JP3049126B2 - 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法 - Google Patents

毛状根を用いたアカネ色素の製造方法

Info

Publication number
JP3049126B2
JP3049126B2 JP3239735A JP23973591A JP3049126B2 JP 3049126 B2 JP3049126 B2 JP 3049126B2 JP 3239735 A JP3239735 A JP 3239735A JP 23973591 A JP23973591 A JP 23973591A JP 3049126 B2 JP3049126 B2 JP 3049126B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid medium
madder
hairy
hairy roots
pigment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3239735A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05211877A (ja
Inventor
三雄 川瀬
節治 東稔
正仁 田谷
正博 紀ノ岡
浩二 峯
欣之輔 小竹
隆人 市
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd, San Ei Gen FFI Inc filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP3239735A priority Critical patent/JP3049126B2/ja
Publication of JPH05211877A publication Critical patent/JPH05211877A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3049126B2 publication Critical patent/JP3049126B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アグロバクテリウム・
リゾジェネスによって誘導した西洋アカネの毛状根を用
い、アカネ色素を生産する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物を使って医薬品等の有用物質を生産
する場合、普通は通常の植物体が使われるが、最近、そ
ういった植物体よりも格段に生長速度の速い(従って、
物質の生産速度の速い)毛状根を利用しようという動き
が活発である。
【0003】植物の細胞・組織培養法による植物の二次
代謝物の工業的生産法として、植物に毛根病菌アグロバ
クテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)
を接種し、生えてきた毛状根を培養する方法が知られて
いる。この方法は、次の原理に基づくものである。すな
わち、アグロバクテリウム・リゾジェネスを植物の茎・
葉・根などに接種すると、感染部位から毛状根と呼ばれ
る根が発生する。この根は、リゾジェネス中に存在する
巨大プラスミド(Ri プラスミド) の遺伝子の一部が植物
の遺伝子に組み込まれることにより発生する。そして、
毛状根クローンを確立し、高生産性株を選抜することに
よって、効率の良い二次代謝物質生産が可能となる。従
って、この性質を利用して、根に有用物質を含む植物に
アグロバクテリウム・リゾジェネスを接種し、発生した
毛状根を切り出してタンクなどの装置で培養し、増殖さ
せた毛状根を破壊して有用物質を取り出すことができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で
は、有用物質が毛状根の組織、細胞内に貯えられること
が多く、培養後の毛状根を培養液から分離、採取し、有
機、無機の溶媒を用いて抽出を繰り返す必要がある。従
って、毛状根の細胞から有用物質を分離、抽出する操作
が複雑であり、製造コストが上昇する。また、増殖中の
毛状根を連続的に培養タンクから取り出すことは困難で
あり、バッチ方式による生産しか行うことができない。
従って、一旦抽出操作を行った毛状根は、二度と培養に
使えないので、再び毛状根クローン選抜を行う必要があ
る。
【0005】本発明者は、以前、こうした問題を解決す
るため、毛状根細胞から有用物質を連続的、効率的に分
離、抽出する方法を開発した(特願平3−20302 号明細
書)。この方法は、液体培地中で毛状根を増殖させ、培
養したところで、液体培地中の溶存酸素濃度を下げ、毛
状根細胞から液体培地中へと有用物質を放出させるもの
である。本発明者は、研究を重ねる過程で、この方法を
西洋アカネに適用することを考えた。しかし、実際に
は、培養の途中で液体培地の溶存酸素濃度を下げても、
西洋アカネの毛状根の場合には、アカネ色素の分泌量が
顕著には増大しないことが解った。本発明の課題は、西
洋アカネ植物体から、アカネ色素を効率的、連続的に生
産する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アグロバクテ
リウム・リゾジェネスが保持するRiプラスミドによって
西洋アカネ植物体を形質転換し、この形質転換によって
生じた毛状根を液体培地中で培養し、次いで毛状根が入
った液体培地中の溶存酸素濃度を低下させると共にこの
液体培地のpHを7.0 〜9.0 に調整することにより前記毛
状根から液体培地中へとアカネ色素を放出させる、毛状
根を用いたアカネ色素の製造方法に係るものである。
【0007】
【作用】西洋アカネ中には、アカネ色素として、キノン
系化合物が含有されている。本発明者は、西洋アカネ植
物体を形質転換して得た毛状根を液体培地中で培養し、
この毛状根から効率的に多量のアカネ色素を抽出する方
法について検討した。具体的には、特願平2−20302 号
明細書に記載した方法に従い、毛状根を培養した後、液
体培地への酸素の供給を中断し、液体培地中の溶存酸素
濃度を3ppm以下に低下した。この時点で、ビート等の
他の植物体の場合には、それぞれの含有色素が細胞外へ
と多量に漏出した。ところが、西洋アカネの場合には、
液体培地中の溶存酸素濃度を3ppm 以下にまで低下させ
ても、アカネ色素の放出量は少なかった。
【0008】本発明者は、この現象についていろいろと
検討を加えた結果、色素を抽出する際の液体培地のpHが
重要であることを突き止めた。即ち、西洋アカネ起源の
毛状根が生育する最適のpHは約5.2 であり、この毛状根
を培養する段階では、液体培地のpHは通常4〜6であ
る。この後、液体培地中の溶存酸素濃度を低下させて
も、色素の漏出量は少なかった。ところが、培養の後
に、液体培地のpHを7.0 〜9.0 の間となるように調整す
ると、毛状根細胞から液体培地中へとアカネ色素が顕著
に、多量に漏出することが判明した。そのうえ、適当な
条件を設定すれば、一旦アカネ色素を漏出した後であっ
ても、液体培地のpHと溶存酸素濃度とを元に戻せば、毛
状根が再び充分に増殖することも確認した。従って、本
発明によれば、西洋アカネ毛状根の培養とアカネ色素の
回収とを、交互に連続して行うことができるようになっ
た。
【0009】毛状根から液体培地中へとアカネ色素を放
出させる際の液体培地のpHは、7.0〜9.0 に調整する必
要がある。これが7.0 未満であると、アカネ色素の放出
量がまだ少ない。これが9.0 を超えると、アカネ色素の
生産は認められるものの、液体培地のpHと溶存酸素濃度
とを元に戻して毛状根を再び増殖させる場合に、毛状根
の増殖速度が顕著に低下した。このpHを7.0 〜8.0 とす
ると、アカネ色素の放出量が最も多くなる。毛状根から
アカネ色素を放出させる際には、液体培地の溶存酸素濃
度を3ppm以下とすることが好ましく、1ppm 以下とす
ると一層好ましい。毛状根を液体培地中で培養する際の
液体培地のpHは、4.0 〜7.0 とすることが好ましく、5.
0 〜6.0 とすると更に好ましい。この範囲で、西洋アカ
ネ毛状根の増殖速度が最も大きくなる。アグロバクテリ
ウム・リゾジェネス菌として、以下のものを例示でき
る。 アグロバクテリウム・リゾジェネス 25818 (ATCC
25818) アグロバクテリウム・リゾジェネス 15834 (ATCC
15834) アグロバクテリウム・リゾジェネス 8196 アグロバクテリウム・リゾジェネス A4 (ATCC
43057) また大腸菌などの他の菌にRiプラスミドまたはその一部
のT-DNA を遺伝子導入した菌も使用できる。西洋アカネ
植物体をアグロバクテリウム・リゾジェネス菌で処理す
ると、リゾジェネス菌中のRiプラスミドの一部(T-DNA)
が植物細胞の核DNA の中に導入(形質転換)される。
【0010】西洋アカネ植物体の茎・根・葉などにRiプ
ラスミドT-DNA を導入し、形質転換させた毛状根を得る
方法としては、例えば、次の方法があげられる。 1.植物固体への直接接種法 2.葉片を用いたリーフディスク法(R. B. Horsch et a
l., SCIENCE 227. 1229 (1985)) 3.植物体のプロトプラストを利用した共存培養法(Z.
M. Wei et al., Plant Cell Rep., 5;93-96(1986)) 4.植物体のプロトプラストとアグロバクテリウム・リ
ゾジェネスのスフェロプラスト法(R. Hain et al., Pla
nt Cell Rep., 3、60(1984)) 5.アグロバクテリウム・リゾジェネス菌のRiプラスミ
ドまたはその一部のT-DNA をマイクロジェクションなど
の方法で直接細胞内に注入する方法。毛状根を液体培地
中で培養する際には、液体培地中の溶存酸素濃度を比較
的に高く保持するため、例えば以下の方法を用いる。 ・液体培地を回転振盪すること。 ・空気等のO2含有ガスで培地をバブリングする。
【0011】毛状根を培養する段階では、毛状根を増殖
させるため、通常植物の組織培養に用いられている液体
培地を使用する。こうした液体培地としては、無機成分
および炭素源を必須成分とし、これに植物生長調節物
質、ビタミン類およびアミノ酸類から選ばれる少なくと
も1種以上の成分を添加し必要に応じてその他の成分も
添加されている液体培地を用いることができる。
【0012】炭素源としては、炭水化物、その誘導体、
脂肪酸等の有機酸、エタノール等の1級アルコールなど
を例示できる。このうち、本発明者の検討によると、炭
素源としてフルクトースを用いたときが最も細胞増殖が
早く、スクロースを用いた場合にくらべて約2倍もの細
胞増殖速度が得られた。
【0013】液体培地中の無機成分としては、窒素、亜
鉛、鉄、銅、モリブデン、ホウ素、リン、コバルト、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、マンガ
ン、塩素、ナトリウム、ヨウ素等がある。具体的には、
硝酸アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸
カルシウム、硝酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸第1鉄、硫
酸第2鉄、1ナトリウムエチレンジアミン4酢酸第2
鉄、硫酸銅、モリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、
ホウ酸、リン酸、リン酸1ナトリウム、リン酸1カリウ
ム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、塩化コ
バルト、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシ
ウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン、ヨウ化カリウム
などを例示できる。
【0014】植物生長調節物質としては、インドール酢
酸(IAA) ナフタレン酢酸(NAA) 、p‐クロロフェノキシ
イソ酢酸、2,4 ‐ジクロロフェノキシ酪酸(2,4-D) など
のオーキシン類、カイネチン、ゼアチン、ジヒドロゼア
チン等のサイトカイニン類を例示できる。
【0015】ビタミン類としては、ビオチン、チアミン
(ビタミンB1) 、ピリドキシン(ビタミンB6) 、パント
テン酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、イオシトー
ル、ニコチン酸などを例示できる。
【0016】アミノ酸としては、グリシン、アラニン、
グルタミン、システインなどを例示できる。液体培地中
の成分の濃度は、広い範囲で変えることができる。通常
は、無機成分を約0.1 μM 〜約1000mM程度、炭素源を約
1g/1〜約120g/1程度、さらに植物生長調節物質を
約0.01μM 〜約10μM 程度、ビタミン類およびアミノ酸
類を、それぞれ約0.1mg/1〜約100mg/1程度とすること
ができる。
【0017】本発明では、液体培地中の毛状根の初期植
え付け量を広い範囲で変えることができる。通常は液体
培地50mlに対して、毛状根を約10mg〜約1g(新鮮重
量)程度植え付けることが望ましい。毛状根の培養にお
いて、光は必ずしも必要でない。培養温度は約10℃〜約
35℃、特に約23℃〜約28℃が好適である。つまり、約10
℃未満では毛状根の増殖速度が小さく、約35℃を超えて
も同様に毛状根の増殖速度が小さくなるからである。
【0018】毛状根から液体培地中へとアカネ色素を放
出させる段階では、液体培地のpHを7.0 〜9.0 に調節し
なければならない。このためには、例えば次の三つの方
法がある。一つは、上記した培養用の液体培地に対して
アルカリを添加してpH値を上昇させる方法である。二つ
めの方法においては、上記した培養用の液体培地を、培
養操作が終了した時点で一旦排出する。そして、予めpH
を調整した新たな液体培地を入れる。こうした抽出操作
の段階で新たに毛状根へと加える液体培地は、上記した
ような培養用の液体培地としてもよいが、リン酸緩衝液
又はホウ酸緩衝液とすることが好ましい。三つめの方法
においては、特に、毛状根の培養をNI培地中で行う。NI
培地とは、MS培地において、窒素源が硝酸のみであるも
のをいう。こうしたNI培地を用いると、毛状根の増殖が
進行するにつれて培地中の硝酸が消費され、NI培地のpH
が上昇する。このpHを監視し、pHが7.0 を越えた時点
で、後述するようにNI培地の回転振盪やバブリングを停
止し、アカネ色素抽出の段階に移る。
【0019】抽出操作時に液体培地中の溶存酸素濃度を
低下させるには、以下の方法がある。 ・液体培地の回転振盪を止め、気液界面の更新を止めて
溶存酸素濃度を低下させる。 ・N2ガス等との置換により、気体中のO2濃度を下げる。 ・バブリングガス中のO2濃度を下げる。 ・バブリングガス量を低下させる。 抽出操作の後、アカネ色素が放出された後の液体培地
を、新たな液体培地と一部または全部入れ換えることが
好ましい。
【0020】
【実施例】以下、更に具体的な実験例について述べる。 (リーフディスク法による毛状根の誘導)西洋アカネの
葉を2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬し、殺菌処
理をした。この葉を、コルクボーラーで径10mmφの寸法
となるように切り取り、アグロバクテリウム・リゾジェ
ネス懸濁液中に浸漬し、アグロバクテリウム・リゾジェ
ネス菌を感染させた。
【0021】次いで、感染後の葉を、20g/1のシュー
クロースを含んだムラシゲ・スクーグ(MS)寒天固形培地
上に移植した。1〜2週間後に葉から毛状根が発根し
た。多数得られた形質転換体のうち、アカネ色素含有量
及び増殖特性等の点で優れていた不定根細胞を選抜し
た。濾紙電気泳動法によるオバインの分析結果から、こ
の不定根細胞が毛状根であることを確認した。
【0022】(培養操作及び抽出操作)まず、20g/l
のフルクトースと0.05ppm のNAA を含有する80mlのMS培
地を200ml 三角フラスコに入れた。そして、各三角フラ
スコ中のMS培地に対し、西洋アカネ毛状根をそれぞれ当
量毎に接種した。こうして約3週間、MS培地を回転振盪
培養した後、MS培地を、所定pHを有するリン酸緩衝液(8
0ml)に交換すると共に、回転振盪を停止した。このリン
酸緩衝液のpHは、予め図1の横軸に示すように調整して
おいた。そして、回転振盪停止後1日目又は2日目に、
リン酸緩衝液をすべて抜き取り、これをNaOHでpH8に調
整し、452mm における吸光度(E:1cm, 1%=287)を
測定した。この吸光度から、毛状根細胞外へと分泌され
たアカネ色素の量を算出した。この結果を図1に示す。
【0023】図1から解るように、リン酸緩衝液のpHを
7.0 〜9.0 とするとアカネ色素の分泌量が多く、特に7.
5 〜8.0 付近が最も分泌量が多いことが解る。リン酸緩
衝液の代わりにホウ酸緩衝液を用いた場合も、これと同
様の結果が得られた。なお、培養操作時におけるMS培地
中の溶存酸素濃度は約8ppm であり、そのpHは 5.2であ
った。抽出操作時におけるリン酸緩衝液中の溶存酸素濃
度は 0.5 ppmであった。次に、上記の実験例において、
リン酸緩衝液のpHを特に6.9, 7.5に調整することとし
た。他は上記と同様にして、回転振盪後の経過時間とア
カネ色素の細胞外分泌量との関係を測定した。この分泌
量の測定は、回転振盪の停止から0.5, 1,1.5, 2日目に
実施した。この結果を図2に示す。
【0024】図2から解るように、リン酸緩衝液のpHを
6.9 で維持すると、時間が経過しても、アカネ色素の分
泌量はあまり増えない。これとは異なり、pHを7.5 で維
持すると、アカネ色素の分泌量はほぼ直線的に増加する
ことが解った。次に、上記したようにしてアカネ色素を
分泌させた後の各毛状根を再び集め、毛状根の先の方を
シャーレに移し、残りを、上記したようなMS培地80ml中
に再び入れて、MS培地中における増殖能を調べた。この
結果を下記表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】ただし、表1中の各数値は、増殖を開始し
て15時間経過した後の、毛状根細胞の増殖量を示す(単
位:mg/l) 。
【0027】表1に示す結果から解るように、リン酸緩
衝液のpHを6.9 に維持したときは、抽出操作後もあまり
増殖能は変わらない。これと異なり、リン酸緩衝液のpH
を7.5 に維持するときには、振盪停止時間が1日以上に
なると、増殖能に影響することが判明した。更に、pHが
9.0 を越えると、振盪停止時間が0.5 日であっても、ほ
とんど増殖しなくなることも解った。
【0028】この結果を図2のグラフと合わせて考える
と、リン酸緩衝液のpHは7.5 近辺とすると特によく、振
盪停止時間が長いほどアカネ色素の分泌量は増加する。
その反面、振盪停止時間が長くなりすぎると、その後で
毛状根の増殖能が低下することが解った。この原因につ
いて考えると、リン酸緩衝液のpHを7以上とするとアカ
ネ色素の溶出は促進されるが、毛状根の生育条件からす
ると、このpHは高すぎるからであろう。西洋アカネ毛状
根の生育についての最適pHは、約5.2 である。このた
め、振盪停止時間が長くなると、pH変化の影響があるも
のと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】西洋アカネ毛状根からMS培地中へとアカネ色素
を放出させるときのpHと、アカネ色素の細胞外分泌量と
の関係を示すグラフである。
【図2】MS培地の回転振盪を停止した時間と、アカネ色
素の細胞外分泌量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 紀ノ岡 正博 大阪府箕面市牧落5丁目17番17号 (72)発明者 峯 浩二 兵庫県尼崎市三反田町2丁目1番40号 (72)発明者 小竹 欣之輔 大阪府豊中市走井1丁目18−6 (72)発明者 市 隆人 兵庫県川西市東畦野字長尾4番176号 審査官 新見 浩一 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 1/00 C12N 5/00 C12P 7/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アグロバクテリウム・リゾジェネスが保
    持するRiプラスミドによって西洋アカネ植物体を形質転
    換し、この形質転換によって生じた毛状根を液体培地中
    で培養し、次いで毛状根が入った液体培地中の溶存酸素
    濃度を低下させると共にこの液体培地のpHを7.0 〜9.0
    に調整することにより前記毛状根から液体培地中へとア
    カネ色素を放出させる、毛状根を用いたアカネ色素の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記毛状根を液体培地中で培養する際の
    液体培地のpHを4.0〜7.0 に調整する、請求項1記載
    の、毛状根を用いたアカネ色素の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記毛状根から液体培地中へと前記アカ
    ネ色素を放出させる際の液体培地中の溶存酸素濃度を3
    ppm 以下とする、請求項1記載の、毛状根を用いたアカ
    ネ色素の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記毛状根を液体培地中で培養する際
    に、炭素源としてフルクトースを用いる、請求項1記載
    の、毛状根を用いたアカネ色素の製造方法。
  5. 【請求項5】 形質転換によって生じた前記毛状根を液
    体培地中で培養する培養操作と、前記毛状根から液体培
    地中へと前記アカネ色素を放出させる抽出操作とを交互
    に繰り返す、請求項1記載の、毛状根を用いたアカネ色
    素の製造方法。
JP3239735A 1991-09-19 1991-09-19 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法 Expired - Lifetime JP3049126B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3239735A JP3049126B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3239735A JP3049126B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05211877A JPH05211877A (ja) 1993-08-24
JP3049126B2 true JP3049126B2 (ja) 2000-06-05

Family

ID=17049154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3239735A Expired - Lifetime JP3049126B2 (ja) 1991-09-19 1991-09-19 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3049126B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05211877A (ja) 1993-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Baba et al. Cultivation of rice protoplasts and their transformation mediated by Agrobacterium spheroplasts
EP0071999B1 (en) Method for producing secondary metabolites of plants
JPH0822224B2 (ja) 植物の組織培養方法
JP3049126B2 (ja) 毛状根を用いたアカネ色素の製造方法
CN112586358A (zh) 低浓度二氧化氯高效诱导菊花一步成苗的方法
JPS6339595A (ja) アルカロイドの製造方法
Saxena et al. Development of gametophores from isolated protoplasts of the moss Anoectangium thomsvnii Mitt.
JPH06296493A (ja) タキソールの生産方法
CN101182542A (zh) 用发根农杆菌遗传转化粘毛黄芩获得产黄芩苷的毛状根的方法
JPH0484894A (ja) ルチンの製造方法
JPH012591A (ja) アルカロイドの製造方法
JPS6339596A (ja) アルカロイドの製造方法
JP2502308B2 (ja) 草本植物のプロトプラストの培養方法
JPH022382A (ja) トロパン系アルカロイドの製造方法
JPH06104062B2 (ja) 毛状根を用いた有用物質の生産方法
JPH0347072A (ja) カンゾウ根茎細胞のグリチルリチン高生産株取得方法
JPS63230093A (ja) ナフトキノン系化合物の製造方法
JPH01124383A (ja) 植物の組織培養方法
JP2609271B2 (ja) アカネ色素の収得方法
JPS5828282A (ja) ムラサキ科植物の組織培養方法
JPH0347071A (ja) カンゾン根茎細胞のグリチルリチン高生産株取得方法
JPH0648991B2 (ja) トロパン系アルカロイドの製造方法
JPS63237784A (ja) ブプレウルム属植物の根の培養方法
JPH01240194A (ja) トロパン系アルカロイドの生産方法
JPS63133996A (ja) ナフトキノン系化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000222