JP3055662B2 - 強磁性トンネル接合 - Google Patents

強磁性トンネル接合

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JP3055662B2 JP8248410A JP24841096A JP3055662B2 JP 3055662 B2 JP3055662 B2 JP 3055662B2 JP 8248410 A JP8248410 A JP 8248410A JP 24841096 A JP24841096 A JP 24841096A JP 3055662 B2 JP3055662 B2 JP 3055662B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素
子、磁気ヘッドに用いられる強磁性トンネル接合に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高密度磁気記録における再生ヘッドとし
て、異方性磁気抵抗(以下AMRと称する)効果を用いた
磁気抵抗効果型ヘッド(以下MR磁気ヘッドと称する)が
商品化されている。しかしながら、磁性層にNiFe等のAM
R効果膜を用いているため、磁気抵抗(MR)変化率は
約2%、感度は0.5%/Oeと低いので、さらに高MR変化
率、高感度なMR膜が望まれている。
【0003】このような要望に応える技術として、近
年、巨大磁気抵抗効果(GMR効果)という新しい現象が見
出され、従来のAMR効果より大きな磁気抵抗変化率が得
られるということで研究が進められている。GMR効果を
生じる、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層/反強磁性
層の膜構成からなるスピンバルブ(SV)膜は、2〜5
%/Oeの高感度な特性を示すため、これを用いたSVヘッド
が次世代再生ヘッドとして注目され、実用化研究が始め
られている。
【0004】一方、GMR効果とは別に、強磁性層/絶縁
層/強磁性層の接合構造を持ち、両強磁性層の磁化の相
対角度に依存してトンネル効果があらわれる強磁性トン
ネル効果という現象が見出され、この現象を利用した磁
気抵抗効果素子の研究及び開発が進められている。強磁
性トンネル効果膜は非常に高い磁場感度を有するため、
10Gbit/inch2以上の超高密度磁気記録における再生ヘ
ッドとして可能性がある。S.Maekawa and V.Gafvert等
は、IEEE Trans. Magn., MAG-18, 707(1982)において、
磁性体/絶縁体/磁性体接合で両磁性層の磁化の相対角
度に依存してトンネル効果が現れることが期待されるこ
とを理論的、実験的に示した。
【0005】特開平4-42417号公報は、強磁性トンネル
効果膜を有する磁気抵抗効果素子を開示しており、従来
のMRヘッドにくらべ、微小な漏洩磁束の変化を高感度、
かつ、高分解能に検出できること、接合面積を狭めるこ
とによりピンホ−ルの発生確率を小さくして、再生感度
を一層向上させることができる旨述べられている。
【0006】また、特開平4-103014号公報は、磁性層に
反強磁性体からのバイアス磁界を印加する強磁性トンネ
ル効果膜およびそれを用いた磁気抵抗効果素子を開示し
ている。
【0007】更に、T.Miyazaki及びN.Tezuka等は、J.Ma
gn.Magn.Mater.139(1995)L231において、Fe/Al2O3/Feト
ンネル接合で室温においてMR変化率18%が得られた
と報告している。また、M.Pomerantz,J.C.Sloczewski
びE.Spiller等は、Fe/a-Carbon/Fe膜について開示して
いる。
【0008】しかしながら、これまで報告された強磁性
トンネル接合には、種々の解決すべき課題が存する。
【0009】なお、本発明における強磁性トンネル接合
は上記の強磁性トンネル効果膜と同一のものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
MR変化率を、再現性良く得ることのできる強磁性トン
ネル接合を提供することである。
【0011】本発明のもう一つの課題は、磁気抵抗効果
素子または磁気ヘッド等への応用において、構造を簡素
化し得る強磁性トンネル接合を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明は、第1強磁性層と、絶縁層と、第2強磁
性層とが順次積層されてなる強磁性トンネル接合におい
て、前記絶縁層によるバリアポテンシャルを0.5〜3eV
の範囲に設定したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は強磁性トンネル接合を概念
的に示す斜視図、図2は図1のA2ーA2線に沿った断
面図である。図示するように、強磁性トンネル接合は、
第1強磁性層1と、絶縁層3と、第2強磁性層2とが順
次積層されてなる。これらは、適当な絶縁支持基板4上
に積層されている。本発明は、かかる構造において、絶
縁層3によるバリアポテンシャルを0.5〜3eVの範囲に
設定したことを特徴とする。
【0014】強磁性トンネル接合において、電子eがス
ピンの向きを保ったまま、第1強磁性層1から、絶縁層
3を介して、第2強磁性層2に通り抜ける(図1、図2
参照)とき、電子eの透過率はスピンを考慮して求めた
波動関数を用いて、入射波と透過波の振幅自乗比から求
められ、そのトンネルコンダクタンスGは、 G=G0′(1+P1′・P2′)COSθ と表される。ここで、 P1′= [(K1↑-K1↓)/(K1↑+K1↓)]α1 P2′= [(K2↑-K2↓)/(K2↑+K2↓)]α20′:両強磁性層内での電子の波数K1↑、K1↓、K2↑、K
2↓及びバリアポテンシャルの高さで定まる定数 α1、α2: バリアポテンシャルの高さに依存する係数 P1′、P2′: 両強磁性層1、2の有効スピン偏極度 P1、 P2: 両強磁性層1、2のスピン偏極度(有効スピ
ン偏極度P1′、P2′の分数部分) である。トンネルコンダクタンスの変化率△G/G0は、 △G/G0=2・P1′・P2′ となる。トンネルコンダクタンスの変化率△G/G0はMR
変化率と同義である。
【0015】バリアポテンシャルの高さが低いと、それ
に依存する係数α1、α2が小さくなるため、両強磁性層
の有効スピン偏極度P1′、P2′も小さくなり、MR変化
率が低くなる。逆に、バリアポテンシャルが充分に高い
と、有効スピン偏極度P1′、P2′が、スピン偏極度P1、 P
2に近づき、高いMR変化率が得られる。
【0016】バリアポテンシャルが0.5〜3eVの範囲に
ある本発明の場合、高いMR変化率を、再現性よく得る
ことができる。その理由の一つは、バリアポテンシャル
を0.5〜3eVの範囲に保つことにより、均一性が良好
で、ピンホールの非常に少ない絶縁層3の形成が保証さ
れるためと推測される。
【0017】もう一つの理由は、上述したバリアポテン
シャルの範囲では、第1強磁性層1と第2強磁性層2と
の間に、絶縁層3を介して、安定した反強磁性結合を
生じるためと推測される。バリアポテンシャルが1.5〜
2.5eVの範囲では、特に好ましい結果が得られた。
【0018】バリアポテンシャルが3eVを越えると、高
いMR変化率を得ることができなくなる。原因は明確で
はないが、3eVを越えるバリアポテンシャルの範囲で
は、トンネル電流が流れなくなるためではないかと推測
される。
【0019】バリアポテンシャルが0.5eVよりも小さく
なると、この種の強磁性トンネル接合において期待され
る高いMR変化率を得ることができなくなる。その理由
は、絶縁層3の均一性が劣化し、ピンホールが増えるた
めと推測される。
【0020】次に、バリアポテンシャルが0.5〜3eVと
なる範囲において、第1強磁性層1と第2強磁性層2と
の間に、絶縁層3を介して、安定した反強磁性結合を
生じさせ得る可能性は、この強磁性トンネル接合を、磁
気ヘッドの読み取り用磁気変換素子に用いる場合に大き
な利点をもたらす。
【0021】図3は反強磁性的結合を生じている場合の
磁場ー磁気抵抗変化率特性を示す図である。図3に示す
ように、反強磁性的結合を生じている場合、磁場ー磁気
抵抗曲線L1、L2が零磁場付近の領域△Hで、MR変
化率が最も高い値を示すようになる。従って、この強磁
性トンネル接合を磁気ヘッドの読み取り用磁気変換素子
として用いた場合、バイアス磁場を印加する必要がな
く、形状効果のみで、零磁場付近で直線領域が得られ
る。このため、磁気ヘッドの構造を簡素化することがで
きる。
【0022】上述のようなバリアポテンシャルを確保し
得る絶縁層3の一例は、大気中で40〜100℃アニー
ルした酸化アルミニウム膜である。かかる酸化アルミニ
ウム膜は、金属アルミニウムが局部的に存在しなくなっ
たため、上下の強磁性層1−2間でブリッジができなく
なり、その結果、高いバリアポテンシャルを有する極薄
絶縁層3を有する強磁性トンネル接合が実現できる。
【0023】絶縁膜の他の例としては、ダイアモンド状
炭素膜(Diamond-like carbon膜、以下DLC膜と称する)
も、高いバリアポテンシャルを有する極薄絶縁層3を実
現するのに有効である。特に、プラズマCVD法で作製し
たDLC膜は、数十Åという非常に薄い層厚においても、
均一、かつ、ピンホ−ルのない良好な絶縁層3が得られ
る。
【0024】なお、M.Pomerantz,J.C.Sloczewski及びE.
Spiller等が開示した中間膜のC膜は、MBE法で作製
したアモルファス−C膜であり、プラズマCVD法で作
製したDLC膜とは異なる。具体的には、アモルファス
−C膜は炭素同士がネットワ−ク状に結合しているもの
であるが、本発明のDLC膜は炭素と水素がネットワ−
ク状に結合しており、本質的に異なるものである。
【0025】本発明において、通常、第1強磁性層1の
保磁力と、第2強磁性層2の保磁力とは、互いに異なら
せる。図4は第1強磁性層1の保磁力H1と、第2強磁
性層2の保磁力H2とを、H1>H2(またはH2>H
1)のように異ならせた場合の磁化曲線を示している。
図示するように、磁化曲線は二段ループになっている。
図4中、円の内部に示された2つの矢印は、第1強磁性
層1の磁化の向き、及び、第2強磁性層2の磁化の向き
をそれぞれ示している。
【0026】第1強磁性層1の磁化の向きと、第2強磁
性層2の磁化の向きは、印加磁界が保磁力H2(絶対
値)より大きく、かつ、保磁力H1(絶対値)よりも小
さい場合は、反平行になり、印加磁界が保磁力H1より
も大きい場合は、平行になる。電気抵抗は、磁化の向き
が反平行状態のとき大きく、磁化の向きが平行状態であ
るとき小さくなる。磁化の向きが平行である時の抵抗値
Rsとし、磁化の向きが反平行から平行へ変化した時の
抵抗の変化分を△Rとすると、MR変化率は△R/Rs
となる。これにより、外部印加磁界を検出することがで
きる。
【0027】次に実施例を挙げて説明する。 実施例1 3インチφのガラス基板でなる絶縁支持基板4上に、Ni
Feでなる第1強磁性層1、酸化アルミニウム膜でなる絶
縁層3及びCoでなる第2強磁性層2を積層し、図1及
び図2に示した強磁性トンネル接合を得た。酸化アルミ
ニウム膜でなる絶縁層3は、アルミニウム膜を大気中に
おいて60℃、24時間の熱処理を行なって形成した。
強磁性トンネル接合の接合面積は0.25〜2500μm2とし
た。
【0028】上述した接合面積を持つ強磁性トンネル接
合を、各20個ずつ作製し、各接合面積毎のバリアポテ
ンシャル、MR変化率の平均値及びそのばらつきを調べ
た。また、歩留りについても調べた。次に、強磁性トン
ネル接合の作製方法を具体的に説明する。
【0029】まず、大きさ3インチφのコ−ニング7059
ガラス基板でなる支持基板4上に第1強磁性層1とし
て、層厚10nmのNiFe膜をRFスパッタ法で成膜し、レ
ジストフォトリソ、Arイオンミリング、レジスト剥離
の微細加工技術を用いて、0.5〜50μm×0.5mmの矩形状
にパタ−ニングした。
【0030】その後、レジストパタ−ニングをおこな
い、第1強磁性層1を構成するNiFe層の表面酸化層
を逆スパッタにより除去したあと、電子ビーム加熱式真
空蒸着法により、層厚5nmのアルミニウム膜を成膜し
た。
【0031】その後、サンプルを真空蒸着装置から取り
出して、大気中において60℃、24時間の熱処理を行
なった後、リフト・オフ・プロセスを経て、直径3mmφ
の酸化アルミニウム膜でなる絶縁層3を形成した。
【0032】次に、再びレジストパタ−ニングをおこな
った後、第2強磁性層2として層厚100nmのCo膜を
RFスパッタ法で成膜し、続いて、リフトオフプロセス
を経て、第1強磁性層1と直角方向に0.5〜50μm×0.5m
mの矩形状パタ−ンを持つ第2強磁性層2を形成した。
これにより、接合面積0.25〜2500μm2の強磁性トンネル
接合が得られた。
【0033】また、比較として、従来用いられている自
然酸化アルミニウム膜(成膜後、大気中において24時
間放置)を絶縁層3としたNiFe/酸化アルミニウム/Co強
磁性トンネル接合も同様に作製した。
【0034】実施例及び比較例において採用された第1
強磁性層1および第2強磁性層2の成膜条件は以下に示
す通りである。また、アルミニウム膜は、到達圧力3×
10-5 Pa 、蒸着速度0.05nm/sec で作製した。 <強磁性層成膜条件> 到達圧力:1×10-5Pa タ−ゲット: Ni80Fe20 at%、Co(4インチφ) スパッタガス:Ar 5 sccm スパッタ圧力:0.5Pa 投入パワ−: 150 W 成膜レ−ト:NiFe 45nm/min、Co 40nm/min 基板温度: 水冷 このようにして作製したサンプルについて、直流4端子
法で磁気抵抗(MR)曲線を測定した。なお、測定時の
最大印加磁場は±1kOeとし、−1kOeの磁場を印加させ
たのち、磁場を徐々に大きくして+1kOeまでかけ、再
び−1kOeに戻した。また、バリアポテンシャルはトン
ネル接合のV−I特性を測定し、直線領域からのずれを
もとめた。
【0035】図5に本発明に係る接合面積50×50μm2
強磁性トンネル接合の磁気抵抗曲線を示す。印加磁場を
−1kOeより大きくしていくと、+5Oeにおいて、第1
強磁性層1の磁化反転がおこり、第1強磁性層1 と第
2強磁性層2のスピンが反平行になるため、電気抵抗が
大きくなる。バリアポテンシャルを求めた結果0.5eV
であり、作製した20個のうち16個において同様のM
R曲線が得られた。MR変化率は6.6〜8.1%であり、M
R変化率の平均値は7.6%で、変化率ばらつきは±7%
であった。
【0036】一方、自然酸化アルミニウム膜を絶縁層3
とした比較例の強磁性トンネル接合においては、バリア
ポテンシャルは0.2eVしか得られなかった。また、4個
しかMR曲線が観測できず、MR変化率平均値は1.5%
と低く、平均値ばらつき±88%と非常に大きかった。
種々の接合面積についても同様の評価を行なった。これ
らの結果を表1ー1、1ー2に示す。
【0037】表1から明らかなように、大気中60℃熱
処理により形成した酸化アルミニウム膜を絶縁層3とし
ての用いることにより、0.5〜3eVの高いバリアポテン
シャルと高いMR変化率が得られ、しかもばらつきが少
なく、高い歩留まりが得られる。特にバリアポテンシャ
ルが1.5〜2.5eVのとき歩留りが高い。また、30〜25
0℃の温度範囲で大気中熱処理して得られた酸化アルミ
ニウム膜を絶縁層3とした強磁性トンネル接合のMR特
性を調べた結果、40〜100℃熱処理した場合に、高
いMR変化率が得られ、しかも、ばらつきが少なく、高
い歩留まりが得られることがわかった。
【0038】実施例2 ガラス基板でなる支持基板4上に、絶縁層3をDLC膜に
よって構成した強磁性トンネル接合を形成した。第1強
磁性層1はCo50Fe50によって構成し、第2強磁性層2は
Coによって構成した。接合面積は0.25〜2500μm2とし
た。第1強磁性層1及び第2強磁性層2は実施例1と同
様の方法で作製した。絶縁膜3を構成するDLC膜は、プ
ラズマCVD法により、層厚5nm、直径3mmφになるよう
成膜し、リフトオフ法によりパタ−ニングした。DLC膜
の成膜条件は以下に示す。
【0039】<DLC膜成膜条件> 到達圧力:2×10-3 Pa 導入ガス:メタン 5sccm スパッタ圧力:3.5Pa RFパワ−:50 W 自己バイアス:−150 V 成膜レ−ト:10nm/min 基板温度:加熱および水冷なし また、比較例として、自然酸化アルミニウム膜を絶縁層
3としたCo50Fe50/酸化アルミニウム/Co強磁性トンネル
接合を作製した。
【0040】上記実施例及び比較例のサンプルについ
て、直流4端子法でMR特性を測定して得られた結果を
表2ー1、2ー2に示す。
【0041】表2から明らかなように、プラズマCVD法
で作製したDLC膜を、絶縁層3として用いることによ
り、高いバリアポテンシャルおよび高いMR変化率が得
られ、しかも、ばらつきが少なく、高い歩留まりが得ら
れることがわかる。例えば、本実施例による接合面積50
×50μm2のサンプルについて、作製した20個のうち、
15個でMR曲線が得られた。MR変化率の平均値は1
8.9%で、変化率のばらつきは±12%であった。ま
た、実施例1と同様に、バリアポテンシャル1.5〜2.5eV
のとき特に歩留りが高かった。これに対して、自然酸化
アルミニウム膜を絶縁層3とした比較例の強磁性トンネ
ル接合においては、バリアポテンシャルは小さく、5個
しかMR曲線が観測できず、MR変化率平均値は3.3%
と低く、ばらつきは±88%と非常に大きかった。
【0042】次に、接合面積と反転磁場との関係につい
て述べる。接合面積が小さいほど絶縁層3のピンホール
などの欠陥が少なくなるため高い歩留まりが得られるこ
とは報告されている。表1および表2からわかるよう
に、本実施例の強磁性トンネル接合において、接合面積
が小さいほどMR変化率は高く、また高い歩留まりが得
られる。特にバリアポテンシャル1.5〜2.5eVのときに歩
留りが高くなる。また、図5に示す磁場Hab、即ち、
第1強磁性層1の磁化が反転する磁場が、負の方向にシ
フトしていくことがわかった。特に、接合面積が10μ
m2より小さくバリアポテンシャルが1.5〜2.5eVのとき、
零磁場において第1強磁性層1と第2強磁性層2の各々
の磁化が反平行状態になる。このことは、両磁性層間に
反強磁性的結合力が作用していることを示している。接
合面積が10μm2より小さい場合に高いMR変化率と高
い歩留まりが得られたのは、均一でピンホールの非常に
少ない絶縁層3を用い、かつ、接合面積を小さくするこ
とにより、両磁性層間に反強磁性的結合が生じたためと
考えられる。また実施例1−7及び実施例2−8に示す
ように、接合面積が10μm2以下でもバリアポテンシャ
ルが2.5eVより大きいと、両磁性層間で反強磁性的接合
は得られず、歩留りも若干低下する。
【0043】次に、本発明に係る強磁性トンネル接合
を、磁気ヘッドへ適用した例について述べる。 <本発明のMRヘッド>実施例2によるCo50Fe50/DLC/C
o強磁性トンネル接合を磁気抵抗効果膜に用いた再生用
磁気抵抗効果型ヘッドを作製し、磁気記録媒体に書き込
まれた記録信号を読み出し、再生感度および再生出力を
調べ、従来のAMR磁気抵抗効果型ヘッドと比較した。図
6に本発明にかかる強磁性トンネル接合を用いた再生用
磁気ヘッドの模式図を示す。次に、ヘッドの作製方法に
ついて説明する。
【0044】まず、膜厚30μmのアルミナ絶縁膜が形
成されたAl2O3ーTiC基板(図示しない)上に下部シ−ル
ド膜71として、DCスパッタ法を用いて、膜厚2μm
のセンダスト膜を形成し、フォトリソグラフおよびAr
イオンエッチングにより所定の形状にした。
【0045】次に、この上に下部絶縁層81として、R
Fスパッタ法を用いて、膜厚80nmのアルミナ膜を形成
し、続いて、第1電極膜61として、レジストパタ−ニ
ング後、Cr(5nm)/Cu(30nm)/Cr(5nm)膜をDCスパッタ法
により成膜し、リフトオフ法で所定の形状に加工した。
【0046】次に、膜厚10nmのCo50Fe50膜でなる第1
強磁性層1、膜厚5nmのDLC膜でなる絶縁膜3及び膜厚
5nmのCo膜でなる第2強磁性層2を積層し、それによ
って強磁性トンネル接合9を形成した。強磁性トンネル
接合の形成方法について述べる。
【0047】まず、レジストパタ−ニング後第1強磁性
層1として、Co50Fe50(10nm)層をRFスパッタ法で形成
し、絶縁層3としてDLC(5nm)層をプラズマCVD法で形成
した。次に、第2強磁性層2として、Co(10nm)層をRF
スパッタ法で形成し、リフトオフ法により幅1μm ×長
さ6μm の形状にした。
【0048】最後に、第1電極膜61と同じ方法で、レ
ジストパタ−ニング後、第2電極膜62としてCr(5nm)/
Cu(30nm)/Cr(5nm)膜を成膜し、リフトオフ法で所定の形
状に加工した。なお、第2電極膜を成膜する前に、第2
強磁性層2の上部に形成された表面酸化層などを逆スパ
ッタで除去し、最終的な第2強磁性層厚が5μnm になる
ようにした。その上に、上部絶縁層82として膜厚90
nmのアルミナ膜を形成した。
【0049】次に、上部シ−ルド膜72として、膜厚2
μmのNiFe膜をDCスパッタ法で成膜し、フォトリソお
よびArイオンエッチングにより所定の形状にした。最
後に、めっき法でCuのバンプ電極膜を作製したのち、
保護膜として膜厚30μmのアルミナ膜を被せた。その
後、所定の大きさに加工研磨して接合面積が幅1μm
長さ1μm の再生用磁気抵抗効果型ヘッドとした。すな
わち、ヘッドのトラック幅は1μmおよびMRハイトは
1μm、MRシ−ルド間隔は0.27μmとした。 <従来のAMRヘッド:比較例>比較のため、図7に示す
ような、SALバイアス方式のNiFe層をMR膜としたトラ
ック幅1μm、MRハイト1μm、MRシ−ルド間隔0.27
μmの従来のAMRヘッドも作製した。作製方法を以下に示
す。下部絶縁層81の形成までは本発明の強磁性トンネ
ル接合型MRヘッドと同じである。下部絶縁層81を形
成した後、まずSAL膜としてNiFeRh膜51、磁気分離膜
としてTa膜52及び、MR膜としてNiFe膜53をDCス
パッタ法で成膜し、微細加工技術により矩形状に加工し
た。その後、電極膜61、62、上部絶縁層82及び上
部シ−ルド膜72を薄膜及び微細加工技術で形成した。
【0050】この磁気ヘッドを用いて、保磁力2500Oe
、膜厚50nmの磁気記録媒体に書き込まれた記録信号
を再生し、特性を調べた。図8は、単位トラック幅当た
りの再生出力と記録密度を比較した図である。曲線L3
は本発明に係る強磁性トンネル接合を用いた磁気ヘッド
の特性、曲線L4は従来のAMRヘッドの特性をそれぞれ
示している。図8に示すように、本発明の再生用磁気抵
抗効果型ヘッドによれば、従来のAMRヘッドより4〜5
倍の再生出力が得られた。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果を得ることができる。 (a)高いMR変化率を、再現性良く得ることのできる
強磁性トンネル接合を提供することができる (b)磁気抵抗効果素子または磁気ヘッド等への応用に
おいて、構造を簡素化し得る強磁性トンネル接合を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る強磁性トンネル接合を模式的に示
す斜視図
【図2】図1のA2ーA2線に沿った断面図である。
【図3】強磁性トンネル接合の磁気抵抗変化率特性を示
す図である。
【図4】強磁性トンネル接合の磁化曲線を示す図であ
る。
【図5】本発明に係る強磁性トンネル接合の磁気抵抗変
化率特性を示す図である。
【図6】本発明に係る強磁性トンネル接合を用いた磁気
ヘッドの構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】AMR効果を用いた従来の磁気ヘッドの構成を示
す断面図である。
【図8】本発明の再生磁気ヘッドと従来のAMRヘッド
の再生特性を示す図である。
【符号の説明】
1 第1強磁性層 2 第2強磁性層 3 絶縁層 4 基板 51 SAL膜 52 磁気分離膜 53 MR膜 61、62 電極膜 71 下部シ−ルド膜 72 上部シ−ルド膜 81 下部絶縁層 82 上部絶縁層 9 強磁性トンネル接合
フロントページの続き (72)発明者 太田 学 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 荒木 悟 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−91949(JP,A) 特開 平9−106514(JP,A) 特開 平9−64434(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39 H01L 43/08

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1強磁性層と、絶縁層と、第2強磁性
    層とが順次積層されてなる強磁性トンネル接合であっ
    て、 前記絶縁層によるバリアポテンシャルが0.5〜3eVの範
    囲にある強磁性トンネル接合。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 前記絶縁層によるバリアポテンシャルは1.5〜2.5eVの範
    囲にある強磁性トンネル接合。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 前記第1強磁性層の保磁力と、前記第2強磁性層の保磁
    力とが異なる強磁性トンネル接合。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層が、前記絶縁
    層を介して、反強磁性結合している強磁性トンネル接
    合。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 前記絶縁層は、成膜後に大気中において40〜100℃
    で熱処理して形成した酸化アルミニウム膜である強磁性
    トンネル接合。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 前記絶縁層は、ダイアモンド状炭素膜である強磁性トン
    ネル接合。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載された強磁性トンネル接
    合であって、 トンネル接合部分の面積が10μm2以下である強磁性ト
    ンネル接合。
  8. 【請求項8】 強磁性トンネル接合を感磁部とする磁気
    抵抗効果素子であって、 前記強磁性トンネル接合は、請求項1乃至7に記載され
    た何れかでなる磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 磁気抵抗効果素子を有する磁気抵抗効果
    型ヘッドであって、 前記磁気抵抗効果素子は、請求項8に記載されたもので
    なる磁気抵抗効果型ヘッド。
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