JP2965306B2 - 建造物の表面処理方法 - Google Patents

建造物の表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、張り工法によらず建造物表面に凸模様を現
出するための方法に関するものである。
[従来の技術] 建造物の表面は、樹脂やモルタルを吹きつけたり、石
のプレート或いはタイルや金属板等を貼着したりして仕
上げられる。
これらは表面に耐候性を持たせるためと、美観を付与
するため施されるものである。
また、最近では、建造物の個性化が叫ばれており、独
自の外観を呈したものにしたいという要望が多い。特
に、建造物の外壁については、内壁等と異なり室内装飾
等の手段によって、雰囲気を変えたり、個性を出すとい
うことが困難であり、且つ、遠方からも認識できる建造
物の顔ともいうべき部分であるので、最も強く望まれて
いる箇所である。しかしながら、従来の建造物の表面仕
上げ方法においては、そのような個性化は困難であり画
一化したものとなりやすい。
個性化する方法としては、従来は、色の異なるタイル
を模様状に貼着することや、石やレンガの凹凸を利用し
て特殊な外観を持たせる等の方法があった。
さらに、特殊な例として、外壁にペンキで絵画等を描
く(ペインティング)という方法もある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、色違いのタイルを模様状に貼着する方
法では、あくまでも模様は平面的であるため重厚感がな
く、模様状に貼付すること自体作業性が悪い。また、1
枚のタイルを小さくすると、コストアップになり、大き
すぎると近づいた場合に模様が判別できなくなる。
勿論、大きなタイルに1枚1枚異なる模様や色彩を施
すことも考えられるが、コスト高となり採用は難しい。
石やレンガを凹凸状にして、それを貼付又は積層する
方法では、作業性が悪いことに加えて、作業が熟練を要
するという欠点もある。更に、レンガや石では、色に限
界があり、自由な模様の表現が困難である。即ち、個性
化に限界があるということである。また、石等は根本的
に高価である。
ペインティング法は、大きな絵画を描かなければなら
ず、そのような才能を有するものでなければできない
し、どうしても重厚な感じはでない。また、ペンキで外
壁に描く限り、清潔感等も出にくい。
よって、本業界では、熟練や特殊技能を必要としない
方法で、建造物を個性化する方法が要望されているので
ある。
[課題を解決するための手段] そこで本発明者は、このような現状に鑑み鋭意研究の
結果、遂に本発明を成したものであり、その特徴とする
ところは、一方の面から他方の面に向かってテーパ状に
広がった打抜き模様を有する型材の前記他方の面を建造
物の表面に当接させた後、前記打抜き模様部分と前記建
造物の表面とによって形成される凹部に樹脂モルタルを
充填し、前記樹脂モルタルが保形された段階で前記型材
を除去し、その後、前記建造物の表面全面をトップコー
トする点にある。
ここで「建造物」とは、通常の建物以外に、柱や塀、
橋梁等を含むものである。そこで建造物表面とは、こう
した構築物の表面を指し、建物の場合には、内外壁面、
床面、天井面、等々を含む。なお、コンクリート建造物
の場合には、下地調整を施した後表面処理を行なうのが
通常であるが、本発明方法においてもこれに準じる。調
整材としては、通常の吹き付け材であれば何でもよく、
特に樹脂モルタルが特に好適である。
「型材」は、本発明方法を実施するについて最も重要
な部材であり、形成しようとする模様等を打抜き模様と
して有している。但しこの模様は、必ずしも実際に打ち
抜く必要はなくそうした模様を有するように一体成形し
ても良い。材質としては、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等のプラスチックが
好適であり、特に、発泡させたものがコスト、作業性の
面で好適である。また型材の厚みは得られる凸模様の厚
みとなるものであり、従ってできるだけ厚い方が望まし
い場合が多いが、充填される樹脂モルタルの保形の問題
等も考慮しなければならないので、通常は5〜10mm程度
のものが好適である。一つの型材には、得ようとする凸
模様の大きさや型材自体の広さにもよるが、複数の打抜
き模様を有していてもよい。作業性の面からは、できる
だけ大きい型材を使用する方がよいが、その製造の問題
や建造物表面への固定等の問題から、適宜決定すればよ
い。
型材を建造物表面に当接させる方法は、本発明では特
に限定いないが、型材裏面に接着材層を設け、これを剥
離紙で覆っておき、作業時この剥離紙を除去して貼着さ
せる方法が最も簡単である。
なお、剥離紙は裏面全面に覆うようにしても、型材と
同様に打ち抜いてもよい。
樹脂モルタルは、得られる凸模様の主体部分となるも
のである。材質は特に限定するものではないが、耐候性
が良くヒビ割れ等の劣化を来しにくいものであるゴム系
のものが好ましく、且つエマルジョンタイプのものが特
に好適である。
また、打抜き部分がテーパになるよう型材を構成する
と、型材除去が容易となるばかりでなく、得られる凸模
様にほこり等がたまった場合に落ちやすいという効果も
あって好適である。
型材の建造物への固定と、樹脂モルタルの塗布との作
業は、どのようにしてもよいが、被施工表面全体に型材
をすべて貼付していき、貼付しながら樹脂モルタルの塗
布を行ない、すべての塗布が完了し、モルタルが硬化し
た後型材を除去する方法が好適である。
型材を除去した後、表面全面にトップコートを施す。
このトップコート用の塗材の材質については何ら限定し
ない。通常の外壁用の仕上げ材等が好適でありフッ素等
を混合したものが望ましい。
トップコートを施した後更に凸模様表面のみ、或いは
凸部全面を、トップコートで採用した色彩以外の色彩の
塗材で彩色しても良い。このようにすると、凸模様が見
た目にもはっきりとし美麗なものとなり、重厚な感じが
出る。
彩色の方法としては、ローラーで塗布する方法が最も
簡単であるが、その場合には、得られる凸模様の表面部
分のみが彩色されることとなり段差部分はトップコート
の色彩のままであるため、凸模様全体が壁面等の表面か
ら飛び出たような感じが少ない。そこで、建造物の当該
表面全面をトップコートした後、樹脂モルタルによって
形成された凸模様以外の面に型紙を置き、該全面を該ト
ップコートの色彩とは異なる色彩の塗料によって彩色
し、該型紙を除去すれば、凸模様全体が彩色され、また
型紙の存在により、凸模様彩色用の塗材が凸模様以外の
面に付着し表面を汚してしまうことを防止するという効
果をも有することになって好適である。この場合の彩色
には、スプレーガン等による吹付け仕上げが好ましい。
なお、使用する塗材の材質については限定するものでは
ないが表面の有している性質(例えば外壁であれば防水
性や耐候性など)を具備した材料を使用すべきであるこ
とは言うまでもない。
この時の型紙は、テープ状のものでも可能であるが、
型材と同様の形状に打ち抜いたものを使用すると便利で
ある。
[実施例] 以下本発明方法を、図面に基づいて詳細に説明する。
第1図(a)(b)は、本発明方法を実施するにあた
って使用する型材1の一例(同図(b)は同図(a)の
A−A断面図)を示すものであり、型材1は、2m×2m×
10mmの矩形シート状のもので、その中に4つの打抜き模
様2を有している。型材1の材質は、体積15倍に発泡さ
せた発泡スチロールである。
型材1の裏面には、接着剤層3が設けられており、更
にこの接着剤層3は、剥離紙4によって覆われている。
打抜き模様2は、同図(b)からも明らかなようにそ
の内面がテーパ5を形成しており、型材1の離型を容易
にしている。また離型して得られる凸模様もこのテーパ
5によってテーパを呈することになるが、凸模様がテー
パを呈するということは、凸模様の段差部分にたまるほ
こり等が落ち易いということを意味し、壁面処理には好
適なことである。
第2図(a)乃至(e)は、本発明方法の一例を経時
的且つ概略的に示したものである。
まず、型材1の剥離紙4を剥離して接着剤層3を露呈
させる(同図(a))。
そして、下地調整したコンクリート躯体(C)の表面
に、型材1の接着剤層3側を当接させてこれを固定する
(同図(b)) 当接は、本例の場合接着剤によってが、コンクリート
用釘を打って固定しても、或いは釘と接着剤を併用する
ようにしても良い。
次に、型材1の打抜き模様2部分に樹脂モルタル6を
塗り込む(同図(c))。
塗り込んだ樹脂モルタル6の表面は、完成する凸模様
の表面状態を左右するものであるので、平坦な凸模様表
面を得ようとするのであれば塗り込んだ時にその表面を
ある程度平坦にしておくようにする。本例の場合は、コ
テを用いてこうした作業を行なっている。
樹脂モルタル6が固化した段階で、型材1を除去する
(同図(d))。
この場合の固化は、凸模様を維持するに足る保形力が
備わる段階以上であれば良く、充分な養生を持つ必要は
ない。樹脂モルタル6の材質、型材1の厚み、気温や湿
度等の環境、等々にもよるが通常数時間〜十数時間程度
である。
最後に壁面全体に、トップコートTとして樹脂モルタ
ルを塗布する(同図(e))。
この作業は通常の塗布方法を採用して良いが、表面が
凹凸であることに留意する必要はある。本例ではスプレ
ーガンによる吹付けでこれを行なった。
なお、図面では型材1を1枚使用した場合を示してい
るが、実際には複数の型材1を使用して処理せんとする
表面全面を覆うようにするのが望ましい(樹脂モルタル
6の固化に要する時間が重複しない、トップコートが1
度の工程でできる、等々の利点がある)が、面積その他
の条件によって自由に行なって良いものである。
このようにして凸模様7を連続的に形成した壁面の例
を第3図に示す。図示した例では、同一模様を連続的に
並べたものであるが、異種の打抜き模様のある型材を使
用したり、ランダムに凸模様を設けたりしても勿論良い
(図示せず)。
第4図は、型材1の打抜き模様2の例をいくつか示す
ものである。同図(a)や(b)のような幾学模様以外
に、同図(c)の如き文字模様、或いは同図(d)の如
き絵模様等も好適に利用し得る。
本発明方法で凸模様を得た後更に、凸模様部分だけを
別の色で彩色するようにしても良い。第5図はその一例
を示すもので、明るい色の塗料8で壁面全面をトップコ
ートした後、暗い色の塗料9をローラーで塗布して得ら
れる壁面の例を示している。従って、凸部の表面(凸模
様)のみが暗い色の塗料9で彩色されることになる。ま
た図示はしないが、凸部の段差10部分をも暗い色9で彩
色するようにしても良い。こうして得られる壁面は、単
に凹凸を有するだけの壁面よりも目立つことになる。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように本発明方法は、一方の面か
ら他方に面に向かってテーパ状に広がった打抜き模様を
有する型材の前記他方の面を建造物の表面に当接させた
後、前記打抜き模様部分と前記建造物の表面とによって
形成される凹部に樹脂モルタルを充填し、前記樹脂モル
タルが保形された段階で前記型材を除去し、その後、前
記建造物の表面全面をトップコートすることを特徴とす
るものであり、以下述べる如き効果を有する非常に高度
な発明である。
凸模様を有する壁面ができるので、個性的な壁面が
得られる。
凸模様は、予め模様に応じた打抜き模様を有する型
材を壁面に接当し、ここに樹脂モルタルを充填するだけ
であるので、特別な技術を要することなく簡単に得られ
る。
設計者が自由に型材をデザインできるため、世界に
1つという模様も、安価に形成できる。
ある程度の形状の型材を準備しておけば、その都
度、製造しなくても、その型材の配列等を適宜選択する
ことによって、ほぼ無限ともいうべき多種類の模様が表
現でき、設計者の要望、建造物所有者の要望も満たすこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明方法を実施するにあたって使用す
る型材の一例を示す斜視図、同図(b)はそのA−A断
面図、第2図(a)(b)(c)(d)(e)は本発明
方法手順を経時的且つ概略的に示す全て概略断面図、第
3図は本発明方法によって得られる壁面の一例を示す斜
視図、第4図(a)(b)(c)(d)は型材の変形例
を示す全て平面図、そして第5図は本発明方法の更に他
の方法によって得られた壁面の一例を示す斜視図であ
る。 1……型材 2……打抜き模様 3……接着剤層 4……剥離紙 5……テーパ 6……樹脂モルタル 7……凸模様 8……明るい色の塗料 9……暗い色の塗料 10……段差 C……コンクリート躯体 T……トップコート

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面から他方の面に向かってテーパ状
    に広がった打抜き模様を有する型材の前記他方の面を建
    造物の表面に当接させた後、前記打抜き模様部分と前記
    建造物の表面とによって形成される凹部に樹脂モルタル
    を充填し、前記樹脂モルタルが保形された段階で前記型
    材を除去し、その後、前記建造物の表面全面をトップコ
    ートすることを特徴とする建造物の表面処理方法。
  2. 【請求項2】建造物の表面全面をトップコートした後、
    型材と同形の型紙を、前記型材を接当させた位置に置
    き、全面を前記トップコートの色彩とは異なる色彩の塗
    料によって彩色し、前記型紙を除去するものである特許
    請求の範囲第1項記載の建造物の表面処理方法。
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