JP3060110B2 - 改良された耐ブリスター性を有するサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

改良された耐ブリスター性を有するサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法

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JP3060110B2
JP3060110B2 JP2137076A JP13707690A JP3060110B2 JP 3060110 B2 JP3060110 B2 JP 3060110B2 JP 2137076 A JP2137076 A JP 2137076A JP 13707690 A JP13707690 A JP 13707690A JP 3060110 B2 JP3060110 B2 JP 3060110B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性、特に熱変形温度、耐ブリスター性
に優れたサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物
の製造方法に関する。
(従来の技術) タルクをその物性向上効果を利用してサーモトロピッ
ク液晶ポリエステルに溶融混合する技術は従来から多く
試みられており、たとえば、特開昭60−124649号公報、
特開昭59−36154号公報等に開示されている。
タルクは、Mg3Si4O10(OH)2で表わされる化学組成を持
つ天然の白色粉末で、その構造は層状構造をなし層間結
合力が弱いので剥離しやすく、滑らかな感触を与えるの
で滑石とも呼ばれる。一般にタルクは樹脂用配合剤とし
ては微粉末のものが多く用いられ、配合により樹脂の耐
熱性、寸法安定性等が向上する。
市販されている樹脂配合用タルクは、微粉末であり取
り扱いが困難なため、通常は袋詰めにして保存したもの
を取り出して使用する。これらのタルクは保存状態のよ
いものでも通常2000ppm以上の水分を含む。タルクは吸
湿性があるため一般的な加熱乾燥を行っても溶融混合ま
での取り扱いの過程で空気中の水分の吸収を防ぐための
設備あるいは取扱方法に特別の配慮をしない限り、溶融
混合時までの水分吸収量を制御することが難しい。
タルクをサーモトロピック液晶ポリエステルに溶融混
合する場合、サーモトロピック液晶ポリエステルをその
融点近くまで加熱して溶融状態とする。従って、溶融が
高いサーモトロピック液晶ポリエステル、特に250℃以
上、さらには340℃以上のサーモトロピック液晶ポリエ
ステルにおいては、溶融混合時の加熱温度が、タルクに
通常適用される乾燥温度(150〜200℃)より高いため通
常の乾燥方法で充分乾燥させたタルクを用いても、溶融
混合時にタルクより水分が発生しその水分がサーモトロ
ピック液晶ポリエステルを加水分解させるために、タル
ク溶融混合品が充分な強度および耐熱性をもつ組成物が
得られない。高温であるとともに起因してタルクそれ自
体あるいはそれに含まれる不純物により加水分解はさら
に加速される。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記に示した従来のタルクを配合したサー
モトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物の持つ課題を
解決することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討し
た結果、効果の顕著な本発明に到達した。
即ち本発明は、下記一般式で表わされるモノマー単位
を含む(共)重合体であるサーモトロピック液晶ポリエ
ステル樹脂の溶融物にタルクを配合するに際し、タルク
として、加熱処理をしてなるタルクであって、温度25
℃、湿度60%の空気中に24時間放置した際の水分吸収量
が1000ppm以下であるタルクであり、しかも配合時の水
分含量が1000ppm以下のタルクを、該樹脂と該タルクの
合計に対して5〜60wt%用いることを特徴とする改良さ
れた耐ブリスター性をもつ樹脂組成物の製造方法。
一般式 に関する。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で言うサーモトロピック液晶ポリエステルと
は、溶融時に光学的異方性を示す熱可塑性溶融可能なポ
リマーである。このような溶融時に光学的異方性を示す
ポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行
配列をとる性質を有している。光学的異方性溶融相の性
質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確
認できる。
サーモトロピック液晶ポリエステルは、一般に細長
く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く同軸または
平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有し
ているようなモノマーから製造される。
本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリエステルに
は、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポ
リマーのセグメントで構成され、残りの部分が異方性溶
融相を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから構成さ
れるポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピッ
ク液晶ポリエステルを複合したものも含まれる。
本発明においては、サーモトロピック液晶ポリエステ
ルのうち前記式であらわされるオキシベンゾイル基をモ
ノマー単位として含む重合体または共重合体を用いる。
このものは耐熱性が特に高く摺動材として好ましい。
さらに好ましいのは上記(共)重合体の中でも、オキ
シベンゾイル基を含む全芳香族ポリエステルである。
上記のような光学的異方性溶融相を形成する全芳香族
ポリエステルの構成成分としては (A)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸系化合
物の少なくとも1種、 (B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (C)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオー
ル系化合物の少なくとも1種、 (D)芳香族ジオール、芳香族チオフェノール、芳香族
チオールカルボン酸系化合物の少なくとも1種、 (E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物の少なくとも1種等があげられる。これ等は単独で構
成される場合もあるが、多くは(A)と(C)、(A)
と(D)、(A)(B)と(C)、(A)(B)と
(E)、あるいは(A)(B)(C)と(E)等の様に
組合せて構成される。
上記(A1)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、テ
レフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−
トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニル
エタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエ
タン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′
−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごと
き芳香族ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジク
ロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフ
タル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、
メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記
芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
(A2)脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸またはトランス−1,4−(2−
メチル)シクロヘキサンジカルボン酸、トランス−1,4
−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等、上記
脂環族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体等が挙げられる。
(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、
4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−
ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸または3−
メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキ
シ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
ロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ
−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ
クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安
息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6
−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳
香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまた
はハロゲン置換体が挙げられる。
(C1)芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−
ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)
エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6
−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン等の芳香族ジオールまたはクロロハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フ
ェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェ
ノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メ
チルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコ
キシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
(C2)脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シク
ロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオ
ール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、
シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−
1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキ
サンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタ
ノールのような脂環族ジオールまたはトランス−1,4−
(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,
4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオールのような脂
環族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置
換体が挙げられる。
(C3)脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール等の直鎖状または分岐状脂肪族ジオー
ルが挙げられる。
(D1)芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジ
チオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレ
ン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙
げられる。
(D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メチルカプ
トフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。
(D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカ
プト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプ
ト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸
等が挙げられる。
(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−
アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メ
チル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,
4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−
メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミ
ノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミ
ノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−
ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒ
ドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノフェニル
スルフィド(チオジアニリン)、4,4′−ジアミノフェ
ニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−エチレ
ンジアニリン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、
4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリ
ン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジ
アニリン)等が挙げられる。
なお、全芳香族ポリエステルとは芳香族カルボン酸と
芳香族アルコールとから実質的に得られるポリエステル
を一般には示すが、本発明の全芳香族ポリエステルは、
前述の異方性溶融相を形成しないセグメント部分は脂肪
族、脂環族の酸またはアルコールによるエステルで構成
されるものも包含される。さらに、ポリエステルそれ自
体または異方性溶融相を形成するセグメントにおいて
も、これらが異方性溶融相を形成する限りそれらが脂肪
族あるいは脂環族の酸またはアルコールとのエステルか
らなるものも包含される。
具体的な全芳香族ポリエステルとしては、 等がある。
本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリエステル
は、下記成分を構成成分とする全芳香族ポリエステルが
好ましい。
なかでもフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4,4′
−ヒドロキシフェノールを主成分とするサーモトロピッ
ク液晶ポリエステルが最も好ましい。
特に、DSC(differencial scanning calorimetry、示
差走査熱量測定)による融点が340℃以上の全芳香族ポ
リエステルを使用すると、熱変形温度、高温領域におけ
る剛性、耐衝撃性等、さらに広い領域の性能が改良さ
れ、本発明による配合効果が著しく向上する。
本発明において水分量とは、タルクを窒素気流中、30
0℃で1時間加熱した際発生する水分量を意味する。水
分量の測定方法としては、重量減少法および気化させた
水分をカールフィッシャー式水分計で分析する方法があ
る。
本発明に用いるタルクは、水分量が実質的に0%また
は5ppm以下のものを、温度25℃、湿度60%の空気中に24
時間置いたときに水分吸収量が1000ppm以下である吸収
性能を有するものである。
上記条件で吸湿させた際の水分吸収量が1000ppmをこ
えるタルクでは本発明の樹脂に溶融混合する場合に、溶
融混合までの取り扱いの過程で空気中の水分の吸収を防
ぐための設備あるいは取扱方法に特別の配慮が必要であ
るために適当ではない。
本発明のこのような特定の吸収性能を有するタルクを
得る方法としては、上記したような通常のタルクを加熱
処理することが好ましい。
本発明の吸収性能を有するタルクを得るための加熱処
理条件としては、処理温度および時間はそれぞれ900℃
〜1400℃および0.1時間〜100時間程度の範囲である。加
熱処理900℃未満の場合、タルクの吸湿性は充分低下せ
ず結果的に所望の組成物を得ることが困難である。
加熱時間に関しても、上記範囲をはずれる加熱条件に
よるタルクを使用すると所望の性能を有する組成物を得
ることが出来ない。
本発明の加熱処理によるタルクの結晶構造、そのほか
の微細構造がどのように変化しているかは不明である
が、特定の処理により所定の効果が得られるものであ
る。
上記範囲の加熱条件で処理されたタルクは、吸湿性が
低いため、通常は加熱処理後袋詰めにして保存したもの
を使用することが出来る。しかし高湿度の環境下に長時
間放置した場合には1000ppmを越えるおそれがある。100
0ppmを越えて吸湿した場合は、溶融混合前にこれを加熱
乾燥する必要がある。なお加熱乾燥は、真空中で行って
もよいが、工業的には空気中で行うことで目的を充分に
達成することができる。
加熱処理は1〜数十μm程度の微粉末のタルクについ
て行うのが最も効果的であるが粗粒タルクを加熱処理し
た後、微粉末を製造してもよい。
また、本発明者らは1100℃〜1400℃の範囲で加熱処理
することにより軽度に凝集したタルクが得られることを
見出した。
上記の範囲で加熱処理することにより、タルクは軽度
に凝集して、吸湿性が著しく低くなるため、加熱処理
後、袋詰めにして通常の状態で保存したものをそのまま
使用することができる期間がさらに長くなる。このもの
は軽度に凝集しており微粉末でないため、かさ密度が大
きくかつ飛散しにくく取り扱いが容易であり、乾燥設
備、混合設備等を簡素化することが出来る。
一方、このものの凝集の程度は軽度であるため樹脂お
よび他の溶融混合材料と混合する際、軽くせん断力をか
けるだけで容易に粒状となり、押出機に供給するために
充分な程度に分散することができる。更に、押出機で混
練することにより充分分散することができる。
タルクの加熱温度が1400℃を越えると、短時間のうち
に混合および混練等によって容易に分散できない程強く
凝集するおそれがあるため、処理時間のコントロールが
極めて困難であり好ましくない。
加熱処理の方法としては特に制限はなく、電気炉等に
より行えばよい。また加熱処理の雰囲気は特に限定はな
いが、工業的には空気雰囲気で充分である。
タルクの不純物含有量は産地によって異なるが、本発
明に用いられるタルクは不純物の少ない高品位の鉱石を
原料としたものが好ましく、アルミナ、酸化鉄等の金属
不純物は合計1wt%以下が好ましい。不純物含有量の多
いタルクは、樹脂を劣化させ物性の低下を招くだけでな
く、加熱処理時に着色するため淡色の製品に用いること
ができず用途が限定されるため好ましくない。
タルクの配合量としては、サーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂とタルクの合計に対して5〜60wt%の範囲
が好ましい。タルクの配合量が60wt%を越える場合は、
該組成物の強度および耐衝撃性が低下する。また、タル
クの配合量が5wt%未満の場合は配合効果が不十分であ
り、本発明の目的を達成することができない。
本発明においては、タルクの他に所望に応じて他の配
合剤を加えても良い。
配合剤としては、無機配合剤、有機配合剤、安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、改質剤等があ
げられる。このうち特に無機配合剤が重要で加工性、物
性等の改良のためにしばしば用いられる。無機配合剤と
しては、二硫化モリブデン、マイカ、クレー、セリサイ
ト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリカ、アルミ
ナ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、黒鉛、チ
タン酸カリウム、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカ
ー等がある。
この場合、タルクと他の配合剤との合計量は、該樹脂
とタルクおよび該配合剤の合計に対する割合で60wt%以
下が望ましい。また、本発明の目的とする特性を損なわ
ない範囲で、他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含有す
ることができる。
以上の説明は、代表的な組成物製造方法である溶融混
合方法について行ったが、それ以外に本発明のタルク含
有サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物は各種
の方法によって製造することができる。例えば、サーモ
トロピック液晶ポリエステル樹脂の重合時もしくは重合
体の後処理時にタルクを共存させる方法、目的組成物よ
りも高濃度にタルクを含む樹脂組成物(マスターバッ
チ)を溶融混合などにより得て、これを該樹脂と共に上
に述べた方法や成形時に共存させて処理する方法などを
採用することができる。
溶融混合方法以外のこれらの方法においても、組成物
の製造過程もしくは該組成物からなる成形物の製造過程
において、溶融混合法と同様にタルクと共存した状態に
おいて樹脂の溶融を生じるから、本発明の組成物によっ
て、溶融混合の場合と同様にして問題が解決される。
本発明によって得られる組成物は通常射出成形によっ
て所望の形状に成形され各種の用途に使用される。
(実施例) 以下、実施例によって、本発明を説明するがこれらの
実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明
の好適な態様を示すものである。
まず、実施例および比較例に使用した原材料を示し
た。
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂A A:テレフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルをモノマー単位とする式: *数字はモル比(合計で100) で示される三元共重合体 であるサーモトロピック液晶ポリマーの粉状物。融点42
0℃ サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂B B:テレフタル酸、イソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香
酸、4,4′−ジヒドロキシジフェニルをモノマー単位と
する式: *数字はモル比(合計で100) で示される四元共重合体 であるサーモトロピック液晶ポリマーの粉状物。融点35
0℃ タルク A:ミストロン850FC(商品名、日本ミストロン社製) B:タルカンパウダーPKP(商品名、林化成(株)社製) なお、以下の実施例および比較例において水分吸収量
は、タルクの加熱処理後デシケーター内で冷却した後の
水分量と、該タルクを温度25℃、湿度60%の空気中に24
時間放置した後の水分の差として求めた。水分量はカー
ルフィッシャー式水分計(三菱化成(株)製、VA−05型
水分気化装置とCA−05微量水分測定装置からなる)を用
いて0.5gの試料を窒素気流中で300℃で1時間加熱した
際に発生する水分量として測定された値を用いた。
実施例1〜7 各タルク粉末を磁性容器に取り、箱型電気炉に入れ、
昇温速度20℃/minで各所定温度まで昇温し2時間保持し
て加熱乾燥処理を行った。
これら加熱処理したタルクを、通常の管理方法とし
て、温度25℃、湿度60%の空気中に24時間放置した。各
放置した後のタルク1.5kgとサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂粉末1.5kgを攪拌羽根付きの混合機で混合
した。
1200℃および1300℃で加熱したタルクは軽度に凝集
し、塊状となっていたが攪拌羽根で軽くせん断力をかけ
るだけで2〜3mm以下の粒状となり、充分分散させるこ
とができた。
これらの混合物を二軸押出機(池貝鉄工(株)製 PC
M−30)を用いて溶融混練し造粒しペレットを得た。
各原料の種類、加熱処理温度、水分吸収量および押出
温度を表に示す。
得られたペレットを射出成形機(住友重機工業(株)
製、SG−25)により射出成形し、引張り試験片を得た。
成形時のシリンダー温度は、樹脂Aでは390℃、樹脂B
では350℃とした。
引張り強度および引張り弾性率はASTM D−638試験法
に準拠して求めた。
また耐熱性については、試験片をエアーオープン中で
260℃、4時間加熱しブリスター(火ぶくれ)発生の有
無で判定した。結果を表に示す。
実施例8 実施例5と同様の条件で加熱処理したタルクを、温度
25℃、湿度60%の恒温槽に168時間放置した後に溶融混
合に用いた以外は実施例1と同様の手順で試験を行っ
た。なお、放置後のタルクの水分は710ppmであった。結
果を表に示す。
実施例9,10 実施例1,2と同様の条件で加熱処理したタルクを、加
熱処理後放置せずにただちに溶融混合に用いた以外は実
施例1,2と同様の手順で試験を行った。結果を表に示
す。
比較例1,2 それぞれ加熱乾燥未処理の各タルク粉末1.5kgおよび
樹脂粉末1.5kgを攪拌羽根付きの混合機で混合した後、
この混合物をエアーオーブン中で150℃、2時間乾燥し
た。乾燥した原料を用い、実施例1と同様の方法で試験
を行った。
二軸押出機のフィードホッパーより採取した原料混合
物の300℃で1時間加熱した際に発生する水分の量を実
施例1と同様にして測定した。
これらの値から、あらかじめ測定した樹脂の水分含有
量を差し引いてタルクの水分含有量を算出した。比較例
1のタルクは3500ppm、比較例2のタルクは1600ppmの水
分を含有していた。
また、引張り強度、引張り弾性率および耐熱性につい
ては、実施例1と同様に測定した。結果を表に示す。
比較例3,4 各タルクの加熱処理温度をそれぞれ800℃とした以外
は、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表に
示す。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は、サーモトロピック液晶
ポリエステル樹脂に、加熱処理により吸湿性能を低下さ
せたタルクを用いることにより、特に厳重な水分管理を
する必要がなく、サーモトロピック液晶ポリエステル樹
脂組成物の強度、耐熱性および寸法安定性を著しく改善
し、成形品の商品価値も含めて広い応用分野での実用化
しうる範囲を飛躍的に拡大する効果が得られる。また、
本発明に係る特定の加熱処理タルクは、従来の未処理タ
ルクと比較し、優れた物性改良効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−36154(JP,A) 特開 平2−55745(JP,A) 特開 平2−142837(JP,A) 特開 平4−81451(JP,A) 特許2736906(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式で表わされるモノマー単位を含
    む(共)重合体であるサーモトロピック液晶ポリエステ
    ル樹脂の溶融物にタルクを配合するに際し、タルクとし
    て、加熱処理をしてなるタルクであって、温度25℃、湿
    度60%の空気中に24時間放置した際の水分吸収量が1000
    ppm以下であるタルクであり、しかも配合時の水分含量
    が1000ppm以下のタルクを、該樹脂と該タルクの合計に
    対して5〜60wt%用いることを特徴とする改良された耐
    ブリスター性をもつ樹脂組成物の製造方法。 一般式
  2. 【請求項2】サーモトロピック液晶ポリエステルが全芳
    香族ポリエステルである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】サーモトロピック液晶ポリエステルの融点
    が340℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】タルクが900〜1400℃の温度範囲で0.1〜10
    0時間加熱処理を行うことによって得られたものである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方
    法。
  5. 【請求項5】タルクが1100℃〜1400℃の温度範囲で、か
    つ0.1時間〜100時間加熱処理を行うことによって得られ
    たものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項記載の方法。
  6. 【請求項6】タルクが焼成により軽度に凝集したもので
    ある請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
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