JP3040663B2 - 電子顕微鏡用加熱装置 - Google Patents

電子顕微鏡用加熱装置

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JP3040663B2
JP3040663B2 JP6164128A JP16412894A JP3040663B2 JP 3040663 B2 JP3040663 B2 JP 3040663B2 JP 6164128 A JP6164128 A JP 6164128A JP 16412894 A JP16412894 A JP 16412894A JP 3040663 B2 JP3040663 B2 JP 3040663B2
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智浩 齋藤
誠一 高須
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高温に加熱した試料
を電子顕微鏡で観察するための電子顕微鏡用高温加熱装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡で、高温下の試料を観察する
には、まず、電子顕微鏡内において試料の高温状態を実
現することが必要である。ここに、従来、高温加熱装置
としては、抵抗加熱法、電子ビーム法及びレーザビーム
法などの加熱法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの加熱
法には、電子顕微鏡用の加熱方法としてそれぞれ以下に
述べる問題点あった。 (1)抵抗加熱法 抵抗加熱法は、サイドエントリータイプの試料ホルダー
に電流を通じて加熱する最もシンプルな装置構成による
ものであり、1200℃から1300℃で高分解能観察
が可能である。しかし、材質的な問題からこれ以上の高
温を得ることが困難であった。
【0004】(2)電子ビーム法 電子ビーム法は、試料付近で電子ビームを発生させ、試
料ホルダーに電子ビームをあてることにより間接的に試
料を加熱する方法であり、2000℃まで加熱可能であ
る。しかし、試料回りに電子ビームを発生させるための
比較的大きな空間が必要であるため、試料まわりにスペ
ースのある超高圧電子顕微鏡にしか応用できない。ま
た、設計上の問題から低倍観察しか行えないという問題
があった。
【0005】(3)レーザビーム法 レーザービームによる加熱では、直接試料にレーザービ
ームを照射して加熱するが、図5に示すように電子顕微
鏡におけるエネルギー分散分析用などのために鏡筒に開
けてある窓Wを利用して、光源31から光伝達管32、
集光レンズ34等からなる光学系を用い斜め上方からレ
ーザビームを誘導して、試料Sまわりのポールピース内
の狭い空間を利用してビームを通さなければならない。
さらに、微小な試料S上を指向して集光させることか
ら、狭い鏡筒M内での遠隔操作によるビームの軸合わせ
が非常に困難であり、安定した加熱及び観察はほどんど
不可能であった。
【0006】また、高温下での観察では、加熱された試
料の温度を正確に測定することも重要であり、正確な測
定により、初めて高温観察の信頼性が達成され、かつ精
度の高い温度制御が可能となる。しかし、上記した電子
顕微鏡の試料加熱方法においては、試料温度を正確かつ
直接的に測定する方法がなかった。
【0007】そこで、本発明の一つの課題は、高温下で
の高分解能電子顕微鏡観察を容易にかつ確実に行うこと
ができる加熱装置を実現することである。また、他の一
つの課題は、高分解能電子顕微鏡観察下において、試料
を確実に加熱するとともに、試料温度を正確に測定する
ことができる温度測定系を備えた加熱装置を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の一つの
課題は、試料ホルダーと、試料ホルダー内部を、その鏡
筒外側部分から先端側に至り貫通し、先端側で鏡筒内に
突出される、レーザービームを鏡筒内に伝送するファイ
バー光学系と、試料ホルダー上に設けられ、このファイ
バー光学系により伝送されたレーザービームを試料ホル
ダー上の試料に集光する固定光学系、とを備える、電子
顕微鏡用加熱装置及びこの電子顕微鏡用加熱装置を備え
る電子顕微鏡により解決される。
【0009】
【0010】前記レーザービームとしては、ファイバー
光学系で伝送することができ、試料の加熱に適したもの
が用いられる。かかるレーザーとして、Nd−YAGレ
ーザー(波長1.064μm)、Cr;GGGレーザー
(波長0.745μm)、Er;YLFレーザー(2.
8μm)等の固体レーザー、さらにはシアン系色素の色
素レーザー(波長0.8μm)が挙げられる。
【0011】また、前記レーザービームとしては、試料
を高温に加熱し、また温度制御を容易に行うために、高
出力を安定して出力することができるものが望ましい。
さらに、連続発振が可能であるものが好ましい。高温下
でのその場観察(動的観察)においては、安定した高温
状態や昇温状態を達成する必要があるからである。ま
た、ビームを小径に集光することができるものが好まし
い。高いパワー密度を得ることができ、微小な試料を効
果的に加熱することができるからである。
【0012】この点、Nd−YAGレーザーは、高出力
で連続発振が可能であり、ビームを微小径に集光するこ
とができるので本発明に適するレーザーであり、試料を
2000℃以上に加熱することができる。
【0013】前記ファイバー光学系とは、レーザービー
ムを伝送することができる誘電体線路をいう。ファイバ
ー光学系は、加熱手段であるレーザービームを試料近傍
まで伝送するものであり、試料ホルダーとともに、鏡筒
内に突出され、試料ホルダー上の試料近傍までその先端
が到達されている。ファイバー光学系は、試料ホルダー
と一体に取り扱うことができるようにされ、試料ホルダ
ーとともに鏡筒内に導入される。
【0014】また、ファイバー光学系は、試料ホルダー
内を貫通させることにより、試料ホルダー用のポートを
利用して容易に鏡筒内へ導入される。すなわち、試料ホ
ルダーのポート部位において、試料ホルダー内を貫通さ
れていれば、ファイバー光学系用のポートを別個に必要
としない。したがって、従来の試料ホルダーの加工のみ
で、本発明を電子顕微鏡に適用することができる。
【0015】なお、鏡筒内の真空は、電子顕微鏡外部か
ら鏡筒内に至る間のいずれかの箇所でファイバー光学系
にO−リング等を嵌めることにより、保持される。
【0016】前記試料ホルダーは、鏡筒内に突出される
先端側に試料を載置して、鏡筒内の真空を破ることなく
出し入れすることができる電子顕微鏡における試料導入
部である。特に本発明は、鏡筒の側方から水平状に導入
されるサイドエントリータイプの試料ホルダーを有する
電子顕微鏡に有効である。
【0017】前記固定光学系とは、ファイバー光学系の
先端から拡散するレーザービームを集光し、試料ホルダ
ー上の試料を指向してレーザービームを照射するものを
いい、集光手段、又は集光手段と反射手段との組み合わ
せから構成される。集光手段は、ファイバー光学系の先
端側に耐熱性の集光レンズを設置することにより達成さ
れる。例えば、片面を凸状の球面に、片面を傾斜状に形
成した集光手段により、球面でファイバー光学系からの
レーザービームを集光し、傾斜面で集光したレーザービ
ームを試料に指向させるものも用いることができる。ま
た、集光手段は、試料ホルダーに立設し、あるいはファ
イバー光学系の先端に取り付けること等により、試料ホ
ルダー上に設けて試料ホルダーと一体に取り扱うことが
できる。反射手段は、反射鏡等を用い、一旦集光したレ
ーザービームの方向を変換するのに用いられる。なお、
反射手段は、試料ホルダーに立設すること等により試料
ホルダー上に設ける。なお、これらの集光手段及び反射
手段は、必要に応じて各種材質、形状、特性を選択する
ことができる。伝送したレーザービームを所定位置の試
料又はその特定部位に照射するには、ファイバー光学
系、固定光学系のいずれか又は双方の位置調整を行うこ
とにより可能である。
【0018】このようにファイバー光学系と固定光学系
が鏡筒から真空を破ることなく出し入れされる試料ホル
ダーとともに設けられており、また、レーザービーム
は、空気中で発振可能である。したがって、電子顕微鏡
に試料ホルダーをセットする前に予め鏡筒外で軸調整を
行うことができる。すなわち、微細な照射軸調整を正確
かつ容易に行うことができ、確実に鏡筒内の試料を加熱
することができる。また、加熱実験のたびに鏡筒の真空
を破ることがないため、繰り返し観察が容易に行うこと
ができる。
【0019】さらに、レーザービームによる加熱は、非
接触で加熱することができるため、試料への不純物の影
響が少なく、清浄な状態で高温の試料を観察することが
できる。また、正確な軸調整により微小な箇所に集光す
ることが可能であるため、無駄なく有効に加熱でき、ま
た試料ホルダーの熱的膨張を排除して、確実に加熱され
た微小箇所を観察することができる。なお、これらのフ
ァイバー光学系や固定光学系は、鏡筒内における電子線
の照射軸調整等を妨げることがなく、従来とおりの観察
を行うことができる。
【0020】
【作用】この第1の発明によれば、ファイバー光学系に
よりレーザービームが試料の近傍まで伝送され、固定光
学系により試料ホルダー上の試料に集光され、非接触状
態で試料が加熱される。ファイバー光学系と固定光学系
とは、試料ホルダーとともに設けられているため、試料
まわりの大きなスペースを必要としない。ファイバー光
学系が試料ホルダー内部を鏡筒の外側部分から先端側に
至って貫通されているため、試料ホルダーの出し入れは
鏡筒内の真空を維持して行われる。、また、ファイバー
光学系を備え、かつ、固定光学系が試料ホルダー上に形
成されているため、鏡筒外で、試料ホルダー上における
レーザービームの照射軸調整を行うことができる。この
ため、この照射軸調整状態が維持された試料ホルダー
が、真空を破ることなく鏡筒内に導入される。
【0021】
【0022】
【0023】
【課題を解決するための他の手段】本発明の他の一つの
課題は、試料ホルダーと、試料ホルダー内部を、その鏡
筒外側部分から先端側に至り貫通し、先端側で鏡筒内に
突出される、レーザービームを鏡筒内に伝送するファイ
バー光学系と、試料ホルダー上に設けられ、このファイ
バー光学系により伝送されたレーザービームを試料ホル
ダー上の試料に集光する固定光学系と、レーザービーム
を照射した試料から放射される輻射エネルギーを前記固
定光学系により前記ファイバー光学系に集光し、鏡筒外
へ伝送して、この輻射エネルギーから試料温度を検出す
る温度測定系、とを備える、電子顕微鏡用加熱装置及び
この電子顕微鏡加熱装置を備えた電子顕微鏡により解決
される。
【0024】前記輻射エネルギーとは、試料がその温度
に対応して放射する熱放射エネルギーである。前記ファ
イバー光学系は、前記レーザービームを伝送する誘電体
線路であり、かつ、固定光学系により集光された輻射エ
ネルギーを伝送できる誘電体線路をいう。
【0025】前記固定光学系は、前記レーザービームを
伝送することができるとともに、試料から放射される輻
射エネルギーを集光し、ファイバー光学系に入射させる
ことができるものであり、集光手段、又は反射手段と集
光手段との組み合わせから構成される。
【0026】前記温度測定系とは、前記固定光学系と前
記ファイバー光学系の他、輻射エネルギーから温度を検
出するための分波光学系及び温度検出器とから構成さ
れ、必要あれば、分波した輻射エネルギーを温度検出器
まで伝送するファイバー光学系を備える。ここに、分波
光学系とは、鏡筒内の試料から集光・伝送された輻射エ
ネルギーのうち、温度測定に必要な波長のみを選択的に
透過するものである。また、透過した輻射エネルギーを
さらに、他のファイバー光学系で温度検出器まで伝送す
る場合には、光ファイバーで伝送可能な波長を選択的に
透過するものである。
【0027】このような分波光学系としては、波長選択
性を有するダイクロイックミラーが望ましい。ダイクロ
イックミラーは、励起光を反射し、蛍光は透過するた
め、ファイバー光学系に入射するレーザービームとファ
イバー光学系から放射される輻射エネルギーを同時に処
理して、温度測定の妨げとなるレーザービームを排除す
ることができる。
【0028】なお、この加熱装置においても、請求項1
の加熱装置と同様に電子顕微鏡外での温度測定部位と固
定光学系やファイバー光学系との位置調整は顕微鏡外で
容易に行うことができる。すなわち、加熱用のファイバ
ー光学系と固定光学系を用いることにより、常に加熱部
位と温度測定部位との対応が図られており、レーザービ
ームを照射して試料を加熱するために正確に設定された
固定光学系やファイバー光学系により、同様の正確さで
加熱部分の輻射エネルギーを顕微鏡外へ取り出して温度
を検出することができる。さらに、高精度に制御された
加熱部位からの輻射エネルギーを測定するものであるた
め、その温度測定の精度も高くなっている。
【0029】試料ホルダー内をファイバー光学系を貫通
させてなる場合には、温度測定用の特別のポートを要せ
ず、また、Nd−YAGレーザービームを用いる場合に
は、2000℃以上に加熱された試料の温度を正確に測
定することができる。
【0030】
【作用】この第2の発明によれば、加熱された試料ある
いはその加熱部位の輻射エネルギーが加熱用の固定光学
系及びファイバー光学系により取り出され、その輻射エ
ネルギーから、温度が測定される。加熱光学系と温度測
定用光学系とを兼用しているため、加熱部位と温度測定
部位とが常時対応されて確実に加熱部位の温度が測定さ
れ、また、試料まわりに広い空間を要しない。また、フ
ァイバー光学系が試料ホルダー内部を鏡筒の外側部分か
ら先端側に至って貫通されているため、試料ホルダーの
出し入れは鏡筒内の真空を維持して行われる。また、フ
ァイバー光学系を備え、かつ、固定光学系が試料ホルダ
ー上に形成されているため、鏡筒外で、試料ホルダー上
におけるレーザービームの照射軸調整を行うことがで
き、かかる照射軸調整により、同時に、温度測定系の調
整も達成される。さらに、この照射軸調整状態が維持さ
れた試料ホルダーが、真空を破ることなく鏡筒内に導入
される。
【0031】
【発明の効果】第1の発明によれば、レーザービームを
正確にかつ容易に微小な試料に照射することができるた
め、高温下での高分解能電子顕微鏡観察を容易にかつ確
実に達成することができる。また、第2の発明によれ
ば、レーザービームを正確にかつ容易に微小な試料に照
射しつつ、さらに、試料温度を正確に測定することがで
きるため、高温下での信頼性の高い高分解能電子顕微鏡
観察を達成することができる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【実施例】以下に、本発明を具現化した一実施例につ
き、図1ないし図4に基づき説明する。本実施例では、
温度測定系を備えた電子顕微鏡用加熱装置(以下、単に
加熱装置という。)1について説明する。実施例1の加
熱装置1は、加熱ユニットと鏡筒M内に導入されるホル
ダーユニット2、さらにホルダーユニット2を一部兼用
する温度測定ユニット14とから構成されている。加熱
ユニットは、レーザー電源、レーザー発振器、発振器冷
却用水冷ユニットから形成されている。
【0036】加熱ユニットのレーザー発振器としては、
Nd−YAGレーザーを用い、レーザー出力は、連続で
かつ変動させることができようになっており、任意の温
度及び昇温速度に制御できるようになっている。なお、
レーザー発振器、レーザー電源及び水冷ユニットはいず
れも図示しないが、図1()に示す光ファイバー6a
にダイクロイックミラーを介してレーザービームAを入
射可能に形成されている(図3(a)参照)
【0037】図1(a)には、電子顕微鏡の鏡筒内の試
料ホルダー周辺の概略が示され、本ホルダーユニット2
の要部が図1(b)及び(c)に示されている。ホルダ
ーユニット2は、試料ホルダー4、試料ホルダー4に一
体に設けたファイバー光学系6及び固定光学系8とから
形成されている。試料ホルダー4はサイドエントリータ
イプであり、鏡筒Mの側方に設けた所定のポートPから
鏡筒M内に導入されるようになっている。この試料ホル
ダー4内部を一部貫通してファイバー光学系6が一体に
設けられている。ファイバー光学系6は、レーザービー
ムA及び試料からの輻射エネルギーBを透過可能な光フ
ァイバー6aで形成され、試料ホルダー4の鏡筒Mの外
側部分から試料ホルダー4内部に導入され、先端側で試
料ホルダー4から突出され、鏡筒M内に露出されてい
る。
【0038】光ファイバー6aは、直径1mmのものを
1本のみ用いており、特に本実施例では、高出力・集中
加熱に適するものを用いている。光ファイバー6aは、
試料ホルダー4のポートP嵌合部位においては、試料ホ
ルダー4内を貫通させることにより、新たなポートを増
設等することなく、試料ホルダー4用のポートPによっ
て鏡筒M内に導入される。なお、試料ホルダー4内の所
定の位置でOリング等を光ファイバー6aに嵌めること
により、鏡筒M内の真空を保持するようになっている。
【0039】試料ホルダー4を貫通し、鏡筒M内に露出
された光ファイバー6aは、試料位置の極近傍にその先
端が位置されている。なお、光ファイバー6aの試料近
傍側では、試料の汚染源となりうる被覆材が除去されて
いる。
【0040】図2に示すように、この光ファイバー6a
の前方には、固定光学系8を構成する集光レンズ10と
反射鏡12が試料ホルダー4上に設けられている。集光
レンズ10は、光ファイバー6aから出射したレーザー
ビームを集光すべく、本実施例では微小な凸レンズを用
い、耐熱性のある石英製からなる。本実施例において
は、集光レンズ10と反射鏡12は、ともに試料ホルダ
ー4上に取り付けられている。
【0041】図3(a)に示すように、温度測定ユニッ
ト14は、前記ファイバー光学系6、前記固定光学系8
の他、分波光学系16、及び温度検出器18とから形成
されている。すなわち、ホルダーユニット2の固定光学
系8とファイバー光学系6は、温度測定ユニット14の
一部として兼用される。具体的には、反射鏡12と集光
レンズ10は、加熱された試料からの輻射エネルギーを
反射・集光して、光ファイバー6aに入射し、光ファイ
バー6aは、鏡筒M外へ輻射エネルギーを伝送するよう
になっている(図3(b)参照)。
【0042】さらに、図3(a)に示すように、分波光
学系16として、鏡筒M外における光ファイバー6aの
輻射エネルギーBの出射側、すなわち、レーザービーム
Aの入射側末端には、分波用フィルター16aが設けら
れている。この分波用フィルター16aは、一つの光フ
ァイバー6aを逆向きに伝送されるレーザービームAと
輻射エネルギーBとを分波するために位置されている。
3(a)に示すように、本実施例では、輻射エネルギ
ーBを透過し、レーザービームAを反射するダイクロイ
ックミラーを用い、レーザービームAを反射して光ファ
イバー6aに入射させるとともに、光ファイバー6aか
ら出射する輻射エネルギーBを透過して、温度測定用光
ファイバー17に入射できる位置に設けられている。
【0043】光ファイバー6aの分波用フィルター16
aの反対側には、分波した輻射エネルギーBを温度検出
器18まで伝送する光ファイバー17が設けられ、この
光ファイバー17を介して温度検出器18まで輻射エネ
ルギーBが伝送されるようになっている。
【0044】次に、このように形成した加熱装置1を用
いて、電子顕微鏡内で試料Sを加熱し、その場観察する
場合について説明する。まず、試料ホルダー4を鏡筒M
のポートPから外して、鏡筒Mの外に置く。レーザー電
源及びレーザー発振器等を作動させ、光ファイバー6a
でレーザービームを伝送し、集光レンズ10等により試
料ホルダー4上の試料セット位置にレーザービームAが
集光されるように、光ファイバー6aの照射軸調整を行
う。すなわち、本加熱装置1にあっては、空気中でも照
射可能なレーザービームAを用い、かつ鏡筒M外へ取り
出し可能な試料ホルダー4上で軸調整が可能である。し
たがって、操作の困難な鏡筒M内での軸調整が不要とな
り、容易に正確な軸調整が可能となり、正確な照射と温
度制御ができる。
【0045】次に、レーザーの発振を停止して試料Sを
所定位置にセットした後、試料ホルダー4を所定のポー
トPから鏡筒M内にセットする。鏡筒M内に試料ホルダ
ー4がセットされた状態にあっても、ファイバー光学系
6及び固定光学系8とは試料ホルダー4と一体であるの
で、試料ホルダー4上の試料Sと固定光学系8及びファ
イバー光学系6の相対位置関係が維持される。すなわ
ち、予め、鏡筒M外でセットされた照射軸が調整された
状態が確保されている。また、試料ホルダーは所定のポ
ートPから出し入れされるため、鏡筒M内の真空は破ら
れない。
【0046】図4に示すように、試料ホルダー4をセッ
トし、加熱しようとする試料Sあるいは試料Sの特定部
位に電子線の照射軸をセットしたならば、レーザービー
ムAを発振させて、試料Sに照射する。先に行った軸調
整により、正確にレーザービームAが試料Sあるいはそ
の特定部位に照射されるため、確実に試料Sあるいはそ
の特定部位を加熱することができ、また、昇温速度等の
温度制御も容易に正確に行うことができる。また、試料
ホルダー4を回転させた場合でも、光ファイバー6aと
固定光学系8と試料との相対位置関係が維持されるた
め、加熱中の試料Sを異なる方向から観察する場合にも
有効である。
【0047】さらに、試料以外の部分が加熱されて不純
物が発生することがなく、清浄な状態で試料を加熱し観
察することができ、試料ホルダー4の加熱による膨張に
より、電子線照射軸から試料Sがずれることもない。す
なわち、一旦設定した電子線の照射軸位置と加熱部位と
は、試料ホルダー4を変位させない限り維持される。
【0048】また、本加熱装置にあっては、試料まわり
の僅かなスペースを用いるのみであるため、加熱下にお
いても、高分解能観察が可能となっている。さらに、レ
ーザー源としてNd−YAGレーザーを用いているた
め、高出力を連続発振して、試料を2000℃以上に加
熱することができる。したがって、従来困難であった2
000℃付近の高温下での高分解能観察が可能となって
いる。
【0049】一方、加熱された試料からは、その温度に
応じた輻射エネルギーBが放射される。この輻射エネル
ギーBは、正確に位置制御された反射鏡12、集光レン
ズ10を介して、レーザービームAとは逆方向に反射、
集光される(図4参照)。そして、レーザービームAが
出射する光ファイバー6aの先端に入射され、光ファイ
バー6a内をレーザービームと逆向きに伝送され、鏡
筒M外へ到達される。
【0050】分波用フィルター16aによって、伝送さ
れた輻射エネルギーBから、試料から反射したレーザー
ビームAの波長が分離されて、温度測定用光ファイバー
17を透過可能でかつ温度測定に必要な波長のみが分波
される(図3(a)参照)。本実施例においては、波長
2.2μmの輻射エネルギーBを分波している。分波さ
れた輻射エネルギーBは、温度測定用光ファイバー17
により温度検出器18に導入され、温度が測定される。
【0051】この温度測定系にあっては、レーザービー
ムAの照射と同様に正確に制御された位置調整により、
常に、試料Sの発熱部分と精度の高い位置関係を維持し
た状態で温度が測定される。したがって、従来になく正
確に温度を測定することができるとともに、測定された
温度に基づき、より正確さ及び精度の良好な温度制御が
可能となっている。
【0052】さらに、本実施例にあっては、一つの光フ
ァイバー6aを加熱のためのレーザービームAと温度測
定のための輻射エネルギーBとを逆向きに同時に伝送す
ることにより、スペースの僅かな試料近傍において、加
熱と温度測定とを高精度に同時に行いうるため、高温下
でも正確な温度制御によって高分解能の観察が可能とな
っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例における電子顕微鏡の鏡筒内の試料ホ
ルダー近傍を示した図(a)とホルダーユニットを示し
た図(b)とホルダーユニットの先端側の拡大図(c)
である。
【図2】試料ホルダー先端側における本加熱装置の構成
を示した図である。
【図3】本加熱装置における温度測定ユニットの全体を
示した図(a)と試料からの輻射エネルギーを伝送する
状態をを示した拡大図(b)である。
【図4】本加熱装置におけるレーザービームと輻射エネ
ルギーの同時伝送状態を示す図である。
【図5】透過型電子顕微鏡における従来のレーザービー
ムによる加熱方法を示す図である。
【符号の説明】
4…試料ホルダー 6…ファイバー光学系 8…固定光学系 18…温度測定装置 S…試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 智浩 愛知県名古屋市中川区八熊二丁目4番8 号 (72)発明者 高須 誠一 滋賀県守山市水保町1417番地の21 (72)発明者 河野 智 滋賀県蒲生郡竜王町大字林945番地の4 (56)参考文献 特開 昭60−67665(JP,A) 実開 昭64−51257(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/20 H01J 37/26 H01L 21/203

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料ホルダーと、 試料ホルダー内部を、その鏡筒外側部分から先端側に至
    り貫通し、先端側で鏡筒内に突出される、 レーザービー
    ムを鏡筒内に伝送するファイバー光学系と、 試料ホルダー上に設けられ、このファイバー光学系によ
    り伝送されたレーザービームを試料ホルダー上の試料に
    集光する固定光学系、 とを備える、電子顕微鏡用加熱装置。
  2. 【請求項2】試料ホルダーと、 試料ホルダー内部を、その鏡筒外側部分から先端側に至
    り貫通し、先端側で鏡筒内に突出される、 レーザービー
    ムを鏡筒内に伝送するファイバー光学系と、 試料ホルダー上に設けられ、このファイバー光学系によ
    り伝送されたレーザービームを試料ホルダー上の試料に
    集光する固定光学系と、 レーザービームを照射した試料から放射される輻射エネ
    ルギーを前記固定光学系により前記ファイバー光学系に
    集光し、鏡筒外へ伝送して、この輻射エネルギーから試
    料温度を検出する温度測定系、 とを備える、電子顕微鏡用加熱装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の電子顕微鏡用加熱装
    置を備える、電子顕微鏡。
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