JP2008193869A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 モータ制御装置5は、電動モータ3に流れるモータ電流を検出する電流センサ9と、電動モータ3に印加する指示電圧を生成する指示電圧生成部13と、モータ電流をフィルタリングする電流フィルタ32と、指示電圧をフィルタリングする電圧フィルタ31と、フィルタリングされたモータ電流およびモータ電圧に基づいて電動モータ3の回転位置を演算する位置推定部21と、電流指令値に応じて電流フィルタ32および電圧フィルタ31の遮断周波数を可変設定する遮断周波数設定部23とを含む。
【選択図】図1
Description
そこで、この発明の一つの目的は、モータ駆動目標値の変動によらずに精度良く回転位置を推定することができ、これにより、精度の高いモータ駆動制御を実現できるモータ制御装置を提供することである。
モータ電流およびモータ電圧をそれぞれ電流フィルタおよび電圧フィルタで処理することによって、これらのフィルタの特性に応じた位相遅れが生じる。そして、この位相遅れは、モータ電流およびモータ電圧の周波数に依存する。モータ電流およびモータ電圧の周波数は、モータの回転速度に依存する。そこで、モータの回転速度に応じて回転位置演算手段による演算結果を補正することにより、電流フィルタおよび電圧フィルタでの位相遅れに起因する位置推定誤差を補正することができる。これにより、より精度の高い回転位置を求めることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与える電動モータ3と、この電動モータ3を駆動制御するモータ制御装置5とを備えている。モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクに応じて電動モータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。電動モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスDCモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、U相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。電動モータ3は、ロータの外部にステータを配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを配置したアウターロータ型のものであってもよい。
UVW/αβ座標変換部17は、三相検出電流IUVWを、二相固定座標系上での電流IαおよびIβ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iαβ」という。)に座標変換する。二相固定座標系とは、ロータ50の回転中心を原点としてα軸およびこれに直交するβ軸を定めた固定座標系である(図2参照)。座標変換された二相検出電流Iαβは、αβ/γδ座標変換部18に与えられる。
αβ/UVW座標変換部15は、α軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *を三相固定座標系の指示電圧、すなわち、U相、V相およびW相の指示電圧VU *,VV *,VW *(以下、これらをまとめていうときには「三相指示電圧VUVW」という。)に変換する。
このような構成によって、舵取り機構2に結合された操作部材としてのステアリングホイール(図示せず)に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、その検出された操舵トルクに応じた電流指令値Idqが電流指令値生成部11によって生成される。この電流指令値Idqと検出電流Iγδとの偏差が偏差演算部19によって求められ、この偏差を零に導くようにPI制御部12によるPI演算が行われる。この演算結果に対応した指示電圧Vγδが指示電圧生成部13によって生成され、これが、座標変換部14,15を経て三相指示電圧VUVWに変換される。そして、PWM制御部16の働きによって、その三相指示電圧VUVWに応じたデューティ比で駆動回路8が動作することによって、電動モータ3が駆動され、電流指令値Idqに対応したアシストトルクが舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクに応じて操舵補助を行うことができる。電流センサ9によって検出される三相検出電流IUVWは、座標変換部17,18を経て、電流指令値Idqに対応するように回転座標系(γ−δ)で表された検出電流Iγδに変換された後に、偏差演算部19に与えられる。
位置推定部21は、電動モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、電動モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバ25と、この外乱オブザーバ25が出力する推定誘起電圧から高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された推定値フィルタ26と、この推定値フィルタ26が出力する推定誘起電圧(フィルタリング後の値)に基づいて、ロータ50の推定回転位置θ^を生成する推定位置生成部27とを有している。
電流指令値微分部24は、電流指令値生成部11が生成する電流指令値idq(トルク指令値)を時間微分し、得られた微分値(駆動目標微分値)を遮断周波数設定部23に与える。実際には、電流指令値微分部24は、電流指令値idqの前回値と今回値との差分を求め、これを電流指令値idqの微分値として遮断周波数設定部23に与える。
γδ/αβ座標変換部14で演算された二相指示電圧Vαβは、電圧フィルタ31に入力され、UVW/αβ座標変換部17で演算された二相検出電流Iαβは、電流フィルタ32に入力される(ステップS1)。
このフィルタリング後の電圧信号および電流信号を用いて、外乱オブザーバ25が推定誘起電圧E^αβを求める(ステップS4)。この推定誘起電圧E^αβに対して、推定値フィルタ26がフィルタリングを行う(ステップS5)。このフィルタリングは、遮断周波数ωcでの低域通過フィルタ処理である。
以上のように、この実施形態によれば、電圧フィルタ31、電流フィルタ32および推定値フィルタ26の遮断周波数ωcが、推定回転速度ω^、電流指令値idqおよびその微分値に基づいて可変設定される。これにより、誘起電圧の推定演算に必要十分な電流信号および電圧信号を外乱オブザーバ25に入力することができ、さらに、回転位置推定演算に必要十分な周波数帯に処理された推定誘起電圧E^αβを推定位置生成部27に入力することができる。その結果、位置推定精度を高めることができるから、γδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18での座標変換演算が正確に行われるようになり、ひいては、電動モータ3を高精度にセンサレス制御できるようになる。
しかし、電動パワーステアリング装置の場合には、ロータ回転位置推定に必要な信号の周波数域が、位相遅れが生じる周波数域に入っている。そのため、遮断周波数ωcは位相遅れが生じる周波数域に設定されることになる。したがって、モータ回転速度がωの場合に、ロータの回転位置の演算に誤差θεが生じる。
図10には、図11のボード線図における周波数対位相の関係の符号を反転した参照曲線72が二点鎖線で示されている。この参照曲線72に従って位置補償値θcを生成すれば、信号処理部20に起因する誤差θεを補償することができる。前述の曲線71は、参照曲線72を線形近似したものである。むろん、この曲線71は一例にすぎず、参照曲線72に対して非線形近似を行って補償値特性曲線を定めてもよい。また、曲線71に従って得られた位置補償値θcに対して、信号処理部20の時間遅れなどを考慮して、オフセットを加算するなどの変形も可能である。
このように、この実施形態では、信号処理部20で生じる位相遅れ分を推定回転速度ω^に応じて補償した正確な推定回転位置(θ^+θc)が求められるので、さらに高精度に電動モータ3を制御することができる。換言すれば、信号処理部20での処理については、フィルタ処理に起因する位相遅れに対する配慮が不要になるので、位置推定部21に入力される信号が最適化されるように信号処理部20での信号処理が可能になる。これにより、位置推定精度を格段に向上することができ、センサレス制御時の電動モータ3の性能および効率を向上することができる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としての電動モータ3に本発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途の電動モータの制御に対しても適用が可能である。
Claims (4)
- モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、
前記モータに印加されるモータ電圧を指示するモータ電圧指示手段と、
前記モータ電流検出手段の出力をフィルタリングする電流フィルタと、
前記モータ電圧指示手段の出力をフィルタリングする電圧フィルタと、
前記電流フィルタによってフィルタリングされたモータ電流、および前記電圧フィルタによってフィルタリングされたモータ電圧に基づいて、前記モータの回転位置を演算する回転位置演算手段と、
前記モータの駆動目標値に応じて、前記電流フィルタおよび前記電圧フィルタの遮断周波数を可変設定する遮断周波数設定手段とを含む、モータ制御装置。 - 前記モータの駆動目標値を微分して、駆動目標微分値を演算する微分手段をさらに含み、
前記遮断周波数設定手段は、さらに前記微分手段によって演算された駆動目標微分値に応じて、前記電流フィルタおよび前記電圧フィルタの遮断周波数を可変設定するものである、請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記回転位置演算手段によって演算されたモータの回転位置から当該モータの回転速度を演算する回転速度演算手段をさらに含み、
前記遮断周波数設定手段は、さらに前記回転速度演算手段によって演算された回転速度に応じて、前記電流フィルタおよび前記電圧フィルタの遮断周波数を可変設定するものである、請求項1または2記載のモータ制御装置。 - 前記回転速度演算手段によって演算される回転速度に応じて、前記回転位置演算手段によって演算される回転位置を補正する位置補正手段をさらに含む、請求項3記載のモータ制御装置。
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