JP4155528B2 - 転写印刷部を有する化粧板、この化粧板を製造する装置における塗布ロールと転写用加圧ロール、及び転写フィルムの剥離方法 - Google Patents

転写印刷部を有する化粧板、この化粧板を製造する装置における塗布ロールと転写用加圧ロール、及び転写フィルムの剥離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写印刷により絵柄を施した主に建材用の化粧板と、この化粧板の製造方法又は装置における塗布ロールと転写用加圧ロール及び転写フィルムの剥離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築用の化粧板は、建築物の壁面に多用されており、古くはモルタルの下地に塗装を行って化粧壁としていたのであるが、近年ではサイディングボードと称して基材を建築用の所定サイズに切断後、塗装や絵柄を全て工場にて施した化粧板を現場に持ち込むようにしているいわゆる乾式工法が主流である。基板としては窯業系や金属系のサイディングボードが用いられており、基板表面は平滑な面形状が一般的であるが、天然素材をイメージさせるために、小さな凹凸面や破断面を模倣したものから、溝部を構成したレンガ調としたものなど種類は豊富である。化粧技術の分野では、基材表面を塗料で覆うことで基板の耐候性を向上させているが、使用する塗装機は基本的にロールコータ、フローコータ、スプレーガンなどであるため、これらを用いた化粧方法は制約されるところが多い。化粧面が意匠性の高いものでは、基材表面の凹凸面をその高低差を利用して低い部分と高い部分を塗り分けたり、塗料に骨材を混合してリシン調にするほか、塗料を粒状にして表面に吹き付けるスタッコ調などが主流を占めてきた。近年では更に繊細な絵柄が要求されるようになり、絵柄を転写印刷により表面基材に施した化粧板が求められている。転写印刷は本来表面が平滑な基板に施すのが一般的であり内装材には用いられているが、外装材に用いる場合、表面が上述のように粗い基板上にはまだ用いられていないので、これを施す必要があり、かつ高い耐候性が求められるので、このための新規な転写技術が外装材に要求されている。一方、意匠性の高い化粧方法が採用されるとしても、建築物に化粧板を施工後、化粧面の劣化が進み再塗装の必要性が生じた場合、絵柄、色相をもとの状態に再現することは困難である。それは高い意匠性のための化粧方法が、工場生産で特殊な機械を用いていくつかの工程を経て実施されるからである。これらの理由から、化粧部分の耐候性の耐用年数は、建築物の耐用年数に相当するものが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする課題は、凹凸面や粒状物で覆われた粗い表面を有する窯業系又は金属系の基板上に絵柄を形成し、自然な風合いを有する耐候性の高い化粧板を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、全体に自然素材又はレンガ、タイルなどの窯業系素材の表面形状を模様としてエンボス加工した凹凸面を有する窯業系又は金属系の基板上に塗料層を形成し、その上面に前記素材を特徴づける紋様を絵柄として転写印刷することで、より自然な風合いを付与して転写印刷部を有する化粧板とするものである。
【0005】
また、上記塗料層に粒径が20〜300μmの無機粒状物を含有させることで更に自然な風合を加味させる。無機粒状物としては、自然石やレンガを粉砕したものや成製したセラミック微粒子のほか砂などを用いる。
【0006】
転写される絵柄は、石目模様やレンガ特有の巣穴や汚れのほか混在物を含めてレンガ模様として写真製版し絵柄とする。
【0007】
また、窯業系又は金属系のサイディング材を基板として該基板の表面に部分的に異なる色彩の下地塗料層を設け、該下地塗料層の上面に、絵柄のみ印刷された転写フィルムを用いて下地色を透視可能にし同一色の絵柄に色彩の変化を与えるようにする。
【0008】
そして、絵柄のみ印刷された転写フィルムを用いて転写される下地塗料層の色相が、インキの色相と同系色で且つその明度(JIS・Z・8721に基づく)が少なくとも2段階明るい色を用いることで絵柄を明瞭にすると共に深みのある視覚を与える。
【0009】
更に、転写印刷部を構成するインキ層をトップコート層で覆い該トップコート層をキレート結合により密着するように構成し高エネルギー線や温度変化に対して耐候性の高い化粧板にしている。
【0010】
また、トップコート層を形成するクリヤー塗料に粒径が20〜300μmのビーズを配合してつや消し状にし、化粧板を貼り合わせたときの欠点を軽減させるほか耐擦傷性を向上させる。配合率はクリヤー塗料に対して重量比で1〜10%が好ましい。
【0011】
上記化粧板を製造する装置における塗布ロールであって、円柱状の心材表面にスポンジゴムのような軟らかい素材を第1層とし、更にその表面に第1層より硬い無孔ゴム質の層を第2層として構成したロールにおいて、第2層の表面に微細な穴を多数設け、穴の容積で塗布量を規制して、高低差が2段階以上あるような基板表面をむらなく塗装するようにした。
【0012】
また、無孔ゴム質の第2層を着脱自在に構成することで穴の大きさや密度の異なる第2層を用意しておけば基板の模様に対応して適切な第2層を選択して塗布ロールとすることができる。
【0013】
更に、上記化粧板を製造する装置に於ける転写用加圧ロールであって、転写フィルムを押圧して転写するためのゴムロールの表面に、互いに交差する方向に切り込み部を所定の間隔で複数箇所に多数設けて、該切り込み部で囲まれた部分が個別に転写フィルムを押圧するようにしたもので段差の多い基板に対しても転写フィルムを隈無く押圧する。
【0014】
熱転写後のフィルムの剥離に際して、転写フィルムの引き上げ方向と基板表面の成す角度αを90度より小さい角度で行うことで基板上の塗料層に密着したインキ層がめくれ上がらないようにする。
【0015】
上記角度αを90度より小さい角度で維持する手段として転写後のフィルム上にロールを当接させ、ロールの表面に添わせてフィルムを引き上げる。
【0016】
溝部にまたがって転写される際のフィルムの剥離において、転写フィルムの上面を加熱することで溝部の上部に位置する密着していないフィルム部を伸長させ密着部と非密着部の境界面を切断して不用意にインキ層がめくれ上がるのを防止する。
【0017】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明に用いる基板1の斜視図であり窒素系サイディングボードの1例として砂岩の表面形状を模様として浮き上がらせた砂岩調エンボス板を示している。2はエンボスによって生じた凹凸部、3は溝部で一般的に目地と称し、機械加工されたもので、平均的に板の厚さは16mmである。先ず塗装工程から説明する。グレー色のアクリルウレタンエナメル(大日本塗料(株)製)に無機粒状物として中空セラミック製軽量骨材(秩父小野田(株)製マイクロセルズ、粒度分布20〜300μm)を重量比にて10%混合し、基材の表面全体をエアレススプレーガンにより150gr/m2(ウエット重量)塗布する。約15分間熱風乾燥して、図2に示すように塗料層4を基材表面に形成し、砂岩調の風合を形成して砂岩調基板5を得る。
【0018】
次に、転写印刷工程を図8及び図9を用いて説明する。80μm厚の塩ビフィルム6a上に剥離ニス層、絵柄層、密着層を順次積層した熱転写用フィルム6を機上に載置し、ゴム硬度40度のシリコンロール7を160℃に加熱しておき、受けロール8とのロール間隔を13mmに調整して前出の塗装工程を終えた砂岩調基板5の表面を58℃〜60℃に加熱し、シリコンロール7の表面速度10m/分の速さで通過させることにより熱転写を行い、その後、熱転写用フィルム6を剥離することにより転写印刷部6bを有する砂岩調印刷化粧板9を得る。この場合砂岩の破断面を写真により絵柄化しておけば、意匠性の高い化粧板にすることができ剥離工程の詳細は後述する。
【0019】
ここで、塗料層4と絵柄の色調についいて説明する。色の種類を客観的に特定する場合、日本工業規格(JIS・Z・8721)を用いると便利である。色を表現する場合に、色相、明度、彩度の互いに独立した3つの属性に分けて表現するもので三属性による色の表示方法であり、無彩色を中心軸とし、色相を中心角、彩度を中心からの距離で表した座標系による色立体として示すものである。本発明は塗料層4の色が絵柄を構成するインキ色と同じ色相、彩度において明度に少なくとも2段階の差を持たせることで絵柄を明瞭に深みを持たせて具現するようにした。明度はマンセルバリュウーで示された黒から白の間を10段階に知覚的に等間隔になるように分割したものを基本としており10進法であるため感覚的にも特定しやすい。
【0020】
前述の転写工程において基板5は小さなエンボスによる凹凸面と微細な無機粒状物が混在しているきわめて転写の難しい表面性状である。窯業系サイディングボードのエンボスされた基板表面の凹凸面の高低差は2mm程度であり転写フィルムを押圧するゴムロールの表面硬度は40〜50度が適当でありゴムの肉厚は5〜25mmの範囲で作られている。基板表面が平坦なものではゴム硬度は30〜80度と使用される硬度には余裕があるが、通常30度付近では転写フィルムを押圧する力が不足気味となる。一方80度付近では基板表面の平滑性と平坦度に精度の高い基板が要求される。
【0021】
更に、図3に示すように基板1aの表面の形成が目地を形成する溝部3以外にエンボスによる凹凸部2aの高低差がa(14mm)、b(16mm)、c(17mm)、d(18mm)のように2段階以上の高低差がある場合について説明する。なお高低差の現出には自然石の破断面を模倣して形成される凹凸部2aのほか、基板表面の平均的な厚さが異なる部分、換言すれば板厚のむらが共存している場合も有るが、本発明ではこれらの状態を含めて2段階以上の高低差を作り対応するものである。初めに塗料層4aを基板1aに形成するところを述べる。
【0022】
塗料層4aを形成する前に、基板1aの表面を目地色すなわち溝部3を塗装することを目的とした塗料をスプレーガンで全面塗装する。乾燥後、溝部3以外の2段階以上の高低差を有する凹凸部を塗装するのであるが、通常のスポンジゴムロールを用いた場合は基板の一番低い個所にロール表面が接触するように受けロールとの間隔を定める必要がある。この状態で実際に塗装すると基板の低い個所は正常に塗装されるが、それ以上に高い個所は塗料が異常に多く供給されることが容易に察せられるところである。なぜなら、スポンジロールが基板の高い個所で異常な圧力を受け含浸している塗料が流れ出すからである。この状態を考慮して本発明においては次に述べるような塗布ロールを用いている。
【0023】
図4に塗布ロール5の断面図を示す。塗布ロール10の中心部は鉄芯11でその表面に硬度が20〜30度のスポンジゴム層12を設け更にその上層に無孔ゴム質層13を構成する。無孔ゴム質層13の表面には小さな穴が多数設けられている。穴のの密度は1cm巾に10個、13個、18個、20個、25個など等間隔に配列される。穴の大きさと深さは塗料の塗布量と基板表面の凹凸部の形状や高低差により異なるが汎用性のあるものとしては穴の直径が0.1〜0.5mmで深さは0.2〜0.6mmの範囲が良好な結果を得ている。このロールの特性は次のように考察される。図5にロールが2段階以上の高低差と斜面14を有する基板1aの表面を塗装した状態を模式的に示した。スポンジゴム層12は硬度が25度と柔らかくゴム層13は50度で厚さは変化しにくい構成となっているが、穴15を設けた部分は幾分横方向や圧縮方向へ動きやすい性質を示すものである。基板1aに添うように圧縮変形するのはスポンジ層であって変化量に比例して反発力は大きくなる。しかしながら、塗料は穴15の中にのみ保持されているから塗布量が異常にに多くなる事態は回避される。本例では高低差b、c、d(図3)について塗布状況を調べたが塗布量はb、c、dの順に多くなるが、高さdのところで塗布量が異常に多くなることはなかった。また、斜面が45度〜80度あるにも拘わらず塗装された。図7に斜面14を一般のスポンジロール16で塗装する状態を示した。スポンジの表面が斜面14に漆って伸張させられるが、縮む力が作用してすき間17が生じ塗布できないことを示している。
【0024】
また図6に示すようなかなり急俊な凹部18と連なる凸部面19の高さb、c、dが2段階以上あって、且つ凹部18と凸部19を塗り分けたい場合にも本例に用いたロールを使用することができる。スポンジゴムのみのロールを使用すると高い個所(高さd)では塗布量が異常に多くなるので、凹部18迄流れ込み明瞭な塗り分けができないが、本発明のロールでは塗布量が穴15の容積で規制されるからである。
【0025】
既に転写工程おいて述べたように、基板5は小さな凹凸面と微細な微粒子面が混在しているきわめて転写の困難な表面性状であるが、転写フィルムとして熱可塑性の塩ビフィルムを用いていることと、後述するようにシリコンゴムロールの表面に多数の切り込み部を構成しロール表面の圧力が基板表面に伝達され易い構成としたことが功を奏している。
【0026】
図15には本発明に用いた転写用加圧ロールを斜視図で示した。鉄芯40の表面にスポンジゴム層41を設けておりゴムの硬度は25度である。更にその表面にシリコンゴム層42を設ける。シリコンゴム層表面に切り込み部43を構成する。切り込み部43は軸心に対して直角方向と平行方向に加工するかあるいは互いに交差する方向の螺旋状でも良いが、切り込みのピッチは1mm〜5mm、深さ1mm〜1.5mmが好ましい。切り込みを入れたことによりシリコンゴムロールの表面は1mm角から5mm角の島状の凸部44が連設され、該凸部は単独に押圧物を加圧することができる。基板1のエンボス部段差が2mm以内で斜面14の傾斜角が直角でなければシリコンゴム硬度を30〜60度の範囲に選定することで転写ぬけのない転写面を得ることができる。
【0027】
本発明の加圧ロールが斜面へ加圧する状況を一部拡大し模式断面図として図16に示す。基板1が2段階の高さc、dを形成し斜面10を有して連続面を構成している場合、加圧ロールの各部にかかる圧力はスポンジゴム層41が吸収しシリコンゴム層42はほぼ均一な圧力を受けて基材1に添って変形する。切り込み部43により生ずる島状の凸部44は、横方向へ独自に動くことができるから、斜面10に添って個々に適切な位置を占めるように動く。厳密にはすき間45が生ずる個所があるかも知れないが、凸部44は連続して設けられているのでどれかがすき間45の個所を加圧するので転写ぬけは防止できる。
【0028】
そして、基板に加工された溝部3に於ける転写フィルムの剥離に関しては、図9、図10及び図11に示すように基板1の表面と引き上げるフィルムのなす角度αを90度より小さい角度になるように、引き上げ速度と基板の搬送速度を調整したので、転写フィルムの剥がれる位置が溝部3を通過するときに密着部から密着しない部分へ移行する際、転写フィルムのテンションが短時間であるが一瞬ゆるみが生じ、次の密着部へ移行するときに転写フィルムが急激に緊張するように作用するので肩部20において強い引張力が作用して転写フィルムのインキ層が破断する。このためインキ層のめくれが継続せず溝部にブリッジ状にインキ層が残存しない。種々テストの結果、角度αが90度を超えるとせっかく密着したインキ層を持ち上げる確率が高くなり印刷層に欠陥を生じるとともに、溝部にブリッジ状に残存するインキ層が溝部の汚れとなる。
【0029】
転写フィルムの引き上げ角度が重要であることは上述の通りであるが、別の手法として、砂岩調基板5に密着している転写フィルム6の上面から赤外線ヒーターで加熱することでも剥離を正確に行うことができる。すなわち図12に示すように転写フィルムの上面から加熱すると、転写フィルム6は溝部3のところで自由に伸張し密着部では転写フィルムが延びることができないので、密着部と非密着部の境界面では、インキ層の伸度がフィルムの伸度に追いつかず破断する。従ってこの状況のもとにフィルムを引き上げると、密着部分のインキ層を持ち上げる欠点を防止することができるとともにインキ層がブリッジ状に残存することを防止できる。
【0030】
図13に転写フィルムの剥離手段の1例を示す。塗料層の上に転写フィルム6を圧接した基板5の上面にロール21を当接させて基板5の進行に伴い回転するように軸支する。転写フィルム6aのインキ層が基板側に転写され、ベースフィルム6aはロール21に添わせて引き上げる。フィルム6aは巻芯22に巻きつけられて2本の平行に配置された巻き取りロール23上で巻き上げられる。。巻取りロール23を回転させることで、ベースフィルム6aをロール21に添って引き上げることができる。従って剥離するベースフィルム6aの引き上げ方向と基板5の表面の成す角度αを90度より小さい角度に保持することができる。剥離後のベースフィルム6aには基板表面の凹凸面の形状が複写されるので、巻芯を回転駆動してもベースフィルム6aに充分な張力を加えにくい。このため所定の位置でベースフィルムを剥離できない場合角度αが90度を超えることがあり、こういう場合には正確な剥離ができずインキがベースフィルムに残る箔張り現象がみられる。
【0031】
次に、部分的に色調の異なる化粧板の実施例について説明する。転写用フィルムとして厚さ80μmの塩ビフィルム上に剥離ニス層、絵柄層及び隠ぺい性の強いベタインキ層を省略した構成で順次積層して、絵柄のみが強調され下地全体を隠ぺいする力が弱い熱転写フィルムを用意する。絵柄としては長期に亘って風雨に曝されたレンガの巣穴や汚れなどのみを具象化し目地を含まないものを使用する。レンガ目地状にエンボス加工が施された窯業系サイディングをレンガ調基板30(図14参照)として、先ず目地色としてグレー色のアクリルウレタンエナメル(大日本塗料(株)製)Vセラン100エナメルを粘度20秒(フォードカップ#4)に調整しエアレススプレーガンで全面塗装を行う。塗装量は100gr/m2(wet)である。80℃の熱風乾燥を行い目地塗料層31を形成する。次にゴム硬度40度の発泡ゴムロールを用いて目地部以外の表面部分すなわちレンガ部分を黄褐色のアクリルウレタンエナメル(Vセラン#100エナメル)を粘度60秒(フォードカップ#4)に調整し、55gr/m2の塗布量にて塗装する。次に出願人が既に特許を取得した特公平5−74425と特公平6−53241の手段を適宜使用し、前述の目地部以外のレンガ部分を塗装した色よりやや明るい色と暗い色に調色された前述のアクリルウレタンエナメル用いて部分的な塗装を施し、目地部以外の表面部分を3色に塗り分ける。その後80℃の熱風で3分間乾燥を行って部分異色塗層基板32を得る。この状況を図14に斜視図で示す。3色をそれぞれA色、B色、C色とした。
【0032】
上述にて得られた部分異色塗装基板32と絵柄を強調した熱転写フィルムを転写機に載置設定し、前記熱転写フィルムを前記基板32にシリコンロールで押圧する。このときシリコンロールの表面温度は150℃、ゴム硬度40度(常温)肉厚20mmである。転写速度は10m/分、圧力は線圧25kg/cm2とした。転写後熱転写フィルムを剥離したところ、下地塗料層の各A、B、C色が透視され、レンガの巣穴やしみ、汚れが印刷で表現されたレンガ調の意匠性の高いレンガ調化粧板が得られた。
【0033】
転写印刷後、印刷層を保護するためにトップコーティングを行う。つや消しアクリルウレタンクリヤー(Vセラン#100クリヤー)を粘度20秒(フォードカップ#4)に調整し、塗布量77gr/m2(wet)にて一様にエアレススプレーガンを用いて吹き付け塗装し、1分間程度セッティングさせた後、80℃の熱風乾燥を4分間行った。得られたレンガ調化粧板は表面が微妙に異なる3色に塗り分けられており更に印刷により古いレンガを表現した絵柄が施されて、色調の異なるレンガを積み上げたような感触を有するレンガ調化粧板を得た。
【0034】
更に、超耐候性を有する転写印刷化粧板について説明する。転写フィルムの基材フィルムとして80μm厚の塩ビフィルムを用いて該フィルム上に剥離ニス層、絵柄層を順次設けた熱転写フィルムを用意する。絵柄のインキ層成分としては、トップコート層の金属アルコキシド樹脂の成分である金属とキレート結合を行うための樹脂あるいはキレート高分子が配合された印刷インキを用いる。
【0035】
また別の仕様として塗装工程において、窯業系サイディングを基板とし金属アルコキシド系樹脂エナメル塗料のセラミカGT−95((株)日板研究所)をエアレススプレーガンに100gr/m2(wet)の割合で塗布し80℃で4分間熱風乾燥して下地塗料層を形成する。
【0036】
上述の下地塗料層の上面に上記熱転写フィルムを絵柄面を下にして重ね合わせ、熱転写フィルムの上面から160℃に加熱されたゴム硬度40度、肉厚20mmのシリコンゴムローラーを用いて圧力10kg/cm2、速度5m/分で熱転写を行いその後熱転写フィルムを剥離して、転写を行って転写印刷部を形成した。
【0037】
転写印刷の施された基板表面に金属アルコキシド系クリヤー塗料のセラミカGT−92((株)日板研究所製)50gr/m2の割合でエアレススプレーガンで塗布し100℃で5分間の熱風乾燥を行い、トップコート層を形成した。
【0038】
以上述べたように、下地塗料層、印刷部、トップコート層はキレート結合によって化学的に結合するから気候の変動に対して性能の劣化が起こらない。又金属アルコキシド系樹脂塗料は紫外線などの高エネルギー線に対して抜群の安定性を示すものであるから近年の住宅建築にみられる少なくとも10年の保証についても充分対応できる壁材である。
【0039】
他の側としてトップコート層として耐候性と耐汚染性に優れた樹脂としては、フッ素樹脂クリヤ(旭硝子(株)ルミフロンクリヤー)が上市されており、これを用いた例を次に説明する。
【0040】
転写フィルム構成は、基材フィルムとして厚さ80μmの塩ビシートを用い該シート上に剥離ニス層、絵柄層を順次設けた点では同様であるが、インキ成分としては、イソシアネート基と反応する水酸基を有する樹脂をビヒクル成分とする。この場合はウレタン結合による密着性の向上を図るものである。
【0041】
塗装工程としては、基板上に2液型アクリルウレタンエナメル塗料(大日本塗料(株)、Vセラン#100エナメル)をエアレススプレーガンにて110gr/m2(wet)の割合で均一に塗布する。2液型アクリルウレタンのアクリルポリオールとポリイソシアネートの配合比率をポリイソシアネートが若干少な目に配合し塗布後指触乾燥程度に乾燥させ上述の転写フィルムを用いて熱転写する。
【0042】
転写印刷後、直ちにフッ素樹脂クリヤー(旭硝子(株)製ルミフロンクリヤー)をエアレススプレーで110gr/m2の割合で塗布し120℃の熱風乾燥を10分間行った。この時主剤中の水酸基に対し、硬化剤中のイソシアネート基比率が若干過剰(1:1.05〜1:1.4)となるように配合しておくことで下地塗料層の未反応の水酸基及びインキ層中の水酸基と結合し強固な密着性及び耐候性が得られる。
【0043】
【発明に効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0044】
自然素材又はレンガ、タイルなどの窯業系素材の表面形状を模様として、少なくとも2段階の高低差を有する基板の塗料層面に転写印刷された転写印刷部を有する構成としたもので、自然な風合いが化粧板上に表現されたものとなる。
【0045】
塗料層に粒径20〜300μmの無機粒状物を含有させたり、転写される絵柄として石目模様やレンガ特有の巣穴や汚れなどを写真製版することでより自然な風合いのものとなる。
【0046】
基板の表面に部分的に異なる色彩の下地塗料層を設け、その上面に転写フィルムで絵柄のみ転写印刷されたものとすることで、下地色を透視可能にでき、同一色の絵柄に色彩の変化が効果的に付与される。
【0047】
下地塗料層色相がインキの色相と同系色で、且つその明度が少なくとも2段階明るい色を用いたので、絵柄が明瞭となり、より深みのある視覚が与えられる。
【0048】
転写印刷部のインキ層とこれを覆うトップコート層がキレート結合していることで非常に耐候性の高い化粧板となる。
【0049】
トップコート層を形成するクリヤー塗料に20〜300μmのビーズを配合しつや消し状とすることで耐擦傷性が向上する。
【0050】
塗布ロールを軟らかい素材の第1層と、第1層より硬い無孔ゴム質の第2層より構成し、第2層の表面に微細な穴を多数設け塗布量を規制できるようにしたので、基板表面をむらなく塗装できる。なお心材と第1層、第1層と第2層の間に第3の弾性部材を構成することも本発明に含まれる。
【0051】
転写用加圧ロールの表面に、互いに交差する方向に切り込み部を設け、切り込み部に囲まれた部分で個別に転写フィルムを押圧するようにしたもので、表面の圧力が基板表面に伝達され易くなり段差の多い基板に対しても効率的な転写がなされる。
【0052】
フィルムの剥離に際し、フィルムの引き上げ方向と基材表面のなす角度を90度より小さい角度で行うことで塗料層に密着したインキ層がめくれ上がらない。
【0053】
溝部にまたがって転写される際のフィルムの剥離において、転写フィルムの上面を加熱することで、溝部の上部に位置する密着していない部分を伸張させ密着部と非密着部の境界面を切断する結果、インキ層が不用意にめくれ上がるのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる基板の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の基板に塗料層を設けたものを示す断面図である。
【図3】本発明に用いる基板の別例を示す縦断面図である。
【図4】塗布ロールの軸心に直角方向の断面図である。
【図5】基板の表面を塗装した状態を示す模式断面図である。
【図6】基板の一表面形態を示す縦断面図である。
【図7】斜面をスポンジロールで塗装する状態を示す部分断面図である。
【図8】転写印刷工程の一例を示す側断面図である。
【図9】転写フィルムの剥離工程の一例を示す側断面図である。
【図10】別の基板の転写フィルムの剥離工程を示す側断面図である。
【図11】図11の段階の次の段階を示す側断面図である。
【図12】剥離時に転写フィルム上面を加熱する場合の例を示す側断面図である。
【図13】基板より転写フィルムを剥離するための一つの手段例を示す側断面図である。
【図14】部分異色塗装基板の一例を示す斜視図である。
【図15】転写加圧ロールの一実施例を示す斜視図である。
【図16】加圧ロールが斜面へ加圧する状況を示す一部拡大模式断面図である。
【符号の説明】
1、1a 基板
2、2a 凹凸部
3 溝部
4、4a 塗料層
5 砂岩調基板
6 熱転写用フィルム
6b 転写印刷部
10 塗布ロール
11 鉄芯
12 スポンジゴム層
13 無孔ゴム質層
14 斜面
15 穴
21 ロール
22 巻芯
23 巻き取りロール
30 レンガ調基板
31 目地塗料層
32 黒色塗装基板
40 鉄芯
41 スポンジゴム層
42 シリコンゴム層
43 切り込み部
44 凸部

Claims (2)

  1. 全体に自然素材又はレンガ、タイルなどの窯業系素材の表面形状を模様としてエンボス加工した凹凸面を有する窯業系又は金属系の基板上に塗料層を形成し、その上面に前記素材を特徴づける紋様を絵柄として転写印刷した転写印刷部を有する化粧板であって、
    転写フィルムを押圧して転写するためのゴムロールの表面に、互いに交差する方向に切り込み部を所定の間隔で複数箇所に設けて、該切り込み部で囲まれた部分が個別に転写フィルムを押圧する工程を含む化粧板の製造方法。
  2. 溝部をデザインの構成要素とする前記基板に転写印刷を行う際、基板上に押圧された転写フィルムの上面を加熱し、前記溝部に位置している前記基板に密着しない転写フィルム部分を伸長させることで密着した部分と密着しない部分の境界面で転写フィルムに付着するインキ層を切断して転写フィルムを剥離する工程を含む請求項1に記載の化粧板の製造方法。
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