JP5327503B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスDCモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転位置を検出するための位置センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。位置センサとしては、ロータ回転位置(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。レゾルバが出力する正弦波信号および余弦波信号は、いずれか一方だけでは2つの回転位置候補を特定できるにすぎないが、それらの両方を用いることで、一つのロータ回転位置を特定することができる。
正弦波信号の信号線および余弦波信号の信号線のうちの一方に断線故障が生じると、ロータ回転位置を一意に特定することができなくなるから、ブラシレスモータの駆動制御を継続できなくなる。
この問題は、特許文献1の先行技術の適用によって緩和される。この先行技術では、レゾルバをメイン角度検出手段として用いる一方で、モータの逆起電力に基づいてモータの回転角度を推定するサブ角度検出手段が備えられている。メイン角度検出手段の故障時には、サブ角度検出手段でモータの回転角度を検出するようにしている。
特開2003−164187号公報
しかし、モータの逆起電力に基づいてモータの回転角度を推定するサブ角度検出手段では、レゾルバほど精度の高いロータ位置情報が得られない。そのため、「非常時の緊急避難的なバックアップを担うサブシステムとして、フェイルセーフを確保するのには適している」かもしれないが、位置検出誤差のために、モータを効率良く駆動することができず、十分なトルク出力が得られないおそれがある。
そこで、この発明の目的は、正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときでも、ロータ回転位置を精度良く求めることができ、これにより、モータ制御性能を向上することができるモータ制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(51〜53)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、前記ロータの回転位置に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成するレゾルバ(10)と、前記レゾルバが生成する前記正弦波信号および余弦波信号に基づいてロータ回転位置を求める第1回転位置演算手段(21)と、モータ電流およびモータ電圧(目標値であってもよいし、検出値であってもよい。)に基づいて、ロータの回転情報を推定する回転情報推定手段(24,25,28,29,30,40)と、前記レゾルバが生成する前記正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときに正常な他方の信号と、前記回転情報推定手段によって推定される回転情報とに基づいて、前記レゾルバ以外のレゾルバの出力信号を用いることなく、ロータ回転位置を求める第2回転位置演算手段(22)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、正弦波信号および余弦波信号の両方が正常なときには、これらの両方を用いて、第1回転位置演算手段により、正確なロータ回転位置を求めることができる。一方、正弦波信号および余弦波信号のうちのいずれか一方に異常が生じたときには、正常な他方の信号を用いて、他のレゾルバの出力信号を用いることなく、第2回転位置演算手段によってロータ回転位置が求められる。正弦波信号および余弦波信号の一方だけではロータ回転位置を求めることができないので、モータ電流およびモータ電圧に基づいてロータの回転情報(たとえば、ロータ回転位置、回転位置領域または回転方向(回転速度))が回転情報推定手段によって求められる。第2回転位置演算手段は、求められた回転情報と前記正常な他方の信号とを用いることで、ロータ回転位置を求める。たとえば、前記正常な他方の信号のみでは不足する情報を、モータ電流およびモータ電圧から推定した回転情報によって補う構成としたり、あるいは、モータ電流およびモータ電圧から推定した回転情報を前記正常な他方の信号を用いて補正する構成としたりすることができる。
このようにして、推定演算だけで求めるよりも精度の高いロータ回転位置を求めることができる。これにより、正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときでも、ロータの回転位置を精度良く求めることができるから、モータ制御性能を向上することができ、トルク出力の低下を抑制できる。しかも、センサを追加するわけではないので、大幅なコスト増加を招くこともない。
正弦波信号および余弦波信号のいずれに異常が生じているかは、既知の手段によって特定可能である。たとえば、正弦波信号および余弦波信号が伝送される信号線を電源電圧にプルアップまたはグランド電位にプルダウンしておき、正弦波信号または余弦波信号が導出されなくなったときに、当該信号線に電源電圧またはグランド電位が現れるようにしておけばよい。これにより、信号線の電位が電源電圧またはグランド電位に固定されたことに基づいて、正弦波信号または余弦波信号の異常発生を特定できる。
請求項2記載の発明は、前記回転情報推定手段は、前記ロータの回転位置領域を特定する領域特定手段(25)を含み、前記第2回転位置演算手段は、前記領域特定手段によって特定される回転位置領域に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、請求項1記載のモータ制御装置である。より具体的には、前記回転情報推定手段は、前記モータのインダクタンスを求めるインダクタンス演算手段(24)を含み、前記領域特定手段は、前記インダクタンス演算手段によって求められるインダクタンスに基づいて、前記ロータの回転位置領域を特定するものであってもよい。
モータのインダクタンス(たとえば、α軸インダクタンス)は、ロータ回転位置に応じて変化する。そこで、モータのインダクタンスから、ロータの回転位置領域を特定することができる。そこで、前記正常な他方の信号と、回転位置領域とを用いることにより、正確なロータ回転位置を求めることができる。
たとえば、二相固定座標系αβにおけるα軸方向のインダクタンスLαは、定数L0,L1およびロータ回転位置θを用いて、次式によって表すことができる。
α=L0+L1cos2θ
したがって、この式に基づいて、α軸インダクタンスLαから、ロータの回転位置領域を特定することができる。
前記正常な他方の信号から、これに対応する2つの回転位置候補を特定することができるから、領域特定手段により特定される回転位置領域内の回転位置候補を選択することにより、正確なロータ回転位置を得ることができる。
2つの回転位置候補を特定するために、ロータ回転位置に対する正弦波信号値の関係を表す正弦波信号テーブルと、ロータ回転位置に対する余弦波信号値の関係を表す余弦波信号テーブルとを設けておくことが好ましい。
請求項3記載の発明は、前記回転情報推定手段は、ロータ回転方向を推定する回転方向推定手段(29)を含み、前記第2回転位置演算手段は、前記回転方向推定手段によって推定されるロータ回転方向に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、モータ電流およびモータ電圧に基づいてロータ回転方向が推定される。前述のとおり、前記正常な他方の信号(正弦波信号または余弦波信号)から回転位置候補が2つ得られるので、推定された回転方向に基づいて、そのうちの一つを選択することによって、正確なロータ回転位置を得ることができる。これにより、正弦波信号および余弦波信号の一方に異常が生じているときでも、ロータ回転位置を高精度で求めることができる。
前記ロータ回転方向推定手段は、ロータの回転速度(回転角速度)を推定する回転速度推定手段(29)を含んでいてもよい。
請求項4記載の発明は、前記回転情報推定手段は、ロータ回転位置を推定する位置推定手段(30)を含み、前記第2回転位置演算手段は、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択する選択手段(S26,S27)を含む、請求項1記載のモータ制御装置である。
前述のとおり、前記正常な他方の信号のみを用いることで、ロータ回転位置を2つの回転位置候補に絞り込むことができる。そこで、この発明では、モータ電流およびモータ電圧に基づいて推定された推定ロータ回転位置に近い方の回転位置候補が選択される。こうして、精度の高いロータ回転位置を得ることができる。
請求項5記載の発明は、前記選択手段は、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるとき、および前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときに、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記第2回転位置演算手段が直前に演算したロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択するものである、請求項4記載のモータ制御装置である。
正弦波信号は90度および270度で極値をとる。そのため、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるときは、推定されるロータ回転位置と2つの回転位置候補との差がほぼ等しくなり、いずれとも決定し難くなる。また、余弦波信号は0度および180度で極値をとる。そのため、前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときは、推定されるロータ回転位置と2つの回転位置候補との差がほぼ等しくなり、いずれとも決定し難くなる。そこで、これらの場合には、直前に演算されたロータ回転位置に近いロータ回転位置候補が選択されて、今回のロータ回転位置とされる。こうして、尤もらしいロータ回転位置を求めることができる。なお、第2回転位置演算手段は、繰り返しロータ回転位置を演算するものである。
請求項6記載の発明は、ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
正弦波信号および余弦波信号に基づいてロータ回転位置を求める第1回転位置演算手段と、
モータ電流およびモータ電圧に基づいて、ロータの回転情報を推定する回転情報推定手段と、
前記正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときに正常な他方の信号と、前記回転情報推定手段によって推定される回転情報とに基づいて、ロータ回転位置を求める第2回転位置演算手段とを含み、
前記回転情報推定手段は、ロータ回転位置を推定する位置推定手段を含み、
前記第2回転位置演算手段は、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択する選択手段を含み、
前記選択手段は、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるとき、および前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときに、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記第2回転位置演算手段が直前に演算したロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択するものである、モータ制御装置である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与えるモータ3(電動モータ)と、このモータ3を駆動制御するモータ制御装置5とを備えている。モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクに応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスDCモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータに配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ7と、このマイクロコンピュータ7によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)8と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流センサ9と、モータ3のロータ回転位置を検出するレゾルバ10とを備えている。レゾルバ10は、ロータ回転位置に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成するものである。正弦波信号は正弦波信号線10aを介してマイクロコンピュータ7に供給され、余弦波信号は余弦波信号線10bを介してマイクロコンピュータ7に供給されるようになっている。マイクロコンピュータ7は、所定のサンプリング周期毎に、正弦波信号線10aおよび余弦波信号線10bからの信号をサンプリングし、ディジタルデータに変換して取り込むように動作する。
マイクロコンピュータ7は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値生成部11と、PI(比例積分)制御部12と、指示電圧生成部13と、γδ/αβ座標変換部14と、αβ/UVW座標変換部15と、PWM制御部16と、UVW/αβ座標変換部17と、αβ/γδ座標変換部18と、偏差演算部19と、加算部20と、第1位置演算部21と、第2位置演算部22と、切換え部23と、パラメータ同定部24と、領域特定部25と、信号異常検出部26とが含まれている。
電流指令値生成部11は、モータ3のロータ磁極方向に沿うd軸電流成分の指令値Id *と、d軸に直交するq軸電流成分の指令値Iq *とを生成する。以下、これらをまとめて言うときには、「電流指令値Idq」という。ただし、dq座標平面はロータ50の回転方向に沿う平面であり、d軸およびq軸は、ロータ50とともに回転する二相回転座標系(d−q)を規定する(図2参照)。
モータ3のU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す電流指令値I*を用いると、d軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *は、次式(1)(2)のように表される。
Figure 0005327503
したがって、電流指令値生成部11は、d軸電流指令値Id *=0を生成する一方で、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクに応じたq軸電流指令値Iq *を生成する。より具体的には、操舵トルクに対応したq軸電流指令値Iq *を記憶したマップ(テーブル)を用いてq軸電流指令値Iq *が生成されるようになっていてもよい。モータ3が発生するトルクは、モータ電流に対応するから、電流指令値Idqは、モータ3から発生させるべきトルクを指令するための「トルク指令値」と言い換えることもできる。
電流センサ9は、モータ3のU相電流IU、V相電流IVおよびW相電流IWを検出する(以下、これらをまとめていうときには「三相検出電流IUVW」という)。その検出値は、UVW/αβ座標変換部17に与えられる。
UVW/αβ座標変換部17は、三相検出電流IUVWを、二相固定座標系(α−β)上での電流IαおよびIβ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iαβ」という。)に座標変換する。二相固定座標系(α−β)とは、ロータ50の回転中心を原点として、ロータ50の回転平面内にα軸およびこれに直交するβ軸を定めた固定座標系である(図2参照)。座標変換された二相検出電流Iαβは、αβ/γδ座標変換部18に与えられる。
αβ/γδ座標変換部18は、二相検出電流Iαβを、推定ロータ回転位置θ^(以下、「推定回転位置θ^」という。)に従う二相回転座標系(γ−δ)上での電流IγおよびIδ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iγδ」という。)に座標変換する。二相回転座標系(γ−δ)は、推定回転位置θ^にロータ50がある場合に、ロータ磁極方向に沿うγ軸と、このγ軸に直交するδ軸とによって規定される回転座標系である(図2参照)。推定回転位置θ^に誤差がなく、実際のロータ回転位置と一致しているとき、二相回転座標系(d−q)と二相回転座標系(γ−δ)とは一致する。推定回転位置θ^は、第1位置演算部21または第2位置演算部22によって演算され、切換え部23によって選択されたロータ回転位置である。
二相検出電流Iγδは、偏差演算部19に与えられるようになっている。この偏差演算部19は、d軸電流指令値Id *に対するγ軸電流Iγの偏差、およびq軸電流指令値Iq *に対するδ軸電流Iδの偏差を演算する。これらの偏差がPI制御部12に与えられてそれぞれPI演算処理を受ける。そして、これらの演算結果に応じて、指示電圧生成部13によって、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *(以下、これらをまとめていうときには「二相指示電圧Vγδ」という。)が生成されて、γδ/αβ座標変換部14に与えられる。
γδ/αβ座標変換部14は、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *を、二相固定座標系(α−β)の指示電圧であるα軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *(以下、これらをまとめていうときには「二相指示電圧Vαβ」という。)に座標変換する。この二相指示電圧Vαβは、αβ/UVW座標変換部15に与えられる。
αβ/UVW座標変換部15は、α軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *を三相固定座標系の指示電圧、すなわち、U相、V相およびW相の指示電圧VU *,VV *,VW *(以下、これらをまとめていうときには「三相指示電圧VUVW」という。)に変換する。
PWM制御部16は、三相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じて制御されたデューティ比の駆動信号を生成して駆動回路8に与える。これにより、モータ3の各相には、該当する相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じたデューティ比で電圧が印加されることになる。
このような構成によって、舵取り機構2に結合された操作部材としてのステアリングホイール(図示せず)に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、その検出された操舵トルクに応じた電流指令値Idqが電流指令値生成部11によって生成される。この電流指令値Idqと二相検出電流Iγδとの偏差が偏差演算部19によって求められ、この偏差を零に導くようにPI制御部12によるPI演算が行われる。この演算結果に対応した二相指示電圧Vγδが指示電圧生成部13によって生成され、これが、座標変換部14,15を経て三相指示電圧VUVWに変換される。そして、PWM制御部16の働きによって、その三相指示電圧VUVWに応じたデューティ比で駆動回路8が動作することによって、モータ3が駆動され、電流指令値Idqに対応したアシストトルクが舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクに応じて操舵補助を行うことができる。電流センサ9によって検出される三相検出電流IUVWは、座標変換部17,18を経て、電流指令値Idqに対応するように二相回転座標系(γ−δ)で表された二相検出電流Iγδに変換された後に、偏差演算部19に与えられる。
回転座標系と固定座標系との間での座標変換のためには、ロータ50の回転位置を表す位相角(電気角)θが必要である。この位相角を表す推定回転位置θ^が、レゾルバ10の出力を用いて生成され、γδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18に与えられるようになっている。
パラメータ同定部24は、二相検出電流Iαβおよび二相指示電圧Vαβに基づいて、モータパラメータを同定する。この実施形態では、同定されるモータパラメータは、インダクタンスLを含む。より詳しくは、パラメータ同定部24は、α軸インダクタンスLα、β軸インダクタンスLβ、αβ軸間インダクタンスLαβを同定する。この場合に、パラメータ同定部24は、たとえば、次式(3)で表されるモータモデルに基づいて、パラメータ(RおよびL)を同定する。ただし、vはモータ3に印加される電圧(この実施形態ではv=Vαβ)、iはモータ電流(この実施形態ではi=Iαβ)、pは微分演算子である。
v=(R+pL)i …(3)
領域特定部25は、パラメータ同定部24によって同定されるパラメータに基づいて、ロータ50の回転位置領域を推定する。
より具体的に説明すると、α軸インダクタンスLα、β軸インダクタンスLβ、およびαβ軸間インダクタンスLαβは、ロータ50の回転位置θに依存し、次のように表される。
α=L0+L1cos2θ …(4)
β=L0−L1cos2θ …(5)
αβ=L1sin2θ …(6)
ただし、L0,L1はインダクタンスの成分であり、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqを用いて次のように表される。
0=(Ld+Lq)/2 …(7)
1=(Ld−Lq)/2 …(8)
したがって、α軸インダクタンスLα、β軸インダクタンスLβ、αβ軸間インダクタンスLαβをパラメータ同定部24で同定すると、これらを用いて、次式(9)に基づいてロータ回転位置θを推定することができる。
Figure 0005327503
こうして推定される回転位置θは、レゾルバ10で検出されるロータ回転位置ほど正確ではないが、ロータ回転位置がいずれの角度領域にあるかを特定するには充分である。
また、領域特定部25は、前記式(4)に基づき、α軸インダクタンスLαだけを用いてロータ回転位置の角度領域を求めてもよい。すなわち、前記式(4)の関係を図に表すと、図3のようになる。そこで、たとえば、α軸インダクタンスLαとロータ回転位置θとの対応関係(図3の曲線に対応するもの)を格納したテーブルを用意しておき、パラメータ同定部24で同定されたα軸インダクタンスLαをそのテーブルに当てはめることによって、ロータの回転位置領域を求めてもよい。
参照信号生成部27は、パラメータ同定のために二相指示電圧Vαβに重畳すべき参照信号を生成する。たとえば、参照信号としては、M系列信号を用いることができる。この参照信号は、加算部20によって、二相指示電圧Vαβに重畳されるようになっている。
参照信号生成部27で生成された参照信号は、γδ/αβ座標変換部14が生成するα軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *にそれぞれ重畳される。これにより、モータ3のステータ巻線51〜53に参照信号が注入される。一方、パラメータ同定部24は、UVW/αβ座標変換部17が生成する二相検出電流Iαβ(モータ3からの応答)と、加算部20が生成する参照信号が重畳された二相指示電圧Vαβとに基づいて、モータパラメータを同定する。こうして同定されたモータパラメータを用いて、領域特定部25によって、ロータの回転位置領域が特定される。
第1位置演算部21は、レゾルバ10が出力する正弦波信号および余弦波信号の両方を用いることにより、ロータ50の回転位置を特定し、その回転位置を表す信号を切換え部23に供給する。正弦波信号および余弦波信号の一方のみではロータ回転位置の2つの候補が特定できるにすぎないが、これらの両方を用いることによって、ロータ回転位置を一意に特定することができる。
第2位置演算部22は、レゾルバ10からの正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じたときに、正常な他方の信号を用いてロータ回転位置を演算するものである。正弦波信号および余弦波信号の一方のみでは2つの回転位置候補が特定できるに過ぎない。そこで、第2位置演算部22は、領域特定部25による処理結果から、2つの回転位置候補のうちのいずれか一方を選択し、選択された回転位置候補を推定回転位置として切換え部23に与える。
信号異常検出部26は、正弦波信号および余弦波信号の異常を検出するものである。より具体的には、信号異常検出部26は、正弦波信号線10aおよび余弦波信号線10bの断線故障を検出することができるものである。たとえば、正弦波信号線10aおよび余弦波信号線10bをそれぞれプルアップ抵抗を介して電源電位に接続しておく構成をとることができる。この場合、正弦波信号線10aが断線すると、この正弦波信号線10aにはレゾルバ10からの正弦波信号が導出されなくなり、代わりに、正弦波信号線10aの電位は電源電位に固定される。同様に、余弦波信号線10bが断線すると、この余弦波信号線10bにはレゾルバ10からの余弦波信号が導出されなくなり、代わりに、余弦波信号線10bの電位は電源電位に固定される。むろん、電源電位にプルアップする代わりに、接地電位にプルダウンする構成とすることもできる。レゾルバ10が出力する信号異常の検出には、他の公知の方法を適用してもよい。
信号異常検出部26は、正弦波信号または余弦波信号に異常が生じると、異常が生じた信号を特定する。切換え部23は、正弦波信号および余弦波信号の両方が正常であれば、第1位置演算部21が演算する回転位置を選択して出力する。また、切換え部23は、正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、第2位置演算部22が演算する推定回転位置を選択して出力する。第2位置演算部22は、正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、正常な他方の信号と領域特定部25によって特定される回転位置領域とに基づいて、推定回転位置を演算する。
図4は第2位置演算部22等がサンプリング周期毎に繰り返し実行する位置推定演算を説明するための図であり、図5はその演算手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図4では、正弦波信号が正常で、余弦波信号に異常が生じていて、正常な正弦波信号を用いてロータ回転位置を推定する場合の状況が示されている。以下、この状況を例にとって説明する。
あるサンプリング周期において正弦波信号Xsがサンプリングされると(ステップS1)、これを正規化した信号Rs(=Xs/As。ただし、Asは信号の振幅。)が求められる(ステップS2)。この正規化された正弦波信号Rsから、2つの回転位置候補θ1,θ2(図4は信号Rs=Rsaの場合)が求まる(ステップS3)。たとえば、第2位置演算部22は、正規化された正弦波信号Rsとロータ回転位置とを対応付けたテーブル、および正規化された余弦波信号とロータ回転位置とを対応付けたテーブルを備えており、これらのテーブルを参照して2つの回転位置候補θ1,θ2を求めてもよい。正弦波信号に対応するテーブルは、図4に示す正規化正弦波曲線に対応するものである。
正弦波信号が正常である場合には、ロータ回転位置の全領域360度(電気角)を、0度〜90度および180度〜270度の区間からなるA領域と、90度〜180度および270度〜360度の区間からなるB領域との2つの領域に分ける。すると、2つの回転位置候補θ1,θ2は、一方がA領域に属し、他方がB領域に属することになる。そこで、領域特定部25は、パラメータ同定部24によって同定されたパラメータ(インダクタンス)に基づいて、ロータ回転位置が属する回転位置領域をA領域およびB領域のうちのいずれかに特定する(ステップS4)。第2位置演算部22は、2つの回転位置候補θ1,θ2のうち、領域特定部25によって特定されたいずれかの領域に属するものを選択し、それを推定回転位置θ^として生成する(ステップS5)。
このように、この実施形態によれば、レゾルバ10が発生する正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、このことが信号異常検出部26によって検出され、異常が生じた信号が特定される。これにより、切換え部23は、第1位置演算部21が演算するロータ回転位置を出力する状態から、第2位置演算部22が演算するロータ回転位置を出力する状態へと切り換わる。すなわち、正弦波信号および余弦波信号の両方が正常なときには、第1位置演算部21により、それらの両方を用いてロータ回転位置が求められ、これを用いてγδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18での座標変換が行われる。その一方で、正弦波信号および余弦波信号のうちのいずれか一方に異常が生じると、正常な他方の信号を用い、さらに、領域特定部25においてインダクタンスに基づいて特定されたロータ回転位置の角度領域を用いて、ロータ回転位置が求められる。このロータ回転位置は、レゾルバ10の出力を用いて求められた正確な回転位置である。したがって、この正確なロータ回転位置を用いることで、一方の信号に異常が生じたときでも、γδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18での座標変換を正確に行うことができる。このようにして、いずれの場合も正確なロータ回転位置を求めることができるので、モータ3の制御性能が高まり、モータ3から効率的にトルクを発生させることができる。
図6は、この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。この図6において、前述の図1に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、マイクロコンピュータ7は、パラメータ同定部24によって同定されたインダクタンスに基づいてロータ回転位置を推定する位置推定部28と、この位置推定部28によって推定されたロータ回転位置を時間微分することによりロータ回転速度ω^を推定する速度推定部29とを備えている。そして、レゾルバ10が出力する正弦波信号および余弦波信号の一方に異常が生じたときには、第2位置演算部22は、正常な他方の信号と、速度推定部29によって推定されるロータ回転速度とを用いて、ロータ回転位置を推定する。
図7は第2位置演算部22が所定のサンプリング周期毎に繰り返し実行する位置演算処理を説明するための図であり、図8はその処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図7では、正弦波信号が正常で、余弦波信号に異常が生じていて、正常な正弦波信号を用いてロータ回転位置を推定する場合の状況が示されている。以下、この状況を例にとって説明する。
あるサンプリング周期において正弦波信号Xsがサンプリングされると(ステップS11)、これを正規化した信号Rs(=Xs/As。ただし、Asは信号の振幅。)が求められる(ステップS12)。この正規化された正弦波信号Rsから、2つの回転位置候補θ1,θ2(図7は信号Rs=Rsaの場合)が求まる(ステップS13)。たとえば、第2位置演算部22は、正規化された正弦波信号Rsとロータ回転位置とを対応付けたテーブル、および正規化された余弦波信号とロータ回転位置とを対応付けたテーブルを備えており、これらのテーブルを参照して2つの回転位置候補θ1,θ2を求めてもよい。正弦波信号に対応するテーブルは、図7に示す正規化正弦波曲線に対応するものである。
1サンプリング周期前のロータ回転位置θPが2つの回転位置候補θ1,θ2の間の値であるときに、速度推定部29によって推定されたロータ回転速度ω^が増加方向(回転位置が増加する方向)であるとする。このとき、第2位置演算部22は、1サンプリング周期前のロータ回転位置θPよりも大きな回転位置候補θ2を選択し、これを推定回転位置θ^とする(ステップS14)。逆に、速度推定部29によって推定されたロータ回転速度ω^が減少方向(回転位置が減少する方向)であるとすれば、第2位置演算部22は、1サンプリング周期前のロータ回転位置θP(第2位置演算部22が求めたロータ回転位置)よりも小さな回転位置候補θ1を選択し、これを推定回転位置θ^とする(ステップS14)。このようにして、第2位置演算部22は、1サンプリング周期前のロータ回転位置θPと、速度推定部29によって推定されるロータ回転速度ω^とに基づいて、2つの回転位置候補θ1,θ2のいずれかを選択する。これが、第2位置演算部22の演算結果としての推定回転位置として生成される(ステップS14)。
このように、この実施形態によれば、レゾルバ10が発生する正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、このことが信号異常検出部26によって検出され、異常が生じた信号が特定される。これにより、切換え部23は、第1位置演算部21が演算するロータ回転位置を出力する状態から、第2位置演算部22が演算するロータ回転位置を出力する状態へと切り換わる。第2位置演算部22は、正常な他方の信号を用い、さらに、速度推定部29によって推定されるロータ回転速度ω^に基づいて、すなわち、ロータの回転方向に基づいて、2つの回転位置候補θ1,θ2のうちのいずれか一方を選択する。こうして求められるロータ回転位置は、レゾルバ10の出力を用いて求められた正確な回転位置である。したがって、一方の信号に異常が生じたときでも正確なロータ回転位置を求めることができるので、モータ3の制御性能が高まり、モータ3から効率的にトルクを発生させることができる。
図9は、この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。この図9において、前述の図1に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、二相指示電圧Vαβおよび二相検出電流Iαβに基づいてロータの回転位置を推定する位置推定部30が備えられている。そして、第2位置演算部22は、レゾルバ10が出力する正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、正常な他方の信号と位置推定部30によって推定されるロータ回転位置とに基づいて、推定回転位置θ^を演算する。より具体的には、第2位置演算部22は、前記正常な他方の信号によって特定される2つの回転位置候補のうち、位置推定部30によって推定されたロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択し、これを推定回転位置θ^として出力する。
図10は、位置推定部30の構成例を説明するためのブロック図である。位置推定部30は、信号処理部31と、ロータ位置推定部32とを備えている。信号処理部31は、二相指示電圧Vαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電圧フィルタ33と、二相検出電流Iαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電流フィルタ34とを有している。ロータ位置推定部32には、信号処理部31によって信号処理(フィルタリング)された後の二相指示電圧Vαβおよび二相検出電流Iαβが与えられるようになっている。ロータ位置推定部32は、モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバ35と、この外乱オブザーバ35が出力する推定誘起電圧から高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された推定値フィルタ36と、この推定値フィルタ36が出力する推定誘起電圧(フィルタリング後の値)に基づいて、ロータの推定回転位置θeを生成する推定位置生成部37とを有している。そして、信号処理部31の電圧フィルタ33によってフィルタリングされた二相指示電圧Vαβと、電流フィルタ34によってフィルタリングされた二相検出電流Iαβとが、ロータ位置推定部32の外乱オブザーバ35にそれぞれ入力されるようになっている。
図11は、外乱オブザーバ35およびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。モータ3の数学モデルであるモータモデルは、たとえば、(R+pL)-1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。モータ3には、二相指示電圧Vαβと誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
外乱オブザーバ35は、二相検出電流Iαβを入力としてモータ電圧を推定する逆モータモデル(モータモデルの逆モデル)38と、この逆モータモデル38によって推定されるモータ電圧と二相指示電圧Vαβとの偏差を求める電圧偏差演算部39とで構成することができる。電圧偏差演算部39は、二相指示電圧Vαβに対する外乱を求めることになるが、図11から明らかなとおり、この外乱は誘起電圧Eαβに相当する推定値E^αβ(α軸誘起電圧推定値E^αおよびβ軸誘起電圧推定値E^β(以下、まとめて「推定誘起電圧E^αβ」という。)になる。逆モータモデル38は、たとえば、R+pLで表される。
推定値フィルタ36は、たとえば、a/(s+a)で表される低域通過フィルタで構成することができる。aは、設計パラメータであり、この設計パラメータaにより、推定値フィルタ36の遮断周波数ωcが定まる。
誘起電圧Eαβは、次の(10)式で表すことができる。ただし、KEは誘起電圧定数、θはロータ回転位置、ωはロータ回転速度である。
Figure 0005327503
したがって、推定誘起電圧E^αβが求まれば、次の(11)式に従って、推定回転位置θeが求まる。この演算が、推定位置生成部37によって行われるようになっている。
Figure 0005327503
図12は第2位置演算部22等がサンプリング周期毎に繰り返し実行する位置演算処理を説明するための図であり、図13はその処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図12および図13では、正弦波信号が正常で、余弦波信号に異常が生じていて、正常な正弦波信号を用いてロータ回転位置を推定する場合の状況が示されている。以下、この状況を例にとって説明する。
あるサンプリング周期において正弦波信号Xsがサンプリングされると(ステップS21)、これを正規化した信号Rs(=Xs/As。ただし、Asは信号の振幅。)が求められる(ステップS22)。この正規化された正弦波信号Rsから、2つの回転位置候補θ1,θ2(図12は信号Rs=Rsaの場合)が求まる(ステップS23)。たとえば、第2位置演算部22は、正規化された正弦波信号Rsとロータ回転位置とを対応付けたテーブル、および正規化された余弦波信号とロータ回転位置とを対応付けたテーブルを備えており、これらのテーブルを参照して2つの回転位置候補θ1,θ2を求めてもよい。正弦波信号に対応するテーブルは、図12に示す正規化正弦波曲線に対応するものである。
一方、位置推定部30により、二相指示電圧Vαβおよび二相検出電流Iαβに基づいて、推定回転位置θeが求められる(ステップS24)。第2位置演算部22は、推定回転位置θeが90度の近傍の所定範囲90−ε≦θe≦90+ε(εは定数)、または270度の近傍の所定範囲270−ε≦θe≦270+εに属するかどうかを判断する(ステップS25)。推定回転位置θeが前記所定範囲のいずれにも属さない場合(ステップS25:NO。図12(a)参照)には、第2位置演算部22は、2つの回転位置候補θ1,θ2のうち、位置推定部30によって求められた推定回転位置θeに近い方の回転位置候補を選択し、これを推定回転位置θ^として出力する(ステップS26)。一方、推定回転位置θeが前記所定範囲のいずれかに属する場合(ステップS25:YES。図12(b)参照)には、第2位置演算部22は、2つの回転位置候補θ1,θ2のうち、直前のサンプリング周期において当該第2位置演算部22が生成したθ^に近い方の回転位置候補を選択し、これを今回のサンプリング周期における推定回転位置θ^として出力する(ステップS27)。
このように、この実施形態によれば、レゾルバ10が発生する正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、このことが信号異常検出部26によって検出され、異常が生じた信号が特定される。これにより、切換え部23は、第1位置演算部21が演算するロータ回転位置を出力する状態から、第2位置演算部22が演算するロータ回転位置を出力する状態へと切り換わる。第2位置演算部22は、正常な他方の信号から求まる2つの回転位置候補θ1,θ2のうち、位置推定部30によって求められた推定回転位置θeに近い方を選択する。こうして求められるロータ回転位置は、レゾルバ10の出力を用いて求められた正確な回転位置である。したがって、一方の信号に異常が生じたときでも正確なロータ回転位置を求めることができるので、モータ3の制御性能が高まり、モータ3から効率的にトルクを発生させることができる。
正弦波信号は90度および270度で極値をとる。そのため、推定回転位置θeが90度または270度の近傍の値のときには、この推定回転位置θeと2つの回転位置候補θ1,θ2との差がほぼ等しくなる。そこで、この場合には、直前のサンプリング周期における推定回転位置θ^に近い方の回転位置候補を選択することにより、尤もらしいロータ回転位置を推定することができる。
正弦波信号に異常があり、余弦波信号が正常であるときには、図13のステップS25の処理に代えて、第2位置演算部22は、推定回転位置θeが0度の近傍の所定範囲−ε≦θe≦+ε(εは定数)、または180度の近傍の所定範囲180−ε≦θe≦180+εに属するかどうかを判断することになる。余弦波信号は0度および180度において極値をとるからである。
図14は、この発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。この図14において、前述の図9に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、位置推定部30に加えて、ロータ回転速度を推定する速度推定部40が備えられている。速度推定部40は、位置推定部30によって求められる推定位置に対して時間微分演算を行うことによって、ロータの回転速度ω^を推定する。第2位置演算部22は、レゾルバ10が出力する正弦波信号および余弦波信号の一方に異常が生じたときに、正常な他方の信号を用い、さらに、位置推定部30によって求められる推定回転位置θe、および速度推定部40によって推定される推定回転速度ω^に基づいて、正確なロータ回転位置θ^を推定する。
図15は、この実施形態における第2位置演算部22の構成を説明するためのブロック図である。この第2位置演算部22は、ゼロクロス時間演算部42と、ゼロクロス回転位置演算部43と、ロータ回転位置演算部44と、補正値演算部45と、位置補正部46とを含む。
ゼロクロス時間演算部42は、正常な信号Xs(正弦波信号または余弦波信号)に基づいて、当該正常な信号Xsが零点を通過する時間(ゼロクロス時間)Tzを求める。ゼロクロス回転位置演算部43は、ゼロクロス時間演算部42によって求められたゼロクロス時間Tzにおけるロータ回転位置であるゼロクロス回転位置θzを演算する。ロータ回転位置演算部44は、ゼロクロス回転位置演算部43によって求められたゼロクロス回転位置θzおよび速度推定部40によって求められた推定回転速度ω^に基づいて、ロータ回転位置を演算する。補正値演算部45は、位置推定部30によって求められた推定回転位置θeを補正するための補正値θcを演算する。この補正値θcは、ロータ回転位置演算部44によって求められたロータ回転位置に対する位置推定部30によって求められた推定回転位置θeの偏差である。位置補正部46は、位置推定部30によって求められた推定回転位置θeを補正値演算部45によって求められた補正値θcで補正して、推定回転位置θ^を生成する。
図16は、第2位置演算部22による処理を説明するための図であり、正弦波信号および余弦波信号のうちの正常な一つの信号の波形が示されている。正弦波信号および余弦波信号は前述のとおり所定のサンプリング周期でサンプリングされて、マイクロコンピュータ7に取り込まれる。
正常な信号Xsの今回値Xs(n)と前回値Xs(n-1)との積Xs(n)・Xs(n-1)が負の値となったとき、今回のサンプリングタイミングTs(n)と前回のサンプリングタイミングTs(n-1)との間で、信号Xsが零点を通過したことが分かる。つまり、ゼロクロス時間演算部42は、Xs(n)・Xs(n-1)<0となるかどうかを監視しており、Xs(n)・Xs(n-1)<0となるとゼロクロス時間Tzを表す信号を生成する。より具体的には、今回値Xs(n)と前回値Xs(n-1)との間の信号の変化が直線的であると仮定することにより、信号Xsが零となる時間、すなわちゼロクロス時間Tzを求めることができる。
これに応答してゼロクロス回転位置演算部43は、今回値Xs(n)と前回値Xs(n-1)との大小関係から、ゼロクロス時間Tzにおけるロータ回転位置であるゼロクロス回転位置θzを求める。たとえば、正常な信号が正弦波信号であるとすると、Xs(n)>Xs(n-1)であれば、ゼロクロス回転位置θzは0度であり、Xs(n)<Xs(n-1)であれば、ゼロクロス回転位置θzは180度である。また、正常な信号が余弦波信号であるとすると、Xs(n)>Xs(n-1)であれば、ゼロクロス回転位置θzは270度であり、Xs(n)<Xs(n-1)であれば、ゼロクロス回転位置θzは90度である。正常な信号が正弦波信号か余弦波信号かは、信号異常検出部26(図14参照)によって特定される。
ロータ回転位置演算部44は、今回の信号値Xs(n)に対応するロータ回転位置、すなわち、今回のサンプリングタイミングTs(n)におけるロータ回転位置である今回位置θ(n)を求める。具体的には、サンプリング周期Tに基づいて、ゼロクロス時間Tzから今回のサンプリングタイミングTs(n)までの経過時間Taを求める。そして、ロータ回転位置演算部44は、この経過時間Taと、推定回転速度ω^を乗じることによって、ゼロクロス時間Tzから今回のサンプリングタイミングTs(n)までのロータ位置変位Δθ(=Ta・ω^)を求める。さらに、ロータ回転位置演算部44は、ゼロクロス回転位置θzにロータ位置変位Δθを加算することによって、今回位置θ(n)(=θz+Δθ)を求める。この今回位置θ(n)は、レゾルバ10の出力から特定したゼロクロス時間Tzに基づいて求められているため、レゾルバ10の検出精度に匹敵する精度を有する値である。
補正値演算部45は、今回のサンプリングタイミングTs(n)に対応する推定回転位置θe(n)を位置推定部30から取得する。そして、この推定回転位置θe(n)に対する今回位置θ(n)の偏差を補正値θc(=θ(n)−θe(n))として求める。この補正値θcが、位置補正部46において、推定回転位置θe(n)に加算される。こうして、補正後の推定回転位置θ^(=θe(n)+θc)が位置補正部46から生成される。補正値θcは、ゼロクロス時間演算部42がゼロクロスタイミングを検出するごとに更新される。すなわち、ロータ回転位置が180度変化するたびに更新されることになる。
このように、この実施形態によれば、レゾルバ10が発生する正弦波信号および余弦波信号のうちの一方に異常が生じると、このことが信号異常検出部26によって検出され、異常が生じた信号が特定される。これにより、切換え部23は、第1位置演算部21が演算するロータ回転位置を出力する状態から、第2位置演算部22が演算するロータ回転位置を出力する状態へと切り換わる。第2位置演算部22は、正常な他方の信号が零点を通過するたびに、位置推定部30が生成する推定回転位置θeを補正するための補正値θcを更新する。この補正値θcに基づいて推定回転位置θeが補正される。この補正を経て求められる推定回転位置θ^は、レゾルバ10の検出精度に匹敵する精度を有する。したがって、一方の信号に異常が生じたときでも正確なロータ回転位置を求めることができるので、モータ3の制御性能が高まり、モータ3から効率的にトルクを発生させることができる。
以上、この発明の4つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の第1の実施形態では、パラメータ同定部24でインダクタンスを求め、これに基づいて回転位置領域を特定するようにしているが、第3の実施形態や第4の実施形態のように誘起電圧を用いてロータ回転位置を求めることとし、その求められたロータ回転位置から回転位置領域を特定する構成としてもよい。また、第2の実施形態では、モータパラメータを同定し、このモータパラメータからロータの回転位置を推定する構成としているが、第3および第4の実施形態のように、誘起電圧に基づいてロータ回転位置を推定する構成としてもよい。ロータ回転位置の推定には、さらに別の手法を用いることもできる。たとえば、正弦波状のセンシング信号を加算部20に供給して、モータ3のステータに当該センシング信号を注入し、定速回転する高周波回転電圧ベクトルを形成するとともに、これに対するモータ電流の応答を電流センサ9の出力信号から得て、電流ピークに基づいてロータの回転位置を推定するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータ3に本発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータの制御に対しても適用が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および図面の記載からは、次のような特徴が抽出され得る。
A1.ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
正弦波信号および余弦波信号に基づいてロータ回転位置を求める第1回転位置演算手段と、
モータ電流およびモータ電圧に基づいて、ロータの回転情報を推定する回転情報推定手段と、
前記正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときに正常な他方の信号と、前記回転情報推定手段によって推定される回転情報とに基づいて、ロータ回転位置を求める第2回転位置演算手段とを含む、モータ制御装置。
A2.前記回転情報推定手段は、前記ロータの回転位置領域を特定する領域特定手段を含み、
前記第2回転位置演算手段は、前記領域特定手段によって特定される回転位置領域に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、A1項に記載のモータ制御装置。
A3.前記回転情報推定手段は、ロータ回転方向を推定する回転方向推定手段を含み、
前記第2回転位置演算手段は、前記回転方向推定手段によって推定されるロータ回転方向に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、A1項に記載のモータ制御装置。
A4.前記回転情報推定手段は、ロータ回転位置を推定する位置推定手段を含み、
前記第2回転位置演算手段は、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択する選択手段を含む、A1項に記載のモータ制御装置。
A5.前記選択手段は、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるとき、および前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときに、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記第2回転位置演算手段が直前に演算したロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択するものである、A4項に記載のモータ制御装置。
A6.前記回転情報推定手段は、
ロータ回転位置を推定する位置推定手段と、
ロータ回転速度を推定する回転速度推定手段とを含み、
前記第2回転位置演算手段は、
所定のサンプリング周期毎にサンプリングされる前記正常な他方の信号の今回値と前回値とに基づいて、前記正常な他方の信号が零点を通過するゼロクロス時間を求めるゼロクロス時間演算手段と、
このゼロクロス時間演算手段によって演算されるゼロクロス時間におけるロータ回転位置であるゼロクロス回転位置を求めるゼロクロス回転位置演算手段と、
このゼロクロス回転位置演算手段によって求められるゼロクロス回転位置、および前記回転速度推定手段によって推定されるロータ回転速度に基づいて、前記正常な他方の信号の今回値に対応するロータ回転位置である今回位置を求める今回位置演算手段と、
前記位置推定手段によって推定されたロータ回転位置と前記今回位置演算手段によって演算された今回位置との差を補正値として求める補正値演算手段と、
前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を前記補正値演算手段によって求められた補正値によって補正する補正手段とを含む、A1項に記載のモータ制御装置。
このA6項の構成によれば、前記正常な他方の信号(正弦波信号または余弦波信号)が零点を通過するゼロクロス時間が求められる。このゼロクロス時間におけるロータ回転位置は、たとえば、ゼロクロス時間の前後で前記正常な信号が正値から負値に変化したか、それとも負値から正値に変化したかを調べることによって、特定することができる。こうして、ゼロクロス時間におけるロータ回転位置(ゼロクロス回転位置)が求まると、モータ電流およびモータ電圧に基づいて推定されたロータ回転速度を用いて、今サンプリング周期の信号値(正常な信号の値)に対応するロータ回転位置(今回位置)が求められる。この今回位置は、余弦波信号および正弦波信号の両方が正常であるときに、これらによって特定されるべきロータ回転位置に等しい。そこで、この今回位置と、位置推定手段によって推定されたロータ回転位置との差が求められ、これが補正値とされる。この補正値を用いて、推定されたロータ回転位置を補正することによって、より正確なロータ回転位置を推定することができる。
つまり、この構成では、正弦波信号または余弦波信号に異常が生じると、正常な方の信号を用いて推定ロータ回転位置を補正するための補正値が求められ、この補正値を用いて推定ロータ回転位置が補正されるようになっている。こうして、正弦波信号または余弦波信号に異常が生じたときでも、精度の高いロータ回転位置を得ることができる。
補正値は、正弦波信号および余弦波信号のうち正常な方が零点を通過するたび(すなわち、ゼロクロス時間演算手段によってゼロクロス時間が求められるたび)に更新することが好ましい。これにより、モータの駆動状況に追従した補正値を求めることができる。こうして、推定ロータ回転位置の補正を適切に行うことができ、正弦波信号または余弦波信号に異常が生じたときでも、優れたモータ制御性能を維持することができる。
この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 インダクタンスとロータ回転位置との関係を表す図である。 図1の構成における位置推定演算を説明するための図である。 前記位置推定演算の手順を説明するためのフローチャートである。 この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 図6の構成における位置推定演算を説明するための図である。 前記位置推定演算の手順を説明するためのフローチャートである。 この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 位置推定部の構成例を説明するためのブロック図である。 外乱オブザーバおよびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。 図9の構成における位置推定演算を説明するための図である。 前記位置推定演算の手順を説明するためのフローチャートである。 この発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 図14の構成における第2位置演算部の構成を説明するためのブロック図である。 図15の第2位置演算部による処理を説明するための図である
符号の説明
5…モータ制御装置、7…マイクロコンピュータ、50…ロータ、51〜53…ステータ巻線

Claims (6)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    前記ロータの回転位置に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成するレゾルバと、
    前記レゾルバが生成する前記正弦波信号および余弦波信号に基づいてロータ回転位置を求める第1回転位置演算手段と、
    モータ電流およびモータ電圧に基づいて、ロータの回転情報を推定する回転情報推定手段と、
    前記レゾルバが生成する前記正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときに正常な他方の信号と、前記回転情報推定手段によって推定される回転情報とに基づいて、前記レゾルバ以外のレゾルバの出力信号を用いることなく、ロータ回転位置を求める第2回転位置演算手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 前記回転情報推定手段は、前記ロータの回転位置領域を特定する領域特定手段を含み、
    前記第2回転位置演算手段は、前記領域特定手段によって特定される回転位置領域に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記回転情報推定手段は、ロータ回転方向を推定する回転方向推定手段を含み、
    前記第2回転位置演算手段は、前記回転方向推定手段によって推定されるロータ回転方向に基づいて、ロータ回転位置を求めるものである、請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記回転情報推定手段は、ロータ回転位置を推定する位置推定手段を含み、
    前記第2回転位置演算手段は、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択する選択手段を含む、請求項1記載のモータ制御装置。
  5. 前記選択手段は、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるとき、および前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときに、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記第2回転位置演算手段が直前に演算したロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択するものである、請求項4記載のモータ制御装置。
  6. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    正弦波信号および余弦波信号に基づいてロータ回転位置を求める第1回転位置演算手段と、
    モータ電流およびモータ電圧に基づいて、ロータの回転情報を推定する回転情報推定手段と、
    前記正弦波信号および余弦波信号のいずれか一方に異常が生じたときに正常な他方の信号と、前記回転情報推定手段によって推定される回転情報とに基づいて、ロータ回転位置を求める第2回転位置演算手段とを含み、
    前記回転情報推定手段は、ロータ回転位置を推定する位置推定手段を含み、
    前記第2回転位置演算手段は、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択する選択手段を含み、
    前記選択手段は、前記正常な他方の信号が正弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が90度または270度の近傍の所定範囲内の値であるとき、および前記正常な他方の信号が余弦波信号であり前記位置推定手段によって推定されるロータ回転位置が0度または180度の近傍の所定範囲内の値であるときに、前記正常な他方の信号に対応する2つの回転位置候補から、前記第2回転位置演算手段が直前に演算したロータ回転位置に近い方の回転位置候補を選択するものである、モータ制御装置。
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