JP3097834B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP3097834B2
JP3097834B2 JP08330064A JP33006496A JP3097834B2 JP 3097834 B2 JP3097834 B2 JP 3097834B2 JP 08330064 A JP08330064 A JP 08330064A JP 33006496 A JP33006496 A JP 33006496A JP 3097834 B2 JP3097834 B2 JP 3097834B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性トンネル接合を
感磁部として用いた磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】高密度磁気記録における再生磁気ヘッド
として、異方性磁気抵抗(以下AMRと称する)効果を
用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下MR磁気ヘッド
と称する)が商品化されている。しかしながら、磁性膜
にNiFe等のAMR効果膜を用いているため、磁気抵抗
(MR)変化率が約2%、感度が0.5%/Oeと低い。こ
のため、さらに高MR変化率、高感度なMR膜が望まれ
ている。
【0003】このような要望に応える技術として、近
年、巨大磁気抵抗効果(GMR効果)という新しい現象
が見出され、従来のAMR効果より大きな磁気抵抗変化
率が得られるということから、研究が進められている。
その中でも、スピンバルブ(SV)膜を用いたGMR効
果が注目されている。スピンバルブ膜は、強磁性膜/非
磁性金属膜/強磁性膜/反強磁性膜の膜構成からなる多
層膜であり、2〜5%/Oeの高感度な特性を示すため、次
世代磁気ヘッドの再生素子として注目され、実用化研究
が始められている。
【0004】一方、GMR効果とは別に、強磁性膜/絶
縁膜/強磁性膜の接合構造を持ち、両強磁性膜の磁化の
相対角度に依存してトンネル効果があらわれる強磁性ト
ンネル効果という現象が見出され、この現象を利用した
磁気抵抗効果素子の研究及び開発が進められている。強
磁性トンネル効果膜は非常に高い磁場感度を有するた
め、10Gbit/inch2以上の超高密度磁気記録における再
生磁気ヘッドとして可能性がある。S.Maekawa and V.Ga
fvert等は、IEEE Trans. Magn., MAG-18, 707(1982)に
おいて、磁性体/絶縁体/磁性体接合で両磁性膜の磁化
の相対角度に依存してトンネル効果が現れることが期待
されることを理論的、実験的に示した。
【0005】特開平4-42417号公報は、強磁性トンネル
効果膜を有する磁気ヘッドを開示しており、従来のMR
磁気ヘッドにくらべ、微小な漏洩磁束の変化を高感度、
かつ、高分解能に検出できること、接合面積を狭めるこ
とにより、絶縁膜におけるピンホ−ルの発生確率を小さ
くして、再生感度を一層向上させることができる旨述べ
られている。
【0006】また、特開平4-103014号公報は、磁性膜に
反強磁性体からのバイアス磁界を印加する強磁性トンネ
ル効果膜およびそれを用いた磁気ヘッドを開示してい
る。
【0007】更に、T.Miyazaki及びN.Tezuka等は、J.Ma
gn.Magn.Mater.139(1995)L231において、Fe/Al2O3/Feト
ンネル接合で室温においてMR変化率18%が得られた
と報告している。また、M.Pomerantz,J.C.Sloczewski
びE.Spiller等は、Fe/a-Carbon/Fe膜について開示して
いる。
【0008】しかしながら、これまで報告された強磁性
トンネル接合には、磁気ヘッドとして利用するに当た
り、種々の解決すべき課題が存する。特開平4-42417
号、特開平4-103013号などの公知文献では、強磁性トン
ネル接合部の端面部分と電極膜の端面部分が、同一面内
になるように構成されている。つまり、このような構造
をシールド型磁気ヘッド用の感磁部に用いる場合、磁気
記録媒体面に対向する面であるABS面にMR素子のみ
ならず、電極膜も露出することになる。
【0009】シールド型磁気ヘッドを高密度記録再生に
適用するためには、ABS面でのシールド間隔を狭める
必要がある。シールド型磁気ヘッドにおいて、通常、シ
ールド間には強磁性トンネル接合部の他、強磁性トンネ
ル接合部とシールド膜との絶縁性を保つためのアルミナ
などの絶縁膜が存在するから、シールド間隔を狭めるた
めには、絶縁膜や強磁性トンネル接合部の厚みをできる
限り薄くしなければならない。しかしながら、公知文献
に示されるように、電極膜が、ABS面に露出するよう
にすると、絶縁膜や強磁性トンネル接合部の厚みを薄く
しても、電極膜とシールド膜との間に、依然として間隔
が必要であるため、シールド間隔を狭めることができ
ず、高密度記録再生に適さない。
【0010】公知文献では、全ての電流が強磁性トンネ
ル接合部を流れるようにするため、電極膜の面積を大き
くしている。しかし、強磁性トンネル接合部とシールド
膜との間では一定レベル以上の絶縁耐電圧をとる必要が
あるため、公知文献に示されているよう広い電極膜面積
にしてABS面に露出させると、静電気による絶縁破壊
などが起こりやすくなるため、望ましくない。
【0011】なお、本発明における強磁性トンネル接合
は上記の強磁性トンネル効果膜と同一のものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、シー
ルド間隔を狭くでき、高密度記録再生に適した強磁性ト
ンネル接合型磁気ヘッドを提供することである。
【0013】本発明のもう一つの課題は、電極膜とシー
ルド膜間における絶縁破壊を抑制するのに有効な強磁性
トンネル接合型磁気ヘッドを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明に係る磁気ヘッドは、スライダと、少なく
とも一つの磁気変換素子とを有する。前記スライダは、
磁気記録媒体と対向する面側に空気ベアリング面を有し
ている。前記磁気変換素子は、強磁性トンネル接合部
と、電極膜とを含み、前記スライダの一部を構成する絶
縁支持膜によって支持されている。
【0015】前記強磁性トンネル接合部は、絶縁膜と、
第1の強磁性膜と、第2の強磁性膜とを含む。前記第1
の強磁性膜と前記第2の強磁性膜とが前記絶縁膜を介し
て積層されている。
【0016】前記電極膜は、第1の電極膜と、第2の電
極膜とを含み、第1の電極膜は、前記第1の強磁性膜に
接続され、第2の電極膜は前記第2の強磁性膜に接続さ
れている。前記第1の電極膜及び第2の電極膜は、前記
空気ベアリング面に露出しないように設けられている。
【0017】上述のように、ABS面に第1の電極膜及
び第2の電極膜が露出しない構造にすることにより、磁
気シールド膜と、強磁性トンネル接合部、特に、第1の
電極膜及び第2の電極膜との間で、静電破壊が起こりに
くくなり、耐電圧が改善されることが解った。
【0018】しかも、ABS面における磁気シールド膜
と、感磁部となる強磁性トンネル接合部との間の間隔を
狭くできるため、従来より高密度記録再生が可能にな
る。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る磁気ヘッドの
斜視図である。図において、寸法は誇張されている。図
示された本発明に係る磁気ヘッドは、スライダ1と、強
磁性トンネル接合を利用した磁気変換素子(以下強磁性
トンネル接合型磁気変換素子と称する)2と、更に、誘
導型磁気変換素子3とを含む。スライダ1は媒体対向面
側にレール部11、12を有し、レール部11、12の
表面が空気ベアリング面13、14を構成している。レ
ール部11、12は2本に限らない。1〜3本のレール
部を有することがあり、レール部を持たない平面となる
こともある。また、浮上特性改善等のために、空気ベア
リング面(以下ABS面と称する)に種々の幾何学的形
状が付されることもある。何れのタイプのスライダであ
っても、本発明の適用が可能である。
【0020】磁気変換素子2、3は、レール部11、1
2の一方または両者の媒体移動方向a1の端部に設けら
れている。媒体移動方向a1は、媒体が高速移動した時
に連れ回る空気の流出方向と一致する。スライダ1の媒
体移動方向a1の端面には、強磁性トンネル接合型磁気
変換素子2に接続された取り出し電極41、42及び磁
気変換素子3に接続された取り出し電極43、44が設
けられている。
【0021】図2は図1に示した強磁性トンネル接合型
磁気ヘッドの磁気変換素子部分の拡大断面図である。強
磁性トンネル接合型磁気変換素子2は再生素子であり、
誘導型磁気変換素子3は書き込み素子である。強磁性ト
ンネル接合型磁気変換素子2及び誘導型磁気変換素子3
は、スライダ1を構成するセラミック基体101の上に
設けられた絶縁膜102の上に積層されている。セラミ
ック基体101は、通常、Al2O3-TiCで構成される。Al2
O3-TiCは導電性があるので、電気絶縁をする手段とし
て、例えばAl2O3でなる絶縁膜102が付着されてい
る。セラミック基体101が高い絶縁性を有する場合
は、絶縁膜102は省略できる。
【0022】図3は強磁性トンネル接合型磁気変換素子
2の部分の拡大断面図、図4はその拡大斜視図である。
これらの図に示すように、強磁性トンネル接合型磁気変
換素子2は、強磁性トンネル接合部21と、電極膜2
2、23とを含み、スライダ1の一部を構成する絶縁支
持膜24、25によって支持されている。強磁性トンネ
ル接合部21は、絶縁膜210と、第1の強磁性膜21
1と、第2の強磁性膜212とを含んでいる。第1の強
磁性膜211と第2の強磁性膜212とは、絶縁膜21
0を介して積層されている。
【0023】電極膜22、23は、第1の電極膜22
と、第2の電極膜23とを含んでいる。第1の電極膜2
2は第1の強磁性膜211に接続され、第2の電極膜2
3は第2の強磁性膜212に接続されている。
【0024】これらの第1の電極膜22及び第2の電極
膜23は、ABS面13(または14)に露出しないよ
うに設けられている。その具体的手段として、実施例で
は、強磁性トンネル接合部21の先端面をABS面13
(または14)に位置させると共に、第1の電極膜22
及び第2の電極膜23を、強磁性トンネル接合部21の
先端面の位置するABS面13(または14)から、間
隔D1だけ後退させてある。
【0025】強磁性トンネル接合型磁気変換素子2は、
下部磁気シールド膜51と、上部磁気シールド膜52と
の間において、絶縁支持膜24、25の内部に配置され
ている。下部磁気シールド膜51はセラミック基体10
1に設けられた絶縁膜102の上に付着され、絶縁支持
膜24は下部磁気シールド膜51の上に付着されてい
る。
【0026】上述のように、ABS面13(または1
4)に第1の電極膜22及び第2の電極膜23が露出し
ない構造にすることにより、下部磁気シールド膜51及
び上部磁気シールド膜52と、強磁性トンネル接合型磁
気変換素子2、特に、第1の電極膜22及び第2の電極
膜23との間で、静電破壊が起こりにくくなり、耐電圧
が改善されることが解った。
【0027】しかも、ABS面13(または14)にお
ける下部磁気シールド膜51及び上部磁気シールド膜5
2と、感磁部となる強磁性トンネル接合部21との間の
間隔を狭くできるため、従来より高密度記録再生が可能
になる。
【0028】実施例には、再生素子となる強磁性トンネ
ル接合型磁気変換素子2と共に、書き込み素子となる誘
導型磁気変換素子3を有する複合型磁気ヘッドが図示さ
れている。誘導型磁気変換素子3は、強磁性トンネル接
合型磁気変換素子2に対する上部磁気シールド膜を兼ね
ている下部磁性膜52、上部磁性膜32、コイル膜3
3、アルミナ等でなるギャップ膜34、ノボラック樹脂
等の有機樹脂で構成された絶縁膜35及びアルミナ等で
なる保護膜36などを有している。下部磁性膜52及び
上部磁性膜32の先端部は微小厚みのギャップ膜34を
隔てて対向する下部ポール部P1及び上部ポール部P2
となっており、下部ポール部P1及び上部ポール部P2
において書き込みを行なう。下部磁性膜52及び上部磁
性膜32は、そのヨーク部が下部ポール部P1及び上部
ポール部P2とは反対側にあるバックギャップ部におい
て、磁気回路を完成するように互いに結合されている。
絶縁膜35の内部には、ヨーク部の結合部のまわりを渦
巻状にまわるように、コイル膜33を形成してある。コ
イル膜33の両端は、取り出し電極43、44に導通さ
れている。コイル膜33の巻数および膜数は任意であ
る。
【0029】次に、図5〜図17を参照して本発明に係
る磁気ヘッドを製造する方法を説明する。
【0030】まず、膜厚30μmのアルミナ絶縁膜10
2が形成されたAlTiC基板101(図5参照)上に、セ
ンダストをDCスパッタ法でスパッタして、膜厚2μm
の下部磁気シールド膜51を形成し(図6参照)、次
に、真空中において、約450℃の温度条件で約2時間
の磁場中熱処理を行なった後、フォトリソ及びArイオ
ンエッチングにより所定の形状にした。
【0031】次に、絶縁膜24として膜厚100nmのア
ルミナ膜をRFスパッタ法で成膜(図7参照)し、続い
て第1の電極膜22としてTa/Cu/Ta膜をDCス
パッタ法で成膜した(図8参照)。その後、レジストを
用いてパターニングを行ない、次に、Arイオンエッチ
ングにより所定の形状に加工し、第1の電極膜22とし
た(図9参照)。
【0032】次に、強磁性トンネル接合部21を形成す
る手段として、Co-50at%Fe(10nm)/酸化アルミニウム(5n
m)/Fe(5nm)及びその表面酸化防止膜Ta(5nm)を以下のよ
うに作成した。まず、第1の電極膜22の上にCo-50at%
Fe(10nm)/Al(5nm)をDCスパッタ法で連続成膜した。そ
の後、サンプルを大気中に取り出し、約60℃の大気中
に24時間放置してアニールし、Al(5nm)を自然酸化さ
せた。これにより、第1の強磁性膜211と、中間の絶
縁膜210となるCo-50at%Fe(10nm)/酸化アルミニウム
(5nm)膜とを形成した(図10参照)。
【0033】その後、短絡防止用絶縁膜213を形成す
るため、形成すべきトンネル接合部以外のところをレジ
ストカバーし、RFスパッタ法でアルミナ絶縁膜(膜厚
50nm)を成膜した。その後に、レジストをリフトオフ
し、短絡防止用絶縁膜213を形成した(図11参
照)。絶縁膜213は、強磁性トンネル接合部21以外
でトンネル電流が流れないようにするために形成される
ものである。
【0034】次に、サンプルを再びDCスパッタ装置内
にセットし、Fe(5nm)及びTa(5nm)を連続成膜し、第2の
強磁性膜212を形成した(図12及び13参照)。な
お、Ta(5nm)膜はプロセス遂行中に表面が酸化されるの
を防止する保護膜となる。
【0035】次に、レジストを用いてパターニングし、
Arイオンエッチングをした後、レジストを剥離して、
強磁性トンネル接合部21を形成した。次に再び、レジ
ストを用いてパターニングし、続いてTa/Cu/Ta
膜を成膜し、その後、リフトオフ法により、第2の電極
膜23を形成した(図14参照)。
【0036】次に、上部の絶縁膜25として、膜厚12
0nmのアルミナ膜をRFスパッタ法で形成(図15)し
た。次に、上部磁気シールド膜52として、NiFe(膜厚
2μm)をDCスパッタ法で成膜し、その後、フォトリソ
グラフィ及びエッチング技術により、所定の形状にパタ
ーンニングした(図16参照)。
【0037】この後、図1及び図2に示した磁気ヘッド
を得るために必要な工程を実行し、更に、図17のX1
ーX1線に沿って、ウエハ切断、加工研磨を施すことに
より、ABS面に強磁性トンネル接合部21を露出させ
た。以上のようにして、接合面積1μm×2μm(接合高
1μm、接合幅2μm)の強磁性トンネル接合部21を有
する磁気ヘッドを得た。
【0038】比較として、電極膜22、23がABS面
に露出している強磁性トンネル接合型磁気ヘッドも作製
した。
【0039】<特性評価>作製した磁気ヘッドを磁気ヘ
ッドジンバルに取り付け、静電破壊試験を行なった。静
電破壊試験に当たっては、表面を研磨した金属板を用意
し、この金属板に電源を接続し、金属板に磁気ヘッドを
載せた。磁気ヘッドをアースに接続し、磁気ヘッド及び
金属板の間の抵抗と、金属板に印加された電圧との関係
を調べた。
【0040】その結果、電極膜22、23がABS面に
露出している従来の磁気ヘッドでは、印加電圧が50V
で抵抗が急激に上昇し、静電破壊を生じた。これに対
し、本発明の磁気ヘッドでは約150Vではじめて静電
破壊が起こり、従来の磁気ヘッドの約3倍の耐電圧を有
することがわかった。
【0041】第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜
212の間に備えられた絶縁膜210は、高いMR変化
率を再現性良く得ること、及び、磁気ヘッド構造を簡素
化するために、きわめて重要な役割を担っている。特
に、絶縁膜210によるバリアポテンシャルを0.5〜
3eVの範囲に設定した場合、高いMR変化率を再現性良
く得るとともに、磁気ヘッド構造を簡素化できる。次に
この点について述べる。
【0042】強磁性トンネル接合において、電子eがス
ピンの向きを保ったまま、第1の強磁性膜211から、
絶縁膜210を介して、第2の強磁性膜212に通り抜
けるとき、電子eの透過率はスピンを考慮して求めた波
動関数を用いて、入射波と透過波の振幅自乗比から求め
られ、そのトンネルコンダクタンスGは、 G=G0′(1+P1′・P2′)COSθ と表される。ここで、 P1′=[(K1↑-K1↓)/(K1↑+K1↓)]α1 P2′=[(K2↑-K2↓)/(K2↑+K2↓)]α2 G0′:両強磁性膜内での電子の波数K1↑、K1↓、K2↑、K
2↓及びバリアポテンシャルの高さで定まる定数 α1、α2:バリアポテンシャルの高さに依存する係数 P1′、P2′:両強磁性膜1、2の有効スピン偏極度 P1、P2:両強磁性膜1、2のスピン偏極度(有効スピン
偏極度P1′、P2′の分数部分) である。トンネルコンダクタンスの変化率△G/G0は、 △G/G0=2・P1′・P2′ となる。トンネルコンダクタンスの変化率△G/G0はMR
変化率と同義である。
【0043】バリアポテンシャルの高さが低いと、それ
に依存する係数α1、α2が小さくなるため、両強磁性膜
の有効スピン偏極度P1′、P2′も小さくなり、MR変化
率が低くなる。逆に、バリアポテンシャルが充分に高い
と、有効スピン偏極度P1′、P2′が、スピン偏極度P1、P
2に近づき、高いMR変化率が得られる。
【0044】バリアポテンシャルが0.5〜3eVの範囲
にある場合、高いMR変化率を、再現性よく得ることが
できる。その理由の一つは、バリアポテンシャルを0.
5〜3eVの範囲に保つことにより、均一性が良好で、ピ
ンホールの非常に少ない絶縁膜210の形成が保証され
るためと推測される。
【0045】もう一つの理由は、上述したバリアポテン
シャルの範囲では、第1の強磁性膜211と第2の強磁
性膜212との間に、絶縁膜210を介して、安定した
反強磁性的結合を生じるためと推測される。バリアポテ
ンシャルが1.5〜2.5eVの範囲では、特に好ましい
結果が得られた。
【0046】バリアポテンシャルが3eVを越えると、高
いMR変化率を得ることができなくなる。原因は明確で
はないが、3eVを越えるバリアポテンシャルの範囲で
は、トンネル電流が流れなくなるためではないかと推測
される。
【0047】バリアポテンシャルが0.5eVよりも小さ
くなると、この種の強磁性トンネル接合において期待さ
れる高いMR変化率を得ることができなくなる。その理
由は、絶縁膜210の均一性が劣化し、ピンホールが増
えるためと推測される。
【0048】次に、バリアポテンシャルが0.5〜3eV
となる範囲において、第1の強磁性膜211と第2の強
磁性膜212との間に、絶縁膜210を介して、安定し
た反強磁性的結合を生じさせ得る可能性は、この強磁性
トンネル接合を、磁気ヘッドの読み取り用磁気変換素子
に用いる場合に大きな利点をもたらす。
【0049】図18は反強磁性的結合を生じている場合
の磁場ー磁気抵抗変化率特性を示す図である。図18に
示すように、反強磁性的結合を生じている場合、磁場ー
磁気抵抗曲線L1、L2が零磁場付近の領域△Hで、M
R変化率が最も高い値を示すようになる。従って、この
強磁性トンネル接合を磁気ヘッドの読み取り用磁気変換
素子として用いた場合、バイアス磁場を印加する必要が
なく、形状効果のみで、零磁場付近で直線領域が得られ
る。このため、磁気ヘッドの構造を簡素化することがで
きる(図3、図4参照)。
【0050】上述のようなバリアポテンシャルを確保し
得る絶縁膜210の一例は、大気中で40〜100℃ア
ニールした酸化アルミニウム膜である。かかる酸化アル
ミニウム膜は、金属アルミニウムが局部的に存在しなく
なったため、上下の強磁性膜211−212間でブリッ
ジができなくなり、その結果、高いバリアポテンシャル
を有する極薄絶縁膜210を有する強磁性トンネル接合
が実現できる。
【0051】絶縁膜210の他の例としては、ダイアモ
ンド状炭素膜(Diamond-like carbon膜、以下DLC膜と
称する)も、高いバリアポテンシャルを有する極薄の絶
縁膜210を実現するのに有効である。特に、プラズマ
CVD法で作製したDLC膜は、数十Åという非常に薄
い膜厚においても、均一、かつ、ピンホ−ルのない良好
な絶縁膜210が得られる。
【0052】なお、M.Pomerantz,J.C.Sloczewski及びE.
Spiller等が開示した中間膜のC膜は、MBE法で作製
したアモルファス−C膜であり、プラズマCVD法で作
製したDLC膜とは異なる。具体的には、アモルファス
−C膜は炭素同士がネットワ−ク状に結合しているもの
であるが、本発明のDLC膜は炭素と水素がネットワ−
ク状に結合しており、本質的に異なるものである。
【0053】本発明において、通常、第1の強磁性膜2
11の保磁力と、第2の強磁性膜212の保磁力とは、
互いに異ならせる。図19は第1の強磁性膜211の保
磁力H1と、第2の強磁性膜212の保磁力H2とを、
H1>H2(またはH2>H1)のように異ならせた場
合の磁化曲線を示している。図示するように、磁化曲線
は二段ループになっている。図19中、円内に示された
2つの矢印は、第1の強磁性膜211の磁化の向き、及
び、第2の強磁性膜212の磁化の向きをそれぞれ示し
ている。
【0054】第1の強磁性膜211の磁化の向きと、第
2の強磁性膜212の磁化の向きは、印加磁界が保磁力
H2(絶対値)より大きく、かつ、保磁力H1(絶対
値)よりも小さい場合は、反平行になり、印加磁界が保
磁力H1よりも大きい場合は、平行になる。電気抵抗
は、磁化の向きが反平行状態のとき大きく、磁化の向き
が平行状態であるとき小さくなる。磁化の向きが平行で
ある時の抵抗値Rsとし、磁化の向きが反平行から平行
へ変化した時の抵抗の変化分を△Rとすると、MR変化
率は△R/Rsとなる。これにより、外部印加磁界を検
出することができる。
【0055】別の例として、第2の強磁性膜212の磁
化の向きを固定する。こうすることにより、第1の強磁
性膜211の磁化の向きだけを変化させることにより、
第2の強磁性膜212に対する第1の強磁性膜211の
磁化の向きを平行または反平行にすることができる。
【0056】次に、強磁性トンネル接合部21の接合面
積及び絶縁膜210について、実施例を挙げて説明す
る。
【0057】<実施例1>図5〜図17に示した製造方
法において、酸化アルミニウム膜でなる絶縁膜210
は、アルミニウム膜を大気中において60℃、24時間
の熱処理を行なって形成した。強磁性トンネル接合の接
合面積は0.25〜2500μm2とした。
【0058】上述した接合面積を持つ強磁性トンネル接
合を、各20個ずつ作製し、各接合面積毎のバリアポテ
ンシャル、MR変化率の平均値及びそのばらつきを調べ
た。また、歩留りについても調べた。次に、強磁性トン
ネル接合の作製方法を具体的に説明する。
【0059】まず、第1の強磁性膜211として、膜厚
10nmのNiFe膜をRFスパッタ法で成膜し、レジストフ
ォトリソ、Arイオンミリング、レジスト剥離の微細加
工技術を用いて、0.5〜50μm×0.5mmの矩形状にパタ−
ニングした。
【0060】その後、レジストパタ−ニングをおこな
い、第1の強磁性膜211を構成するNiFe膜の表面酸化
膜を逆スパッタにより除去したあと、電子ビーム加熱式
真空蒸着法により、膜厚5nmのアルミニウム膜を成膜し
た。
【0061】その後、サンプルを真空蒸着装置から取り
出して、大気中において60℃、24時間の熱処理を行
なった後、リフト・オフ・プロセスを経て、酸化アルミ
ニウム膜でなる絶縁膜210を形成した。
【0062】次に、再びレジストパタ−ニングをおこな
った後、第2の強磁性膜212として膜厚100nmのC
o膜をRFスパッタ法で成膜し、続いて、リフトオフプ
ロセスを経て、第1の強磁性膜211と直角方向に0.5
〜50μm×0.5mmの矩形状パタ−ンを持つ第2の強磁性膜
212を形成した。これにより、接合面積0.25〜2
500μm2の強磁性トンネル接合が得られた。
【0063】また、比較として、従来用いられている自
然酸化アルミニウム膜(成膜後、大気中において24時
間放置)を絶縁膜210としたNiFe/酸化アルミニウム
/Co強磁性トンネル接合も同様に作製した。
【0064】実施例及び比較例において採用された第1
の強磁性膜211および第2の強磁性膜212の成膜条
件は以下に示す通りである。また、アルミニウム膜は、
到達圧力3×10-5 Pa、蒸着速度0.05nm/secで作製
した。
【0065】<強磁性膜成膜条件> 到達圧力:1×10-5 Pa タ−ゲット:Ni80Fe20 at%、 Co(4インチφ) スパッタガス:Ar 5 sccm スパッタ圧力:0.5 Pa 投入パワ−:150 W 成膜レ−ト:NiFe 45nm/min、 Co 40nm/min 基板温度:水冷 このようにして作製したサンプルについて、直流4端子
法で磁気抵抗(MR)曲線を測定した。なお、測定時の
最大印加磁場は±1kOeとし、−1kOeの磁場を印加させ
たのち、磁場を徐々に大きくして+1kOeまでかけ、再
び−1kOeに戻した。また、バリアポテンシャルはトン
ネル接合のV−I特性を測定し、直線領域からのずれを
もとめた。
【0066】図20に本発明に係る接合面積50×50
μm2の強磁性トンネル接合の磁気抵抗曲線を示す。印加
磁場を−1kOeより大きくしていくと、+5Oeにおい
て、第1の強磁性膜211の磁化反転がおこり、第1の
強磁性膜211と第2の強磁性膜212のスピンが反平
行になるため、電気抵抗が大きくなる。バリアポテンシ
ャルを求めた結果0.5eVであり、作製した20個のう
ち16個において同様のMR曲線が得られた。MR変化
率は6.6〜8.1%であり、MR変化率の平均値は
7.6%で、変化率ばらつきは±7%であった。
【0067】一方、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜2
10とした比較例の強磁性トンネル接合においては、バ
リアポテンシャルは0.2eVしか得られなかった。ま
た、4個しかMR曲線が観測できず、MR変化率平均値
は1.5%と低く、平均値ばらつき±88%と非常に大
きかった。種々の接合面積についても同様の評価を行な
った。これらの結果を表1ー1、1ー2に示す。
【0068】表1から明らかなように、大気中60℃熱
処理により形成した酸化アルミニウム膜を絶縁膜210
としての用いることにより、0.5〜3eVの高いバリア
ポテンシャルと高いMR変化率が得られ、しかもばらつ
きが少なく、高い歩留まりが得られる。特にバリアポテ
ンシャルが1.5〜2.5eVのとき歩留りが高い。ま
た、30〜250℃の温度範囲で大気中熱処理して得ら
れた酸化アルミニウム膜を絶縁膜210とした強磁性ト
ンネル接合のMR特性を調べた結果、40〜100℃熱
処理した場合に、高いMR変化率が得られ、しかも、ば
らつきが少なく、高い歩留まりが得られることがわかっ
た。
【0069】<実施例2>第1の強磁性膜211はCo50
Fe50によって構成し、第2の強磁性膜212はCoによ
って構成した。接合面積は0.25〜2500μm2とし
た。第1の強磁性膜211及び第2の強磁性膜212は
実施例1と同様の方法で作製した。絶縁膜210を構成
するDLC膜は、プラズマCVD法により、膜厚5nmに
なるよう成膜し、リフトオフ法によりパタ−ニングし
た。DLC膜の成膜条件は以下に示す。
【0070】<DLC膜成膜条件> 到達圧力:2×10-3 Pa 導入ガス:メタン 5 sccm スパッタ圧力:3.5 Pa RFパワ−:50 W 自己バイアス:−150 V 成膜レ−ト:10nm/min 基板温度:加熱および水冷なし また、比較例として、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜
210としたCo50Fe50/酸化アルミニウム/Co強磁性
トンネル接合を作製した。
【0071】上記実施例及び比較例のサンプルについ
て、直流4端子法でMR特性を測定して得られた結果を
表2ー1、2ー2に示す。
【0072】表2から明らかなように、プラズマCVD
法で作製したDLC膜を、絶縁膜210として用いるこ
とにより、高いバリアポテンシャルおよび高いMR変化
率が得られ、しかも、ばらつきが少なく、高い歩留まり
が得られることがわかる。例えば、本実施例による接合
面積50×50μm2のサンプルについて、作製した20
個のうち、15個でMR曲線が得られた。MR変化率の
平均値は18.9%で、変化率のばらつきは±12%で
あった。また、実施例1と同様に、バリアポテンシャル
1.5〜2.5eVのとき特に歩留りが高かった。これに
対して、自然酸化アルミニウム膜を絶縁膜210とした
比較例の強磁性トンネル接合においては、バリアポテン
シャルは小さく、5個しかMR曲線が観測できず、MR
変化率平均値は3.3%と低く、ばらつきは±88%と
非常に大きかった。
【0073】次に、接合面積と反転磁場との関係につい
て述べる。接合面積が小さいほど絶縁膜210のピンホ
ールなどの欠陥が少なくなるため高い歩留まりが得られ
ることは報告されている。表1および表2からわかるよ
うに、本実施例の強磁性トンネル接合において、接合面
積が小さいほどMR変化率は高く、また高い歩留まりが
得られる。特にバリアポテンシャル1.5〜2.5eVの
ときに歩留りが高くなる。
【0074】また、図20に示す磁場Hab、即ち、第1
の強磁性膜211の磁化が反転する磁場が、負の方向に
シフトしていくことがわかった。特に、接合面積が10
μm2より小さくバリアポテンシャルが1.5〜2.5eV
のとき、零磁場において第1の強磁性膜211と第2の
強磁性膜212の各々の磁化が反平行状態になる。この
ことは、両磁性膜間に反強磁性的結合力が作用している
ことを示している。接合面積が10μm2より小さい場合
に高いMR変化率と高い歩留まりが得られたのは、均一
でピンホールの非常に少ない絶縁膜210を用い、か
つ、接合面積を小さくすることにより、両磁性膜間に反
強磁性的結合が生じたためと考えられる。また実施例1
−7及び実施例2−8に示すように、接合面積が10μ
m2以下でもバリアポテンシャルが2.5eVより大きい
と、両磁性膜間で反強磁性的接合は得られず、歩留りも
若干低下する。
【0075】次に、本発明に係る磁気ヘッドと従来のA
MR磁気ヘッドについて、特性評価を示す。
【0076】<本発明の磁気ヘッド>実施例2によるCo
50Fe50/DLC/Co強磁性トンネル接合を用いた磁気ヘッド
を作製し、磁気記録媒体に書き込まれた記録信号を読み
出し、再生感度および再生出力を調べ、従来のAMR磁
気ヘッドと比較した。本発明にかかる磁気ヘッドは、強
磁性トンネル接合部21の幅1μm 、長さ1μm とした。
すなわち、磁気ヘッドのトラック幅は1μmおよびMR
ハイトは1μmである。MRシ−ルド間隔は0.27μm
とした。
【0077】<従来のAMR磁気ヘッド:比較例>比較
のため、SALバイアス方式のNiFe膜をMR膜としたト
ラック幅1μm、MRハイト1μm、MRシ−ルド間隔
0.27μmの従来のAMR磁気ヘッドも作製した。作
製方法を以下に示す。下部絶縁膜の形成までは本発明の
強磁性トンネル接合型MR磁気ヘッドと同じである。下
部絶縁膜を形成した後、まずSAL膜としてNiFeRh膜、
磁気分離膜としてTa膜及び、MR膜としてNiFe膜をD
Cスパッタ法で成膜し、微細加工技術により矩形状に加
工した。その後、電極膜、上部絶縁膜及び上部シ−ルド
膜を薄膜及び微細加工技術で形成した。
【0078】この磁気ヘッドを用いて、保磁力2500
Oe、膜厚50nmの磁気記録媒体に書き込まれた記録信号
を再生し、特性を調べた。
【0079】図21は、単位トラック幅当たりの再生出
力と記録密度を比較した図である。曲線L3は本発明に
係る強磁性トンネル接合を用いた磁気ヘッドの特性、曲
線L4は従来のAMR磁気ヘッドの特性をそれぞれ示し
ている。図21に示すように、本発明の強磁性トンネル
接合型磁気ヘッドによれば、従来のAMR磁気ヘッドよ
り4〜5倍の再生出力が得られた。
【0080】次に、本発明に係る強磁性トンネル接合型
磁気ヘッドにおいて、強磁性トンネル接合部21は、第
1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212に、磁
気的制御手段を備えることもある。そのような手段の一
つは、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜21
2の何れか一方の磁化の向きを固定することであり、も
う一つの手段は、第1の強磁性膜211または第2の強
磁性膜212のうち、磁化固定を受けていない強磁性膜
に磁区制御を与えることである。これらの手段は、通常
は、併用されるが、単独で用いることもできる。
【0081】<磁化固定手段>まず、磁化固定手段につ
いて説明する。強磁性トンネル接合部21の磁気抵抗変
化は、第1の強磁性膜211の磁化の向きと第2の強磁
性膜212の磁化の向きとの相対角度に依存するから、
微小磁場で高い再生出力を得るためには、外部磁場が零
のときに、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜
212は、磁化の向きが、互いに平行でないことが望ま
しい。例えば、第1の強磁性膜211及び第2の強磁性
膜212の磁化の向きを、互いに直交する方向にとる。
【0082】特に、外部磁場に対し、第1の強磁性膜2
11の磁化の向きが垂直となり、第2の強磁性膜212
の磁化の向きが平行となるように方向付けするのが好ま
しい。
【0083】更に、第1の強磁性膜211は外部磁場に
対して磁化の向きが自由に変化する自由強磁性膜として
動作させ、第2の強磁性膜212は外部磁場に対して磁
化の向きが固定されているピン止め強磁性膜として動作
させることが望ましい。こうすることにより、自由強磁
性膜である第1の強磁性膜211の磁化の動きのみで、
両強磁性膜211、212の間に、磁化の向きに関し
て、相対角度変化を生じさせることができる。この場
合、外部磁場に対して、自由強磁性膜を構成する第1の
強磁性膜211の磁化容易軸が垂直となり、ピン止め強
磁性膜を構成する第2の強磁性膜212の磁化容易軸が
平行となるように設定するのがよい。こうすることによ
り、自由強磁性膜である第1の強磁性膜211の磁化の
方向が、外部磁場により磁化回転モードで変化するた
め、高いMR感度が得られると共に、スムーズな磁化反
転が行なわれ、磁壁移動に伴うバルクハウゼンノイズの
発生を低減できる。
【0084】外部磁場に対して、自由強磁性膜である第
1の強磁性膜211の磁化容易軸が垂直、ピン止め強磁
性膜である第2の強磁性膜212の容易軸が平行になる
ように方向付ける手段としては、次のような方法があ
る。第1の方法は、自由強磁性膜である第1の強磁性膜
211を低保磁力の軟質強磁性膜を用い、ピン止め強磁
性膜である第2の強磁性膜212に高保磁力の硬質磁性
膜を用いる方法である。第2の方法は、第1の強磁性膜
211及び第2の強磁性膜212の両者共、軟質強磁性
膜によって構成し、ピン止め強磁性膜である第2の強磁
性膜212に磁化固定膜を積層し、第2の強磁性膜21
2の磁化の向きを固定する方法である。
【0085】次に、上述したような要求を充たすための
磁化固定手段の具体例について、図22〜図24を参照
して説明する。
【0086】図22は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性
トンネル接合部21を示す断面図、図23は強磁性トン
ネル接合部21の斜視図である。この実施例では、第2
の強磁性膜212の面上に磁化固定膜216を有する。
磁化固定膜216は第2の強磁性膜212と、第2の電
極膜23との間に設けられており、第2の強磁性膜21
2がピン止め強磁性膜となり、第1の強磁性膜211が
自由強磁性膜となる。図示は省略するけれども、磁化固
定膜216は第1の強磁性膜211と第1の電極膜22
との間に設けてもよい。この場合は、第1の強磁性膜2
11がピン止め強磁性膜となり、第2の強磁性膜212
が自由強磁性膜となる。
【0087】実施例において、第1の強磁性膜211の
磁化の向きM1がABS面13(または14)と平行で
あり、第2の強磁性膜212の磁化の向きM2は、磁化
固定膜216によりABS面13(または14)に垂直
となる方向に固定されている。
【0088】磁化固定膜216としては、高保磁力の硬
質強磁性膜または反強磁性膜の何れかを用いることがで
きる。磁化固定膜216として、硬質強磁性膜を用いた
場合には、磁化固定膜216及び第2の強磁性膜212
の間に強磁性膜ー強磁性膜による交換結合が生じ、第2
の強磁性膜212の磁化の向きが固定され、ピン止め強
磁性膜となる。磁化固定膜216として、反強磁性膜を
用いた場合には、磁化固定膜216及び第2の強磁性膜
212の間に反強磁性膜ー強磁性膜による交換結合が生
じ、第2の強磁性膜212の磁化の向きが固定され、ピ
ン止め強磁性膜となる。
【0089】硬質強磁性膜としては、 Co合金、例え
ば、CoPt,CoPtCr,CoPtTa,CoPtTaCrを用いることがで
きる。反強磁性膜としては、金属系反強磁性材料あるい
は酸化物系反強磁性材料の用いることができる。金属系
反強磁性材料の例はMn合金である。利用できるMn合
金としてはFeMn,NiMn,PtMn,RuMn,RhMn,IrMn,PdMn
及びそれらの合金を挙げることができる。酸化物系反強
磁性材料の例は、NiO,NiCoO,Fe2O3,CoOである。
【0090】図24は図22及び図23に示した磁気ヘ
ッドの強磁性トンネル接合部21の動作を説明する図で
ある。印加磁場Hが零のとき、第2の強磁性膜212の
磁化の向きM2は、磁化固定膜216(図22、23参
照)により、ABS面13(または14)に垂直になる
方向に制御されている。第1の強磁性膜211の磁化の
向きM1はABS面13(または14)と平行となる方
向である。この状態で、磁気ディスク等の磁気記録媒体
から磁場Hが印加された場合、磁化固定膜216により
ピン止めされている第2の強磁性膜212の磁化の向き
M2は変化しないが、第1の強磁性膜211の磁化の向
きM1は、例えば角度θだけ変化する。これにより磁気
抵抗効果が生じる。
【0091】<磁区制御手段>次に、磁化固定を受けて
いない自由強磁性膜に対する磁区制御手段について説明
する。この種の磁気ヘッドにおいて、強磁性トンネル接
合部21は、微細な矩形状パターンとして形成される。
かかるパターンでは、パターン端部に磁気的な不安定部
分が発生し、磁区が形成されてしまうのを回避すること
ができない。このため、磁壁移動モードでの磁化反転が
部分的に発生し、ノイズを発生する。そこで、自由強磁
性膜の端部に磁区制御膜を設け、自由強磁性膜での磁区
形成を抑制する。磁区制御膜は磁気バイアス膜である。
【0092】図25は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性
トンネル接合部21を示す平面図、図26は図25の2
6ー26線に沿った断面図である。この実施例は、第2
の強磁性膜212を自由強磁性膜とした例を示し、第2
の強磁性膜212の両端部に、磁区制御膜となるバイア
ス磁性膜214、215を形成し、第2の強磁性膜21
2を単一磁区状態に保持する。バイアス磁性膜214、
215としては、硬質強磁性膜または反強磁性膜を用い
ることができる。このようなバイアス磁性膜214、2
15を配置することにより、それが備えられた第2の強
磁性膜212を単一磁区状態にすることができるため、
出力波形歪みの原因となるバルクハウゼンノイズの発生
を抑えることができる。
【0093】バイアス磁性膜214、215を構成する
硬質強磁性膜としては、CoPt,CoPtCr,CoPtTa等の材料
を用いることができる。また、反強磁性膜としてはFeM
n,NiMn,PtMn,PdMn,RhMn,CrAl,CrSbなどの反強磁
性材料やNiO,α-Fe2O3などの酸化物系反強磁性などを用
いることができる。
【0094】図27は本発明に係る磁気ヘッドの強磁性
トンネル接合部21の別の例を示す断面図である。この
実施例は、第1の強磁性膜211を自由強磁性膜とした
例を示し、第1の強磁性膜211の両端部に、磁区制御
膜となるバイアス磁性膜214、215を形成し、第1
の強磁性膜211を単一磁区状態に保持する。
【0095】図25〜図27に示したように、磁区制御
膜となるバイアス磁性膜214、215を設ける場合
も、第1の強磁性膜211または第2の強磁性膜212
は、磁化の向きが、互いに平行でないことが望ましい。
例えば、印加磁場が零の場合に、第1の強磁性膜211
または第2の強磁性膜212のうちの一方の磁化の向き
が、ABS面13(または14)に平行であり、もう一
方の強磁性膜の磁化の向きがABS面に垂直になるよう
に制御する。
【0096】図25及び図26に示した構造の強磁性ト
ンネル接合型磁気ヘッドにおいて、Fe(20nm)/酸化アル
ミニウム(4nm)/Co-10at%Fe(10nm)の膜構成でなる強磁性
トンネル接合部21を感磁部に用いた。Co-10at%Feでな
る第2の強磁性膜212の両端に、バイアス磁性膜21
4、215として、CoPtでなる硬質磁性膜を配置した。
【0097】この磁気ヘッドを用いて、実施例1と同様
の静電破壊試験を行なった結果、金属板への印加電圧が
約180Vで静電破壊が起こり、従来の磁気ヘッドより
耐電圧が高かった。また、保磁力2500Oe、膜厚50
nmの磁気記録媒体に書き込まれた信号を再生し、出力波
形を調べた結果、図28に示すように歪みのない良好な
波形が得られた。
【0098】<磁化固定及び磁区制御の併用>図29は
本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接合部21の
別の例を示す断面図である。この実施例は、第1の強磁
性膜211を自由強磁性膜とし、第2の強磁性膜212
をピン止め強磁性膜とした例を示している。第1の強磁
性膜211の両端には磁区制御膜214、215が設け
られており、また、第2の強磁性膜212の上には磁化
固定膜216が設けられている。
【0099】図30は図29に示した磁気ヘッドの強磁
性トンネル接合部21の動作を説明する図である。印加
磁場Hが零のとき、第2の強磁性膜212の磁化の向き
M2は、磁化固定膜216により、ABS面13(また
は14)に垂直になる方向に固定されている。第1の強
磁性膜211の磁化の向きM1はABS面13(または
14)と平行となる方向である。この状態で、磁気ディ
スク等の磁気記録媒体から磁場Hが印加された場合、磁
化固定膜216によりピン止めされている第2の強磁性
膜212の磁化の向きM2は変化しないが、第1の強磁
性膜211の磁化の向きM1は、例えば角度θだけ変化
する。これにより磁気抵抗効果が生じる。
【0100】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、以
下のような効果が得られる。 (a)シールド間隔を狭くでき、高密度記録再生に適し
た強磁性トンネル接合型磁気ヘッドを提供することがで
きる。 (b)電極膜とシールド膜間における絶縁破壊を抑制す
るのに有効な強磁性トンネル接合型磁気ヘッドを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気ヘッドの斜視図である。
【図2】図1に示した磁気ヘッドの磁気変換素子部分の
拡大断面図である。
【図3】MR磁気変換素子の部分の拡大断面図である。
【図4】MR磁気変換素子の拡大斜視図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドを製造する方法を説明
する図である。
【図6】図5の工程の後の工程であって、本発明に係る
磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図7】図6の工程の後の工程であって、本発明に係る
磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図8】図7の工程の後の工程であって、本発明に係る
磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図9】図8の工程の後の工程であって、本発明に係る
磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図10】図9の工程の後の工程であって、本発明に係
る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図11】図10の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図12】図11の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図13】図12の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図14】図13の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図15】図14の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図16】図15の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図17】図16の工程の後の工程であって、本発明に
係る磁気ヘッドを製造する方法を説明する図である。
【図18】反強磁性的結合を生じている場合の磁場ー磁
気抵抗変化率特性を示す図である。
【図19】第1の強磁性膜の保磁力H1と、第2の強磁
性膜の保磁力H2とを、H1>H2のように異ならせた
場合の磁化曲線を示している。
【図20】接合面積50×50μm2の強磁性トンネル接
合の磁気抵抗曲線を示す。
【図21】単位トラック幅当たりの再生出力と記録密度
を比較した図である。
【図22】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接
合部を示す断面図である。
【図23】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接
合部の斜視図である。
【図24】図22及び図23に示した磁気ヘッドの強磁
性トンネル接合部の動作を説明する図である。
【図25】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接
合部を示す平面図である。
【図26】図25の26ー26線に沿った断面図であ
る。
【図27】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接
合部の別の例を示す断面図である。
【図28】本発明に係る磁気ヘッドの再生波形図であ
る。
【図29】本発明に係る磁気ヘッドの強磁性トンネル接
合部の別の例を示す断面図である。
【図30】図29に示した磁気ヘッドの強磁性トンネル
接合部の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 スライダ 21 強磁性トンネル接合部 211 第1の強磁性膜 212 第2の強磁性膜 210 絶縁膜 214、215 磁区制御膜 216 磁化固定膜 22 第1の電極膜 23 第2の電極膜 24、25 絶縁膜 13、14 ABS面
フロントページの続き (72)発明者 佐野 正志 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−42417(JP,A) 特開 平7−6340(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スライダと、少なくとも一つの磁気変換
    素子とを有する磁気ヘッドであって、 前記スライダは、磁気記録媒体と対向する面側に空気ベ
    アリング面を有しており、 前記磁気変換素子は、強磁性トンネル接合部と、電極膜
    とを含み、前記スライダの一部を構成する絶縁支持膜に
    よって支持されており、 前記強磁性トンネル接合部は、絶縁膜と、第1の強磁性
    膜と、第2の強磁性膜とを含み、前記第1の強磁性膜と
    前記第2の強磁性膜とが前記絶縁膜を介して積層されて
    おり、 前記電極膜は、第1の電極膜と、第2の電極膜とを含
    み、第1の電極膜は、前記第1の強磁性膜に接続され、
    第2の電極膜は前記第2の強磁性膜に接続されており、 前記強磁性トンネル接合部は、外部磁界を検出する先端
    が前記空気ベアリング面に位置しており、 前記第1の電極膜及び第2の電極膜は、前記空気ベアリ
    ング面に露出しないように設けられている磁気ヘッド
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された磁気ヘッドであっ
    て、 前記第1の電極膜及び第2の電極膜は、前記強磁性トン
    ネル接合部の前記先端から後退している磁気ヘッド
  3. 【請求項3】 請求項1または2の何れかに記載された
    磁気ヘッドであって、下部磁気シールド膜及び上部磁気
    シールド膜を有しており、 前記強磁性トンネル接合部は、前記下部磁気シールド膜
    及び前記上部磁気シールド膜の間に配置されている磁気
    ヘッド
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載された磁
    気ヘッドであって、 更に、誘導型磁気変換素子を含む磁気ヘッド
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された磁気ヘッドであっ
    て、 下部磁気シールド膜及び上部磁気シールド膜を有してお
    り、 前記強磁性トンネル接合部は、前記下部磁気シールド膜
    及び前記上部磁気シールド膜の間に配置されており、 前記上部磁気シールド膜は、前記誘導型磁気変換素子に
    備えられた磁性膜である磁気ヘッド
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載された磁
    気ヘッドであって、 前記強磁性トンネル接合部の前記絶縁膜によるバリアポ
    テンシャルが0.5〜3eVの範囲にある磁気ヘッド
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載された磁
    気ヘッドであって、 前記絶縁膜によるバリアポテンシャルは1.5〜2.5
    eVの範囲にある磁気ヘッド
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載された磁
    気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜の保磁力と、前記第2の強磁性膜の
    保磁力とが異なる磁気ヘッド
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載された磁
    気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜および前記第2の強磁性膜が、前記
    絶縁膜を介して、反強磁性的結合している磁気ヘッド
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れかに記載された
    磁気ヘッドであって、 前記絶縁膜は、成膜後に大気中において40〜100℃
    で熱処理して形成した酸化アルミニウム膜である磁気ヘ
    ッド
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10の何れかに記載され
    た磁気ヘッドであって、 前記絶縁膜は、ダイアモンド状炭素膜である磁気ヘッ
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11の何れかに記載され
    た磁気ヘッドであって、 前記強磁性トンネル接合部分の面積が10μm2以下で
    ある磁気ヘッド
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12の何れかに記載され
    た磁気ヘッドであって、 前記第1の強磁性膜及び前記第2の強磁性膜の何れか一
    方に、磁化固定膜が設けられている磁気ヘッド
  14. 【請求項14】 請求項13に記載された磁気ヘッドで
    あって、 前記磁化固定膜は、硬質強磁性膜である磁気ヘッド
  15. 【請求項15】 請求項13に記載された磁気ヘッドで
    あって、 前記磁化固定膜は、反強磁性膜である磁気ヘッド
  16. 【請求項16】 請求項13に記載された磁気ヘッドで
    あって、 前記第1の強磁性膜及び前記第2の強磁性膜のうち、前
    磁化固定膜の設けられていない強磁性膜は、両端部に
    磁区制御膜を有する磁気ヘッド
  17. 【請求項17】 請求項16に記載された磁気ヘッドで
    あって、 前記磁区制御膜は、硬質強磁性膜である磁気ヘッド
  18. 【請求項18】 請求項16に記載された磁気ヘッドで
    あって、 前記磁区制御膜は、反強磁性膜であり、前記第1の強磁
    性膜または前記第2の強磁性膜と前記反強磁性膜の間で
    交換結合を生じる磁気ヘッド
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