JP2004229487A - モータ制御装置及びモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置及びモータ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータが急停止した場合や高負荷で回転していたモータの回転方向が急激に変化する場合に、過電流異常が発生することや応答遅れが生じること、及びインバータに供給される電圧かが低下した場合等にトルクリップル、異音、振動が生じることを抑えることができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】上位コントローラ10より制御周期毎に電流指令値を入力し、該電流指令値とモータ50の巻線に流れる実電流値との電流偏差を積算し、該積算値に応じて電圧指令値を演算する電圧指令値演算部を備えたモータ制御装置ECUにおいて、前記電圧指令値演算部は、前記電流偏差積算値を前記インバータ回路30からモータ50に出力可能な電圧の最大値(電圧制限値)に応じた値以下に制限する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも電流偏差積算値に基づいて電圧指令値を演算し、モータを制御するモータ制御装置及びモータ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータやブラシ付きDCモータ、誘導電動機等のモータを駆動制御するモータ制御装置では、所定間隔(例えば1ms)の制御周期毎に上位コントローラから電流指令値を入力し、該電流指令値に基づいて電圧指令値を演算し、電圧指令値に応じた駆動電圧を生成してモータの巻線に供給している。このようなモータ制御装置では、モータの巻線に流れる実電流値を電流センサにより検出し、実電流値と電流指令値との電流偏差を求め、少なくともこの電流偏差の積算値(電流偏差積算値)に所定の演算処理を施して電圧指令値を求めている。こうして求めた電圧指令値はPWM(Pulse Width Modulation)制御部に送られる。PWM制御部では、直流電源部から供給される直流電圧をインバータ回路のスイッチング素子によりスイッチングしてPWMパルスを生成しモータに出力する。
【0003】
また、制御の容易化のため、3相DCモータでは3相2相変換した電流指令をモータ制御装置に入力し、PWMパターンを決定する際に逆変換(2相3相変換)を行うことが広く行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のモータ制御装置では、制御周期毎に実電流値と電流指令値との電流偏差を積算し、少なくともこの積算値(電流偏差積算値)に基づいて電圧指令値を求めている。しかしながら、PWMパルスによりモータに供給できる電圧はインバータ回路の構成に起因する制限がある。
【0005】
即ち、インバータ回路からモータ巻線に供給できる電圧は、瞬時的には直流電源から供給される電圧(オン)又は0V(オフ)の何れかでしかない。従って、スイッチング素子のスイッチングにより一制御周期内のオン時間とオフ時間を調整し、全体として目的の出力電圧となるようにしている。また、モータ巻線に略正弦波状の電流を供給する場合には、モータ電流の位相によって出力する電圧を調整しなければならない。
【0006】
一方、電流偏差積算値はモータの負荷や動作状況により、モータに供給できる電圧(PWMパルスの平均電圧)とは無関係に増大する、いわゆるワインドアップ現象が生ずる場合がある。このため、モータが急停止した場合や高負荷で回転していたモータの回転方向が急激に変化する場合等の制御に問題があった。例えば、非常停止によるメカブレーキの作動や、モータの被駆動部材が障害物に当たって急停止する場合等には、モータの回転により発生していた逆起電力が急激に消滅するので、余分な電流偏差積算値により過電圧が加わり、過電流異常が発生する場合があった。また、高負荷で回転していたモータの回転方向が急激に反転する場合や急減速する場合には、電流偏差積算値が適正値に戻るまでは電流偏差積算値を減らす方向(それまでの回転方向と同方向)へ回転するように制御が働くので、応答遅れが発生する場合があった。
【0007】
又、インバータに供給される電圧が低下した場合に、電圧指令値がインバータの出力可能な範囲を超えた状態となり、正弦波通電ができずにモータにトルクリップルを生むことになり振動、異音が発生する問題があった。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑み、モータが急停止したり回転方向が逆転する場合やインバータに供給される電圧が低下したりする場合等にも異常が発生することなく応答遅れやトルクリップル、振動、異音の少ないモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、制御周期毎に電流指令値を入力し、該電流指令値とモータの巻線に流れる実電流値との電流偏差を積算して電流偏差積算値を演算し、少なくとも該電流偏差積算値に応じて電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段と、直流の電源電圧を出力する直流電源部と、前記電源電圧をスイッチング素子によりスイッチングして生成したパルス電圧を前記モータに出力するインバータ回路と、前記電圧指令値に基づいて前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御する制御手段とを備えたモータ制御装置において、前記電圧指令値演算手段が演算した電圧指令値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧の範囲を超えて、電圧飽和するか否かを判定する電圧飽和判定手段を備え、前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段が電圧飽和すると判定したときは、前記電流偏差積算値の前記電流偏差の積算を制限することを特徴とすることを特徴とするモータ制御装置を要旨とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記直流電源部が出力する電源電圧を昇圧して前記インバータ回路に出力する昇圧回路と、前記モータの負荷量に応じて前記昇圧回路の出力電圧を制御する昇圧回路制御手段とを備え、前記インバータ回路は、前記昇圧回路の出力電圧をスイッチング素子によりスイッチングして生成したパルス電圧を、前記モータに印加することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、電圧飽和判定のための、前記インバータ回路に関連した物理量に基づいて電圧制限値を設定する電圧制限値設定手段を備え、前記電圧飽和判定手段は、制御周期毎に、前記電圧指令値に基づく値と、前記電圧制限値設定手段が設定した電圧制限値とを比較して、前記電圧指令値に基づく値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定し、前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合にはその次の制御周期において電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、前記電圧制限値は、前記直交2軸の軸方向に、前記インバータ回路から前記モータに出力可能な電圧の最大値であり、前記電圧飽和判定手段は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値と、前記電圧制限値とを比較して、該電圧指令値に基づく値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3において、前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、前記電圧制限値は、インバータ回路が出力可能な相電圧の最大値であり、前記電圧飽和判定手段は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値をベクトル合成した値と、前記電圧制限値とを比較して、該前記ベクトル合成した値の方が、前記電圧制限値)より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5において、前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合であって、前記各軸の電流偏差積算値と、電流偏差とが同符号のときにはその次の制御周期において前記直交2軸の電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6において、前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合、前記電圧指令値演算手段にて演算した前記直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧範囲を超えないように、少なくとも一方の軸に関する電圧指令値を補正する補正手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正手段はトルク重視の補正を行うためにd軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項7において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正手段は速度重視の補正を行うためにq軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項7において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、 前記補正手段は、両軸に関する電圧指令値の補正を行うこと特徴とする。
請求項11の発明は、制御周期毎に電流指令値を入力し、該電流指令値とモータの巻線に流れる実電流値との電流偏差を積算して電流偏差積算値を演算し、少なくとも該電流偏差積算値に応じて電圧指令値を演算し、該電圧指令値に基づいてインバータ回路のスイッチング素子により直流の電源電圧をスイッチングして生成したパルス電圧を前記モータに出力するモータ制御方法において、前記演算した電圧指令値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧の範囲を超えて、電圧飽和するか否かを判定し、電圧飽和すると判定したときは、前記電流偏差積算値の前記電流偏差の積算を制限することを特徴とすることを特徴とするモータ制御方法を要旨とするものである。
【0019】
請求項12の発明は、請求項11において、前記モータの負荷量に応じて前記インバータ回路に供給される電源電圧を昇圧することを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項11又は請求項12において、電圧飽和判定のために前記インバータ回路に関連した物理量に基づいて電圧制限値を設定し、
制御周期毎に、前記電圧指令値に基づく値と前記設定した電圧制限値とを比較して、前記電圧指令値に基づく値の方が大きい場合には電圧飽和と判定し、その次の制御周期において電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項13において、前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、前記電圧制限値は、前記直交2軸の軸方向に、前記インバータ回路から前記モータに出力可能な電圧の最大値であり、前記電圧飽和判定を行う際は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値と、電圧制限値とを比較して、該電圧指令値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、請求項13において、前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、前記電圧制限値は、インバータ回路が出力可能な相電圧の最大値であり、前記電圧飽和判定を行う際は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値をベクトル合成した値と、前記電圧制限値とを比較して、該電圧指令値をベクトル合成した値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明は、請求項14又は請求項15において、前記電圧指令値を演算する際、前記電圧飽和と判定された場合であって、前記各軸の電流偏差積算値と、電流偏差とが同符号のときにはその次の制御周期において前記直交2軸の電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とする。
【0023】
請求項17の発明は、請求項16において、前記電圧飽和と判定された場合、前記演算した前記直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧範囲を超えないように、少なくとも一方の軸に関する電圧指令値を補正することを特徴とする。
【0024】
請求項18の発明は、請求項17において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正はトルク重視の補正を行うためにd軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項19の発明は、請求項17において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正は速度重視の補正を行うためにq軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とする。
【0026】
請求項20の発明は、請求項17において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、両軸に関する電圧指令値の補正を行うこと特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明をブラシレス三相DCモータの制御装置に適用した第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0028】
図1はモータ制御システムの概要構成を示している。上位コントローラ10はブラシレス三相DCモータであるモータ50に供給すべき電流の指令値を電流指令として制御装置ECUの制御手段としての制御部20に出力する。制御部20では、入力された電流指令に基づいて電圧指令値を演算し、PWM制御によりU,V,W各相のPWM出力パターンを決定する。このPWM出力パターンはインバータ回路30に送られる。インバータ回路30には直流電源部40から直流の電源電圧Vbが供給されており、この電源電圧Vbは電源電圧検出手段としての電圧センサ40vで検出可能である。インバータ回路30はこの電源電圧をPWM出力パターンに基づいてスイッチングしてPWMパルスを生成し、モータ50に供給する。U相実電流Iu及びW相実電流IwはホールCT等の電流センサ50u及び電流センサ50wによってアナログ信号として検出され、制御部20にフィードバックされる。V相実電流IvはU相実電流Iu及びW相実電流Iwに基づいて制御部20の演算により求められる。モータ50にはモータ50の回転子回転角度を検出するエンコーダ50eが設けられ、回転子回転角度の情報が制御部20を介して上位コントローラ10にフィードバックされる。
【0029】
制御部20は、中央演算処理装置であるCPU21を中心として、CPU21で実行すべきプログラムを記憶したROM22、プログラムの実行に必要な情報を記憶するRAM23、及び周辺回路から構成されている。周辺回路には、上位コントローラ10とのインタフェース回路I/F24、インバータ回路30とのインタフェース回路I/F25、エンコーダ50eとのインタフェース回路I/F29及び各種A/D変換器が含まれる。各種A/D変換器には、電流センサ50u,50wからのアナログ信号をA/D変換するA/D変換器26,27、電圧センサ40vからのアナログ信号をA/D変換するA/D変換器28、がある。
【0030】
図2は、モータ制御システムの機能に着目してその構成とデータの流れを示した図である。電流指令値演算部110は上位コントローラ10の機能として実現されるものであり、図略の他の制御装置から入力される電流指令値I*及びエンコーダ50eから得られる回転子回転角度等に基づいて3相2相変換を行い、d軸電流指令値Id*,q軸電流指令値Iq*を演算する。d軸電流指令値Id*,q軸電流偏差ΔIq*は、モータ50の巻線に流すべき電流を、回転子上の永久磁石が作り出す回転磁束と同期した回転座標系において回転磁束と同一方向のd軸及びこれに直交したq軸成分の電流として表現した電流指令値である。d軸成分の電流指令値がId*、q軸成分の電流指令値がIq*である。Id*,Iq*は電圧指令値演算手段としての電圧指令値演算部120に出力される。
【0031】
電圧指令値演算部120は、d軸電流指令値Id*,q軸電流指令値Iq*及び電流センサから得られるU,V,W各相の実電流から3相2相変換により求めるd軸実電流Idならびにq軸実電流Iqに基づいて、d軸成分であるd軸電圧指令値Vd*及びq軸成分であるq軸電圧指令値Vq*を演算する。Vd*及びVq*は、2相3相変換部130にて公知の演算方法によりU相電圧指令値Vu*,V相電圧指令値Vv*,W相電圧指令値Vw*に変換される。
【0032】
各相の電圧指令値はPWM制御部140に入力される。PWM制御部140では、各相の電圧指令値に基づいてインバータ回路30のU,V,W各相のスイッチング素子の一制御周期内でのオン時間/オフ時間を演算し、この演算結果に基づいてスイッチング制御信号PWMu,PWMv,PWMwを生成し、インバータ回路30に出力する。インバータ回路30では、このスイッチング制御信号PWMu,PWMv,PWMwに従ってスイッチング素子をスイッチングし、生成したPWMパルスをモータ50に出力する。
【0033】
なお、電圧指令値演算部120,2相3相変換部130,PWM制御部140は、制御部20の機能として実現される。
以上のように構成された本実施形態のモータ制御システムにおいて、本実施形態の特徴である電圧指令値演算部120の処理内容について図3及び図4のフローチャートに基づいて以下詳細に説明する。又、2相3相変換部130,PWM制御部140での処理を図6のフローチャートを参照して説明する。なお、図3〜図6のフローチャート(制御プログラム)は所定の制御周期毎に1回ずつ繰り返し実行される処理である。
【0034】
図3は、d軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*を求める前段階の処理のフローチャートである。S102は上位コントローラからd軸電流指令値Id*,q軸電流指令値Iq*をインタフェース回路I/F24を介して読み込む処理である。S104はA/D変換器26,27を介して電流センサ50u,50wからU相実電流Iu,W相実電流Iwを読み込むとともにV相実電流Ivを演算して求める処理である。S106はインタフェース回路I/F29を介してエンコーダ50eから回転子回転角度を読み込む処理である。S108はU相実電流Iu,V相実電流Iv,W相実電流Iwを回転子回転角度に基づいて3相2相変換し、d軸実電流Id及びq軸実電流Iqを求める処理である。S110はA/D変換器28を介して電圧センサ40vからの電源電圧Vbを読み込む処理である。S112は、電源電圧Vbを基にして、モータのd軸及びq軸方向にインバータ回路30から出力可能な電圧の最大値(以下、積算値最大値VOという)を演算する処理である。前記積算値最大値VOは電圧制限値に相当する。
【0035】
具体的には、
VO=Vb/2×√(3/2)×k …(1)
という公知の演算式によりVOを求める。ここで、kはインバータの最大電圧利用率であり、インバータのdutyの制限に応じた利用率を示す定数である。前記電源電圧Vb及び利用率kは、インバータ回路30に関連する物理量に相当する。
【0036】
図4は、q軸の電圧指令値を演算する処理のフローチャートである。S202ではq軸電流偏差ΔIqを演算により求める。
具体的には、ΔIq=Iq* −Iq …(2)
の演算式によりΔIqを求める。S204はq軸電圧が+飽和しておらずかつq軸電流偏差ΔIqが正の値であるか、又は、q軸電圧が−飽和しておらずかつq軸電流偏差ΔIqが負の値であるかを判定する処理である。この判定の結果がYesであればS206〜S210の処理を行い、NoであればS206〜S210の処理をジャンプしてS212の処理を行う。なお、q軸電圧の+飽和/−飽和であるか否かは、S218又はS224でセットされる「q軸電圧+飽和フラグ」/「q軸電圧−飽和フラグ」により判断する。
【0037】
S206はq軸電流偏差積算値ΣΔIq(今回値)を演算する処理である。
具体的には、
ΣΔIq(今回値)=ΣΔIq(前回値)+ΔIq×Giq×T …(3)
の演算を行う。ここで、Giqはq軸電流偏差積分ゲインであり、Tは制御周期である。S208はq軸電流偏差積算値ΣΔIqの絶対値がガード値である積算値最大値VOを超えたかを判定する処理である。この判定の結果がYesである(q軸電流偏差積算値ΣΔIqの絶対値が積算値最大値VOを超えた)場合に限り、S210の処理を実行する。S210はq軸電流偏差積算値ΣΔIqの絶対値をガード値である積算値最大値VO以下に制限する処理であり、具体的には、
ΣΔIq=sign(ΣΔIq)×VO …(4)
の演算を行う。ここで、sign()は符号判定を行う関数で、”+1”又は”−1”の値を返すものである。
【0038】
S212はq軸電圧指令値Vq*を演算する処理である。
Vq*は、
Vq* =ΔIq×Gpq+ΣΔIq …(5)
という公知の演算式により求められる。ここで、Gpqはq軸電流偏差比例ゲインである。なお、S204からS212に移行した場合には、S212では前回値(前回制御周期で算出した値)であるΣΔIqを使用する。
【0039】
S214は「q軸電圧+飽和フラグ」及び「q軸電圧−飽和フラグ」をクリアする処理である。S216はS212で算出したq軸電圧指令値が+側に電圧飽和しているか、即ち、Vq*>VOであるかを判定する処理である。この判定の結果がYesであればS218及びS220の処理を行い、NoであればS222の処理に移行する。
【0040】
S218は「q軸電圧+飽和フラグ」をセットする処理である。この「q軸電圧+飽和フラグ」は次の制御周期におけるS204の処理で参照される。S220はq軸電圧指令値Vq*を積算値最大値VO以下に制限する処理である。S220は、q軸電圧指令値Vq*が+側に飽和している場合に実行される処理なので、Vq* =VOとすることにより、Vq*をVO以下に制限する。なお、S208及びS210の処理でq軸電流偏差積算値ΣΔIqの絶対値はVO以下に制限されているが、S212の処理でΣΔIqにΔIq×Gpqが加算されてVq*となるため、Vq*の絶対値がVOを超える場合が生じ得る。S220はこの場合でもVq*の絶対値がVOを超えないようにするための処理である。
【0041】
S220の処理後、図5に示すフローチャートのS302に移行する。
S222は、q軸電圧指令値が−側に電圧飽和しているか、即ち、Vq*<−VOであるかを判定する処理である。この判定の結果がYesである場合に限りS224及びS226の処理を行う。S224は「q軸電圧−飽和フラグ」をセットする処理である。この「q軸電圧−飽和フラグ」は、「q軸電圧+飽和フラグ」と同様、次の制御周期におけるS204の処理で参照される。S226はS220と同様にVq*の値を制限する処理であり、Vq* =−VOとする処理が行われ、図5に示すフローチャートのS302に移行する。
【0042】
また、S222でNOと判定されると、S302に移行する。
以上、図4のフローチャートの処理が終了すると、図5に示すフローチャートの処理を実行する。図5はd軸電圧指令値Vd*を演算する処理のフローチャートである。d軸電圧指令値Vd*はq軸電圧指令値Vq*と同様の処置手順によって求められるため、詳細な説明は省略する。
【0043】
すなわち、図4のフローチャートを参照して説明した上記説明中、「q」と記載した部分を「d」と読み替えすればよいため、説明を省略する。又、図5における各ステップには、図4のS202〜S226の各ステップに相当するステップには、「百」の桁を「3」の数とし、下2桁については、同じ数値を付す。
【0044】
なお、図5に示すΔIdはd軸電流偏差、ΣΔIdはd軸電流偏差積算値である。
2相3相変換部130,PWM制御部140での処理を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
図6はq軸電圧指令値Vq*及びd軸電圧指令値Vd*に基づいて、インバータ回路30に出力するスイッチング制御信号PWMu,PWMv,PWMwを公知の手順により求める処理のフローチャートである。S502はVq*,Vd*を2相3相変換し、U相電圧指令値Vu*,V相電圧指令値Vv*,W相電圧指令値Vw*を求める処理である。S504はVu*,Vv*,Vw*をPWM変換し、PWMu,PWMv,PWMwを求める処理である。S506ではPWMu,PWMv,PWMwをインバータ回路30に出力し、インバータ回路30を駆動する処理である。
【0046】
以上の処理により、上位コントローラ10から入力されるd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に基づいてインバータ回路30が駆動され、モータ50にPWM制御されたパルス電圧(PWM信号)が供給される。
【0047】
なお、CPU21は請求項における、電圧制限値設定手段、電圧指令値演算手段及び電圧飽和判定手段に相当する。電圧制限値設定手段の処理内容としては、図3のS112に示した処理が相当する。電圧指令値演算手段の処理内容としては図4のS202〜S212及び図5のS302〜S312に示した処理が該当する。又、CPU21は請求項における電圧飽和判定手段に相当する。電圧飽和判定手段の処理内容としては図4のS214〜S218,S222〜S224及び図5のS314〜S318,S322〜S324に示した処理が該当する。
【0048】
以上説明した第1実施形態の制御装置によれば、以下に示す効果がある。
(1) 第1実施形態のモータ制御装置のCPU21により、演算したd軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*(電圧指令値)が、インバータ回路30の出力可能な電圧の範囲を超えて、電圧飽和するか否かを判定するようにした。又、CPU21(電圧指令値演算手段)により、電圧飽和すると判定したときは、電流偏差積算値の電流偏差の積算を制限するようにした。又、モータ制御方法では、上述のように電圧飽和の判定及び電流偏差積算値の電流偏差の積算を制限するようにした。
【0049】
この結果、第1実施形態では、q軸電流偏差積算値ΣΔIq及びd軸電流偏差積算値ΣΔIdが積算値最大値VO以下に制限されるので、直流電源部40及びインバータ回路30の電圧出力能力を超えて電流偏差積算値が増大することがなく、ワインドアップ現象を防止することができる。このため、モータ50が急停止する際に過電流等の異常の発生を抑えることができ、また、モータ50の回転方向が急激に反転したり急減速する際にも応答遅れを改善することができる。
【0050】
(2)図4のS212及び図5のS312で演算したq軸電圧指令値Vq*,d軸電圧指令値Vd*と電圧制限値である積算値最大値VOとの比較結果により電圧飽和を示すフラグをセットし、このフラグによって次の制御周期で電流偏差を積算するか否かを判断する。このため、簡単な処理により確実に電流偏差積算値を積算値最大値VO以下に制限することができる。この結果、CPU21に負担をかけることがなく、短い制御周期を実現することができるので、モータ50を精度良く制御できる。
【0051】
(3)制御周期毎に電圧センサ40vで直流電源部40の電源電圧Vbを読み込み(図3のS110)、この電源電圧Vbを基にして積算値最大値VOを演算する(図3のS112)ので、電源電圧Vbが変動しても電流偏差積算値を適切に制限することができる。
【0052】
(4) 第1実施形態によれば、CPU21(電圧飽和判定手段)は、前記回転座標系の直交2軸(d軸,q軸)のそれぞれの電圧指令値と、電圧飽和判定のための電圧制限値である積算値最大値VOとを比較して、該電圧指令値の方が、積算値最大値VOより大きい場合には電圧飽和と判定するようにした。又、積算値最大値VOは、直交2軸の軸方向に、インバータ回路30からモータ50に出力可能な電圧の最大値とした。
【0053】
この結果、直交2軸の軸方向において、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、積算値最大値VO以下にすることができ、上記(1)の作用効果を容易に実現できる。
【0054】
(5) 第1実施形態によれば、CPU21は、S214〜S218,S222〜S224及びS314〜S318,S322〜S324にて各軸の電圧指令値が電圧飽和か否かを判定するようにした。そして、電圧飽和していると判定すると、S204,S304において、それぞれq軸電流偏差積算値ΣΔIq,d軸電流偏差積算値ΣΔIdと、q軸電流偏差ΔIq,d軸電流偏差ΔIdとが同符号のとき、次の制御周期において各軸の電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止するようにした。
【0055】
この結果、上記(1)の作用効果を容易に実現できる効果を奏する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。なお、この第2実施形態は、前記第1実施形態において、直流電源部40が出力する電源電圧を昇圧してインバータ回路30に出力する昇圧回路41、及び、昇圧回路41を制御する昇圧回路制御手段としての昇圧回路制御部42を設けたものであり、その他の点では第1実施形態と同一の構成になっている。以下では昇圧回路41及び昇圧回路制御部42についてのみ説明することとし、第1実施形態と共通する構成部分については図面上に同一符号を付すこととして重複した説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、第2実施形態では直流電源部40とインバータ回路30との間に昇圧回路41が設けられ、昇圧回路41にはこれを制御する昇圧回路制御部42が設けられている。昇圧回路制御部42は制御部20のインタフェース回路I/F25aを介してCPU21と接続されている。
【0057】
昇圧回路41は、直流電源部40から出力される電圧を昇圧してインバータ回路30に出力するものであり、コイルL1,電界効果トランジスタFET1,ダイオードD1,コンデンサC1から構成される。電界効果トランジスタFET1のオン/オフは昇圧回路制御部42により制御される。電界効果トランジスタFET1のオン時間/オフ時間を変えることにより、電源電圧Vbを可変とすることができる。昇圧回路制御部42はCPU21からの指示により電界効果トランジスタFET1のオン時間/オフ時間を調整する。即ち、CPU21からの指示に応じた電源電圧Vbを昇圧回路41からインバータ回路30に出力することができる。
【0058】
以上のように構成された第2実施形態の作用及び効果を説明する。第1実施形態の構成による場合でも、直流電源部40から出力される電圧がモータ50に要求される負荷量に比較して十分大きい場合には問題はない。しかし、例えば車両のバッテリー(DC12V/DC24V)を直流電源部40とし該車両のパワーステアリングのパワーアシスト用にモータ50を駆動するような場合には、モータ50に供給される電圧が不足して電流を流し込めないために必要なモータ出力(トルク及び回転数)を得られない場合がある。仮にこのような場合でもモータ50から必要なモータ出力を得られるようにするためには、モータ巻線の巻数を多くしなければならず、モータ重量が増すとともにコストが上昇するという問題がある。
【0059】
第2実施形態によれば、昇圧回路41でインバータ回路30に供給される電源電圧Vbを昇圧し、モータ50に供給される電圧を高くすることにより、この問題を解決することができる。即ち、モータ50の負荷が大きく、直流電源部40から出力される電圧のままでは負荷の駆動に必要なモータ出力を得られない場合には、CPU21の指示により電源電圧Vbをモータ50の負荷量に応じた値まで昇圧する。これにより、モータ50から必要なモータ出力を得ることができる。
【0060】
なお、昇圧回路41の出力電圧の目標値は、モータ50の負荷量の段階ごとに必要となる電圧値を予め計算してROM22等に記憶した対応表によって求めるものでもよく、モータ50の負荷量に基づいて制御周期毎に演算して求めるものでもよい。また、モータ50の負荷量はインバータ回路30のスイッチング素子の一制御周期内でのオン時間(+電圧の出力時間)の割合とほぼ比例するので、この割合に基づいて負荷量を推定し昇圧回路41の出力電圧の目標値を求めるようにしてもよい。モータ50の負荷量はU,V,W相の実電流値又はd軸実電流Id,q軸実電流Iq等により検出可能である。
【0061】
一方、モータ50の負荷が小さく、直流電源部40から出力される電圧のままでも負荷の駆動に必要なモータ出力を得られる場合には、昇圧回路41での昇圧を行わないことにより、高精度な制御が可能となる。即ち、電源電圧Vbに対してモータ50の負荷が小さい場合には、インバータ回路30のスイッチング素子のスイッチングの頻度が減少し、モータ50の各相の巻線に供給される電流の高調波が大きくなる。このためモータ巻線の電流波形が正弦波状にならなくなり、高精度な制御ができない。そこで、このような場合には昇圧回路41での昇圧を行わないようにし、適当な頻度でインバータ回路30のスイッチング素子のスイッチングが行われるようにすることにより、高精度なモータ50の制御が可能となる。
【0062】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)〜(3)に加え、昇圧回路41により直流電源部40の出力電圧を昇圧してインバータ回路30に出力することにより、直流電源部40の出力電圧をそのままインバータ回路30に出力した場合以上のモータ出力をモータ50から得ることができる。また、直流電源部40の出力電圧を昇圧しなくてもモータ50から必要なモータ出力を得られる場合には昇圧をしないことにより、モータ50を高精度に制御できるという効果もある。
【0063】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図8〜図11を参照して説明する。
なお、第3実施形態は、第1実施形態のハード構成については同じであるため、第1実施形態と同一構成及び相当する構成については、同一符号を付して、その説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0064】
図8、図9は、第3実施形態のCPU21が実行するフローチャートであり、所定の制御周期毎に1回ずつ繰り返し実行される処理である。このフローチャート中、S102〜S112、S202〜S212、S302〜S312、及びS502〜S506の処理は、第1実施形態のフローチャートと同じ処理であるため、同一ステップ番号を付して、その説明を省略する。なお、S202〜S212は、以下、q軸電圧指令値演算ルーチンS200といい、S302〜S312は,以下、d軸電圧指令値演算ルーチンS300という。又、S502〜S506は、S500のルーチンとし、変換・出力処理ルーチンという。
【0065】
S112の後に行われるS113は電圧飽和閾値演算処理であり、下記式(6)で電圧飽和閾値Vmaxを演算する。
Vmax=g(Vb)
=(Vb/2)×k …(6)
ここで、kはインバータ回路30の最大電圧利用率であり、インバータ回路30のdutyの制限に応じた利用率を示す定数である。前記電圧飽和閾値Vmaxは、電圧制限値に相当し、インバータ回路30が出力可能な相電圧の最大値である。電源電圧Vb及び利用率kは、インバータ回路30に関連する物理量に相当する。
【0066】
この処理の後、q軸電圧指令値演算ルーチンS200を実行し、S200の処理の後、d軸電圧指令値演算ルーチンS300を実行する。又、S300の処理の後、S400の電圧飽和判定ルーチンを実行する。
【0067】
図9は、S400の電圧飽和判定ルーチンのフローチャートを示している。
S402は、「q軸電圧+飽和フラグ」、「q軸電圧−飽和フラグ」、「d軸電圧+飽和フラグ」及び「d軸電圧−飽和フラグ」をクリアする処理である。S404は、電圧飽和判定処理である。具体的には、q軸電圧指令値Vq*及びd軸電圧指令値Vd*のベクトル合成した値が下記の条件を満たしているか否かを判定する。
【0068】
√(2/3)×√(Vd*^2+Vq*^2)≦Vmax(電圧飽和閾値)…(7)
なお、上記式中、「^」はべき乗を示している。
【0069】
ここで、上記式(7)の根拠について説明する。
d軸電圧指令値,及びq軸電圧指令値をVd*、Vq*としたときに、2相3相変換された後の各相の電圧指令値は、下記の通りとなる。
【0070】
Vu*=√(2/3)×{Vd*×cosθ−Vq*×sinθ} …(8)
Vv*=√(2/3)×{Vd*×cos(θ−120°)−Vq*×sin(θ−120°)} …(9)
Vw*=√(2/3)×{Vd*×cos(θ−240°)−Vq*×sin(θ−240°)} …(10)
従って、各相電圧指令値の振幅は、下記式となる。
|各相電圧指令値|=√(2/3)×√(Vd*^2+Vq*^2)…(11)
ここで、インバータ回路30が出力可能な最大電圧利用率をβ[%]とすると、インバータ回路30は、
(−Vb/2)×β/100〜(Vb/2)×β/100
の範囲しか電圧を出力できない。従って、相電圧指令値としては、
√(2/3)×√(Vd*^2+Vq*^2)≦(Vb/2)×β/100
を満足する必要がある。
【0071】
ここで、β/100=kとすると、Vmax(電圧飽和閾値)=(Vb/2)×β/100となる。
従って、式(7)となる。
【0072】
この条件を満足しない場合、各相電圧の頂点付近が飽和してクランプされ、きれいな正弦波で通電できず、その結果、電流波形が歪むことになる。図10は、相電圧を示した説明図であり、電圧飽和が発生し、クランプされた場合の相電圧波形を示している。U,V,Wはそれぞれ各相の電圧波形を示している。
【0073】
このような、条件を満足しないときとは、例えば、電動パワーステアリング制御装置においては、逆起電力が大きく電流が欲しい急操舵時の場合に発生しやすい。このような場合、各軸のd軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*が大きいため、相電圧波形が歪む結果、相電流波形が歪み、異音の発生がある。
【0074】
S404において、q軸電圧指令値Vq*及びd軸電圧指令値Vd*のベクトル合成した値が式(7)を満足している場合、すなわち、この判定の結果がYesであればS406の処理を行い、Noであればこのルーチンを終了し、S500に移行する。
【0075】
S408は、d軸電圧指令値Vd*の符号が正か否かを判定する処理である。正であれば、S408に移行した後、S412に移行する。又、負であれば、S410に移行した後、S412に移行する。S408及びS410は、それぞれ「d軸電圧+飽和フラグ」、「d軸電圧−飽和フラグ」をセットする処理である。この「d軸電圧+飽和フラグ」及び「d軸電圧−飽和フラグ」は、S304で参照される。
【0076】
S412は、q軸電圧指令値Vq*の符号が正か否かを判定する処理である。正であれば、S414に移行した後、S418に移行する。又、負であれば、S416に移行した後、S418に移行する。S414及びS416は、それぞれ「q軸電圧+飽和フラグ」、「q軸電圧−飽和フラグ」をセットする処理である。この「q軸電圧+飽和フラグ」及び「q軸電圧−飽和フラグ」は、S204で参照される。
【0077】
S418は、d軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*の調整処理、すなわち、補正処理である。この補正処理により、前記式(7)を満足するようにする。補正処理は、具体的には、d軸電圧指令値Vd*のみの補正処理、q軸電圧指令値Vq*のみの補正処理、又は、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の両軸の電圧指令値の補正処理がある。S418では、これらの補正処理のうち、いずれかの補正処理を行う。
【0078】
前記各補正処理について説明する。
1) d軸電圧指令値Vd*のみの補正処理は、下記の演算式(12)にて行う。
【0079】
Vd*(補正後)=α1×Vd*(補正前) …(12)
なお、α1=√(3/2)×√(Vmax^2−Vq*^2)/Vd*(補正前)である。
【0080】
2) q軸電圧指令値Vq*のみの補正処理は、下記の演算式(13)にて行う。
Vq*(補正後)=α2×Vq*(補正前) …(13)
なお、α2=√(3/2)×√(Vmax^2−Vd*^2)/Vq*(補正前)である。
【0081】
3) d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の補正処理は、下記の演算式(14)及び演算式(15)にて行う。
Vd*(補正後)=α3×Vd*(補正前) …(14)
Vq*(補正後)=α3×Vq*(補正前) …(15)
なお、α3=√(3/2)×(Vmax/√(Vd*(補正前)^2+Vq*(補正前)^2)である。
【0082】
前記1)のd軸電圧指令値Vd*のみの補正処理は、トルク重視の補正処理である。2)のq軸電圧指令値Vq*のみの補正処理は、速度重視の補正処理である。又、3)のd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の補正処理は、トルク及び速度ともバランスがとれた補正処理となる。
【0083】
本実施形態では、3)のd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の補正処理を行う。
S418の処理の後、S500の変換・出力処理ルーチンに移行する。S418の補正処理により、式(7)を満足することになり、直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、インバータ回路30の出力可能な電圧範囲を超えないようになる。
【0084】
第3実施形態では、CPU21は請求項における電圧制限値設定手段、電圧指令値演算手段、電圧飽和判定手段、及び補正手段に相当する。電圧制限値設定手段の処理内容としては、第1実施形態とは異なり、図8のS113に示した処理が相当する。電圧指令値演算手段の処理内容としては図8のS202〜S212及びS302〜S312に示した処理が該当する。又、CPU21は請求項における電圧飽和判定手段に相当する。電圧飽和判定手段の処理内容としては、第1実施形態とは異なり、図9のS402〜S416に示した処理が該当する。補正手段の処理内容としては、S418に示した処理が相当する。
【0085】
第3実施形態によれば、第1実施形態の(1)、及び(3)の効果の他、下記の作用効果を奏する。
(1) 第3実施形態のモータ制御装置及びモータ制御方法では、電圧制限値を、電圧飽和閾値Vmaxとした。すなわち、電圧制限値をインバータ回路30が可能な最大値の相電圧とした。そして、CPU21は、回転座標系の直交2軸であるd軸,q軸電圧指令値をベクトル合成した値と、電圧制限値である電圧飽和閾値Vmaxとを比較して、ベクトル合成した値の方が、電圧飽和閾値Vmaxより大きい場合に、電圧飽和と判定するようにした。
【0086】
第3実施形態では、第1実施形態と異なり、直交する2軸の軸方向に、d軸,q軸の電圧指令値の個々について、それぞれ電圧飽和を判定しておらず、ベクトル合成した値が、電圧制限値を超えるか否かで判定しているため、より精度が高い判定ができる。
【0087】
(2) 第3実施形態では、CPU21が、電圧飽和と判定した場合、演算した直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、インバータ回路30の出力可能な電圧範囲として、電圧飽和閾値Vmaxを超えないように、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の補正処理を行うようにした。
【0088】
なお、この補正をしない場合、例えば、図11(b)の場合が生ずることがある。図11(b)は、q軸電圧指令値Vq,d軸電圧指令値Vdは、積算値最大値VO以内であるが、ベクトル合成した値が、電圧飽和閾値Vmaxを超える場合である。この場合には、式(7)を満足しないため、2相3相変換された際、各相電圧の頂点付近が飽和してクランプされ、きれいな正弦波で通電できず、その結果、電流波形が歪み、相電圧波形が歪む結果、相電流波形が歪み、異音の発生がある。しかし、本実施形態ではこのようなことはなく、図11(c)のようにベクトル合成した値が、電圧飽和閾値Vmaxを超えないようなるため、正弦波通電が可能となり、トルクリップルや、振動、異音発生等を低減することができる。
【0089】
なお、図11(a)は、q軸電圧指令値Vq,d軸電圧指令値Vdは、積算値最大値VO以内であって、両軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、電圧飽和閾値Vmax以内の場合である。
【0090】
なお、前記各実施形態は、以下のような別形態にして変更して実施することも可能である。
(1) 前記各実施形態ではブラシレス三相DCモータを制御する場合について説明したが、ブラシレス三相DCモータに限られず、誘導電動機やブラシ付きDCモータに適用してもよい。また、直線移動するリニアモータに適用することも可能である。
【0091】
(2) インバータ回路30からモータ50に出力するパルス電圧のパルス幅を一定にし、電源電圧Vbを制御することにより、ブラシ付きDCモータを制御するものでもよい。即ち、PAM制御(Pulse Amplitude Modulation、パルス電圧振幅制御方式)によりモータ50を制御するものでもよい。
【0092】
(3) 第3実施形態では、補正手段S418の補正処理では、3)の処理を行ったが、S418の補正処理として、前記1)のd軸電圧指令値Vd*のみの補正処理を行ってもよい。この場合、トルク重視の補正処理となる。
【0093】
(4) 第3実施形態では、S418の補正処理では、3)の処理を行ったが、前記2)のq軸電圧指令値Vq*のみの補正処理を行ってもよい。この場合、速度重視(モータ回転速度重視)の補正処理となる。
【0094】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項20記載の発明によれば、インバータ回路の電圧出力能力を超えて電流偏差積算値が増大することがないので、モータの急停止、急減速、急反転時の異常発生又は応答遅れを抑えることができる。
【0095】
請求項2、請求項12記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明の効果に加え、直流電源部から出力される電源電圧をそのままインバータ回路に供給する場合よりも、大きなモータ出力を得ることができる。
【0096】
請求項3、請求項13記載の発明によれば、簡単な処理により確実に電流偏差積算値が電圧制限値を超えないように制限することができる。
請求項4、請求項14記載の発明によれば、回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値と、電圧制限値との比較により、電圧飽和の判定を行うことができる。
【0097】
請求項5、請求項15記載の発明によれば、回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値をベクトル合成した値と、電圧制限値との比較により、電圧飽和の判定をより精度高く行うことができる。
【0098】
請求項6、請求項16記載の発明によれば、モータの急停止、急減速、急反転時の異常発生又は応答遅れの抑制の効果を容易に実現できる。
請求項7乃至請求項10、及び請求項17乃至請求項20記載の発明によれば、直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、インバータ回路の出力可能な電圧範囲を超えないように確実に実現することができ、トルクリップル、振動、異音を低減することができる。
【0099】
請求項8、請求項18記載の発明によれば、トルク重視の電圧指令値の補正を行うことができる。
請求項9、請求項19記載の発明によれば、速度重視(モータ回転速度重視)電圧指令値の補正を行うことができる。
【0100】
請求項10、請求項20記載の発明によれば、トルク重視や、速度重視とならず、バランスのよい電圧指令値の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるモータ制御システムの概要構成図。
【図2】同じくモータ制御システムの機能に着目した構成図。
【図3】同じく制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図4】同じく制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図5】同じく制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図6】同じく制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態におけるモータ制御システムの概要構成図。
【図8】第3実施形態における制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図9】同じく制御部20の処理内容を示すフローチャート。
【図10】同じく各相電圧がクランプされた状態を示す説明図。
【図11】(a)〜(c)は同じく各軸の電圧指令値とベクトル合成した値と、電圧飽和閾値Vmaxとの説明図。
【符号の説明】
10…上位コントローラ
ECU…制御装置
20…制御部(制御手段)
21…CPU(電圧指令値演算手段、電圧飽和判定手段、補正手段、電圧制限値設定手段)
30…インバータ回路
40…直流電源部
41…昇圧回路
42…昇圧回路制御部(昇圧回路制御手段)
50…モータ

Claims (20)

  1. 制御周期毎に電流指令値を入力し、該電流指令値とモータの巻線に流れる実電流値との電流偏差を積算して電流偏差積算値を演算し、少なくとも該電流偏差積算値に応じて電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段と、直流の電源電圧を出力する直流電源部と、前記電源電圧をスイッチング素子によりスイッチングして生成したパルス電圧を前記モータに出力するインバータ回路と、前記電圧指令値に基づいて前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを制御する制御手段とを備えたモータ制御装置において、
    前記電圧指令値演算手段が演算した電圧指令値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧の範囲を超えて、電圧飽和するか否かを判定する電圧飽和判定手段を備え、
    前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段が電圧飽和すると判定したときは、前記電流偏差積算値の前記電流偏差の積算を制限することを特徴とすることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1記載のモータ制御装置において、
    前記直流電源部が出力する電源電圧を昇圧して前記インバータ回路に出力する昇圧回路と、
    前記モータの負荷量に応じて前記昇圧回路の出力電圧を制御する昇圧回路制御手段とを備え、
    前記インバータ回路は、前記昇圧回路の出力電圧をスイッチング素子によりスイッチングして生成したパルス電圧を、前記モータに印加することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載のモータ制御装置において、
    電圧飽和判定のための、前記インバータ回路に関連した物理量に基づいて電圧制限値を設定する電圧制限値設定手段を備え、
    前記電圧飽和判定手段は、制御周期毎に、前記電圧指令値に基づく値と、前記電圧制限値設定手段が設定した電圧制限値とを比較して、前記電圧指令値に基づく値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定し、
    前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合にはその次の制御周期において電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項3記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、
    前記電圧制限値は、前記直交2軸の軸方向に、前記インバータ回路から前記モータに出力可能な電圧の最大値であり、
    前記電圧飽和判定手段は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値と、前記電圧制限値とを比較して、該電圧指令値の方が前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項3記載のモータ制御装置において、
    前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、
    前記電圧制限値は、インバータ回路が出力可能な相電圧の最大値であり、
    前記電圧飽和判定手段は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値をベクトル合成した値と、前記電圧制限値とを比較して、該前記ベクトル合成した値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項4又は請求項5記載のモータ制御装置において、
    前記電圧指令値演算手段は、前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合であって、前記各軸の電流偏差積算値と、電流偏差とが同符号のときにはその次の制御周期において前記直交2軸の電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項6記載のモータ制御装置において、
    前記電圧飽和判定手段にて電圧飽和と判定された場合、前記電圧指令値演算手段にて演算した前記直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧範囲を超えないように、少なくとも一方の軸に関する電圧指令値を補正する補正手段を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項7記載のモータ制御装置において、
    前記直交2軸は、d軸とq軸であり、
    前記補正手段はトルク重視の補正を行うためにd軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項7記載のモータ制御装置において、
    前記直交2軸は、d軸とq軸であり、
    前記補正手段は速度重視の補正を行うためにq軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とするモータ制御装置。
  10. 請求項7記載のモータ制御装置において、前記直交2軸は、d軸とq軸であり、
    前記補正手段は、両軸に関する電圧指令値の補正を行うこと特徴とするモータ制御装置。
  11. 制御周期毎に電流指令値を入力し、該電流指令値とモータの巻線に流れる実電流値との電流偏差を積算して電流偏差積算値を演算し、少なくとも該電流偏差積算値に応じて電圧指令値を演算し、該電圧指令値に基づいてインバータ回路のスイッチング素子により直流の電源電圧をスイッチングして生成したパルス電圧を前記モータに出力するモータ制御方法において、
    前記演算した電圧指令値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧の範囲を超えて、電圧飽和するか否かを判定し、
    電圧飽和すると判定したときは、前記電流偏差積算値の前記電流偏差の積算を制限することを特徴とすることを特徴とするモータ制御方法。
  12. 請求項11記載のモータ制御方法において、
    前記モータの負荷量に応じて前記インバータ回路に供給される電源電圧を昇圧することを特徴とするモータ制御方法。
  13. 請求項11又は請求項12記載のモータ制御方法において、
    電圧飽和判定のために前記インバータ回路に関連した物理量に基づいて電圧制限値を設定し、
    制御周期毎に、前記電圧指令値に基づく値と前記設定した電圧制限値とを比較して、前記電圧指令値に基づく値の方が大きい場合には電圧飽和と判定し、その次の制御周期において電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とするモータ制御方法。
  14. 請求項13記載のモータ制御方法において、
    前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、
    前記電圧制限値は、前記直交2軸の軸方向に、前記インバータ回路から前記モータに出力可能な電圧の最大値であり、
    前記電圧飽和判定を行う際は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値と、電圧制限値とを比較して、該電圧指令値の方が前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とするモータ制御方法。
  15. 請求項13記載のモータ制御方法において、
    前記電流指令値、前記実電流値、前記電流偏差、前記電流偏差積算値、及び前記電圧指令値は、それぞれ回転座標系の直交2軸に関するものであり、
    前記電圧制限値は、インバータ回路が出力可能な相電圧の最大値であり、
    前記電圧飽和判定を行う際は、前記回転座標系の直交2軸のそれぞれの電圧指令値をベクトル合成した値と、前記電圧制限値とを比較して、該電圧指令値をベクトル合成した値の方が、前記電圧制限値より大きい場合には電圧飽和と判定するものであることを特徴とするモータ制御方法。
  16. 請求項14又は請求項15記載のモータ制御方法において、
    前記電圧指令値を演算する際、前記電圧飽和と判定された場合であって、前記各軸の電流偏差積算値と、電流偏差とが同符号のときにはその次の制御周期において前記直交2軸の電流偏差積算値をさらに増大させる電流偏差の積算を停止することを特徴とするモータ制御方法。
  17. 請求項16記載のモータ制御方法において、
    前記電圧飽和と判定された場合、前記演算した前記直交2軸の電圧指令値をベクトル合成した値が、前記インバータ回路の出力可能な電圧範囲を超えないように、少なくとも一方の軸に関する電圧指令値を補正することを特徴とするモータ制御方法。
  18. 請求項17記載のモータ制御方法において、
    前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正はトルク重視の補正を行うためにd軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とするモータ制御方法。
  19. 請求項17記載のモータ制御方法において、
    前記直交2軸は、d軸とq軸であり、前記補正は速度重視の補正を行うためにq軸に関する電圧指令値の補正を行うことを特徴とするモータ制御方法。
  20. 請求項17記載のモータ制御方法において、
    前記直交2軸は、d軸とq軸であり、両軸に関する電圧指令値の補正を行うこと特徴とするモータ制御方法。
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