JP5466495B2 - 締結工具システム - Google Patents

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Description

本発明は、産業機械や車両等に用いられるボルト・ナットの締結力を制御可能な締結工具システムに関する。
従来の締結工具システムとしては、例えば特許文献1に示すような、ボルトの軸力検出を行うトルク・レンチを用いたものがある。
前記トルク・レンチは、ボルトの頭部に嵌合してボルトの締付トルクを付与するためのソケット及びボルトの軸力を検出するための超音波センサを備えている。このトルク・レンチでは、コントローラの制御によって超音波センサによるボルトの軸力検出を行いながら、軸力値が設定値に達するまでボルトの締め付けを行わせることができる。
従って、ボルトの軸力管理によって締結力を確実に制御することができる。
しかしながら、ボルトの軸力管理のみでは、ねじ面や座面の摩擦係数に応じて締付トルクが大きくなると、ボルトの軸力値が設定値となる前にボルトが降伏して破断するおそれがあった。
特開2000−74764号公報
解決しようとする問題点は、ボルトの軸力値が設定値となる前にボルトが降伏するおそれがある点である。
本発明は、ボルトの軸力値が設定値となる前のボルトの降伏を抑制するために、締結工具に回転自在に設けられナット又はボルトの頭部に嵌合して前記ナットとボルトとを締め付け又は前記ボルトを基材に対して締め付けるためのソケットと、該ソケットを回転駆動して前記ナット又はボルトに締付トルクを付与する駆動部と、前記ボルトに作用する軸力を検出する軸力検出部と、前記駆動部の駆動制御によって前記締付トルクを制御する制御部と、前記締付トルクを検出するトルク検出部とを備え設け、前記制御部は、前記締付トルクと前記軸力とに基づく前記ボルトの応力が降伏応力に達するときに前記締付トルクの増加を停止することで前記軸力が設定値となるまで前記ナット又はボルトの締め付けを行わせる締結工具システムであって前記ボルトの応力は、締付トルクをT、ボルトの軸力をF、ねじ有効直径をd 及びねじ谷径をd の平均であるボルトの直径をd 、座面の等価直径をd 、ねじ面及び座面の摩擦係数μとした場合に、以下の式
に基づいて求められることを特徴とする。
本発明の締結工具システムは、ねじ面や座面の摩擦係数に応じて締付トルクが大きくなった場合でも、ボルトの軸力値が設定値となる前のボルトの降伏を抑制することができる。
締結工具システムの概略図である(実施例1)。 ナットをボルトに締結する軸力検出締結作業を示し、(a)は締結工具の装着前、(b)は締結工具の装着後締結開始時、(c)は締結完了時の説明図である(実施例1)。 締結防止制御を示すフローチャートである(実施例1)。 軸力と締付トルクとの関係による降伏応力を軸力の設定値と共に示すグラフである(実施例1)。 変形例に係る締結工具システムの要部拡大断面図であり、(a)はボルトを基材に締結する軸力検出締結作業、(b)はボルトをウェルド・ナットに締結する軸力検出締結作業を示している(実施例1)。 降伏実験の概略を示す断面図である(実施例2)。 軸力及び締付トルクと締付回転角度との関係においてボルトの降伏を示すグラフである(実施例2)。 降伏締付トルク及び降伏軸力の対応関係を示し、左欄が計算によって得られた計算値であり、右欄が実験によって得られた実測値である(実施例2)。 降伏防止制御を示すフローチャートである(実施例2)。
ボルトの軸力値が設定値となる前のボルトの降伏を抑制するという目的を、締付トルクと軸力との双方を管理することで実現した。
図1は、本発明の実施例1に係る締結工具システムの概略図である。
[締結工具システムの構成]
図1のように、締結工具システム1は、締結工具3と、制御部としてのコントローラ5とを備えている。
前記締結工具3は、工具本体7と、ソケット9と、超音波センサ11と、駆動部13とを有している。工具本体7は、中空のレバー部15と、中空のレバー・ヘッド17とが一体に形成されたものである。この工具本体7は、作業者がレバー部15を片手で把持できるようになっている。
前記レバー・ヘッド17は、その軸心がレバー部15の軸心に対して直交している。レバー・ヘッド17の軸心部には、キー溝19を備えた支持筒取付穴21が設けられている。支持筒取付穴21内には、インナー・ソケット支持筒23が着脱自在に設けられている。
インナー・ソケット支持筒23は、その取付端25に雄ねじ部27とキー溝29とが設けられている。取付端25は、レバー・ヘッド17の支持筒取付穴21に挿入され、ナット31により固定されると共にキー溝19,29に嵌合するキー33で回り止めがなされている。
前記インナー・ソケット支持筒23の先端側内周には、軸心方向に沿ったインナー・スプライン35を備えた係合穴37が設けられている。係合穴37の軸心方向内側には、スプリング支持穴39が設けられている。スプリング支持穴39は、貫通孔41を介して前記取付端25外に連通している。
前記ソケット9は、工具本体7のレバー・ヘッド17に回転自在に支持され、回転連動部43及びナット駆動部45を備えている。
回転連動部43及びナット駆動部45は、筒状に形成され、回転連動部43の係合凹部47及びナット駆動部45の係合凸部49を介して相互に嵌合している。この回転連動部43及びナット駆動部45は、回転連動部43に螺合するナット部材51により、ナット駆動部45の係合フランジ53が締結力を受けて相対回転不能に締結結合されている。
前記回転連動部43は、レバー・ヘッド17に螺合するキャップ55に対してベアリング57によって回転自在に支持されている。従って、ソケット9は、工具本体7に対して回転自在に支持されている。回転連動部43の内周側には、軸心方向に貫通する嵌合軸穴59を有している。嵌合軸穴59は、インナー・ソケット支持筒23の外周囲に嵌合し、回転連動部43は、インナー・ソケット支持筒23に対し相対回転可能となっている。
回転連動部43の基部側の端部内周は、ニードル・ベアリング61によってインナー・ソケット支持筒23の取付端25側に回転自在に支持されている。回転連動部43の基部側の端部外周には、回転連動用のベベル・ギヤ63が設けられている。
前記ナット駆動部45は、先端部にナットに嵌合するナット嵌合部67が形成されている。ナット嵌合部67は、例えば六角ナットに対応して嵌合できるように、断面六角に形成されている。このナット嵌合部67の嵌合により、ソケット9は、その回転による締付トルクをナットに対して付与するようになっている。
ナット嵌合部67の奧壁69には、断面円形のインナー・ソケット挿通穴71が設けられ、奥壁69に隣接して前記インナー・ソケット挿通穴71に連通する嵌合軸穴73が設けられている。嵌合軸穴73は、回転連動部43の嵌合軸穴59と同径に形成され、インナー・ソケット支持筒23の外周囲に嵌合する。これにより、ナット駆動部45は、インナー・ソケット支持筒23に対し相対回転可能となっている。
インナー・ソケット支持筒23の係合穴37内には、筒状のインナー・ソケット75が収容されている。これにより、インナー・ソケット75は、ソケット9内に同心状に配置されている。
インナー・ソケット75の基端部外周には、雄スプライン77が設けられている。雄スプライン77は、インナー・ソケット支持筒23のインナー・スプライン35にスプライン嵌合している。従って、インナー・ソケット75は、インナー・ソケット支持筒23に対し、回転不能、且つ、軸心方向へ相対移動可能となっている。
前記インナー・ソケット75の基端面には、ばね座嵌合穴79が設けられている。インナー・ソケット75の基端面とインナー・ソケット支持筒23の奧壁との間には、ソケット付勢部材としてソケット・スプリング81が介設されている。インナー・ソケット75は、その先端部がソケット9のインナー・ソケット挿通穴71からナット嵌合部67内へ臨む構成となっている。
インナー・ソケット75の先端部には、ボルト先端の回り止め用の係合部を係止する係止部としてインナー・セレーション83を有している。すなわち、インナー・ソケット75の先端には、係止部を構成する凹部85が設けられている。この凹部85の内周面には、インナー・セレーション83が設けられている。
前記インナー・ソケット75の軸心部には、センサ挿通穴87が貫通形成されている。インナー・ソケット75のセンサ挿通穴87には、超音波センサ11が挿通されている。
超音波センサ11は、インナー・ソケット75のセンサ挿通穴87に軸心方向へ可動支持されている。これにより、超音波センサ11は、インナー・ソケット75を介して工具本体7側に支持された構成となっている。
超音波センサ11の先端は、インナー・ソケット75の凹部85内に臨んでいる。この超音波センサ11は、ボルト先端に当接した状態で超音波を出入力し、ボルトの軸力検出に用いるものである。
前記超音波センサ11は、中間部のばね座89とインナー・ソケット支持筒23のスプリング支持穴39との間に介設された付勢部材としてのセンサ・スプリング91によって、ボルト側へ向けて付勢されている。超音波センサ11のばね座89は、インナー・ソケット75のばね座嵌合穴79に離脱可能に嵌合している。
前記超音波センサ11の基端側には、配線としてのリード線95が取り付けられている。リード線95は、センサ・スプリング91の内側を通ってスプリング支持穴39側に延設されている。スプリング支持穴39からは、リード線95が貫通孔41に取り付けられたグロメット97を貫通してレバー・ヘッド17外部に引き出されている。レバー・ヘッド17外部では、リード線95が軸力計99に接続されている。
軸力計99は、後述するコントローラ5の制御によって、超音波センサ11に対して超音波の出入力(送受信)を行わせる。この軸力計99は、超音波センサ11で出入力する超音波に基づいてボルトに作用する軸力値を求めるように構成されている。求めた軸力値は、例えば図示しないディスプレイ等に表示される。
前記駆動部13は、電動モータ101を備えている。電動モータ101は、後述するコントローラ5によって駆動制御されるようになっている。この電動モータ101は、駆動軸103を介してソケット9に連動連結されている。
駆動軸103は、前記工具本体7のレバー部15内にニードル・ベアリング105等によって回転自在に支持されている。駆動軸103の先端部には、ベベル・ギヤ107が設けられている。ベベル・ギヤ107は、前記ソケット9のベベル・ギヤ63に噛み合っている。
従って、前記駆動部13は、電動モータ101の駆動制御により、駆動軸103を介してソケット9を回転駆動する。
前記コントローラ5は、情報処理装置などによって構成され、センサ制御部109と、モータ制御部111と、演算部113と、警告部115とを備えている。
センサ制御部109は、超音波センサ11の軸力計99に接続され、軸力計99を介して超音波センサ11に対する超音波の出入力制御を行う。
このセンサ制御部109には、超音波センサ11の軸力計99で検出されたボルトの軸力値が入力される。従って、コントローラ5のセンサ制御部109は、超音波センサ11及び軸力計99と共に軸力検出部117を構成している。前記入力された軸力値は、センサ制御部109から演算部113に出力される。
なお、コントローラ5のセンサ制御部109は、超音波センサ11で出入力する超音波に基づいてボルトの軸力値を求める構成や軸力計99を省略してその機能を有する構成としてもよい。また、軸力検出部としては、超音波センサを用いたものに限られず、例えば、電磁力測定によるもの、ひずみゲージやロードワッシャを用いたものを採用することも可能である。
前記モータ制御部111は、電動モータ101に接続されて電動モータ101の駆動制御を行う。かかる駆動制御により、モータ制御部111は、ソケット9の回転力を調整して締付トルを制御することができる。また、モータ制御部111は、電動モータ101の駆動力に応じてソケット9の締付トルク値を検出することができる。
従って、コントローラ5のモータ制御部111は、電動モータ101と共にトルク検出部119を構成している。なお、モータ制御部111とは別に、トルク検出部を設ける構成としてもよい。
前記検出された締付トルク値は、モータ制御部111から演算部113に出力される。モータ制御部111は、演算部113からの演算結果に応じて電動モータ101を駆動制御する。
前記演算部113は、センサ制御部109及びモータ制御部111からの軸力値及び締付トルク値が入力される。この演算部113は、入力された軸力値及び締付トルク値からボルトの応力値を求め、このボルトの応力値が降伏応力値に達するか否かを演算する。演算結果は、演算部113からモータ制御部111及び警告部115に出力される。前記演算部113は、ボルトの軸力値が設定値となっているか否かの演算も行うように構成されている。
前記警告部115は、演算部113での演算結果が入力される。この警告部115は、演算結果の入力に応じてディスプレイ、スピーカー、警告ランプ等の警告発生部121に映像、音声、光等の警告を発生させるように構成されている。
[締結作業]
本実施例の締結工具システム1では、ボルト123の軸力検出に基づく締結作業に加えて、ボルト123の降伏防止制御を行う。
(軸力検出締結作業)
図2は、ナットをボルトに締結する軸力検出締結作業を示し、(a)は締結工具装着前、(b)は同装着後締結開始時、(c)は締結完了時の説明図である。図2は、例えばボルト123及びナット125によって車両のサスペンション・ストラットのボス部及びナックル・アーム等の被締結部材127の締結を行う構成を示している。
かかる締結作業では、ボルト123の軸力が設定値となるまでナット125をボルト123に対して締め付ける。
前記ボルト123は、雄ねじ部を備えた軸部129を備えている。軸部129の一端には頭部131が設けられ、同他端にはピン・テール133が設けられている。ピン・テール133は、回り止め用の係合部としてのセレーションで形成されている。このピン・テール133は、ボルト123の軸部129他端と共に被締結部材127を挿通している。前ナット125は、ボルト123の軸部129他端に螺合している。
この状態で、ナット125をボルト123の軸部129に締め込むには、図2(a)の状態から図2(b)のように締結工具3を装着配置し、ソケット9のナット嵌合部67にナット125を嵌合させる。このとき、インナー・ソケット75の凹部85がボルト123のピン・テール133にセレーション係合する。同時に、超音波センサ11の先端がボルト123の先端面に当接する。
図2(b)の装着状態で、作業者の操作に応じて、コントローラ5のモータ制御部111により工具本体7側の電動モータ101を適宜駆動させる。同時に、コントローラ5のセンサ制御部109により軸力計99を介して超音波センサ11から超音波を発信させる。
前記電動モータ101の駆動によって駆動軸103が回転駆動されると、ベベル・ギヤ107,63を介してソケット9が回転駆動される。このとき、インナー・ソケット75が工具本体7側のインナー・ソケット支持筒23に回転不能に支持されているため、インナー・ソケット75が静止し、その周りでソケット9のみが回転する。
このソケット9の回転により、ナット125が締付トルクを付与されて回転しボルト123に締め込まれる。このとき、ボルト123は、ピン・テール133がインナー・ソケット75の凹部85にセレーション係合することによって、工具本体7側に対し回り止めが行われる。従って、ソケット9の回転駆動によって、ボルト123の回り止めを行いながら、ナット125を確実に締め込むことができる。
このナット125の締め込みの際には、ナット125に対しピン・テール133側がインナー・ソケット75側へ締め込みに応じて突出することになる。このときは、ソケット・スプリング81の付勢力に抗してインナー・ソケット75が後退すると共に、センサ・スプリング91の付勢力に抗して超音波センサ11が後退する。
従って、インナー・ソケット75がピン・テール133に対してセレーション係合を確実に維持することができ、ボルト123の回り止めを確実に維持することができる。また、超音波センサ11の先端がボルト123の先端面に当接する状態を確実に維持することができる。
前記超音波センサ11が発信(出力)した超音波は、ボルト123の頭部131端面で反射し、該反射波が超音波センサ11によって受信(入力)される。この超音波の発信、受信により、軸力計99は、超音波を発信させた時点から反射波を受信した時点までの経過時間を、超音波がボルト123の軸心長さ方向に往復するために必要な往復時間として求め、この往復時間からボルト軸部129の軸心長さを求める。
そして、軸力計99は、ナット125の締め付けに伴うボルト123の軸心長さの伸び率を求め、この伸び率と比例関係にあるの軸部129に作用する軸力値を求めて、ディスプレイ等に出力する。
作業者は、ディスプレイ等に表示された軸力値を確認することによって、表示された軸力値が設定値となったとき、電動モータ101の回転を停止させる。或いは、コントローラ5のモータ制御部111の制御により、予め設定した軸力値で電動モータ101を自動停止させる。
この停止により、図2(c)のようにサスペンション・ストラットのボス部とナックル・アームとの間の締結等、被締結部材127のボルト123及びナット125による締結を設定された軸力によって正確に行わせることができる。結果として、ボルト123及びナット125による締結力を確実に制御することができる。
(降伏防止制御)
上記軸力検出締結作業の際には、コントローラ5によるボルト123の降伏防止制御が並行して行われる。降伏防止制御では、ボルト123の軸力が設定値となるまでの間に、逐次変化するナット125の締付トルクとボルト123の軸力とを実測する。そして、コントローラ5は、前記締付トルクと前記設定値となる前の軸力とに基づくボルト123の応力が降伏応力に達するときに締付トルクの増加を停止する。
図3は、降伏防止制御を示すフローチャートである。降伏防止制御は、軸力検出締結作業の開始と共にスタートし、ステップS1からの処理が実行される。
ステップS1では、軸力及び締付トルクの検出処理が行われる。すなわち、コントローラ5のモータ制御部111は、駆動制御による電動モータ101の駆動力値に応じて、ソケット9の締付トルク値の検出を行う。
また、センサ制御部109は、超音波センサ11の軸力計99で求められたボルト123の軸力値の入力を受けて、その軸力値の検出を行う。
かかる検出処理が完了すると、ステップS2に移行する。
ステップS2では、軸力値及び締付トルク値の入力処理が行われる。すなわち、コントローラ5の演算部113には、モータ制御部111からソケット9の締付トルク値が入力されると共に、センサ制御部109からボルト123の軸力値が入力される。こうして入力処理が行われると、ステップS3に移行する。
ステップS3では、ボルト123の応力値計算処理が行われる。すなわち、演算部113は、入力された軸力値及び締付トルク値からボルト123の応力値を求める。
応力値計算は、以下の(式1)〜(式3)に基づいて行われる。
すなわち、ボルトに使用される材料の降伏は、引張応力σとせん断応力τとが同時に作用した場合、等価応力σeqが降伏応力σ以上となったときに起こり、その条件を次式で表すことができる。
これをボルトに適用した場合、締付トルクをT、軸力をF、直径をd(ねじ有効直径をd及びねじ谷径をdの平均d=(d+d)/2)、座面の等価直径をd、ねじ面及び座面の摩擦係数μとすると、ボルトの降伏応力σに等しい限界応力は次式で表すことができる。
ここで、(式2)の摩擦係数μは、ねじの外径(呼び径)をd、ねじのピッチをP、山直角フランク角をα’とすると、次式で表すことができる。
かかる(式2)及び(式3)より、ボルトの応力は、軸力及び締付トルクと共に増加して降伏応力に近づき、ボルトの応力が降伏応力に達する時の降伏軸力及び降伏締付トルク(ボルトの限界応力時の限界軸力及び限界締付トルク)は、一方の増加によって他方が減少する負の相関関係となっていることがわかる。
図4は、軸力と締付トルクとの関係による降伏応力を軸力の設定値と共に示すグラフである。図4の縦軸は軸力であり横軸は締付トルクである。
降伏応力は、前記降伏軸力及び降伏締付トルクの相関関係によって、図4のように推移して降伏限界線132を描く。
かかる降伏限界線132と軸力の設定値134との交点Pまでは、線分136のように締付トルクが増加しても降伏軸力が軸力の設定値134を下回ることはない。このため、ボルトの軸力が設定値となるまで締結作業を行わせることができる。
これに対し、ねじ面や座面の摩擦係数が相対的に高い場合には、締付トルクが降伏限界線132と軸力の設定値134との交点Pを越えて増加することがある。この場合は、線分138のように降伏軸力が軸力の設定値を下回るため、ボルトの軸力が設定値となる前に降伏軸力に達することになる。従って、ボルトの軸力管理のみでは、ボルトの降伏を防止することができない。
かかる状況においてボルトの降伏を防止するには、ボルトの軸力及び締付トルクから応力を求めて、それが降伏応力に達するか否かを判断する必要がある。
以上より、本実施例では、(式2)及び(式3)を用いて、ボルト123の軸力のみならずナット125の締付トルクに基づいてボルト123の応力を求めている。なお、コントローラ5には、(式2)及び(式3)の軸力及び締付トルク以外を定数として予め入力しておく。
こうして応力値計算が完了すると、ステップS4に移行する。
ステップS4では、演算部113により、ボルト123の応力値が降伏応力値に達するか否かの演算処理を行う。降伏応力値としては、ボルト強度区分毎に設定されている降伏応力の下限値が用いられる。例えば、ボルト強度区分が10.9の場合は、降伏応力の下限値が940N/mmとなる。なお、ボルト123の降伏応力の下限値は、予めボルト強度区分毎にコントローラ5に入力しておく。
そして、ボルト123の応力値が降伏応力値に達しない場合は、ステップS5へ移行し、ボルト123の応力値が降伏応力値に達する場合は、ステップS6へ移行する。
ステップS5では、演算部113により、ボルト123の軸力値が設定値となったか否かの演算処理を行う。軸力値が設定値となっている場合は、降伏防止制御が終了する。この場合は、前記のように作業者又はコントローラ5のモータ制御部111が締結作業を終了させる。軸力値が設定値に満たない場合は、ステップS1に戻って以下の処理を繰り返す。
ステップS6では、締結作業の停止処理を行う。すなわち、演算部113は、演算結果をモータ制御部111へ出力し、モータ制御部111は、演算結果の入力に応じて電動モータ101を自動的に停止させる。これにより、ナット125の締付トルクの増加を停止することができ、ボルト123の降伏を防止することができる。なお、電動モータ101は、駆動力の増加が無ければ、駆動状態を維持することも可能である。
次いで、ステップS7では、ステップS5同様、演算部113によりボルト123の軸力値が設定値となったか否かの演算を行う。軸力値が設定値となっている場合は、締結作業が終了すると同時に降伏防止制御が終了する。軸力値が設定値に満たない場合は、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、警告処理が行われる。すなわち、演算部113は、演算結果を警告部115に出力し、警告部115は、演算結果の入力に応によって、締付トルクと設定値となる前の軸力とに基づくボルト123の応力が降伏応力に達するときに締付トルクの増加が停止されたものと判断する。これにより、警告部115は、警告発生部121を介して映像、音声、光信号等の警告を発生させる。
この結果、作業者は、不完全締結であること、つまりボルト123の応力値が降伏応力値に達する際にボルト123の軸力値が設定値に満たなかったことを確認することができる。この場合は、ボルト123及びナット125をばらし、潤滑油等をねじ面や座面に塗布する。こうして、作業者は、ねじ面や座面の摩擦係数を減少させて、再度の締結作業を適切に行うことができる。
こうしてステップS8が完了すると、降伏防止制御は終了する。
[実施例1の効果]
本実施例は、締結工具1に回転自在に設けられナット125に嵌合して前記ナット125をボルト123に対して締め付けるためのソケット9と、該ソケット9を回転駆動して前記ナット125に締付トルクを付与する駆動部13と、前記ボルト123に作用する軸力を検出する軸力検出部117とを備え、前記軸力が設定値となるまで前記ナット125の締め付けを行わせる締結工具システム1において、前記駆動部13の駆動制御によって前記締付トルクを制御するコントローラ5と、前記締付トルクを検出するトルク検出部119とを設け、前記コントローラ5が、前記締付トルクと前記設定値となる前の軸力とに基づく前記ボルト123の応力が降伏応力に達するときに前記締付トルクの増加を停止することができる。
従って、本実施例では、ねじ面や座面の摩擦係数に応じて締付トルクが大きくなった場合でも、ボルト123の軸力のみならずナット125の締付トルクをも管理して、ボルト123の軸力値が設定値となる前のボルト123の降伏や破断を抑制することができる。
この結果、本実施例では、締結作業を適切に行わせることができる。しかも、ボルト123の軸力値が設定値に満たない場合は、ボルト123が降伏や破断を起こさないため、ボルト123を再使用して再度の締結作業を行わせることができる。
前記締付トルクの増加停止は、駆動部13を停止することで行われるため、より確実にボルト123の降伏や破断を抑制することができる。
本実施例では、警告部115が警告発生部121を介して警告を発生させることで、ボルト123の応力値が降伏応力値に達する際に軸力値が設定値に満たない不完全締結であることを作業者に確認させることができる。
従って、本実施例では、作業者に再度の締結作業を促すことができ、より適切に締結作業を行わせることができる。
前記ボルト123の応力は、締付トルクをT、ボルトの軸力をF、ねじ有効直径をd及びねじ谷径をdの平均であるボルトの直径をd、座面の等価直径をd、ねじ面及び座面の摩擦係数μとした場合に、以下の式
に基づいて求められる。
従って、本実施例では、締付トルクと軸力とに基づくボルト123の応力を確実に求めることができ、より確実にボルト123の降伏や破断を抑制することができる。
前記駆動部13は、ソケット9に連動連結された電動モータ101を備え、前記トルク検出部119は、電動モータ101の駆動力に応じて前記締付トルクを検出する。
このため、本実施例では、前記締付トルクを容易且つ確実に検出することができる。
前記軸力検出部117は、ボルト123の軸方向端部に当接して軸力検出用の超音波を出入力する超音波センサ11を備えているため、より容易且つ確実にボルト123の軸力を検出することができる。
本実施例の締結工具3は、工具本体7側に支持され前記ソケット9の軸心方向に移動可能で該ソケット9内に臨みボルト123先端に当接し出入力した超音波を前記ボルト123の軸力検出に用いるための超音波センサ11と、該超音波センサ11を前記ボルト123先端へ向けて付勢するセンサ・スプリング91を備えている。
このため、ソケット9の軸回り回転によりボルト123に対しナット125を締め込むとき、超音波センサ11とボルト123とが相対回転せず、超音波センサ11の破損を抑制し、耐久性を向上させることができる。
前記超音波センサ11は、センサ・スプリング91の付勢力によりボルト123の先端に正確に弾接することができ、正確な軸力検知を行わせることができる。
前記ナット125の締め込みに際し、ボルト123先端がナット125に対し超音波センサ11側に相対的に突出しても、超音波センサ11がセンサ・スプリング91の付勢力に抗して工具本体7側に後退することができ、軸力検知を行いながらボルト123に対してナット125を無理なく締め込むことができる。
前記超音波センサ11は、工具本体7側に支持されているため、工具本体7側から超音波センサ11に対しリード線95をスリップ・リングを介すことなく直接的に行うことができ、耐久性を向上させることができる。
前記工具本体7に対して回転不能に支持され前記ソケット9に同心状に配置される共にボルト123先端のピン・テール133を凹部85に対するセレーション係合により回り止め係止するインナー・ソケット75を設け、前記超音波センサ11を前記インナー・ソケット75に軸心方向に可動支持したため、工具本体7側に対してインナー・ソケット75を介しボルトの回り止めを行いながら、駆動部13によってソケット9を回転駆動することで、ボルト123に対しナット125を容易に締め込むことができる。
前記インナー・ソケット75が、前記工具本体7側に対して軸心方向に可動支持され、該インナー・ソケット75を前記ボルト123側へ向けて付勢するソケット・スプリング81を設けたため、ナット125の締め込みに応じて、ナット125に対しボルト123先端がインナー・ソケット75側へ突出してもインナー・ソケット75がソケット・スプリング81の付勢力に抗して移動することができる。
このため、インナー・ソケット75のインナー・セレーション83によるボルト123先端のピン・テール133の回り止め係止状態とソケット9のナット嵌合部67に対するナット125の嵌合状態とを正確に維持しながら、締結作業及び軸力検知を行うことができる。
前記インナー・ソケット75が前記工具本体7側にスプライン嵌合しているため、前記インナー・ソケット75の移動をより正確に行わせることができる。
[変形例]
図5は、本発明の実施例1の変形例に係る締結工具システムの要部拡大断面図であり、(a)はボルトを基材に締結する軸力検出締結作業、(b)はボルトをウェルド・ナットに締結する軸力検出締結作業を示している。なお、本変形例は、上記実施例1と基本構造において共通するため、上記実施例と対応する構成部分については同符号又は同符号にAを付して詳細な説明を省略する。
変形例に係る締結工具システム1Aは、図5のように、ボルト123Aに締付トルクを付与する軸力検出締結作業をも行わせることができるものである。
すなわち、締結工具システム1Aでは、超音波センサ11Aの先端が、インナー・ソケット挿通孔71の開口部にまで延設されている。これにより、超音波センサ11Aは、ボルト123Aの頭部131先端に当接した状態で超音波を出入力可能となっている。
かかる締結工具システム1Aは、ソケット9のナット嵌合部67をボルト123Aの頭部131に嵌合させると共に駆動部13によってボルト123Aに締付トルクを付与することで、前記同様に軸力検出締結作業を行わせることができる。
例えば、図5(a)のように、ボルト123Aを雌ねじ部135を備えた基材137に締め付けて被締結部材127Aを締結したり、或いは図5(b)のように、ボルト123Aを被締結部材127に固着されたウェルド・ナット125Aに締め付けることができる。
このため、ボルト123Aに締結トルクを付与する場合であっても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
以下、本発明の実施例2に係る締結工具システムについて説明する。なお、本実施例の締結工具システムの構成については、上記実施例1の締結工具システムと同一の構成を採用しているため、図1を参照して詳細な説明を省略する。
本実施例は、予めボルトのサンプルに対する降伏実験を行い、そのときの実測値に基づいて降伏防止制御を行うものである。
[降伏実験]
図6は、降伏実験の概略を示す断面図である。
(実験装置)
降伏実験には、超音波センサ139とソケット141とを備えた実験装置143が用いられる。かかる実験装置143の超音波センサ139及びソケット141は、図1の締結工具システム1の超音波センサ11及びソケット9と同様に構成されている。
すなわち、超音波センサ139は、ボルト123先端に当接した状態で超音波を出入力し、ボルト123の軸力検出を行わせる。
前記ソケット141は、先端にナット125に嵌合するナット嵌合部145が形成されている。ソケット141内には、回転不能なインナー・ソケット147が設けられている。インナー・ソケット147は、ボルト先端の回り止めを行うインナー・セレーション149を有している。
前記ソケット141は、図示しない駆動部によって回転駆動され、ナット嵌合部145を介してナット125に対して締付トルクを付与する。ソケット141の回転駆動は、例えば図示しないコントローラ等によって制御される。かかる回転駆動制御により、ソケット141の締付トルク及び締付回転角度が検出されるようになっている。
(実験)
降伏実験では、サンプルとしてのボルト123が降伏するまでナット125をボルト123に対して締め付け、降伏時の降伏軸力及び降伏締付トルクの実測値を得る。
実験の際には、予めボルト123の軸部129を被締結部材127に挿通させて先端にナット125を螺合しておく。
この状態で、ナット125に、実験装置143のソケット141のナット嵌合部145を嵌合させる。このとき、インナー・ソケット147のインナー・セレーション149が、ボルト123のピン・テール133に対してセレーション係合する。併せて、ボルト125の頭部131に、実験装置143の超音波センサ139の先端を当接させる。
そして、ソケット141を回転駆動制御すると共に超音波センサ139から超音波を発信させる。これにより、実験装置143は、ソケット141の締付トルク及び締付回転角度とボルト123の軸力とを検出しながらナット125のボルト123に対する締め付けを行わせることができる。なお、締付回転角度は、ナット125が被締結部材127に着座してからの前記締め付けによるナット125或いはソケット141の回転角度をいう。
かかる締め付けは、前記のように、ボルト123が降伏するまで行われる。
図7は、軸力及び締付トルクと締付回転角度との関係においてボルトの降伏を示すグラフである。なお、図7の縦軸は軸力又は締付トルクであり、横軸は締付回転角度である。また、図7の線分151は軸力の変化を、線分153は締付トルクの変化を示している。
前記締め付けでは、図7のように、ナット125の締付回転角度の増加に応じてボルト123の軸力及びナット125の締付トルクが共に増加していく。この状況をモニターしていくと、ボルト123は、ある締付回転角度で軸力増加の線形性を失う。
従って、この時点を降伏点と判断することができ、そのときの締付回転角度を降伏角度θy、軸力Fyを降伏軸力及び締付トルクTyを降伏締付トルクとして得ることができる。
このように、降伏実験では、降伏軸力の実測値と締付トルクの実測値との対応関係を得ることができる。また、ねじ面や座面の摩擦係数等を変更すれば、異なる降伏軸力の実測値と締付トルクの実測値との対応関係をも得ることができる。
結果として、例えば図8のように、複数の降伏締付トルクの実測値及び複数の降伏軸力の実測値間の対応関係を得ることができる。
図8は、ボルト径がM10、強度が9.8、降伏応力が720Mpaの降伏締付トルク及び降伏軸力の対応関係を示し、左欄が上記実施例1の計算によって得られた計算値であり、右欄が本実施例の実験によって得られた実測値である。
図8から明らかなように、計算値と実測値とを比較した場合、同一の降伏締付トルクに対する降伏軸力は、実測値の方が高いのが分かる。従って、かかる実測値に基づく降伏防止制御を行えば、計算による降伏防止制御よりも適切な制御を行わせることが可能となる。
なお、上記降伏実験では、後述するナットに締付トルクを付与する締結作業状況に応じて、ナットに締付トルクを付与していた。これに対し、上記実施例1の図5の変形例のようにボルト123に締付トルクを付与する締結作業を行う場合は、降伏実験もボルトに対して締付トルクを付与する必要がある。
[降伏防止制御]
図9は、降伏防止制御を示すフローチャートである。本実施例の降伏防止制御は、前記のように降伏実験での実測値に基づいて行われる。従って、降伏実験によって得られた複数の降伏締付トルクの実測値及び複数の降伏軸力の実測値間の対応関係を、予め締結工具システム1のコントローラ5に記憶しておく。
かかる降伏防止制御は、締結工具システム1による軸力検出締結作業の開始と共にスタートし、ステップS11からの処理が実行される。
ステップS11及びS12は、上記実施例1のステップS1及びS2(図3)に対応し、それぞれ軸力及び締付トルクの検出処理、軸力値及び締付トルク値の入力処理を行う。このステップS11及びS12の処理が完了すると、ステップS13に移行する。
ステップS13では、締付トルク値(検出値)が、ボルト123の軸力値(検出値)に対応する降伏締付トルクの実測値に達するか否かの演算処理を行う。
締付トルク値が降伏締付トルクの実測値に達しない場合は、ステップS14へ移行し、締付トルク値が降伏締付トルクの実測値に達する場合は、ボルト123の応力が降伏応力に達するときであると判断してステップS15へ移行する。
ステップS14は、上記実施例1のステップS5(図3)に対応し、ボルト123の軸力値が設定値となったか否かの演算処理を行う。軸力値が設定値となっている場合は、降伏防止制御が終了し、軸力値が設定値に満たない場合は、ステップS11に戻って以下の処理を繰り返す。
ステップS15は、上記実施例1のステップS6(図3)に対応し、締結作業の停止処理を行う。これにより、ナット125の締付トルクの増加を停止することができ、ボルト123の降伏を防止することができる。
次いで、ステップS16は、上記実施例1のステップS7(図3)に対応し、ボルト123の軸力値が設定値となったか否かの演算を行う。軸力値が設定値となっている場合は、締結作業が終了すると同時に降伏防止制御が終了する。軸力値が設定値に満たない場合は、ステップS17へ移行する。
ステップS17は、上記実施例1のステップS8(図3)に対応し、警告処理を行う。この結果、作業者は、不完全締結であること、つまり締付トルク値が降伏締付トルクの実測値に達する際にボルト123の軸力値が設定値に満たなかったことを確認することができる。この場合は、ボルト123及びナット125をばらし、潤滑油等をねじ面や座面に塗布して、再度の締結作業を適切に行うことができる。
こうしてステップS17が完了すると、降伏防止制御は終了する。
[実施例2の効果]
本実施例では、コントローラ5が、ボルト123のサンプルが降伏する時の複数の降伏軸力に対応する複数の降伏締付トルクの実測値を予め記憶して、検出された締付トルクが検出された軸力に対応する降伏締付トルクの実測値に達するときをボルト123の応力が降伏応力に達するときであると判断する。
このため、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
加えて、降伏軸力の実測値は、同一の降伏締付トルクに対する計算値と比較して高いため、より適切に降伏防止制御を行わせることができる。
また、本実施例の降伏防止制御では、検出された締付トルクが検出された軸力に対応する降伏締付トルクの実測値に達するか否かの判断を行えばよいので、演算量を減少して処理の迅速化を図ることができる。
1 締結工具システム
3 締結工具
5 コントローラ(制御部)
9 ソケット
11 超音波センサ
13 駆動部
101 電動モータ
117 軸力検出部
119 トルク検出部
123 ボルト
125 ナット
131 ボルトの頭部
137 基材

Claims (5)

  1. 締結工具に回転自在に設けられナット又はボルトの頭部に嵌合して前記ナットとボルトとを締め付け又は前記ボルトを基材に対して締め付けるためのソケットと、
    該ソケットを回転駆動して前記ナット又はボルトに締付トルクを付与する駆動部と、
    前記ボルトに作用する軸力を検出する軸力検出部と、
    前記駆動部の駆動制御によって前記締付トルクを制御する制御部と、
    前記締付トルクを検出するトルク検出部とを備え
    前記制御部は、前記締付トルクと前記軸力とに基づく前記ボルトの応力が降伏応力に達するときに前記締付トルクの増加を停止することで前記軸力が設定値となるまで前記ナット又はボルトの締め付けを行わせる締結工具システムであって
    前記ボルトの応力は、締付トルクをT、ボルトの軸力をF、ねじ有効直径をd 及びねじ谷径をd の平均であるボルトの直径をd 、座面の等価直径をd 、ねじ面及び座面の摩擦係数μとした場合に、以下の式
    に基づいて求められる、
    ことを特徴とする締結工具システム。
  2. 締結工具に回転自在に設けられナット又はボルトの頭部に嵌合して前記ナットとボルトとを締め付け又は前記ボルトを基材に対して締め付けるためのソケットと、
    該ソケットを回転駆動して前記ナット又はボルトに締付トルクを付与する駆動部と、
    前記ボルトに作用する軸力を検出する軸力検出部と、
    前記駆動部の駆動制御によって前記締付トルクを制御する制御部と、
    前記締付トルクを検出するトルク検出部とを備え設け、
    前記制御部は、前記締付トルクと前記軸力とに基づく前記ボルトの応力が降伏応力に達するときに前記締付トルクの増加を停止することで前記軸力が設定値となるまで前記ナット又はボルトの締め付けを行わせる締結工具システムであって
    前記制御部は、複数のボルトのサンプルが降伏する時の複数の降伏軸力に対応する複数の降伏締付トルクの実測値を予め記憶して、前記締付トルクが降伏締付トルクの実測値に達するときを前記ボルトの応力が降伏応力に達するときであると判断する、
    ことを特徴とする締結工具システム。
  3. 請求項1又は2記載の締結工具システムであって、
    前記締付トルクの増加停止は、前記駆動部を停止させることで行われる、
    ことを特徴とする締結工具システム。
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載の締結工具システムであって、
    前記駆動部は、前記ソケットに連動連結された電動モータを備え、
    前記トルク検出部は、前記電動モータの駆動力に応じて前記締付トルクを検出する、
    ことを特徴とする締結工具システム。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の締結工具システムであって、
    前記軸力検出部は、前記ボルトの軸方向端部に当接して軸力検出用の超音波を出入力する超音波センサを備えている、
    ことを特徴とする締結工具システム。
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