JPH1026628A - キャピラリ及びその製造方法並びにこれを用いた走査型近接場顕微鏡 - Google Patents

キャピラリ及びその製造方法並びにこれを用いた走査型近接場顕微鏡

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JPH1026628A
JPH1026628A JP8180835A JP18083596A JPH1026628A JP H1026628 A JPH1026628 A JP H1026628A JP 8180835 A JP8180835 A JP 8180835A JP 18083596 A JP18083596 A JP 18083596A JP H1026628 A JPH1026628 A JP H1026628A
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light
opening
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JP8180835A
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Inventor
Keiko Okiguchi
圭子 沖口
Hiroyuki Sugimura
博之 杉村
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走査型近接場顕微鏡のプローブ等に用いられ
るキャピラリを、その先端部の開口を精度良く所望の口
径に形成できる構造にする。 【解決手段】 本体部50Cが筒状に先端部50Bが先
細りのテーパ状に形成されたキャピラリ50において、
少なくとも、その先端部50Bの内壁50Eに、所定膜
厚の金属膜51が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャピラリに関
し、特に走査型近接場顕微鏡のプローブとして用いられ
るキャピラリに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生物学や半導体デバイス開発など
広い分野において、非接触、非破壊の高分解能顕微鏡の
重要性が高まっている。従来より使用されてきた光学顕
微鏡は、上記した非接触、非破壊という条件を満足する
点では優れている。しかし、光学顕微鏡は結像光学系を
用いるという原理上、回折限界による分解能に制限があ
る。このため光学顕微鏡は、その使用範囲が限られ、高
分解能という点ではこれに応えられなかった。
【0003】これらの問題を解決する顕微鏡として、走
査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査型トンネル顕微
鏡、走査型近接場顕微鏡等が開発された。しかし、試料
の光学的な性質を高い分解能で行なうために有効な顕微
鏡としては、走査型近接場顕微鏡が唯一の手段であるこ
とが分かった。この走査型近接場顕微鏡は、例えば、特
開昭59−121310号公報で公知となっている。以
下、この走査型近接場顕微鏡の構造を説明する。
【0004】走査型近接場顕微鏡を用いた試料の表面形
状の測定では、開口から試料の表面の近接場に光を照
射して、その透過光を顕微鏡の対物レンズで集光して測
定する方法(図2参照)、試料を透過した光が再びプ
ローブ側に戻ってきたときに、その光を近接場の開口を
通して光源側で検出する方法(図示省略)、開口から
照射された光の反射光を他の光センサ等で測定する方法
(図7)の3つの方法が一般に採られている。
【0005】以下、上記の方法を採用した、反射型の
走査型近接場顕微鏡10について説明する。走査型近接
場顕微鏡10は、図7に示すように、基台11、X−Y
ステージ12、基台11に設置された支柱13、該支柱
13から延ばされたアーム14、該アーム14の先端部
14Aに接続された垂直調整装置15、半導体レーザか
らなる光源16、該光源16の先端部分に一体的に取り
付けられたプローブ20、該プローブ20から照射され
試料19の表面にて反射した反射光を測定する光センサ
17、該光センサ17に光ファイバ18Aにて接続され
該光センサ17が検出した光を電気的信号に変換する光
検出器18等によって構成されている。
【0006】このうち基台11は図示しない除振装置に
よって外部振動を受けない構造とされ、X−Yステージ
12は駆動装置12Aによって基台11に対してX,Y
方向に各々独立に相対移動可能になっている。この走査
型近接場顕微鏡10にあっては、X−Yステージ12を
駆動装置12AによってX−Y方向に移動させること
で、プローブ20の開口20Aが試料19の上面(測定
面)を相対的に走査することになる。
【0007】斯かる構成の走査型近接場顕微鏡10で
は、試料19に対して照射される光は、その波長より短
い口径の開口20Aを通過するようになっている。そし
て、この開口20Aを通過した光を試料19の表面に照
射させつつ、X−Yステージ12をX−Y方向に移動さ
せて、試料19の測定面を走査させ、もって、試料19
の表面形状及び表面の光学的性質等を測定/検知するよ
うになっている。
【0008】このように試料19を測定する際には、そ
の開口20Aが、試料19の表面から、その口径よりも
短い距離に近接した状態で、その走査が行われる。この
ような測定手法をとることから斯かるタイプの顕微鏡は
「走査型近接場顕微鏡」と呼ばれるようになった。とこ
ろで、一般的に用いられている光学顕微鏡は、波動の理
論からその分解能が波長の1/2程度で制約されること
が知られている。従って、一般的な光学顕微鏡では、可
視光領域においては、その分解能の限界が200〜30
0nmになる。
【0009】これに対し、上記した走査型近接場顕微鏡
10では、以下のように、その分解能が高まっている。
即ち、走査型近接場顕微鏡10では、上述したように、
照射される光が、当該波長より小さい開口20Aを有す
るプローブ20に導かれ、その後、この開口20Aを介
して光が試料19に向かって照射される構成となってい
る。このような構成にすることで、光源16からプロー
ブ20を介して試料19に照射される光は、一般の光の
ように自由空間を広がっていくことはできないが、その
開口20A付近で、あたかも光が試料19にしみだすよ
うな現象を生じさせる(光電場の形成)。この光電場で
は、エバネッセント波と呼ばれる波が生じ、このエバネ
ッセント波が試料19の表面に当たったときの状態を検
知することによって、試料19の表面を高分解能にて測
定できるようになる。
【0010】このとき、上記した走査型近接場顕微鏡1
0の分解能は、図8に示すプローブ20の開口20Aの
口径Rに略等しいことが知られている。従って、走査型
近接場顕微鏡10の分解能を高めたいのであれば、開口
20Aの口径Rを小さくすることが効果的である。次
に、先端部20Bに微小な開口20Aが形成されたプロ
ーブ20の構造について、図8を用いて説明する。
【0011】プローブ20は、光源16からの光が、そ
の内部を通過する構成としなければならない。このた
め、従来の走査型近接場顕微鏡10に用いられるプロー
ブ20は、図8に示すように、その本体部20Cが透明
の結晶体(水晶)で形成され、その先端部20Bが円錐
若しくはピラミツド型の透明な結晶体にて形成されてい
る。
【0012】このような構成のプローブ20において、
所望の微小な開口20Aを形成するに当っては、予め、
上記ピラミッド型の先端部20Bを構成する結晶体の頂
点20Fに、形成する開口20Aの口径Rの1/2か、
或いは口径Rの1/2よりも更に小さい曲率半径R1の
切子面20Gを形成しておく。そして、先端部20Bの
表面20E全体に金属膜21が形成される。この金属膜
21の膜厚は、光源16からプローブ20内部に照射さ
れた光が、その外側に漏れないような十分に大きな膜厚
とされる。
【0013】そして、このように先端部20Bの表面に
形成された金属膜21と上記ピラミッド型の結晶体の頂
点20Fを除去することによって、所望の口径Rの開口
20Aが形成される。ところで、上記開口20Aの口径
Rは、先端部20Bを構成する結晶体が完全に露呈して
いる面積と、極薄く残っている金属膜21部分の面積
で、その実質的な値が決定される。これは、金属膜21
が十分に薄い所では、光源16からの光に対して十分な
遮光膜として機能しないからである。従って、上記頂点
20Fと金属膜21の除去は、高い精度が要求される。
【0014】又、プローブ20の先端部20Bを結晶体
にて形成する代わりに、先端部がテーパ状に加工された
光ファイバーを用いることも提案されている(図示省
略)。更に、結晶体にて形成された上記プローブ20の
代わりに、図9に示すように、先端部30Bを細くテー
パー状に加工した中空のガラス管(キャピラリ)を用い
てプローブ30を構成したものが、例えば、米国特許第
4917462号明細書にて知られている。この公知例
では、光源16から照射された光がプローブ30の外部
に漏れないようにするために、その表面30Dに、当該
光に対して十分な遮光膜として機能する金属膜31が形
成されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のプローブ20,30の先端部20B,30B
に、極小の開口20A,30Aを形成するには以下のよ
うな不具合があった。
【0016】先ず、結晶体にて形成されたプローブ20
の場合には、その開口20Aを精度良く加工する手法が
確立できなかった。即ち、従来より行われている開口2
0Aの形成方法は、先端部20Bの表面に金属膜21を
形成し、斯く金属膜21が形成された先端部20Bの頂
点20Fを金属膜21ごとイオンビームで物理的に切削
する方法や、先端部20Bを硝子板等に衝突させて当該
頂点20Fをその周辺の金属膜21と共に機械的に破壊
して、開口20Aを確保する方法が提案されている。
【0017】しかし、これらの手法では開口20Aの口
径Rを精度良く制御することができない。特に、走査型
近接場顕微鏡10に用いられるプローブ20は、その開
口20Aの口径を極めて小さくする必要があるが(例え
ば、0.1μm)、上記従来の方法では、斯かる大きさ
の開口20Aを精度良く形成することはできない。この
ような不具合は、先端部20Bに光ファイバーを用いた
場合にも、同様に生じる。
【0018】一方、図9に示す中空のガラス管(キャピ
ラリ)をプローブ30として用いた場合には、プローブ
30の表面30Dに金属膜31を形成する際に、以下の
ような不具合が生じる。即ち、当該プローブ30の表面
30Dに形成される金属膜31は、その一部にでもピン
ホールが生じていると、その部分で光が漏れてしまうた
め、該金属膜31の膜厚は十分に確保される。
【0019】しかして、中空のガラス管(キャピラリ)
の先端部の口径自体を精度良く形成する技術は、確立さ
れているため、プローブ30の開口30Aの口径Rを精
度良く形成することは出来る。しかしながら、プローブ
30の表面30Dに厚膜の金属膜31を形成する際に、
精度良く形成された開口30Aが、金属膜31で埋もれ
てしまう虞がある。特に、金属膜31をスパッタ法にて
形成する際には、金属膜31をプローブ30の表面に満
遍なく形成するためにその蒸着源33が、通常、プロー
ブ30の軸方向の延長線上に、これと略直交するよう
に、しかも、開口30Aの直下の位置(図9)に置かれ
るため、蒸着源33に対向する開口30A近傍にも金属
膜31が形成され、その開口30Aの口径Rを実質的に
小さくすることになる。この開口30Aへの影響は、膜
厚が厚いほど大きくなる。このように中空のガラス管
(キャピラリ)からなるプローブ30を用いた場合に
も、プローブ30の開口30Aを所望の口径Rにしつつ
当該金属膜31による遮光を完全にすることは困難であ
った。
【0020】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、第1の目的は、走査型近接場顕微鏡のプローブ等
に用いられるキャピラリの先端部の開口を、精度良く所
望の口径としつつ、完全な遮光が行われる構造のキャピ
ラリを提供することである。又、本発明の第2の目的
は、キャピラリに遮光用の金属膜を確実に形成すること
である。
【0021】又、本発明の第3の目的は、キャピラリに
遮光用の金属膜を簡易に且つ精度良く形成するキャピラ
リの製造方法を提供することである。又、本発明の第4
の目的は、プローブの開口を微細に形成することによっ
て高分析能が達成される走査型近接場顕微鏡を提供する
ことである。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、本体部が筒状に先端部が
先細りのテーパー状に形成されたキャピラリにおいて、
少なくとも上記先端部の内壁に金属膜を形成したもので
ある。
【0023】又、請求項2に記載の発明は、少なくとも
上記本体部に金属膜を形成したものである。又、請求項
3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のキャ
ピラリを製造するに当り、キャピラリを処理室に収納
し、該キャピラリの少なくとも先端部を加熱し、金属を
含む原料ガスを処理室の外部からキャピラリの内部を介
して処理室の内部に導入し、上記キャピラリの内壁で上
記原料ガスの化学反応を生じさせて、上記キャピラリの
少なくとも上記先端部の内壁に所定膜厚の金属膜を形成
したものである。
【0024】又、請求項4に記載の発明は、上記化学反
応が行われる上記処理室内の圧力を検出し、斯く検出し
た圧力が所定値以下となったときに、上記化学反応を停
止させるものである。又、請求項5に記載の発明は、上
記処理室内の圧力を検出すると共に、該処理室内の原料
ガスの分圧を検出し、斯く検出した原料ガスの分圧が所
定値以下となったときに、上記化学反応を停止させるも
のである。
【0025】又、請求項6に記載の発明は、請求項1又
は請求項2に記載のキャピラリをプローブに用いた走査
型近接場顕微鏡において、上記金属膜を構成する金属
を、照射される光の波長に基づいて選択したものであ
る。
【0026】(作用)上記請求項1の発明によれば、テ
ーパー状に加工されたキャピラリの先端部を予め大きめ
に形成しておき、一方で、膜厚を精度良く形成すること
によりその開口を、所望の口径に精度良く形成できる。
【0027】又、請求項2の発明によれば、上記内壁に
形成された金属膜と相俟って、遮光効果が高められる。
又、内壁に形成される金属膜の膜厚を小さくすることが
でき、その開口を所望の口径に精度良く形成できる。
又、請求項3の発明によれば、化学気相成長により精度
の高い膜厚の形成ができる。
【0028】又、請求項4の発明によれば、金属膜が形
成された後のキャピラリの先端部の開口の口径を監視し
ながら、当該金属膜の形成が行える。又、請求項5の発
明によれば、金属膜が形成された後のキャピラリの先端
部の開口の口径を監視する精度が向上する。
【0029】又、請求項6の発明によれば、走査型近接
場顕微鏡において、プローブの内部を通過する光が、そ
の内壁で効率良く反射される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、添付図面を参照して説明する。尚、この第1の実施
形態は、請求項1から請求項6に対応する。
【0031】先ず、走査型近接場顕微鏡40(図2)の
プローブ(キャピラリ)50の形状について説明する。
プローブ50は、中空ガラス管(例えば、パイレック
ス、石英等からなる)を加熱しながら軸方向に引っ張っ
て形成されたものである。このとき加熱温度と引張り力
を調節することにより、先端部50Bの開口50Aの口
径が、所望の口径R0に形成される。
【0032】このプローブ50の内壁50Eには、一定
値以上の膜厚(プローブ50が用いられる走査型近接場
顕微鏡40の光源46から照射される光を十分に遮光す
る厚さ)dの金属膜51が形成されている。又、金属膜
51は、光源46から照射される光が可視光領域のもの
であるときには、当該波長域で反射率が高い銀、アルミ
ニウム等にて形成され、光源46から照射される光が赤
外域のものであるときには、当該波長域で反射率が高い
金、銅等にて形成される。
【0033】図2は、上記プローブ50が用いられた透
過型の走査型近接場顕微鏡40の概略図である。走査型
近接場顕微鏡40は、光源46、プローブ(キャピラ
リ)50、ステージ42、XYZ微調整装置43、XY
Z微調整用制御装置44、集光レンズ45A,45B、
光センサ47、画像表示装置48とによって構成されて
いる(透過型の走査型近接場顕微鏡)。斯かる構造の走
査型近接場顕微鏡40では、光源46から試料49の近
接場に照射された光は、試料49の測定面を通過し、そ
の透過光が、集光レンズ45Bで集光された後、光セン
サ47によって検出される。
【0034】尚、光源46としては、例えばレーザ,ハ
ロゲンランプ,水銀ランプ等が使用される。又、ステー
ジ42は、一般にマイクロメータ等の粗調整部と印加電
圧に応答して伸縮する圧電素子等からなる微調整部(図
示省略)をX,Y,Zの3方向に備えたものが用いられ
る。このステージ42によって、プローブ50の開口5
0Aが、試料49の測定面に近接されて、その走査が行
われる。
【0035】斯かる構成の透過型の走査型近接場顕微鏡
40においては、試料49の表面における光学的性質
(透過率等)の測定が行われるが、その際には、光源4
6から照射された光が集光レンズ45Aによって、プロ
ーブ(キャピラリ)50の開ロ50Aの裏面側にて集光
される。そして、開口50Aを通過した光(消滅光)
は、試料49の表面に照射され、この状態でステージ4
2がXY方向に移動されて、開ロ40Aが相対的に試料
49上を走査する。尚、試料49側(ステージ42)を
固定して、キャピラリ(プローブ)50側を、ステージ
42に対して走査する構成としてもよい。
【0036】次に、上記金属膜51の製造方法について
説明する。金属膜51は、図3に示す化学気相成長法
(CVD法)を行なうCVD装置60によって製造され
る。CVD装置60は、同図に示すように、原料液が充
填された原料槽61、プローブ50が取り付けられる接
続部62、キャリアガス(例えば、窒素ガス、アルゴン
ガス)の発生装置(図示省略)と原料槽61とを接続す
る管路63A、上記原料槽61と上記接続部62を接続
する管路63B、金属膜51の形成が行われる真空チャ
ンバ(処理室)64、真空チャンバ64に設けられた窓
64Aからプローブ50の所望の部位(この場合にはそ
の先端部50B)に赤外線を照射する加熱用赤外線ラン
プ65、赤外線が照射された部位の温度(CVDの反応
温度とみなされる)を窓64Bを介して測定する放射温
度計66、真空チャンバ64内の気体の成分を分析する
質量分析計67とによって構成されている。
【0037】尚、真空チャンバ64には、排出口64D
を介して排気ポンプ(図示省略)が接続されており、こ
の排気ポンプの働きによって、真空チャンバ64内の圧
力が略真空に調整される。このように構成されたCVD
装置60にあっては、図3に示すように、プローブ50
が挿入口64Cに挿入された状態で、その先端部50B
に加熱用赤外線ランプ65から赤外線が照射され、該先
端部50B付近の温度が上昇する。
【0038】そして、この状態で、図示省略のキャリア
ガスの発生装置からキャリアガス(窒素ガス又はアルゴ
ンガス)を発生させると、このキャリアガスが管路63
Aを介して原料槽61内に導入される。キャリアガス
は、この原料槽61にて原料ガス(キャリアガスに原料
槽61内の物質が混入したもの)に変わり、接続部62
に送られる。
【0039】このとき真空チャンバ64側は、その内部
が図示省略の排気ポンプの働きによって略真空状態に維
持され、上記接続部62に送られた原料ガスが、プロー
ブ50の内部に導入されることになる。加熱用赤外線ラ
ンプ65によって熱せられた状態のプローブ50の先端
部50Bに原料ガスが至ると、この先端部50Bの内壁
50Eで化学反応が起こり、当該原料ガスに含まれた金
属成分の金属膜51が内壁50E1に形成される(CV
D反応)。
【0040】尚、上記プローブの内壁50Eに金の膜を
形成するのであれば、上記原料槽61に貯留される原料
として、ジメチル金アセチルアセトネートが選ばれる。
このジメチル金アセチルアセトネートを用いれば、反応
温度200℃〜230℃で、ピンホール等の生じない良
質の金膜が形成できる。一方、上記プローブ50の内壁
50Eに、銅の薄膜を形成するのであれば、上記原料槽
61に貯留される原料として、ヘキサフロロアセチルア
セトネート銅−(1,5−シクロオクタジエン)が選ば
れる。このヘキサフロロアセチルアセトネート銅−
(1,5−シクロオクタジエン)を用いれば、反応温度
120℃〜200℃で、ピンホール等の生じない良質の
銅膜が形成できる。
【0041】更に、上記プローブ50の内壁50Eに、
アルミニウムの薄膜を形成するのであれば、上記原料槽
61に貯留される原料として、ビス(イソブチル)(η
2−メチルシクロペンタジエニル)アルミニウムが選ば
れる。このビス(イソブチル)(η2−メチルシクロペ
ンタジエニル)アルミニウムを用いれば、反応温度20
0℃〜320℃で、ピンホール等の生じない良質のアル
ミニウム膜が形成できる。
【0042】このようにCVD反応によってプローブ5
0の先端部50Bに金属膜51が形成されると、開口5
0Aの口径R0が、その膜厚dに応じて小さくなる。換
言すれば、金属膜51の膜厚dを調整することで開口5
0Aを所望の口径R(=R0−2d)にすることができ
る。この場合、実際の開口50Aの口径Rは、後述のよ
うに、真空チャンバ64内の圧力を検出することによっ
て検知できる。
【0043】従って、この真空チャンバ64内の圧力を
常時監視することで、上記プローブ50の開口50Aを
検知できる。而して、この検知した開口50Aの実際の
口径Rが所望の口径になったときに、CVD装置60に
よる金属膜51の形成を止めることによって(例えば、
原料ガスの供給を停止する。)、精度良く開口50Aの
口径を制御することができる。
【0044】図4は、金属膜51が形成された開口50
Aにおける実際の口径Rと真空チャンバ64の圧力との
関係を説明するための模式図である。説明を簡単にする
ため、いま、プローブ50の先端部50Bの形状が、図
4に示すように、テーパー状の先端部50Bの長さLが
1.0μm、金属膜51が形成される前の開口50Aの
口径(ガラス管の口径)R0が1.0μmである場合を
考える。尚、上記した膜厚dは、入射光の遮光に必要な
膜厚としなければならないこと、及び、膜厚dが厚すぎ
ると金属膜51の表面の凹凸が大きくなる虞があること
からその値が限られるため、上記金属膜51が形成され
る前の開口50Aの口径R0の値も、実際には、1.0
μm〜0.5μmとされる。
【0045】このとき、プローブ50の内側(本体部5
0Cの内側)の圧力を1気圧(760torr)、図示省略
の排気ポンプの排気速度を毎秒10リットルで作動させ
ると、当該開口50A(このとき口径R0)から放出さ
れるガスによって真空チャンバ64内の圧力Pは、約5
×10-6torrになる。その後、上記した金属膜51の形
成によって先端部50Bの内壁50Eに形成された金属
膜51が徐々に厚くなって、開口50Aの実際の口径R
が0.1μm程度になると、当該開口50Aから放出さ
れるガスによる影響を受けた真空チャンバ64内の圧力
Pは、5×10-10torr程度になる。
【0046】このように、真空チャンバ64内の圧力を
検出することによって、プローブ50の開口50Aの口
径Rを検知できる。従って、CVD装置60が作動して
いるときに、この真空チャンバ64内の圧力を常時監視
し、このとき検出された圧力が、所望の口径Rに対応す
る値となったときに、CVD反応を停止させれば、その
開口50Aを所望の口径Rに精度良く形成するための所
定膜厚dの金属膜51を形成することができる。
【0047】この場合のCVD反応の停止は、例えば、
反応ガスの供給の停止によって行われる。尚、真空チャ
ンバ64内の原料ガスの分圧を、質量分析計67によっ
て検出すれば、開口50Aの口径Rを更に精度良く制御
できる。尚、金属膜51としては、プローブ50を可視
光領域の光を照射する走査型近接場顕微鏡40に用いる
場合には、当該波長域での反射率の高い、銀,アルミニ
ウム等が用いられ、赤外域での光を照射する走査型近接
場顕微鏡40に用いる場合には、当該波長領域での反射
率の高い金、銅等が用いられる。
【0048】又、上記したCVD装置60では、プロー
ブ50の先端部50Bに加熱用赤外線ランプ65からの
赤外線を当ててこの先端部50Bを熱して金属膜51を
形成する方法(所謂、熱CVD法)を用いたが、光CV
D法等の他のCVD法を用いてよい。図5及び図6は、
プローブ50の第1の変形例のプローブ(キャピラリ)
70,第2の変形例のプローブ(キャピラリ)80を各
々示す断面図である。
【0049】このうち第1の変形例のプローブ70は、
その内壁70Eに金属膜71を形成すると共に、その外
壁70Dにも金属膜72を形成したものである。このよ
うに外壁70Dにも遮光部としての金属膜72を形成す
ることによって、内壁70Eの金属膜71を比較的薄く
形成しても、外壁70Dの金属膜72の働きによって、
プローブ70の内部に照射された光が、プローブ70の
外部に漏れ出ることがなくなり、当該走査型近接場顕微
鏡40の分解能が低下することがなくなる。尚、金属膜
72は、従来と同様のスパッタ法等によって形成され
る。
【0050】一方、第2の変形例のプローブ80は、内
壁80Eに形成される金属膜81を、その先端部80B
に対応する内壁80Fにのみ形成したものである。この
場合、その外壁80Dには金属膜82が形成される。こ
のような構成によって、プローブ80の金属膜81が形
成されていない部分の遮光が、外壁80Dの金属膜82
によって行われる。
【0051】尚、プローブ80の先端部80Bにのみ金
属膜81を形成する場合には、CVD装置60の加熱用
赤外線ランプ65による赤外線の照射を先端部80Bに
集中的に行えばよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明した請求項1及び請求項2の発
明によれば、走査型近接場顕微鏡のプローブ等に用いら
れるキャピラリの先端部の開口を、精度良く所望の口径
としつつ、完全な遮光が行われる。
【0053】又、請求項3及び請求項5の発明によれ
ば、キャピラリに遮光用の金属膜を精度良く、確実に形
成できる。又、請求項6の発明によれば、プローブの開
口を微細に形成することによって走査型近接場顕微鏡の
高分析能が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のプローブ(キャピラリ)50の先
端形状を示す断面図である。
【図2】プローブ50が用いられる透過型の走査型近接
場顕微鏡40の全体構成を示すブロック図である。
【図3】CVD装置60の全体構成を示すブロック図で
ある。
【図4】開口50Aにおける実際の口径Rと真空チャン
バ64の圧力との関係を説明するための模式図である。
【図5】第1の変形例のプローブ70の断面図である。
【図6】第2の変形例のプローブ80の断面図である。
【図7】従来のプローブ20が用いられる走査型近接場
顕微鏡40の全体構成を示すブロック図である。
【図8】従来のプローブ20の先端形状を示す断面図で
ある。
【図9】従来のプローブ30の先端形状を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
50 プローブ(キャピラリ) 50A 開口 50B 先端部 50C 本体部 50E 内壁 51 金属膜 60 CVD装置 64 真空チャンバ(処理室) 67 質量分析計

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体部が筒状に先端部が先細りのテーパ
    ー状に形成されたキャピラリにおいて、 少なくとも上記先端部の内壁に金属膜が形成されている
    ことを特徴とするキャピラリ。
  2. 【請求項2】 少なくとも本体部の外壁に金属膜が形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載のキャピラ
    リ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のキャピラ
    リを製造するに当り、 キャピラリを処理室に収納し、 該キャピラリの少なくとも先端部を加熱し、 金属を含む原料ガスを処理室の外部からキャピラリの内
    部を介して処理室の内部に導入し、 上記キャピラリの内壁で上記原料ガスの化学反応を生じ
    させて、上記キャピラリの少なくとも上記先端部の内壁
    に所定膜厚の金属膜を形成することを特徴とするキャピ
    ラリの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記化学反応が行われる上記処理室内の
    圧力を検出し、 斯く検出した圧力が所定値以下となったときに、上記化
    学反応を停止させることを特徴とする請求項3に記載の
    キャピラリの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記処理室内の圧力を検出すると共に、
    該処理室内の原料ガスの分圧を検出し、 斯く検出した原料ガスの分圧が所定値以下となったとき
    に、上記化学反応を停止させることを特徴とする請求項
    3に記載のキャピラリの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は請求項2の何れかに記載の
    キャピラリをプローブに用いた走査型近接場顕微鏡にお
    いて、 上記金属膜を構成する金属が、光源から被測定面に照射
    される光の波長に基づいて選択されていることを特徴と
    する走査型近接場顕微鏡。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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