JP3039871B2 - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JP3039871B2
JP3039871B2 JP2193080A JP19308090A JP3039871B2 JP 3039871 B2 JP3039871 B2 JP 3039871B2 JP 2193080 A JP2193080 A JP 2193080A JP 19308090 A JP19308090 A JP 19308090A JP 3039871 B2 JP3039871 B2 JP 3039871B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱転写シートに関し、更に詳しくはサーマル
ヘッドの長期使用寿命、帯電防止性及び秘密漏洩防止性
に優れ、且つ優れたマット調印字を与える熱転写シート
に関する。
(従来の技術及びその問題点) 従来、コンピューターやワードプロセッサーの出力プ
リントを熱転写方式によって印字する場合には、基材フ
イルムの一方の面に熱溶融性インキ層を設けた熱転写シ
ートが使用されている。
この従来の熱転写シートは、基材フイルムとして厚さ
10〜20μmのコンデンサ紙やパラフィン紙の様な紙或い
は厚さ3〜20μmのポリエステルやセロファンの様なプ
ラスチックのフイルムを用い、ワックスに顔料や染料等
の着色剤を混合した熱溶融性インキ層をコーティングに
より設けて製造したものである。
以上の如き従来の熱転写シートの場合、基材フイルム
が熱可塑性樹脂フイルムである場合には、印字時にサー
マルヘッドがフイルムに融着するという問題があり、こ
れらの問題は背面に熱融着防止層を形成することによっ
て解決される。又、従来の熱転写シートはその使用時に
静電気が帯電し、熱転写シートの走行性に劣るという問
題が発生する。
この様な問題は上記熱融着防止層に導電剤としてのカ
ーボンブラックを添加することによって解決されるが、
この場合にはカーボンブラックによってサーマルヘッド
の摩耗が著しく促進されるという問題が発生する。
又、以上の如き熱転写シートで印字する場合、基材フ
イルムとして表面平滑なフイルムを用いた場合には、印
字画像の表面が平滑となる為、艶があり美麗である反
面、文字等の画像の場合には角度によっては文字が見え
にくく、目が疲れる場合が多い。
この様な問題点は、基材フイルムの表面に微小凹凸形
状を付与し、印字画像表面にこの微小凹凸形状を転写
し、印字画像表面をマット調にすることによって解決さ
れている。
上記マット層は、従来は微粒子マット剤を含む塗工液
を塗布して形成されるが、このマット層には基材フイル
ムに対する良好な接着性と、十分な耐熱性が要求される
ことから、通常は耐熱性の高い熱可塑性樹脂をバインダ
ーとして形成されている。
しかしながら、かかる耐熱性樹脂を使用した場合に
は、これらの樹脂を溶解する適当な溶剤がなく、工業的
に薄膜のマット層を形成することが困難であった。
又、上記の如き熱転写シートを用いる印字においては
機密漏洩の問題があった。即ち、印字後の熱転写シート
が廃棄される場合には、その使用済み熱転写シートの印
字部が白抜け状態になっていることから、廃棄熱転写シ
ートには印字した情報が残っている為である。
従って本発明の目的は、以上の如き従来技術の欠点を
解決し、サーマルヘッドの長期使用寿命、優れた帯電防
止性、秘密漏洩防止性を有しつつ、優れたマット調印字
を与える熱転写シートを生産性良く提供することであ
る。
(問題点を解決する為の手段) 上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、
本発明は、基材フイルムの一方の面にマット層を介して
加熱により溶融する転写インキ層を有する熱転写シート
において、該マット層がバインダーとカーボンブラック
とからなり、バインダーが分子量が10万〜20万のスチレ
ン/アクリロニトリル共重合体を含み、且つカーボンブ
ラックが該マット層の40重量%以上を占めることを特徴
とする熱転写シートである。
(作用) マット層に特定範囲の分子量を有する特定のバインダ
ーを使用し、且つ多量のカーボンブラックを包含させる
ことによって、背面層にカーボンブラックを添加するこ
となく優れた帯電防止効果が得られるので、サーマルヘ
ッドの摩耗の問題が発生しない。同時にマット層にはカ
ーボンブラックが多量に存在するので表面凹凸となり、
優れたマット調印字を与える。更に印字後の熱転写シー
トには白抜けの印字跡が発生せず、使用済熱転写シート
による秘密漏洩も同時に防止される。
(好ましい実施態様) 次に好ましい実施態様により本発明を更に詳しく説明
する。
本発明で用いる基材フイルムとしては、従来の熱転写
シートに使用されていると同じ基材フイルムがそのまま
用いることが出来ると共に、その他のものも使用するこ
とが出来、特に制限されない。
好ましい基材フイルムの具体例としては、例えば、ポ
リエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネ
ート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴ
ム、アイオノマー等のプラスチックフイルム、コンデン
サー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、又、
これらを複合した基材フイルムであってもよい。
この基材フイルムの厚さは、その強度及び熱伝導性が
適切になる様に材料に応じて適宜変更することが出来る
が、その厚さは0.5〜50μm、好ましくは3乃10μmで
ある。
本発明を主として特徴づけるマット層は、上記の基材
フイルムの一方の面に、バインダーと多量のカーボンブ
ラックとから形成される。
使用するバインダーとしては分子量が10万〜20万のス
チレン/アクリロニトリル共重合体(以下SANという)
を主体とする。SANは、スチレンとアクリロニトリルと
の共重合によって得られるものであり、例えば、セビア
ンAD、セビアンLD、セビアンNA(ダイセル化学(株)
製)等の名称で種々のグレードのものが市場から容易に
入手出来、且つ本発明でいずれも使用出来、又、常法に
従って容易に製造可能である。
特に好適なSANは、種々のグレードの中で、好ましく
は15万〜19万、アクリロニトリル含有量が20〜40モル
%、好ましくは25〜30モル%のものであり、更に示差熱
分析による軟化温度が400℃以上のものが有機溶剤に対
する溶解安定性や耐熱性の点で好ましい。
又、バインダーに十分な耐熱性及び基材フイルムに対
する密着性を付与する為にはマット層の形成時にポリイ
ソシアネートを併用することが好ましい。本発明で使用
するポリイソシアネート化合物としては、一般のポリイ
ソシアネート化合物も使用出来るが、好ましいものはポ
リイソシアネートの二量体、三量体或いはポリオール化
合物と反応させた比較的分子量の高いポリウレタンポリ
イソシアネートである。具体的には、例えば、 2,4−トリレンジイソシアネートの環状三量体、 2,6−トリレンジイソシアネートの環状三量体、 ジフェニールメタン−4,4′−ジイソシアネートの三量
体、 3モルのジフェニールメタン−4,4′−ジイソシアネー
トと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成物、 3モルの2,4−トリレンジイソシアネートと1モルのト
リメチロールプロパンとの反応生成物、 3モルの2,6−トリレンジイソシアネートと1モルのト
リメチロールプロパンとの反応生成物、 3モルの2,4−トリレンジイソシアネートと1モルのト
リメチロールエタンとの反応生成物、 3モルの2,6−トリレンジイソシアネートと1モルのト
リメチロールエタンとの反応生成物、 混合した3モルの2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネ
ートと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成
物、 2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネートの混合した環
状三量体等をフェノール或いはクレゾールでブロックし
た安定化ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらのポリイソシアネート化合物は、例えば、タケ
ネート(武田薬品製)、バーノック(大日本インキ化学
製)、コロネート(日本ポリウレタン製)、ヂュラネー
ト(旭化成工業製)、ディスモジュール(バイエル製)
等の商品名で入手して本発明で使用することが出来る。
上記のポリイソシアネート化合物は、前記バインダー
100重量部当たり0.5〜50重量部の割合で使用することが
好ましく、使用量が少なすぎると、形成されるマット層
が柔らかく、後にインキ層を塗工する場合に傷が付いた
り、又、基材フイルムとの接着性が劣り、熱転写時にイ
ンキ層と同時に転写される恐れがある。一方、多すぎる
と形成される被膜が固く可撓性が不足し、亀裂等が発生
するので好ましくない。
又、本発明で使用するカーボンブラックは、従来帯電
防止剤、導電剤、充填剤、着色剤等として使用されてい
る一般のカーボンブラックでよく、特に限定されない
が、適度のマット調印字を与える為には、カーボンブラ
ックの粒子径も重要であって、好ましい粒子径は約0.1
〜0.5μmの範囲である。これらの粒子径のカーボンブ
ラックを使用することによって、平均マット深度(凹凸
の深さ)が0.15〜2.0μmのマット層を形成することが
出来る。平均マット深度が0.15μm未満では印字画像の
艶消効果が不十分であり、一方、2μmを越える平均マ
ット深度となるとインキ層の転写性が不十分となって、
印字画像の解像性が低下するので好ましくない。以上の
如き平均マット深度とすることによって、印字画像の光
沢度を凡そ30以下の好ましいレベルとすることが出来
る。
かかるカーボンブラックはマット層中で40重量%以
上、好ましくは50〜70重量%を占める割合で使用する。
カーボンブラックの使用量が40重量%未満であると、優
れた帯電防止効果、マット調印字及び秘密漏洩防止効果
を同時に達成することが困難である。一方、70重量%を
越える使用量では、バインダーにポリイソシアネートを
併用したとしてもカーボンブラックの結着性が不足し、
印字時にマット層がインキ層とともに転写される恐れが
発生する。又、十分な秘密漏洩防止効果を得るには、イ
ンキ層転写跡の光透過率が10%以下、好ましくは5%以
下となる様なカーボンブラック濃度とする。
又、バインダー樹脂の基材フイルムに対する密着性が
不足する場合には、マッと層の形成に際して、他の接着
性樹脂を併用する方法或いはこれらの接着性樹脂により
基材フイルムに予めプライマー層を形成することが好ま
しい。
接着性樹脂としては、塩素化ポリメチルペンテン、高
分子量アクリル樹脂、環化ゴム等の公知の種々の接着性
樹脂が使用出来るが、基材フイルムがポリエステルフイ
ルムであるときには、特に線状飽和ポリエステル樹脂が
適している。特に好ましいポリエステル樹脂は、ガラス
転移点が50℃以上の非晶質線状ポリエステル樹脂であ
り、例えば、バイロン(東洋紡製)、エリテール(ユニ
チカ製)、ポリエスター(日本合成化学製)等の商品名
で種々のグレードのものが市場から入手出来、いずれも
本発明で使用することが出来る。
又、上記の接着性樹脂によりプライマー層を形成する
場合には、厚み0.05〜1.0μm程度の層を形成すること
が好ましく、薄すぎると接着性が不十分で、一方、厚す
ぎるとサーマルヘッドの感度や耐熱性の低下が生じるの
で好ましくない。
又、前記バインダー樹脂に混合して使用する場合に
は、バインダー樹脂100重量部当たり5〜200重量部の割
合で使用することが好ましく、使用量が少なすぎると接
着性が不十分で、一方、多すぎるとマット層の耐熱性の
低下が生じるので好ましくない。
本発明では前記カーボンブラックをマット剤としても
使用しているので、所謂従来公知のマット剤は使用する
必要はないが、場合によっては本発明の目的達成を妨げ
ない範囲において使用することができる。かかるマット
剤としては、それ自体は種々公知であり、例えば、シル
カ粉、シラン処理シリカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム
粉、沈降性硫酸バリウム粉、アルミナ粉、酸性白土粉、
クレー粉、炭酸マグネシウム粉、チタン酸カリウム粉、
カーボンブラック、酸化錫粉、チタンホワイト粉、合成
窒素雲母粉、シリコン粉、アクリル樹脂架橋粉、スチレ
ンアクリル樹脂架橋粉、エポキシ樹脂架橋粉、多孔質ポ
リウレタン樹脂架橋粉、メラミン樹脂架橋粉、ベンゾグ
アナミン樹脂架橋粉、尿素樹脂架橋粉、シラン処理澱
粉、アミノプラスト架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋
澱粉、燐酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉等が挙げら
れる。
又、本発明では上記の材料からマット層を形成するに
当り、熱転写時におけるマット層とインキ層との剥離性
を向上させる目的で、マット層に熱離型剤や滑剤を包含
させることが好ましい。
マット層を形成するには、上記の如き材料をアセト
ン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の適当
な溶剤中に溶解又は分散させて塗工液を調製し、この塗
工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により塗工し乾燥することによっ
て形成される。
その塗工量、即ちマット層の厚みも重要であって、本
発明では固形分基準で好ましくは0.2〜2.0g/m2の厚みで
充分な性能を有するマット層を形成することが出来る。
0.2g/m2以下では、前記の平均マット深度が得難く、マ
ット層が厚すぎると転写時の感度が低下するので好まし
くない。
本発明では更に上記マット層上に熱溶融性インキ層を
必要な材料を配合したインキから形成する。
本発明で用いられる熱溶融性インキ層形成用のインキ
は、着色剤とビヒクルとからなり、更に必要に応じて種
々の添加剤を加えたものでもよい。
この着色剤としては、有機又は無機の顔料若しくは染
料のうち、記録材料として良好な特性を有するもの、例
えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変
褪色しないものが好ましい。色相としては、シアン、マ
ゼンタ、イエロー、ブラックを形成する着色剤の外に、
他の種々の色の着色剤をも用いることが出来る。
ビヒクルとしては、ワックスを主成分とし、その他ワ
ックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロース及びゴムの誘
導体等との混合物が用いられる。
ワックスの代表例としては、マイクロクリスタリンワ
ックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等があ
る。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分
子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタ
ロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワッ
クス、ペトロラタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステ
ル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。
又、熱溶融性インキ層に良好な熱伝導性及び溶融転写性
を与える為に、熱伝導性物質を熱溶融性インキに配合す
ることが出来る。この物質としては、カーボンブラック
等の炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化スズ、二硫化
モリブデン等がある。
基材フイルム上へ直接若しくは間接的に熱溶融性イン
キ層を形成する方法としては、ホットメルトコートの
外、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビア
リバースコート、ロールコートその他多くの手段で上記
インキを塗布する方法等が挙げられる。形成されるイン
キ層の厚さは、必要な濃度と熱感度との調和がとれる様
に決定すべきであって、0.1〜30μmの範囲、好ましく
は1〜20μmの範囲である。
本発明においては上記インキ層上に更に表面層を形成
することが出来る。該表面層は、転写膜の一部をなし、
被転写紙に接する側の表面を形成して転写時に被転写紙
の印字部を目止めし、又、地汚れ防止をすると共にイン
キ層の被転写紙に対する接着性を向上させる働きを有す
る。
又、基材フイルムの背面には熱融着防止層を形成し
て、印字時のサーマルヘッドの融着防止やサーマルヘッ
ドの走行性を向上させることが出来る。この際帯電防止
性を付与する目的で、従来は熱融着防止層にカーボンブ
ラックを添加していたが、本発明ではかかるカーボンブ
ラックの添加は不要であり、従ってカーボンブラックの
存在によって生じるサーマルヘッドの摩耗の問題は発生
しない。
(実施例) 次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのな
い限り重量基準である。
実施例1 マットインキA組成物 SAN(セビアンAD、ダイセル化学製) 5.0部 ポリエステル樹脂(バイロン200、Tg=40-80℃、東洋紡
(株)製) 3.75部 カーボンブラック(平均粒径23mμ、三菱化成(株)
製) 12.0部 ポリイソシアネート(XDI) 1.0部溶剤(MEK/トルエン=1/1) 80.0部 計 100.0部 上記組成物をボールミルを使用して20時間分散処理し
て塗工液とした。
実施例2 マットインキB組成物 SAN(セビアンAD、ダイセル化学製) 5.0部 ポリエステル樹脂(バイロン200、Tg=40-80℃、東洋紡
(株)製) 4.75部 カーボンブラック(平均粒径23mμ、三菱化成(株)
製) 12.0部溶剤(MEK/トルエン=1/1) 80.0部 計 100.0部 上記組成物をボールミルを使用して20時間分散処理し
て塗工液とした。
前記実施例1〜2のマットインキ組成物をポリエステ
ルベースフイルム上に夫々乾燥時0.5g/m2の割合でバー
コータで塗工した後、後記熱溶融性インキ組成物(I)
を5g/m2の割合で塗工し、夫々本発明の熱転写シートと
した。
実施例3 ポリエステルベースフイルム上にマットインキ組成物
を塗工するに先立って、次の組成のプライマー塗料を用
意し、バーコーターで乾燥時0.3g/m2の塗膜を作った
後、この上に下記マットインキ組成物を0.5g/m2の割
合で塗工した。次いで熱溶融性インキ組成物(II)を5g
/m2の割合で塗工し、本発明の熱転写シートとした。
プライマー塗料 ポリエステル樹脂(バイロンRV 290、東洋紡製) 5.0部溶剤(MEK/トルエン=2/1) 95.0部 計 100.0部 マットインキC組成物 SAN(セビアンAD、ダイセル化学製) 7.0部 カーボン(シーストSO、43mμm、東海電極製) 12.0部 大豆レシチン(レシチン、味の素製) 0.4部 ポリイソシアネート(XDI) 0.6部溶剤(MEK/トルエン=1/1) 80.0部 計 100.0部 上記組成物をペイントシェーカーを使用して3時間分
散処理して塗工液とした。
比較例1及び2 ポリエステルベースフイルム上にマット層を設けない
で、熱溶融性インキ組成物(I)及び(II)を実施例1
と同様に夫々塗工し、比較例の熱転写シートとした。
熱溶融性インキ組成物 上記組成物をブレードニーダーを用いて100℃で6時
間混練することにより熱溶融性インキを調製した。
評価法 実施例1〜3及び比較例1及び2で得た熱転写シート
について以下の条件で印字し評価した。その結果を下記
第1表に示す。
印字条件 サーマルヘッド: 薄膜型サーマルヘッド 印加エネルギー: 0.4mJ/ドット 被転写紙 : 三菱製紙「特黄菱」 四六判/72kg 評価基準 (1)光沢度: 印字部の光沢度を日本電色工業(株)製VGS-1001DPに
より測定角75°で測定した。
(2)平均マット深度: マットインキ組成物の塗工面を表面粗さ計(小坂研究
所「SEF-10A」)により測定した。
(3)表面電気抵抗: 塗工面の表面抵抗の測定は、超絶縁抵抗計YHP4329A-1
6008Aを使用した。
帯電防止効果はプリンターの走行上表面抵抗値が109
Ω以下なら○、1010Ω以上なら問題が出易い為、×とし
た。
(4)転写時における印字音: 熱転写シートは第1図の構成になっており印字時には
マット層面と熱溶融性インキ層面との界面で離れ、熱溶
融性インキ層のみ被転写紙に印字される。
この場合、サーマルヘッドの印加熱がかかった状態で
のマット層面と熱溶融性インキ層面との親和力の程度差
で剥離性が異なってくる。剥離性の重いもの程印字時に
転写騒音が大きくなり問題となる。印字音の小さいもの
を○、印字音の大きいものを×、この中間グレード(実
用上使用可能範囲)を△とした。
(5)機密保持性: 機密保持効果は印字後のシートを観察し、熱溶融性イ
ンキ層の抜けた部分(印字部)の読み取りが容易に出来
るものを×、読み取りが困難なものを○とした。
(6)光透過率: 印字跡の光透過率をマクベスTD914で測定した。
(効果) 以上の如き本発明によれば、特定のバインダーを使用
するとともにマット層に多量のカーボンブラックを包含
させることによって、背面層にカーボンブラックを添加
することなく優れた帯電防止効果が得られるので、サー
マルヘッドの摩耗の問題が発生しない。同時にマット層
にはカーボンブラックが多量に存在するので表面凹凸と
なり、優れたマット調印字を与える。更に印字後の熱転
写シートには印字後が発生せず、使用済熱転写シートに
よる秘密漏洩も同時に防止される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フイルムの一方の面にマット層を介し
    て加熱により溶融する転写インキ層を有する熱転写シー
    トにおいて、該マット層がバインダーとカーボンブラッ
    クとからなり、バインダーが分子量が10万〜20万のスチ
    レン/アクリロニトリル共重合体を含み、且つカーボン
    ブラックが該マット層の40重量%以上を占めることを特
    徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】バインダーが線状飽和ポリエステル樹脂を
    含有する請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 【請求項3】マット層の凹凸の平均深度が0.15〜2.0μ
    mの範囲である請求項1に記載の熱転写シート。
  4. 【請求項4】基材フイルムの他の面に熱融着防止層が形
    成され、該熱融着防止層が実質的にカーボンブラックを
    含有しない請求項1に記載の熱転写シート。
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