JP3037957B2 - クリールにおける経糸送出方法及び経糸送出機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 産業上の利用分野 本発明は、チーズ等の経糸をビーム機その他の巻き取
り機（本明細書ではビーム機と称する）等にテンション
一定で同期的に巻き取るために使用するクリールにおけ
る経糸送出方法及び経糸送出機構に関するものである。

従来の技術 従来、クリールにおいては回転自在に支持されるプレ
ートの支持軸にチーズ等の紙管を嵌合して載置し、経糸
の引き出し力でチーズ等を回転させながら経糸を引き出
してビーム機に経糸に縒りを与えない様に巻き付けるロ
ーリング方式を行っていた。

ところが、特に工業資材（モノフイラメント、ガラス
繊維、炭素繊維等）の様な経糸にあっては、ビーム機で
の巻き取り始動時には、停止していたクリールのチーズ
がビーム機に同期して作動せず、ビーム機に巻き取られ
た経糸の引出しにより、クリールのチーズが回転開始す
る。

そのため、ビーム機の初期回転力により急激にテンシ
ョンが増加して、追従的にチーズ等が回転し、引張り速
度に対しチーズ等の回転速度が大きくなることによって
経糸がチーズ等に逆に巻きついたり、緩みが大きくなる
欠点を有し、而もクリールには数千本のチーズ等が載置
されているため、クリール自体に大きな荷重が加わり、
フレーム等を強固なものにする必要が生じていた。

又、工業資材中、金、銀、銅素材の様な、延性が高く
伸びて細くなり易い伸張容易性線材の経糸（本明細書で
は、伸張容易性経糸又は経糸とも称している）にあって
は、チーズ等の初期回転時に経糸に引き出し引張りの急
激増加テンションが作用し、経糸の太さが不均一となる
欠点を有していた。

発明が解決しようとする課題 本発明は、巻き取り初期時の引張りテンションによる
線径（太さ）の小径不均一化及び逆巻付け、緩み等を防
止すると共に、テンサーのテンション調整巾に加え、チ
ーズからの経糸送出によるテンション調整巾を具有させ
て総合的にテンション調整巾を大きくし種々の経糸にも
対応し、而も巻き取り始動時に発生していたクリール本
体への過負荷を無くすクリールにおける経糸送出方法及
び経糸送出機構を提供せんとするものである。

〔発明の構成〕

課題を解決するための手段 本発明は、上記従来技術に基づく、ビーム機回転初期
時の経糸の小径不均一化、逆巻付け等の欠点に鑑み、ビ
ーム機の回転に応じて、チーズを積極的に回転させて経
糸を送出して特に巻取初期時のトラブルを未然に防止す
ることを要旨とするクリールにおける経糸送出方法及び
経糸送出機構を提供して上記課題を解消せんとしたもの
である。

そして、クリールにおける経糸送出方法にあっては、
水平軸上で同期回転する複数の駆動ローラ上に、自重で
駆動ローラの上面側に接触自在なチーズを回転自在に夫
々配置し、駆動ローラの回転でチーズを回転させて経糸
を送出してビーム機に巻き取るクリールにおける経糸送
出方法であって、ビーム機の作動で引っ張られクリール
のチーズから引き出された経糸の走行経路中に経糸のテ
ンションを検出するセンサーを設け、検出されたテンシ
ョンの有無又は増減に応じて、駆動ローラの回転を制御
し、テンションを一定値に維持して経糸を送出する。

又、チーズの経糸をビーム機にローリング方式により
巻き取るクリールにおいて、該クリールからビーム機へ
の経糸走行経路中にテンションを検出するセンサーを有
し、且つ経糸にテンションを付与し得るテンサーを配設
し、ビーム機に巻き取られる経糸のテンションを検出
し、かかるテンションが所定値以上に達した時、センサ
ーからの信号によりチーズが当接する駆動ローラを回転
制御してチーズの回転を制御し経糸を送出する。

又、経糸送出機構にあっては、ビーム機に巻き取る経
糸をチーズから送出するクリールにおいて、駆動部と連
繋する駆動軸を回動自在に横架し、該駆動軸に弾性部材
を周設させた水平軸上で同期回転する複数の駆動ローラ
を固定し、該駆動ローラの上面側に当接自在、且つ回転
自在にチーズを装着し、ビーム機の作動で引っ張られチ
ーズが回転して引き出される経糸の走行経路中に経糸の
テンションを検出するセンサーを有し、センサーの信号
で駆動部を制御して、テンションが一定値を維持する様
に駆動ローラを回転制御する制御装置を設けている。

又、チーズの自重で、チーズが駆動ローラの上面側に
当接する様にし、その具体例として、駆動軸の軸心より
偏心させた下方位置に支持軸を横架し、該支持軸に下端
部を回動自在に装着する左右一対の支持腕を設け、該支
持腕上部にチーズを回動自在に装着している。

作 用 本発明にあっては、支持腕に支持されるチーズを、支
持腕を揺動させてチーズの自重により該チーズの周面を
駆動ローラに当接させ、そしてビーム機を回転させるこ
とにより、テンサーにより経糸の種類に応じたテンショ
ンが所定値以上に達した時、センサーからの信号により
駆動ローラの回転を制御して該駆動ローラに当接するチ
ーズを回転させて経糸を積極的に送出させて、必要以上
（不要）のテンションを付与せずにテンションを一定値
に維持するのである。

その結果、チーズの下流側に配置されたビーム機でチ
ーズの経糸を引き出す際に、テンションを一定値に維持
することにより、ビーム機による巻き取りとチーズにお
ける送出を同期させている。

実施例 以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明すると、 １は本発明に係るクリールの本体であり、長方枠状の
支持枠２の左右両側方に長手方向に所定間隔を設けて適
宜数の支柱３、3a…を立設し、該支柱３、3a…上に対向
して側枠４、4aを固定してフレーム５を構成している。

６は水平配置された駆動軸であり、該駆動軸６はフレ
ーム５の側枠４、4a間に回動自在に横架すると共に、フ
レーム５の長手方向に所定間隔を設けて多数本配設し、
又駆動軸６の軸方向にゴム等からなる弾性部材７を周設
させた駆動ローラ８を所定間隔を設けて固定している。

又、各駆動軸６は同期ベルト９を介してモータ等の駆
動部10と連繋し、該駆動部10の駆動により所定方向に回
転制御しており、多数の駆動ローラ８を水平軸上で同期
回転制御している。

11はクレードルであり、該クレードル11は上記駆動軸
６に対応して、該駆動軸６の軸心より偏心させた下方位
置である側枠４、4a間に回動自在に支持軸12を横架し、
該支持軸12に下端部を回動自在に装着する左右一対の支
持腕13、13aを連結部材14にて一体と成して支持軸12の
軸方向に多数個配設している。

又、上記支持腕13、13aは一方の支持腕13を支持軸12
の軸方向に横移動自在に装着すると共に、他方の支持腕
13aを固定して装着し、連結部材14により支持腕13、13a
間の間隔を調整自在と成している。

又、支持腕13、13a上部の対向位置に回動自在なる嵌
合部15、15aを設け、該嵌合部15、15aをチーズ16の紙管
（図示せず）内に嵌合させてチーズ16を回動自在に装着
し、又支持腕13aの外側部より上下一対の支持片17を固
着し、該支持片17に下方部に錘部18を有する取手部19を
固着している。

かかる構成により、支持腕13、13aの嵌合部15、15aに
装着したチーズ16は、チーズ16の自重及び支持腕13、13
aの揺動により、駆動ローラ８に対して円接触維持状態
で上下動自在と成っている。

かかる構成により、チーズ16の重量は駆動ローラ８で
支持されて、嵌合部15、15aに対するチーズ16の回転抵
抗力とならず、チーズ16の円滑な回転性が確保される。

尚、図中20、20a…は経糸Ｗの糸案内具である。

21は本体１よりビーム機22に巻き取る経糸Ｗの走行経
路中に配設するテンサーであり、該テンサー21は上下に
配設するダンサーローラー23、23aの内、少なくとも一
方（本実施例ではダンサーローラー23、23aの両方）を
経糸Ｗのテンションに応動して適宜機構にて上下動自在
と成し経糸Ｗに所定のテンションを付与し得る様にし、
かかる上下の変位量をポテンションメーター等のセンサ
ー24にて検出し、駆動部10を制御する制御装置25に上記
テンションに対応する信号を入力する様に成している。

又、本実施例におけるセンサー24はダンサーローラー
23、23aの変位量を検出するものであるが、かかる構成
には何等限定されず、例えばビーム機22に巻き取られる
糸速度をエンコーダー（図示せず）にて検出すると共
に、駆動ローラ８の回転速度をエンコーダー（図示せ
ず）にて検出し、相互の差によりテンションを演算し、
かかるテンションにて駆動部10を制御しても良い。

次に本発明に係る経糸送出方法について説明すると、 支持腕13、13aの嵌合部15、15aにチーズ16を回動自在
に装着すると共に、支持腕13、13aを揺動させてチーズ1
6の自重により該チーズ16の下面側周面を、水平軸上で
回転する駆動ローラ８の上面側周面に当接させ、しかる
後チーズ16の経糸Ｗを糸案内具20、20a…、テンサー21
を介してビーム機22へ結着する。

そして、ビーム機22を回転させて巻き取ることによ
り、クリールの下流側であるビーム機22側から順次経糸
Ｗの弛みを無くしてテンションが加わる状態とする。

ビーム機22の巻き取り継続により、テンサー21のダン
サーローラー23、23aが上下動し、テンションが経糸Ｗ
の種類に応じた所定値以上に到達した時点において、テ
ンサー21のセンサー24より送信される信号により駆動軸
６と連繋する駆動部10を駆動させることにより、駆動ロ
ーラ８の上面側に自重で当接するチーズ16は駆動ローラ
８の弾性部材７との摩擦力により回転し、経糸Ｗを積極
的に送出する。

上記のビーム機22の巻き取り始動、初期回転により、
チーズ16が回転して経糸Ｗを積極的に送出する過程にあ
っては、初期のテンション付与開始時にチーズ16が回転
するために、経糸Ｗに作用するテンションの増加が抑制
されて必要最小限の一定値に維持される。

その結果、チーズ16の下流側に配置されたビーム機22
でチーズ16の経糸Ｗを引き出す際に、テンションを一定
値に維持することにより、ビーム機22による巻き取りと
チーズ16における送出を同期させている。

又、経糸Ｗの送出個所にあっては、第３図に示す様
に、チーズ16の上方部位から送出するものに何等限定さ
れず、例えば第３図の矢印方向とは逆方向に駆動ローラ
８を回転させてチーズ16と駆動ローラ８との当接部位よ
り送出させても良く、この場合チーズ16の経糸Ｗの糸量
が少なくなって軽くなっても、常に下方へ駆動ローラ８
を変位させる方向に力が作用するため、スリップ等を防
止することが出来る。

尚、上記にあってはビーム機22への巻き取り初期時に
ついて説明したが、巻き取り中のテンションの増減につ
いても同様に対応出来るのである。

〔発明の効果〕

要するに本発明は、チーズ16の経糸Ｗをビーム機22に
ローリング方式により巻き取るクリールにおいて、水平
軸上で同期回転する駆動ローラ８に接触させたチーズ16
を回転させてビーム機22に巻き取る経糸Ｗを送出し、ク
リールからビーム機22への経糸走行経路中にテンション
を検出するセンサー24を有し、且つ経糸Ｗにテンション
を付与し得るテンサー21を配設し、ビーム機22に巻き取
られる経糸Ｗのテンションを検出し、かかるテンション
が所定値以上に達した時、センサー24からの信号により
チーズ16が当接する駆動ローラ８を回転制御してチーズ
16の回転を制御し、テンションを一定値に維持して経糸
Ｗを送出するので、チーズ16の回転は駆動ローラ８の回
転に左右されて過剰なテンション又は回転数が付与され
ないため、従来、特にビーム機22での巻き取り初期時に
発生する小径不均一化、逆巻付け、緩み等のトラブルを
未然に防止することが出来る。

その結果、ビーム機22とチーズ16の作動は同期し、且
つ、必要最小限の一定値にテンションが維持されて、経
糸Ｗに悪影響を与えることを防止することが出来る。

又、水平軸上で同期回転する駆動ローラ８に自重でチ
ーズ16を接触させたことにより、チーズ16の重量は駆動
ローラ８に作用するために、重量はチーズ16の回転抵抗
とならないと共に、駆動ローラ８に対する回転追従、同
期力に成り、チーズ16の回転性を向上し、テンション検
出後の速度調節応答性を確実にすることが出来る。

又、テンサー21によるテンション調整巾に加え、チー
ズ16から積極的に経糸Ｗを送出することによるテンショ
ン調整巾を具有させることが出来るため、総合的にテン
ション調整巾を大きくすることが出来、種々の経糸Ｗに
も対応することが出来ると共に、テンサー21を小型と成
してクリール本体１への取付を容易にし、而も巻き取り
始動時に発生していた本体１への過負荷を無くすことが
出来る。

又、駆動部10と連繋する駆動軸６を回動自在に横架
し、該駆動軸６に弾性部材７を周設させた駆動ローラ８
を固定し、一方駆動軸６の軸心より偏心させた下方位置
に支持軸12を横架し、該支持軸12に下端部を回動自在に
装着する左右一対の支持腕13、13aを設け、該支持腕1
3、13a上部にチーズ16を回動自在に装着したので、支持
腕13、13aを揺動させてチーズ16の自重により駆動ロー
ラ８に当接させ、かかる状態にてチーズ16を駆動ローラ
８により積極的に回転させて経糸Ｗを送出することが出
来、よって上記と同様なる効果を奏する等その実用的効
果甚だ大なるものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示すものにして、 第１図は本発明に係るクリールの正面図、第２図は一部
断面を含むＡ−Ａ矢視図、第３図は経糸の巻き取り状態
を示す制御システム図である。 ６駆動軸、７弾性部材、８駆動ローラ、10駆動部、12支
持軸 13、13a支持腕、16チーズ、21テンサー、22ビーム機 24センサー

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水平軸上で同期回転する複数の駆動ローラ
   上に、自重で駆動ローラの上面側に接触自在なチーズを
   回転自在に夫々配置し、駆動ローラの回転でチーズを回
   転させて経糸を送出してビーム機に巻き取るクリールに
   おける経糸送出方法であって、 ビーム機の作動で引っ張られクリールのチーズから引き
   出された経糸の走行経路中に経糸のテンションを検出す
   るセンサーを設け、検出されたテンションの有無又は増
   減に応じて、駆動ローラの回転を制御し、テンションを
   一定値に維持して経糸を送出する様にした ことを特徴とするクリールにおける経糸送出方法。
2. 【請求項２】チーズの経糸をビーム機にローリング方式
   により巻き取るクリールにおいて、該クリールからビー
   ム機への経糸走行経路中にテンションを検出するセンサ
   ーを有し、且つ経糸にテンションを付与し得るテンサー
   を配設し、ビーム機に巻き取られる経糸のテンションを
   検出し、かかるテンションが所定値以上に達した時、セ
   ンサーからの信号によりチーズが当接する駆動ローラを
   回転制御してチーズの回転を制御し経糸を送出する様に
   したことを特徴とする請求項１記載のクリールにおける
   経糸送出方法。
3. 【請求項３】ビーム機に巻き取る経糸をチーズから送出
   するクリールにおいて、 駆動部と連繋する駆動軸を回動自在に横架し、該駆動軸
   に弾性部材を周設させた水平軸上で同期回転する複数の
   駆動ローラを固定し、該駆動ローラの上面側に当接自
   在、且つ回転自在にチーズを装着し、 ビーム機の作動で引っ張られチーズが回転して引き出さ
   れる経糸の走行経路中に経糸のテンションを検出するセ
   ンサーを有し、センサーの信号で駆動部を制御して、テ
   ンションが一定値を維持する様に駆動ローラを回転制御
   する制御装置を設けたことを特徴とするクリールにおけ
   る経糸送出機構。
4. 【請求項４】チーズの自重で、チーズが駆動ローラの上
   面側に当接する様にしたことを特徴とする請求項３記載
   のクリールにおける経糸送出機構。
5. 【請求項５】駆動軸の軸心より偏心させた下方位置に支
   持軸を横架し、該支持軸に下端部を回動自在に装着する
   左右一対の支持腕を設け、該支持腕上部にチーズを回動
   自在に装着したことを特徴とする請求項４記載のクリー
   ルにおける経糸送出機構。