JP3061452U - 塗装によるタイル模様面の形成、あるいはタイル模様面の塗り替えに用いる型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】塗装によって新規にタイル模様面を形成する場
合、あるいは既存のタイル模様面の塗り替えを行う場合
に、簡便に且つ迅速に取り付けることができ、作業性に
優れ、仕上塗材を塗付した際には仕上塗材が目地に付着
することもなく、美観性に優れた塗装を施すことができ
る型枠を提供する。 【解決手段】部分的な方形外縁と、方形内部の格子から
なり、方形外縁の隣接する二辺が除去された形状とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、建造物の内外壁面や床面等において、塗装によって新規にタイル模 様面を形成する場合、あるいは、タイル施工または塗装によりタイル模様仕上を 施した面に対し塗り替えを行う場合に用いる型枠を提案するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、建造物の内外壁面や床面等の仕上げに、陶磁器タイルなどを使用した貼 りタイル仕上げが盛んに行われるようになった。これは建造物に高級感を付与し 、耐久性の高い仕上げが可能ではあるが、コストが高く、また施工に手間がかか るなどの問題点があった。

【０００３】 これに対して、タイル模様を形成しようとする面に、タイル模様に打ち抜きさ れた型枠や、目地棒を組み合わせたものを貼り付けた後に、仕上塗材を塗装する ことによって、タイル調凹凸仕上げを付与する仕上塗装方法が開発された。この 方法は、貼りタイル施工に比べ工期の短縮化やコストダウンが可能となるため、 タイル模様面を形成させる方法として実用化されている。

【０００４】 一方、このような塗装によるタイル模様面や、前記貼りタイル仕上げを施した 面は、経年的な劣化や汚染を修復するために、あるいは色彩変更の要望に応える ために、塗り替えを施す必要性も生じている。

【０００５】 塗装によって新規にタイル模様面を形成する場合や、既存タイル面または既存 タイル模様塗膜面を塗り替える場合に用いる方法としては、目地部分に型枠を取 り付けて塗装対象面全体を覆った後に、仕上塗材を塗付し、型枠を除去する方法 がある。これにより、目地部分と、タイル模様面とを異なった色調に仕上げるこ とが可能となる。

【０００６】 このような方法に用いる型枠としては、重ね合せるタイプのものや、つき合わ せるタイプのものが使用されている。重ね合せるタイプの型枠は、図１に示すよ うな形状をもつもので、目地部分において隣接する型枠の外縁どうしを重ね合せ て使用するものである。また、つき合わせるタイプの型枠は、図２に示すように 、型枠外縁の幅が型枠内部格子の幅の半分程度となっているものであり、目地部 分において隣接する型枠どうしをつき合わせて使用するものである。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、重ね合せるタイプの型枠では、型枠を塗装対象面に取り付けた 際に、重ね合せ部付近で型枠が下地から浮いた状態になり、塗装を行うとその空 隙に仕上塗材が入り込み、目地部分に仕上塗材が付着してしまうおそれがある。 特に、型枠の厚みが比較的厚い場合は、このような空隙を生じやすく、重ね合わ せることが困難となる。

【０００８】 つき合わせるタイプの型枠を用いると上述のような問題点は解消される。しか し、このタイプでは、型枠外縁の幅が細いために変形しやすく、直線状に取り付 けることが困難になる傾向がある。特に、タイル模様面の塗り替えに用いる場合 には、既存目地内において隣接する型枠どうしが重なったり、隣接する一方の型 枠が既存目地からはみ出たりしないように、注意深く取り付けなければならず、 作業上手間のかかるものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

そこで、本考案者は鋭意検討の結果、塗装によって新規にタイル模様面を形成 する場合、あるいは既存のタイル模様面の塗り替えを行う場合に、簡便に且つ迅 速に取り付けることができ、作業性に優れ、仕上塗材を塗付した際には仕上塗材 が目地に付着することもなく、美観性に優れた塗装を施すことができる型枠を考 案した。 すなわち、本考案は以下の特徴を有するものである。 １．部分的な方形外縁と、方形内部の格子からなり、方形外縁の隣接する二辺が 除去された形状であることを特徴とする型枠。 ２．型枠の一方の面に剥離性接着層が設けられたことを特徴とする１．に記載の 型枠。

【００１０】

【考案の実施の形態】

本考案の型枠は、図３、図４、あるいは図６に示すように、部分的な方形外縁 と、方形内部の格子からなり、方形外縁の隣接する二辺が除去された形状である 。方形外縁の隣接する二辺が除去された形状であることにより、型枠の外縁を重 ね合せる必要もなく、また、塗り替えの場合には、目地溝内において隣接する型 枠の外縁どうしをつき合わせる必要もない。このため、新規にタイル模様面を形 成、あるいは既存のタイル模様面を塗り替える際に、簡便に且つ迅速に型枠を取 り付けることができ、仕上塗材を塗付した際には仕上塗材が目地に付着すること もなく、美観性に優れた塗装を施すことができる。

【００１１】 本考案の型枠は、新規にタイル模様面を形成する場合は、形成しようとする目 地の形状と同一のものとすればよい。既存タイル模様面を塗り替える場合は、既 存タイル面または既存タイル模様塗膜面の目地部に嵌着できる形状とすればよい 。型枠の作製方法としては、特に限定されないが、例えば、型紙を打ち抜く、ま たは目地棒を組み合わせる等の方法を用いればよい。

【００１２】 本発明型枠の外縁や内部格子における目地幅は、新規にタイル模様面を形成す る場合は、形成しようとする目地幅と同一にすればよい。既存タイル模様面の塗 り替えに用いる場合は、既存タイル模様面における目地幅に対して、５０〜９５ ％とすることが好ましく、この範囲内とすることにより、既存貼りタイル面また は既存タイル模様塗膜面の目地溝内にすっきりと収めることができる。型枠の目 地幅が、既存の目地幅に対して９５％より大きければ、既存の目地溝内に貼るこ とが困難となり、５０％より小さければ最終的に形成されるタイル調塗膜の目地 幅が狭くなるため意匠性に乏しく、また型枠自体の強度が低下し、貼り作業に支 障をきたす。

【００１３】 型枠の厚みは、新規にタイル模様面を形成する場合はとくに制限されないが、 既存タイル模様面の塗り替えに用いる場合は，タイル模様と目地溝の凹凸差の１ ０５％以上５００％以下であることが好ましい。この範囲内とすることにより、 取り付けや取り外しが容易となり、また仕上塗材を均一に塗装することができる 。型材の厚みが１０５％より小さいと、タイル模様面との凹凸差が小さくなり、 仕上塗材塗付後の型枠の除去が困難となる。５００％より大きいと形成されたタ イル模様のエッヂ部分に欠損や角状隆起が生じ、仕上がり性が低下する。 本考案において、型枠の目地幅及び厚さは、使用する仕上塗材との関係を考慮 し、上記範囲内のものを適宜選択して用いればよい。

【００１４】 本考案型枠の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、 ポリアミド、その他の樹脂発泡体または弾力性や柔軟性を有する樹脂成形品、合 成紙、合成繊維製紙状不織布などが用いられる。但し、仕上塗材が溶剤形の場合 は、その溶剤に溶解されないことが必要である。また、型枠は単一素材から形成 されるものに限定されず、多層構造のもので、表面層が溶剤に溶解されにくい素 材もの、表面に撥水撥油処理層を有するもの等、各種用いることができる。

【００１５】 本考案型枠においては、型枠の一方の面に、剥離性粘着剤層、および離型紙を 設けることが好ましく、これにより型枠を容易に貼り付けていくことができる。 また、塗装する仕上塗材を比較的多く塗装する場合、貼着面側とともに塗装面 側にも剥離性粘着剤層、および離型紙を設けることもできる。このような構成に することにより、型枠貼着後、仕上塗材を塗付し、該仕上塗材が乾燥する前に、 塗装面側の離型紙を除去し、仕上塗材がほぼ乾燥した後に型枠を除去する方法が 可能となる。この方法によれば、比較的厚塗りの仕上塗材を塗装する場合にもエ ッジ部分を美しく仕上げることができる。

【００１６】

【実施例】

（実施例１） 一方の面に剥離性粘着剤層及び離型紙を有する厚さ２ｍｍのポリプロピレン製 平板を、タイル模様を形成する枠１個の大きさが１１５ｍｍ×６０ｍｍ、目地幅 が９ｍｍとなるように打ち抜き、さらに隣接する外縁のうち二辺を除去すること により、図４に示すような形状の型枠を複数枚作製した。 作製した型枠の離型紙を剥がし、予め下地処理を施した面に、型枠を順に貼り 付けた。ここで、型枠と下地との間に空隙が生じることはなかった。 続いて、型枠を貼り付けた全面に、アクリル系陶磁器調装飾仕上塗材「エレガ ンスタイルＴＳ」（エスケー化研株式会社製）を塗付した後、型枠を除去した。 その結果、目地部分とタイル模様部分との境界が明瞭で、美観性に優れた塗装を 施すことができた

【００１７】 （実施例２） アクリル系陶磁器調装飾仕上塗材「エレガンスタイルＴＳ」（エスケー化研株 式会社製）によって形成されたタイル模様塗装面（タイル模様１個の大きさ１１ ５ｍｍ×６０ｍｍ、目地幅９ｍｍ）に対し、その目地の形状に合わせ、一方の面 に剥離性粘着剤層及び離型紙を有する厚さ２ｍｍのポリプロピレン製平板を目地 幅が７ｍｍとなるように打ち抜き、さらに隣接する外縁のうち二辺を除去するこ とにより、図４に示すような形状の型枠を複数枚作製した。 タイル模様塗装面全面に対しては、弱溶剤ウレタン系塗料「クリーンマイルド ウレタン」（エスケー化研株式会社製）のグレー系色を塗付した。塗料が乾燥し た後、作製した型枠の離型紙を剥がし、タイル模様塗装面の下段端部から順に、 図５に示すように型枠を貼り付け、目地部全体を覆った。この型枠の貼り付けに おいては、型枠と既存目地との間に空隙ができることもなく、また、型枠どうし が重なったり、型枠が既存目地からはみ出たりすることもなく、簡便に且つ迅速 に作業を進めることができた。 型枠を貼り付けた後、「クリーンマイルドウレタン」のクリーム系色を塗付し 、型枠を除去した。その結果、目地部分とタイル部分とを明瞭に塗り分け、美観 性に優れた塗り替えを施すことができた。

【００１８】

【考案の効果】

本考案の型枠は、塗装によるタイル模様面の形成、あるいは既存タイル模様面 の塗り替えに用いるもので、簡便に且つ迅速に型枠を取り付けることができ、作 業性に優れ、仕上塗材を塗付した際には仕上塗材が目地部分に付着することもな く、美観性に優れた塗装を施すことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】重ね合わせるタイプの型枠の一例を示す平面図
である

【図２】つき合わせるタイプの型枠の一例を示す平面図
である

【図３】本考案型枠の一例を示す平面図である

【図４】本考案型枠の一例を示す斜視図である

【図５】既存タイル模様面に本考案型枠を貼り付けた状
態を表す平面図である

【図６】本考案型枠の他の例を示す平面図である

【符号の説明】

Ａ：型枠 Ｂ：剥離性粘着剤層 Ｃ：離型紙 Ｄ：既存タイル模様面 Ｅ：型枠

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】塗装によるタイル模様面の形成、あるいは
   タイル模様面の塗り替えに用いる型枠であって、部分的
   な方形外縁と、方形内部の格子からなり、方形外縁の隣
   接する二辺が除去された形状であることを特徴とする型
   枠。
2. 【請求項２】型枠の一方の面に剥離性接着層、および離
   型紙が設けられたことを特徴とする請求項１に記載の型
   枠。