JP3040664B2 - 電子顕微鏡用試料温度測定装置 - Google Patents
電子顕微鏡用試料温度測定装置Info
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Description
温度を測定する装置に関する。
料の温度が観察において重要な意義を有する場合があ
る。かかる場合、試料の温度測定の正確性や精度が問題
となる。例えば、高温の試料を動的観察する場合の温度
測定には、以下に述べる問題点があった。
定は、試料を保持あるいは加熱する部位に導線を接触さ
せて熱電対により試料周囲の環境温度を測定することに
より間接的に試料温度を測定するものであり、試料その
ものの温度を正確に測定する方法とはいえなかった。し
たがって、熱電対温度計は、試料の保持部を加熱するこ
とにより試料を加熱する抵抗加熱法には適用できても、
電子ビームやレーザービーム等を利用する局所的な加熱
法には適用できなかった。
する方法として、試料からの輻射エネルギーを取り出し
て試料温度を検出する放射温度測定計があるが、輻射エ
ネルギーを集光・伝送する手段のための試料まわりのス
ペースが必要である。すなわち、数ミリ程度の利用空間
しかない電子顕微鏡の鏡筒内には、かかる温度測定系の
設置は困難であった。特に、各種ビームによる局所的な
加熱方法では、微小部分を加熱して観察するため、温度
測定系は、試料の加熱部分との精度の高い位置関係を維
持する温度測定計が必要となるが、鏡筒内でかかる位置
関係を達成するのは困難であった。また、かかる温度測
定系のための新たな電子顕微鏡のポートが必要となる
が、ポートの増設は構造上及び費用上困難であった。
下における試料温度を非接触でかつ正確に測定すること
が容易な温度測定装置を実現することである。
ための手段として、本発明者らは、試料から放射される
輻射エネルギーを、試料ホルダーとともに設けたファイ
バー光学系に集光し、ファイバー光学系を通じて電子顕
微鏡外へ取り出し、かかる輻射エネルギーから試料温度
を直接検出できることを見出し、以下の発明を完成し
た。すなわち、本発明の前記した課題は、試料ホルダー
と、試料ホルダー上に設けられ、鏡筒内の試料が放射す
る輻射エネルギーを集光する固定光学系と、試料ホルダ
ー内部を鏡筒内先端側から鏡筒外側部分に至り貫通し、
固定光学系により集光された輻射エネルギーを電子顕微
鏡外へ伝送するファイバー光学系、とを備える、電子顕
微鏡用試料温度測定装置及びこの電子顕微鏡用試料温度
測定装置を備える電子顕微鏡により解決される。
射エネルギーとは、物体がその温度に対応して放射する
熱放射エネルギーである。前記固定光学系とは、試料か
ら放射される輻射エネルギーを集光し、ファイバー光学
系に入射させることができるものをいう。固定光学系
は、集光手段、又は反射手段と集光手段との組み合わせ
等から構成される。また、試料からの輻射エネルギーを
効率よく集光でき、しかも、試料以外あるいは試料の加
熱部位以外の輻射エネルギーをできるだけ集光しないよ
うに形状、素材、位置、大きさ等が設定される。
に応じても、その形状、素材、大きさ、位置等が考慮さ
れる。すなわち、試料ホルダーを加熱する抵抗加熱法に
あっては、試料からの輻射エネルギーのみを集光するよ
うに、局所加熱する電子ビーム法、レーザービーム法、
イオンビーム法等の局所加熱法にあっては、加熱部分の
みからの輻射エネルギーを集光するように設けられる。
かかる位置調整は、ファイバー光学系と固定光学系を用
いて、輻射エネルギーとは逆方向にビームを伝送・集光
して、試料に照射等することにより行うことができる。
また、測定部位に応じて、固定光学系の位置調整が容易
に行いうるように、その角度や取り付け部位を調整可能
に設けたり、固定光学系を交換可能に設けることができ
る。
に取り付けたり、試料ホルダー上に設けた支柱等により
支持されることにより、試料の近傍に設けられる。集光
手段及び反射手段は、試料ホルダーと一体に設けられる
ため、試料ホルダー上の所定位置からの輻射エネルギー
を集光可能に配設されると、鏡筒内における試料ホルダ
ーの設定位置にかかわらず試料ホルダー上の所定位置の
試料の輻射エネルギーを確実に集光できる。
ルギーを伝送することができる誘電体線路をいう。ファ
イバー光学系は、試料からの輻射エネルギーを電子顕微
鏡外へ伝送するものであり、試料近傍の固定光学系によ
り集光された輻射エネルギーが入射されるように設けら
れ、電子顕微鏡外において、温度検出器に輻射エネルギ
ーを導入できるように設けられている。また、ファイバ
ー光学系は、測定部位及び取り出す輻射エネルギー量に
応じて位置調整可能に設けることもできる。
れ、他端は顕微鏡外に位置されており、試料ホルダーに
沿って一体に取り扱うことができるように設けられ、試
料ホルダーとともに鏡筒内に導入される。また、ファイ
バー光学系は、試料ホルダー内を貫通させることによ
り、試料ホルダー用のポートを利用して、新たなポート
を増設することなく容易に鏡筒内へ導入できるようにな
る。かかる場合には、鏡筒内の真空は、電子顕微鏡外部
から鏡筒内に至る間のいずれかの箇所でファイバー光学
系にO−リング等を嵌めることにより、保持される。
れた輻射エネルギーは、温度検出器に導入され、温度が
測定される。なお、温度検出器においては、輻射エネル
ギーのうち、温度測定に適する波長のみを選択的に導入
し、あるいは、測定することができる。この場合、ダイ
クロイックミラー等の適当な分波用フィルターを設ける
ことができる。この分波用フィルターとは、鏡筒内の試
料から集光・伝送された輻射エネルギーのうち、温度測
定に必要な波長のみを選択的に透過するものである。ま
た、透過した輻射エネルギーをさらに、光ファイバーで
温度検出器まで伝送する場合には、温度測定に必要であ
り、かつ光ファイバーで伝送可能な波長を選択的に透過
するものである。
先端側に試料を載置して、鏡筒内の真空を破ることなく
出し入れすることができる電子顕微鏡における試料導入
部である。特に本発明はサイドエントリータイプの試料
ホルダーを有する電子顕微鏡に有効である。
試料からの輻射エネルギーを集光し、顕微鏡外へ伝送す
ることができる。固定光学系及びファイバー光学系は、
試料からの輻射エネルギーを集光・伝送できるような位
置関係が試料ホルダー上で維持されるため、確実に試料
温度が測定される。また、試料ホルダー内をファイバー
光学系が貫通されているため、試料ホルダーのポートを
利用して輻射エネルギーを取り出すことができる。
光学系及びファイバー光学系により、狭い試料まわりに
おいても試料からの集光・伝送が可能で、高分解能観察
下での温度測定が達成される。試料からの輻射エネルギ
ーを確実に集光・伝送することにより、試料の温度を直
接かつ非接触で正確に測定することができる。また、試
料ホルダーのポートを利用して輻射エネルギーが伝送さ
れ、温度測定用の新たなポートを設けることなく容易に
温度測定が可能となっている。
系が試料ホルダー内に貫通されてなるため、試料ホルダ
ー内のスペースを有効利用して、鏡筒内の狭いスペース
が有効利用され、また、試料ホルダー用のポートを利用
して輻射エネルギーが伝送され、温度測定用の新たなポ
ートを設けることなく、容易に温度測定が可能となって
いる。
図1ないし図2に基づいて説明する。図1には、電子顕
微鏡の鏡筒Mの試料室周辺の断面図が示されている。本
実施例の温度測定装置1は、輻射エネルギー伝送系2
と、温度検出器18とから構成されている。輻射エネル
ギー伝送系2は、試料ホルダー4上に設けられた固定光
学系6、試料ホルダー4を貫通して設けられたファイバ
ー光学系12とから構成されている。試料ホルダー4
は、図1(a)に示すように、サイドエントリータイプ
であり、所定のポートPから鏡筒M内に真空を破ること
なく、出し入れ可能となっている。
端部分の試料セット位置の極近傍には、固定光学系6が
配設されている(図1(c)参照)。固定光学系6は、
試料Sから放射される輻射エネルギーBを集光するため
に設けられるものであり、本実施例においては、反射手
段8と集光手段10とから構成されている。
試料Sから放射される輻射エネルギーBの方向を変化さ
せて、集光手段10に到達させるためのものであり、反
射鏡が試料ホルダー4の先端側の所定位置に取り付けら
れてなる。集光手段10は、反射手段8により導かれた
輻射エネルギーBをファイバー光学系12に集光して入
射させるためのものであり、所定形状の凸レンズが、反
射手段8とファイバー光学系12との間の試料ホルダー
4上に取り付けられてなる。
イバー光学系12は、固定光学系6により集光された輻
射エネルギーBを顕微鏡外へ伝送するために設けられて
いる。ファイバー光学系12は、直径約1mmの1本の
光ファイバー12aから形成され、試料Sの近傍から、
顕微鏡1外までの間に設けられている。光ファイバー1
2aの鏡筒M内に位置される端部は、固定光学系6によ
り集光された輻射エネルギーBが入射される位置に設け
られ、試料ホルダー4に沿うとともに、その途中におい
て、試料ホルダー4内部を貫通して、試料ホルダー4の
顕微鏡外に位置される他端部から突出されている。
が貫通することによって、図1(a)に示すように、電
子顕微鏡1に設けた試料ホルダー4用のポートPを利用
して鏡筒Mと顕微鏡1の外部との間に光ファイバー12
aを配設することができる。したがって、特に光ファイ
バー12a用のポートを特設し、増設する必要がないも
のとなっている。なお、鏡筒M内の真空は、試料ホルダ
ー4におけるいずれかの場所で、Oリング等を光ファイ
バー12aに嵌めることにより、達成されるようになっ
ている。
ー12aの顕微鏡外部の端部側には、分波用フィルター
14が設けられている。この分波用フィルター14は、
試料温度の測定に適した波長のみを選択して透過するも
のであり、本実施例では、波長2.2μmの輻射エネル
ギーBを取り出すことができるようになっている。
別の光ファイバー16が設けられ、特定の波長の輻射エ
ネルギーBを温度検出器18に導入するようになってい
る。温度検出器18は、電子顕微鏡外に設置され、輻射
エネルギー伝送系2からの輻射エネルギーBの強度等を
測定して、試料温度を測定するようになっている。ま
た、測定された温度は、温度制御装置に伝達されて、所
定の昇温速度や冷却速度、又は一定温度維持のための温
度制御に利用されるようになっている。
熱された試料温度を測定する場合について説明する。試
料ホルダー4上の所定の位置に、試料をセットして試料
ホルダーを所定のポートPにセットして、試料室に試料
Sを導入する。
され、その温度に応じた輻射エネルギーBを放射してお
り、所定位置の試料Sからの輻射エネルギーBを受け止
めるように設定されている反射鏡8と集光レンズ10に
より、試料Sからの輻射エネルギーは、光ファイバー1
2aに入射される。こうして、輻射エネルギーBは、光
ファイバー12aにより、試料ホルダー4内を通じて電
子顕微鏡外へ取り出され、さらに、分波用フィルター1
4で分波され、所定の波長の輻射エネルギーBが、別の
光ファイバー16を介して温度検出器18に到達され
る。温度検出器18では、導入された輻射エネルギーB
の強度等に応じた試料温度が検出される。
に、試料Sからの輻射エネルギーBを反射、集光するよ
うに設定された固定光学系6により、光ファイバー12
aに入射されるため、確実に試料温度が検出されるよう
になっており、かつ、非接触で測定できるため、試料S
を清浄な状態に保つことができる。
光学系6とファイバー光学系12により、輻射エネルギ
ーBの集光、伝送が確実に行われ、試料ホルダー4を回
転、傾斜等させても、試料Sと固定光学系6及びファイ
バー光学系12の位置関係は維持され、温度測定の確実
性、正確性は維持される。
結果を加熱あるいは冷却制御系にフィードバックするこ
とにより、より精度の高い試料温度制御が可能となり、
信頼性の高い顕微鏡観察を達成することができる。ま
た、試料近傍の極狭いスペースを利用するため、高分解
能観察が可能となる。
1に加熱装置を兼ね備える構成となっている。すなわ
ち、温度測定装置21における輻射エネルギー伝送系2
2を用いて、輻射エネルギーとは逆方向に、顕微鏡外か
らレーザービームAを伝送し、試料Sに集光する構成と
するものである。
射エネルギー伝送系22と温度検出器とから構成されて
いる。輻射エネルギー伝送系22は、試料ホルダー24
に一体に設けた固定光学系26とファイバー光学系32
とから形成されている。固定光学系26は、実施例1と
同様に反射手段28と集光手段30とから構成され、試
料Sからの輻射エネルギーBを集光すべく所定位置の配
設されている。また、ファイバー光学系32も、実施例
1と同様、固定光学系26により集光された輻射エネル
ギーBを顕微鏡外へ伝送するべく、試料ホルダー24を
貫通されている。
光ファイバー32aにより構成されるが、試料Sからの
輻射エネルギーBだけでなく、後述する加熱装置40か
らのレーザービームAを伝送可能なものが選択される。
すなわち、レーザービームAによる加熱のための高出力
・集中加熱に対応できるものが選択される。
aにより伝送された輻射エネルギーBのうち特定の波長
を選択透過する分波用フィルターとして、ダイクロイッ
クミラー34が配設されている。このダイクロイックミ
ラー34は、同時にレーザービームAを反射し、レーザ
ービームAが輻射エネルギーBによる温度測定を妨害し
ないようになっている。なお、光ファイバー36及び温
度検出器38は、実施例1と同様に配設されている。
輻射エネルギー伝送系22とから構成される。加熱ユニ
ット42は、レーザー電源、レーザー発振器、発振器冷
却用水冷ユニットとから形成されている(いずれも図示
せず)。
ーザーを用い、連続出力を可能とするとともに、その出
力を調整できるようになっている。
ビームAは、反射鏡44とダイクロイックミラー34を
介してファイバー光学系32に入射されようになってい
る。
兼ねる構成とすることにより、以下の作用・効果を奏す
る。レーザービームAは、ファイバー光学系32に入射
されるとともに、光ファイバー32a内を伝送されて、
光ファイバー32aの鏡筒M側で出射される。そして、
このレーザービームAは、固定光学系26の集光手段3
0と反射手段28により試料Sに照射され、試料Sは加
熱される。
れた試料Sからの輻射エネルギーBは、実施例1と同様
に固定光学系26とファイバー光学系32を通じて温度
検出器38に伝送される。
光学系32を共有するため、レーザービームAが照射さ
れる部位(加熱部位)と輻射エネルギーBを取り込む温
度測定部位とは常時対応され、レーザービームAによる
微小箇所の加熱においても、正確に加熱部位の温度の測
定が可能となる。
効に利用して、精度の高い局所加熱と正確な温度測定を
同時に可能とし、高温加熱時における高分解能顕微鏡観
察を容易に達成できる。
装置にフィードバックすることにより、精度の高い加熱
制御が可能となる。なお、本実施例では、レーザー源と
してNd−YAGレーザーを用いているため、試料Sを
2000℃以上の高温に加熱可能である。
ルダー近傍を示した図(a)と試料ホルダーを示した図
(b)と試料ホルダーの先端側の拡大図(c)である。
試料からの輻射エネルギーの取り込み状態を示した図
(b)である。
した図(a)と試料へのレーザービームの照射と試料か
らの輻射エネルギーの取り込みを示した図(b)であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】試料ホルダーと、 試料ホルダー上に設けられ、鏡筒内の試料が放射する輻
射エネルギーを集光する固定光学系と、試料ホルダー内部を鏡筒内先端側から鏡筒外側部分に至
り貫通し、 固定光学系により集光された輻射エネルギー
を電子顕微鏡外へ伝送するファイバー光学系、とを備え
る、電子顕微鏡用試料温度測定装置。 - 【請求項2】請求項1記載の電子顕微鏡用試料温度測定
装置を備える、電子顕微鏡。
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JP6164129A JP3040664B2 (ja) | 1994-07-15 | 1994-07-15 | 電子顕微鏡用試料温度測定装置 |
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JP6164129A Expired - Fee Related JP3040664B2 (ja) | 1994-07-15 | 1994-07-15 | 電子顕微鏡用試料温度測定装置 |
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CN108375598B (zh) * | 2018-01-17 | 2022-04-15 | 华东理工大学 | 一种电子显微镜用新型光纤耦合原位液体样品系统及使用方法 |
-
1994
- 1994-07-15 JP JP6164129A patent/JP3040664B2/ja not_active Expired - Fee Related
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