JP2000011333A - トンネリング磁気抵抗効果素子およびその製造方法 - Google Patents

トンネリング磁気抵抗効果素子およびその製造方法

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JP2000011333A
JP2000011333A JP17369598A JP17369598A JP2000011333A JP 2000011333 A JP2000011333 A JP 2000011333A JP 17369598 A JP17369598 A JP 17369598A JP 17369598 A JP17369598 A JP 17369598A JP 2000011333 A JP2000011333 A JP 2000011333A
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ferromagnetic
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ferromagnetic layer
insulator layer
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JP17369598A
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Atsushi Yamazaki
篤志 山崎
Tatsuo Sawazaki
立雄 沢崎
Shuji Tanogami
修二 田ノ上
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トンネリング磁気抵抗効果素子において、安定
して高い磁気抵抗効果を実現させ、高MR比の素子を製
造する方法を提供する。 【解決手段】(1)基板側より順に第一の強磁性体層、絶
縁体層および第二の強磁性体層の積層体、またはこれに
さらに反強磁性体層が付加された積層体の、絶縁体層接
合部のトンネル効果を利用する磁気抵抗効果素子におい
て、第一の強磁性体層の絶縁体層が接合される面の表面
粗さRaの値が、2.5Å以下である素子、または積層体
を形成させる基板面にアモルファス非磁性金属を存在さ
せた上記の素子。(2)第一の強磁性体層の絶縁体層を形
成させる面の粗さを、Raにて2.5Å以下とする上記素
子の製造方法。または、基板上にアモルファス非磁性金
属を形成させた後、第一の強磁性体層を形成させるか、
第一の強磁性体層をスパッタ法にて基板上に形成させる
上記素子の製造方法。(3)上記素子を読み出し部とする
磁気ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装
置、磁気エンコーダ装置等の磁気ヘッドに装着され、磁
気記録媒体に記録された情報の読み出しに用いられる、
磁気抵抗効果を利用した素子に関する。さらに詳しく
は、強磁性トンネル効果接合による磁気抵抗効果を利用
したトンネリング磁気抵抗効果(TMR ― Tunneling
Magnetoresistance)素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大量の情報を高速で記録し読み出しでき
る磁気記録装置に、ハードディスクなどがある。パーソ
ナルコンピュータなどに使用されるハードディスクにお
ける記録密度は、短期間で急速に増大しつつあり、今後
もその傾向は続くと予想されている。このハードディス
クの磁気媒体に記録された情報を読み出すヘッドの素子
として、磁気抵抗効果素子が多く使用されるようになっ
ている。
【0003】磁気抵抗効果とは、導電性の磁性体に磁場
を印加すると電気抵抗が変化する効果であり、この効果
を持つ素子を利用して磁場変化を検出し、磁気媒体に記
録された情報を読みとる。この磁気抵抗効果(MR ―
magnetoresistance)素子は、磁気記録媒体の移動速度
の影響を受けず、薄膜による小型化が可能であり、磁気
媒体に面密度をきわめて高くして記録された情報を、容
易に識別して読み出すことができる利点がある。このよ
うな素子としては、従来、強磁性体の電流の方向と磁化
軸とのなす角度による抵抗変化を検出する、磁気異方性
型の素子が利用されてきた。これに対し、非磁性導電体
層が二つの強磁性体層に挟まれその一方の強磁性体層の
外側に反強磁性体層が接した膜構造を持つ、大きな磁気
抵抗効果を示すスピンバルブ素子が開発され、これを用
いた磁気ヘッドの実用化が進められている。
【0004】このスピンバルブ素子により、磁気抵抗変
化比(MR比)は大きく向上した。しかし、磁気記録密
度の増大傾向に対し、より一層大きいMR比をもつ素子
が要望され、それに応えるものとして、トンネリング磁
気抵抗効果素子がある。このトンネリング磁気抵抗効果
およびそれによる素子については、日本応用磁気学会誌
vol.20(1996),No.5, p.896-904 の解説「スピントンネ
ル磁気抵抗効果」に詳述されているが、ごく簡単に説明
すれば次のとおりである。
【0005】絶縁体で隔てられた二つの導電体の間に
は、通常は電流は流れない。ところが絶縁体が極めて薄
くなると、電圧印加により電流が流れるようになる。電
流は電子という粒子の移動によるとすれば、古典力学で
はこれは到底あり得ない現象である。しかし、電子の運
動が波動であるとする量子力学によれば、有限の幅の絶
縁体という障壁を、電子がある確率で通過できることに
なる。これをトンネル効果といい、それによって流れる
電流をトンネル電流という。そして、薄い絶縁体層に隔
てられた二つの導電性強磁性体の間にトンネル電流が検
出されるとき、絶縁体層の両側の強磁性体の磁化方向
が、相互に同じである場合と異なる場合とでトンネル効
果に差があり、これが電気抵抗値変化として検出される
ことが明らかになった。当初、この現象とその大きなM
R比は極低温域で見出されたが、強磁性体と絶縁体との
組み合わせの選択によって、常温でも十分な大きさの効
果が得られることがわかり、磁気抵抗効果素子としての
可能性が注目されるようになってきている。
【0006】強磁性トンネル効果接合による磁気抵抗素
子は、MR素子やスピンバルブ素子が導電体膜の面に平
行に流れる電流の抵抗変化を信号として取り出すのに対
し、層間すなわち膜面に垂直な方向の電流の抵抗変化を
検出する。そして、絶縁体のトンネル効果なので電気抵
抗が大きいという特徴がある。スピンバルブ素子は、二
つの導電性強磁性体の間に非磁性の導電体を挟んだ積層
体であるが、この非磁性の導電体層が、ごく薄い絶縁体
層に変わったものがトンネリング磁気抵抗効果素子(T
MR素子)の積層体の基本構造である。絶縁体層を挟ん
だ二つの強磁性体の保磁力に差を付けておけば、外部の
磁場により、保磁力の小さい方がその磁場の方向に磁化
され、保磁力の大きい方は元の方向のままなので、両強
磁性体の間の磁化方向、すなわち電子のスピンの向きの
差異によって、トンネル効果が影響を受け、電気抵抗の
変化が信号として取り出せる。この外部磁場によって2
つの強磁性体層間に磁化方向の差を現出させる方法とし
て、一方の強磁性体に絶縁体層と接する面とは反対の面
に反強磁性体層を接合し、その磁化の方向を固定する場
合もある。
【0007】強磁性トンネル効果接合によるTMR素子
を磁気ヘッドの読み取りに用いた例として、特開平5-63
254号公報に開示された発明がある。この発明は、磁界
の及ぼす抵抗値変化の挙動が、従来の強磁性体の磁気異
方性に基づく場合と、強磁性トンネル効果に基づく場合
とで異なることに着目し、これら二つを組み合わせて、
弱磁界での感度が高く、ゼロ磁界に対して非対称の磁気
抵抗曲線をバイアス磁界無しで得られる素子を提供しよ
うとするものである。
【0008】このようなTMR素子を実用化するに際し
ての最大の問題は、製造した素子の特性にばらつきが大
きく、安定して高性能のものが得難いことにある。これ
は、望ましい絶縁層の厚さが20Å前後にあり、多くはA
23の膜を用いているが、極めて薄いので、均一で健
全な層とするのは容易でなく、膜厚がばらつくとトンネ
ル効果の障壁としてのポテンシャルが安定せず、ピンホ
ールやわずかな欠陥があれば短絡を起こしてしまうため
と推定されている。特開平9-106514号公報には、この安
定した絶縁層の得られない原因が、二つの強磁性体の保
磁力差を付与するための強磁性体層成膜後の基板加熱に
あるとし、基板の加熱をおこなわない方法を提案してい
る。これは、成膜中のガス圧や成膜温度を変化させるこ
と、磁場中で成膜すること、あるいは絶縁層と強磁性体
層の間にAl(アルミニウム)などの金属層を挿入する
ことなどによる製造方法である。
【0009】このようにTMR素子は、その高いMR比
から、安定した性能の確保と、歩留まりよく製造できる
ことが強く要望されているが、まだ十分満足できる状態
には至っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トンネリン
グ磁気抵抗効果素子において、安定して高い磁気抵抗効
果を実現させ、また、そのような高MR比の素子を製造
する方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TMR素
子のすぐれた特性を実現し、そしてその性能を安定して
得るには、絶縁体層の厚さや形状を安定化し、ピンホー
ルなど欠陥のないものにする必要があると考えた。そこ
で、絶縁体層の形成方法やその条件、あるいはAlの薄
層を形成させた後の酸化条件等について種々検討をおこ
なった。しかし、絶縁体層の製造条件は色々変えても、
結局は十分な改善効果は得られなかった。そこで次に、
絶縁体層を接合させる第一強磁性体層の表面粗さの影響
を調べてみることにした。これは絶縁体層の厚さは10〜
50Å程度であり、絶縁体層をその上に形成させる第一強
磁性体層の表面のわずかな凹凸が、絶縁体層の厚さ変動
や欠陥に強く影響すると思われたからである。
【0012】基板に形成させた強磁性体層の表面粗さを
AFM(Atomic Force Microscope)にて測定してみる
と、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、あるいは真空蒸着
法などその層形成方法により大きく異なる。その中でス
パッタ法は、島状のむらが発生しにくく、平滑な表面を
得やすい。第一強磁性体層の表面粗さと、その上に絶縁
体層および第二強磁性体層を形成させて得た素子の磁気
抵抗効果との関係を調べたところ、表面粗さをAFMに
よる中心面平均粗さRaの値として示すとき、Raが小さ
いほど、MR比が大きく、そして短絡などの絶縁体層の
不健全性によると思われる性能不良が低減されることが
わかった。そこで、さらに表面粗さを意図して種々変え
て、素子の性能を調査し、特性を著しく向上できる限界
を明らかにすることができたのである。
【0013】TMR素子として、絶縁層を挟む二つの強
磁性体層の磁化方向ないしは電子のスピンを、外部磁場
によっていずれも同じ向きにしたり、相互に逆向きにし
たりするには、二つの強磁性体の保磁力を異なるものと
する積層体構造か、または一方の強磁性体の外側にさら
に反強磁性体を接合する積層体構造が採用される。しか
し、いずれの積層体構造であっても、基板上に第一の強
磁性体層を形成させた後の、トンネル電流の流れる絶縁
体層を形成させる前の面が十分平滑であれば、同様に大
幅な性能向上が得られる。これは絶縁体層を形成させる
面を十分平滑にすることにより、欠陥のない均一な厚さ
の、健全な絶縁体層が形成されるためと考えられた。
【0014】表面粗さはAMFを用いて測定し、中心面
平均粗さRaとして表示するが、この第一強磁性体層の
表面のRaは、層を形成させたままにて十分小さければ
それでもよく、層形成後さらにイオンミリングや逆スパ
ッタの方法を適用して小さくしても同様な効果が得られ
る。また、第一の強磁性体層を形成させる前に、基板上
にアモルファスの金属の下地膜を形成させ、その上に第
一強磁性体層を施工すると、同様に性能向上がもたらさ
れることがわかった。これは、基板面をセラミックスで
はなくアモルファス金属にすることより、第一強磁性体
層が均一に付着形成されるようになり、その形成後の表
面のRaの値を小さくすることができたためと推測され
た。金属層が形成される基板がセラミックスの場合、接
合面での金属とのエネルギー差が大きいため、付着直後
の金属粒子拡散が十分でなく、形成される層はアイラン
ド状などむらになりやすい。ことに、電子ビーム蒸着法
や真空蒸着法などでは、基板面に到達する粒子のエネル
ギーが小さいため、その傾向が強い。これに対し、アモ
ルファス金属であれば、金属同志なのでエネルギー差が
小さく拡散がより活発におこなわれ、しかも特定の結晶
面が形成されることがないから、その上に作られた第一
強磁性体層の表面が平滑化しやすいのではないかと思わ
れる。
【0015】スパッタ法を用いると、島状のむらは発生
し難く、平滑な面が得やすい。スパッタ法では粒子のエ
ネルギーが大きく、基板面に到達してからの拡散が十分
おこなわれ、再配列による表面の平滑化が進むためと考
えられる。スパッタ法では、基板面に特にアモルファス
金属層がなくても、必要とする小さいRaの面が得られ
るが、アモルファス金属層があれば、より安定してすぐ
れた特性のTMR素子を製造することができる。
【0016】磁気記録装置に用いられる磁気ヘッドは、
磁気記録媒体への情報読み込みのための記録ヘッド部
と、記録された情報を取り出すための読み出しヘッド部
からなっている。読み出しヘッド部は、以上に述べた各
種の薄膜積層構造の磁気抵抗効果素子が用いられる一
方、記録ヘッド部も薄膜微細加工法により薄膜積層構造
となっており、このような薄膜化あるいは小型化は、磁
気記録の高密度化およびそれにともなう情報の高周波
化、さらには装置の小型化の方向に合致している。した
がって、このような高性能の小型の読み出し素子を組み
合わせることにより、より高性能の磁気ヘッドが製造可
能になる。
【0017】本発明の要旨は、(1) 基板側より順に第一
の強磁性体層、絶縁体層および第二の強磁性体層の積層
体からなる、接合部の絶縁体層におけるトンネル効果を
利用する磁気抵抗効果素子であって、第一の強磁性体層
の絶縁体層が接合される面の表面粗さRaの値が2.5Å以
下であることを特徴とするトンネリング磁気抵抗効果素
子、(2) 基板側より順に第一の強磁性体層、絶縁体層、
第二の強磁性体層および反強磁性体層の積層体からな
る、接合部の絶縁体層におけるトンネル効果を利用する
磁気抵抗効果素子であって、第一の強磁性体層の絶縁体
層が接合される面の表面粗さRaの値が、2.5Å以下であ
ることを特徴とするトンネリング磁気抵抗効果素子、
(3) 積層体を形成させる基板面にアモルファス非磁性金
属を存在させたことを特徴とする上記(1)または(2)のト
ンネリング磁気抵抗効果素子、(4) 基板上に形成された
第一の強磁性体層の、絶縁体層を形成させる面の表面粗
さRaの値を2.5Å以下とし、その上に絶縁体層および
第二の強磁性体層、または絶縁体層、第二の強磁性体層
および反強磁性体層を形成させること、を特徴とする上
記(1)または(2)のトンネリング磁気抵抗効果素子の製造
方法、(5) 基板上にアモルファス非磁性金属を形成させ
た後、第一の強磁性体層を形成させることを特徴とする
上記(3)に記載のトンネリング磁気抵抗効果素子の製造
方法、(6) 第一の強磁性体層をスパッタ法にて基板上に
形成させることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)の
トンネリング磁気抵抗効果素子の製造方法、(7) 磁気記
録媒体からの情報読み出し部として、上記(1)、(2)また
は(3)のトンネリング磁気抵抗効果素子を有することを
特徴とする磁気ヘッド、である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の素子の基板は、Al23
基板、AlTiC基板、ガラス基板など通常用いられて
いるものでよい。
【0019】素子の強磁性体には、第一の、または第二
の強磁性体層のいずれも、Fe、Co、CoFe、Ni
Feなどを用いるのが好ましい。これらはトンネル効果
のスピン分極率が大きく、分極率の大きい金属を用いる
とMR比を大きくできるからである。磁気ヘッドとして
の性能を確保するには、これらの層の厚さは200Å程度
ないしはそれ以下が望ましい。また、反強磁性体層を用
いない場合は、第一の強磁性体層と、第二の強磁性体層
とは、保磁力の異なる強磁性体の組み合わせとする。
【0020】絶縁体層には、Al23、SiO2、Si
Nなど酸化物や窒化物を用いる。トンネル電流が流れる
ので、層の厚さは100Å以下とすべきで、10〜50Åが好
ましい。
【0021】絶縁体層を形成させる第一の強磁性体層の
面の表面粗さは、Raで表される中心面平均粗さの値が
2.5Å以下であることとする。表面粗さのRaの値は小さ
い程よくなると推定される。このRaはAFM(Atomic
Force Microscope)などで測定する。2.5Å以下とする
のは、この値を超える粗さの場合、MR比が大きくなら
ないからである。
【0022】図1に、第一の強磁性体層の表面粗さを変
え、その上に絶縁体層と第二の強磁性体層形成させたT
MR素子のMR比を測定した例を示す。この場合、第一
の強磁性体層をCo、絶縁体層は厚さ15ÅのAl23
第二の強磁性体層はFeとし、ジャンクション面は幅0.
3mm、長さ0.3mmの正方形とした。この図から明らかなよ
うに、第一の強磁性体層の表面粗さが2.5Å以下になる
と、MR比が大幅に向上する。
【0023】第一の強磁性体層の絶縁体層を形成させる
面のRaを値2.5Å以下とするのは、どんな方法で実現さ
せてもよい。例えば層を形成させた後、イオンミリング
や逆スパッタのような研磨をおこなってもよい。しか
し、後述のような方法を採用して、形成ままで第一の強
磁性体層の絶縁体層形成面のRaを小さくできれば、工
程の節減が可能である。
【0024】第二の強磁性体層の上に、さらに反強磁性
体層が形成されていてもよい。反強磁性体層により、第
二の強磁性体層の磁化方向が固定されるので、第一と第
二の強磁性体の間に保磁力差が無い場合でも、磁気媒体
などの外部磁場により第一の強磁性体層の磁化方向のみ
が反転し、トンネル電流をより確実に変化させることが
できる。反強磁性体としては、FeMn、IrMn、N
iO、PtMn、NiMnなどの薄膜層を用いればよ
い。
【0025】基板の第一の強磁性体層を形成させる面
に、非磁性のアモルファス金属層を形成させると、TM
R素子のMR比を向上させることができる。これは、基
板面に直接ではなく、アモルファス層を存在させて形成
させることにより、第一の強磁性体層の表面粗さが2.5
Å以下になるためと考えられる。アモルファスの金属と
しては、TaやHfなどを用いればよい。これら金属の
基板上の膜厚としては、50Å以下が好ましい。これは、
基板状に形成される膜厚が薄い場合はアモルファスであ
るが、厚くなると結晶化し、その効果がなくなるためで
ある。
【0026】各層の形成方法としては、スパッタ法、電
子ビーム蒸着法、真空蒸着法などが利用できる。しか
し、第一の強磁性体層の形成にはスパッタ法が好まし
い。スパッタ法を用いると、TMR素子のMR比が向上
するからである。これは、スパッタ法では粒子のエネル
ギーが大きく、基板面に到達してからの拡散が十分おこ
なわれ、再配列による表面の平滑化が十分に進むためと
考えられた。この場合アモルファス層が無い場合でもT
MR素子のMR比を向上させることができる。
【0027】
【実施例】〔実施例1〕ガラス基板の上にメタルマスク
を用い、第一の強磁性体層として、磁場中にて厚さ200
ÅのCoまたはCoFeを形成させ、その上に絶縁層と
して厚さ15ÅのAl23膜を真空蒸着し、さらに第二の
強磁性体層として厚さ200ÅのFe膜を磁場中にて真空
蒸着して、ジャンクション面が幅0.3mm、長さ0.3mmのT
MR素子を作製した。なお、Al23の絶縁体層は、A
lの真空蒸着時の自然酸化によって形成させた。
【0028】表1に、第一の強磁性体層の強磁性体、層
の形成方法およびその表面粗さを示す。Al23膜を形
成させる表面の粗さは、AFMにて1平方μmの面積にお
ける中心面平均粗さRaを測定した。得られたTMR素
子により、10μAの電流にて、±100エルステッドの磁
場を印加した場合のMR比も表1に合わせて示す。
【0029】この表の結果から明らかなように、本発明
の、第一の強磁性体層の絶縁体層側の表面粗さRaが2.5
Å以下であるTMR素子は、3.5%以上の良好なMR比
を示している。
【0030】
【表1】
【0031】〔実施例2〕メタルマスクを用い、ガラス
基板に第一の強磁性体層として、厚さ200ÅのCo膜を
磁場中にて形成させ、そこへ15Å厚のAl23の絶縁体
層を真空蒸着し、その上に厚さ200ÅのFeの第二の強
磁性体層、さらに反強磁性層として厚さ100ÅのIrM
n層をそれぞれ磁場中スパッタ法により形成し、ジャン
クション面が幅0.3mm、長さ0.3mmのTMR素子を作製し
た。その際に実施例1と同様Al23膜を形成させる表
面の粗さを測定し、得られたTMR素子のMR比を求め
た。
【0032】表2に、第一の強磁性体層の形成方法、そ
の絶縁層を形成させる面の表面粗さ、およびMR比の測
定結果をあわせて示す。これらから明らかなように、ス
パッタ法を用いれば、第一の強磁性体層表面の粗さはR
aで2.5Å以下とすることができ、反強磁性体層による第
二の強磁性体層の磁化方向固定と組み合わせることによ
って、著しく大きいMR比のTMR素子を製造すること
ができる。
【0033】
【表2】
【0034】〔実施例3〕メタルマスクを用い、初めに
AlTiC基板上にDCスパッタ法にて厚さ50ÅのTa
を成膜し、アモルファス状態であることを確認後、磁場
中でDCスパッタ法または真空蒸着法にて第一の強磁性
体層の厚さ200ÅのCoを形成させた。表面粗さをAF
Mにて測定し、その上に15Å厚のAl23を形成させ、
次いで磁場中にて第二の強磁性体層であるFeを200Å
成膜し、幅0.3mm、長さ0.3mmのジャンクション面のTM
R素子を作製した。比較のため、基板面にTaを成膜し
ていないTMR素子も同時に同じ条件で作製した。得ら
れた素子は、上記実施例と同様、10μAの電流で±100
エルステッドの磁場を印加しMR比を測定した。
【0035】結果を表3に示すが、基板上にアモルファ
ス金属層を存在させることにより、絶縁体層を形成させ
る第一の強磁性体層の面の表面粗さを、真空蒸着法の場
合でも十分なRa値にすることができ、スパッタ法では
さらに一層改善できることがわかる。そして、それによ
って高いMR比を有するTMR素子を安定して得ること
ができる。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、高いMR比を有するト
ンネリング磁気抵抗効果素子を容易に実現することがで
きる。また従来、特性不良が多発するため、安定量産が
困難であったが、本発明の方法を適用すれば、良製品を
歩留まりよく安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の磁性体の表面粗さと、得られたトンネリ
ング磁気抵抗効果素子のMR比との関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田ノ上 修二 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA03 BA19 BA21 DA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板側より順に、第一の強磁性体層、絶縁
    体層、および第二の強磁性体層の積層体からなる絶縁体
    層接合部のトンネル効果を利用する磁気抵抗効果素子で
    あって、第一の強磁性体層の絶縁体層が接合される面の
    表面粗さRaの値が、2.5Å以下であることを特徴とす
    るトンネリング磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】基板側より順に、第一の強磁性体層、絶縁
    体層、第二の強磁性体層、および反強磁性体層の積層体
    からなる絶縁体層接合部のトンネル効果を利用する磁気
    抵抗効果素子であって、第一の強磁性体層の絶縁体層が
    接合される面の表面粗さRaの値が、2.5Å以下である
    ことを特徴とするトンネリング磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】積層体を形成させる基板面にアモルファス
    非磁性金属を存在させたことを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載のトンネリング磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】基板上に形成された第一の強磁性体層の、
    絶縁体層を形成させる面の表面粗さRaの値を2.5Å以
    下とし、その上に絶縁体層および第二の強磁性体層、ま
    たは絶縁体層、第二の強磁性体層および反強磁性体層を
    形成させることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載のトンネリング磁気抵抗効果素子の製造方法。
  5. 【請求項5】基板上にアモルファス非磁性金属を形成さ
    せた後、第一の強磁性体層を形成させることを特徴とす
    る請求項3に記載のトンネリング磁気抵抗効果素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】第一の強磁性体層をスパッタ法にて基板上
    に形成させることを特徴とする請求項1、請求項2、ま
    たは請求項3に記載のトンネリング磁気抵抗効果素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】磁気記録媒体からの情報読み出し部とし
    て、請求項1、請求項2、または請求項3に記載のトン
    ネリング磁気抵抗効果素子を有することを特徴とする磁
    気ヘッド。
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