JP3057153B2 - スピン検出装置 - Google Patents
スピン検出装置Info
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Description
電子スピン偏極度を測定するのに好適なスピン検出装置
に関する。
料に外部磁界を加えることにより、その電気抵抗が変化
する現象である。磁気抵抗効果を利用した磁界検出素子
は、磁界センサや磁気へッド等に利用されている。
へッドに磁気抵抗効果素子を利用する場合、再生感度の
点から磁気抵抗変化率は大きいことが望ましい。ここ
で、従来の磁気抵抗効果素子としては、NiFe合金等
の薄膜を使用したものが知られている。しかし、これら
合金の磁気抵抗変化率は数% であり、さらなる磁気記録
密度の高密度化には十分に対応できないという問題があ
った。
% 程度の非常に大きな磁気抵抗変化率を示す磁気抵抗効
果素子が見出されている。この磁気抵抗効果素子は、絶
縁層を介して強磁性層を積層した、第1の強磁性層/絶
縁層/第2の強磁性層からなる 3層構造を有し、第1お
よび第2の強磁性層間に現れるスピン偏極トンネリング
効果を利用したものである。例えば、Fe/Al2 O3
/Fe構造の強磁性トンネル接合において、室温で 18%
の磁気抵抗変化率が得られている(J.Magn. Magn. Mate
r., 151, 403(1995)参照)。
抵抗変化率は、第1の強磁性層と第2の強磁性層の伝導
電子スピン偏極度をそれぞれP1、P2とすると、大ま
かに両者の積の 2倍、すなわち 2P1P2と表せること
が知られている(Phys.Lett.,54A, 225(1975)参照)。従
って、スピン偏極トンネリング効果を利用した磁気素子
において、より大きい磁気抵抗変化率を得るためには、
第1および第2の強磁性層に伝導電子スピン偏極度が高
い物質を使用することが 1つの指針となる。このような
観点から、最近、強磁性試料の伝導電子スピン偏極度を
簡便に測定したいという要求が高まっている。
的に評価する方法としては、従来、電子線をプローブと
する方法(R.Feder ed. Polarized Electron in Surfac
e Physics(World Scientific, Singapore, 1985)参照)
の他、上記したスピン偏極トンネリング効果を用いる方
法が知られている(Physics Report, 238,173(1994)参
照)。これらのうち、電子線をプローブとする方法は、
試料表面の極微細な領域の情報が得られる等の利点を有
する反面、電子線を利用するために超高真空という特異
な環境が必要であり、装置が大型化しかつ操作が煩雑で
あるという欠点を有している。一方、スピン偏極トンネ
リング効果を利用する方法は、測定装置が小型化、簡素
化できるだけでなく、実際のスピン偏極トンネリング効
果を利用した磁気素子の製造に必要な情報が直接得られ
るという利点を有している。
スピン偏極トンネリング効果を利用した伝導電子スピン
偏極度の測定は、被測定試料と対向電極とを絶縁層を介
して積層した 3層膜構造のトンネル接合体を被測定試料
として作製して実施されている。このような方法では、
対向電極上に被測定試料を蒸着法等により薄膜形状に加
工しなければならず、あくまでも破壊的な評価方法であ
る。すなわち、従来の伝導電子スピン偏極度の測定方法
は、単結晶体や急冷薄帯等のバルク試料、超薄膜や人工
格子等の薄膜試料等の磁気素子に実際に適用する試料の
形状や特性を保ったままで、その伝導電子スピン偏極度
を測定することができないという欠点を有している。
なされたもので、任意形状の強磁性を示す導電性試料の
伝導電子スピン偏極度を、スピン偏極トンネリング効果
を利用して、試料の形状や特性を維持したまま非破壊に
測定することを可能にしたスピン検出装置を提供するこ
とを目的としている。
ピン検出装置は、請求項1に記載したように、スピン偏
極トンネリング効果により被測定試料の伝導電子スピン
偏極度を測定するスピン検出装置において、導電性を有
する強磁性体からなる電極本体と、前記電極本体の表面
に設けられた絶縁層とを有する電極と、前記電極と前記
被測定試料との間に前記絶縁層を介してトンネル接合が
生じるように、前記電極を前記被測定試料に密接させつ
つ、前記電極と前記被測定試料との相対位置を制御する
手段と、前記電極と前記被測定試料に磁界を印加する手
段とを具備することを特徴としている。
したように、スピン偏極トンネリング効果により被測定
試料の伝導電子スピン偏極度を測定するスピン検出装置
において、直接遷移型半導体からなる電極本体と、前記
電極本体の表面に設けられた絶縁層とを有する電極と、
前記電極本体にスピン偏極電子を生じさせるように、前
記電極に円偏光を照射する手段と、前記電極と前記被測
定試料との間に前記絶縁層を介してトンネル接合が生じ
るように、前記電極を前記被測定試料に密接させつつ、
前記電極と前記被測定試料との相対位置を制御する手段
と、前記電極と前記被測定試料に磁界を印加する手段と
を具備することを特徴としている。
や直接遷移型半導体からなる導電性の電極本体の表面に
絶縁層を設けた電極を、外力により被測定試料に密接さ
せることでトンネル接合を得ることにある。このように
して実現したトンネル接合において、電極と被測定試料
との間のスピン偏極トンネリング効果を測定することに
よって、被測定試料の伝導電子スピン偏極度の測定が可
能となる。
ては、被測定試料を対向電極や絶縁層と独立に作製する
ことができ、かつ例えば外部との電気的な接続を得るた
めの端子を形成する以外の加工は不要である。さらに、
その形状としては電極が密接するに足りるだけの鏡面を
有していればよい。従って、任意形状の被測定試料の伝
導電子スピン偏極度を、試料の形状や特性を維持したま
ま非破壊に測定することが可能となる。
態について説明する。
実施形態の装置構成を模式的に示す図である。図1にお
いて、1は導電性を有する強磁性体からなる電極本体2
の表面に絶縁層3を設けて構成した電極である。このよ
うな電極1は支持体4に機械的に結合されて支持されて
いると共に、伝導電子スピン偏極度を測定する被測定試
料5としての強磁性を示す導電性試料と対向配置されて
いる。支持体4には電極1への配線6が形成されてい
る。
触状態を安定に保つように、板バネ等の可撓性および弾
性を有する材料で構成することが好ましい。すなわち、
支持体4は電極1を被測定試料5に密接させる手段の一
部を兼ねており、この支持体4と後述する位置制御機構
7とによって、電極1と被測定試料5との間に絶縁層3
を介してトンネル接合を生じさせている。なお、支持体
4とは別に電極1と被測定試料5との接触状態を安定化
させる弾性手段等を設けることも可能である。板バネ等
からなる支持体4に支持された電極1は、被測定試料5
との間に絶縁層3を介してトンネル接合が生じるよう
に、例えば圧電素子を利用した位置制御機構7により被
測定試料5に密接される。トンネル接合が生じるように
被測定試料5に密接された電極1は、さらにトンネル抵
抗が一定となる位置(距離)に位置制御機構7により固
定される。
位置、言い換えると厳密な意味での距離(接触状態)
は、板バネ等からなる支持体4の弾性力(外力)と位置
制御手段7とにより制御され、伝導電子スピン偏極度の
測定にあたっては、上記したようにトンネル抵抗が一定
となる位置に固定される。位置制御機構7は、例えば圧
電素子による被測定試料5の動作(Z軸方向への移動)
のみならず、圧電素子自体を移動させる機構を含んでい
る。
なる配線8が接続されている。この被測定試料5への配
線8および電極1への配線6(支持体4に設けられた配
線6)には、定電圧源9と抵抗検出回路10とが接続さ
れている。さらに、電極1および被測定試料5の周囲に
は、これらに磁界を印加するための磁界発生装置11と
してコイル等が配置されている。
定するにあたって、まず定電圧源9により一定電圧を電
極1と被測定試料5との間に加えながら、位置制御機構
7により電極1先端と被測定試料5の表面とを接近さ
せ、抵抗検出回路10の指示を参照して、Z方向の変位
に対してトンネル抵抗が変化しなくなる位置に被測定試
料5を固定する。この位置では、電極1の先端と被測定
試料5の表面とは接触している。より具体的には、強磁
性体からなる電極本体2と被測定試料5とは、電極1表
面の絶縁層3を介してトンネル接合を形成しており、こ
れらの間に絶縁層3を介して一定のトンネル電流が流れ
ている。
7にフィードバックすることによって、自動的に電極1
と被測定試料5との固定位置(接触位置)を決定するこ
とも可能である。また、図1では位置制御機構7を被測
定試料5の下部に設置した構成を示したが、位置制御機
構7は電極1および支持体4側に設置しても差し支えな
い。
(接触)によって、絶縁層3を介して電極本体2と被測
定試料5との間にトンネル電流が流れている状態が実現
される。言い換えると、強磁性体(2)/絶縁層3/強
磁性体(5)の 3層構造を形成すると共に、強磁性体
(2)と強磁性体(5)との間に絶縁層3を介してトン
ネル電流を流した状態が実現される。
せた外部磁界を電極1および被測定試料5に印加し、抵
抗の変化を抵抗検出回路10により検出する。そして、
この外部磁界による抵抗の変化から磁気抵抗変化率を求
める。この磁気抵抗変化率△R/Rは、前述したように
電極本体2を構成する強磁性体の伝導電子スピン偏極度
P1、および被測定試料5としての強磁性体の伝導電子
スピン偏極度P2に対して、大まかに△R/R= 2P1
P2の関係を満足するものである。従って、電極本体2
として伝導電子スピン偏極度P1が明確である強磁性体
を使用することによって、被測定試料5としての強磁性
体の伝導電子スピン偏極度P2を求めることができる。
ン偏極度P2を正確に求める上で、電極本体2には伝導
電子スピン偏極度P1が明確である強磁性体を使用する
ことが望ましい。さらに電極1の形状は、例えば図2に
示すように球面形状、あるいは錐体や尖針状等とするこ
とができる。接触面積は、被測定試料5表面に付着した
汚れ等の影響を排除する上からもなるべく小さい方がよ
く、具体的に最大径で100μm 以下とすることが好まし
い。接触面積は、電極1の形状や大きさにより所定の範
囲に設定することができる。
よいが、外部磁界による変位、擾乱等を避けるために、
図2に示すように、SiO2 等の絶縁体、Si等の半導
体、あるいはAu等の非磁性体からなる基板12上に強
磁性薄膜2aを積層した構造とすることが望ましい。強
磁性薄膜2aとしては、Fe、Co、Niやこれらを主
成分とする合金、あるいはこれら強磁性体とCu、A
u、Ag等の非磁性体、あるいはSi等の半導体とを交
互に積層した多層膜等を用いることができる。なお、電
極本体2全てを強磁性体で構成する場合の材料も同様で
ある。
バルク的なモーメントを持たせる上で10nm以上とするこ
とが好ましい。また、上記した外部磁界による変位、擾
乱等を避ける上で、強磁性薄膜2aの膜厚は10μm 以下
とすることが好ましい。なお強磁性薄膜2aには、磁化
曲線の角型比を向上させるために、弱い一軸異方性が導
入されていることが望ましい。
界に対する抵抗の変化を観察するためには、電極本体2
に用いる強磁性体と被測定試料5との間に保磁力差が存
在し、外部磁界を印加することにより両強磁性体の磁気
モーメントの向きが平行、反平行の二つの状態をとるこ
とが必要である。この状態を実現するための保磁力差は
少なくとも20Oe 以上必要であり、さらには 100Oe 以
上の保磁力差を有していることが好ましい。保磁力差が
小さいとそれに応じて磁気抵抗変化率が小さくなり、真
の伝導電子スピン偏極度を測定できないからである。
保磁力が異なる強磁性薄膜2aを有する電極1をいくつ
か作製しておき、被測定試料5の保磁力に応じて使い分
けることが有効である。強磁性薄膜2aの保磁力は、組
成、成膜条件、層厚等を調整することにより所定の大き
さに設定することができる。
するために、例えば図3に示すように、強磁性薄膜2a
の下部に磁化固定膜13を配置した構造、すなわち基板
12上に磁化固定膜13と強磁性薄膜2aと順に積層し
た構造を採用してもよい。磁化固定膜13としては、C
oPt等の高保磁力材料やFeMn等の反強磁性材料が
適している。
成材料としては、Al2 O3 、NiO等の酸化物の他、
CaF2 、SrF2 等のフッ素化合物、AlN、BN等
の窒素化合物等を使用することができる。これらの絶縁
体は、蒸着法等により強磁性薄膜2a上に直接積層形成
してもよいし、また金属酸化物の場合には該金属を積層
後にその表面を酸化処理して形成してもよい。スピン偏
極トンネリング効果を得るために、絶縁層3の層厚は 5
nm以下とする。絶縁層3の層厚のより好ましい範囲は 1
〜 2nmである。絶縁層3の膜厚が 2nmを超えるとトンネ
ル抵抗が高くなって測定上不都合であり、また 1nm未満
では均一な絶縁層3を形成することが難しいためであ
る。
は、強磁性体からなる電極本体2の表面に絶縁層3を設
けた電極を、板バネ等からなる支持体4や位置制御機構
7等による外力により被測定試料5に密接させることで
トンネル接合を得ている。そして、このトンネル接合に
おいて、電極本体2と被測定試料5との間のスピン偏極
トンネリング効果による磁気抵抗変化率△R/Rを測定
することによって、被測定試料5の伝導電子スピン偏極
度P2を求めている。
層3と独立して作製することができる。また、被測定試
料5の作製にあたって、外部との電気的な接続を得るた
めの端子を形成する以外の加工は不要であり、さらにそ
の形状は電極1が密接するに足りるだけの鏡面を有して
いればよく、特別な加工等を施す必要がない。これらに
よって、任意形状の被測定試料5の伝導電子スピン偏極
度P2を、試料の形状や特性を維持したまま非破壊に測
定することが可能となる。
気抵抗効果素子でより大きい磁気抵抗変化率を得るため
に、伝導電子スピン偏極度が高い物質を模索している現
状において、単結晶体や急冷薄帯等のバルク試料、超薄
膜や人工格子等の薄膜試料等の磁気素子に実際に適用す
る試料の形状や特性を保ったままで、その伝導電子スピ
ン偏極度の測定を可能にすることの意義は大きい。
施形態について説明する。
実施形態の装置構成を模式的に示す図である。図4にお
いて、21は直接遷移型半導体を用いた電極本体22の
表面に絶縁層23を設けて構成した電極である。このよ
うな直接遷移型半導体を利用した電極21は、前述した
実施形態と同様に、例えば板バネからなる支持体4に機
械的に結合されて支持されていると共に、伝導電子スピ
ン偏極度を測定する被測定試料5としての強磁性を示す
導電性試料と対向配置されている。
にする光透過孔や光透過窓等の光透過手段24が設けら
れている。さらに、この実施形態のスピン検出装置は、
光透過手段24を介して、直接遷移型半導体を用いた電
極21に背面から円偏光を照射する円偏光照射機構25
を有している。なお、円偏光の照射方向と外部磁界の印
加方向との相対角度は直角であってはならない。
構成部分については同一符号を付してその説明を省略す
る。図4に示すスピン検出装置は、上記した電極21、
支持体4の光透過手段24、および円偏光照射機構25
を除いて、図1に示したスピン検出装置と同様な構成を
有している。例えば、電極21と被測定試料5との相対
位置の制御は、図1に示したスピン検出装置と同様な構
成により実現されている。
結晶構造を有したGaAs、InSb等の化合物半導
体、あるいはそれらを交互に積層した人口格子である。
このような直接遷移型半導体に、そのバンドギャップエ
ネルギーに相当するエネルギーを持った円偏光を照射す
ると、伝導帯にスピン偏極電子が生成することが知られ
ている(Phys. Scripta, 38, 291(1988)参照)。伝導電
子スピン偏極度は、照射円偏光の回転方向により制御す
ることができる。
電極本体22と被測定試料5との間に絶縁層23を介し
てトンネル電流が流れている状態を実現し、この状態で
直接遷移型半導体を用いた電極21に背面から円偏光を
照射することによって、電極21と被測定試料5との間
でスピン偏極トンネリング効果を測定することができ
る。そして、磁界発生装置11から外部磁界を電極21
および被測定試料5に印加し、抵抗の変化を抵抗検出回
路10により検出することにより磁気抵抗変化率△R/
Rが求まり、さらに前述した実施形態と同様にして、被
測定試料5としての強磁性体の伝導電子スピン偏極度P
2を求めることができる。
合、図5に示すように、電極本体22は照射した円偏光
を透過し得る基板26上に、直接遷移型半導体22aを
積層した構造とすることが望ましい。基板26は単結晶
体で形成することが好ましく、さらにその材質としては
照射円偏光波長に対して透明であることが求められる。
基板26を単結晶体で形成することによって、直接遷移
型半導体22aを良好にエピタキシャル成長させること
ができる。これに適した材料としては、AlGaAs、
ZnSe等の化合物半導体のほか、CaF2 等のフッ素
化合物が挙げられる。
は前述した実施形態と同様とする。電極21の形状を球
面とする場合、基板26の一方の面を球面に加工する必
要かあるが、これは機械研磨、化学エッチング、イオン
ビーム加工等により実施することができる。
前述した実施形態と同様に、任意形状の被測定試料5の
伝導電子スピン偏極度P2を試料の形状や特性を維持し
たまま非破壊に測定することができる上に、直接遷移型
半導体22aの伝導電子スピン偏極度は外部磁界に依存
しないため、被測定試料5の保磁力の大きさを考慮する
必要がない。さらに、直接遷移型半導体22aの伝導電
子スピン偏極度は、照射円偏光の回転方向により明確で
あるため、被測定試料5の伝導電子スピン偏極度P2を
より正確に求めることができる。
価結果について述べる。
作製し、強磁性体薄膜試料の伝導電子スピン偏極度の測
定を行った。電極は、直径 1mm、曲率半径 2.6mmの石英
製平凸レンズに、RFスパッタ法によりCoを 100nm積
層し、さらにその表面に絶縁層として抵抗加熱蒸着法に
よりCaF2 を 5nm積層して作製した。このようにして
作製した電極を、長さ10mm、幅 2mm、厚さ0.15mmの燐青
銅板からなる支持体に接着剤を用いて接着し、さらにI
n圧着によりAu配線を形成した。この電極と支持体を
電極球面を下向きにして、下向きの圧電素子先端に取り
付けた。この圧電素子は、上下動が可能なように架台に
取り付けられている。
にエピタキシャル成長させたNi薄膜を用いた。この被
測定試料は上記した架台の下部に設置し、さらに配線を
接続した。
出装置を用いて、まず圧電素子を徐々に動かすことによ
り電極表面を被測定試料表面に接近させ、トンネル抵抗
が圧電素子の上下動に対して変化を示さなくなる位置で
固定した。この時、バイアス電圧は 100mVであり、トン
ネル抵抗値は約 15kΩであった。この状態で外部より磁
界を膜面に平行に印加して磁気抵抗測定を行った。その
結果、図6に示す電極と被測定試料との保磁力差に起因
した磁気抵抗曲線が得られた。磁気抵抗変化率は 12%で
あり、Coのスピン偏極度を 35%としたとき、被測定試
料のスピン偏極度は 17%と求められた。
作製し、強磁性体薄膜試料の伝導電子スピン偏極度の測
定を行った。電極は、CaF2 単結晶体を機械研磨およ
び化学エッチングにより直径 1mm、曲率半径 2.6mmの平
凸レンズ状に加工し、このCaF2 単結晶体の球面側に
MBE法により厚さ 100nmのp-GaAs層を積層し、さ
らにその表面に絶縁層としてCaF2 を 5nm積層して作
製した。このようにして作製した電極を、実施例1と同
様にして、支持体に接着すると共に圧電素子の先端に取
り付けた。被測定試料は実施例1と同様とした。そし
て、波長 780nmの半導体レーザー光を 1/4波長板を通過
させて左円偏光とし、この左円偏光を電極背面から垂直
に照射しつつ、実施例1と同様にトンネル抵抗が圧電素
子の上下動に対して変化を示さなくなる位置で固定し
た。
垂直に印加して磁気抵抗測定を行った。その結果、図7
に示すように、被測定試料の磁化を反映した磁気抵抗曲
線が得られ、磁気抵抗変化率は 34%であった。これによ
り、GaAsの伝導電子スピン偏極度を 50%としたと
き、被測定試料のスピン偏極度は 17%と求められた。
出装置によれば、被測定試料を対向電極や絶縁層と独立
に作製することができ、かつ外部との電気的な接続を得
るため以外の加工は不要であることから、非破壊のうち
に被測定試料の伝導電子スピン偏極度を定量的に評価す
ることができる。さらに、本発明のスピン検出装置は測
定装置が小型、単純であるため、このような装置を用い
ることによりスピン偏極度の測定を簡便かつ容易に行う
ことが可能となる。
施形態の装置構成を模式的に示す図である。
構造例を示す断面図である。
の構造例を示す断面図である。
施形態の装置構成を模式的に示す図である。
構造例を示す断面図である。
いた磁気抵抗測定の測定結果の一例を示す図である。
いた磁気抵抗測定の測定結果の一例を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 スピン偏極トンネリング効果により被測
定試料の伝導電子スピン偏極度を測定するスピン検出装
置において、 導電性を有する強磁性体からなる電極本体と、前記電極
本体の表面に設けられた絶縁層とを有する電極と、 前記電極と前記被測定試料との間に前記絶縁層を介して
トンネル接合が生じるように、前記電極を前記被測定試
料に密接させつつ、前記電極と前記被測定試料との相対
位置を制御する手段と、 前記電極と前記被測定試料に磁界を印加する手段とを具
備することを特徴とするスピン検出装置。 - 【請求項2】 スピン偏極トンネリング効果により被測
定試料の伝導電子スピン偏極度を測定するスピン検出装
置において、 直接遷移型半導体からなる電極本体と、前記電極本体の
表面に設けられた絶縁層とを有する電極と、 前記電極本体にスピン偏極電子を生じさせるように、前
記電極に円偏光を照射する手段と、 前記電極と前記被測定試料との間に前記絶縁層を介して
トンネル接合が生じるように、前記電極を前記被測定試
料に密接させつつ、前記電極と前記被測定試料との相対
位置を制御する手段と、 前記電極と前記被測定試料に磁界を印加する手段とを具
備することを特徴とするスピン検出装置
Priority Applications (1)
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JP9229738A JP3057153B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | スピン検出装置 |
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JP9229738A JP3057153B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | スピン検出装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1997
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