JP4236792B2 - 管の締結方法,締結装置および管の締付けトルク管理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

管の締結方法,締結装置および管の締付けトルク管理プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する方法,締結する装置等に関するものである。本発明はいかなる管の締結にも適用可能であるが、油田等の堀削作業時の工具軸として使用される管や、石油,天然ガス等の流体を輸送する流体輸送管等、比較的長くて太い管の締結に特に好適である。
【0002】
【従来の技術】
2つの管を締結する方法の一つに、雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対回転させ、これらを締め付けることによって締結する方法がある。この締結方法の代表的な例は、次の3つである。
▲1▼2つの管のショルダ面同士が接触させられ、そのショルダ面同士の接触部(以下、ショルダ面接触部と称する)と両管の雄ねじ部と雌ねじ部との接触部(以下、ねじ面接触部と称する)とにおいて軸方向締付け力が発生させられる場合と、
▲2▼2つの管のショルダ面同士が接触させられ、上述のショルダ面接触部とねじ面接触部とにおいて軸方向締付け力が発生させられるとともに、雄ねじ部を有する管のねじ山が形成されていないテーパ外周面と雌ねじ部を有する管のねじ山が形成されていないテーパ内周面と(ラジアルシール面)において半径方向締付け力が発生させられる場合と、
▲3▼2つの管のねじ部がいずれもテーパねじ部であり、かつ、2つの管が互いに接触させられるショルダ面を有しておらず、ねじ面接触部に半径方向締付け力が発生させられる場合と
の3つである。
【0003】
▲1▼の態様で締結された場合には、ショルダ面接触部においてシールが行われ、▲2▼の態様で締結された場合には、ショルダ面接触部とラジアルシール面同士の接触部との両方においてシールが行われる。そのため、▲1▼の態様で締結されることによって得られた締結管は、例えば堀削作業用工具軸に適し、▲2▼の態様で締結されることによって得られた締結管は、例えば流体輸送管に適している。▲2▼の態様で締結されれば、シールがラジアルシール面同士の接触部において行われるため、▲1▼の場合のように、ショルダ面接触部において行われる場合に比較して、締結部におけるシール性を向上させることができ、流体の漏れをなくし、あるいは少なくすることができるからである。
▲2▼において、それぞれの管が、互いに軸方向に隔たった2つずつのショルダ面を有している場合には、原則として2つずつのショルダ面の互いに対応するもの同士がそれぞれ接触させられる。これら2つのショルダ面同士の接触部のうち、雌ねじを有する管の先端側のショルダ面と雄ねじを有する管の基端側のショルダ面とはトルクショルダ面と称される。また、これら管各々の2つのショルダ面間の周面は、いずれもねじ山が形成されないテーパ周面であるラジアルシール面とされる。この締結態様においては、2つのショルダ面接触部の各々において軸方向締付け力が発生させられ、ラジアルシール面同士の接触部において半径方向締付け力が発生させられるのであるが、シールは主としてラジアルシール面同士の接触部において行われるため、ラジアルシール型と称される(▲2▼−1)。なお、2つの管間の、ラジアルシール面やショルダ面の寸法の相対的な関係によっては、トルクショルダ面同士は接触するが、他方のショルダ面同士が接触しない場合がある。
それに対して、トルクショルダ面が設けられていない場合において、ショルダ面接触部において軸方向締付け力が発生させられるとともに、ラジアルシール面において半径方向締付け力が発生させられる場合がある。この締結態様においては、主として管のショルダ面接触部においてシールが行われるため、ショルダシール型と称される。本ショルダシール型や上記ラジアルシール型の管継手はプレミアムジョイントと称される(▲2▼−2)。
上述のいずれの態様で締結されるかは、ねじ部の形状や、ねじ部の形状とショルダ面の形状との相対的な関係等によって決まる。また、2つの管を締結する場合には、▲3▼の場合のみならず、▲1▼,▲2▼の場合であっても、テーパねじ部を有する管が使用されることが多く、▲1▼の場合には、台形ねじ形状または三角ねじ形状を有する管が使用され、▲2▼,▲3▼の場合には、台形ねじ形状を有する管が使用されることが多い。なお、雄ねじ部を有する管がピンと称され、雌ねじ部を有する管がボックスと称されることもある。
【0004】
2つの管の締付けは、直接軸方向締付け力や半径方向締付け力に基づいて管理することが望ましいが、困難であるため、トルクに基づく管理が行われたり、トルクと回転数との両方に基づく管理が行われている。
トルクに基づく管理においては、実際の相対回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締付けが終了させられる。この場合には、目標締付け力に対する目標締付けトルクが、両管の接触部(ねじ面接触部やショルダ面接触部)における摩擦係数をあらかじめ測定もしくは仮定して算出される。しかし、摩擦係数は、接触面の加工条件(面粗度)や、これらの間の潤滑状態等によって大きく左右される上、それらは通常一定でなく個々の状況で異なる。そのため、締付け力のばらつきが大きくなり、設計上規定された適正な締付け力を得ることが困難である。締付け力のばらつきにより、接触面の降伏や焼付き等が生じ、問題となっているのである。
トルクと回転数との両方に基づく管理の一例として、相対回転抵抗トルクと相対回転数との各々に上限値と下限値とを設定し、相対回転抵抗トルクが下限トルクに達したときに、相対回転数が下限回転数と上限回転数との間にあるか、あるいは、相対回転数が下限回転数に達したときに、相対回転抵抗トルクが下限トルクと上限トルクとの間にある場合には締付けが正常に進行しているとし、それ以外の場合には何らかの異常が発生したとするのである。相対回転数は、例えば、雄ねじ部と雌ねじ部とが予め定められた一定の状態(例えば、螺合開始状態や、螺合開始状態から予め定められた回数だけ相対回転させられた状態や、相対回転抵抗トルクが回転数計測開始トルクに達した状態)にある状態からの両管の相対回転数である。上記回転数計測開始トルクとしては、例えば、両管が実質的に雄ねじと雌ねじとのみで接触する状態からショルダ面同士あるいはラジアルシール面同士で接触する状態に移行する瞬間の相対回転抵抗トルクを採用し得る。このトルクと回転数との両方に基づく管理によれば、ねじ部における異物の噛込み等に起因して、ねじ部がまだ十分な量螺合されていないにもかかわらず、相対回転抵抗トルクが異常に大きくなったり(上限相対回転抵抗トルクまで増大したり)、材質不良やねじ形状不良等に起因して、相対回転抵抗トルクがまだ下限相対回転抵抗トルクに達していないにもかかわらず、相対回転数が異常に大きくなったり(上限回転数まで増大したり)したことを検出することができ、締付け異常の発生を検出することができる。
しかし、従来は、回転数計測開始トルク,下限相対回転抵抗トルク,上限相対回転抵抗トルク等が、予め測定もしくは仮定された摩擦係数に基づいて決定されていたため、摩擦係数の個々のバラツキ等により相対回転抵抗トルクがバラツキ、締付け異常の発生の検出を正確に行うことができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段、作用および効果】
本発明は、以上の事情を背景として、締付け管理の信頼性を向上させることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の管の締結方法、締結装置、締付け力管理用記録媒体が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合わせが以下のものに限定されると解釈されるべきではない。
(1)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する方法であって、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させて相対回転抵抗トルクを検出し、その検出した相対回転抵抗トルクと前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得し、その取得された摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条件を決定し、その締付け終了条件が満たされたときに締付けを終了することを特徴とする管の締結方法(請求項1)。
本項に記載の管の締結方法によれば、相対回転抵抗トルクと軸方向力とに基づいて、両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量が取得され、その摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条件が決定される。そして、締付け終了条件が満たされた場合に、締付けが終了させられる。例えば、目標締付けトルクを摩擦係数関連量に基づいて決定し、実際の相対回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締付け終了条件が満たされたとすることができる。当然ながら、摩擦係数関連量が大きいほど、同じ軸方向締付力または半径方向締付力を得るために必要な締付けトルクが大きくなる。
両管の接触部の形状や寸法等が同じである場合において、摩擦係数関連量は、両管に加えられる軸方向力が同じである場合は、相対回転抵抗トルクが大きいほど大きく、相対回転抵抗トルクが同じである場合は、軸方向力が大きいほど小さくなる。このことは、〔発明の実施の形態〕に記載した式(3), (8), (28)からも明らかであり、相対回転抵抗トルクと軸方向力とに基づいて摩擦係数関連量を取得し得ることが明らかである。なお、実験によれば、両管に加えられる軸方向力が大きいほど、摩擦係数関連量の取得精度が向上する。
本締結方法においては、摩擦係数関連量が互いに締結される2つの管毎に取得されるのであり、接触面各々の加工条件,接触面間の潤滑状態等に応じた摩擦係数関連量が取得される。したがって、摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条件を決定すれば、締付け力のばらつきを小さくし得、設計上の締付け力を正確に得ることができる。その結果、締付け力のばらつきに起因する接触部の降伏や焼付き等が生じることを良好に回避することができる。摩擦係数関連量には、摩擦係数自体に加えて、摩擦係数推定の基礎とし得る量、摩擦係数の大小を段階的に表す値等が該当する。
(2)前記両管を、ほぼ垂直方向に延びた姿勢に保って、相対回転させる(1) 項に記載の管の締結方法(請求項2)。
両管を相対回転させる場合には、ほぼ垂直方向に延びた姿勢に保つことが望ましい。両管をほぼ垂直方向に延びた姿勢に保ち、下方の管を固定すれば、上方に位置する管の自重によって両管に軸方向力を加えることができ、上方の管を固定すれば、下方の管の自重によって両管に軸方向力を加えることができる。両管に軸方向力を付与するための装置が不要になり、あるいは能力の小さいもので済むのである。複数の管が締結されて成る締結管が、石油堀削用工具軸のように垂直な姿勢で使用されるものであり、掘削が進んで締結管の上端が地表近くなったときに、次の管が締結される場合には、本態様の締結方法が特に好適である。
(3)前記両管を、ほぼ水平方向に延びた姿勢に保って、相対回転させる(1) 項に記載の管の締結方法。
本項の締結方法は、2つの管を締結することによって、地表にほぼ平行に配設される長い締結管を取得する場合に適している。石油や天然ガスの輸送管がその代表例である。
(4)前記軸方向力を、両管を互いに接近させる方向に加える(1) 項ないし(3) 項のいずれか1つに記載の管の締結方法(請求項3)。
両管を接近させる方向の軸方向力(圧縮力)を加えつつ相対回転抵抗トルクを検出しても、離間させる方向の軸方向力(引張力)を加えつつ検出してもよいが、締結装置の構造上、圧縮力を加えつつ相対回転抵抗トルクを検出する方が望ましい場合が多い。また、後述するように、ショルダ面同士が接触させられた状態で締結される場合には、圧縮力を加えれば、ショルダ面間の摩擦係数関連量を検出できる。
(5)前記相対回転抵抗トルクを、前記両管のショルダ面同士が互いに接触しないで両ねじ面同士が接触する初期段階と、両ショルダ面同士が接触し両ねじ面同士が実質的に接触していない中間段階との少なくとも一方において検出することを特徴とする(4) 項に記載の管の締結方法(請求項4)。
本項に記載の締結方法は、2つの管が▲1▼,▲2▼の態様で締結される場合に適用される。初期段階においては、ねじ部同士が接触させられ、中間段階においては、ショルダ面同士が接触させられる。本項に記載の締結方法によれば、ねじ面接触部における摩擦係数関連量と、ショルダ面接触部における摩擦係数関連量との少なくとも一方が取得され、これらねじ面接触部における摩擦係数関連量と、ショルダ面接触部における摩擦係数関連量との少なくとも一方に基づいて、締付け終了条件が決定される。両方に基づいて決定されれば、締付け力の管理精度が特に向上する。
初期段階,中間段階のいずれの段階においても、接触部においては、軸方向締付け力も半径方向締付け力も発生しない。そのため、これらの段階において摩擦係数関連量を求めることは妥当なことである。中間段階の次の最終段階においては、接触部に軸方向締付け力が発生させられるため、摩擦係数関連量を精度よく検出できないのである。
なお、初期段階と中間段階とにおいて、両管に加えられる軸方向力の大きさおよび向きは同じとすることが軸方向力付与装置の構成を簡単にする上で望ましいが、不可欠ではない。軸方向力の大きさと向きとの少なくとも一方を初期段階と中間段階とで変えてもよいのである。初期段階において引張力を付与し、中間段階において圧縮力を付与する態様がその一例である。また、一回の締結中に軸方向力を意識的に変化させてもよい。軸方向力と相対回転抵抗トルクとの複数の組み合わせに基づいて摩擦係数関連量を取得することもできる。前述のように、軸方向力を大きくすることによって、初期段階トルクや中間段階トルクを大きくすることは、摩擦係数関連量の取得精度の向上、すなわち、締付け終了条件の決定の精度向上につながる。
(6)前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが、テーパねじ部であり、かつ、これら雄ねじ部と雌ねじ部との間に半径方向締付力が発生していない状態において、前記相対回転抵抗トルクを検出することを特徴とする(1) 項ないし (5)項のいずれか1つに記載の管の締結方法(請求項5)。
本項に記載の特徴は、主として▲3▼の態様で締結される場合に適用されるが、▲1▼,▲2▼の態様で締結される場合に適用することもできる。ねじ部がテーパねじ部である場合、両管のねじ面接触部において、初期段階においては半径方向締付け力が発生させられず、最終段階において発生させられる。そのため、初期段階において摩擦係数関連量を取得すれば、半径方向締付け力の影響を受けることなく精度よく取得することができる。
(7)前記雄ねじ部と雌ねじ部とが、雄ねじ部の先端側の斜面と雌ねじ部の基端側の斜面とにおいて互いに接触する初期段階において、前記相対回転抵抗トルクを検出する(1) 項ないし (6)項のいずれか1つに記載の管の締結方法。
本項に記載の締結方法は、▲1▼〜▲3▼のいずれの態様で締結される場合にも適用することができる。前述のように、初期段階においては、軸方向締付け力も半径方向締付け力も発生していないため、精度よく摩擦係数関連量を検出することができる。初期段階において接触させられる斜面と最終段階において接触させられる斜面とが異なる場合が多いが、ねじ部全体において加工条件や潤滑状態が同じであれば、初期段階において取得された摩擦係数関連量を最終段階において接触させられる接触面における摩擦係数関連量であるとみなすことができる。
(8)前記初期段階において取得された摩擦係数関連量に基づいて、最終段階において実際に接触させられる両管の接触面間の摩擦係数関連量を取得する(5) 項ないし(7) 項のいずれか1つに記載の締結方法。
(7) 項に関して記載したように、ねじ部全体の加工条件が同じであれば、初期段階において接触させられる接触面間の摩擦係数関連量と最終段階において接触させられる接触面間の摩擦係数関連量とは同じであるとみなすことができる。それに対して、加工条件が異なる場合には、初期段階において取得された摩擦係数関連量に予め定められた係数を掛けることによって最終段階において接触させられる接触面間の摩擦係数関連量を推定することができる。1つの管における面相互間における加工条件のバラツキは、管毎のバラツキより小さいからである。
(9)前記両管を、それぞれ、外周面において保持して、相対回転させる(1) 項ないし(8) 項のいずれか1つに記載の管の締結方法。
管が長い場合には、管の軸方向の被締結部とは反対側の端部を端面側から保持して相対回転させることは困難である。そのため、管の外周面、特に被締結部に近い部分の外周面において保持して相対回転させることが望ましい。同様に、軸方向力を加える場合にも、外周面において軸方向力を加えることが望ましい。
(10)前記両管のいずれか一方の管を固定し、他方の管を、軸方向力を加えつつ回転させる(1) 項ないし(9) 項のいずれか1つに記載の管の締結方法。
両管に軸方向力を加えつつ相対回転させる態様としては、〔(一方の管を軸方向相対移動不能に固定して他方の管に軸方向力を加える態様),(他方の管を軸方向相対移動不能に固定して一方の管に軸方向力を加える態様),(両方の管にそれぞれ軸方向力を加える態様)〕と〔(一方の管を回転不能に固定して他方の管を回転させる態様),(他方の管を回転不能に固定して一方の管を回転させる態様),(両方の管を回転させる態様)〕との組み合わせがある。しかし、2つの管の締結によって、結果的に長い管を取得する場合、例えば、管を継ぎ足すことによって長い管を取得する場合には、継ぎ足す方の管に軸方向力を加えつつ回転させる態様が望ましい。
(11)前記締付け終了条件が、実際の相対回転抵抗トルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決定される目標締付けトルクに等しくなることである(1) ないし(10)項のいずれか1つに記載の管の締結方法。
(12)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する際に、両管の相対回転数と相対回転抵抗トルクとにそれぞれ上限値と下限値とを設定し、相対回転抵抗トルクが下限トルクに達したときに、相対回転数が下限回転数と上限回転数との間にあるか、あるいは、相対回転数が下限回転数に達したときに、相対回転抵抗トルクが下限トルクと上限トルクとの間に有る場合には締付けが正常に進行していると判定し、それ以外の場合には何らかの異常が発生したと判定する締結検査方法であって、
前記両管が実質的に雄ねじ部と雌ねじ部とのみによって接触している間の少なくとも一時期に両管に軸方向力を加え、その加えた軸方向力と相対回転抵抗トルクとに基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得し、その取得した摩擦係数関連量に基づいて前記下限トルクおよび上限トルクを決定する工程を含む締結検査方法。
下限トルクおよび上限トルクが実際に取得された摩擦係数関連量に基づいて決定されるようにすれば、予め測定されたり仮定されたりして得られた摩擦係数に基づいて決定されるようにする場合に比較して、検査の信頼性を向上させることができる。
(13)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対回転させる相対回転駆動装置と、
その相対回転駆動装置による相対回転駆動中であって、未だ締付け力が発生していない時期の少なくとも一部において前記両管に軸方向力を加える軸方向力付与装置と、
その軸方向力付与装置によって軸方向力が加えられている状態において前記両管の相対回転抵抗トルクを検出するトルク検出装置と、
そのトルク検出装置によって検出された相対回転抵抗トルクと前記軸方向力付与装置によって加えられた軸方向力とに基づいて、前記両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量取得手段と、
その摩擦係数関連量取得手段によって取得された摩擦係数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされた場合に、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成手段と
を含むことを特徴とする管の締結装置(請求項6)。
本項に記載の管の締結装置によれば、(1) 項に記載の管の締結方法を実施し得る。軸方向力付与装置は、締付け中軸方向力を加え続けるものでも、離散的に1回以上加えるものでもよい。締結される管の一方の自重により軸方向力が付与される場合は、その一方の管を自重が締結部に作用する状態で支持する装置が軸方向力付与装置であることになる。トルク検出装置は1回のみ相対回転抵抗トルクを検出することも可能であるが、複数回検出するものとすれば、信頼性の高い相対回転抵抗トルクを取得することができる。また、終了条件充足情報作成手段により作成される終了条件充足情報に基づいて、回転駆動装置を自動で停止させる自動停止手段を設ければ、締付け力が目標締付け力に達したとき締付けが自動的に終了させられようにすることができて理想的であるが、不可欠でなく、例えば、終了条件充足情報に基づいて鳴動するブザー等の報知器を設け、報知器の報知に応じて作業者が回転駆動装置を停止させるようにすることも可能である。
(14)前記相対回転駆動装置が、
回転駆動源と、
前記両管のうちいずれか一方の管を当該締結装置本体に回転不能に固定する固定装置と、
他方の管に、その管に相対回転不能に係合させられた管締付けレンチ部材を介して、前記回転駆動源の駆動力を伝達する回転駆動力伝達装置と
を含む(13)項に記載の締結装置。
本項に記載の相対回転駆動装置においては、一方の管が締結装置本体に固定され、他方の管が回転させられる。他方の管には、回転駆動力が管締付けレンチ部材を介して伝達される。回転駆動力伝達装置は、回転駆動源の出力軸に固定された第1歯車と、管締付けレンチ部材に保持され、前記第1歯車に噛み合わされた第2歯車とを含むものとしたり、回転駆動源の出力軸に固定されたプーリと、管締付けレンチ部材に保持されたプーリと、それらプーリ間に巻き付けられたタイミングベルトとを含むものとしたりすることができる。前述のように、2つの管の締結によって長い管を取得する場合には、継ぎ足す管を他方の管として回転させれば、回転駆動力が小さくて済み、装置の大型化を回避し得、コストアップを回避し得る。
(15)前記管締付けレンチ部材が、円環状部材がその円環状部材の中心線に平行な分割面で分割された状態の複数の円弧状部材が、前記他方の管の外周に配置された状態で連結装置により周方向に連結されることにより、その他方の管の外周面を巻き締めた状態で他方の管に固定される分割型レンチ部材である(14)項に記載の締結装置。
管締付けレンチ部材が分割型レンチ部材であれば、分割状態で管の外周に配置した後、連結装置により周方向に連結すれば、管の中間部に相対回転不能に固定することができる。管締付けレンチ部材が分割されていない円環状の部材である場合には、管を連結した後、連結端とは反対側の端から抜き取る必要があり、それに比較して、容易に着脱し得るのである。円環状部材は最低2個に分割すれば着脱が可能になるが、3個以上の分割することも可能である。円環状部材が分割されて成る複数の円弧状部材は、端部同士がほぼ周方向に延びる連結ボルト等の連結部材により連結されるとともに締め付けられることにより、管の外周面を巻き締める状態とされるようにすることも可能であるが、それら円弧状部材の端部同士を、1ヵ所を除いて、連結ピンにより、前記円環状部材の中心線に平行な回動軸線回りに互いに相対回動可能に連結する方が着脱作業が容易になる。この連結された円弧状部材連結体の上記1ヵ所を、ほぼ周方向に延びる連結ボルト等の連結部材により連結するとともに締めつければ、円弧状部材連結体が管の外周面を巻き締める状態となり、分割型レンチ部材が管に固定されることとなる。
(16)前記複数の円弧状部材の連結が、それら円弧状部材の端面から少なくとも軸方向に突出して形成された被連結部において行われる(15)項に記載の管の締結装置。
被連結部が円弧状部材の端面から少なくとも軸方向に突出して設けられ、外周面から突出させられない場合には、外周面を回転駆動トルクの伝達のために使用することができる。被係合部は端面から少なくとも軸方向に突出して設けられていればよく、軸方向に突出させられた後、半径方向に延びる部分を備えていても差し支えない。
(17)前記管締付けレンチ部材が、前記他方の管の外径より内のり寸法が大きい環状部材と、その環状部材の内側面と他方の管の外周面との間に環状部材の回転トルクを他方の管に伝達可能な状態で介在させられる介在部材とを含む(14)項に記載の管の締結装置。
介在部材は、例えば、環状部材に、管の半径方向に延びる状態で形成された3個以上のねじ穴に螺合され、先端が管の外周面に当接させられる3個以上の半径方向ボルトとすることが可能である。これら半径方向ボルトを後退させた状態で環状部材を管の外周に嵌合し、その後半径方向ボルトを前進させて管の外周面に当接させれば、環状部材が管の外周面に、回転トルク伝達可能な状態で固定されるのである。半径方向ボルトに代えて、半径方向ピンと、その半径方向ピンを管の半径方向に進退させる進退装置とを採用することも可能である。また、介在部材を、次項に記載の楔部材とすることも可能である。
(18)前記環状部材が内周側に、その環状部材の中心線に平行な方向に進むにつれてその中心線に接近する向きに傾斜した第1傾斜面を備え、前記介在部材が、その第1傾斜面に対応する第2傾斜面と前記環状部材の中心線に平行な平行面とを備えた複数の楔部材であり、それら複数の楔部材が、押込装置により前記環状部材の第1傾斜面と前記他の管の外周面との間の楔状の隙間に押し込まれることにより、楔部材が環状部材の回転トルクを他の管に伝達可能な状態となる(17)項に記載の管の締結装置。
押込装置は、楔部材を環状部材と管との楔状の隙間に押し込み得るものであれば何でもよい。最も簡単なものは、楔部材の半径方向外向きに突出した外向き突部に、管の中心線に平行な方向に形成された貫通穴にボルトが挿入され、そのボルトの雄ねじ部が環状部材に形成されたねじ穴に螺合されるものである。ボルトを締め付ければ、外向き突部が環状部材に接近させられ、それにつれて楔部材が環状部材と管との楔状の隙間に押し込まれる。環状部材が、内周面が内周テーパ面とされた円環状部材とされ、楔部材が、円環状部材の内周テーパ面に対応するテーパ外周面と前記他の管の外周面に対応する円筒面とを備えた円弧状楔部材とされることが望ましい。この態様においては、内周テーパ面が前記第1傾斜面、外周テーパ面が前記第2傾斜面、円筒面が前記平行面に相当することになり、大きな回転トルク伝達能力を有する。円弧状楔部材は、例えば、円環状部材の内周テーパ面に対応するテーパ外周面と前記他の管の外周面に対応する円筒面とを備えた円環状の楔部材を、その円環状楔部材の中心線に平行な分割面により複数に分割することによって得られる。円環状部材は、外周面に継ぎ目がないものとすることができるため、前記分割型レンチ部材に比較して、回転トルクの伝達が容易である利点を有する。
(19)前記回転駆動源が電動モータと流体圧モータとのいずれか一方である(14)ないし(18)項のいずれか1つに記載の締結装置。
流体圧モータには油圧モータ,エアモータ等が含まれる。流体圧モータは小形のもので大きなトルクを発生させることが容易であり、比較的低速,高トルクで管を回転させる必要がある締結装置の駆動源に適している。電動モータは減速機付きが好適である。
(20)前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダと、前記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記油圧シリンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運動に変換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダの作動により前記クランプ装置を回動させることによって前記他方の管を回転させる油圧式回転装置を含む(13)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(21)前記軸方向力付与装置が、前記両管がほぼ垂直方向に延び、かつ、それら両管の一方の自重が両管の締結部に作用する状態でその一方の管を保持する垂直保持装置を含む(13)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(22)前記軸方向力付与装置が、前記両管を互いに接近させる向きの軸方向力を付与する接近方向力付与装置を含む(13)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(23)前記相対回転駆動装置が、前記両管のうちのいずれか一方の管を当該締結装置の本体に回転不能に固定し、他方の管を回転させることにより、それら両管を相対回転させるものであり、
前記軸方向力付与装置が、前記一方の管を前記締結装置本体に軸方向に移動不能に固定し、前記他方の管の前記相対回転駆動装置による回転を許容しつつ両管に軸方向力を付与するものである(13)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の管の締結装置(請求項7)。
一方の管を締結装置本体に対して回転不能かつ軸方向に移動不能に固定し、他方の管を、相対回転駆動装置により回転させられつつ軸方向力付与装置により軸方向力が加えられるようにすれば、装置の大型化を回避することができる。前述のように、2つの管の締結によって長い管を取得する場合には、継ぎ足す方の管に軸方向力を加えるとともに回転トルクを加えることが望ましい。
(24)前記軸方向力付与装置が、
自身の外周面が前記他方の管の外周面に接触させられた状態で配設された軸方向力付与ローラと、
その軸方向力付与ローラを回転軸線回りに相対回転可能に保持するローラ保持体と、
そのローラ保持体を、前記締結装置本体に、軸方向および半径方向に相対移動不能、かつ、前記他方の管の中心線回りに相対回転可能に保持する保持装置と、前記ローラ保持体に設けられ、前記軸方向力付与ローラを回転駆動するローラ回転駆動装置と
を含む(23)項に記載の締結装置。
ローラ保持体が、締結装置本体に、軸方向および半径方向に相対移動不能かつ相対回転可能に保持されているため、他方の管の回転を許容しつつ、軸方向力を付与することができる。なお、ローラ回転駆動装置を、軸方向力付与ローラを正・逆両方向に回転駆動可能なものとすれば、両管に、圧縮力を加えたり、引張力を加えたりすることが可能となる。
(25)前記保持装置が、前記締結装置本体に固定された前記両管の中心線を中心とする円環状の環状レールと、前記ローラ保持体に一円周に沿ってかつ回転可能に取り付けられ、前記環状レール上を転がる3個以上の車輪とを含む(24)項に記載の締結装置。
3個以上の車輪は、少なくとも180°より大きい角度範囲において互いに間隔を隔てて配設されることが必要であり、360°の角度範囲に等角度間隔に配設されることが望ましい。これら3個以上の車輪が、環状レールの内周面に接触させられれば、ローラ保持体が環状レールに対して同心に位置決めされ、かつ、環状レールに対して相対回転可能となる。これら3個以上の車輪と、環状レールとを環状レールの中心線に平行な方向に相対移動不能に係合させれば、環状レールとローラ保持体との環状レールの中心線に平行な方向の相対移動も防止することができる。ただし、ローラ保持体の端面に、3個以上の車輪を、一円周に沿って配設し、締結装置本体にこれら車輪と係合する別の環状レールを設け、ローラ保持体に加えられる軸方向の力が、上記3個以上の車輪を介して別の環状レールにより受けられるようにする方が望ましい。なお、この別の環状レールと車輪とを、別の環状レールの半径方向に相対移動不能に係合させれば、別の環状レールに、ローラ保持体の半径方向の移動を防止する機能をも果たさせることが可能となり、先に説明した環状レールおよびそれに対応する車輪を省略することが可能となる。
前記軸方向力付与ローラは複数個設けることが望ましく、それら複数個の軸方向力付与ローラを管のまわりに軸対称に配置することが望ましい。そして、ローラ保持体は、環状レールの全周分の(中心角が360°)の部材1個で構成することも可能であるが、中心角が180°以下の部材複数個の組合わせで構成することが望ましい。このようにすれば、後述するように、環状レールが装置本体と共に複数に分割されて、半径方向から管に装着可能とされる場合に、ローラ保持体も半径方向から管に装着可能とすることができる。ローラ保持体を、上記のように、中心角が180°以下の部材複数個の組合わせで構成する場合には、それら複数個の部材の各々に、1個以上の軸方向力付与ローラを保持させる。
(26)前記軸方向力付与装置が、
両管のいずれか一方の管に、同心にかつ軸方向に相対移動不能に固定された軸方向力付与用部材と、
その軸方向力付与用部材と当該締結装置の本体との間に、それら軸方向力付与用部材と締結装置本体との相対回転を許容しつつ、それら軸方向力付与用部材と締結装置本体とを互いに接近させることと、離間させることとの少なくとも一方を行う軸方向駆動装置と
を含む(13)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の締結装置。
軸方向駆動装置は、例えば、締結装置本体に管の軸方向に平行に移動可能に取り付けられた移動部材と、その移動部材に回転可能に取り付けられ、前記軸方向力付与用部材が管と共に回転する際、その軸方向力付与用部材の管と同心の一円周上を転がる車輪と、締結装置本体と移動部材との間に取り付けられ、移動部材を軸方向力付与用部材に接近する向きに移動させることにより、車輪を軸方向力付与用部材に押し付ける流体圧シリンダ等のアクチュエータとを含むものとすることができる。このようにすれば、車輪が、軸方向力付与用部材の回転を許容しつつその軸方向力付与用部材に軸方向力を付与することとなる。軸方向力付与用部材は、管締付けレンチ部材とは別の部材として構成することも、管締付けレンチ部材を兼ねる部材とすることも可能である。
(27)前記軸方向力付与装置が、前記軸方向力として軸方向衝撃力を付与する軸方向衝撃力付与装置を含む(13)項ないし(26)項のいずれか1つに記載の締結装置。
軸方向衝撃力付与装置は、例えば、管に固定の軸方向力付与用部材と、その軸方向力付与用部材に対して管の軸方向に相対移動可能に設けられた慣性質量と、それら軸方向力付与用部材と慣性質量とを衝撃的に接近または離間させる衝撃的駆動装置とを含むものとすることができる。衝撃的駆動装置が慣性質量を軸方向力付与用部材から衝撃的に離間させ、あるいは軸方向力付与用部材に衝撃的に接近させれば、慣性質量の慣性力に基づいて軸方向力付与用部材には軸方向衝撃力が加えられ、その軸方向衝撃力が管に伝達される。慣性質量と衝撃的駆動装置とは、装置本体等とは無関係に軸方向衝撃力を発生させ得るため、軸方向力付与用部材自体に支持させ、軸方向力付与用部材と共に回転するようにすることができる。
(28)前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダと、前記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記油圧シリンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運動に変換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダの作動により前記クランプ装置を回動させることによって前記他方の管を回転させる油圧式回転装置を含み、
前記終了条件充足情報作成手段が、前記油圧シリンダにおける油圧に基づいて求められた回転抵抗トルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決まる目標締付けトルクに等しくなった場合に、前記締付け終了条件が満たされたとして、終了条件充足情報を作成するものである(23)項ないし(27)項のいずれか1つに記載の管の締結装置(請求項8)。
本項に記載の締結装置においては、管が油圧シリンダの作動によって回転させられるため、容易に大きな締付けトルクを発生させることができる。また、油圧シリンダの直線的作動が運動変換装置によりクランプ装置の回転運動に変換され、管が回転させられるため、1回の油圧シリンダの直線的作動による管の回転角度を大きくすることが困難であり、管を大きな角度回転させるためにはクランプ装置のクランプ,アンクランプと正逆両方向の回転との繰返しが必要である。したがって、初期段階や中間段階から使用することも可能ではあるが、最終段階における締付けに適している。
クランプ装置は、大きな締付けトルクを確実に管に伝達し、かつ、クランプ,アンクランプを迅速に行うために、管を油圧によりクランプする油圧クランプ装置とすることが望ましい。クランプ装置の本体を管の直径方向に開閉可能とすれば、管を直径方向に移動させてクランプ装置の中心に位置させることが可能となるが不可欠ではない。クランプ装置の本体が環状であっても、管を軸方向に移動させてクランプ装置本体内に挿入させた後、クランプされるようにすることができるのである。
なお、本項に記載の締結装置においては、油圧シリンダによって回転駆動源が構成され、クランプ装置および運動変換装置によって回転駆動力伝達装置が構成されると考えることもできる。
(29)前記相対回転駆動装置が、前記他方の管を回転モータにより回転させるモータ式回転駆動装置を含み、
前記トルク検出装置が前記回転モータの作動状態に基づいて回転抵抗トルクを検出するものである(23)項ないし(28)項のいずれか1つに記載の管の締結装置(請求項9)。
相対回転駆動装置が、(28)項の油圧式回転装置と本項のモータ式回転駆動装置とを含む場合には、初期段階,中間段階においては、管をモータ式回転駆動装置によって回転させ、最終段階において油圧式回転装置によって回転させるようにすることができる。回転モータは油圧モータであっても電動モータであってもよく、いずれにしても、モータの作動状態に基づいて初期段階,中間段階の少なくとも一方における回転抵抗トルクが検出され、それに基づいて目標締付けトルクが求められる。
相対回転駆動装置が、油圧式回転装置を含まないで本項のモータ式回転駆動装置のみを含む場合には、回転モータは油圧モータとすることが望ましい。初期段階,中間段階においては低圧,大吐出流量の油圧ポンプから作動油が供給されて、油圧モータが低トルク,大回転速度で駆動され、最終段階においては高圧,小吐出流量の油圧ポンプから作動油が供給されて、油圧モータが大トルク,小回転速度で駆動されるようにするのである。このようにすれば、初期段階から最終段階までの間、1つの油圧モータによって管を回転させることが可能となる。この場合には、油圧モータにおける油圧に基づいて回転抵抗トルクを検出し、その回転抵抗トルクに基づいて目標締付けトルクを求めることができる。また、終了条件充足情報が油圧モータにおける油圧に基づいて検出された回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に作成されるようにすることができる。
(30)前記回転モータは油圧モータであり、前記トルク検出装置が、前記油圧モータにおける油圧を検出する油圧検出装置を含む(29)項に記載の管の締結装置。
(31)前記軸方向力付与装置により付与される軸方向力を検出する軸方向力検出装置を含み、かつ、前記摩擦係数関連量取得手段がその検出された軸方向力と、前記トルク検出装置により検出された相対回転抵抗トルクとに基づいて前記摩擦係数を推定するものである(13)項ないし(30)項のいずれか1つに記載の締結装置。
軸方向力付与装置により付与される軸方向力が予め定められた一定値であれば、軸方向力検出装置を省略できるが、軸方向力検出装置を設ければ、同時点に検出された軸方向力と回転抵抗トルクとに基づいて摩擦係数を推定するので、軸方向力を一定に保つ必要がなくなり、締付け作業の自由度が増す効果が得られる。なお、軸方向力付与装置により付与される軸方向力が予め定められた一定値である場合でも、軸方向力検出装置を設ければ摩擦係数の推定精度が向上する効果が得られる。
(32)前記トルク検出装置が、前記相対回転駆動装置内の回転軸に加わるねじりトルクを検出するねじりトルク検出装置を含む(13)項ないし(31)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(33)前記相対回転駆動装置が、
回転駆動源と、
前記両管の一方を当該締結装置本体に回転不能に固定する固定装置と、
前記両管の他方に、前記回転駆動源の駆動力を伝達する回転駆動力伝達装置と、
前記回転駆動源を前記締結装置本体に対して軸方向に相対移動可能かつ前記管の中心線回りに相対回転不能に保持する回転駆動源保持装置と
を含み、かつ、
前記トルク検出装置が、前記他方の管の回転に伴って前記回転駆動源保持装置に加えられる反力を検出する反力検出装置を含む(13)項ないし(32)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
反力と、両管の中心線と反力検出装置との間の距離との積が、相対回転抵抗トルクとなる。
(34)前記相対回転駆動装置が駆動源として電動モータを備え、前記トルク検出装置が、その電動モータに流れる電流に基づいて前記両管の相対回転抵抗トルクを検出する電流依拠トルク検出装置を含む(13)項ないし(31)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(35)当該締結装置本体が、前記両管を取り囲むとともに、両管の中心線に平行な分割面により複数の装置本体構成要素に分離可能に構成されており、それら複数の装置本体構成要素が分離状態で両管の外周に配置された後、それら複数の装置本体構成要素を互いに固定する固定装置を含む(13)項ないし(34)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
締結装置本体が両管を取り囲む構成を有する場合、その締結装置本体を分離型としないことも可能である。しかし、この場合は、締結装置本体を管の長手方向に沿って着脱する必要があり、着脱作業が面倒である。それに対し、両管の中心線に平行な分割面により複数の装置本体構成要素に分離可能に構成すれば、分離状態では両管の半径方向に着脱することが可能となり、着脱作業が容易となる。(36)当該締結装置が、中間段階の少なくとも一時点を検出する中間段階検出手段を含む(13)項ないし(35)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
(37)前記中間段階検出手段が、前記トルク検出装置により検出された前記回転抵抗トルクに基づいて前記中間段階の少なくとも一時点を検出するものである(36)項に記載の管の締結装置。
(38)前記中間段階検出手段が、初期段階から中間段階への移行時における前記回転抵抗勾配の急変を検出することにより中間段階の開始時点を検出する中間段階開始時点検出手段を含む(36)項または(37)項に記載の管の締結装置。
移行時には、両管の相対的な形状や寸法により、急激に増加する場合と急激に減少する場合とがある。いずれにしても、接触部分が変化するため、相対回転抵抗トルクが急変する。
(39)前記中間段階検出手段が、
前記トルク検出装置により時々刻々検出される前記相対回転抵抗トルクを記憶するトルク記憶手段と、
前記相対回転抵抗トルクが設定トルクに達した後、前記トルク記憶手段に記載された相対回転抵抗トルク群に基づいて前記中間段階の終了時点を決定する中間段階終了時点を決定する手段と
を含む(36)項ないし(38)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
時々刻々の回転抵抗トルクをトルク記憶手段に記憶させておき、後にそれらの相対回転抵抗トルク群に基づいて、中間段階から最終段階への移行時点、すなわち中間段階終了時点を特定することは容易である。但し、締付け力が目標締付け力に達する前に、それに対応する目標締付けトルクが決定されていることが必要であるので、中間段階終了時点ではできる限り早期に決定されることが望ましい。従って、上記設定トルクは中間段階から最終段階への移行を特定し得る範囲で、できる限り小さな値に設定されることが望ましい。
(40)当該締結装置が、雄ねじ部と雌ねじ部との間に軸方向締付け力と半径方向締付け力との少なくとも一方が発生する最終段階に移行したことを検出する最終段階移行検出手段を含む(13)項ないし(39)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
前述のように、初期段階から最終段階に移行する場合と、中間段階から最終段階に移行する場合とがあるが、いずれにおいても、これらの移行時の相対回転抵抗トルクの変化勾配の変化、または、相対回転抵抗トルクの大きさに基づいて移行したことを検出することができる。例えば、初期段階あるいは中間段階で取得された摩擦係数関連量に基づいて段階移行時トルクを求め、実際の相対回転抵抗トルクが段階移行時トルクに達した時に、移行したと検出するのである。
(41)前記終了条件充足情報作成手段が、実際の回転抵抗トルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決まる目標締付けトルクに等しくなると、終了条件充足情報を作成する(13)項ないし(40)項のいずれか1つに記載の締結装置。
(42)初期段階トルクに基づいて前記両ねじ部を持つ管の螺合異常を検出する螺合異常検出手段を含む(13)項ないし(41)項のいずれか1つに記載の管の締結装置。
両ねじ部を持つ管のねじ面間に異物が噛み込まれ、あるいは両ねじ部を持つ管のねじ面が正常に螺合されていない等の螺合異常が発生すれば、初期段階トルクが通常よりも大きくなる。従って、例えば、ねじの呼び径やピッチ等のデータに基づいて初期段階トルクの許容範囲を設定する許容範囲設定手段と、初期段階トルクがその許容範囲から外れた場合には螺合異常と判定する螺合異常判定手段とを含む螺合異常検出手段を設ければ、螺合異常を早期に発見でき、さらに、螺合異常判定手段の判定結果に応じて回転駆動装置を停止させる異常停止手段を設ければ、螺合異常の発生にもかかわらず無理に締付けが行われることを良好に回避することができる。
(43)少なくとも前記トルク検出装置に接続され、摩擦係数関連量取得手段および終了条件充足情報作成手段を構成するコンピュータを含む(13)項ないし(42)項のいずれか1つに記載の締結装置。
(44)雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する際に、締付けトルクをコンピュータにより管理するための制御プログラムであって、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させたときの相対回転抵抗トルクと、前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量取得工程と、
その摩擦係数関連量取得工程において取得された摩擦係数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされたときに、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成工程と
を含む締付けトルク管理プログラムが、前記コンピュータにより読み取り可能に記録されたことを特徴とする記録媒体(請求項10)。
コンピュータを備えた締結装置において、本項に係る記録媒体に記録されたプログラムを読み取らせれば、(13)項に記載の締結装置となる。また、その締結装置によれば、(1) 項に記載の締結方法を実行することが可能となる。また、締付けトルク管理プログラムには、(2) 項ないし(11)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を適用することができる。
(45)雄ねじ部を有する雄ねじ部材と雌ねじ部を有する雌ねじ部材とを、それら両部材の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する方法であって、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両部材に軸方向力を加えつつ両部材を相対回転させて相対回転抵抗トルクを検出し、その検出した相対回転抵抗トルクと前記軸方向力とに基づいて両部材間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得し、その取得された摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条件を決定し、その締付け条件が満たされたときに締付けを終了することを特徴とする2部材の締結方法。
雄ねじ部材,雌ねじ部材は、それぞれ中実の軸部材であってもよい。本発明は管の締結の改善を主たる目的としてなされたものであるが、管の締結以外にも適用が可能なのである。また、本項に記載の2部材の締結方法には、(2) 項ないし(11)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を適用することができる。また、(13)項に記載の締結装置を2部材締結装置として使用することができ、(14)項ないし(34)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を2部材締結装置に適用することができる。
【0006】
【発明実施の形態】
以下、請求項6および7に記載の発明の一実施形態である管の締結装置について図面に基づいて説明する。この締結装置に、請求項10に記載の発明の一実施形態である記録媒体に記録されたプログラムを読み取らせ、実施させることにより、請求項1ないし5に記載の発明の一実施形態である管ねじ継手締結方法を実施し得る。
本締結装置において、雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とが締結され、得られた管は、石油掘削用の工具軸や、石油輸送管,ガス輸送管等の流体の配管として使用される。図1において、10は締結装置本体であり、12は雌ねじ部を有する管14を回転不能かつ軸方向に移動不能に固定する固定装置であり、16は雄ねじ部を有する管18を回転させる回転駆動装置であり、20は雄ねじ部を有する管18に軸方向力を付与する軸方向付与装置である。
本体10は、管14,18の中心線に平行な分割面で分割可能とされており、一方の端部同士が図示しない蝶番により回動可能とされ、他方の端部同士が結合部材30により結合される。結合部材30は、図1においては1つしか記載されていないが、実際には、複数箇所において結合される。
【0007】
固定装置12は、本実施形態においては1つ以上の管締付けレンチとしてのチャックレンチ32を含むものである。チャックレンチ32は、締結装置本体10とともに分割可能とされており、結合部材30によって結合することにより、雌ねじ部を有する管14を外周面において固定する。チャックレンチ32の内側面には摩擦係合部が形成されており、外周面と摩擦係合させられる。チャックレンチ32を軸方向に複数個設ければ、管14を垂直方向に延びた姿勢で良好に固定することが可能となる。
回転駆動装置16は、本体10にリニアガイド装置36を介して軸方向に相対移動可能、かつ、相対回転不能に取り付けられる。リニアガイド装置36は、本体10に固定された軸方向に延びるガイドレールと、ガイドレールに沿って軸方向に移動可能な移動部材とを含むものであり、移動部材に回転駆動装置本体が固定されているのである。回転駆動装置16は、回転駆動源としての回転モータ40,トルク検出装置42,回転伝達装置44等を含む。
【0008】
回転伝達装置44は、雄ねじ部を有する管18に回転モータ40の回転を伝達するものであり、回転モータ40の出力軸46に相対回転不能に固定された駆動ギヤ48と、雄ねじ部を有する管18に相対回転不能に固定された被駆動ギヤ50とを含む。被駆動ギヤ50は、雄ねじ部を有する管18に管締付けレンチ54によって固定される。本実施形態においては、管締付けレンチ54に被駆動ギヤ50が固定されているのである。駆動ギヤ48はつば付きのものであり、そのつば52の内側において被駆動ギヤ50が噛み合わされており、それによって、回転モータ40の重量が支持されることになる。
【0009】
管締付け用レンチ54は、概して円環状を成したものであるが、図2に示すように、円環部材がその円環部材の中心線に平行な分割面で分割された2つの円弧状部材としての分割型本体55,56と、これら分割型本体55,56の一方の端部同士を回動可能に結合する回動型連結装置57と、他方の端部同士を周方向に連結可能な連結ボルト58とを含む。連結ボルト58によって2つの分割型本体55,56が連結されることにより、管18に締付けられる。
分割型本体55,56の一方の端部には、それぞれ、係合部59,60が設けられ、これらが、連結ピン61により中心線に平行な軸線回りに回動可能に支持される。係合部59,60は、軸方向および半径方向外方に突出した形状をなしたものであり、図2(b)に示すように、それぞれ軸方向に重ねられた状態で係合させられる。このように、一方の端部同士が回動可能に支持されるため、管締付けレンチ54の着脱作業が容易になる。なお、係合部59,60の軸方向への突出量は、前述の駆動ギヤ48のつば52の邪魔にならない量とされる。さらに、係合部59,60は、管締付けトルク54の軸方向の上側と下側の両方にそれぞれ設けられている。
分割型本体55,56の他方の端部には、それぞれ、軸方向に突出させられた被連結部62,63が設けられ、連結ボルト58により連結可能とされる。図示は省略するが、これら被連結部62,63も、軸方向の上側と下側とにそれぞれ設けられている。
【0010】
トルク検出装置42は、回転モータ40の出力軸46にカップリング64を介して取り付けられたものであり、検出軸65の表面には図3に示すように4個のストレンゲージ66が+45度と−45度傾斜させられて、それぞれ2個づつ接着され、ブリッジ回路68が形成されている。このブリッジ回路68からスリップリング70により電圧検出回路72が接続されるとともに、もう一方のスリップリング74により直流電源76が接続されている。検出軸65に捩りトルクが作用されれば、その捩りトルクに比例する電圧が電圧検出回路72に現れる。
【0011】
軸方向力付与装置20は、複数の軸方向力付与ローラ80と、そのローラ80と同軸上に取り付けた軸方向力付与ローラ駆動用モータ82(図4参照)と、軸方向力付与ローラ80をそれぞれ相対回転可能に保持する複数のローラ保持部材84と、複数のローラ保持部材84を締結装置本体10に対して軸方向および半径方向に相対移動不能かつ管14,18の中心線回りに相対回転可能(周方向に移動可能)に保持する保持装置86と、加えられた軸方向力を検出する軸方向力検出装置88とを含むものである。本実施形態においては、複数のローラ保持部材84によってローラ保持体89が構成される。
軸方向力付与ローラ80は、概して鼓型を成したものであり、管18の外周面に面接触させられる。軸方向力付与ローラ駆動用モータ82には、図示しないスリップリングを介して締結装置本体10に設けられた図示しない電源から電流が供給される。軸方向力付与ローラ駆動用モータ82により、軸方向力付与ローラ80を正・逆両方向に回転させれば、圧縮力と引張力との両方を加えることが可能であるが、本実施形態においては、圧縮力が加えられるのであり、雄ねじ部を有する管18に圧縮力が加えられることにより、両方の管18,14が互いに接近する方向の軸方向力が加えられることになる。
【0012】
保持装置86は、本体10に固定された環状レール90,92と、ローラ保持部材84に相対回転可能に設けられた周方向移動用ローラ94,96とを含むものであり、周方向移動用ローラ94,96が環状レール90,92の内周面に嵌め込まれれば、ローラ保持部材84が、周方向に相対移動可能に保持されることになる。その結果、管18の相対回転が許容される。
環状レール90は、ローラ保持体89の外周側に設けられ、環状レール92は、ローラ保持体89の上方に設けられる。それに対して、周方向移動用ローラ94は、ローラ保持部材84の外周面の互いに隔たった部分に複数取り付けられ、周方向移動用ローラ96は上側面の互いに隔たった部分に複数取り付けられている。その結果、ローラ保持部材84が軸方向および半径方向に相対移動不能に保持されることになり、軸方向力付与ローラ80が管18から半径方向に離れることが防止される。
【0013】
環状レール90,92には、4個のローラ保持部材84が支持されている。4個のローラ支持部材84には、それぞれ、軸方向力付与ローラ80,複数個の周方向移動用ローラ94,96が取り付けられているため、軸方向力付与ローラ80も4個設けられることになり、管18には4個の軸方向力付与ローラ80によって軸方向力が付与されることになる。ローラが1つの場合より、均一に軸方向力を加えることが可能となる。ローラ支持部84は中心角90°以下、本実施形態においては60°程度のもので、4個が同じ環状レール90,92において、独立に移動可能とされているのである。
軸方向力検出装置88は、図示は省略するが、4個のストレンゲージのうち2個が検出軸の軸方向に対して平行に接着され、残る2個が周方向に平行に接着されたものであり、検出軸に加えられた軸方向力を検出する。
【0014】
図4に、締結装置制御装置100を模式的に示す。締結装置制御装置100は、入力装置102と処理装置としてマイクロコンピュータ104とを含む。マイクロコンピュータ104は、PU106、ROM107、RAM108およびI/Oポート109を備え、ROM107には、図5に示す締付けトルク管理プログラムを初めとする種々のプログラムが格納されている。PU106は、RAM108を利用してこれらのプログラムを実行し、自動で締付け力の管理を行う。I/Oポ─ト109には、上記入力装置102に加えて、ドライバ114,115、トルク検出装置42、軸方向力検出装置88等が接続されている。回転モータ40、軸方向力付与ローラ駆動モータ82はドライバ114,115を介して接続され、ドライバ114,115の制御により、スイッチ117,118の状態が制御され、それにより、モータ各々の作動状態が制御される。
【0015】
以上のように構成された締結装置において管14,18の締付けが行われる場合について説明する。まず、管14,18の取り付け作業等の締付け作業の準備が行われる。本体10が分離される。それに伴って、固定装置12,環状レール90,92も分離される。雌ねじ部を有する管14と雄ねじ部を有する管18とをそれぞれ取り付け、雄ねじ部を有する管18に管締付けレンチ54を締め付けることにより被駆動ギヤ50を固定する。その後、駆動ギヤ48が被駆動ギヤ50と噛合う位置まで、回転モータ40を軸方向に移動させ、本体10を結合部材30によって結合する。それによって、環状レール90,92が連結させられ、ローラ保持体89が周方向に相対回転可能となり、管14が固定装置12により固定される。
また、締付け作業に先立って、入力装置102から、目標締付け力、管ねじの呼び径、管ねじのピッチ、初期段階回転抵抗トルクと中間段階回転抵抗トルクの測定位置等のデータが作業者により直接あるいはホストコンピュータを介して入力され、RAM108に格納される。締付け準備が終了し、スタートスイッチが押されれば、ねじの締付けが自動で行われる。
【0016】
次に、管14,18の形状について図6に基づいて説明する。管18が有する雄ねじ部をねじ部122とし、管14が有する雌ねじ部をねじ部124とする。これらねじ部122,124は、それぞれ台形テーパねじ部である。また、管18のねじ部122の基端側には肩面(ショルダ面)126が形成され、雌ねじ部を持つ管14のねじ部124の先端側の端面128(ショルダ面)に接触させられた状態で締結される。図に示すように、管14の雄ねじ部124の基端側には肩面129(ショルダ面)が設けられているが、このショルダ面129には、締付状態において、雄ねじ部を有する管18の先端側端面130(ショルダ面)が接触させられることはない。
管14,18は、ショルダ面126およびショルダ面128と、ねじ部122,124同士が接触させられた状態で締結されることになり、締付状態においては、ショルダ面126とショルダ面128との接触部(ショルダ面接触部)と、ねじ部122,124の接触部(ねじ面接触部)との両方において軸方向締付け力が発生させられる。このように締結されて得られた管は、堀削作業用(石油堀削作業用)工具軸として使用される。
【0017】
まず、ステップ1(以下単にS1で表す。他のステップも同様とする)において、目標締付け力F3 がRAM108から読み出され、S2において、回転させる管18に付与する圧縮力Qが管ねじの呼び径に応じて演算され、求められる。圧縮力Qは、摩擦係数の評価精度の観点からすれば、目標締付け力F3と等しくすることが望ましく、目標締付け力F3 はねじ呼び径dが大きいほど大きくなるので、圧縮力Qはねじ呼び径dが大きいほど大きくされることが望ましい。本実施形態においては、圧縮力Qが目標締付け力F3 の3〜30%範囲から予め選定された値に対応する大きさとなるように演算される。図13に示すように、800Nとした場合には400Nとした場合より得られる軸方向締付け力のバラツキが小さくなることがわかる。なお、図13に示すデータは、管14,18が実物の1/4の大きさの管を締結させた場合に得られたデータである。続いて、S3において、圧縮力Qを0として締付けが開始される。具体的には、回転モータ40を軸方向力付与ローラ駆動モータ82の回転と同期させ、回転数とねじ部のピッチに応じて雄ねじ部を有する管18が軸方向に送られる。
【0018】
予め定めた時間の経過後に、S4において、回転トルク検出装置42の出力信号が読込まれ、S5において、回転抵抗トルクが実質的に0であるか否かが判定され、判定結果がNOであれば、S6において回転モータ40の回転が停止され、S7において図示しないブザーが鳴動させられる等して螺合異常が作業者に報知される。
【0019】
一方、S5の判定結果がYESの場合には、S8においてスイッチ117が制御され、S2において演算により求められた圧縮力Qが雄ねじ部を有する管18に、軸方向力付与用ローラ80により付与される。この時点においては、雄ねじ部を有する管18と雌ねじ部を有する管14とは螺合した状態にあるが、ショルダ面126とショルダ面128とは接触していない。その状態の図を図6に示す。その時のねじ部122,124間の詳細図を図7に示す。図7に示すようにねじ部122のねじ山の先端側の側面132とねじ部124の基端側の側面133とが接触させられた状態にある。
この状態でS9、S10が一定微少時間毎に繰り返し実施され設定トルクTb に到達するまでの回転抵抗トルクがトルク検出装置42により検出され、RAM108のトルクメモリに格納される。初期段階,中間段階の各々の回転抵抗トルクの測定は、回転抵抗トルクがTb に到達した時から逆上っていくつ前のデータとするかは、予め締付けを行う前に決めておく。図12に示すように、締付け回転角θが、θ1 ,θ2 となると推定し得る時点を予め決めておくのであり、その時の回転抵抗トルクの値を検出する。
【0020】
S9、S10が繰り返し実施されている間に、ショルダ面126とショルダ面128とが図8に示すように接触する。そのときのねじ部122,124の間、ショルダ面126とショルダ面128との間の詳細図を図9に示す。図9に示すように、2つの管のねじ部122,124は実質的に接触しない状態となる。すなわち中間段階への移行が行われるのである。ここにおいて、「実質的にねじ部が接触しない状態」とは、「雄ねじ部を持つ管18と雌ねじ部を持つ管14との偏心やショルダ面の軸に対する傾きが生じている場合軽く接触することはあり得るが、初期段階における様な互いに強く押し付けられることのない状態」という意味である。
中間段階への移行後、さらに雄ねじ部を有する管18が締付けられると図10の状態となる。そのときのねじ部122,124の間、ショルダ面126とショルダ面128との間の詳細図は図11に示す。図11に示すように、ねじ部122のねじ山の基端側の側面135とねじ部124の先端側の側面136とが接触する状態にある。
回転トルク検出装置42によって検出された回転抵抗トルクが設定トルクTb に到達すると同時に、S11において予め決められたデータ数だけトルクメモリに格納されたデータを逆上って初期段階の回転抵抗トルクT1 を決定し、同様にS12において予め決められたデータ数だけ逆上って中間段階における回転抵抗トルクT2 を決定する。
続いて、S13において、決定した初期段階トルクT1 と中間段階トルクT2 とに基づいて目標締付けトルクT3 の決定が行われる。この決定は以下の事実に基づいて後述の(12)式、もしくは(16)式の演算により行われる。
【0021】
目標締付けトルクの演算について説明する。
図6、7に示す初期段階においては、ねじ部122,124間の摩擦係数μs は雄ねじ部を有する管18に付与される圧縮力Qと回転抵抗トルクT1 とから求められる。
初期段階においては、次式のねじ面の斜面の効果によるトルクTq も同時に生じる。
Tq =ds/2・Q・tan α' ・・・(1)
ここで、α' は回転抵抗トルクT1 の測定位置におけるねじ部のリード角であるが、テーパねじにおけるリード角α' は、テーパねじのあらゆる軸直角断面で異なるので、回転抵抗トルクT1 の測定位置においてねじ部122,124が接触している部分のリード角の平均値で代表させる。また、dsはねじの有効径である。有効径dsは、回転抵抗トルクT1 の測定位置においてねじ面が接触している部分のトルク等価直径として次式で表される。
ds=2/3・(dso3-dsi3) /(dso2-dsi2) ・・・(2)
ここで、dso はねじ面が接触している部分の最大径、dsi は最小径である。
従って、前記回転ねじ部を有する管18を締込む方向に回転させるのに必要なトルクである初期段階トルクT1 は、次式で表される。
T1 =ds・Q・μs/(2・cos(γ1 −β) ′) −Tq ・・(3)
ここで、γ1 は図14に示すように、初期段階で接触するねじ山側面の傾き角であり、後述するγ2 は、最終段階で接触するねじ山側面の傾き角である。βはねじの中心軸からのテーパ角である。また、Tq は、(1) 式で表され( Tq =ds/2・Q・tan α′)、(γ1 −β)′は、ねじ山の山直角断面の中心軸に対する初期段階で接触するねじ山側面の傾き角であり、次式で表される。
tan(γ1 −β)′=tan(γ1 −β)・cos α′・・・(4)
したがって、ねじ部122,124間の摩擦係数μs は次式で表されることがわかる。
μs =((2・cos(γ1 −β)′) /ds) ・( T1/Q+ds/2・tan α')・・(5)
【0022】
図8、9に示す中間段階においては、ショルダ面126とショルダ面128とが接触するが、これらの間の摩擦係数μw と雄ねじ部を有する管18に付与する圧縮力Qとにより、摩擦トルクTw が発生し、これが中間段階トルクT2 となる。
T2 =μw ・Dp/2・Q ・・・(6)
このとき、Dpはショルダ面126とショルダ面128との接触部分のトルク等価直径として次式で表される。
Dp=2/3・(Dpo3-Dpi3) /(Dpo2-Dpi2) ・・・(7)
ここで、Dpo はショルダ面126とショルダ面128との接触部分の最大径、Dpi は最小径である。
ショルダ面126,ショルダ面128間の摩擦係数μw は次式で表される。
μw =( 2・T2)/(Dp ・Q)・・・(8)
【0023】
図10、11に示す最終段階において、ねじ面間に発生する軸方向締付け力をFとすれば、ショルダ面126とショルダ面128との間に発生する軸方向締付け力は、(F+Q)である。従って、管18,14を目標締付け力F(=F3 )で締結するために必要な目標締付けトルクT3 は次式となる。
T3 =(Ds・μs ・F)/(2・cos(γ2 +β) ′)+μw ・Dp/2・(F+Q)+Ds/2・F・tan α ・・・(9)
ここで、γ2 は、図14に示すように、最終段階で接触するねじ山側面の傾き角であり、( γ2 +β) ′は最終段階で接触するねじ山の山直角断面におけるねじ山側面の中心軸からの傾き角であり、次式で表される。
tan(γ2 +β) ′=tan(γ2 +β) ・cos α・・・(10)
また、Dsは締結時にねじ面同士が接触している部分のトルク等価直径であり、次式で表される。
Ds=2/3・(Dso3-Dsi3 )/(Dso2-Dsi2 )・・・(11)
ここで、Dso は締結時にねじ面同士が接触している部分の最大径、Dsi は最小径である。またαは、最終段階における締結位置において接触しているねじ部のリード角である。このリード角αはテーパねじのあらゆる軸直角断面で異なるので、最終段階における締結位置において接触しているねじ部のリード角の平均値で代表させる。
さらに、(9) 式における摩擦係数μs ,μw に、(5) 式, (8) 式を代入すれば、目標締付けトルクT3 を求めることができる。
T3 =(Ds・cos(γ1-β) ′)/(ds ・cos(γ2+β) ′) ・(T1/Q+ds/2・tan α′)・F+T2 ・(F+Q)/Q+Ds/2・F・tan α・・・(12)
【0024】
しかし、(12)式の目標締付けトルクの演算が非常に複雑であるため、近似することにする。ねじの中心軸からのテーパ角βが比較的小さい場合において、初期段階における回転抵抗トルクT1 を、初期段階のできるだけ終了間際(最終段階における締付状態に近い状態)に検出することで、初期段階でのトルク等価直径dsと最終段階でのトルク等価直径Dsを近似的にほぼ等しいとすることができる。その結果、T1 の測定位置のリード角α' と、締結位置のリード角αを近似的にほぼ等しいとすることができる。
すなわち、ねじ面の斜面の効果によるトルクTq はねじのピッチをPとすれば、次式となる。
Tq =(P/(2π))・Q・・・(13)
従って、前記雄ねじ部を有する管18を締込む方向に回転させるのに必要な回転抵抗トルクである初期段階トルクT1 は、次式で表される。
T1 =(ds ・μs)/(2・cos(γ1 −β) ′) ・Q −P/2π・Q ・・・(14)
また、ねじ面間の摩擦係数μs は次式で表される。
μs =(2・cos(γ1 −β) ′)/ds・( T1/Q +P/2π) ・・・(15)
従って、(12)式に示す管ねじ継手を目標締付け力Fで締結するために必要な目標締付けトルクT3 は、次式のように簡単に求めることができるのである。
T3 =(cos(γ1 −β) ′/cos(γ2 +β)′)・(T1/Q+P/2π)・F +T2 ・(F+Q) /Q +P/2π・F・・・(16)
【0025】
S13において、上記(12)式もしくは(16)式を用いて、S1で設定された目標締付け力F3 に基づいて、F3 を得るために必要な目標締付けトルクT3 を演算することができる。それ以後、S14とS15とが繰返し実行され、実際に得られた回転抵抗トルクTが目標締付けトルクT3 に到達することが待たれ、到達すればS16においてモータ停止指令が発せられる。この指令に応じて、ドライバ115がスイッチ118をオフにして回転モータ40を停止させるので、締付けが自動的に終了される。
【0026】
このように、本実施形態においては、初期段階における回転抵抗トルクTである初期段階トルクT1 と軸方向力Qとに基づいて、ねじ面間の摩擦係数が取得され、中間段階における回転抵抗トルクTである中間段階トルクT2 と軸方向力Qとに基づいてショルダ面126とショルダ面128との間の摩擦係数が取得される。そして、それらの摩擦係数に基づいて目標締付けトルクT3 が決定され、最終段階における相対回転抵抗トルクTが目標締付けトルクT3 に等しくなったとき、締付けが自動的に終了させられる。そのため、例えば、油が付着しているか否か、面粗さの大小等によりねじ面間の摩擦係数およびショルダ面126とショルダ面128との間の摩擦係数が変化してもその変化の影響を受けず、常にほぼ一定の締付け力で雄ねじを持つ管18と雌ねじを持つ管14とを締結することができる。
また、実際の回転抵抗トルクの値はトルク検出装置42によって検出された値をそのまま採用するのではなく、環状レール92と周方向移動用ローラ96との間の摩擦、環状レール90と周方向移動用ローラ94との間の摩擦に起因する損失分を考慮した値を採用することもできる。これらの間の摩擦に起因するトルクの損失分を予め求めておき、トルク検出装置42によって検出された回転抵抗トルクから、その損失分を引いた値を実際の回転抵抗トルクとするのである。
【0027】
本締結装置において、管14,18のみならず、他の形状の2つの管を締結する場合においても、同様の効果を得ることができる。以下、図15,16に示す2つの管を締めつける場合について説明する。まず、これらの管の形状について説明する。
図15において、雌ねじ部を有する管は、管14とほぼ同様の形状のものであるが、基端部にねじ部が形成されないテーパ面であるラジアルシール面156が形成されている。雄ねじ部を有する管150の先端側にも同様に、ねじ部が形成されていないテーパ面であるラジアルシール面154が設けられている。管14,150は、管150の端面(ショルダ面)152と管14のショルダ面129とが接触させられた状態で締結される。このショルダ面152,129の間において軸方向締め付け力が発生させられ、ラジアルシール面156,154の間において、半径方向力が発生させられる。
【0028】
図16に示す雌ねじ部を有する管170と雄ねじ部を有する管172とにおいて、管170の基端側とそれより先端側とには、それぞれ、第1肩面(ショルダ面)174,第2肩面(トルクショルダ面,中間ショルダ面とも称する)176が形成され、管172の中間部には肩面(トルクショルダ面,中間ショルダ面)178が形成されている。管170,172は、管170のショルダ面174と管172の端面(ショルダ面)180とが接触させられ、管170のトルクショルダ面176と管172のトルクショルダ面178とが接触させられた状態、あるいは、ショルダ面174,180同士が接触させられないで、トルクショルダ面176,178同士が接触させられた状態で締結される。また、いずれの場合においても、管170の内周面のショルダ面174とトルクショルダ面176との間の部分184(ねじ山が形成されていないテーパ部分)と管172の外周面のトルクショルダ面178とショルダ面180との間の部分186(ねじ山が形成されていないテーパ部分)とが接触させられ、半径方向締付け力が発生させられる。これら内周面の部分184,外周面の部分186も上述の場合と同様にラジアルシール面である。
管14,150が締結されて得られた管、管170,172が締結されて得られた管は、主として、流体輸送管として用いられる。ラジアルシール面において半径方向締付け力が発生させられるため、流体の漏れを防止することができるのである。
【0029】
図15に示す締結態様をショルダシール型、図16に示す締結態様をラジアルシール型と称するが、これらいずれの場合においても、締付状態において、ショルダ面接触部における軸方向締付け力とねじ面接触部における軸方向締め付け力と、ラジアルシール面間の半径方向締付け力とが発生させられる。トルク管理においては、ねじ面接触部に半径方向締付け力が発生させられないことを前提とする。すなわち、雄ねじのねじ山頂部と雌ねじの谷部とは接触しないことを前提とするのである。これらねじ山頂部と谷部とが接触し、その接触によるトルクの割合が締付けトルクに対して大きくなる場合には、測定したねじ面の摩擦係数を用いて、これらの間のトルクを考慮することも可能であるが、図15,16に示す形状である場合には、ねじ部同士が接触したとしても、それに起因して発生する半径方向締付け力はそれほど大きくないと考えられるため、無視することとする。
【0030】
本実施形態において、2つの管を締付ける場合のねじ面接触部における摩擦係数,ショルダ面接触部における摩擦係数,目標締め付けトルクの演算は、上記実施形態における場合と同様に行うことができるが、図15に示す管14,150を締め付ける場合には、付与する軸方向力Qを、ショルダ面152およびショルダ面129、ラジアルシール面154,156同士が完全に接触し得る大きさとし、図16に示す管170,172を締め付ける場合には、ショルダ面180およびショルダ面174,トルクショルダ面176,178同士,ラジアルシール面182,184同士が完全に接触し得る大きさとするか、トルクショルダ面176,178同士,ラジアルシール面182,184同士が完全に接触し得る大きさとするかのいずれかとする必要がある。すなわち、締付状態において実際に接触する部分が完全に接触するように軸方向力を加えるのである。
図に示すように、雄ねじ部を有する管150,172には、管18と異なって、ねじ部の基端部側に雌ねじ部を有する管と接触すべきショルダ面が設けられていないため、軸方向締付け力が発生する位置が上記実施形態における場合と異なるが、接触部分の最大径,最小径の値を異ならせれば、事情は同じである。
なお、本実施形態においては、ラジアルシール面における半径方向締付け力を考慮しなかったが、考慮することもできる。例えば、後述するが、図19に示す嵌め合わせ量δの値を2つの管14,150あるいは170,172の形状等に基づいて推定し、嵌め合わせ量δに基づいてラジアルシール面において生じるトルクを推定し、その推定値を目標締付けトルクの値に加えるのである。このようにすれば、トルク管理精度を向上させることができる。
【0031】
次に、図17に示す、管200,202が締結される場合について説明する。管200,202は締結状態において互いに接触すべきショルダ面を有しないものであり、かつ、ねじ部204,206がテーパ台形ねじ部である。この場合には、ねじ面接触部において半径方向締付け力が発生させられることにより締め付けられる。図18に示すように、初期段階においては、雄ねじ部206のねじ山の先端側の側面210と雌ねじ部204のねじ山の基端側側面212とが接触させられ、最終段階においては、雄ねじ部206のねじ山の頂部214および雌ねじ部204の谷部216、雄ねじ部206のねじ山の基端側の側面218および雌ねじ部204のねじ山の先端側の側面220同士が接触させられる。
本実施形態においては、初期段階において、ねじ面接触部の摩擦係数が検出されるが、軸方向力(圧縮力)Qは、摩擦係数検出時に加えられ、最終段階においては除去することが望ましい。軸方向力Qが非常に小さい場合には、締付けトルクにおける圧縮力Qの相対的割合が小さくなるが、軸方向力Qが大きい場合には、相対的割合が大きくなり、相対回転抵抗トルクを精度よく検出することができなくなる。なお、管200,202を締め付ける場合には、ねじ部204,206の間に半径方向締付け力が発生させられるため、雌ねじ部を有する管200を、図1に示す位置より軸方向の下方(ねじ部204が形成されている位置より下方)で固定することが望ましい。
【0032】
本実施形態においては、いずれの管にも互いに接触すべきショルダ面が設けられていないため、ショルダ面同士が接触することがないのであり、いわゆる、中間段階に対応する過程がない。また、ねじ面接触部において発生させられる半径方向接触応力と管202に加えられる円周方向応力とを考慮する必要があり、目標締付けトルクの演算方法は上記実施形態における場合と大きく異なる。
まず、管202の外周の円周方向応力とねじ部接触部の半径方向接触応力とについて説明する。円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z) とは、ねじの形状寸法が管200,202の半径に対して小さいため、ねじ部がないものと仮定する。すなわち、図19に示すように、ピッチ線Lで区切られた2つのテーパ部を有する管同士が嵌め合わされた状態を想定して求める。また、ねじのリード角αも非常に小さいので、近似的に0とおく。
両管200,202の半径方向の嵌め合わせ量をδとすると、円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z) とは、次式で表される。
σc (z) ={E・δ/(ro 2 −ri 2 )}・{(r(z) 2 −ri 2)/ r(z) }・・・(17)
σp (z) ={E・δ/(2・( ro 2 −ri 2 ))}・{(r(z) 2 −ri 2)・(ro 2 −r(z) 2 )/r(z)3}・・・(18)
ここで、Eはヤング率であり、ri は管202の内径で、ro は管200の外径である。r(z) はねじのピッチ円半径である。したがって、嵌め合わせ量δが決まれば、管200,202の材質と形状寸法とに基づいて、円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z) とを求めることができる。
嵌め合わせ量δは、ねじのピッチをP,締付け過程が最終段階に入ってから最終締付け状態までの回転数をn,中心線からのテーパ角をβとすると、次式に従って求めることができる。
δ=n・P・tan β・・・(19)
また、最小ピッチ円半径をrb とすれば、r(z) は、下式のように表すことができる。
r(z) =rb +z・tan β・・・(20)
なお、z座標は、最小ピッチ円半径rb の位置を0とした軸方向の座標である。
このように、最終段階に移行した後に回転数の管理を行えば、締付け力の管理を行うことができるが、まず、トルクの管理に基づいて締付け力の管理を行う場合について説明する。
【0033】
上記(17)式, (18)式で表される管202の円周方向応力σc (z) と半径方向接触応力σp (z) とは、図20(a), (b)に示すように分布する。したがって、発生させるべき円周方向応力σc (z) ,半径方向接触応力σp (z) が決まれば、(17)式, (18)式から逆に嵌め合わせ量δを求めることができる。嵌め合わせ量δになるようにトルクを加えればよいのであり、以下、嵌め合わせ量δをトルクの管理によって如何に実現させるかについて説明する。
Z座標における位置zにおいて、管を中心軸に対して垂直な方向の厚さdzでスライスした面を考える。そのスライス面に作用する半径方向接触応力σp (z) による半径方向締付け力p(z) は、次式のようになる。
p(z) =2π・r(z) ・σp (z) ・dz ・・・(21)
次に、図21に示すように、p(z) の雄ねじ部206のねじ山頂面214に対する垂直方向成分pY (z) と締付状態で接触する雄ねじ206のねじ山側面218に対する垂直方向成分pX (z) は、それそれ、次式のようになる。
Y (z) =p(z) ・cos β−p(z) ・sin β・tan γ2 ・・・(22)
X (z) =p(z) ・sin(γ2 +β)−p(z) ・cos(γ2 +β)・tan γ2 ・・(23)
【0034】
また、スライス面を回転させるために必要なトルクdTは、pX (z) ,pY (z) によって生じる摩擦力から、式
dT=μs ・r(z) ・pX (z) +μs ・r(z) ・pY (z) ・・・(24)
で表され、(24)式に、(22)式, (23)式を代入すると、次式が得られる。
dT=μs ・r(z) (p(z) ・cos β−p(z) ・sin β・tan γ2 )+μs ・r(z) (p(z) ・sin(γ2 +β)−p(z) ・cos(γ2+β)・tan γ2 )・・・(25)
さらに、(25)式に、(21)式を代入すると、
dT=2π・μs {cos β−sin β・tan γ2 +sin(γ2 +β)−cos(γ2 +β)・tan γ2 }・r(z)2・σp (z) ・dz ・・・(26)
となり、(26)式をzでz=0からZL まで積分すれば、管202を回転させるために必要なトルクTを求めることができる。
【数1】
Figure 0004236792
【0035】
ここで、ねじ面接触部の摩擦係数μs は、上記実施形態における場合と同様に、軸方向力Qを付与しながら締付けることにより、締付け時の締付けトルクTL とすれば、次式に従って求めることができる。
μs ={2・cos(γ1 −β)′}/ds・(T1 /Q+ds・tan α′/2)・・・(28)
本実施形態においては、初期段階において摩擦係数が取得されるため、厳密にいえば、側面210,212間の摩擦係数であり、最終段階において実際に接触させられる頂部214,谷部216の間の摩擦係数でも、側面218,220間の摩擦係数でもない。しかし、ねじ部204,206全体において加工条件が同じで潤滑状態が同じであれば、側面210,212間の摩擦係数は、頂部214,谷部216の間の摩擦係数,側面218,220間の摩擦係数と同じであるとみなすことができるのである。
また、(28)式を(27)式に代入すると、次式が得られる。
【数2】
Figure 0004236792
このように、互いに接触するショルダ面がなく、ねじ面接触部において半径方向締付け力が発生させられる場合における締結も、軸方向力Qと、相対回転抵抗トルクとに基づいて摩擦係数μs を求めることで、トルク管理に基づいて正確に締結を行うことができる。
(29)式において、目標締め付けトルクTは、σp (z) を代入して演算して一般的な式を求めた後に求めても、数値積分等を用いて直接求めてもよい。いずれにしても、設計上、目標とする円周方向応力σc (z) もしくは半径方向接触応力σp (z) が決まれば、その時の嵌め合わせ量δが決まり、摩擦係数に基づいて、トルク管理に基づいて締付けを行うことができる。
【0036】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、マイクロコンピュータ104の図5のフローチャートで表される締付けトルク管理プログラムのS14〜S16を実行する部分等が停止指令手段を構成し、S11,12を実行する部分等が摩擦係数関連量取得手段を構成する。また、ROM107が、請求項8にいう記録媒体の一例である。記録媒体は、ROM等のように締結装置に固定的に設けられたものであっても、取り外し可能なものであってよく、また、磁気的に記録されたものであっても光学的に記録されたものであってもよい。例えば、RAM,ハードディスク,フロッピィディスク,コンパクトディスク等が該当する。
【0037】
なお、上記各実施形態においては、初期段階において摩擦係数を測定したねじ面と、最終段階の締め付け状態で実際に接触するねじ面とは、加工精度が同じでそれらの摩擦係数は等しいものとしたが、これらの面において加工精度が異なる場合等には摩擦係数も異なる場合がある。その場合には、摩擦係数を測定したねじ面と最終段階の締付状態で接触するねじ面の摩擦係数とが相対的に異なる割合(係数)を予め求めておけば、締付状態で接触させられるねじ面の摩擦係数を測定しなくても、求めることができる。目標締め付けトルクを求める場合に、この推定された摩擦係数を使用することができる。
すなわち、締付状態において、加工条件が異なったとしても両者の潤滑状態は等しく、加工条件の相違による表面状態の違いだけが、両者の摩擦係数の差になる。従って、加工条件の相違による表面状態の違いを予め把握しておけば、個々の締結における潤滑状態の違いで2つの摩擦係数がばらついたとしても、その2つの摩擦係数は同じ割合を保ったままばらつくことになる。したがって、2つの面の摩擦係数の異なる相対的な割合を予め把握しておき、目標締めつけトルクを求める際にその割合を考慮すれば、高精度の締付け管理が可能となる。
【0038】
また、上記実施形態においては、初期段階トルクT1 が、相対回転抵抗トルクがTb に至った時から逆上って、締付け回転角θが、角度θ1 であると推定され得る回転抵抗トルクT1 として求められるようにされていたが、図12に示すように、回転抵抗トルクの変化勾配等に基づいて初期段階の終了時期(回転角がθ4 の時期)を求め、回転角がθ0 からθ4 の間の回転抵抗トルクの平均値T4 を初期段階トルクT1 とすることもできる。
さらに、初期段階トルクT1 と中間段階トルクT2 とがトルクメモリに格納されている複数の相対回転抵抗トルクの変化勾配に基づいて決定されるようにすることも可能である。この場合には、図5のフローチャートのS10、S11、S12が図22に示すS10’、S11’、S12’に変更される。S10’においては、回転抵抗トルクの変化勾配の隣接するもの同士の差が、初めて明確に変化したときに初期段階から中間段階へ移行したとみなし、回転抵抗トルクの変化勾配が変化したときの回転抵抗トルクから逆上って複数のトルクからT1 が演算され、直後(その時点)の複数のトルクからT2 が演算されることになる。
【0039】
また、締付けが正常に行われるか否かの検査を行うこともできる。相対回転抵抗トルクと相対回転数との各々に上限値と下限値とを設定し、相対回転抵抗トルクが下限トルクに達したときに、相対回転数が下限回転数と上限回転数との間にあるか、あるいは相対回転数が下限回転数に達したときに、相対回転抵抗トルクが下限トルクと上限トルクとの間にある場合に締めつけが正常であるとするのである。この場合の下限トルクと上限トルクとを、両管間の摩擦係数に基づいて決定すれば、予め測定されたり仮定されたりして得られた摩擦係数に基づいて決定されるようにする場合に比較して、検査の信頼性を向上させることができる。
【0040】
さらに、上記実施形態においては、管18に被駆動ギヤ50が管締付けレンチ54によって相対回転不能に固定されていたが、図23に示す管締め付けレンチ250によって固定することもできる。
管締め付けレンチ250は、外周リング252と、第1傾斜部材254および第2傾斜部材256を含む介在部材258と、押付装置260とを含む。
外周リング252は、円環状を成したものであり、雄ねじ部を有する管18の大径部の外径より大きな内径のものであり、外周部に被駆動ギヤ50が固定される。この場合、被駆動ギヤ50を分割する必要がないため、回転駆動装置の回転が良好に伝達され得る。また、外周リング252の軸方向の端面には周方向に適当な間隔を隔てて複数のねじ穴が形成されている。内周面の端部には、円環状の半径方向突出部が形成され、第1傾斜部材254の抜け出しが防止されている。
【0041】
第1傾斜部材254は、円環部材が中心線に平行な分割面によって分割された円弧状の2つ以上の分割型部材を含むものである。第1傾斜部材254の外周面は外周リング252の内周面に対応する面とされ、内周面が中心線に平行な方向に進むにつれて中心線に接近する向きに傾斜した第1傾斜面264とされている。第1傾斜面264は、本実施形態においてはテーパ面とされているため、第1傾斜部材254を第1テーパ部材と考えることもできる。
第2傾斜部材256も、円環部材が分割された円弧状の2つ以上の分割型部材を含むものである。分割型部材各々には、中心線と平行な線に沿って延びる割り溝が複数個形成されており、周方向に変形可能とされている。また、外周面が第1傾斜部材254の傾斜面に対応する第2傾斜面266とされ、内周面が管18の外周面に沿った面とされる。第2傾斜部材256の軸方向の端面には半径方向外方に突出した係合部267が形成されている。係合部267には、適当な間隔を隔てて複数の貫通穴が形成されている。第1傾斜面264に対応して第2傾斜面266もテーパ面とされており、第2テーパ部材256と考えることもできる。
【0042】
管締付けレンチ250で管18を締付ける場合には、まず、第1傾斜部材254が外周側に、第2傾斜部材256が内周側に位置した状態で、これらを管18の外周に嵌め、その後、外周リング252を管18に通す。次に、第2傾斜部材256を軸方向に移動させることにより、これらを、管18と外周リング252との間に介在させる。係合部267の貫通穴と外周リング252のねじ穴とが対向する状態とし、これらに押付けボルト268を挿入させ、締め付けることにより、係合部267が外周リング252に接近させられ、第2傾斜部材256が軸方向に移動させられ、隙間内に押し込められるのである。斜面の効果により、管18に外周リング252が締め付けられ、回転トルクが伝達可能とされる。係合部267に形成された貫通穴,外周リング252に形成されたねじ穴および押付けボルト268等により押付装置260が構成される。
なお、外周リング252と第1傾斜部材254とは一体的に設けることもできるが、その場合には、第1傾斜面264の最も中心線に接近した部分の内径を、管18の外径より大きくする。また、管締付けレンチ250で管18を締付ける場合には、外周リング252を管18に嵌めた後に、その内周側に第1傾斜部材254,第2傾斜部材256を配設することも可能である。
【0043】
さらに、軸方向力付与装置は、図24,25に示す構造のものとすることができる。軸方向力付与装置278は、管18に軸方向に相対移動不能に固定された軸方向力付与部材279と、本体10に軸方向に相対移動不能に固定された複数のエアシリンダ280と、エアシリンダ280の周方向の両側の隣接する位置に設けられた一対のガイド装置281,282とを含むものである。本実施形態においては、エアシリンダ280が、本体10の180°隔たった位置に2つ固定されている。また、エアシリンダ280には、ピストンが軸方向に相対移動可能に配設されており、ピストンから突出させられたピストンロッド283の先端部に、周方向移動用ローラ284が取り付けられている。周方向移動用ローラ284は、軸方向力付与部材279に相対回転可能に係合させられている。周方向移動用ローラ284により管18の回転が許容される。
【0044】
エアシリンダ280は、固定フランジ286において本体10に固定されている。固定フランジ286には、ガイド装置281,282の本体が固定されている。また、ピストンロッド283の中間部には可動フランジ287が軸方向に相対移動不能に固定されている。可動フランジ287には、ガイドロッド288,289が固定され、固定フランジ286に設けられたガイド装置281,282の本体に沿って軸方向に移動可能とされている。ピストンロッド283は可動フランジ287を介してガイドロッド288,289に連結されることになり、ガイド装置281,282によってガイドされつつ軸方向に移動させられることになる。それによって、半径方向あるいは周方向への傾きが阻止される。
エアシリンダ280にエアが供給されるとピストンおよびピストンロッド283が軸方向下方に移動させられ、周方向移動用ローラ284により軸方向力付与部材279に下向きの力が付与される。周方向移動用ローラ284は、軸方向力付与ローラでもある。
【0045】
また、上記実施形態においては、駆動ギヤおよび被駆動ギヤの噛み合いによって回転モータが支持されるようにされていたが、リニアガイド装置36において支持されるようにすることもできる。その場合には、リニアガイド装置36を、前記回転モータ40を保持する移動部材を移動させるリニアモータを含むものとし、回転モータ40の回転数に基づいて管の締付けに伴う軸方向の移動量を検出し、その管の軸方向の移動に合わせてリニアモータを制御し、回転モータ40を移動させるのである。この場合には、回転伝達装置16は、タイミングベルトを含むものとすることもできる。本実施形態によれば、つばと歯車との間の摩擦に起因するトルクへの影響がなくなるため、回転抵抗トルクの検出精度を向上させることができる。リニアガイド装置36は、当該締結装置を使用しない場合に回転モータ40を保持する移動部材の移動を阻止するストップ装置を備えたものとすることが望ましい。
なお、リニアガイド装置36は、駆動モータと、その駆動モータの回転を前記移動部材の直線移動に変換する運転変換装置とを含むものとすることもできる。また、管の締付けに伴う移動量は、モータの回転数に基づいて検出するのではなく、直接検出することもできる。
【0046】
本発明の別の実施形態を図26,27に示す。本実施形態においては、雄ねじ部を有する管18,回転モータの自重等によって軸方向力が加えられる。
締結装置本体300には、管締付けレンチ302によって雌ねじ部を有する管14が相対回転不能かつ軸方向に相対移動不能に固定されるとともに、回転駆動装置306がガイド装置308を介して軸方向に相対移動可能かつ管の軸線回りに相対回転不能に取り付けられている。
【0047】
回転駆動装置306は、回転モータ312と回転伝達装置314とを含む。回転モータ312の出力軸316には、駆動ギヤ318が相対回転不能に固定され、雄ねじ部を有する管18には、図示しない管締付けレンチによって被駆動ギヤ322が相対回転不能、かつ、駆動ギヤ318と噛み合わされた状態で取り付けられる。回転モータ312の駆動により駆動ギヤ318が回転させられると、それに伴って被駆動ギヤ322が回転させられ、管18が回転させられる。本実施形態においては、駆動ギヤ318,被駆動ギヤ322等によって回転伝達装置314が構成される。
また、駆動ギヤ318はつば付きのものとされており、被駆動ギヤ322は、これらの噛合い部において、そのつば324内に嵌合されている。すなわち、回転モータ312が、駆動ギヤ318,被駆動ギヤ322を介して管18によって支持されることになる。管18には、回転モータ312の重量が加えられるのである。
【0048】
管18の回転に伴って発生する回転抵抗トルクに相当する力が、被駆動ギヤ322,駆動ギヤ318を介して回転モータ312に加えられ、その力がロードセル326,328によって検出される。その力とロードセル326,328と管14の中心軸線との間の距離Lとの積が、回転抵抗トルクである。図に示すように、本実施形態においては、ロードセル326,328が軸方向に隔たった2か所に設けられているため、各々によって検出された力の和が回転に伴って発生させられる力となる。
本実施形態においては、ロードセル326,328と締結装置制御装置100の相対回転抵抗トルクを演算により求める部分等によりトルク検出装置330が構成される。また、管18を垂直方向に延びた姿勢で支持する装置(回転駆動装置306)等によって軸方向力付与装置が構成される。
なお、本実施形態においては、管18の自重および回転モータ312の重量が圧縮力として加えられるが、別個に軸方向力を加えることもできる。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態を図28〜30に示す。締結装置本体400には、回転駆動装置402がガイド装置404を介して軸方向に相対移動可能かつ管の軸線回りに相対回転不能に設けられている。また、締結装置本体400には、管締付けレンチ406によって雌ねじ部を有する管14が相対回転不能かつ軸方向に相対移動不能に取り付けられる。管締付けレンチ406の内周面には多数の爪状の突部が形成されて摩擦係合部410とされており、管14の相対回転が阻止される。
【0050】
回転駆動装置402は、2つの回転モータ412と回転伝達装置414とを含む。2つの回転モータ412は、モータ保持体415に保持され、モータ保持体415を介してガイド装置404に取り付けられる。2つの回転モータ412は、装置本体400に対して軸方向に相対移動可能に取り付けられることになる。2つの回転モータ412の各々の出力軸には駆動ギヤ416としてのピニオンが相対回転不能に固定され、駆動ギヤ416の回転が雄ねじ部を有する管18に相対回転不能に取り付けられた被駆動ギヤ422に伝達されて、管18が回転させられる。駆動ギヤ416,被駆動ギヤ422等によって回転伝達装置414が構成されることになる。
本実施形態においては、2つの回転モータ412が、それぞれ、モータ保持体415の互いに180度隔たった位置に取り付けられる。被駆動ギヤ422は、互いに180度隔たった位置において2つの駆動ギヤ416によって回転させられることになる。そのため、管18に作用する半径方向の力や接線方向の力が相殺され、管18が、回転に伴って偏心したり、中心軸線がずれたりすることを回避することができる。
【0051】
被駆動ギヤ422は、モータ保持体415に相対回転可能に設けられたものである。被駆動ギヤ422は、概して円筒状を成したものであり、歯部は、外周面の全体に形成されているのではなく、軸方向の一部に形成されている。被駆動ギヤ422が軸方向に延びた円筒状を成したものであるため、管18との接触面積を大きくすることができる。
被駆動ギヤ422は、2つに分割可能なものである。2つの分割ギヤ424,426は、図30に示すように、それぞれ接合面においてピン428によって接続されるとともに、ボルトおよびナット430によって結合される。ボルトおよびナット430による被結合部は、図に示すように、被駆動ギヤ422の筒部の外周面に設けられた切欠に位置する状態で設けられる。その結果、ボルトおよびナット430が、被駆動ギヤ422がモータ保持体415に対して相対回転させられる際に邪魔になることが回避される。また、半円環状の板状部材434a,b、436a,bが、それぞれ、被駆動ギヤ422の歯部が形成された部分を挟む状態で配設され、上述のピン428で接合される位置とは異なる位値でピン438によって被駆動ギヤ422に取り付けられる。
【0052】
これら被駆動ギヤ422の内周面には、上述の締付けレンチ406と同様に多数の突部442を備えた摩擦係合部444が形成され、被駆動ギヤ422の管18に対する相対回転が阻止される。また、符号446は環状レールを示し、448は周方向移動用ローラを示す。これらによって、上記実施形態における場合と同様に、被駆動ギヤ422とモータ保持体415との間の相対回転が許容される。
回転モータ412の駆動により駆動ギヤ416が回転させられると、それに伴って被駆動ギヤ422がモータ保持体415に対して相対回転させられ、管18が回転させられる。また、管18に発生させられる回転抵抗トルクに対応する回転駆動力は、2つの回転モータ412と装置本体400に固定のガイド装置404のガイド部材450各々との間に設けられたロードセル456によって検出される。2つのロードセル456によって検出された力fの和2fが管18に加えられる回転駆動力に対応する。この力の和2fとロードセル456の検出部と管14,18の中心軸線との間の距離Lとの積が回転抵抗トルクである。本実施形態においては、ロードセル456と締結装置制御装置100の回転抵抗トルクを演算により求める部分等によりトルク検出装置が構成される。管18,14の締結は、上記実施形態における場合と同様に行われる。
【0053】
なお、雄ねじ部を有する管,雌ねじ部を有する管は、ねじ部の形状が台形テーパねじ形状を成したものに限らず、図31に示すように、三角テーパねじ形状を成した管490,492でもよく、これら管490,492を締結する場合にも本発明を適用することができる。ねじ部が三角テーパねじ形状を成したものである場合には、式
cos(γ1 −β)′=cos(γ2 +β)′
で表される関係が成立するため、この関係を、前述の式(16)に代入すると、式
T3 =(T1 /Q+P/2π)×F+T2 ×(F+Q)/Q+(P/2π)×F・・・・(16)′
が得られる。両管490,492を締結する場合には目標締付けトルクが(16)′式によって求められることになる。三角テーパねじ形状は、例えば、API規格SPEC7に基づいたRSCとすることができる。
【0054】
次に、本締結方法によって2つの管が締結された場合において、締付け終了時の軸方向力を測定した結果を示す。実験は、実際の締結装置ではなく、図32に示す実験装置において行った。この実験装置においては、雌ねじ部を有する管500が、図33に示すように、ショルダ部502を有する外管部504と雌ねじ部を有する内管部506とを含むものであり、外管部504が実験装置本体508に固定されている。また、内管部506には回転阻止ロッド510が軸方向と交差する方向に貫通させられ、実験装置本体508に軸方向に相対移動可能に支持される。内管部506に加わる軸方向力(管500に加わる軸方向力)がロードセル520によって検出される。また、雄ねじ部を有する管522を回転させる回転モータ524の出力軸526に加わるねじりトルクがトルク検出装置528によって検出され、それに基づいて管522に加わる回転抵抗トルクが検出される。
【0055】
この実験装置において、一定の軸方向力を加えた状態で締付けを行った場合には、管522の回転角の増加に伴って回転抵抗トルクT,締付け軸力Fが図34に示すように変化する。そして、前述のように、初期段階と中間段階との各々における実際の回転抵抗トルクT1 ,T2 ,軸方向力等に基づいて、前記(16)式に従って目標締付けトルクを演算により求め、実際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締め付けを終了し、その状態における軸方向力をロードセル520によって測定した。実験に使用した管500,522は、ねじ部の形状が三角テーパねじ形状を成したものであり、API規格SPEC7に基づいたRSCの1/4スケールのものである。
図35(a)には、締付け時に加える軸方向力(圧縮力)を500Nとした場合の測定結果を示し、図35(b)には、圧縮力を1000Nとした場合の測定結果を示す。図35(a),(b)から、いずれの場合にも目標軸方向力Ft の±10%以内に測定結果の90%以上があり、目標締付けトルクに達した場合の両管の軸方向力のバラツキが小さいことがわかる。また、軸方向力のバラツキは圧縮力が大きい方が小さくなることがわかる。
【0056】
次に、比較実験を行った。図32に示す実験装置において、軸方向力が加えられない状態で締付けを行うのであるが、この場合に、回転抵抗トルクを予め定められた設定トルクまで一度仮締めして、その後、緩める。そして、回転抵抗トルクが急増する状態における勾配と急減する状態における勾配とに基づいて、ショルダ部502における摩擦係数とねじ部506における摩擦係数とを同様に(両管500,522間の全体の摩擦係数を)推定するのである。このように推定された摩擦係数に基づいて目標締付けトルクを演算により求め、実際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達した場合に締付けを終了して、軸方向力を測定した。この比較実験の結果を図36に示す。図36に示すように、測定結果の90%は目標軸方向力から±20%内にあることがわかる。また、図37には、本締結方法によって締結された管の軸方向力のバラツキと比較実験によって締結された管の軸方向力のバラツキとを示す。図から、本締結方法によって締結された管の軸方向力のバラツキは比較方法による場合より小さいことがわかる。
【0057】
本発明の請求項8,9の締結装置の一実施形態である締結装置について説明する。この締結装置に、請求項10に記載の発明の一実施形態である記録媒体に記録されたプログラムを読み取らせ、実施させることにより、請求項1〜5の締結方法を実施し得る。
この締結装置は、図38に示すように、相対回転駆動装置として第1回転駆動装置600,第2回転駆動装置602を含む。回転抵抗トルクが小さい場合は第1回転駆動装置600によって締め付けられ、大きい場合は第2回転駆動装置602によって締め付けられる。第1回転駆動装置600は、回転モータの駆動により管18を回転させるものであるが、第2回転駆動装置602は、油圧シリンダの作動により回転させるものである。第2回転駆動装置602によって加えられる回転抵抗トルクは油圧シリンダの油圧に基づいて検出される。また、軸方向力は、管18の自重によって両方管14,18を互いに接近させる方向に加えられる。
【0058】
本締結装置は、図示しないいわゆるやぐらに設けられたものである。締結装置本体620は、締結される両管14,18に対して接近・離間させられる方向(図のX方向:軸線に交差する方向)に移動可能な第1テーブル622と、第1テーブル622に対して、X方向と交差する方向(Y方向)に移動可能な第2テーブル624と、第2テーブル624に固定された門形フレーム626と、図示しないやぐらの支柱から延び出させられた保持用フレーム628とを含む。
門形フレーム626には、前述の第1回転駆動装置600,第2回転駆動装置602が第2テーブル624に対して図示しない昇降装置(油圧シリンダ)により昇降可能に設けられるとともにクランプ装置630が昇降不能に設けられている。また、保持用フレーム628には保持装置632が設けられ、管18を相対回転可能、かつ、軸方向に相対移動可能に保持する。
【0059】
保持装置632は、図39に示すように、一対のクランプハンド640,642と、クランプハンド640,642を一端部において係合するピン644と、クランプハンド640,642をピン644に対して非クランプ位置とクランプ位置とに回動させる一対のクランプシリンダ645,646とを含む。クランプハンド640,642の管18と接触する部分には、複数個のベアリングボール648が設けられ、クランプ状態において管14の保持フレーム628に対する相対回転および軸方向の相対移動が許容される。
【0060】
クランプ装置630は、油圧により作動させられるものである。図40,41に示すように、一対のクランプ装置本体としてのフレーム650を備え、一対のフレーム650の内部に、油圧シリンダ654と、その油圧シリンダ654の作動により作動させられるリンク機構656と、リンク機構656の作動によりクランプ位置と非クランプ位置とに移動させられる一対のクランプロッド658とが設けられている。
リンク機構656は、概してT字形を成した一対の第1リンク部材660と第1リンク部材660の中間突部にそれぞれピン662を介して連結された第2リンク部材664とを含む。第1リンク部材660各々の一端部には前記クランプロッド658がピン666を介して連結されるととにフレーム650に形成された長孔668に係合させられる。他端部同士は前記油圧シリンダ654によって連結され、各々の中間部においてピン669を介してフレーム650に相対回転可能に係合させられる。また、第2リンク部材同士はピン670によって連結されるとともにフレーム650のほぼ中央部にX方向に延びた状態で設けられた長孔671に係合させられる。
【0061】
一対のクランプロッド658は、第1リンク部材660と連結される端部とは反対側の端部において、フレーム650に設けられた一対の長孔672にピン673を介して係合させられる。その結果、一対のクランプロッド658がフレーム650に対して相対移動可能に取り付けられることになる。
また、一対のクランプロッド658の先端部の管14と接触する部分にはそれぞれ2つづつのクランプ部材674,675が取り付けられている。これらクランプ部材674,675は概して湾曲楔形状を成したものである。クランプ部材674,675の各々は、管14と反対側においてそれぞれクランプロッド658に当接する状態で、かつ、周方向に僅かに移動可能とされている。
【0062】
油圧シリンダ654が非作動状態にある場合には、図の二点鎖線で表す非クランプ状態にある。油圧シリンダ654が作動状態にされるとクランプ状態に切り換えられる。リンク機構656により一対のクランプロッド658が互いに接近させられ、管14がクランプされる。管14に時計方向の力が加わると、クランプ部材674,675はそれぞれ時計方向に僅かに移動させられるが、互いに対角位置にあるクランプ部材674b,675aによるくさび効果により、クランプ力が大きくされる。また、第2リンク部材664が互いに連結されるとともにフレーム650の中央部に設けられた長孔671において係合させられるため、油圧シリンダ564の作動によってリンク機構664がY方向において非対象に作動させられることが回避される。
【0063】
第1回転駆動装置600は、図42,43に示すように、回転駆動ローラ690と、その回転駆動ローラ690を駆動する回転モータ692と、これら回転駆動ローラ690および回転モータ692を管18の外周面に接触する駆動位置と外周面から離間する非駆動位置とに移動させる移動装置694と、管18を回転駆動ローラ690に押し付ける押付装置696とを含む。
回転駆動ローラ690は、減速機698を介して回転モータ692に係合させられ、回転モータ692の回転に伴って正・逆両方向に回転させられる。また、移動装置694は、移動板700と、その移動板700を移動させる油圧シリンダ702とを含む。移動板700は、第1回転駆動装置600の装置本体としての一対のフレーム710のほぼ中央部に形成された長孔712,両端部に形成された一対の長孔713にそれぞれピン714,715を介して係合させられ、長孔712,713の範囲内において、フレーム710に対して相対移動可能とされている。ピン714には、油圧シリンダ702のシリンダロッド720が連結され、油圧シリンダ702の作動に伴って移動板700が移動させられるようにされている。移動板700には、前記回転駆動ローラ690が相対回転可能に取り付けられるとともに、回転モータ692が取付け部材724を介して固定されている。
【0064】
押付装置696は、一対の第1リンク部材730と一対の第2リンク部材732とを含むリンク機構734を備えたものである。一対の第1リンク部材730は、互いに一端部において前記ピン714によって連結されるとともに、フレーム710に係合させられ、他端部において第2リンク部材732にピン742によって連結されている。一対の第2リンク部材732は、それぞれ中間部において、前記フレーム710にピン744によって相対回転可能に係合させられ、他端部にはそれぞれ押付ローラ746が相対回転可能に取り付けられている。
【0065】
油圧シリンダ702が非作動状態にある場合には、移動板700は退避位置にあり、押付装置696は非押付状態にある。回転駆動ローラ690,一対の押付ローラ746は、管18の外周面から離間させられた状態にある。油圧シリンダ702の作動によりシリンダロッド720が伸ばされると、移動板700が作動位置に移動させられ、押付装置696は押付状態に切り換えられる。回転駆動ローラ690,一対の押付ローラ746が管18の外周面に接触させられる。一対の押付けローラ746によって管18が回転駆動ローラ690に押し付けられる。この状態において回転モータ692が回転させられることにより、管18が回転させられる。管18の回転に伴って第1回転駆動装置600全体が昇降させられる。本実施形態においては、移動装置694の作動により回転駆動ローラ690が管18の外周面に接触させられると同時に一対の保持ローラ746が外周面に接触させられる。そのため、管18を偏心させることなく保持することができる。
なお、図示するように、回転モータ692,リンク機構694等は、一対のフレーム710に対してそれぞれ設けられている。そのため、一対の回転モータ692は互いに同期して回転させられ、一対の回転駆動ローラ690が同期して回転させられることになる。また、回転駆動ローラ690の外周面は、管18との摩擦係数が大きい摩擦係合面とされており、管18の回転駆動ローラ690に対数相対回転が阻止される。
【0066】
回転モータ692には図38に示すようにエンコーダ747が設けられ、回転モータ692の回転角度が検出される。回転モータ692の回転角度に基づいて管18の回転角度が検出される。また、回転モータ692の出力軸にはトルク検出装置748が取り付けられており、トルク検出装置748により、管18に加えられる回転抵抗トルクが検出される。
本実施形態においては、回転モータ692の回転角度が予め定められた設定値に達するまで、管18が第1回転駆動装置600によって回転させられる。設定値は、回転モータ692によって締付け可能な最大値近傍の値とする。後述するが、管18は回転モータ692によって回転させる方が、第2回転駆動装置602によって回転させるより効率がいいからである。
【0067】
また、上記実施形態における場合と同様に、初期段階と中間段階との各々における回転抵抗トルクに基づいて摩擦係数が取得されるのであるが、上述の最大値が最終段階における締付けトルクの大きさであるため、第1回転駆動装置600によって回転させられている状態における回転抵抗トルクに基づいて摩擦係数が求められ、目標締付けトルクが求められることになる。
なお、回転モータ692による回転駆動は、トルク検出装置748によって検出された回転抵抗トルクが予め定められた設定値になった場合に終了させることもできる。また、トルク検出装置は、回転モータ692が油圧モータである場合には、油圧モータにおける油圧に基づいて検出するものとしたり、回転モータ692が電動モータである場合には、電動モータに流れる電流に基づいて検出するものとしたりすることができる。
【0068】
第2回転駆動装置602は、図44に示すように、一対のフレーム750と、そのフレーム750に設けられた油圧シリンダ752と、フレーム750に対して相対回転可能に設けられたクランプ装置754と、油圧シリンダ752の駆動をクランプ装置754の回転に変換する運動変換装置756とを含む。
クランプ装置754は、フレーム750に対して相対回転可能に設けられた一対の回動ディスク758を含むものであり、構造は、前述のクランプ装置630と同じものであるため同じ部材に同じ符号を付して説明を省略する。回動ディスク758が前述のフレーム650に対応することになる。
運動変換装置756は、回動ディスク758の外周部に沿って設けられた環状部材760と、フレーム750にその環状部材760を挟む状態で設けられた3対の回転ローラ762〜767と、回動ディスク758に設けられたブラケット722とを含む。回動ディスク758は、図示するように、管18の中心軸線を中心とする半円板状と成したものであり、その外周部に沿って環状部材760が設けられるのである。ブラケット722には、油圧シリンダ752のロッド770が連結される。
油圧シリンダ752が作動状態にされてロッド770が伸ばされると、それに伴って回動ディスク758が回転ローラ762〜767に案内されつつ管18の中心軸線回りに予め定められた所定角度回動させられ、それに伴って管18が予め定められた設定角度だけ回転させられる。
【0069】
本実施形態においては、油圧シリンダ752における油圧を検出する油圧検出装置780が設けられ、油圧シリンダ752の油圧に基づいて回転抵抗トルクが検出される。油圧検出装置780は、油圧シリンダ752における油圧を直接検出するものであっても、油圧シリンダ752に接続された液通路の油圧を検出するものであってもよい。本実施形態においては、油圧検出装置780と、締結装置制御装置100の検出油圧に基づいて回転抵抗トルクを求める部分等によってトルク検出装置が構成されることになる。
実際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクより小さい場合は、回動ディスク758が設定角度だけ回動させられた後に、クランプ装置754が非クランプ状態とされ、回動ディスク758が元の位置に戻される。その位置においてクランプ装置754を再びクランプ状態とした後、油圧シリンダ752により回動ディスク758を回転させる。この作動が、実際の回転抵抗トルクが目標締付けトルクに達するまで繰り返し行われる。このように、本実施形態においては、油圧シリンダ752の作動により管18が回転させられるため、大きな回転抵抗トルクを付与することができる。
【0070】
なお、第1回転駆動装置600によって初期段階における回転が行われ、第2回転駆動装置602によって中間段階における回転と最終段階における回転との両方が行われる場合には、油圧シリンダ752の油圧に基づいて検出された回転抵抗トルクと、回転モータ692の作動状態に基づいて検出された回転抵抗トルクとに基づいて摩擦係数が求められ、目標締付けトルクが求められることになる。
【0071】
また、上記第1実施形態においては、管14を固定する固定装置(クランプ装置630あるいは締結装置本体10,300,500)の装置本体が、非クランプ状態において管14の半径方向の開口部を備えたものであったが、半径方向の開口部を備えたものとすることは不可欠ではなく、装置本体を環状のものとすることができる。この場合には、管14を軸方向に移動させることによって挿入した後に、クランプされるようにするのである。管18についても同様である。
その場合の一例のクランプ装置800を備えた回転駆動装置802を図45に示す。クランプ装置800は、上述のクランプ装置630(754)のフレーム650(回動ディスク758)を環状のものとしたものである。一対のクランプロッド658が非クランプ位置にある状態において管18を挿入し、その後にクランプ位置に移動させれば、管18をクランプすることができる。そして、このクランプ装置800の装置本体を被駆動ギヤ部804に固定し、その被駆動ギヤ部804に出力軸に固定された駆動ギヤ808をかみ合わせた状態で油圧モータ810を設ける。この状態で油圧モータ810を作動させれば、管18をクランプした状態でクランプ装置800を連続的に回転させることができる。この場合には、油圧モータ810の制御、例えば、低圧,大吐出流量の油圧ポンプから作動液が供給される低トルク,高回転数の状態と、高圧,低吐出流量の油圧ポンプから作動液が供給される高トルク,低回転数の状態とに切り換えることができ、クランプ装置800によってクランプした状態で、初期段階から最終段階まで管18を回転させることができる。
【0072】
さらに、上記各実施形態においては、2つの管が垂直方向に延びた姿勢に保たれて締結が行われていたが、水平方向に延びた姿勢で締結が行われるようにすることもできる。また、上記実施形態においては、下方に位置する管が雌ねじ部を有する管であり、上方に位置する管が雄ねじ部を有する管とされていたが、逆に、下方に位置する管を雄ねじ部を有する管とし、上方に位置する管を雌ねじ部を有する管としても、同様に、締結を行うことができる。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これら文字通り例示であり、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である管の締結装置を示す正面(一部断面)図である。
【図2】(a)上記締結装置における管締め付けレンチの平面図である。 (b)上記管締め付けレンチのA−A断面図である。
【図3】上記締結装置におけるトルク検出部を概念的に示す図である。
【図4】 上記締結装置における制御装置を示すブロック図である。
【図5】上記制御装置のROMに格納された回転抵抗トルク管理プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図6】上記締結装置によって締め付けられる管の初期段階を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】上記締結装置によって締め付けられる管の中間段階を示す図である。
【図9】図8の一部を拡大して示す図である。
【図10】上記締結装置によって締め付けられる管の最終段階を示す図である。
【図11】図10の一部を拡大して示す図である。
【図12】上記締結装置による回転抵抗トルクの変化を示すグラフである。
【図13】上記締結装置によって管を締め付けた場合において、軸方向力と締付け力との関係を示す図である。
【図14】上記締結装置によって締めつけられる管の一部詳細図である。
【図15】上記締結装置によって締め付けられる2つの管を示す図である。
【図16】上記締結装置によって締め付けられる別の2つの管を示す図である。
【図17】上記締結装置によって締め付けられるさらに別の2つの管を示す図である。
【図18】図17の管のC部詳細図である。
【図19】上記両管のはめあい状態を示す図である。
【図20】上記両管のうちの一方の管に作用する力の分布を示す図である。
【図21】上記両管に作用する力の釣り合いを示す図である。
【図22】本発明の別の実施形態である締結装置の制御装置のROMに格納された回転抵抗トルク管理プログラムのフローチャートの一部である。
【図23】本発明のさらに別の実施形態である締結装置の管締付けレンチの一部断面図である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態である締結装置の軸方向力付与装置の側面図である。
【図25】上記軸方向力付与装置の正面図である。
【図26】本発明のさらに別の実施形態である締結装置の正面図である。
【図27】上記締結装置の一部側面図である。
【図28】 本発明のさらに別の実施形態である締結装置の正面図(一部断面)である。
【図29】上記締結装置の平面図である。
【図30】上記締結装置の回転伝達装置の平面図である。
【図31】上記締結装置によって締め付けられる管の別の形状を示す図である。
【図32】 本発明の締結方法を実施するための実験装置の正面図である。
【図33】 上記実験装置の一部詳細図である。
【図34】 上記実験装置において本発明の締結方法で締結を行った場合の実験結果を表す図である。
【図35】 上記実験装置において本発明の締結方法で締結を行った場合の実験結果を表す図である。
【図36】 上記実験装置において本発明とは別の締結方法(比較方法)で締結を行った場合の実験結果を表す図である。
【図37】 上記実験装置において本発明の締結方法で締結を行った場合の実験結果と比較方法で締結を行った場合の実験結果とを比較して表す図である。
【図38】 本発明のさらに別の実施形態である締結装置の正面図である。
【図39】上記締結装置の保持装置の平面図である。
【図40】 上記締結装置のクランプ装置の平面図である。
【図41】上記クランプ装置のA矢視図である。
【図42】上記締結装置の第1回転駆動装置の平面図である。
【図43】上記第1回転駆動装置のA矢視図である。
【図44】上記締結装置の第2回転駆動装置の平面図である。
【図45】本発明の別の実施形態である締結装置の回転駆動装置の一部断面図である。
【符号の説明】
10 締結装置本体
12 固定装置
16 回転駆動装置
20,278 軸方向力付与装置
36 リニアガイド装置
42 トルク検出装置
54,250 管締付けレンチ
80 軸方向力付与ローラ
86 保持装置
89 ローラ保持体
100 締結装置制御装置
306 回転駆動装置
308 ガイド装置
312 回転モータ
318 駆動ギヤ
322 被駆動ギヤ
326,328 ロードセル
330 トルク検出装置
406 回転駆動装置
408 回転伝達装置
456,458 ロードセル
600 第1回転駆動装置
602 第2回転駆動装置
630 クランプ装置
802 回転駆動装置

Claims (10)

  1. 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する方法であって、
    前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させて相対回転抵抗トルクを検出し、その検出した相対回転抵抗トルクと前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得し、その取得された摩擦係数関連量に基づいて締付け終了条件を決定し、その締付け終了条件が満たされたときに締付けを終了することを特徴とする管の締結方法。
  2. 前記両管を、ほぼ垂直方向に延びた姿勢に保って、相対回転させることを特徴とする請求項1に記載の管の締結方法。
  3. 前記軸方向力を、両管を互いに接近させる方向に加えることを特徴とする請求項1または2に記載の管の締結方法。
  4. 前記相対回転抵抗トルクを、2つの管のショルダ面同士が接触しない初期段階と、それらショルダ面同士が接触し、両ねじ部同士が実質的に接触していない中間段階との少なくとも一方において検出することを特徴とする請求項3に記載の管の締結方法。
  5. 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが、テーパねじ部であり、かつ、これら雄ねじ部と雌ねじ部との間に半径方向締付力が発生していない状態において、前記相対回転抵抗トルクを検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の管の締結方法。
  6. 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、雄ねじ部と雌ねじ部とを螺合させた状態で相対回転させる相対回転駆動装置と、
    その相対回転駆動装置による相対回転駆動中であって、未だ締付け力が発生していない時期の少なくとも一部において前記両管に軸方向力を加える軸方向力付与装置と、
    その軸方向力付与装置によって軸方向力が加えられている状態において前記両管の相対回転抵抗トルクを検出するトルク検出装置と、
    そのトルク検出装置によって検出された相対回転抵抗トルクと前記軸方向力付与装置によって加えられた軸方向力とに基づいて、前記両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量取得手段と、
    その摩擦係数関連量取得手段によって取得された摩擦係数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされた場合に、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成手段と
    を含むことを特徴とする管の締結装置。
  7. 前記相対回転駆動装置が、前記両管のうちのいずれか一方の管を当該締結装置の本体に相対回転不能に固定し、他方の管を回転させることにより、それら両管を相対回転させるものであり、
    前記軸方向力付与装置が、前記一方の管を前記締結装置本体に軸方向に相対移動不能に固定し、前記他方の管の前記相対回転駆動装置による回転を許容しつつそれら両管に軸方向力を付与するものであることを特徴とする請求項6に記載の管の締結装置。
  8. 前記相対回転駆動装置が、油圧シリンダと、前記他方の管をクランプするクランプ装置と、前記油圧シリンダの直線的作動を前記クランプ装置の回転運動に変換する運動変換装置とを含み、前記油圧シリンダの作動により前記クランプ装置を回動させることによって前記他方の管を回転させる油圧式回転装置を含み、
    前記終了条件充足情報作成手段が、前記油圧シリンダにおける油圧に基づいて求められた回転抵抗トルクが、前記摩擦係数関連量に基づいて決まる目標締付けトルクに等しくなった場合に、前記締付け終了条件が満たされたとして、終了条件充足情報を作成するものである請求項7に記載の管の締結装置。
  9. 前記相対回転駆動装置が、前記他方の管を回転モータにより回転させるモータ式回転駆動装置を含み、
    前記トルク検出装置が前記回転モータの作動状態に基づいて回転抵抗トルクを検出するものである請求項7または8に記載の管の締結装置。
  10. 雄ねじ部を有する管と雌ねじ部を有する管とを、それら両管の雄ねじ部と雌ねじ部との締付けによって締結する際に、締付けトルクをコンピュータにより管理するための制御プログラムであって、
    前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させた状態で、前記両管に軸方向力を加えつつ両管を相対回転させたときの相対回転抵抗トルクと、前記軸方向力とに基づいて両管間の摩擦係数に関連する摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量取得工程と、
    その摩擦係数関連量取得工程において取得された摩擦係数関連量に基づいて決まる締付け終了条件が満たされたときに、その旨の情報を作成する終了条件充足情報作成工程と
    を含む締付けトルク管理プログラムが、前記コンピュータにより読み取り可能に記録されたことを特徴とする記録媒体。
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