JP6027670B1 - タッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
図7(a)(b)において、101は、軸力測定センサ、102は、円筒部材、102aは、突出部、103は、(上側の)フランジ、104は、(下側の)フランジ、105は、押圧子、106は、荷重センサ、107は、リード線、111は、雌ねじ部材、111aは、雌ねじ孔、112は、雄ねじ部材、112aは、軸部、112bは、頭部である(符号は本願出願人において先行技術であることを明らかにするために三桁に変更して付した)。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記圧力センサは、前記被測定タッピンねじが挿通する穴が開口したワッシャ型圧力センサであることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記前記請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記タッピンねじの目標締付トルクの決定は、当該タッピンねじの着座から雌ねじ破壊までの締付トルク及びねじ込みトルク並びに雌ねじ破壊トルクを複数回の測定で求め、当該複数回の測定で求められたねじ込みトルク及び雌ねじ破壊トルクの各平均値を求め、前記複数回測定から求められるねじ込みトルクの前記平均値と当該ねじ込みトルク平均値の4倍の標準偏差の和を目標締付トルクの最小値とし、及び前記複数回測定から求められる雌ねじ破壊トルクの平均値と当該雌ねじ破壊トルク平均値の4倍の標準偏差の差を目標締付トルクの最大値とし、当該目標締付トルク最大値と目標締付トルク最小値の和の半分(1/2)の値を当該タッピンねじの目標締付トルクの中央値とし、さらに、前記最大値と前記最小値の差の半分を当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差としたことを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、前記請求項3に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルクが、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする。
また、本願請求項5に係る発明は、前記請求項3に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、ねじについての軸力(FS)とねじ締付トルク(T)の関係式であるFS=(T−TTP)/uk(Tは、ねじの締付トルク、ukは、実証個別トルク係数、FSは、軸力(kN)、TPPは、着座点トルク値)に基づき、前記±公差付きの目標締付トルクから±公差付き軸力を決定することを特徴とする。
そして、本願請求項6に係る発明は、前記請求項5に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記タッピンねじの±公差付き軸力が、前記コンピュータのモニタ画面に公差表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする。
さらに、本願請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記回転トルクセンサからのトルク値データを横軸に、前記圧力センサからの軸力値データを縦軸にして、前記コンピュータのモニタ画面に帯状の範囲表示されることを特徴とする。
また、本願請求項8に係る発明は、前記請求項7に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示される前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルク及び前記タッピンねじの±公差付き軸力が同時にクロス状に表示されることを特徴とする。
次に、本願請求項9に係る発明は、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置において、少なくともねじビット、回転トルクセンサ及びコンピュータを備えたトルクアナライザー及び被測定タッピンねじで締結する締結部材と被締結材の間に配置される圧力センサからなり、前記ねじビットに係合させたタッピンねじを締結部材の上から挿入して締付け開始し、被締結部材の雌ねじ破壊までの間の前記回転トルクセンサからのデータ及び前記圧力センサからのデータを前記コンピュータに取り込み表示することを特徴とする。
そして、本願請求項10に係る発明は、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置において、前記請求項1ないし8のいずれかに記載の決定方法により、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を表示することを特徴とする。
また、本願請求項11に係る発明は、前記請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記タッピンねじの目標締付トルクの決定は、当該タッピンねじの着座から雌ねじ破壊までの締付トルク及びねじ込みトルク並びに雌ねじ破壊トルクを複数回の測定で求め、求められた雌ねじ破壊トルクまでの間の前記締付トルクの最大値及び最小値、並びに前記締付トルク最大値時における軸力最大値及び前記締付トルク最小値時における軸力最小値から次式で求められる実証個別トルク係数に基づき締付トルク範囲及びそれに相当する軸力範囲を当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差としたことを特徴とする。
uk=(TSmax-TSmin)/(FSmax-FSmin)(ukは実証個別トルク係数、TSmaxは、目標締付トルク(TS)の最大値、TSminは、目標締付トルク(TS)の最小値、FSmaxは、TSmax時(ms)における軸力最大値、FSminは、同TSmin時(ms)における軸力最小値)
そして、本願請求項12に係る発明は、前記請求項11に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、締付トルク範囲が当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差として決定され、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする。
また、本願請求項13に係る発明は、前記請求項11に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記回転トルクセンサからのトルク値データを横軸に、前記圧力センサからの軸力値データを縦軸にして、前記コンピュータのモニタ画面に前記タッピンねじの±公差付き軸力が帯状の範囲表示されることを特徴とする。
さらに、本願請求項14に係る発明は、前記請求項13に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示される前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルク及び前記タッピンねじの±公差付き軸力が同時にクロス状に表示されることを特徴とする。
そして、本願請求項15に係る発明は、前記請求項11ないし14のいずれかに記載の決定方法により、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を表示することを特徴とするタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置。
また、この結果、タッピンねじの公差付き目標締付トルクに対する公差付き締付軸力をクロス状の4角の枠で表示することにより、一定の仕様を有するタッピンねじについて、そこで使用される被締結材から定まる最適なトルク及び軸力の両方を同時に,かつ、視覚的に確認できることとなる。
本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置に用いる前記ワッシャ型圧力センサ10は、スイスに本社を置く日本キスラー社の薄型力センサ(型式9130B...〜9137B...)等であり、穴径2.7mm〜15mmの中空穴を有する厚さ3.0mm〜5.0mm、外径8.0〜36.0mmの中空円盤形状のワッシャ型の圧力センサである。
この場合、タッピンねじ8の軸力を測定する際には、実際に使用されるタッピンねじより前記ワッシャ型センサ10の厚さ分だけ長いタッピンねじ8を使用する。
まず、タッピンねじではない通常のボルトとナットの組み合わせについてのねじの締付トルクと軸力との関係は、次のような関係がある。
そこで、ねじ締めトルクと軸力の関係は下記式が一般的に用いられている。
例えば、M10ボルトとナットの組合せ(呼び径d:10mm)、測定値トルクT:10N・m、測定値軸力F:5,000Nの時、(式2)を用いて前記トルク係数(k)を決定する。すなわち、
k={10N・m/(10mm×5,000N)}×1,000=0.2
={1N・m/(0.2×3mm)}×1,000=1,667N
そこで、上述した構成からなる本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置においては、前記締結部材9と前記被締結部材11との間に前記ワッシャ型圧力センサ10を挟み込み、タッピンねじ8が挿入される両穴に合わせて前記ワッシャ型圧力センサ10を配置し、その上で、前記ビット6を前記タッピンねじ8のねじ頭に係合させ、前記回転駆動モータ2のスイッチを投入するとともに、前記ハンドル4を操作して、前記設定された回転数で前記回転駆動モータ2を回転させ、ねじバカになる(雌ねじ破壊)まで、前記トルクアナライザー1を使用してねじ締めを行う。
なお、この際に測定のバラツキを考慮するための標準偏差取得のため,同じ測定を複数回(例えば、3〜10回)行う。
図3に示されるように、「細線表示」前記「トルク値(N・m)」データは、締付開始より前記下穴のねじ切りを行いながら緩やかにねじ込みトルク(TD)がかかり、タッピンねじ8が下穴に食い込むとともに高いトルク値となり、その後、ねじ込みトルク(TD)が最大の締付トルク(TF)に達し、その後は、空回り状態のトルク軽減に至る。
(ねじ込みトルク(TD)及び雌ねじ破壊トルク(TF)の平均値)
タッピンねじについて目標とする締付トルク(「目標締付トルク(TS)」は、図3から明らかなように、締付開始より前記下穴のねじ切りを行いながら緩やかにトルクがかかり、タッピンねじ8が下穴に食い込んだ後に前記ねじ込みトルク(TD)がかかるとともにトルク値が増加し、その後、最大の雌ねじ破壊トルク(TF)に達し、その後は、空回り状態のトルク軽減に至ることから、締付の目標となる目標締付トルク(TS)は、必ず、前記前記ねじ込みトルク(TD)と前記雌ねじ破壊トルク(TF)の間、すなわち、ねじ込みトルク(TD)の最大値と雌ねじ破壊トルク(TF)の最小値の間に存することとなる。
そこで、これらのねじ込みトルク(TD)の最大値及び雌ねじ破壊トルク(TF)の最小値を求めなければならないが、上述してきたように、本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置において、タッピンねじの締付トルク測定にはバラツキがある。このバラツキを考慮し、最大値・最小値を求めるため,同じ測定を前述のように複数回(例えば、3〜10回)行い、当該複数回(例えば、3〜10回)の測定で得られる前記ねじ込みトルク(TD)及び前記雌ねじ破壊トルク(TF)についてのそれぞれの平均値(相加平均:当該複数回測定データの和を測定回数で除した値)を求める。
なお、平均値は、場合によっては、相乗平均であることを妨げない。
一方、タッピンねじは、上述するようにすぐにも塑性変形が生じてしまう軟質材料の被締結部材が使用され、また、着座後もねじ締めトルクを掛け過ぎると、雌ねじ破壊が生じてしまうなど非常に狭い範囲のねじ締めトルクで締められる。すなわち、目標締付トルク(TS)は、ねじ込みトルク(TD)以上のトルクでねじ締めしなければ着座せず、また、雌ねじ破壊トルク(TF)以下のトルクでねじ締めしないといわゆる「ねじバカ」となるので、前記ねじ込みトルク(TD)、前記雌ねじ破壊トルク(TF)にはそれぞれバラツキ(標準偏差)があり、複数回の測定試験を行ってもねじ込みトルク(TD)と雌ねじ破壊トルク(TF)が全て同じ数値を示すことはなく、必ず、ばらついた数値になる。
(±公差決定に必要な目標締付トルク(TS)の中央値)
範囲のある値の中央値は、その最大値と最小値の和の半分(1/2)である。
そこで、範囲のある目標締付トルク(TS)の中央値は、最大値である前記前記雌ねじ破壊トルク(TF)と最小値である前記ねじ込みトルク(TD)の和の半分(1/2)で求めることができる。
本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置においては、このバラツキを考慮して、前記ねじ込みトルク(TD)、前記雌ねじ破壊トルク(TF)を決定するために、統計的手法により決定する。
統計的手法の理論統計学に基づけば、母集団の数値は中央値である平均値の±3倍の標準偏差の中に99.73%が入るので、前記ねじ込みトルク(TD)及び前記雌ねじ破壊トルク(TF)についてもこの手法により、目標締付トルク(TS)の中央値である平均値の±3の標準偏差となるのであるが、平均値の±3倍の標準偏差では、100%の安全性を確保できるとは限らないので、本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置においては、安全を見て平均値の±4倍の標準偏差をとるものとする。
当該目標締付トルク(TS)の範囲を平均値の±4倍の標準偏差とするには、当該目標締付トルク(TS)の最小値は、前記ねじ込みトルク(TD)の最大値となり、前記ねじ込みトルク(TD)の平均値と、このねじ込みトルク(TD)の標準偏差の4倍の和(ねじ込みトルク(TD)の平均値+4×ねじ込みトルク(TD)の標準偏差)ということになり、また当該目標締付トルク(TS)の最大値は前記雌ねじ破壊トルク(TF)の最小値となり、当該雌ねじ破壊トルク(TF)の平均値と当該雌ねじ破壊トルク(TF)の標準偏差の4倍の差(TFの平均値−4×TFの標準偏差)となる。
目標締付トルク(TS)は、(ねじ込みトルク(TD)の最大値+雌ねじ破壊トルク(TF)の最小値)÷2を目標締付トルク(TS)の中央値として、±公差を付した公差付き目標締付トルク(TS)として決定する。
次に、上述の±公差付きの目標締付トルク(TS)を検討すると、タッピンねじにおいては、着座点トルクともいうべきねじ締結前に所定のトルクが既に掛かっているので、この新たな知見に基づき、当該着座点トルク(TTP)を考慮した上で、個別のトルク係数(uk)を求め、目標締付トルク(TS)のトルク範囲に対応する軸力(FS)についても±公差付きで求める。
ここに、TSは、ねじの締付トルク、ukは、実証個別トルク係数、FSは、軸力(kN)、TPPは、着座点トルク値であり、実証個別トルク係数(uk)とは、タッピンねじの実際の締付条件と同一条件で測定した時のトルク係数をいう。
例えば、ねじ締めに際する前記回転駆動モータ2の回転数400回転/毎分、外径2.9mm(呼び径3mm)、頭部外径6.7mm、首下長さ11.44mm、ピッチ1.14、3価クロメートメッキの仕様のタッピンねじを使用する場合を例にして、被締結材として、板厚1.0mmのSPCC鉄板に4.0mmのばか穴を有する前記上部被締結部材9と、板厚6.0mmのABS樹脂材質に下穴2.6mmの通り穴を有する前記下部被締結部材11を締結する場合について、本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置において測定すると、上記目標締付トルク(TS)に対する着座点トルク値(TTP)、実証個別トルク係数(uk)、目標締付トルクに対する軸力(FS)(F)は、それぞれ下記となる。
(b)着座点トルク(TTP)=0.14N・m
(c)実証個別トルク係数(uk)=0.648
(d)公差付き軸力(FS)=0.60±0.47kN
そこで、本実施例1に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置においては、求められた公差付き前記目標締付トルク(TS)及び公差付き前記軸力(FS)について、それぞれ前記中央値にそれぞれの公差付きで数式により表示する。
図4のハッチング表示部分(0.22(0.53−0.31)〜0.84(0.53+0.31))は、前記の例における前記目標締付トルク(TS)の公差の範囲を表示したものである。その下限は、0.22(0.53−0.31)であり、その上限は、0.84(0.53+0.31)であり、前記目標締付トルク(TS)は、この範囲内での締付トルク(TS)とすれば、上記の例のタッピンねじにおいては、締付トルクが足りない着座不良やトルクを掛け過ぎのねじバカを避けることができることとなる。
次に、図3に示される前記回転トルクセンサ3からのトルク値データ及び前記ワッシャ型圧力センサ10からの軸力値データについて、前記トルク値データ(N・m)を横軸に、前記軸力値データ(kN)を縦軸に表示する。
目標締付トルク(TS)の最大値(TSmax)=TFの平均値−4×TFの標準偏差
目標締付トルク(TS)の最小値(TSmin)=TDの平均値+4×TDの標準偏差
ここで、TF、TDは、上述してきたように、雌ねじ破壊トルク(TF:タッピンねじが雌ねじ破壊を起こしてしまうトルク値)、ねじ込みトルク(TD:タッピンねじの頭部底面が被締結材上面に達するに要するトルク値)であり、それぞれその平均値は、複数回のデータ取得の相加平均の値(場合によっては相乗平均の値)をいい、標準偏差は、バラツキを有するそれぞれの測定データとその平均値との差の2乗の値の総和をデータ数で除した分散値の平方である。それぞれ4倍の標準偏差を引いたり、足したりするのは、上述してきたように、統計的手法で必要とされる3倍に対し、求められる数値の安全を考慮するためである。
・ねじ込みトルク中央値(TDmed)=(ねじ込みトルク最大値(TDmax)+ねじ込みトルク最小値(TDmin))÷2
uk=(TSmax-TSmin)/(FSmax-FSmin)
ここに、TSmaxは、目標締付トルク(TS)の最大値、TSminは、目標締付トルク(TS)の最小値であり、FSmaxは、前述したTSmax時(ms)における軸力最大値、FSminは、同TSmin時(ms)における軸力最小値であり、複数回の測定データから直接求めることができるものである。
図9は、本実施例2に係るタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置を用いて、トルク値データ(N・m)を横軸に、軸力値データ(kN)を縦軸にして表示したトルク・軸力図であり、前記図5、図6に相当する図であり、図5、図6と異なるのは、図5,図6では、計算により実証個別トルク係数(uk)を求めているのに対し、同トルク・軸力図のうち、直線部分(それは、目標締付トルク最小値値と目標締付トルク最大値の間が直線的であることを発見した新たな知見による)に着目し、目標締付トルク最小値(TSmin)と目標締付トルク最大値(TSmax)及び同TSmin時(ms)における軸力最小値(FSmin)とTSmax時(ms)における軸力最大値(FSmax)から目標締付トルク範囲及び軸力範囲を求め、これをハッチング表示すると共に±公差付きの目標締付トルク及び軸力を数式表示したものである。
図9に示すように、前記実証個別トルク係数(uk)は、実測データによる目標締付トルク最小値(TSmin)と目標締付トルク最大値(TSmax)及び同TSmin時(ms)における軸力最小値(FSmin)とTSmax時(ms)における軸力最大値(FSmax)から直接求めることができる正確な実証個別トルク係数(uk)に基づいて適切な目標締付トルク範囲(TS)及びそのトルク範囲に相当する軸力(FS)範囲をハッチング表示できるので、範囲が重なった、いわゆる4角の枠で囲まれた部分は、一定の仕様を有するタッピンねじについて、そこで使用される被締結材の材質や下穴形状等から定まる最適なトルク及び軸力の両方を同時に決定することができ、かつ、それを視覚的に瞬時に確認できる。
さらに、それらの目標締付トルク(TS)及び軸力(FS)範囲を±公差付きで数式表示することができるので、正しい実証個別トルク係数(uk)に基づく正確な表示とすることができる。
2 回転駆動モータ
3 回転トルクセンサ
4 ハンドル
5 ビットホルダ
6 ねじビット
7 コンピュータ
8 タッピンねじ
9 締結部材
10 ワッシャ型圧力センサ
11 被締結部材
12 支持冶具
101 軸力測定センサ
102 円筒部材
102a 突出部
103 (上側の)フランジ
104 (下側の)フランジ
105 押圧子
106 荷重センサ
107 リード線
111 雌ねじ部材
111a 雌ねじ孔
112 雄ねじ部材
112a 軸部
112b 頭部
201 ボルト軸力測定機
202 締付けボルト
221 ボルトの頭部
222 締付けナット
203 センターホール型荷重計
204 ラチエットレンチなど
241 ラチエットレンチヘッド
205 トルクレンチ若しくはジャイロレンチ
251 トルクレンチ若しくはジャイロレンチの交換ヘッド
252 ソケット
206 センサインタフェース
261、262 接続端子
207 荷重計の芯体部
273 貫通穴
281、282、283 ひずみゲージ
208a、208b、208c、208d ゲージリード線
209 保護ケース
215 パソコン
A、B 被締結体
TD ねじ込みトルク(タッピンねじの頭部底面が被締結材上面に達するに要するトルク)
TF 雌ねじ破壊トルク(タッピンねじが雌ねじ破壊を起こしてしまうトルク)
TP 着座点(タッピンねじの頭部底面が被締結材上面に達した地点)
FF 締付破壊軸力
TS 目標締付トルク
μ 摩擦係数
μn 座面摩擦係数
Claims (15)
- 少なくともねじビット、回転トルクセンサ及びコンピュータを備えたトルクアナライザーに、被測定タッピンねじで締結する上下に配置する締結部材と被締結部材の間に圧力センサを配置し、前記ねじビットに係合させたタッピンねじを締結部材の上から挿入して締付け開始し、雌ねじ破壊までの間の前記回転トルクセンサからのデータ及び前記圧力センサからのデータに基づき、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を決定することを特徴とするタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記圧力センサは、前記被測定タッピンねじが挿通する穴が開口したワッシャ型圧力センサであることを特徴とする請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記タッピンねじの目標締付トルクの決定は、当該タッピンねじの着座から雌ねじ破壊までの締付トルク及びねじ込みトルク並びに雌ねじ破壊トルクを複数回の測定で求め、当該複数回の測定で求められたねじ込みトルク及び雌ねじ破壊トルクの各平均値を求め、前記複数回測定から求められるねじ込みトルクの前記平均値と当該ねじ込みトルク平均値の4倍の標準偏差の和を目標締付トルクの最小値とし、及び前記複数回測定から求められる雌ねじ破壊トルクの平均値と当該雌ねじ破壊トルク平均値の4倍の標準偏差の差を目標締付トルクの最大値とし、当該目標締付トルク最大値と目標締付トルク最小値の和の半分(1/2)の値を当該タッピンねじの目標締付トルクの中央値とし、さらに、前記最大値と前記最小値の差の半分を当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差としたことを特徴とする前記請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルクが、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする請求項3に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- ねじについての軸力(FS)とねじ締付トルク(T)の関係式であるFS=(T−TTP)/uk(Tは、ねじの締付トルク、ukは、実証個別トルク係数、FSは、軸力(kN)、TPPは、着座点トルク値)に基づき、前記±公差付きの目標締付トルクから±公差付き軸力を決定することを特徴とする請求項3に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記タッピンねじの±公差付き軸力が、前記コンピュータのモニタ画面に公差表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする請求項5に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記回転トルクセンサからのトルク値データを横軸に、前記圧力センサからの軸力値データを縦軸にして、前記コンピュータのモニタ画面に帯状の範囲表示されることを特徴とする請求項6に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示される前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルク及び前記タッピンねじの±公差付き軸力が同時にクロス状に表示されることを特徴とする請求項7に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 少なくともねじビット、回転トルクセンサ及びコンピュータを備えたトルクアナライザー及び被測定タッピンねじで締結する締結部材と被締結材の間に配置される圧力センサからなり、前記ねじビットに係合させたタッピンねじを締結部材の上から挿入して締付け開始し、被締結部材の雌ねじ破壊までの間の前記回転トルクセンサからのデータ及び前記圧力センサからのデータを前記コンピュータに取り込み表示することを特徴とするタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置。
- 前記請求項1ないし8のいずれかに記載の決定方法により、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を表示することを特徴とするタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置。
- 前記タッピンねじの目標締付トルクの決定は、当該タッピンねじの着座から雌ねじ破壊までの締付トルク及びねじ込みトルク並びに雌ねじ破壊トルクを複数回の測定で求め、求められた雌ねじ破壊トルクまでの間の前記締付トルクの最大値及び最小値、並びに前記締付トルク最大値時における軸力最大値及び前記締付トルク最小値時における軸力最小値から次式で求められる実証個別トルク係数に基づき締付トルク範囲及びそれに相当する軸力範囲を当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差としたことを特徴とする前記請求項1に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
uk=(TSmax-TSmin)/(FSmax-FSmin)(ukは実証個別トルク係数、TSmaxは、目標締付トルク(TS)の最大値、TSminは、目標締付トルク(TS)の最小値、FSmaxは、TSmax時(ms)における軸力最大値、FSminは、同TSmin時(ms)における軸力最小値) - 前記請求項11に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法において、締付トルク範囲が当該タッピンねじの目標締付トルクの±公差として決定され、前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示されることを特徴とする請求項11に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記回転トルクセンサからのトルク値データを横軸に、前記圧力センサからの軸力値データを縦軸にして、前記コンピュータのモニタ画面に前記タッピンねじの±公差付き軸力が帯状の範囲表示されることを特徴とする請求項11に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記コンピュータのモニタ画面に数式表示及び/又は帯状の範囲表示される前記タッピンねじの±公差付き目標締付トルク及び前記タッピンねじの±公差付き軸力が同時にクロス状に表示されることを特徴とする請求項13に記載のタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の決定方法。
- 前記請求項11ないし14のいずれかに記載の決定方法により、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を表示することを特徴とするタッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力の表示装置。
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