次式で表される。
【0065】
【数32】
【0066】
その後、さらに雌ねじ孔13を回動させていくと、引張回転軸12の周囲に形成された段面17とスラストベアリング7の上面とが接触する。かかる状態となると、雄ねじ部3には引張力Fが作用すると共に、スラストベアリング7には圧縮力Qと引張力Fとが同時に作用する。したがって、雄ねじ部3に作用するトルクTと引張力Fとの関係は、数式(27)と数式(32)より次式で表される。
【0067】
【数33】
【0068】
また、スラストベアリング7の消費トルクg(f)を数式(28)と仮定し、Tcを数式(33)に代入すると、締付け力Fiは次式のようなる。
【0069】
【数34】
このように、ねじ面の摩擦係数μsが未知である場合でも、締付け力Fiを検出することができる。
【0070】
ところで、ねじ面の摩擦係数μsが未知で、かつ圧縮力Qを負荷してμsを測定する場合に、圧縮力Qを負荷して暫定トルクTlを測定した後は、圧縮力Qを取り除いても良い。その際は、数式(34)における圧縮力QはQ=0となる。
【0071】
<第二実施形態例>
また、他の実施形態例として、上述のスラストベアリング7を具備しない締付け力検出部10を用いた方法が提案される。かかる構成を以下に説明する。なお、これまでに述べた第一実施形態例にかかる検出部10と共通する部分については説明を省略する。
【0072】
図5に示されるように、受圧支持具14の支持面16と、引張回転軸12の周囲に形成される段面17とが対向して接触して、受圧支持具14上に引張回転軸12が支持される構成が提案される。かかる構成にあっても、第一実施形態例と同様に、締付け力Fiを検出するためには、雌ねじ孔13と締結用ボルト2の雄ねじ部3間のねじ面の摩擦係数μsが既知である場合と、未知である場合とに場合分けする必要がある。
【0073】
ねじ面の摩擦係数μsが既知である場合には、
【0074】
【数35】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク μs;ねじ面の摩擦係数 μw;支持接触面の摩擦係数 d2;雄ねじ部の有効径 α';雄ねじ部のねじ山直角断面のフランク角 P;雄ねじ部のねじのピッチ Dw;支持接触面のトルクの等価直径)
に基づき、締付け力Fiを検出することができる。なお、本実施形態例にあっては、受圧支持具14が円筒状であるため、受圧支持具14の支持面16と引張回転軸12の段面17とが接触する支持接触面は、横断面O状となる。このような支持接触面のトルクの等価直径は、以下のように求められる。
Dw=(2/3)・(Do 3−Di 3)/(Do 2−Di 2)
(ここでDo;支持接触面の外径 Di;支持接触面の内径)
【0075】
一方、ねじ面の摩擦係数μsが未知の場合、あるいはねじ面の摩擦係数μsが既知である場合であっても、その値がばらつき、検出精度が低下してしまう場合には、第一実施形態例に示したように、圧縮力Qを負荷し、かかる状態で引張回転軸12に作用する暫定トルクTlを用いて締付け力Fi を検出する。すなわち、
【0076】
【数36】
(ここでFi;締付け力 Tc;特定トルク Q;圧縮力 P;ねじのピッチ Dw;支持接触面のトルクの等価直径)
に基づき、締付け力Fiを検出することとなる。
【0077】
<第三実施形態例>
さらに、上述のスラストベアリング7を備える構成(第一実施形態例)、及びスラストベアリング7を備えない構成(第二実施形態例)各々について、引張回転軸12に代えて、支軸ねじ22とスクリューナット21とからなるボールねじ23を用いる構成が提案される。なお、これまでに述べた第一、第二実施形態例と共通する部分については説明を省略する。
【0078】
まず、スラストベアリング7を備える構成から説明する。図6に示されるように、ハンドル9が配設されるスクリューナット21の下面には、薄板状の押圧板24がスクリューナット21と共に回動するように一体的に成形されている。そしてこの押圧板24が、リング状のスペーサ25を介してスラストベアリング7の上面に載置される。
【0079】
また、鉛直方向に配設されるボールねじ23の支軸ねじ22の下端には、雄ねじ部固定用治具20が螺合されている。すなわち、この雄ねじ部固定用治具20には、支軸ねじ固定用雌ねじ孔20aが形成されている。さらに、雄ねじ部固定用雌ねじ孔20bも形成される。したがって、支軸ねじ22が上方から螺合されると共に、締結用ボルト2の雄ねじ部3が下方から螺合される。
【0080】
かかる構成にあって、スクリューナット21に配設されたハンドル9の回動操作により、スクリューナット21を支軸ねじ22に沿って下方へ変移させると、押圧板24がスペーサ25を介してスラストベアリング7の上面を押圧する。これに対し、雄ねじ部固定用治具20により支軸ねじ22と接続される雄ねじ部3には反力が作用し、雄ねじ部3は上方に引っ張られることとなる。
【0081】
次に、かかる構成におけるトルクTと引張力Fとの関係を説明する。
ここで、スラストベアリング7の消費トルクTBと引張力Fとの関係を数式(37)と仮定する。
【0082】
【数37】
【0083】
さらに、スクリューナット21を回転させるときのトルクTKと支軸ねじ22の引張力Fとの関係が数式(38)のように表されると仮定する。
【0084】
【数38】
すると、トルクTと引張力Fとの関係は、次式で表される。
【0085】
【数39】
そして、かかる数式(39)に基づいて締付け力Fiを検出する。
【0086】
一方、スラストベアリング7を備えない構成にあっては、トルクTと引張力Fとの関係は、次式で表される。
【0087】
【数40】
ここで、Dwは支持接触面のトルクの等価直径である。
そして、かかる数式(40)に基づいて締付け力Fiを検出する。
【0088】
上述のように、雄ねじ部3を雄ねじ部固定用雌ねじ孔20bと螺合する構成とすることにより、雄ねじ部3のねじ面の摩擦係数の影響を排除することが可能となる。すなわち、トルクTと引張力Fの関係にねじ面の摩擦係数が介在しないため、安定してトルクTから引張力Fを算出することができる。
【0089】
ところで、上述した本実施形態例にあっては、ボルト・ナット締結体1の上面のうち、締結用ナット5の上面を受圧支持具14によって押さえる構成である。かかる構成は、被締結物I,IIの圧縮状態に影響を及ぼさないため、高い検出精度で締付け力を検出することができる。また、たとえボルト・ナット締結体1の締結用ナット5側にバネ座金が介在する場合でも、締付け力を正確に検出することができる。なお、特開平10−170362に示されるような被締結物Iの上面を押さえる検出方法に本発明を適用した構成としても勿論良い。
【0090】
また、上述の実施形態例にあっては、回動部の回転角θを用いてトルク勾配dT/dθを検出する構成であるが、他の構成としても良い。例えば、締結用ナット5から突出した締結用ボルト2の雄ねじ部3に噛合わせた雌ねじ孔13をモータ等により一定速度で回転させて、締結用ボルト2の雄ねじ部3に引張力Fを負荷する場合には,回転角θの代わりに時間tを用いてトルク勾配dT/dtを検出する構成が考えられる。
【0091】
さらに、本発明の主旨を逸脱しない限り実施形態を適宜に変更することが可能である。
【0092】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、回動部に作用するトルクを管理することによりボルト・ナット締結体の締付け力を検出することが可能となる。これにより、直接雄ねじ部に作用する引張力を検出する必要がなくなるため、検出部の汎用性が向上し、検出が容易となる。また、締付け力検出部の構造を簡易なものとすることができる優れた効果がある。
【0093】
また、請求項2記載の発明によれば、回動部に作用するトルクの変移点を正確に検出することができる効果がある。
【0094】
請求項3記載の発明によれば、スラストベアリングを具備しない締付け力検出部を用いて、ボルト・ナット締結体の締付け力を検出することが可能となる。したがって、締付け力検出部の構造を簡易なものとすることができる。
【0095】
請求項4記載の発明によれば、スラストベアリングを具備しない締付け力検出部を用いる場合にあって、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数が未知の場合でも、ボルト・ナット締結体の締付け力を検出することが可能となる。
【0096】
請求項5記載の発明によれば、スラストベアリングを具備する締付け力検出部を用いて、ボルト・ナット締結体の締付け力を検出することが可能となる。また、スラストベアリングを備えるため、円滑に回動部を回動させることができる利点もある。
【0097】
請求項6記載の発明によれば、スラストベアリングを具備する締付け力検出部を用いる場合にあって、雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数が未知の場合でも、ボルト・ナット締結体の締付け力を好適に検出することが可能となる。
【0098】
請求項7乃至請求項10記載の発明によれば、雄ねじ部のねじ面の摩擦係数の影響を排除することができる。すなわち、トルクと引張力との関係にねじ面の摩擦係数が介在しないこととなるため、トルクから引張力を正確に算出することができる優れた効果が生じる。また、スラストベアリングを用いない構成であるから、締付け力検出部の構造を簡易なものとすることができる。
【0099】
請求項10記載の発明によれば、雄ねじ部のねじ面の摩擦係数の影響を排除することができるため、トルクから引張力を正確に算出することができる優れた効果があると共に、スラストベアリングを備えるため、円滑にスクリューナットを回動させることができる。
【0100】
さらに、本発明によれば、ボルト・ナット締結体の締付け力を高精度に検出することが可能となる。また、ボルト・ナット締結体の締結用ナット側にバネ座金が介在する場合でも、締付け力を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボルト・ナット締結体1を示す概要図である。
【図2】本発明の締付け力検出方法を示す概要図である。
【図3】第一実施形態例にかかる締付け力検出部10の縦断面図である。
【図4】締結用ボルト2の先端の点OにトルクTを作用させたときの回転角θとdT/dθの関係を示すグラフである。
【図5】第二実施形態例にかかる締付け力検出部10の縦断面図である。
【図6】第三実施形態例にかかる締付け力検出部10の縦断面図である。
【図7】締結用ボルト2の先端の点OにトルクTを作用させたときの回転角θとTの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ボルト・ナット締結体
2 締結用ボルト
3 雄ねじ部
5 締結用ナット
7 スラストベアリング
8 歪みゲージ
10 締付け力検出部
12 引張回転軸
13 雌ねじ孔
14 受圧支持具
16 支持面
17 段面
20b 雄ねじ部固定用雌ねじ孔
21 スクリューナット
22 支軸ねじ
23 ボールねじ
h 挿通孔
I,II 被締結物
Claims (10)
- 被締結物の挿通孔に締結用ボルトを挿入し、挿通孔を貫通した締結用ボルトの雄ねじ部に締結用ナットを螺合緊締してなるボルト・ナット締結体にあって、
ボルト・ナット締結体の締結用ナット上に座定される受圧支持具と、
受圧支持具の支持面上に回転可能に配設され、下端に、締結用ナットから突出する締結用ボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ孔が形成されている引張回転軸からなる回動部と、
回動部に作用するトルク T を検出するトルク検出手段とを具備してなり、
回動部の回転により、締結用ボルトの雄ねじ部を、受圧支持具を介して締結用ナットに対して引張する引張手段を備え、
雄ねじ部を締結用ナットに対して引張することにより締結用ボルトのバネ定数が急激に変化するときの変移点を、トルク検出手段により、回動部に作用するトルク勾配の変移点を検出することにより特定し、かかる変移点でのトルク T の値から引張力 F の値を算出して、この引張力 F の値を締付け力 F i とすることを特徴とするボルト・ナット締結体の締付け力検出方法。 - 引張手段の回動部を任意の角度θだけ回転させて、締結用ボルトの雄ねじ部を引張して回動部に作用するトルク勾配dT/dθを検出し、該トルク勾配dT/dθが急激に上昇し、その後急激に減少するときのトルク勾配dT/dθを第一トルク勾配Taとし、急激に減少した後、トルク勾配dT/dθが安定し始めるときのトルク勾配dT/dθを第二トルク勾配Tbとし、さらに(Ta+Tb)/2である特定トルク勾配を算出し、特定トルク勾配のときのトルクTcを回動部に作用するトルクTの変移点として、該トルクTcから締付け力Fiの検出をすることを特徴とする請求項1記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法。
- 受圧支持具の支持面と該支持面上に乗載される回動部との間に介装され、端部に回動部を支持する支持面が形成される支持手段を備え、
雌ねじ孔と締結用ボルトの雄ねじ部間のねじ面の摩擦係数μsと、支持手段の支持面と回動部とが接触する支持接触面の摩擦係数μwとが既知である場合に、
に基づき、締付け力Fiを検出することを特徴とする請求項2記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法。 - 被締結物の挿通孔に締結用ボルトを挿入し、挿通孔を貫通した締結用ボルトの雄ねじ部に締結用ナットを螺合緊締してなるボルト・ナット締結体にあって、
ボルト・ナット締結体の締結用ナット上に座定される受圧支持具と、
受圧支持具の支持面上に回転可能に配設されるスクリューナットからなる回動部と、
スクリューナットが回転可能に螺合するものであり、締結用ボルトの雄ねじ部に下端が固定される支軸ねじと、
回動部に作用するトルク T を検出するトルク検出手段とを具備してなり、
支軸ねじに対する回動部の回転により、締結用ボルトの雄ねじ部を、受圧支持具を介して締結用ナットに対して引張してなる引張手段を備え、
雄ねじ部を締結用ナットに対して引張することにより締結用ボルトのバネ定数が急激に変化するときの変移点を、トルク検出手段により、回動部に作用するトルク勾配の変移点を検出することにより特定し、かかる変移点でのトルク T の値から引張力 F の値を算出して、この引張力 F の値を締付け力 F i とすることを特徴とするボルト・ナット締結体の締付け力検出方法。 - 引張手段の回動部を任意の角度θだけ回転させて、締結用ボルトの雄ねじ部を引張して回動部に作用するトルク勾配 dT/d θを検出し、該トルク勾配 dT/d θが急激に上昇し、その後急激に減少するときのトルク勾配 dT/d θを第一トルク勾配 Ta とし、急激に減少した後、トルク勾配 dT/d θが安定し始めるときのトルク勾配 dT/d θを第二トルク勾配 Tb とし、さらに( Ta+Tb ) /2 である特定トルク勾配を算出し、特定トルク勾配のときのトルク T c を回動部に作用するトルク T の変移点として、該トルク T c から締付け力 F i の検出をすることを特徴とする請求項7記載のボルト・ナット締結体の締付け力検出方法。
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