JP2000352484A - 管の締結方法,締結装置および管の締付けトルク管理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

管の締結方法,締結装置および管の締付けトルク管理プログラムを記録した記録媒体

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JP2000352484A
JP2000352484A JP2000083458A JP2000083458A JP2000352484A JP 2000352484 A JP2000352484 A JP 2000352484A JP 2000083458 A JP2000083458 A JP 2000083458A JP 2000083458 A JP2000083458 A JP 2000083458A JP 2000352484 A JP2000352484 A JP 2000352484A
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敬宜 村上
Shinji Hashimura
真治 橋村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを
締結する場合において締付け力の管理の信頼性を向上さ
せる。 【解決手段】2つの管を締め付ける場合において、ショ
ルダ面同士が接触しないでねじ面同士が接触する初期段
階と、ショルダ面同士が接触してねじ面同士が接触しな
い中間段階との両方においてそれぞれ求められた摩擦係
数に応じて締付状態における目標締め付けトルクが求め
られる(S13)。そして、実際の相対回転抵抗トルク
が目標締付けトルクに達した場合に締付けを終了する
(S14〜16)。実際に締結される2つの管間におけ
る摩擦係数が取得され、それに基づいて目標締付けトル
クが求められるため、摩擦係数のバラツキに起因する締
付け力のバラツキを小さくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雄ねじ部を有する
管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と
雌ねじ部との締付けによって締結する方法,締結する装
置等に関するものである。本発明はいかなる管の締結に
も適用可能であるが、油田等の堀削作業時の工具軸とし
て使用される管や、石油,天然ガス等の流体を輸送する
流体輸送管等、比較的長くて太い管の締結に特に好適で
ある。
【0002】
【従来の技術】2つの管を締結する方法の一つに、雄ね
じ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管
の雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対回転さ
せ、これらを締め付けることによって締結する方法があ
る。この締結方法の代表的な例は、次の3つである。 2つの管のショルダ面同士が接触させられ、そのショ
ルダ面同士の接触部(以下、ショルダ面接触部と称す
る)と両管の雄ねじ部と雌ねじ部との接触部(以下、ね
じ面接触部と称する)とにおいて軸方向締付け力が発生
させられる場合と、 2つの管のショルダ面同士が接触させられ、上述のシ
ョルダ面接触部とねじ面接触部とにおいて軸方向締付け
力が発生させられるとともに、雄ねじ部を有する管のね
じ山が形成されていないテーパ外周面と雌ねじ部を有す
る管のねじ山が形成されていないテーパ内周面と(ラジ
アルシール面)において半径方向締付け力が発生させら
れる場合と、 2つの管のねじ部がいずれもテーパねじ部であり、か
つ、2つの管が互いに接触させられるショルダ面を有し
ておらず、ねじ面接触部に半径方向締付け力が発生させ
られる場合との3つである。
【0003】の態様で締結された場合には、ショルダ
面接触部においてシールが行われ、の態様で締結され
た場合には、ショルダ面接触部とラジアルシール面同士
の接触部との両方においてシールが行われる。そのた
め、の態様で締結されることによって得られた締結管
は、例えば堀削作業用工具軸に適し、の態様で締結さ
れることによって得られた締結管は、例えば流体輸送管
に適している。の態様で締結されれば、シールがラジ
アルシール面同士の接触部において行われるため、の
場合のように、ショルダ面接触部において行われる場合
に比較して、締結部におけるシール性を向上させること
ができ、流体の漏れをなくし、あるいは少なくすること
ができるからである。において、それぞれの管が、互
いに軸方向に隔たった2つずつのショルダ面を有してい
る場合には、原則として2つずつのショルダ面の互いに
対応するもの同士がそれぞれ接触させられる。これら2
つのショルダ面同士の接触部のうち、雌ねじを有する管
の先端側のショルダ面と雄ねじを有する管の基端側のシ
ョルダ面とはトルクショルダ面と称される。また、これ
ら管各々の2つのショルダ面間の周面は、いずれもねじ
山が形成されないテーパ周面であるラジアルシール面と
される。この締結態様においては、2つのショルダ面接
触部の各々において軸方向締付け力が発生させられ、ラ
ジアルシール面同士の接触部において半径方向締付け力
が発生させられるのであるが、シールは主としてラジア
ルシール面同士の接触部において行われるため、ラジア
ルシール型と称される(−1)。なお、2つの管間
の、ラジアルシール面やショルダ面の寸法の相対的な関
係によっては、トルクショルダ面同士は接触するが、他
方のショルダ面同士が接触しない場合がある。それに対
して、トルクショルダ面が設けられていない場合におい
て、ショルダ面接触部において軸方向締付け力が発生さ
せられるとともに、ラジアルシール面において半径方向
締付け力が発生させられる場合がある。この締結態様に
おいては、主として管のショルダ面接触部においてシー
ルが行われるため、ショルダシール型と称される。本シ
ョルダシール型や上記ラジアルシール型の管継手はプレ
ミアムジョイントと称される(−2)。上述のいずれ
の態様で締結されるかは、ねじ部の形状や、ねじ部の形
状とショルダ面の形状との相対的な関係等によって決ま
る。また、2つの管を締結する場合には、の場合のみ
ならず、,の場合であっても、テーパねじ部を有す
る管が使用されることが多く、の場合には、台形ねじ
形状または三角ねじ形状を有する管が使用され、,
の場合には、台形ねじ形状を有する管が使用されること
が多い。なお、雄ねじ部を有する管がピンと称され、雌
ねじ部を有する管がボックスと称されることもある。
【0004】2つの管の締付けは、直接軸方向締付け力
や半径方向締付け力に基づいて管理することが望ましい
が、困難であるため、トルクに基づく管理が行われた
り、トルクと回転数との両方に基づく管理が行われてい
る。トルクに基づく管理においては、実際の相対回転抵
抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締付けが終
了させられる。この場合には、目標締付け力に対する目
標締付けトルクが、両管の接触部(ねじ面接触部やショ
ルダ面接触部)における摩擦係数をあらかじめ測定もし
くは仮定して算出される。しかし、摩擦係数は、接触面
の加工条件(面粗度)や、これらの間の潤滑状態等によ
って大きく左右される上、それらは通常一定でなく個々
の状況で異なる。そのため、締付け力のばらつきが大き
くなり、設計上規定された適正な締付け力を得ることが
困難である。締付け力のばらつきにより、接触面の降伏
や焼付き等が生じ、問題となっているのである。トルク
と回転数との両方に基づく管理の一例として、相対回転
抵抗トルクと相対回転数との各々に上限値と下限値とを
設定し、相対回転抵抗トルクが下限トルクに達したとき
に、相対回転数が下限回転数と上限回転数との間にある
か、あるいは、相対回転数が下限回転数に達したとき
に、相対回転抵抗トルクが下限トルクと上限トルクとの
間にある場合には締付けが正常に進行しているとし、そ
れ以外の場合には何らかの異常が発生したとするのであ
る。相対回転数は、例えば、雄ねじ部と雌ねじ部とが予
め定められた一定の状態(例えば、螺合開始状態や、螺
合開始状態から予め定められた回数だけ相対回転させら
れた状態や、相対回転抵抗トルクが回転数計測開始トル
クに達した状態)にある状態からの両管の相対回転数で
ある。上記回転数計測開始トルクとしては、例えば、両
管が実質的に雄ねじと雌ねじとのみで接触する状態から
ショルダ面同士あるいはラジアルシール面同士で接触す
る状態に移行する瞬間の相対回転抵抗トルクを採用し得
る。このトルクと回転数との両方に基づく管理によれ
ば、ねじ部における異物の噛込み等に起因して、ねじ部
がまだ十分な量螺合されていないにもかかわらず、相対
回転抵抗トルクが異常に大きくなったり(上限相対回転
抵抗トルクまで増大したり)、材質不良やねじ形状不良
等に起因して、相対回転抵抗トルクがまだ下限相対回転
抵抗トルクに達していないにもかかわらず、相対回転数
が異常に大きくなったり(上限回転数まで増大したり)
したことを検出することができ、締付け異常の発生を検
出することができる。しかし、従来は、回転数計測開始
トルク,下限相対回転抵抗トルク,上限相対回転抵抗ト
ルク等が、予め測定もしくは仮定された摩擦係数に基づ
いて決定されていたため、摩擦係数の個々のバラツキ等
により相対回転抵抗トルクがバラツキ、締付け異常の発
生の検出を正確に行うことができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段、作用お
よび効果】本発明は、以上の事情を背景として、締付け
管理の信頼性を向上させることを課題としてなされたも
のであり、本発明によって、下記各態様の管の締結方
法、締結装置、締付け力管理用記録媒体が得られる。各
態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付
し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載す
る。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするため
であり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合わ
せが以下のものに限定されると解釈されるべきではな
い。 (1)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、
それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締
結する方法であって、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを
螺合させた状態で、前記両管に軸方向力を加えつつ両管
を相対回転させて相対回転抵抗トルクを検出し、その検
出した相対回転抵抗トルクと前記軸方向力とに基づいて
両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得し、
その取得された摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条
件を決定し、その締付け終了条件が満たされたときに締
付けを終了することを特徴とする管の締結方法(請求項
1)。本項に記載の管の締結方法によれば、相対回転抵
抗トルクと軸方向力とに基づいて、両管間の摩擦係数に
関連する摩擦係数関連量が取得され、その摩擦係数関連
量に基づいて締付け終了条件が決定される。そして、締
付け終了条件が満たされた場合に、締付けが終了させら
れる。例えば、目標締付けトルクを摩擦係数関連量に基
づいて決定し、実際の相対回転抵抗トルクが目標締付け
トルクに達した場合に締付け終了条件が満たされたとす
ることができる。当然ながら、摩擦係数関連量が大きい
ほど、同じ軸方向締付力または半径方向締付力を得るた
めに必要な締付けトルクが大きくなる。両管の接触部の
形状や寸法等が同じである場合において、摩擦係数関連
量は、両管に加えられる軸方向力が同じである場合は、
相対回転抵抗トルクが大きいほど大きく、相対回転抵抗
トルクが同じである場合は、軸方向力が大きいほど小さ
くなる。このことは、〔発明の実施の形態〕に記載した
式(3), (8), (28)からも明らかであり、相対回転抵抗ト
ルクと軸方向力とに基づいて摩擦係数関連量を取得し得
ることが明らかである。なお、実験によれば、両管に加
えられる軸方向力が大きいほど、摩擦係数関連量の取得
精度が向上する。本締結方法においては、摩擦係数関連
量が互いに締結される2つの管毎に取得されるのであ
り、接触面各々の加工条件,接触面間の潤滑状態等に応
じた摩擦係数関連量が取得される。したがって、摩擦係
数関連量に基づいて締付け終了条件を決定すれば、締付
け力のばらつきを小さくし得、設計上の締付け力を正確
に得ることができる。その結果、締付け力のばらつきに
起因する接触部の降伏や焼付き等が生じることを良好に
回避することができる。摩擦係数関連量には、摩擦係数
自体に加えて、摩擦係数推定の基礎とし得る量、摩擦係
数の大小を段階的に表す値等が該当する。 (2)前記両管を、ほぼ垂直方向に延びた姿勢に保っ
て、相対回転させる(1) 項に記載の管の締結方法(請求
項2)。両管を相対回転させる場合には、ほぼ垂直方向
に延びた姿勢に保つことが望ましい。両管をほぼ垂直方
向に延びた姿勢に保ち、下方の管を固定すれば、上方に
位置する管の自重によって両管に軸方向力を加えること
ができ、上方の管を固定すれば、下方の管の自重によっ
て両管に軸方向力を加えることができる。両管に軸方向
力を付与するための装置が不要になり、あるいは能力の
小さいもので済むのである。複数の管が締結されて成る
締結管が、石油堀削用工具軸のように垂直な姿勢で使用
されるものであり、掘削が進んで締結管の上端が地表近
くなったときに、次の管が締結される場合には、本態様
の締結方法が特に好適である。 (3)前記両管を、ほぼ水平方向に延びた姿勢に保っ
て、相対回転させる(1) 項に記載の管の締結方法。本項
の締結方法は、2つの管を締結することによって、地表
にほぼ平行に配設される長い締結管を取得する場合に適
している。石油や天然ガスの輸送管がその代表例であ
る。 (4)前記軸方向力を、両管を互いに接近させる方向に
加える(1) 項ないし(3)項のいずれか1つに記載の管の
締結方法(請求項3)。両管を接近させる方向の軸方向
力(圧縮力)を加えつつ相対回転抵抗トルクを検出して
も、離間させる方向の軸方向力(引張力)を加えつつ検
出してもよいが、締結装置の構造上、圧縮力を加えつつ
相対回転抵抗トルクを検出する方が望ましい場合が多
い。また、後述するように、ショルダ面同士が接触させ
られた状態で締結される場合には、圧縮力を加えれば、
ショルダ面間の摩擦係数関連量を検出できる。 (5)前記相対回転抵抗トルクを、前記両管のショルダ
面同士が互いに接触しないで両ねじ面同士が接触する初
期段階と、両ショルダ面同士が接触し両ねじ面同士が実
質的に接触していない中間段階との少なくとも一方にお
いて検出することを特徴とする(4) 項に記載の管の締結
方法(請求項4)。本項に記載の締結方法は、2つの管
が,の態様で締結される場合に適用される。初期段
階においては、ねじ部同士が接触させられ、中間段階に
おいては、ショルダ面同士が接触させられる。本項に記
載の締結方法によれば、ねじ面接触部における摩擦係数
関連量と、ショルダ面接触部における摩擦係数関連量と
の少なくとも一方が取得され、これらねじ面接触部にお
ける摩擦係数関連量と、ショルダ面接触部における摩擦
係数関連量との少なくとも一方に基づいて、締付け終了
条件が決定される。両方に基づいて決定されれば、締付
け力の管理精度が特に向上する。初期段階,中間段階の
いずれの段階においても、接触部においては、軸方向締
付け力も半径方向締付け力も発生しない。そのため、こ
れらの段階において摩擦係数関連量を求めることは妥当
なことである。中間段階の次の最終段階においては、接
触部に軸方向締付け力が発生させられるため、摩擦係数
関連量を精度よく検出できないのである。なお、初期段
階と中間段階とにおいて、両管に加えられる軸方向力の
大きさおよび向きは同じとすることが軸方向力付与装置
の構成を簡単にする上で望ましいが、不可欠ではない。
軸方向力の大きさと向きとの少なくとも一方を初期段階
と中間段階とで変えてもよいのである。初期段階におい
て引張力を付与し、中間段階において圧縮力を付与する
態様がその一例である。また、一回の締結中に軸方向力
を意識的に変化させてもよい。軸方向力と相対回転抵抗
トルクとの複数の組み合わせに基づいて摩擦係数関連量
を取得することもできる。前述のように、軸方向力を大
きくすることによって、初期段階トルクや中間段階トル
クを大きくすることは、摩擦係数関連量の取得精度の向
上、すなわち、締付け終了条件の決定の精度向上につな
がる。 (6)前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが、テーパねじ部
であり、かつ、これら雄ねじ部と雌ねじ部との間に半径
方向締付力が発生していない状態において、前記相対回
転抵抗トルクを検出することを特徴とする(1) 項ないし
(5)項のいずれか1つに記載の管の締結方法(請求項
5)。本項に記載の特徴は、主としての態様で締結さ
れる場合に適用されるが、,の態様で締結される場
合に適用することもできる。ねじ部がテーパねじ部であ
る場合、両管のねじ面接触部において、初期段階におい
ては半径方向締付け力が発生させられず、最終段階にお
いて発生させられる。そのため、初期段階において摩擦
係数関連量を取得すれば、半径方向締付け力の影響を受
けることなく精度よく取得することができる。 (7)前記雄ねじ部と雌ねじ部とが、雄ねじ部の先端側
の斜面と雌ねじ部の基端側の斜面とにおいて互いに接触
する初期段階において、前記相対回転抵抗トルクを検出
する(1) 項ないし (6)項のいずれか1つに記載の管の締
結方法。本項に記載の締結方法は、〜のいずれの態
様で締結される場合にも適用することができる。前述の
ように、初期段階においては、軸方向締付け力も半径方
向締付け力も発生していないため、精度よく摩擦係数関
連量を検出することができる。初期段階において接触さ
せられる斜面と最終段階において接触させられる斜面と
が異なる場合が多いが、ねじ部全体において加工条件や
潤滑状態が同じであれば、初期段階において取得された
摩擦係数関連量を最終段階において接触させられる接触
面における摩擦係数関連量であるとみなすことができ
る。 (8)前記初期段階において取得された摩擦係数関連量
に基づいて、最終段階において実際に接触させられる両
管の接触面間の摩擦係数関連量を取得する(5) 項ないし
(7) 項のいずれか1つに記載の締結方法。(7) 項に関し
て記載したように、ねじ部全体の加工条件が同じであれ
ば、初期段階において接触させられる接触面間の摩擦係
数関連量と最終段階において接触させられる接触面間の
摩擦係数関連量とは同じであるとみなすことができる。
それに対して、加工条件が異なる場合には、初期段階に
おいて取得された摩擦係数関連量に予め定められた係数
を掛けることによって最終段階において接触させられる
接触面間の摩擦係数関連量を推定することができる。1
つの管における面相互間における加工条件のバラツキ
は、管毎のバラツキより小さいからである。 (9)前記両管を、それぞれ、外周面において保持し
て、相対回転させる(1) 項ないし(8) 項のいずれか1つ
に記載の管の締結方法。管が長い場合には、管の軸方向
の被締結部とは反対側の端部を端面側から保持して相対
回転させることは困難である。そのため、管の外周面、
特に被締結部に近い部分の外周面において保持して相対
回転させることが望ましい。同様に、軸方向力を加える
場合にも、外周面において軸方向力を加えることが望ま
しい。 (10)前記両管のいずれか一方の管を固定し、他方の
管を、軸方向力を加えつつ回転させる(1) 項ないし(9)
項のいずれか1つに記載の管の締結方法。両管に軸方向
力を加えつつ相対回転させる態様としては、〔(一方の
管を軸方向相対移動不能に固定して他方の管に軸方向力
を加える態様),(他方の管を軸方向相対移動不能に固
定して一方の管に軸方向力を加える態様),(両方の管
にそれぞれ軸方向力を加える態様)〕と〔(一方の管を
回転不能に固定して他方の管を回転させる態様),(他
方の管を回転不能に固定して一方の管を回転させる態
様),(両方の管を回転させる態様)〕との組み合わせ
がある。しかし、2つの管の締結によって、結果的に長
い管を取得する場合、例えば、管を継ぎ足すことによっ
て長い管を取得する場合には、継ぎ足す方の管に軸方向
力を加えつつ回転させる態様が望ましい。 (11)前記締付け終了条件が、実際の相対回転抵抗ト
ルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決定される目標
締付けトルクに等しくなることである(1) ないし(10)項
のいずれか1つに記載の管の締結方法。 (12)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管と
を、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによっ
て締結する際に、両管の相対回転数と相対回転抵抗トル
クとにそれぞれ上限値と下限値とを設定し、相対回転抵
抗トルクが下限トルクに達したときに、相対回転数が下
限回転数と上限回転数との間にあるか、あるいは、相対
回転数が下限回転数に達したときに、相対回転抵抗トル
クが下限トルクと上限トルクとの間に有る場合には締付
けが正常に進行していると判定し、それ以外の場合には
何らかの異常が発生したと判定する締結検査方法であっ
て、前記両管が実質的に雄ねじ部と雌ねじ部とのみによ
って接触している間の少なくとも一時期に両管に軸方向
力を加え、その加えた軸方向力と相対回転抵抗トルクと
に基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量
を取得し、その取得した摩擦係数関連量に基づいて前記
下限トルクおよび上限トルクを決定する工程を含む締結
検査方法。下限トルクおよび上限トルクが実際に取得さ
れた摩擦係数関連量に基づいて決定されるようにすれ
ば、予め測定されたり仮定されたりして得られた摩擦係
数に基づいて決定されるようにする場合に比較して、検
査の信頼性を向上させることができる。 (13)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管と
を、雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対回転
させる相対回転駆動装置と、その相対回転駆動装置によ
る相対回転駆動中であって、未だ締付け力が発生してい
ない時期の少なくとも一部において前記両管に軸方向力
を加える軸方向力付与装置と、その軸方向力付与装置に
よって軸方向力が加えられている状態において前記両管
の相対回転抵抗トルクを検出するトルク検出装置と、そ
のトルク検出装置によって検出された相対回転抵抗トル
クと前記軸方向力付与装置によって加えられた軸方向力
とに基づいて、前記両管間の摩擦係数に関連する摩擦係
数関連量を取得する摩擦係数関連量取得手段と、その摩
擦係数関連量取得手段によって取得された摩擦係数関連
量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされた場合
に、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成手段
とを含むことを特徴とする管の締結装置(請求項6)。
本項に記載の管の締結装置によれば、(1) 項に記載の管
の締結方法を実施し得る。軸方向力付与装置は、締付け
中軸方向力を加え続けるものでも、離散的に1回以上加
えるものでもよい。締結される管の一方の自重により軸
方向力が付与される場合は、その一方の管を自重が締結
部に作用する状態で支持する装置が軸方向力付与装置で
あることになる。トルク検出装置は1回のみ相対回転抵
抗トルクを検出することも可能であるが、複数回検出す
るものとすれば、信頼性の高い相対回転抵抗トルクを取
得することができる。また、終了条件充足情報作成手段
により作成される終了条件充足情報に基づいて、回転駆
動装置を自動で停止させる自動停止手段を設ければ、締
付け力が目標締付け力に達したとき締付けが自動的に終
了させられようにすることができて理想的であるが、不
可欠でなく、例えば、終了条件充足情報に基づいて鳴動
するブザー等の報知器を設け、報知器の報知に応じて作
業者が回転駆動装置を停止させるようにすることも可能
である。 (14)前記相対回転駆動装置が、回転駆動源と、前記
両管のうちいずれか一方の管を当該締結装置本体に回転
不能に固定する固定装置と、他方の管に、その管に相対
回転不能に係合させられた管締付けレンチ部材を介し
て、前記回転駆動源の駆動力を伝達する回転駆動力伝達
装置とを含む(13)項に記載の締結装置。本項に記載の相
対回転駆動装置においては、一方の管が締結装置本体に
固定され、他方の管が回転させられる。他方の管には、
回転駆動力が管締付けレンチ部材を介して伝達される。
回転駆動力伝達装置は、回転駆動源の出力軸に固定され
た第1歯車と、管締付けレンチ部材に保持され、前記第
1歯車に噛み合わされた第2歯車とを含むものとした
り、回転駆動源の出力軸に固定されたプーリと、管締付
けレンチ部材に保持されたプーリと、それらプーリ間に
巻き付けられたタイミングベルトとを含むものとしたり
することができる。前述のように、2つの管の締結によ
って長い管を取得する場合には、継ぎ足す管を他方の管
として回転させれば、回転駆動力が小さくて済み、装置
の大型化を回避し得、コストアップを回避し得る。 (15)前記管締付けレンチ部材が、円環状部材がその
円環状部材の中心線に平行な分割面で分割された状態の
複数の円弧状部材が、前記他方の管の外周に配置された
状態で連結装置により周方向に連結されることにより、
その他方の管の外周面を巻き締めた状態で他方の管に固
定される分割型レンチ部材である(14)項に記載の締結装
置。管締付けレンチ部材が分割型レンチ部材であれば、
分割状態で管の外周に配置した後、連結装置により周方
向に連結すれば、管の中間部に相対回転不能に固定する
ことができる。管締付けレンチ部材が分割されていない
円環状の部材である場合には、管を連結した後、連結端
とは反対側の端から抜き取る必要があり、それに比較し
て、容易に着脱し得るのである。円環状部材は最低2個
に分割すれば着脱が可能になるが、3個以上の分割する
ことも可能である。円環状部材が分割されて成る複数の
円弧状部材は、端部同士がほぼ周方向に延びる連結ボル
ト等の連結部材により連結されるとともに締め付けられ
ることにより、管の外周面を巻き締める状態とされるよ
うにすることも可能であるが、それら円弧状部材の端部
同士を、1ヵ所を除いて、連結ピンにより、前記円環状
部材の中心線に平行な回動軸線回りに互いに相対回動可
能に連結する方が着脱作業が容易になる。この連結され
た円弧状部材連結体の上記1ヵ所を、ほぼ周方向に延び
る連結ボルト等の連結部材により連結するとともに締め
つければ、円弧状部材連結体が管の外周面を巻き締める
状態となり、分割型レンチ部材が管に固定されることと
なる。 (16)前記複数の円弧状部材の連結が、それら円弧状
部材の端面から少なくとも軸方向に突出して形成された
被連結部において行われる(15)項に記載の管の締結装
置。被連結部が円弧状部材の端面から少なくとも軸方向
に突出して設けられ、外周面から突出させられない場合
には、外周面を回転駆動トルクの伝達のために使用する
ことができる。被係合部は端面から少なくとも軸方向に
突出して設けられていればよく、軸方向に突出させられ
た後、半径方向に延びる部分を備えていても差し支えな
い。 (17)前記管締付けレンチ部材が、前記他方の管の外
径より内のり寸法が大きい環状部材と、その環状部材の
内側面と他方の管の外周面との間に環状部材の回転トル
クを他方の管に伝達可能な状態で介在させられる介在部
材とを含む(14)項に記載の管の締結装置。介在部材は、
例えば、環状部材に、管の半径方向に延びる状態で形成
された3個以上のねじ穴に螺合され、先端が管の外周面
に当接させられる3個以上の半径方向ボルトとすること
が可能である。これら半径方向ボルトを後退させた状態
で環状部材を管の外周に嵌合し、その後半径方向ボルト
を前進させて管の外周面に当接させれば、環状部材が管
の外周面に、回転トルク伝達可能な状態で固定されるの
である。半径方向ボルトに代えて、半径方向ピンと、そ
の半径方向ピンを管の半径方向に進退させる進退装置と
を採用することも可能である。また、介在部材を、次項
に記載の楔部材とすることも可能である。 (18)前記環状部材が内周側に、その環状部材の中心
線に平行な方向に進むにつれてその中心線に接近する向
きに傾斜した第1傾斜面を備え、前記介在部材が、その
第1傾斜面に対応する第2傾斜面と前記環状部材の中心
線に平行な平行面とを備えた複数の楔部材であり、それ
ら複数の楔部材が、押込装置により前記環状部材の第1
傾斜面と前記他の管の外周面との間の楔状の隙間に押し
込まれることにより、楔部材が環状部材の回転トルクを
他の管に伝達可能な状態となる(17)項に記載の管の締結
装置。押込装置は、楔部材を環状部材と管との楔状の隙
間に押し込み得るものであれば何でもよい。最も簡単な
ものは、楔部材の半径方向外向きに突出した外向き突部
に、管の中心線に平行な方向に形成された貫通穴にボル
トが挿入され、そのボルトの雄ねじ部が環状部材に形成
されたねじ穴に螺合されるものである。ボルトを締め付
ければ、外向き突部が環状部材に接近させられ、それに
つれて楔部材が環状部材と管との楔状の隙間に押し込ま
れる。環状部材が、内周面が内周テーパ面とされた円環
状部材とされ、楔部材が、円環状部材の内周テーパ面に
対応するテーパ外周面と前記他の管の外周面に対応する
円筒面とを備えた円弧状楔部材とされることが望まし
い。この態様においては、内周テーパ面が前記第1傾斜
面、外周テーパ面が前記第2傾斜面、円筒面が前記平行
面に相当することになり、大きな回転トルク伝達能力を
有する。円弧状楔部材は、例えば、円環状部材の内周テ
ーパ面に対応するテーパ外周面と前記他の管の外周面に
対応する円筒面とを備えた円環状の楔部材を、その円環
状楔部材の中心線に平行な分割面により複数に分割する
ことによって得られる。円環状部材は、外周面に継ぎ目
がないものとすることができるため、前記分割型レンチ
部材に比較して、回転トルクの伝達が容易である利点を
有する。 (19)前記回転駆動源が電動モータと流体圧モータと
のいずれか一方である(14)ないし(18)項のいずれか1つ
に記載の締結装置。流体圧モータには油圧モータ,エア
モータ等が含まれる。流体圧モータは小形のもので大き
なトルクを発生させることが容易であり、比較的低速,
高トルクで管を回転させる必要がある締結装置の駆動源
に適している。電動モータは減速機付きが好適である。 (20)前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダと、前
記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記油圧シ
リンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運動に変
換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダの作動
により前記クランプ装置を回動させることによって前記
他方の管を回転させる油圧式回転装置を含む(13)項ない
し(19)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。 (21)前記軸方向力付与装置が、前記両管がほぼ垂直
方向に延び、かつ、それら両管の一方の自重が両管の締
結部に作用する状態でその一方の管を保持する垂直保持
装置を含む(13)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の
管の締結装置。 (22)前記軸方向力付与装置が、前記両管を互いに接
近させる向きの軸方向力を付与する接近方向力付与装置
を含む(13)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の管の
締結装置。 (23)前記相対回転駆動装置が、前記両管のうちのい
ずれか一方の管を当該締結装置の本体に回転不能に固定
し、他方の管を回転させることにより、それら両管を相
対回転させるものであり、前記軸方向力付与装置が、前
記一方の管を前記締結装置本体に軸方向に移動不能に固
定し、前記他方の管の前記相対回転駆動装置による回転
を許容しつつ両管に軸方向力を付与するものである(13)
項ないし(22)項のいずれか1つに記載の管の締結装置
(請求項7)。一方の管を締結装置本体に対して回転不
能かつ軸方向に移動不能に固定し、他方の管を、相対回
転駆動装置により回転させられつつ軸方向力付与装置に
より軸方向力が加えられるようにすれば、装置の大型化
を回避することができる。前述のように、2つの管の締
結によって長い管を取得する場合には、継ぎ足す方の管
に軸方向力を加えるとともに回転トルクを加えることが
望ましい。 (24)前記軸方向力付与装置が、自身の外周面が前記
他方の管の外周面に接触させられた状態で配設された軸
方向力付与ローラと、その軸方向力付与ローラを回転軸
線回りに相対回転可能に保持するローラ保持体と、その
ローラ保持体を、前記締結装置本体に、軸方向および半
径方向に相対移動不能、かつ、前記他方の管の中心線回
りに相対回転可能に保持する保持装置と、前記ローラ保
持体に設けられ、前記軸方向力付与ローラを回転駆動す
るローラ回転駆動装置とを含む(23)項に記載の締結装
置。ローラ保持体が、締結装置本体に、軸方向および半
径方向に相対移動不能かつ相対回転可能に保持されてい
るため、他方の管の回転を許容しつつ、軸方向力を付与
することができる。なお、ローラ回転駆動装置を、軸方
向力付与ローラを正・逆両方向に回転駆動可能なものと
すれば、両管に、圧縮力を加えたり、引張力を加えたり
することが可能となる。 (25)前記保持装置が、前記締結装置本体に固定され
た前記両管の中心線を中心とする円環状の環状レール
と、前記ローラ保持体に一円周に沿ってかつ回転可能に
取り付けられ、前記環状レール上を転がる3個以上の車
輪とを含む(24)項に記載の締結装置。3個以上の車輪
は、少なくとも180°より大きい角度範囲において互
いに間隔を隔てて配設されることが必要であり、360
°の角度範囲に等角度間隔に配設されることが望まし
い。これら3個以上の車輪が、環状レールの内周面に接
触させられれば、ローラ保持体が環状レールに対して同
心に位置決めされ、かつ、環状レールに対して相対回転
可能となる。これら3個以上の車輪と、環状レールとを
環状レールの中心線に平行な方向に相対移動不能に係合
させれば、環状レールとローラ保持体との環状レールの
中心線に平行な方向の相対移動も防止することができ
る。ただし、ローラ保持体の端面に、3個以上の車輪
を、一円周に沿って配設し、締結装置本体にこれら車輪
と係合する別の環状レールを設け、ローラ保持体に加え
られる軸方向の力が、上記3個以上の車輪を介して別の
環状レールにより受けられるようにする方が望ましい。
なお、この別の環状レールと車輪とを、別の環状レール
の半径方向に相対移動不能に係合させれば、別の環状レ
ールに、ローラ保持体の半径方向の移動を防止する機能
をも果たさせることが可能となり、先に説明した環状レ
ールおよびそれに対応する車輪を省略することが可能と
なる。前記軸方向力付与ローラは複数個設けることが望
ましく、それら複数個の軸方向力付与ローラを管のまわ
りに軸対称に配置することが望ましい。そして、ローラ
保持体は、環状レールの全周分の(中心角が360°)
の部材1個で構成することも可能であるが、中心角が1
80°以下の部材複数個の組合わせで構成することが望
ましい。このようにすれば、後述するように、環状レー
ルが装置本体と共に複数に分割されて、半径方向から管
に装着可能とされる場合に、ローラ保持体も半径方向か
ら管に装着可能とすることができる。ローラ保持体を、
上記のように、中心角が180°以下の部材複数個の組
合わせで構成する場合には、それら複数個の部材の各々
に、1個以上の軸方向力付与ローラを保持させる。 (26)前記軸方向力付与装置が、両管のいずれか一方
の管に、同心にかつ軸方向に相対移動不能に固定された
軸方向力付与用部材と、その軸方向力付与用部材と当該
締結装置の本体との間に、それら軸方向力付与用部材と
締結装置本体との相対回転を許容しつつ、それら軸方向
力付与用部材と締結装置本体とを互いに接近させること
と、離間させることとの少なくとも一方を行う軸方向駆
動装置とを含む(13)項ないし(23)項のいずれか1つに記
載の締結装置。軸方向駆動装置は、例えば、締結装置本
体に管の軸方向に平行に移動可能に取り付けられた移動
部材と、その移動部材に回転可能に取り付けられ、前記
軸方向力付与用部材が管と共に回転する際、その軸方向
力付与用部材の管と同心の一円周上を転がる車輪と、締
結装置本体と移動部材との間に取り付けられ、移動部材
を軸方向力付与用部材に接近する向きに移動させること
により、車輪を軸方向力付与用部材に押し付ける流体圧
シリンダ等のアクチュエータとを含むものとすることが
できる。このようにすれば、車輪が、軸方向力付与用部
材の回転を許容しつつその軸方向力付与用部材に軸方向
力を付与することとなる。軸方向力付与用部材は、管締
付けレンチ部材とは別の部材として構成することも、管
締付けレンチ部材を兼ねる部材とすることも可能であ
る。 (27)前記軸方向力付与装置が、前記軸方向力として
軸方向衝撃力を付与する軸方向衝撃力付与装置を含む(1
3)項ないし(26)項のいずれか1つに記載の締結装置。軸
方向衝撃力付与装置は、例えば、管に固定の軸方向力付
与用部材と、その軸方向力付与用部材に対して管の軸方
向に相対移動可能に設けられた慣性質量と、それら軸方
向力付与用部材と慣性質量とを衝撃的に接近または離間
させる衝撃的駆動装置とを含むものとすることができ
る。衝撃的駆動装置が慣性質量を軸方向力付与用部材か
ら衝撃的に離間させ、あるいは軸方向力付与用部材に衝
撃的に接近させれば、慣性質量の慣性力に基づいて軸方
向力付与用部材には軸方向衝撃力が加えられ、その軸方
向衝撃力が管に伝達される。慣性質量と衝撃的駆動装置
とは、装置本体等とは無関係に軸方向衝撃力を発生させ
得るため、軸方向力付与用部材自体に支持させ、軸方向
力付与用部材と共に回転するようにすることができる。 (28)前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダと、前
記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記油圧シ
リンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運動に変
換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダの作動
により前記クランプ装置を回動させることによって前記
他方の管を回転させる油圧式回転装置を含み、前記終了
条件充足情報作成手段が、前記油圧シリンダにおける油
圧に基づいて求められた回転抵抗トルクが、前記摩擦係
数関連量に基づいて決まる目標締付けトルクに等しくな
った場合に、前記締付け終了条件が満たされたとして、
終了条件充足情報を作成するものである(23)項ないし(2
7)項のいずれか1つに記載の管の締結装置(請求項
8)。本項に記載の締結装置においては、管が油圧シリ
ンダの作動によって回転させられるため、容易に大きな
締付けトルクを発生させることができる。また、油圧シ
リンダの直線的作動が運動変換装置によりクランプ装置
の回転運動に変換され、管が回転させられるため、1回
の油圧シリンダの直線的作動による管の回転角度を大き
くすることが困難であり、管を大きな角度回転させるた
めにはクランプ装置のクランプ,アンクランプと正逆両
方向の回転との繰返しが必要である。したがって、初期
段階や中間段階から使用することも可能ではあるが、最
終段階における締付けに適している。クランプ装置は、
大きな締付けトルクを確実に管に伝達し、かつ、クラン
プ,アンクランプを迅速に行うために、管を油圧により
クランプする油圧クランプ装置とすることが望ましい。
クランプ装置の本体を管の直径方向に開閉可能とすれ
ば、管を直径方向に移動させてクランプ装置の中心に位
置させることが可能となるが不可欠ではない。クランプ
装置の本体が環状であっても、管を軸方向に移動させて
クランプ装置本体内に挿入させた後、クランプされるよ
うにすることができるのである。なお、本項に記載の締
結装置においては、油圧シリンダによって回転駆動源が
構成され、クランプ装置および運動変換装置によって回
転駆動力伝達装置が構成されると考えることもできる。 (29)前記相対回転駆動装置が、前記他方の管を回転
モータにより回転させるモータ式回転駆動装置を含み、
前記トルク検出装置が前記回転モータの作動状態に基づ
いて回転抵抗トルクを検出するものである(23)項ないし
(28)項のいずれか1つに記載の管の締結装置(請求項
9)。相対回転駆動装置が、(28)項の油圧式回転装置と
本項のモータ式回転駆動装置とを含む場合には、初期段
階,中間段階においては、管をモータ式回転駆動装置に
よって回転させ、最終段階において油圧式回転装置によ
って回転させるようにすることができる。回転モータは
油圧モータであっても電動モータであってもよく、いず
れにしても、モータの作動状態に基づいて初期段階,中
間段階の少なくとも一方における回転抵抗トルクが検出
され、それに基づいて目標締付けトルクが求められる。
相対回転駆動装置が、油圧式回転装置を含まないで本項
のモータ式回転駆動装置のみを含む場合には、回転モー
タは油圧モータとすることが望ましい。初期段階,中間
段階においては低圧,大吐出流量の油圧ポンプから作動
油が供給されて、油圧モータが低トルク,大回転速度で
駆動され、最終段階においては高圧,小吐出流量の油圧
ポンプから作動油が供給されて、油圧モータが大トル
ク,小回転速度で駆動されるようにするのである。この
ようにすれば、初期段階から最終段階までの間、1つの
油圧モータによって管を回転させることが可能となる。
この場合には、油圧モータにおける油圧に基づいて回転
抵抗トルクを検出し、その回転抵抗トルクに基づいて目
標締付けトルクを求めることができる。また、終了条件
充足情報が油圧モータにおける油圧に基づいて検出され
た回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に作
成されるようにすることができる。 (30)前記回転モータは油圧モータであり、前記トル
ク検出装置が、前記油圧モータにおける油圧を検出する
油圧検出装置を含む(29)項に記載の管の締結装置。 (31)前記軸方向力付与装置により付与される軸方向
力を検出する軸方向力検出装置を含み、かつ、前記摩擦
係数関連量取得手段がその検出された軸方向力と、前記
トルク検出装置により検出された相対回転抵抗トルクと
に基づいて前記摩擦係数を推定するものである(13)項な
いし(30)項のいずれか1つに記載の締結装置。軸方向力
付与装置により付与される軸方向力が予め定められた一
定値であれば、軸方向力検出装置を省略できるが、軸方
向力検出装置を設ければ、同時点に検出された軸方向力
と回転抵抗トルクとに基づいて摩擦係数を推定するの
で、軸方向力を一定に保つ必要がなくなり、締付け作業
の自由度が増す効果が得られる。なお、軸方向力付与装
置により付与される軸方向力が予め定められた一定値で
ある場合でも、軸方向力検出装置を設ければ摩擦係数の
推定精度が向上する効果が得られる。 (32)前記トルク検出装置が、前記相対回転駆動装置
内の回転軸に加わるねじりトルクを検出するねじりトル
ク検出装置を含む(13)項ないし(31)項のいずれか1つに
記載の管の締結装置。 (33)前記相対回転駆動装置が、回転駆動源と、前記
両管の一方を当該締結装置本体に回転不能に固定する固
定装置と、前記両管の他方に、前記回転駆動源の駆動力
を伝達する回転駆動力伝達装置と、前記回転駆動源を前
記締結装置本体に対して軸方向に相対移動可能かつ前記
管の中心線回りに相対回転不能に保持する回転駆動源保
持装置とを含み、かつ、前記トルク検出装置が、前記他
方の管の回転に伴って前記回転駆動源保持装置に加えら
れる反力を検出する反力検出装置を含む(13)項ないし(3
2)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。反力と、両
管の中心線と反力検出装置との間の距離との積が、相対
回転抵抗トルクとなる。 (34)前記相対回転駆動装置が駆動源として電動モー
タを備え、前記トルク検出装置が、その電動モータに流
れる電流に基づいて前記両管の相対回転抵抗トルクを検
出する電流依拠トルク検出装置を含む(13)項ないし(31)
項のいずれか1つに記載の管の締結装置。 (35)当該締結装置本体が、前記両管を取り囲むとと
もに、両管の中心線に平行な分割面により複数の装置本
体構成要素に分離可能に構成されており、それら複数の
装置本体構成要素が分離状態で両管の外周に配置された
後、それら複数の装置本体構成要素を互いに固定する固
定装置を含む(13)項ないし(34)項のいずれか1つに記載
の管の締結装置。締結装置本体が両管を取り囲む構成を
有する場合、その締結装置本体を分離型としないことも
可能である。しかし、この場合は、締結装置本体を管の
長手方向に沿って着脱する必要があり、着脱作業が面倒
である。それに対し、両管の中心線に平行な分割面によ
り複数の装置本体構成要素に分離可能に構成すれば、分
離状態では両管の半径方向に着脱することが可能とな
り、着脱作業が容易となる。 (36)当該締結装置が、中間段階の少なくとも一時点
を検出する中間段階検出手段を含む(13)項ないし(35)項
のいずれか1つに記載の管の締結装置。 (37)前記中間段階検出手段が、前記トルク検出装置
により検出された前記回転抵抗トルクに基づいて前記中
間段階の少なくとも一時点を検出するものである(36)項
に記載の管の締結装置。 (38)前記中間段階検出手段が、初期段階から中間段
階への移行時における前記回転抵抗勾配の急変を検出す
ることにより中間段階の開始時点を検出する中間段階開
始時点検出手段を含む(36)項または(37)項に記載の管の
締結装置。移行時には、両管の相対的な形状や寸法によ
り、急激に増加する場合と急激に減少する場合とがあ
る。いずれにしても、接触部分が変化するため、相対回
転抵抗トルクが急変する。 (39)前記中間段階検出手段が、前記トルク検出装置
により時々刻々検出される前記相対回転抵抗トルクを記
憶するトルク記憶手段と、前記相対回転抵抗トルクが設
定トルクに達した後、前記トルク記憶手段に記載された
相対回転抵抗トルク群に基づいて前記中間段階の終了時
点を決定する中間段階終了時点を決定する手段とを含む
(36)項ないし(38)項のいずれか1つに記載の管の締結装
置。時々刻々の回転抵抗トルクをトルク記憶手段に記憶
させておき、後にそれらの相対回転抵抗トルク群に基づ
いて、中間段階から最終段階への移行時点、すなわち中
間段階終了時点を特定することは容易である。但し、締
付け力が目標締付け力に達する前に、それに対応する目
標締付けトルクが決定されていることが必要であるの
で、中間段階終了時点ではできる限り早期に決定される
ことが望ましい。従って、上記設定トルクは中間段階か
ら最終段階への移行を特定し得る範囲で、できる限り小
さな値に設定されることが望ましい。 (40)当該締結装置が、雄ねじ部と雌ねじ部との間に
軸方向締付け力と半径方向締付け力との少なくとも一方
が発生する最終段階に移行したことを検出する最終段階
移行検出手段を含む(13)項ないし(39)項のいずれか1つ
に記載の管の締結装置。前述のように、初期段階から最
終段階に移行する場合と、中間段階から最終段階に移行
する場合とがあるが、いずれにおいても、これらの移行
時の相対回転抵抗トルクの変化勾配の変化、または、相
対回転抵抗トルクの大きさに基づいて移行したことを検
出することができる。例えば、初期段階あるいは中間段
階で取得された摩擦係数関連量に基づいて段階移行時ト
ルクを求め、実際の相対回転抵抗トルクが段階移行時ト
ルクに達した時に、移行したと検出するのである。 (41)前記終了条件充足情報作成手段が、実際の回転
抵抗トルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決まる目
標締付けトルクに等しくなると、終了条件充足情報を作
成する(13)項ないし(40)項のいずれか1つに記載の締結
装置。 (42)初期段階トルクに基づいて前記両ねじ部を持つ
管の螺合異常を検出する螺合異常検出手段を含む(13)項
ないし(41)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。両
ねじ部を持つ管のねじ面間に異物が噛み込まれ、あるい
は両ねじ部を持つ管のねじ面が正常に螺合されていない
等の螺合異常が発生すれば、初期段階トルクが通常より
も大きくなる。従って、例えば、ねじの呼び径やピッチ
等のデータに基づいて初期段階トルクの許容範囲を設定
する許容範囲設定手段と、初期段階トルクがその許容範
囲から外れた場合には螺合異常と判定する螺合異常判定
手段とを含む螺合異常検出手段を設ければ、螺合異常を
早期に発見でき、さらに、螺合異常判定手段の判定結果
に応じて回転駆動装置を停止させる異常停止手段を設け
れば、螺合異常の発生にもかかわらず無理に締付けが行
われることを良好に回避することができる。 (43)少なくとも前記トルク検出装置に接続され、摩
擦係数関連量取得手段および終了条件充足情報作成手段
を構成するコンピュータを含む(13)項ないし(42)項のい
ずれか1つに記載の締結装置。 (44)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管と
を、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによっ
て締結する際に、締付けトルクをコンピュータにより管
理するための制御プログラムであって、前記雄ねじ部と
前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両管に軸方向
力を加えつつ両管を相対回転させたときの相対回転抵抗
トルクと、前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数
に関連する摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量取
得工程と、その摩擦係数関連量取得工程において取得さ
れた摩擦係数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が
満たされたときに、その旨の情報を作成する終了条件充
足情報作成工程とを含む締付けトルク管理プログラム
が、前記コンピュータにより読み取り可能に記録された
ことを特徴とする記録媒体(請求項10)。コンピュー
タを備えた締結装置において、本項に係る記録媒体に記
録されたプログラムを読み取らせれば、(13)項に記載の
締結装置となる。また、その締結装置によれば、(1) 項
に記載の締結方法を実行することが可能となる。また、
締付けトルク管理プログラムには、(2) 項ないし(11)項
のいずれか1つに記載の技術的特徴を適用することがで
きる。 (45)雄ねじ部を有する雄ねじ部材と雌ねじ部を有す
る雌ねじ部材とを、それら両部材の雄ねじ部と雌ねじ部
との締付けによって締結する方法であって、前記雄ねじ
部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両部材に
軸方向力を加えつつ両部材を相対回転させて相対回転抵
抗トルクを検出し、その検出した相対回転抵抗トルクと
前記軸方向力とに基づいて両部材間の摩擦係数に関連す
る摩擦係数関連量を取得し、その取得された摩擦係数関
連量に基づいて締付け終了条件を決定し、その締付け条
件が満たされたときに締付けを終了することを特徴とす
る2部材の締結方法。雄ねじ部材,雌ねじ部材は、それ
ぞれ中実の軸部材であってもよい。本発明は管の締結の
改善を主たる目的としてなされたものであるが、管の締
結以外にも適用が可能なのである。また、本項に記載の
2部材の締結方法には、(2) 項ないし(11)項のいずれか
1つに記載の技術的特徴を適用することができる。ま
た、(13)項に記載の締結装置を2部材締結装置として使
用することができ、(14)項ないし(34)項のいずれか1つ
に記載の技術的特徴を2部材締結装置に適用することが
できる。
【0006】
【発明実施の形態】以下、請求項6および7に記載の発
明の一実施形態である管の締結装置について図面に基づ
いて説明する。この締結装置に、請求項10に記載の発
明の一実施形態である記録媒体に記録されたプログラム
を読み取らせ、実施させることにより、請求項1ないし
5に記載の発明の一実施形態である管ねじ継手締結方法
を実施し得る。本締結装置において、雄ねじ部を有する
管と雌ねじ部を有する管とが締結され、得られた管は、
石油掘削用の工具軸や、石油輸送管,ガス輸送管等の流
体の配管として使用される。図1において、10は締結
装置本体であり、12は雌ねじ部を有する管14を回転
不能かつ軸方向に移動不能に固定する固定装置であり、
16は雄ねじ部を有する管18を回転させる回転駆動装
置であり、20は雄ねじ部を有する管18に軸方向力を
付与する軸方向付与装置である。本体10は、管14,
18の中心線に平行な分割面で分割可能とされており、
一方の端部同士が図示しない蝶番により回動可能とさ
れ、他方の端部同士が結合部材30により結合される。
結合部材30は、図1においては1つしか記載されてい
ないが、実際には、複数箇所において結合される。
【0007】固定装置12は、本実施形態においては1
つ以上の管締付けレンチとしてのチャックレンチ32を
含むものである。チャックレンチ32は、締結装置本体
10とともに分割可能とされており、結合部材30によ
って結合することにより、雌ねじ部を有する管14を外
周面において固定する。チャックレンチ32の内側面に
は摩擦係合部が形成されており、外周面と摩擦係合させ
られる。チャックレンチ32を軸方向に複数個設けれ
ば、管14を垂直方向に延びた姿勢で良好に固定するこ
とが可能となる。回転駆動装置16は、本体10にリニ
アガイド装置36を介して軸方向に相対移動可能、か
つ、相対回転不能に取り付けられる。リニアガイド装置
36は、本体10に固定された軸方向に延びるガイドレ
ールと、ガイドレールに沿って軸方向に移動可能な移動
部材とを含むものであり、移動部材に回転駆動装置本体
が固定されているのである。回転駆動装置16は、回転
駆動源としての回転モータ40,トルク検出装置42,
回転伝達装置44等を含む。
【0008】回転伝達装置44は、雄ねじ部を有する管
18に回転モータ40の回転を伝達するものであり、回
転モータ40の出力軸46に相対回転不能に固定された
駆動ギヤ48と、雄ねじ部を有する管18に相対回転不
能に固定された被駆動ギヤ50とを含む。被駆動ギヤ5
0は、雄ねじ部を有する管18に管締付けレンチ54に
よって固定される。本実施形態においては、管締付けレ
ンチ54に被駆動ギヤ50が固定されているのである。
駆動ギヤ48はつば付きのものであり、そのつば52の
内側において被駆動ギヤ50が噛み合わされており、そ
れによって、回転モータ40の重量が支持されることに
なる。
【0009】管締付け用レンチ54は、概して円環状を
成したものであるが、図2に示すように、円環部材がそ
の円環部材の中心線に平行な分割面で分割された2つの
円弧状部材としての分割型本体55,56と、これら分
割型本体55,56の一方の端部同士を回動可能に結合
する回動型連結装置57と、他方の端部同士を周方向に
連結可能な連結ボルト58とを含む。連結ボルト58に
よって2つの分割型本体55,56が連結されることに
より、管18に締付けられる。分割型本体55,56の
一方の端部には、それぞれ、係合部59,60が設けら
れ、これらが、連結ピン61により中心線に平行な軸線
回りに回動可能に支持される。係合部59,60は、軸
方向および半径方向外方に突出した形状をなしたもので
あり、図2(b)に示すように、それぞれ軸方向に重ね
られた状態で係合させられる。このように、一方の端部
同士が回動可能に支持されるため、管締付けレンチ54
の着脱作業が容易になる。なお、係合部59,60の軸
方向への突出量は、前述の駆動ギヤ48のつば52の邪
魔にならない量とされる。さらに、係合部59,60
は、管締付けトルク54の軸方向の上側と下側の両方に
それぞれ設けられている。分割型本体55,56の他方
の端部には、それぞれ、軸方向に突出させられた被連結
部62,63が設けられ、連結ボルト58により連結可
能とされる。図示は省略するが、これら被連結部62,
63も、軸方向の上側と下側とにそれぞれ設けられてい
る。
【0010】トルク検出装置42は、回転モータ40の
出力軸46にカップリング64を介して取り付けられた
ものであり、検出軸65の表面には図3に示すように4
個のストレンゲージ66が+45度と−45度傾斜させ
られて、それぞれ2個づつ接着され、ブリッジ回路68
が形成されている。このブリッジ回路68からスリップ
リング70により電圧検出回路72が接続されるととも
に、もう一方のスリップリング74により直流電源76
が接続されている。検出軸65に捩りトルクが作用され
れば、その捩りトルクに比例する電圧が電圧検出回路7
2に現れる。
【0011】軸方向力付与装置20は、複数の軸方向力
付与ローラ80と、そのローラ80と同軸上に取り付け
た軸方向力付与ローラ駆動用モータ82(図4参照)
と、軸方向力付与ローラ80をそれぞれ相対回転可能に
保持する複数のローラ保持部材84と、複数のローラ保
持部材84を締結装置本体10に対して軸方向および半
径方向に相対移動不能かつ管14,18の中心線回りに
相対回転可能(周方向に移動可能)に保持する保持装置
86と、加えられた軸方向力を検出する軸方向力検出装
置88とを含むものである。本実施形態においては、複
数のローラ保持部材84によってローラ保持体89が構
成される。軸方向力付与ローラ80は、概して鼓型を成
したものであり、管18の外周面に面接触させられる。
軸方向力付与ローラ駆動用モータ82には、図示しない
スリップリングを介して締結装置本体10に設けられた
図示しない電源から電流が供給される。軸方向力付与ロ
ーラ駆動用モータ82により、軸方向力付与ローラ80
を正・逆両方向に回転させれば、圧縮力と引張力との両
方を加えることが可能であるが、本実施形態において
は、圧縮力が加えられるのであり、雄ねじ部を有する管
18に圧縮力が加えられることにより、両方の管18,
14が互いに接近する方向の軸方向力が加えられること
になる。
【0012】保持装置86は、本体10に固定された環
状レール90,92と、ローラ保持部材84に相対回転
可能に設けられた周方向移動用ローラ94,96とを含
むものであり、周方向移動用ローラ94,96が環状レ
ール90,92の内周面に嵌め込まれれば、ローラ保持
部材84が、周方向に相対移動可能に保持されることに
なる。その結果、管18の相対回転が許容される。環状
レール90は、ローラ保持体89の外周側に設けられ、
環状レール92は、ローラ保持体89の上方に設けられ
る。それに対して、周方向移動用ローラ94は、ローラ
保持部材84の外周面の互いに隔たった部分に複数取り
付けられ、周方向移動用ローラ96は上側面の互いに隔
たった部分に複数取り付けられている。その結果、ロー
ラ保持部材84が軸方向および半径方向に相対移動不能
に保持されることになり、軸方向力付与ローラ80が管
18から半径方向に離れることが防止される。
【0013】環状レール90,92には、4個のローラ
保持部材84が支持されている。4個のローラ支持部材
84には、それぞれ、軸方向力付与ローラ80,複数個
の周方向移動用ローラ94,96が取り付けられている
ため、軸方向力付与ローラ80も4個設けられることに
なり、管18には4個の軸方向力付与ローラ80によっ
て軸方向力が付与されることになる。ローラが1つの場
合より、均一に軸方向力を加えることが可能となる。ロ
ーラ支持部84は中心角90°以下、本実施形態におい
ては60°程度のもので、4個が同じ環状レール90,
92において、独立に移動可能とされているのである。
軸方向力検出装置88は、図示は省略するが、4個のス
トレンゲージのうち2個が検出軸の軸方向に対して平行
に接着され、残る2個が周方向に平行に接着されたもの
であり、検出軸に加えられた軸方向力を検出する。
【0014】図4に、締結装置制御装置100を模式的
に示す。締結装置制御装置100は、入力装置102と
処理装置としてマイクロコンピュータ104とを含む。
マイクロコンピュータ104は、PU106、ROM1
07、RAM108およびI/Oポート109を備え、
ROM107には、図5に示す締付けトルク管理プログ
ラムを初めとする種々のプログラムが格納されている。
PU106は、RAM108を利用してこれらのプログ
ラムを実行し、自動で締付け力の管理を行う。I/Oポ
─ト109には、上記入力装置102に加えて、ドライ
バ114,115、トルク検出装置42、軸方向力検出
装置88等が接続されている。回転モータ40、軸方向
力付与ローラ駆動モータ82はドライバ114,115
を介して接続され、ドライバ114,115の制御によ
り、スイッチ117,118の状態が制御され、それに
より、モータ各々の作動状態が制御される。
【0015】以上のように構成された締結装置において
管14,18の締付けが行われる場合について説明す
る。まず、管14,18の取り付け作業等の締付け作業
の準備が行われる。本体10が分離される。それに伴っ
て、固定装置12,環状レール90,92も分離され
る。雌ねじ部を有する管14と雄ねじ部を有する管18
とをそれぞれ取り付け、雄ねじ部を有する管18に管締
付けレンチ54を締め付けることにより被駆動ギヤ50
を固定する。その後、駆動ギヤ48が被駆動ギヤ50と
噛合う位置まで、回転モータ40を軸方向に移動させ、
本体10を結合部材30によって結合する。それによっ
て、環状レール90,92が連結させられ、ローラ保持
体89が周方向に相対回転可能となり、管14が固定装
置12により固定される。また、締付け作業に先立っ
て、入力装置102から、目標締付け力、管ねじの呼び
径、管ねじのピッチ、初期段階回転抵抗トルクと中間段
階回転抵抗トルクの測定位置等のデータが作業者により
直接あるいはホストコンピュータを介して入力され、R
AM108に格納される。締付け準備が終了し、スター
トスイッチが押されれば、ねじの締付けが自動で行われ
る。
【0016】次に、管14,18の形状について図6に
基づいて説明する。管18が有する雄ねじ部をねじ部1
22とし、管14が有する雌ねじ部をねじ部124とす
る。これらねじ部122,124は、それぞれ台形テー
パねじ部である。また、管18のねじ部122の基端側
には肩面(ショルダ面)126が形成され、雌ねじ部を
持つ管14のねじ部124の先端側の端面128(ショ
ルダ面)に接触させられた状態で締結される。図に示す
ように、管14の雄ねじ部124の基端側には肩面12
9(ショルダ面)が設けられているが、このショルダ面
129には、締付状態において、雄ねじ部を有する管1
8の先端側端面130(ショルダ面)が接触させられる
ことはない。管14,18は、ショルダ面126および
ショルダ面128と、ねじ部122,124同士が接触
させられた状態で締結されることになり、締付状態にお
いては、ショルダ面126とショルダ面128との接触
部(ショルダ面接触部)と、ねじ部122,124の接
触部(ねじ面接触部)との両方において軸方向締付け力
が発生させられる。このように締結されて得られた管
は、堀削作業用(石油堀削作業用)工具軸として使用さ
れる。
【0017】まず、ステップ1(以下単にS1で表す。
他のステップも同様とする)において、目標締付け力F
3 がRAM108から読み出され、S2において、回転
させる管18に付与する圧縮力Qが管ねじの呼び径に応
じて演算され、求められる。圧縮力Qは、摩擦係数の評
価精度の観点からすれば、目標締付け力F3と等しくす
ることが望ましく、目標締付け力F3 はねじ呼び径dが
大きいほど大きくなるので、圧縮力Qはねじ呼び径dが
大きいほど大きくされることが望ましい。本実施形態に
おいては、圧縮力Qが目標締付け力F3 の3〜30%範
囲から予め選定された値に対応する大きさとなるように
演算される。図13に示すように、800Nとした場合
には400Nとした場合より得られる軸方向締付け力の
バラツキが小さくなることがわかる。なお、図13に示
すデータは、管14,18が実物の1/4の大きさの管
を締結させた場合に得られたデータである。続いて、S
3において、圧縮力Qを0として締付けが開始される。
具体的には、回転モータ40を軸方向力付与ローラ駆動
モータ82の回転と同期させ、回転数とねじ部のピッチ
に応じて雄ねじ部を有する管18が軸方向に送られる。
【0018】予め定めた時間の経過後に、S4におい
て、回転トルク検出装置42の出力信号が読込まれ、S
5において、回転抵抗トルクが実質的に0であるか否か
が判定され、判定結果がNOであれば、S6において回
転モータ40の回転が停止され、S7において図示しな
いブザーが鳴動させられる等して螺合異常が作業者に報
知される。
【0019】一方、S5の判定結果がYESの場合に
は、S8においてスイッチ117が制御され、S2にお
いて演算により求められた圧縮力Qが雄ねじ部を有する
管18に、軸方向力付与用ローラ80により付与され
る。この時点においては、雄ねじ部を有する管18と雌
ねじ部を有する管14とは螺合した状態にあるが、ショ
ルダ面126とショルダ面128とは接触していない。
その状態の図を図6に示す。その時のねじ部122,1
24間の詳細図を図7に示す。図7に示すようにねじ部
122のねじ山の先端側の側面132とねじ部124の
基端側の側面133とが接触させられた状態にある。こ
の状態でS9、S10が一定微少時間毎に繰り返し実施
され設定トルクTbに到達するまでの回転抵抗トルクが
トルク検出装置42により検出され、RAM108のト
ルクメモリに格納される。初期段階,中間段階の各々の
回転抵抗トルクの測定は、回転抵抗トルクがTb に到達
した時から逆上っていくつ前のデータとするかは、予め
締付けを行う前に決めておく。図12に示すように、締
付け回転角θが、θ1 ,θ2 となると推定し得る時点を
予め決めておくのであり、その時の回転抵抗トルクの値
を検出する。
【0020】S9、S10が繰り返し実施されている間
に、ショルダ面126とショルダ面128とが図8に示
すように接触する。そのときのねじ部122,124の
間、ショルダ面126とショルダ面128との間の詳細
図を図9に示す。図9に示すように、2つの管のねじ部
122,124は実質的に接触しない状態となる。すな
わち中間段階への移行が行われるのである。ここにおい
て、「実質的にねじ部が接触しない状態」とは、「雄ね
じ部を持つ管18と雌ねじ部を持つ管14との偏心やシ
ョルダ面の軸に対する傾きが生じている場合軽く接触す
ることはあり得るが、初期段階における様な互いに強く
押し付けられることのない状態」という意味である。中
間段階への移行後、さらに雄ねじ部を有する管18が締
付けられると図10の状態となる。そのときのねじ部1
22,124の間、ショルダ面126とショルダ面12
8との間の詳細図は図11に示す。図11に示すよう
に、ねじ部122のねじ山の基端側の側面135とねじ
部124の先端側の側面136とが接触する状態にあ
る。回転トルク検出装置42によって検出された回転抵
抗トルクが設定トルクTbに到達すると同時に、S11
において予め決められたデータ数だけトルクメモリに格
納されたデータを逆上って初期段階の回転抵抗トルクT
1 を決定し、同様にS12において予め決められたデー
タ数だけ逆上って中間段階における回転抵抗トルクT2
を決定する。続いて、S13において、決定した初期段
階トルクT1 と中間段階トルクT2とに基づいて目標締
付けトルクT3 の決定が行われる。この決定は以下の事
実に基づいて後述の(12)式、もしくは(16)式の演算によ
り行われる。
【0021】目標締付けトルクの演算について説明す
る。図6、7に示す初期段階においては、ねじ部12
2,124間の摩擦係数μsは雄ねじ部を有する管18
に付与される圧縮力Qと回転抵抗トルクT1 とから求め
られる。初期段階においては、次式のねじ面の斜面の効
果によるトルクTq も同時に生じる。 Tq =ds/2・Q・tan α' ・・・(1) ここで、α' は回転抵抗トルクT1 の測定位置における
ねじ部のリード角であるが、テーパねじにおけるリード
角α' は、テーパねじのあらゆる軸直角断面で異なるの
で、回転抵抗トルクT1 の測定位置においてねじ部12
2,124が接触している部分のリード角の平均値で代
表させる。また、dsはねじの有効径である。有効径ds
は、回転抵抗トルクT1 の測定位置においてねじ面が接
触している部分のトルク等価直径として次式で表され
る。 ds=2/3・(dso3-dsi3) /(dso2-dsi2) ・・・(2) ここで、dso はねじ面が接触している部分の最大径、ds
i は最小径である。従って、前記回転ねじ部を有する管
18を締込む方向に回転させるのに必要なトルクである
初期段階トルクT1 は、次式で表される。 T1 =ds・Q・μs/(2・cos(γ1 −β) ′) −Tq ・・(3) ここで、γ1 は図14に示すように、初期段階で接触す
るねじ山側面の傾き角であり、後述するγ2 は、最終段
階で接触するねじ山側面の傾き角である。βはねじの中
心軸からのテーパ角である。また、Tq は、(1) 式で表
され( Tq =ds/2・Q・tan α′)、(γ1 −β)′
は、ねじ山の山直角断面の中心軸に対する初期段階で接
触するねじ山側面の傾き角であり、次式で表される。 tan(γ1 −β)′=tan(γ1 −β)・cos α′・・・(4) したがって、ねじ部122,124間の摩擦係数μs は
次式で表されることがわかる。 μs =((2・cos(γ1 −β)′) /ds) ・( T1/Q+ds/2・tan α')・・(5)
【0022】図8、9に示す中間段階においては、ショ
ルダ面126とショルダ面128とが接触するが、これ
らの間の摩擦係数μw と雄ねじ部を有する管18に付与
する圧縮力Qとにより、摩擦トルクTw が発生し、これ
が中間段階トルクT2 となる。 T2 =μw ・Dp/2・Q ・・・(6) このとき、Dpはショルダ面126とショルダ面128と
の接触部分のトルク等価直径として次式で表される。 Dp=2/3・(Dpo3-Dpi3) /(Dpo2-Dpi2) ・・・(7) ここで、Dpo はショルダ面126とショルダ面128と
の接触部分の最大径、Dpi は最小径である。ショルダ面
126,ショルダ面128間の摩擦係数μw は次式で表
される。 μw =( 2・T2)/(Dp ・Q)・・・(8)
【0023】図10、11に示す最終段階において、ね
じ面間に発生する軸方向締付け力をFとすれば、ショル
ダ面126とショルダ面128との間に発生する軸方向
締付け力は、(F+Q)である。従って、管18,14
を目標締付け力F(=F3 )で締結するために必要な目
標締付けトルクT3 は次式となる。 T3 =(Ds・μs ・F)/(2・cos(γ2 +β) ′)+μw ・Dp/2・(F+Q) +Ds/2・F・tan α ・・・(9) ここで、γ2 は、図14に示すように、最終段階で接触
するねじ山側面の傾き角であり、( γ2 +β) ′は最終
段階で接触するねじ山の山直角断面におけるねじ山側面
の中心軸からの傾き角であり、次式で表される。 tan(γ2 +β) ′=tan(γ2 +β) ・cos α・・・(10) また、Dsは締結時にねじ面同士が接触している部分のト
ルク等価直径であり、次式で表される。 Ds=2/3・(Dso3-Dsi3 )/(Dso2-Dsi2 )・・・(11) ここで、Dso は締結時にねじ面同士が接触している部分
の最大径、Dsi は最小径である。またαは、最終段階に
おける締結位置において接触しているねじ部のリード角
である。このリード角αはテーパねじのあらゆる軸直角
断面で異なるので、最終段階における締結位置において
接触しているねじ部のリード角の平均値で代表させる。
さらに、(9) 式における摩擦係数μs ,μw に、(5)
式, (8) 式を代入すれば、目標締付けトルクT3 を求め
ることができる。 T3 =(Ds・cos(γ1-β) ′)/(ds ・cos(γ2+β) ′) ・(T1/Q+ds/2・tan α′)・F+T2 ・(F+Q)/Q+Ds/2・F・tan α ・・・(12)
【0024】しかし、(12)式の目標締付けトルクの演算
が非常に複雑であるため、近似することにする。ねじの
中心軸からのテーパ角βが比較的小さい場合において、
初期段階における回転抵抗トルクT1 を、初期段階ので
きるだけ終了間際(最終段階における締付状態に近い状
態)に検出することで、初期段階でのトルク等価直径ds
と最終段階でのトルク等価直径Dsを近似的にほぼ等しい
とすることができる。その結果、T1 の測定位置のリー
ド角α' と、締結位置のリード角αを近似的にほぼ等し
いとすることができる。すなわち、ねじ面の斜面の効果
によるトルクTq はねじのピッチをPとすれば、次式と
なる。 Tq =(P/(2π))・Q・・・(13) 従って、前記雄ねじ部を有する管18を締込む方向に回
転させるのに必要な回転抵抗トルクである初期段階トル
クT1 は、次式で表される。 T1 =(ds ・μs)/(2・cos(γ1 −β) ′) ・Q −P/2π・Q ・・・(14) また、ねじ面間の摩擦係数μs は次式で表される。 μs =(2・cos(γ1 −β) ′)/ds・( T1/Q +P/2π) ・・・(15) 従って、(12)式に示す管ねじ継手を目標締付け力Fで締
結するために必要な目標締付けトルクT3 は、次式のよ
うに簡単に求めることができるのである。 T3 =(cos(γ1 −β) ′/cos(γ2 +β)′)・(T1/Q+P/2π)・F +T2 ・(F+Q) /Q +P/2π・F・・・(16)
【0025】S13において、上記(12)式もしくは(16)
式を用いて、S1で設定された目標締付け力F3 に基づ
いて、F3 を得るために必要な目標締付けトルクT3 を
演算することができる。それ以後、S14とS15とが
繰返し実行され、実際に得られた回転抵抗トルクTが目
標締付けトルクT3 に到達することが待たれ、到達すれ
ばS16においてモータ停止指令が発せられる。この指
令に応じて、ドライバ115がスイッチ118をオフに
して回転モータ40を停止させるので、締付けが自動的
に終了される。
【0026】このように、本実施形態においては、初期
段階における回転抵抗トルクTである初期段階トルクT
1 と軸方向力Qとに基づいて、ねじ面間の摩擦係数が取
得され、中間段階における回転抵抗トルクTである中間
段階トルクT2 と軸方向力Qとに基づいてショルダ面1
26とショルダ面128との間の摩擦係数が取得され
る。そして、それらの摩擦係数に基づいて目標締付けト
ルクT3 が決定され、最終段階における相対回転抵抗ト
ルクTが目標締付けトルクT3 に等しくなったとき、締
付けが自動的に終了させられる。そのため、例えば、油
が付着しているか否か、面粗さの大小等によりねじ面間
の摩擦係数およびショルダ面126とショルダ面128
との間の摩擦係数が変化してもその変化の影響を受け
ず、常にほぼ一定の締付け力で雄ねじを持つ管18と雌
ねじを持つ管14とを締結することができる。また、実
際の回転抵抗トルクの値はトルク検出装置42によって
検出された値をそのまま採用するのではなく、環状レー
ル92と周方向移動用ローラ96との間の摩擦、環状レ
ール90と周方向移動用ローラ94との間の摩擦に起因
する損失分を考慮した値を採用することもできる。これ
らの間の摩擦に起因するトルクの損失分を予め求めてお
き、トルク検出装置42によって検出された回転抵抗ト
ルクから、その損失分を引いた値を実際の回転抵抗トル
クとするのである。
【0027】本締結装置において、管14,18のみな
らず、他の形状の2つの管を締結する場合においても、
同様の効果を得ることができる。以下、図15,16に
示す2つの管を締めつける場合について説明する。ま
ず、これらの管の形状について説明する。図15におい
て、雌ねじ部を有する管は、管14とほぼ同様の形状の
ものであるが、基端部にねじ部が形成されないテーパ面
であるラジアルシール面156が形成されている。雄ね
じ部を有する管150の先端側にも同様に、ねじ部が形
成されていないテーパ面であるラジアルシール面154
が設けられている。管14,150は、管150の端面
(ショルダ面)152と管14のショルダ面129とが
接触させられた状態で締結される。このショルダ面15
2,129の間において軸方向締め付け力が発生させら
れ、ラジアルシール面156,154の間において、半
径方向力が発生させられる。
【0028】図16に示す雌ねじ部を有する管170と
雄ねじ部を有する管172とにおいて、管170の基端
側とそれより先端側とには、それぞれ、第1肩面(ショ
ルダ面)174,第2肩面(トルクショルダ面,中間シ
ョルダ面とも称する)176が形成され、管172の中
間部には肩面(トルクショルダ面,中間ショルダ面)1
78が形成されている。管170,172は、管170
のショルダ面174と管172の端面(ショルダ面)1
80とが接触させられ、管170のトルクショルダ面1
76と管172のトルクショルダ面178とが接触させ
られた状態、あるいは、ショルダ面174,180同士
が接触させられないで、トルクショルダ面176,17
8同士が接触させられた状態で締結される。また、いず
れの場合においても、管170の内周面のショルダ面1
74とトルクショルダ面176との間の部分184(ね
じ山が形成されていないテーパ部分)と管172の外周
面のトルクショルダ面178とショルダ面180との間
の部分186(ねじ山が形成されていないテーパ部分)
とが接触させられ、半径方向締付け力が発生させられ
る。これら内周面の部分184,外周面の部分186も
上述の場合と同様にラジアルシール面である。管14,
150が締結されて得られた管、管170,172が締
結されて得られた管は、主として、流体輸送管として用
いられる。ラジアルシール面において半径方向締付け力
が発生させられるため、流体の漏れを防止することがで
きるのである。
【0029】図15に示す締結態様をショルダシール
型、図16に示す締結態様をラジアルシール型と称する
が、これらいずれの場合においても、締付状態におい
て、ショルダ面接触部における軸方向締付け力とねじ面
接触部における軸方向締め付け力と、ラジアルシール面
間の半径方向締付け力とが発生させられる。トルク管理
においては、ねじ面接触部に半径方向締付け力が発生さ
せられないことを前提とする。すなわち、雄ねじのねじ
山頂部と雌ねじの谷部とは接触しないことを前提とする
のである。これらねじ山頂部と谷部とが接触し、その接
触によるトルクの割合が締付けトルクに対して大きくな
る場合には、測定したねじ面の摩擦係数を用いて、これ
らの間のトルクを考慮することも可能であるが、図1
5,16に示す形状である場合には、ねじ部同士が接触
したとしても、それに起因して発生する半径方向締付け
力はそれほど大きくないと考えられるため、無視するこ
ととする。
【0030】本実施形態において、2つの管を締付ける
場合のねじ面接触部における摩擦係数,ショルダ面接触
部における摩擦係数,目標締め付けトルクの演算は、上
記実施形態における場合と同様に行うことができるが、
図15に示す管14,150を締め付ける場合には、付
与する軸方向力Qを、ショルダ面152およびショルダ
面129、ラジアルシール面154,156同士が完全
に接触し得る大きさとし、図16に示す管170,17
2を締め付ける場合には、ショルダ面180およびショ
ルダ面174,トルクショルダ面176,178同士,
ラジアルシール面182,184同士が完全に接触し得
る大きさとするか、トルクショルダ面176,178同
士,ラジアルシール面182,184同士が完全に接触
し得る大きさとするかのいずれかとする必要がある。す
なわち、締付状態において実際に接触する部分が完全に
接触するように軸方向力を加えるのである。図に示すよ
うに、雄ねじ部を有する管150,172には、管18
と異なって、ねじ部の基端部側に雌ねじ部を有する管と
接触すべきショルダ面が設けられていないため、軸方向
締付け力が発生する位置が上記実施形態における場合と
異なるが、接触部分の最大径,最小径の値を異ならせれ
ば、事情は同じである。なお、本実施形態においては、
ラジアルシール面における半径方向締付け力を考慮しな
かったが、考慮することもできる。例えば、後述する
が、図19に示す嵌め合わせ量δの値を2つの管14,
150あるいは170,172の形状等に基づいて推定
し、嵌め合わせ量δに基づいてラジアルシール面におい
て生じるトルクを推定し、その推定値を目標締付けトル
クの値に加えるのである。このようにすれば、トルク管
理精度を向上させることができる。
【0031】次に、図17に示す、管200,202が
締結される場合について説明する。管200,202は
締結状態において互いに接触すべきショルダ面を有しな
いものであり、かつ、ねじ部204,206がテーパ台
形ねじ部である。この場合には、ねじ面接触部において
半径方向締付け力が発生させられることにより締め付け
られる。図18に示すように、初期段階においては、雄
ねじ部206のねじ山の先端側の側面210と雌ねじ部
204のねじ山の基端側側面212とが接触させられ、
最終段階においては、雄ねじ部206のねじ山の頂部2
14および雌ねじ部204の谷部216、雄ねじ部20
6のねじ山の基端側の側面218および雌ねじ部204
のねじ山の先端側の側面220同士が接触させられる。
本実施形態においては、初期段階において、ねじ面接触
部の摩擦係数が検出されるが、軸方向力(圧縮力)Q
は、摩擦係数検出時に加えられ、最終段階においては除
去することが望ましい。軸方向力Qが非常に小さい場合
には、締付けトルクにおける圧縮力Qの相対的割合が小
さくなるが、軸方向力Qが大きい場合には、相対的割合
が大きくなり、相対回転抵抗トルクを精度よく検出する
ことができなくなる。なお、管200,202を締め付
ける場合には、ねじ部204,206の間に半径方向締
付け力が発生させられるため、雌ねじ部を有する管20
0を、図1に示す位置より軸方向の下方(ねじ部204
が形成されている位置より下方)で固定することが望ま
しい。
【0032】本実施形態においては、いずれの管にも互
いに接触すべきショルダ面が設けられていないため、シ
ョルダ面同士が接触することがないのであり、いわゆ
る、中間段階に対応する過程がない。また、ねじ面接触
部において発生させられる半径方向接触応力と管202
に加えられる円周方向応力とを考慮する必要があり、目
標締付けトルクの演算方法は上記実施形態における場合
と大きく異なる。まず、管202の外周の円周方向応力
とねじ部接触部の半径方向接触応力とについて説明す
る。円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z)
とは、ねじの形状寸法が管200,202の半径に対し
て小さいため、ねじ部がないものと仮定する。すなわ
ち、図19に示すように、ピッチ線Lで区切られた2つ
のテーパ部を有する管同士が嵌め合わされた状態を想定
して求める。また、ねじのリード角αも非常に小さいの
で、近似的に0とおく。両管200,202の半径方向
の嵌め合わせ量をδとすると、円周方向応力σ c (z) と
半径方向接触応力σp (z) とは、次式で表される。 σc (z) ={E・δ/(ro 2 −ri 2 )}・{(r(z) 2 −ri 2)/ r(z) }・ ・・(17) σp (z) ={E・δ/(2・( ro 2 −ri 2 ))} ・{(r(z) 2 −ri 2)・(ro 2 −r(z) 2 )/r(z)3}・・・(18) ここで、Eはヤング率であり、ri は管202の内径
で、ro は管200の外径である。r(z) はねじのピッ
チ円半径である。したがって、嵌め合わせ量δが決まれ
ば、管200,202の材質と形状寸法とに基づいて、
円周方向応力σc(z) と半径方向接触応力σp (z) とを
求めることができる。嵌め合わせ量δは、ねじのピッチ
をP,締付け過程が最終段階に入ってから最終締付け状
態までの回転数をn,中心線からのテーパ角をβとする
と、次式に従って求めることができる。 δ=n・P・tan β・・・(19) また、最小ピッチ円半径をrb とすれば、r(z) は、下
式のように表すことができる。 r(z) =rb +z・tan β・・・(20) なお、z座標は、最小ピッチ円半径rb の位置を0とし
た軸方向の座標である。このように、最終段階に移行し
た後に回転数の管理を行えば、締付け力の管理を行うこ
とができるが、まず、トルクの管理に基づいて締付け力
の管理を行う場合について説明する。
【0033】上記(17)式, (18)式で表される管202の
円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z) と
は、図20(a), (b)に示すように分布する。したがっ
て、発生させるべき円周方向応力σc (z) ,半径方向接
触応力σp (z) が決まれば、(17)式, (18)式から逆に嵌
め合わせ量δを求めることができる。嵌め合わせ量δに
なるようにトルクを加えればよいのであり、以下、嵌め
合わせ量δをトルクの管理によって如何に実現させるか
について説明する。Z座標における位置zにおいて、管
を中心軸に対して垂直な方向の厚さdzでスライスした面
を考える。そのスライス面に作用する半径方向接触応力
σp (z) による半径方向締付け力p(z) は、次式のよう
になる。 p(z) =2π・r(z) ・σp (z) ・dz ・・・(21) 次に、図21に示すように、p(z) の雄ねじ部206の
ねじ山頂面214に対する垂直方向成分pY (z) と締付
状態で接触する雄ねじ206のねじ山側面218に対す
る垂直方向成分pX (z) は、それそれ、次式のようにな
る。 pY (z) =p(z) ・cos β−p(z) ・sin β・tan γ2 ・・・(22) pX (z) =p(z) ・sin(γ2 +β)−p(z) ・cos(γ2 +β)・tan γ2 ・ ・(23)
【0034】また、スライス面を回転させるために必要
なトルクdTは、pX (z) ,pY (z) によって生じる摩
擦力から、式 dT=μs ・r(z) ・pX (z) +μs ・r(z) ・pY (z) ・・・(24) で表され、(24)式に、(22)式, (23)式を代入すると、次
式が得られる。 dT=μs ・r(z) (p(z) ・cos β−p(z) ・sin β・tan γ2 ) +μs ・r(z) (p(z) ・sin(γ2 +β)−p(z) ・cos(γ2+β)・tan γ2 ) ・・・(25) さらに、(25)式に、(21)式を代入すると、 dT=2π・μs {cos β−sin β・tan γ2 +sin(γ2 +β)−cos(γ2 +β )・tan γ2 }・r(z)2・σp (z) ・dz ・・・(26) となり、(26)式をzでz=0からZL まで積分すれば、
管202を回転させるために必要なトルクTを求めるこ
とができる。
【数1】
【0035】ここで、ねじ面接触部の摩擦係数μs は、
上記実施形態における場合と同様に、軸方向力Qを付与
しながら締付けることにより、締付け時の締付けトルク
Lとすれば、次式に従って求めることができる。 μs ={2・cos(γ1 −β)′}/ds・(T1 /Q+ds・tan α′/2)・・・ (28) 本実施形態においては、初期段階において摩擦係数が取
得されるため、厳密にいえば、側面210,212間の
摩擦係数であり、最終段階において実際に接触させられ
る頂部214,谷部216の間の摩擦係数でも、側面2
18,220間の摩擦係数でもない。しかし、ねじ部2
04,206全体において加工条件が同じで潤滑状態が
同じであれば、側面210,212間の摩擦係数は、頂
部214,谷部216の間の摩擦係数,側面218,2
20間の摩擦係数と同じであるとみなすことができるの
である。また、(28)式を(27)式に代入すると、次式が得
られる。
【数2】 このように、互いに接触するショルダ面がなく、ねじ面
接触部において半径方向締付け力が発生させられる場合
における締結も、軸方向力Qと、相対回転抵抗トルクと
に基づいて摩擦係数μs を求めることで、トルク管理に
基づいて正確に締結を行うことができる。(29)式におい
て、目標締め付けトルクTは、σp (z) を代入して演算
して一般的な式を求めた後に求めても、数値積分等を用
いて直接求めてもよい。いずれにしても、設計上、目標
とする円周方向応力σc (z) もしくは半径方向接触応力
σ p (z) が決まれば、その時の嵌め合わせ量δが決ま
り、摩擦係数に基づいて、トルク管理に基づいて締付け
を行うことができる。
【0036】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マイクロコンピュータ104の図5のフ
ローチャートで表される締付けトルク管理プログラムの
S14〜S16を実行する部分等が停止指令手段を構成
し、S11,12を実行する部分等が摩擦係数関連量取
得手段を構成する。また、ROM107が、請求項8に
いう記録媒体の一例である。記録媒体は、ROM等のよ
うに締結装置に固定的に設けられたものであっても、取
り外し可能なものであってよく、また、磁気的に記録さ
れたものであっても光学的に記録されたものであっても
よい。例えば、RAM,ハードディスク,フロッピィデ
ィスク,コンパクトディスク等が該当する。
【0037】なお、上記各実施形態においては、初期段
階において摩擦係数を測定したねじ面と、最終段階の締
め付け状態で実際に接触するねじ面とは、加工精度が同
じでそれらの摩擦係数は等しいものとしたが、これらの
面において加工精度が異なる場合等には摩擦係数も異な
る場合がある。その場合には、摩擦係数を測定したねじ
面と最終段階の締付状態で接触するねじ面の摩擦係数と
が相対的に異なる割合(係数)を予め求めておけば、締
付状態で接触させられるねじ面の摩擦係数を測定しなく
ても、求めることができる。目標締め付けトルクを求め
る場合に、この推定された摩擦係数を使用することがで
きる。すなわち、締付状態において、加工条件が異なっ
たとしても両者の潤滑状態は等しく、加工条件の相違に
よる表面状態の違いだけが、両者の摩擦係数の差にな
る。従って、加工条件の相違による表面状態の違いを予
め把握しておけば、個々の締結における潤滑状態の違い
で2つの摩擦係数がばらついたとしても、その2つの摩
擦係数は同じ割合を保ったままばらつくことになる。し
たがって、2つの面の摩擦係数の異なる相対的な割合を
予め把握しておき、目標締めつけトルクを求める際にそ
の割合を考慮すれば、高精度の締付け管理が可能とな
る。
【0038】また、上記実施形態においては、初期段階
トルクT1 が、相対回転抵抗トルクがTb に至った時か
ら逆上って、締付け回転角θが、角度θ1 であると推定
され得る回転抵抗トルクT1 として求められるようにさ
れていたが、図12に示すように、回転抵抗トルクの変
化勾配等に基づいて初期段階の終了時期(回転角がθ4
の時期)を求め、回転角がθ0 からθ4 の間の回転抵抗
トルクの平均値T4 を初期段階トルクT1 とすることも
できる。さらに、初期段階トルクT1 と中間段階トルク
T2 とがトルクメモリに格納されている複数の相対回転
抵抗トルクの変化勾配に基づいて決定されるようにする
ことも可能である。この場合には、図5のフローチャー
トのS10、S11、S12が図22に示すS10’、
S11’、S12’に変更される。S10’において
は、回転抵抗トルクの変化勾配の隣接するもの同士の差
が、初めて明確に変化したときに初期段階から中間段階
へ移行したとみなし、回転抵抗トルクの変化勾配が変化
したときの回転抵抗トルクから逆上って複数のトルクか
らT1 が演算され、直後(その時点)の複数のトルクか
らT2 が演算されることになる。
【0039】また、締付けが正常に行われるか否かの検
査を行うこともできる。相対回転抵抗トルクと相対回転
数との各々に上限値と下限値とを設定し、相対回転抵抗
トルクが下限トルクに達したときに、相対回転数が下限
回転数と上限回転数との間にあるか、あるいは相対回転
数が下限回転数に達したときに、相対回転抵抗トルクが
下限トルクと上限トルクとの間にある場合に締めつけが
正常であるとするのである。この場合の下限トルクと上
限トルクとを、両管間の摩擦係数に基づいて決定すれ
ば、予め測定されたり仮定されたりして得られた摩擦係
数に基づいて決定されるようにする場合に比較して、検
査の信頼性を向上させることができる。
【0040】さらに、上記実施形態においては、管18
に被駆動ギヤ50が管締付けレンチ54によって相対回
転不能に固定されていたが、図23に示す管締め付けレ
ンチ250によって固定することもできる。管締め付け
レンチ250は、外周リング252と、第1傾斜部材2
54および第2傾斜部材256を含む介在部材258
と、押付装置260とを含む。外周リング252は、円
環状を成したものであり、雄ねじ部を有する管18の大
径部の外径より大きな内径のものであり、外周部に被駆
動ギヤ50が固定される。この場合、被駆動ギヤ50を
分割する必要がないため、回転駆動装置の回転が良好に
伝達され得る。また、外周リング252の軸方向の端面
には周方向に適当な間隔を隔てて複数のねじ穴が形成さ
れている。内周面の端部には、円環状の半径方向突出部
が形成され、第1傾斜部材254の抜け出しが防止され
ている。
【0041】第1傾斜部材254は、円環部材が中心線
に平行な分割面によって分割された円弧状の2つ以上の
分割型部材を含むものである。第1傾斜部材254の外
周面は外周リング252の内周面に対応する面とされ、
内周面が中心線に平行な方向に進むにつれて中心線に接
近する向きに傾斜した第1傾斜面264とされている。
第1傾斜面264は、本実施形態においてはテーパ面と
されているため、第1傾斜部材254を第1テーパ部材
と考えることもできる。第2傾斜部材256も、円環部
材が分割された円弧状の2つ以上の分割型部材を含むも
のである。分割型部材各々には、中心線と平行な線に沿
って延びる割り溝が複数個形成されており、周方向に変
形可能とされている。また、外周面が第1傾斜部材25
4の傾斜面に対応する第2傾斜面266とされ、内周面
が管18の外周面に沿った面とされる。第2傾斜部材2
56の軸方向の端面には半径方向外方に突出した係合部
267が形成されている。係合部267には、適当な間
隔を隔てて複数の貫通穴が形成されている。第1傾斜面
264に対応して第2傾斜面266もテーパ面とされて
おり、第2テーパ部材256と考えることもできる。
【0042】管締付けレンチ250で管18を締付ける
場合には、まず、第1傾斜部材254が外周側に、第2
傾斜部材256が内周側に位置した状態で、これらを管
18の外周に嵌め、その後、外周リング252を管18
に通す。次に、第2傾斜部材256を軸方向に移動させ
ることにより、これらを、管18と外周リング252と
の間に介在させる。係合部267の貫通穴と外周リング
252のねじ穴とが対向する状態とし、これらに押付け
ボルト268を挿入させ、締め付けることにより、係合
部267が外周リング252に接近させられ、第2傾斜
部材256が軸方向に移動させられ、隙間内に押し込め
られるのである。斜面の効果により、管18に外周リン
グ252が締め付けられ、回転トルクが伝達可能とされ
る。係合部267に形成された貫通穴,外周リング25
2に形成されたねじ穴および押付けボルト268等によ
り押付装置260が構成される。なお、外周リング25
2と第1傾斜部材254とは一体的に設けることもでき
るが、その場合には、第1傾斜面264の最も中心線に
接近した部分の内径を、管18の外径より大きくする。
また、管締付けレンチ250で管18を締付ける場合に
は、外周リング252を管18に嵌めた後に、その内周
側に第1傾斜部材254,第2傾斜部材256を配設す
ることも可能である。
【0043】さらに、軸方向力付与装置は、図24,2
5に示す構造のものとすることができる。軸方向力付与
装置278は、管18に軸方向に相対移動不能に固定さ
れた軸方向力付与部材279と、本体10に軸方向に相
対移動不能に固定された複数のエアシリンダ280と、
エアシリンダ280の周方向の両側の隣接する位置に設
けられた一対のガイド装置281,282とを含むもの
である。本実施形態においては、エアシリンダ280
が、本体10の180°隔たった位置に2つ固定されて
いる。また、エアシリンダ280には、ピストンが軸方
向に相対移動可能に配設されており、ピストンから突出
させられたピストンロッド283の先端部に、周方向移
動用ローラ284が取り付けられている。周方向移動用
ローラ284は、軸方向力付与部材279に相対回転可
能に係合させられている。周方向移動用ローラ284に
より管18の回転が許容される。
【0044】エアシリンダ280は、固定フランジ28
6において本体10に固定されている。固定フランジ2
86には、ガイド装置281,282の本体が固定され
ている。また、ピストンロッド283の中間部には可動
フランジ287が軸方向に相対移動不能に固定されてい
る。可動フランジ287には、ガイドロッド288,2
89が固定され、固定フランジ286に設けられたガイ
ド装置281,282の本体に沿って軸方向に移動可能
とされている。ピストンロッド283は可動フランジ2
87を介してガイドロッド288,289に連結される
ことになり、ガイド装置281,282によってガイド
されつつ軸方向に移動させられることになる。それによ
って、半径方向あるいは周方向への傾きが阻止される。
エアシリンダ280にエアが供給されるとピストンおよ
びピストンロッド283が軸方向下方に移動させられ、
周方向移動用ローラ284により軸方向力付与部材27
9に下向きの力が付与される。周方向移動用ローラ28
4は、軸方向力付与ローラでもある。
【0045】また、上記実施形態においては、駆動ギヤ
および被駆動ギヤの噛み合いによって回転モータが支持
されるようにされていたが、リニアガイド装置36にお
いて支持されるようにすることもできる。その場合に
は、リニアガイド装置36を、前記回転モータ40を保
持する移動部材を移動させるリニアモータを含むものと
し、回転モータ40の回転数に基づいて管の締付けに伴
う軸方向の移動量を検出し、その管の軸方向の移動に合
わせてリニアモータを制御し、回転モータ40を移動さ
せるのである。この場合には、回転伝達装置16は、タ
イミングベルトを含むものとすることもできる。本実施
形態によれば、つばと歯車との間の摩擦に起因するトル
クへの影響がなくなるため、回転抵抗トルクの検出精度
を向上させることができる。リニアガイド装置36は、
当該締結装置を使用しない場合に回転モータ40を保持
する移動部材の移動を阻止するストップ装置を備えたも
のとすることが望ましい。なお、リニアガイド装置36
は、駆動モータと、その駆動モータの回転を前記移動部
材の直線移動に変換する運転変換装置とを含むものとす
ることもできる。また、管の締付けに伴う移動量は、モ
ータの回転数に基づいて検出するのではなく、直接検出
することもできる。
【0046】本発明の別の実施形態を図26,27に示
す。本実施形態においては、雄ねじ部を有する管18,
回転モータの自重等によって軸方向力が加えられる。締
結装置本体300には、管締付けレンチ302によって
雌ねじ部を有する管14が相対回転不能かつ軸方向に相
対移動不能に固定されるとともに、回転駆動装置306
がガイド装置308を介して軸方向に相対移動可能かつ
管の軸線回りに相対回転不能に取り付けられている。
【0047】回転駆動装置306は、回転モータ312
と回転伝達装置314とを含む。回転モータ312の出
力軸316には、駆動ギヤ318が相対回転不能に固定
され、雄ねじ部を有する管18には、図示しない管締付
けレンチによって被駆動ギヤ322が相対回転不能、か
つ、駆動ギヤ318と噛み合わされた状態で取り付けら
れる。回転モータ312の駆動により駆動ギヤ318が
回転させられると、それに伴って被駆動ギヤ322が回
転させられ、管18が回転させられる。本実施形態にお
いては、駆動ギヤ318,被駆動ギヤ322等によって
回転伝達装置314が構成される。また、駆動ギヤ31
8はつば付きのものとされており、被駆動ギヤ322
は、これらの噛合い部において、そのつば324内に嵌
合されている。すなわち、回転モータ312が、駆動ギ
ヤ318,被駆動ギヤ322を介して管18によって支
持されることになる。管18には、回転モータ312の
重量が加えられるのである。
【0048】管18の回転に伴って発生する回転抵抗ト
ルクに相当する力が、被駆動ギヤ322,駆動ギヤ31
8を介して回転モータ312に加えられ、その力がロー
ドセル326,328によって検出される。その力とロ
ードセル326,328と管14の中心軸線との間の距
離Lとの積が、回転抵抗トルクである。図に示すよう
に、本実施形態においては、ロードセル326,328
が軸方向に隔たった2か所に設けられているため、各々
によって検出された力の和が回転に伴って発生させられ
る力となる。本実施形態においては、ロードセル32
6,328と締結装置制御装置100の相対回転抵抗ト
ルクを演算により求める部分等によりトルク検出装置3
30が構成される。また、管18を垂直方向に延びた姿
勢で支持する装置(回転駆動装置306)等によって軸
方向力付与装置が構成される。なお、本実施形態におい
ては、管18の自重および回転モータ312の重量が圧
縮力として加えられるが、別個に軸方向力を加えること
もできる。
【0049】本発明のさらに別の実施形態を図28〜3
0に示す。締結装置本体400には、回転駆動装置40
2がガイド装置404を介して軸方向に相対移動可能か
つ管の軸線回りに相対回転不能に設けられている。ま
た、締結装置本体400には、管締付けレンチ406に
よって雌ねじ部を有する管14が相対回転不能かつ軸方
向に相対移動不能に取り付けられる。管締付けレンチ4
06の内周面には多数の爪状の突部が形成されて摩擦係
合部410とされており、管14の相対回転が阻止され
る。
【0050】回転駆動装置402は、2つの回転モータ
412と回転伝達装置414とを含む。2つの回転モー
タ412は、モータ保持体415に保持され、モータ保
持体415を介してガイド装置404に取り付けられ
る。2つの回転モータ412は、装置本体400に対し
て軸方向に相対移動可能に取り付けられることになる。
2つの回転モータ412の各々の出力軸には駆動ギヤ4
16としてのピニオンが相対回転不能に固定され、駆動
ギヤ416の回転が雄ねじ部を有する管18に相対回転
不能に取り付けられた被駆動ギヤ422に伝達されて、
管18が回転させられる。駆動ギヤ416,被駆動ギヤ
422等によって回転伝達装置414が構成されること
になる。本実施形態においては、2つの回転モータ41
2が、それぞれ、モータ保持体415の互いに180度
隔たった位置に取り付けられる。被駆動ギヤ422は、
互いに180度隔たった位置において2つの駆動ギヤ4
16によって回転させられることになる。そのため、管
18に作用する半径方向の力や接線方向の力が相殺さ
れ、管18が、回転に伴って偏心したり、中心軸線がず
れたりすることを回避することができる。
【0051】被駆動ギヤ422は、モータ保持体415
に相対回転可能に設けられたものである。被駆動ギヤ4
22は、概して円筒状を成したものであり、歯部は、外
周面の全体に形成されているのではなく、軸方向の一部
に形成されている。被駆動ギヤ422が軸方向に延びた
円筒状を成したものであるため、管18との接触面積を
大きくすることができる。被駆動ギヤ422は、2つに
分割可能なものである。2つの分割ギヤ424,426
は、図30に示すように、それぞれ接合面においてピン
428によって接続されるとともに、ボルトおよびナッ
ト430によって結合される。ボルトおよびナット43
0による被結合部は、図に示すように、被駆動ギヤ42
2の筒部の外周面に設けられた切欠に位置する状態で設
けられる。その結果、ボルトおよびナット430が、被
駆動ギヤ422がモータ保持体415に対して相対回転
させられる際に邪魔になることが回避される。また、半
円環状の板状部材434a,b、436a,bが、それ
ぞれ、被駆動ギヤ422の歯部が形成された部分を挟む
状態で配設され、上述のピン428で接合される位置と
は異なる位値でピン438によって被駆動ギヤ422に
取り付けられる。
【0052】これら被駆動ギヤ422の内周面には、上
述の締付けレンチ406と同様に多数の突部442を備
えた摩擦係合部444が形成され、被駆動ギヤ422の
管18に対する相対回転が阻止される。また、符号44
6は環状レールを示し、448は周方向移動用ローラを
示す。これらによって、上記実施形態における場合と同
様に、被駆動ギヤ422とモータ保持体415との間の
相対回転が許容される。回転モータ412の駆動により
駆動ギヤ416が回転させられると、それに伴って被駆
動ギヤ422がモータ保持体415に対して相対回転さ
せられ、管18が回転させられる。また、管18に発生
させられる回転抵抗トルクに対応する回転駆動力は、2
つの回転モータ412と装置本体400に固定のガイド
装置404のガイド部材450各々との間に設けられた
ロードセル456によって検出される。2つのロードセ
ル456によって検出された力fの和2fが管18に加
えられる回転駆動力に対応する。この力の和2fとロー
ドセル456の検出部と管14,18の中心軸線との間
の距離Lとの積が回転抵抗トルクである。本実施形態に
おいては、ロードセル456と締結装置制御装置100
の回転抵抗トルクを演算により求める部分等によりトル
ク検出装置が構成される。管18,14の締結は、上記
実施形態における場合と同様に行われる。
【0053】なお、雄ねじ部を有する管,雌ねじ部を有
する管は、ねじ部の形状が台形テーパねじ形状を成した
ものに限らず、図31に示すように、三角テーパねじ形
状を成した管490,492でもよく、これら管49
0,492を締結する場合にも本発明を適用することが
できる。ねじ部が三角テーパねじ形状を成したものであ
る場合には、式 cos(γ1 −β)′=cos(γ2 +β)′ で表される関係が成立するため、この関係を、前述の式
(16)に代入すると、式 T3 =(T1 /Q+P/2π)×F+T2 ×(F+Q)/Q+(P/2π)×F ・・・・(16)′ が得られる。両管490,492を締結する場合には目
標締付けトルクが(16)′式によって求められることにな
る。三角テーパねじ形状は、例えば、API規格SPE
C7に基づいたRSCとすることができる。
【0054】次に、本締結方法によって2つの管が締結
された場合において、締付け終了時の軸方向力を測定し
た結果を示す。実験は、実際の締結装置ではなく、図3
2に示す実験装置において行った。この実験装置におい
ては、雌ねじ部を有する管500が、図33に示すよう
に、ショルダ部502を有する外管部504と雌ねじ部
を有する内管部506とを含むものであり、外管部50
4が実験装置本体508に固定されている。また、内管
部506には回転阻止ロッド510が軸方向と交差する
方向に貫通させられ、実験装置本体508に軸方向に相
対移動可能に支持される。内管部506に加わる軸方向
力(管500に加わる軸方向力)がロードセル520に
よって検出される。また、雄ねじ部を有する管522を
回転させる回転モータ524の出力軸526に加わるね
じりトルクがトルク検出装置528によって検出され、
それに基づいて管522に加わる回転抵抗トルクが検出
される。
【0055】この実験装置において、一定の軸方向力を
加えた状態で締付けを行った場合には、管522の回転
角の増加に伴って回転抵抗トルクT,締付け軸力Fが図
34に示すように変化する。そして、前述のように、初
期段階と中間段階との各々における実際の回転抵抗トル
クT1 ,T2 ,軸方向力等に基づいて、前記(16)式に従
って目標締付けトルクを演算により求め、実際の回転抵
抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締め付けを
終了し、その状態における軸方向力をロードセル520
によって測定した。実験に使用した管500,522
は、ねじ部の形状が三角テーパねじ形状を成したもので
あり、API規格SPEC7に基づいたRSCの1/4
スケールのものである。図35(a)には、締付け時に
加える軸方向力(圧縮力)を500Nとした場合の測定
結果を示し、図35(b)には、圧縮力を1000Nと
した場合の測定結果を示す。図35(a),(b)か
ら、いずれの場合にも目標軸方向力Ft の±10%以内
に測定結果の90%以上があり、目標締付けトルクに達
した場合の両管の軸方向力のバラツキが小さいことがわ
かる。また、軸方向力のバラツキは圧縮力が大きい方が
小さくなることがわかる。
【0056】次に、比較実験を行った。図32に示す実
験装置において、軸方向力が加えられない状態で締付け
を行うのであるが、この場合に、回転抵抗トルクを予め
定められた設定トルクまで一度仮締めして、その後、緩
める。そして、回転抵抗トルクが急増する状態における
勾配と急減する状態における勾配とに基づいて、ショル
ダ部502における摩擦係数とねじ部506における摩
擦係数とを同様に(両管500,522間の全体の摩擦
係数を)推定するのである。このように推定された摩擦
係数に基づいて目標締付けトルクを演算により求め、実
際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に
締付けを終了して、軸方向力を測定した。この比較実験
の結果を図36に示す。図36に示すように、測定結果
の90%は目標軸方向力から±20%内にあることがわ
かる。また、図37には、本締結方法によって締結され
た管の軸方向力のバラツキと比較実験によって締結され
た管の軸方向力のバラツキとを示す。図から、本締結方
法によって締結された管の軸方向力のバラツキは比較方
法による場合より小さいことがわかる。
【0057】本発明の請求項8,9の締結装置の一実施
形態である締結装置について説明する。この締結装置
に、請求項10に記載の発明の一実施形態である記録媒
体に記録されたプログラムを読み取らせ、実施させるこ
とにより、請求項1〜5の締結方法を実施し得る。この
締結装置は、図38に示すように、相対回転駆動装置と
して第1回転駆動装置600,第2回転駆動装置602
を含む。回転抵抗トルクが小さい場合は第1回転駆動装
置600によって締め付けられ、大きい場合は第2回転
駆動装置602によって締め付けられる。第1回転駆動
装置600は、回転モータの駆動により管18を回転さ
せるものであるが、第2回転駆動装置602は、油圧シ
リンダの作動により回転させるものである。第2回転駆
動装置602によって加えられる回転抵抗トルクは油圧
シリンダの油圧に基づいて検出される。また、軸方向力
は、管18の自重によって両方管14,18を互いに接
近させる方向に加えられる。
【0058】本締結装置は、図示しないいわゆるやぐら
に設けられたものである。締結装置本体620は、締結
される両管14,18に対して接近・離間させられる方
向(図のX方向:軸線に交差する方向)に移動可能な第
1テーブル622と、第1テーブル622に対して、X
方向と交差する方向(Y方向)に移動可能な第2テーブ
ル624と、第2テーブル624に固定された門形フレ
ーム626と、図示しないやぐらの支柱から延び出させ
られた保持用フレーム628とを含む。門形フレーム6
26には、前述の第1回転駆動装置600,第2回転駆
動装置602が第2テーブル624に対して図示しない
昇降装置(油圧シリンダ)により昇降可能に設けられる
とともにクランプ装置630が昇降不能に設けられてい
る。また、保持用フレーム628には保持装置632が
設けられ、管18を相対回転可能、かつ、軸方向に相対
移動可能に保持する。
【0059】保持装置632は、図39に示すように、
一対のクランプハンド640,642と、クランプハン
ド640,642を一端部において係合するピン644
と、クランプハンド640,642をピン644に対し
て非クランプ位置とクランプ位置とに回動させる一対の
クランプシリンダ645,646とを含む。クランプハ
ンド640,642の管18と接触する部分には、複数
個のベアリングボール648が設けられ、クランプ状態
において管14の保持フレーム628に対する相対回転
および軸方向の相対移動が許容される。
【0060】クランプ装置630は、油圧により作動さ
せられるものである。図40,41に示すように、一対
のクランプ装置本体としてのフレーム650を備え、一
対のフレーム650の内部に、油圧シリンダ654と、
その油圧シリンダ654の作動により作動させられるリ
ンク機構656と、リンク機構656の作動によりクラ
ンプ位置と非クランプ位置とに移動させられる一対のク
ランプロッド658とが設けられている。リンク機構6
56は、概してT字形を成した一対の第1リンク部材6
60と第1リンク部材660の中間突部にそれぞれピン
662を介して連結された第2リンク部材664とを含
む。第1リンク部材660各々の一端部には前記クラン
プロッド658がピン666を介して連結されるととに
フレーム650に形成された長孔668に係合させられ
る。他端部同士は前記油圧シリンダ654によって連結
され、各々の中間部においてピン669を介してフレー
ム650に相対回転可能に係合させられる。また、第2
リンク部材同士はピン670によって連結されるととも
にフレーム650のほぼ中央部にX方向に延びた状態で
設けられた長孔671に係合させられる。
【0061】一対のクランプロッド658は、第1リン
ク部材660と連結される端部とは反対側の端部におい
て、フレーム650に設けられた一対の長孔672にピ
ン673を介して係合させられる。その結果、一対のク
ランプロッド658がフレーム650に対して相対移動
可能に取り付けられることになる。また、一対のクラン
プロッド658の先端部の管14と接触する部分にはそ
れぞれ2つづつのクランプ部材674,675が取り付
けられている。これらクランプ部材674,675は概
して湾曲楔形状を成したものである。クランプ部材67
4,675の各々は、管14と反対側においてそれぞれ
クランプロッド658に当接する状態で、かつ、周方向
に僅かに移動可能とされている。
【0062】油圧シリンダ654が非作動状態にある場
合には、図の二点鎖線で表す非クランプ状態にある。油
圧シリンダ654が作動状態にされるとクランプ状態に
切り換えられる。リンク機構656により一対のクラン
プロッド658が互いに接近させられ、管14がクラン
プされる。管14に時計方向の力が加わると、クランプ
部材674,675はそれぞれ時計方向に僅かに移動さ
せられるが、互いに対角位置にあるクランプ部材674
b,675aによるくさび効果により、クランプ力が大
きくされる。また、第2リンク部材664が互いに連結
されるとともにフレーム650の中央部に設けられた長
孔671において係合させられるため、油圧シリンダ5
64の作動によってリンク機構664がY方向において
非対象に作動させられることが回避される。
【0063】第1回転駆動装置600は、図42,43
に示すように、回転駆動ローラ690と、その回転駆動
ローラ690を駆動する回転モータ692と、これら回
転駆動ローラ690および回転モータ692を管18の
外周面に接触する駆動位置と外周面から離間する非駆動
位置とに移動させる移動装置694と、管18を回転駆
動ローラ690に押し付ける押付装置696とを含む。
回転駆動ローラ690は、減速機698を介して回転モ
ータ692に係合させられ、回転モータ692の回転に
伴って正・逆両方向に回転させられる。また、移動装置
694は、移動板700と、その移動板700を移動さ
せる油圧シリンダ702とを含む。移動板700は、第
1回転駆動装置600の装置本体としての一対のフレー
ム710のほぼ中央部に形成された長孔712,両端部
に形成された一対の長孔713にそれぞれピン714,
715を介して係合させられ、長孔712,713の範
囲内において、フレーム710に対して相対移動可能と
されている。ピン714には、油圧シリンダ702のシ
リンダロッド720が連結され、油圧シリンダ702の
作動に伴って移動板700が移動させられるようにされ
ている。移動板700には、前記回転駆動ローラ690
が相対回転可能に取り付けられるとともに、回転モータ
692が取付け部材724を介して固定されている。
【0064】押付装置696は、一対の第1リンク部材
730と一対の第2リンク部材732とを含むリンク機
構734を備えたものである。一対の第1リンク部材7
30は、互いに一端部において前記ピン714によって
連結されるとともに、フレーム710に係合させられ、
他端部において第2リンク部材732にピン742によ
って連結されている。一対の第2リンク部材732は、
それぞれ中間部において、前記フレーム710にピン7
44によって相対回転可能に係合させられ、他端部には
それぞれ押付ローラ746が相対回転可能に取り付けら
れている。
【0065】油圧シリンダ702が非作動状態にある場
合には、移動板700は退避位置にあり、押付装置69
6は非押付状態にある。回転駆動ローラ690,一対の
押付ローラ746は、管18の外周面から離間させられ
た状態にある。油圧シリンダ702の作動によりシリン
ダロッド720が伸ばされると、移動板700が作動位
置に移動させられ、押付装置696は押付状態に切り換
えられる。回転駆動ローラ690,一対の押付ローラ7
46が管18の外周面に接触させられる。一対の押付け
ローラ746によって管18が回転駆動ローラ690に
押し付けられる。この状態において回転モータ692が
回転させられることにより、管18が回転させられる。
管18の回転に伴って第1回転駆動装置600全体が昇
降させられる。本実施形態においては、移動装置694
の作動により回転駆動ローラ690が管18の外周面に
接触させられると同時に一対の保持ローラ746が外周
面に接触させられる。そのため、管18を偏心させるこ
となく保持することができる。なお、図示するように、
回転モータ692,リンク機構694等は、一対のフレ
ーム710に対してそれぞれ設けられている。そのた
め、一対の回転モータ692は互いに同期して回転させ
られ、一対の回転駆動ローラ690が同期して回転させ
られることになる。また、回転駆動ローラ690の外周
面は、管18との摩擦係数が大きい摩擦係合面とされて
おり、管18の回転駆動ローラ690に対数相対回転が
阻止される。
【0066】回転モータ692には図38に示すように
エンコーダ747が設けられ、回転モータ692の回転
角度が検出される。回転モータ692の回転角度に基づ
いて管18の回転角度が検出される。また、回転モータ
692の出力軸にはトルク検出装置748が取り付けら
れており、トルク検出装置748により、管18に加え
られる回転抵抗トルクが検出される。本実施形態におい
ては、回転モータ692の回転角度が予め定められた設
定値に達するまで、管18が第1回転駆動装置600に
よって回転させられる。設定値は、回転モータ692に
よって締付け可能な最大値近傍の値とする。後述する
が、管18は回転モータ692によって回転させる方
が、第2回転駆動装置602によって回転させるより効
率がいいからである。
【0067】また、上記実施形態における場合と同様
に、初期段階と中間段階との各々における回転抵抗トル
クに基づいて摩擦係数が取得されるのであるが、上述の
最大値が最終段階における締付けトルクの大きさである
ため、第1回転駆動装置600によって回転させられて
いる状態における回転抵抗トルクに基づいて摩擦係数が
求められ、目標締付けトルクが求められることになる。
なお、回転モータ692による回転駆動は、トルク検出
装置748によって検出された回転抵抗トルクが予め定
められた設定値になった場合に終了させることもでき
る。また、トルク検出装置は、回転モータ692が油圧
モータである場合には、油圧モータにおける油圧に基づ
いて検出するものとしたり、回転モータ692が電動モ
ータである場合には、電動モータに流れる電流に基づい
て検出するものとしたりすることができる。
【0068】第2回転駆動装置602は、図44に示す
ように、一対のフレーム750と、そのフレーム750
に設けられた油圧シリンダ752と、フレーム750に
対して相対回転可能に設けられたクランプ装置754
と、油圧シリンダ752の駆動をクランプ装置754の
回転に変換する運動変換装置756とを含む。クランプ
装置754は、フレーム750に対して相対回転可能に
設けられた一対の回動ディスク758を含むものであ
り、構造は、前述のクランプ装置630と同じものであ
るため同じ部材に同じ符号を付して説明を省略する。回
動ディスク758が前述のフレーム650に対応するこ
とになる。運動変換装置756は、回動ディスク758
の外周部に沿って設けられた環状部材760と、フレー
ム750にその環状部材760を挟む状態で設けられた
3対の回転ローラ762〜767と、回動ディスク75
8に設けられたブラケット722とを含む。回動ディス
ク758は、図示するように、管18の中心軸線を中心
とする半円板状と成したものであり、その外周部に沿っ
て環状部材760が設けられるのである。ブラケット7
22には、油圧シリンダ752のロッド770が連結さ
れる。油圧シリンダ752が作動状態にされてロッド7
70が伸ばされると、それに伴って回動ディスク758
が回転ローラ762〜767に案内されつつ管18の中
心軸線回りに予め定められた所定角度回動させられ、そ
れに伴って管18が予め定められた設定角度だけ回転さ
せられる。
【0069】本実施形態においては、油圧シリンダ75
2における油圧を検出する油圧検出装置780が設けら
れ、油圧シリンダ752の油圧に基づいて回転抵抗トル
クが検出される。油圧検出装置780は、油圧シリンダ
752における油圧を直接検出するものであっても、油
圧シリンダ752に接続された液通路の油圧を検出する
ものであってもよい。本実施形態においては、油圧検出
装置780と、締結装置制御装置100の検出油圧に基
づいて回転抵抗トルクを求める部分等によってトルク検
出装置が構成されることになる。実際の回転抵抗トルク
が目標締付けトルクより小さい場合は、回動ディスク7
58が設定角度だけ回動させられた後に、クランプ装置
754が非クランプ状態とされ、回動ディスク758が
元の位置に戻される。その位置においてクランプ装置7
54を再びクランプ状態とした後、油圧シリンダ752
により回動ディスク758を回転させる。この作動が、
実際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達するまで
繰り返し行われる。このように、本実施形態において
は、油圧シリンダ752の作動により管18が回転させ
られるため、大きな回転抵抗トルクを付与することがで
きる。
【0070】なお、第1回転駆動装置600によって初
期段階における回転が行われ、第2回転駆動装置602
によって中間段階における回転と最終段階における回転
との両方が行われる場合には、油圧シリンダ752の油
圧に基づいて検出された回転抵抗トルクと、回転モータ
692の作動状態に基づいて検出された回転抵抗トルク
とに基づいて摩擦係数が求められ、目標締付けトルクが
求められることになる。
【0071】また、上記第1実施形態においては、管1
4を固定する固定装置(クランプ装置630あるいは締
結装置本体10,300,500)の装置本体が、非ク
ランプ状態において管14の半径方向の開口部を備えた
ものであったが、半径方向の開口部を備えたものとする
ことは不可欠ではなく、装置本体を環状のものとするこ
とができる。この場合には、管14を軸方向に移動させ
ることによって挿入した後に、クランプされるようにす
るのである。管18についても同様である。その場合の
一例のクランプ装置800を備えた回転駆動装置802
を図45に示す。クランプ装置800は、上述のクラン
プ装置630(754)のフレーム650(回動ディス
ク758)を環状のものとしたものである。一対のクラ
ンプロッド658が非クランプ位置にある状態において
管18を挿入し、その後にクランプ位置に移動させれ
ば、管18をクランプすることができる。そして、この
クランプ装置800の装置本体を被駆動ギヤ部804に
固定し、その被駆動ギヤ部804に出力軸に固定された
駆動ギヤ808をかみ合わせた状態で油圧モータ810
を設ける。この状態で油圧モータ810を作動させれ
ば、管18をクランプした状態でクランプ装置800を
連続的に回転させることができる。この場合には、油圧
モータ810の制御、例えば、低圧,大吐出流量の油圧
ポンプから作動液が供給される低トルク,高回転数の状
態と、高圧,低吐出流量の油圧ポンプから作動液が供給
される高トルク,低回転数の状態とに切り換えることが
でき、クランプ装置800によってクランプした状態
で、初期段階から最終段階まで管18を回転させること
ができる。
【0072】さらに、上記各実施形態においては、2つ
の管が垂直方向に延びた姿勢に保たれて締結が行われて
いたが、水平方向に延びた姿勢で締結が行われるように
することもできる。また、上記実施形態においては、下
方に位置する管が雌ねじ部を有する管であり、上方に位
置する管が雄ねじ部を有する管とされていたが、逆に、
下方に位置する管を雄ねじ部を有する管とし、上方に位
置する管を雌ねじ部を有する管としても、同様に、締結
を行うことができる。
【0073】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これら文字通り例示であり、本発明は、
前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段およ
び効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の
知識に基づいて種々の変更,改良を施した態様で実施す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である管の締結装置を示す
正面(一部断面)図である。
【図2】(a)上記締結装置における管締め付けレンチの
平面図である。 (b)上記管締め付けレンチのA−A断面図である。
【図3】上記締結装置におけるトルク検出部を概念的に
示す図である。
【図4】上記締結装置における制御装置を示すブロック
図である。
【図5】上記制御装置のROMに格納された回転抵抗ト
ルク管理プログラムの一部を示すフローチャートであ
る。
【図6】上記締結装置によって締め付けられる管の初期
段階を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】上記締結装置によって締め付けられる管の中間
段階を示す図である。
【図9】図8の一部を拡大して示す図である。
【図10】上記締結装置によって締め付けられる管の最
終段階を示す図である。
【図11】図10の一部を拡大して示す図である。
【図12】上記締結装置による回転抵抗トルクの変化を
示すグラフである。
【図13】上記締結装置によって管を締め付けた場合に
おいて、軸方向力と締付け力との関係を示す図である。
【図14】上記締結装置によって締めつけられる管の一
部詳細図である。
【図15】上記締結装置によって締め付けられる2つの
管を示す図である。
【図16】上記締結装置によって締め付けられる別の2
つの管を示す図である。
【図17】上記締結装置によって締め付けられるさらに
別の2つの管を示す図である。
【図18】図17の管のC部詳細図である。
【図19】上記両管のはめあい状態を示す図である。
【図20】上記両管のうちの一方の管に作用する力の分
布を示す図である。
【図21】上記両管に作用する力の釣り合いを示す図で
ある。
【図22】本発明の別の実施形態である締結装置の制御
装置のROMに格納された回転抵抗トルク管理プログラ
ムのフローチャートの一部である。
【図23】本発明のさらに別の実施形態である締結装置
の管締付けレンチの一部断面図である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態である締結装置
の軸方向力付与装置の側面図である。
【図25】上記軸方向力付与装置の正面図である。
【図26】本発明のさらに別の実施形態である締結装置
の正面図である。
【図27】上記締結装置の一部側面図である。
【図28】本発明のさらに別の実施形態である締結装置
の正面図(一部断面)である。
【図29】上記締結装置の平面図である。
【図30】上記締結装置の回転伝達装置の平面図であ
る。
【図31】上記締結装置によって締め付けられる管の別
の形状を示す図である。
【図32】本発明の締結方法を実施するための実験装置
の正面図である。
【図33】上記実験装置の一部詳細図である。
【図34】上記実験装置において本発明の締結方法で締
結を行った場合の実験結果を表す図である。
【図35】上記実験装置において本発明の締結方法で締
結を行った場合の実験結果を表す図である。
【図36】上記実験装置において本発明とは別の締結方
法(比較方法)で締結を行った場合の実験結果を表す図
である。
【図37】上記実験装置において本発明の締結方法で締
結を行った場合の実験結果と比較方法で締結を行った場
合の実験結果とを比較して表す図である。
【図38】本発明のさらに別の実施形態である締結装置
の正面図である。
【図39】上記締結装置の保持装置の平面図である。
【図40】上記締結装置のクランプ装置の平面図であ
る。
【図41】上記クランプ装置のA矢視図である。
【図42】上記締結装置の第1回転駆動装置の平面図で
ある。
【図43】上記第1回転駆動装置のA矢視図である。
【図44】上記締結装置の第2回転駆動装置の平面図で
ある。
【図45】本発明の別の実施形態である締結装置の回転
駆動装置の一部断面図である。
【符号の説明】
10 締結装置本体 12 固定装置 16 回転駆動装置 20,278 軸方向力付与装置 36 リニアガイド装置 42 トルク検出装置 54,250 管締付けレンチ 80 軸方向力付与ローラ 86 保持装置 89 ローラ保持体 100 締結装置制御装置 306 回転駆動装置 308 ガイド装置 312 回転モータ 318 駆動ギヤ 322 被駆動ギヤ 326,328 ロードセル 330 トルク検出装置 406 回転駆動装置 408 回転伝達装置 456,458 ロードセル 600 第1回転駆動装置 602 第2回転駆動装置 630 クランプ装置 802 回転駆動装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する
    管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けに
    よって締結する方法であって、 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前
    記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させて相対
    回転抵抗トルクを検出し、その検出した相対回転抵抗ト
    ルクと前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数に関
    連する摩擦係数関連量を取得し、その取得された摩擦係
    数関連量に基づいて締付け終了条件を決定し、その締付
    け終了条件が満たされたときに締付けを終了することを
    特徴とする管の締結方法。
  2. 【請求項2】 前記両管を、ほぼ垂直方向に延びた姿勢
    に保って、相対回転させることを特徴とする請求項1に
    記載の管の締結方法。
  3. 【請求項3】 前記軸方向力を、両管を互いに接近させ
    る方向に加えることを特徴とする請求項1または2に記
    載の管の締結方法。
  4. 【請求項4】 前記相対回転抵抗トルクを、2つの管の
    ショルダ面同士が接触しない初期段階と、それらショル
    ダ面同士が接触し、両ねじ部同士が実質的に接触してい
    ない中間段階との少なくとも一方において検出すること
    を特徴とする請求項3に記載の管の締結方法。
  5. 【請求項5】 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが、テー
    パねじ部であり、かつ、これら雄ねじ部と雌ねじ部との
    間に半径方向締付力が発生していない状態において、前
    記相対回転抵抗トルクを検出することを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれか1つに記載の管の締結方法。
  6. 【請求項6】 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する
    管とを、雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対
    回転させる相対回転駆動装置と、 その相対回転駆動装置による相対回転駆動中であって、
    未だ締付け力が発生していない時期の少なくとも一部に
    おいて前記両管に軸方向力を加える軸方向力付与装置
    と、 その軸方向力付与装置によって軸方向力が加えられてい
    る状態において前記両管の相対回転抵抗トルクを検出す
    るトルク検出装置と、 そのトルク検出装置によって検出された相対回転抵抗ト
    ルクと前記軸方向力付与装置によって加えられた軸方向
    力とに基づいて、前記両管間の摩擦係数に関連する摩擦
    係数関連量を取得する摩擦係数関連量取得手段と、 その摩擦係数関連量取得手段によって取得された摩擦係
    数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされた
    場合に、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成
    手段とを含むことを特徴とする管の締結装置。
  7. 【請求項7】 前記相対回転駆動装置が、前記両管のう
    ちのいずれか一方の管を当該締結装置の本体に相対回転
    不能に固定し、他方の管を回転させることにより、それ
    ら両管を相対回転させるものであり、 前記軸方向力付与装置が、前記一方の管を前記締結装置
    本体に軸方向に相対移動不能に固定し、前記他方の管の
    前記相対回転駆動装置による回転を許容しつつそれら両
    管に軸方向力を付与するものであることを特徴とする請
    求項6に記載の管の締結装置。
  8. 【請求項8】 前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダ
    と、前記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記
    油圧シリンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運
    動に変換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダ
    の作動により前記クランプ装置を回動させることによっ
    て前記他方の管を回転させる油圧式回転装置を含み、 前記終了条件充足情報作成手段が、前記油圧シリンダに
    おける油圧に基づいて求められた回転抵抗トルクが、前
    記摩擦係数関連量に基づいて決まる目標締付けトルクに
    等しくなった場合に、前記締付け終了条件が満たされた
    として、終了条件充足情報を作成するものである請求項
    7に記載の管の締結装置。
  9. 【請求項9】 前記相対回転駆動装置が、前記他方の管
    を回転モータにより回転させるモータ式回転駆動装置を
    含み、 前記トルク検出装置が前記回転モータの作動状態に基づ
    いて回転抵抗トルクを検出するものである請求項7また
    は8に記載の管の締結装置。
  10. 【請求項10】 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有す
    る管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付け
    によって締結する際に、締付けトルクをコンピュータに
    より管理するための制御プログラムであって、 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前
    記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させたとき
    の相対回転抵抗トルクと、前記軸方向力とに基づいて両
    管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得する摩
    擦係数関連量取得工程と、 その摩擦係数関連量取得工程において取得された摩擦係
    数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされた
    ときに、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成
    工程とを含む締付けトルク管理プログラムが、前記コン
    ピュータにより読み取り可能に記録されたことを特徴と
    する記録媒体。
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