JP2010103072A - 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構 - Google Patents

電子顕微鏡試料室用ベーキング機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2010103072A
JP2010103072A JP2008292771A JP2008292771A JP2010103072A JP 2010103072 A JP2010103072 A JP 2010103072A JP 2008292771 A JP2008292771 A JP 2008292771A JP 2008292771 A JP2008292771 A JP 2008292771A JP 2010103072 A JP2010103072 A JP 2010103072A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron microscope
sample chamber
sample
baking mechanism
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008292771A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironari Miyazaki
裕也 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2008292771A priority Critical patent/JP2010103072A/ja
Publication of JP2010103072A publication Critical patent/JP2010103072A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】電子顕微鏡において、電子線を照射している試料部へ蓄積していくコンタミネーションを軽減させるためベーキングが必要になった際に、大掛かりな電顕筐体の分解やメンテナンスを必要とせず、簡単かつ安全に、試料室回りのベーキングを実施できる機構を提供する。
【解決手段】好ましい1つ目の実施形態では、試料ホルダーの試料取り付け位置近傍に配し、付帯する試料駆動装置に挿入することで、筐体内の真空領域を保持したまま、対物レンズポールピース近傍に運び入れる発光源から、2つ目の実施形態では、試料室の主筒部材に既存する多目的アクセスポートに、装着可能なポート型部材内に配した発光源から、試料室周りの真空領域に面した部材表面に照射する。熱光線は、各部材の表面にて、反射、屈折、拡散して、領域内全体へ照射されるので、前記部材の表面温度を上昇させ、付着した残留分子を、真空領域に拡散させ、真空排気装置にて排出される。
【選択図】図3

Description

本発明は、対物レンズポールピースの部材表面、および前記の対物レンズポールピースが備わる試料室の、真空領域に面する部材表面に付着した分子を焼出すことを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構に関し、特に発光源が発する光、または、遠赤外線発光による放射熱を利用し、対物レンズポールピースの部材表面、および前記対物レンズポールピースが備わる試料室の真空領域に面する部材表面に付着した残留分子の分子運動を活性化することで真空領域へ飛散させ、それを真空排気することで、前記部材表面の残留付着分子を除去し、真空の質を向上させることを特徴とする機構で、前記発光源を、前記試料室の真空領域内へ挿入するため、電子顕微鏡に付帯する試料駆動装置の試料ホルダーの試料取り付け位置近傍に配した機構を特徴とする、または、前記の発光源を電子顕微鏡試料室に設けてある多目的アクセスポートに、取り付が可能なポート部材に配した機構を特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の関する。
透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope)(以降、前記らの電子顕微鏡を、電顕と記す。)にて試料を観察する場合、観察したい任意の試料視野の位置を、電顕の筐体内部を通る電子線光軸に当てることで、そこで得られた透過電子の情報や、物理的に発生する二次的な情報を用いて観察する。
前述ついて詳述すると以下のようである。電顕に備わる試料位置を電子線に対して、3次元に駆動可能な試料位置を制御する試料駆動装置(一般的にゴニオステージと呼ばれているので、以降ゴニオステージと記す。)へ、試料ホルダーの先端部にある試料取り付け位置へ試料を装着し、ゴニオステージに組み込まれた試料ホルダー挿入部位へ試料ホルダーを挿入し、電子線光源にて発生させた電子を、電子線加速部にて加速させた電子線を、前記試料に照射することで、試料を透過する電子線の情報や、試料より発生する二次電子、反射電子、特性X線などの物理的な得られる情報を用い、観察することになる。
なお、本発明を説明するにあたり、先ず複雑に構成される電顕筐体構成を、図も用いて詳述とすると、図1のように電子線光源および電子線加速部(以降、電子銃と記す。)があり、電子銃より発した電子線を、適選に収束させるために、電子線収束レンズコイル(通称コンデンサーレンズと言い、通常2段から3段の構成を持つ。)、電子線収束補助レンズ収束レンズ、対物レンズ(通常、試料位置の上下におのおのの極を配する。)、後焦点レンズ、中間収束結像レンズ(通常2段から3段の構成を持つ。)、投影レンズ、これら数段積み上げた構成を持ち、さらに前記コイルらの内側には、電子線を制御する為、収束補整子コイル、偏向子コイル、などが備わり、さらに、各収束用コイルの発熱を冷却するための冷却水配管も備わり、さらに前記らのコイルで、発生させ磁場を電子線に要素的かつ適切に与えるための磁極に伝搬する磁場誘導部材(通称ポールピースと呼ばれているので、以降ポールピースと記す。)など、多数の電子線制御要素が組み込まれている。(今後、これら複雑に構成される電顕筐体の部材構成を、電顕筐体と記す。)
なお、図2のように、電子線を用いる電顕の電子線経路は、電子銃から蛍光スクリーンまで全て、真空にしなければならないので、一般的の電顕の場合の電子線経路長は、1〜3m程度に達し、前記電子線経路の真空領域を、電顕運用に見合った真空度に維持するために、コストも考慮した上で、適選な真空排気能力を持つ真空排気機構を備えている。(今後これら真空排気装置と記す。)
しかしながら、前途した真空排気装置には、以下の問題があった。一般的な電顕の場合、真空排気装置の能力にも由るが、真空領域の浮遊分子を完全に排気する能力はなく、さらに真空中の残留分子の一部は、電顕筐体内部の真空に面する部材との分子間引力により引き合い、前記の部材らに付着し、真空領域へ飛散しない分子も存在するので、真空中の残留分子を完全に真空領域外へ排気することは出来ない。
したがって、前述の残留分子は、電子顕微鏡の運用において、以下の問題となっている。電子線を試料へ照射する際、一部の散乱した電子線は、真空領域を区画する部材の面に当たり、前記部材に付着していた分子は、分子運動を活性化させ、徐々に前記部材より離脱し真空領域に拡散する。
さらに前述の残留分子は、照射する電子線に吸い寄せられ、電子線と供に試料に当たり、試料に付着蓄積していく現象があり、本来の試料の情報を阻害する問題が在り、一般的にコンタミネーション(以降この現象を、コンタミネーションと記す。)と称され、軽減は重要な課題である。
なおコンタミネーションを軽減するには、電顕筐体内の真空領域に面した部材表面に付着した残留分子、特に、電子線と試料が交差する近傍(以降、試料室周りと記す。)の真空領域の残留分子の軽減が最も有効な部位である。
既存技術におけるコンタミネーションを防ぐための対策として、図を用いて詳述すると、図3のように試料と電子線とが交差(1電子線光軸と2試料ホルダー軸との交点)する近傍の真空領域(7)にて、試料を取り囲む非磁性金属部材(9)を設け、前記部材を一時的に液体窒素にて冷却させることで、真空領域(7)に残留する分子を強制的に付着させるコールドトラップ手法(以降、この手法をコールドトラップと記す。)を用いて、真空領域(7)中の残留分子を一時的に削減し、その間に電顕観察を行うことで改善を図っているが、液体窒素が切れると、コールドトラップされていた分子は、一気に真空領域へ飛散してしまうので、やはり抜本的に残留分子を除去しておくべきである。
なお、一般的な真空装置では、真空領域に面した真空隔壁部材表面に、分子間引力により付着蓄積している残留分子を除去するため、前記隔壁部材の真空領域外部(大気側)にリボンヒーターやプレートヒーター等を取り付け、過熱することで、前記隔壁部材の熱伝導を利用し、真空領域に面した隔壁部材表面の温度を上げ、真空領域に面した真空隔壁部材表面に付着した残留分子の分子運動を活性化させることで、真空領域中に飛散させ、それを真空排気装置で排気する作業を行なう。このような作業を一般的に「ベーキング」や「焼き出し」と呼ばれている。(従って以降この作業をベーキングと記す。)
しかし電顕の場合には、電顕筐体の外部に発熱体を取り付けて、熱伝導を利用して真空領域に面する部材表面の温度を上げる手法は、図3で示すように、外筒(3)から、真空領域(7)までの部材は、単一の部材ではなく、精密な電顕筐体構成であるので、事実上不可能であった。
さらに電顕の場合には、図1のように、電顕筐体の構成上、電子線を制御する機能が最も重要であり、電子線制御に最適化された設計で構築された現在、電顕筐体の中に、新たにベーキング用発熱体を組み込むためには、抜本的な設計変更は無論、磁性部材やチャージアップなどによる電子線への影響にも配慮する必要があり、事実上不可能であった。
そのほか、従来のベーキング技術として、電顕筐体に有する電子線収束用コイルの発熱を冷却するための冷却水の流量を通常より若干に少なくすることで、前記コイルの通常の運用時の温度より、若干(数度)高い温度を利用して、ベーキングする手段が知られているが、大きな効果は得られなかった。
発明が解決しようとする課題
つまり、従来の技術において、図1のように複雑に構成された電顕筐体全体の温度を上げることは、各部部材の熱膨張により電顕筐体構成に微妙なズレが起こり、その影響で、電子線制御機能にズレや不具合を起こす原因となるので、ベーキングの手法として、電顕筐体全体温度を大幅に上げることは不可能であった。
なおコンタミネーション問題を軽減するためのベーキング手段において、最も問題になる真空領域は、電子線に照射される試料近傍、つまり、試料室周りの真空領域であるので、電顕の電子線経路の全てを、良好な真空に保持する必要はなく、試料室周りを重点的にベーキングするのが最も効果的だが、試料室周りの真空領域に面した部材の表面を、局所的にベーキングする技術は、これまで知られていない。
さらに近年、電子線用レンズで発生する球面収差Csをはじめ多重の収差,非点を補正する、収差補正装置(CsCorrectorと呼ばれている。)が開発され、電子顕微鏡への応用が進み、電子顕微鏡の性能は格段に向上しているが、それら収差,非点の補正を実施するためには、ある薄膜試料の1点を長時間電子線で照射し、観察し続ける必要があり、さらにコンタミネーションの軽減が重要視されている。
そこで、本発明は、電子顕微鏡の試料室周りの真空領域に面した部材表面のベーキング手法に関し、特に、対物レンズポールピースの部材表面、および前記対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、発光源からの照射される光、または、遠赤外線の放射熱を用いて加熱することで、前記部材表面に付着した残留分子を飛散させ、真空排気させることを特徴とする、コンタミネーション除去用の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構により、大幅な利便を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
上記目的を達成するために、本発明者は、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の構成について鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。
なお、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の好ましい実施形態において、同じ効果を奏す2つの実施形態を見出すに至ったので、先ず1つ目の実施形態、つぎに2つ目の実施形態の順で詳述する。
まず、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の好ましい1つ目の実施形態において、試料室周りの真空領域に面する部材表面を、発光源からの照射される放射熱を用いて加熱することで、前記部材表面に付着した分子を焼出すことを特徴とする電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
すなわち、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の1つ目の好ましい実施形態において、発光源の設置位置を、試料ホルダーの試料取り付け位置近傍に配し、対物レンズポールピースの部材表面、および当該対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、前記発光源からの照射される放射熱を用いて、加熱する機構であることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
前記において、発光源にハロゲンランプまたはセラミックヒーターを用いることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
なお試料ホルダーとは、電顕の運用において、観察したい試料を試料ホルダーに取り付け、試料ステージに挿入することで、電顕筐体内電子線経路に持ち込むが、このような部材は、一般的に試料ホルダーと呼ばれているので、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の1つ目の好ましい実施形態の試料ホルダーを用いた電子顕微鏡試料室用ベーキング機構を、後述の説明の便宜上、以降は、試料ホルダー型ベーキング機構と記す。
つぎに、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の2つ目の好ましい実施形態において、発光源の設置位置を、試料室に設けてある多目的アクセスポートに、装着可能なポート型部材内に配し、対物レンズポールピースの部材表面、および対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、前記発光源からの照射される放射熱を用いて、加熱する機構であることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
前記において、発光源にハロゲンランプまたはセラミックヒーターを用いることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
なお、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の2つ目の好ましい実施形態は、後述の説明の便宜上、以降をポート型ベーキング機構と記す。
発明の効果
本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構は、例えば、試料ホルダー型ベーキング機構の場合、試料ホルダー本体の試料取り付け位置近傍に、ハロゲンランプを装着することで、ハロゲンランプが発する放射光は、対物レンズのポールピース近傍(試料電子線が交差する最も近い真空領域。)に配置できるので、最も効率良く、前記部材に照射熱を与える、さらに前記部材にて反射された照射光や、前記部材に当たらなかった光は、試料室周りの真空領域に面する部材表面に拡散し、全体的なベーキングが可能と言う、有利な効果を奏する。
または、前記の試料ホルダー型ベーキング機構の場合、ハロゲンランプを試料ホルダーに取り付け、ポールピース近傍に挿入しているため、ランプ切れの場合、試料ホルダーと共に抜き出して、電顕筐体外で容易に交換が出来るので、電顕筐体の分解を必要としないため、メンテナンスにかかる費用や、時間を要しない有利な効果を奏する。
本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構は、例えば、ポート型ベーキング機構の場合、既存の電顕には、試料室周りの筐体部に、X線分析装置や、2次電子検出器、液体窒素冷却装置、など、取り付け可能とするためのポートが備わっているので、空きポートを活用し、前記のポートに取り付け可能な部材に、ハロゲンランプを装着することで、ハロゲンランプが発する放射光にて、対物レンズのポールピースの近傍側面に配置できポールピース部材に、照射熱を与える。さらにポールピースにて反射された照射光は、試料室周りの真空領域に面する部材表面に拡散し、全体的なベーキングが可能と言う、有利な効果を奏する。
なお、前述までの発明の効果の説明に、ハロゲンランプを例に述べたが、セラミックヒーターでも遠赤外線照射するものであれば、同等の効果を奏する。
まず、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構について説明すると以下のようである。すなわち電顕筐体の試料室は、図3のように、対物レンズポールピース(4,5)、液体窒素冷却型真空浮遊分子吸着部材(9)などの構成からなり、試料室の外筒(3)の周りから、リボンヒーターなので加熱しても、効果的に、試料室周りの真空領域(7)に面した部材を昇温させるには、非効率、かつ複雑な電顕筐体構成に歪を与えるなどの問題があり、ベーキングは不可能であり、または、試料室周りの真空領域(7)中に、ヒーターを配したとしても、真空領域は、熱絶縁であるので無意味である。
さらに、電顕性能を最も引き出せる構造を追求し電顕筐体構成(図1)に進化した現在、新たに真空領域に面したに部材の表面近傍の中に仕込み、電顕性能を維持するためには、抜本的な電顕筐体構成の変更を強いられるので、事実上不可能であった。
本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の好ましい実施形態において、試料ホルダー型ベーキング機構とポート型ベーキング機構2つの実施形態を見出すに至った。
先ず、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の好ましい1つ目の実施形態、試料ホルダー型ベーキング機構において、試料室周りの真空領域に面する部材表面を、発光源からの照射される放射熱を用いて加熱することを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構を詳述する。
すなわち、試料ホルダー型ベーキング機構において、試料ホルダー(11)の試料取り付け位置近傍にハロゲンランプを用いた発光源(14)を配し、試料駆動装置(10)の試料保持筒(13)に挿入することで、対物レンズポールピース(4,5)近傍に運び入れ、試料室周りの真空領域(7)に面した部材表面に、発光源(14)から、照射させる熱光線を照射し、前記部材の表面温度を上昇させることで、前記部材に分子間引力で吸い寄せられ付着した残留分子の分子運動を活性化させ、真空領域に拡散させて、真空排気装置(図2)で吐き出させることを特徴とする。
さらに、発光源(14)から、照射させた熱光線は、ポールピース(4,5)さらに液体窒素冷却型真空浮遊分子吸着部材(9)をはじめ、試料室周りの真空領域(7)に面した部材表面などで、反射、屈折、拡散して、部材表面全体へ照射されるので、熱光線は、更なる目的効果をもたらす重要な要素であることを特徴とする。
また、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構の2つ目の好ましい実施形態ポート型ベーキング機構において、発光源(15)を、試料室の外筒(3)から、電子線光軸(1)を向く方向に、設けてある多目的アクセスポート(一般的な電顕の場合8個あり、通称オクタゴンブロックとも呼ばれている。)に装着可能なポート型部材(16,17,20)内に配することで、前述した1つ目の好ましい実施形態の試料ホルダー型ベーキング機構と、同様の効果をもたらす。
本実施例では、試料ホルダー型ベーキング機構およびポート型ベーキング機構に組み入れる発熱体はハロゲンランプを用いているが、セラミックヒーターなど、発熱体は光線や遠赤外線を発生するもので、かつ、前記発熱体の発熱により、自己的に部材よりガス化するような材質で無いものであれば、どのような技術を用いた発熱体であっても良く、試料ホルダー型ベーキング機構およびポート型ベーキング機構に組み入れ可能な容積、かつ、安定的に装着固定が可能であれば、前記発熱体の、特に構造や形状を限定するものではない。
この例では、試料ホルダー型ベーキング機構およびポート型ベーキング機構に組み入れる発熱体はハロゲンランプをもちいているが、発熱温度は、前記発熱体に与える電流を、可変することが可能で、最適の照射熱を発生させる制御を可能とするものであれば、電流制御法、電圧制御法、および電源装置の形態や、送電(配線)の構造、形状を特に限定するものではない。
本発明において、試料ホルダー型ベーキング機構およびポート型ベーキング機構に用いる部材は、非磁性であり、部材よるガス分子を発しないもので、機械的な強度を確保できれば、特に材質は限定されない。
本発明において、試料ホルダー型ベーキング機構およびポート型ベーキング機構に用いる各々の発熱体は、1個で詳述したが、複数個取り付けても、同等の機能を果たすので、発熱体の点数を限定されることを意図するものではない。
なお、2つ目の好ましい実施形態ポート型ベーキング機構において、発光源(15)自体がチャージアップ電位を帯びた場合、電顕運用中に、電子線光軸(1)へ前記チャージアップ電位の影響が及ぼさないように配慮する必要である。
つまり、本発明の2つ目の好ましい実施形態ポート型ベーキング機構において、発光源(15)と電子線光軸(1)の間に、開閉できる導電性および非磁性の蓋(18)をポート部材(16)内に配し、電顕筐体の外から回すことが可能な発光源保持筒(17)と、ポート部材(16)とにおきる位置位相差を用いて、真空領域にある蓋(18)の軸の片端面に配したギアー(19)を回すことで、蓋(18)を任意に開閉させ、電顕運用の際には、蓋(18)を閉じることで、電子線光軸(1)へ前記チャージアップ電位の影響を遮断できるので、常時、電顕に装着したままで、電顕運用が可能であることを特徴とする。
なお、本発明の2つ目の好ましい実施形態ポート型ベーキング機構において、蓋(18)を開閉する機構は、電顕筐体の外から真空領域の真空を保持したまま開閉可能な機構であれば、前途の機構を限定すりものではない。
なお、前記の2つ目の好ましい実施形態ポート型ベーキング機構において、発光源(15)自体のチャージアップ電位の影響が電子線光軸(1)へ影響しない構造の為に、少なくとも電子線光軸(1)側に向く面に導電コーティング処理されたガラスフィルター板を備えることで、同様の効果が得られるので、前記チャージアップ電位の影響が及ぼさないように配慮した形態であれば、蓋(18)の有無を限定するものではない。
なお、実施形態ポート型ベーキング機構において、開閉できる導電性の蓋(18)は、ポート型部材(16)内に配しているが、電子線光軸(1)へ前記チャージアップ電位の影響が及ぼさないように配慮した形態なら、分離し配置しても同様な効果をもたらすので、一体構造に限定するものではない。
なお、図面を用いて本発明の一例を挙げ、詳細に説明してきたが、引用した図面の形状に限定して解釈されることを意図するものではない。
近年、電子線の収束制御技術は目覚しく、球面収差補正装置が開発され、電子顕微鏡への応用が進み、電子顕微鏡の性能は格段に向上しているが、それら収差,非点の補正を実施するためには、調整に適した標準調整試料の同一部位に電子線を長時間照射し続けて補正を実施しなければならない。
また近年、電子線を用いた三次元画像解析技術(3D Tomogaphy法)が開発されたが、三次元画像解析の元になる情報は、試料の同一部位と、電子線との交差角度を微小に変えながら、連続的に数十から数百枚に及ぶ情報を取得する必要があり、電子線を試料の同一部位に長時間照射し続けて実施しなければならない。
つまり、電子線を長時間照射し続ける用途では、電顕筐体内部の真空に面する部材との分子間引力により引き合い、真空領域に飛散しない残留分子が、電子線を照射すると、散乱した電子線は、試料室真空領域に面する部材表面に当たり、前記部材に付着していた残留分子の分子運動を活性化させ、徐々に離脱し真空領域に拡散し、さらに電子線に吸い寄せられ、最終的に電子線を照射している試料蓄積していくコンタミネーション現象も照射時間と共に増大する事を意味し、更なるコンタミネーション対策をする必要が求められている。
なお、既存技術のコンタミネーションを防ぐための対策として、試料と電子線とが交差する近傍に、液体窒素に冷却された部材を設け、試料室周りの残留分子をコールドトラップさることで、残留分子を削減し、改善を図る手法があるが、液体窒素の補充を終えれば、逆に、今まで捕り溜めていた残留分子を、真空領域へ、一気に再放出してしまう事になり、抜本的な真空領域の残留分子の除去ではない。
さらに電顕の場合には、電顕筐体の構成上、電顕筐体の外部に発熱体を取り付けて、熱伝導を利用して、真空領域に面する部材表面の温度を上げる方策は、事実上不可能であった。
そこで、本発明の電子顕微鏡試料室用ベーキング機構は、たとえば、試料ホルダー本体の試料取り付け位置近傍に、ハロゲンランプを装着する機構、または試料室の多目的ポートに取り付け可能な、ポート部材の中にハロゲンランプを装着する機構、を用いることで、前記らのハロゲンランプが発する放射光は、対物レンズのポールピース(試料電子線が交差する最も近い真空の面する部材)に配置でき、前記部材に、照射熱を与える、さらにポールピースにて反射された照射光は、試料室周りの真空領域に面する部材表面に拡散するので、効率よくベーキング出来るので、試料の同一部位に電子線を長時間照射し続け観察したい際に、コンタミネーションの影響を回避させる有利な効果を奏する。
電子顕微鏡における電子線制御系を構成する概要図。 電子顕微鏡の真空排気機構の構成図 本発明の機構を組み込んだ、試料室周りを構成する部材の断面図。
符号の説明
1 電子線の経路(電子線光軸)方向
2 試料ホルダー軸(多目的ポートの取り付け軸。)方向
3 試料室の外筒(電子顕微鏡筺体の主フレームに相当する。)
4 対物レンズのポールピース(上極)
5 対物レンズのポールピース(下極)
6 対物レンズ用の磁場発生コイルを示す。
7 試料室周りの真空領域の全体を指す。
8 各電子線制御用補正子コイル(複数個配置される場所を指す。)
9 液体窒素冷却型真空浮遊分子吸着(コールドトラップ)部材
10 試料移動制御装置(ゴニオステージ)の主部材
11 試料ホルダーの主軸部
12 試料ホルダーのハンドル(ここには電球用の電極端子を備える。)
13 ゴニオステージの試料ホルダー保持筒(バルブ開閉機構は省略。)
14 試料ホルダー型ベーキング機構用 発熱源(ハロゲンランプ)
15 ポート型ベーキング機構用 発熱源(ハロゲンランプ)
16 ポート型ベーキング機構の主部材(多目的ポート取り付け部材。)
17 発熱源(15)の保持筒、及び蓋(18)の開閉ハンドル。
18 開閉する蓋(図は、閉じている状態を示す。)
19 蓋(18)の軸、及び軸を回転させる平歯車(ギアー)
20 真空保持型スルー電極端子(通称ハーメチャック端子と呼ばれる。)

Claims (6)

  1. 対物レンズポールピースの部材表面、および前記対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、発光源からの照射される放射熱を用いて加熱することで、前記部材表面に付着した分子を焼出すことを特徴とする電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
  2. 請求項1において、発光源の設置位置を、試料ホルダーの試料取り付け位置近傍に配し、対物レンズポールピースの部材表面、および前記対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、前記発光源からの照射される放射熱を用いて、前記部材表面部より加熱する機構であることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
  3. 請求項1において、発光源の設置位置を、電子顕微鏡試料室に設けてある多目的アクセスポートに、取り付けが可能なポート部材に配し、対物レンズポールピースの部材表面、および対物レンズポールピースを装着する試料室の真空領域に面する部材表面を、前記発光源からの照射される放射熱を用いて、前記部材表面部より加熱する機構であることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
  4. 請求項1、および請求項2において、発光源にハロゲンランプまたはセラミック遠赤外線ヒーターを用いることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
  5. 請求項1および、請求項3、請求項4において、多目的アクセスポートへ取り付けが可能なポート部材に配した発光源と、電子顕微鏡の電子線光軸との間に、開閉可能な導電性の蓋、または、導電コーティングされたガラスフィルターを備ることで、発光源自身のチャージアップ電位の影響を、電子顕微鏡の電子線光軸に影響させない遮断機構であることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
  6. 請求項1および、請求項3、請求項4、請求項5において、多目的アクセスポートへ取り付けが可能なポート部材に配した発光源と、電子顕微鏡の電子線光軸との間に、備えた開閉可能な導電性の蓋を、電子顕微鏡の真空外部から、遠隔的に開閉する機構を備ることを特徴とする、電子顕微鏡試料室用ベーキング機構。
JP2008292771A 2008-10-21 2008-10-21 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構 Pending JP2010103072A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008292771A JP2010103072A (ja) 2008-10-21 2008-10-21 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008292771A JP2010103072A (ja) 2008-10-21 2008-10-21 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010103072A true JP2010103072A (ja) 2010-05-06

Family

ID=42293537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008292771A Pending JP2010103072A (ja) 2008-10-21 2008-10-21 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010103072A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200106532A (ko) 2018-02-07 2020-09-14 주식회사 히타치하이테크 클리닝 장치

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0239452U (ja) * 1988-09-09 1990-03-16
JPH0273052U (ja) * 1988-11-24 1990-06-04
JPH0398244A (ja) * 1989-09-11 1991-04-23 Hitachi Ltd 電子線装置
JPH0831361A (ja) * 1994-07-15 1996-02-02 Fine Ceramics Center 電子顕微鏡用加熱装置
JP2000260378A (ja) * 1999-03-08 2000-09-22 Hitachi Ltd 電子線装置
JP2003223862A (ja) * 2002-01-29 2003-08-08 Canon Inc 電子線照射装置、及び走査型電子顕微鏡装置、x線分析装置
JP2004128338A (ja) * 2002-10-04 2004-04-22 Riipuru:Kk 電子ビーム近接露光方法
JP2008305685A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Hitachi Ltd 真空装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0239452U (ja) * 1988-09-09 1990-03-16
JPH0273052U (ja) * 1988-11-24 1990-06-04
JPH0398244A (ja) * 1989-09-11 1991-04-23 Hitachi Ltd 電子線装置
JPH0831361A (ja) * 1994-07-15 1996-02-02 Fine Ceramics Center 電子顕微鏡用加熱装置
JP2000260378A (ja) * 1999-03-08 2000-09-22 Hitachi Ltd 電子線装置
JP2003223862A (ja) * 2002-01-29 2003-08-08 Canon Inc 電子線照射装置、及び走査型電子顕微鏡装置、x線分析装置
JP2004128338A (ja) * 2002-10-04 2004-04-22 Riipuru:Kk 電子ビーム近接露光方法
JP2008305685A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Hitachi Ltd 真空装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200106532A (ko) 2018-02-07 2020-09-14 주식회사 히타치하이테크 클리닝 장치
US11244806B2 (en) 2018-02-07 2022-02-08 Hitachi High-Tech Corporation Cleaning device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10520454B2 (en) Innovative X-ray source for use in tomographic imaging
US7781743B2 (en) Charged particle beam system and method for evacuation of the system
CN102543639B (zh) 用于带电粒子束系统的环境单元
JP5699023B2 (ja) 荷電粒子線装置
US9627172B2 (en) Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
US8604429B2 (en) Electron beam device and sample holding device for electron beam device
JP5584819B2 (ja) 電子顕微鏡用ホルダー、電子顕微鏡及び試料観察方法
US8455841B2 (en) Ion microscope
WO2004064106A1 (ja) X線装置
JP2007172862A (ja) 荷電粒子線源用清浄化装置及びそれを用いた荷電粒子線装置
US10903037B2 (en) Charged particle beam device
WO2011001797A1 (ja) ガス電界電離イオン源装置およびこれを搭載した走査荷電粒子顕微鏡
KR101725139B1 (ko) 시료고정부가 연속 배열된 시료스테이지를 포함하는 전자현미경
JP2009146887A (ja) 物体を加工するシステムおよび方法
Egerton et al. The transmission electron microscope
TWI748477B (zh) 電子束裝置及電子束裝置之控制方法
JP2010103072A (ja) 電子顕微鏡試料室用ベーキング機構
WO2021074953A1 (ja) 成膜方法及び成膜装置
JP7132254B2 (ja) クリーニング装置
JP2013535105A (ja) 光学システム
EP3113208B1 (en) Electron microscope
WO2013099435A1 (ja) 電子顕微鏡および電子顕微鏡用試料保持装置
JPH04215240A (ja) 荷電粒子線装置
JP2009043741A (ja) X線装置
JP2016062751A (ja) 透過型電子顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111013

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20111013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130716