JPS6245769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、コイル巻出し装置に関するもので
ある。

従来、この種の装置において、例えばプレス加
工用の薄板状のコイル材を巻出すものは、第１図
に示すようにそのコイル材Ｃをマンドレルリール
１に支持し、そしてこのマンドレルリール１を直
接回転駆動させることにより、コイル材Ｃを下方
へ巻出して一旦ループ状にたるませるようになつ
ている。このコイル材Ｃは、そのループ状のたる
み分だけ蓄積され、そしてレベラーフイード２に
て矯正されてから、図中右方側の図示しないプレ
ス機に送られる。なお、コイル材Ｃのループ状の
たるみは、そのたるみ部分の上下変動によつて光
通路が断続される複数組の光学的なループ検出器
３によつて段階的に検出され、そしてその検出信
号に基づいてマンドレルリール１を直接駆動制御
することにより、常時適量の蓄積を維持しつつコ
イルＣを巻出すようになつている。図中符号４は
コイル押えを示し、また符号５は、コイル材Ｃの
セツト時に上昇してコイル材Ｃの先端をレベラー
フイード２側に送りガイドするループガイドを示
す。このループガイド５は、通常のコイル巻き出
し時においては図示するような下降位置に保持さ
れている。

そして、このようにマンドレルリール１を直接
回転駆動される装置は、コイル材Ｃのループ状の
たるみが比較的少ないとき、ループ検出器３の検
出信号に基づいてマンドレルリール１を比較的高
速回転させ、またそのたるみが比較的多いときに
ループ検出器３の検出信号に基づいてマンドレル
リール１を比較的低速回転させ、これにより、プ
レス機を含む一連のラインのスピードに追従させ
てコイル材Ｃの巻出しを行なつている。

しかしながら、コイル材Ｃのコイル外径の変化
に伴うその周速変化によつて、マンドレルリール
１の回転速度に対するコイル材Ｃの巻出し速度が
変化するため、マンドレルリール１の駆動制御が
不円滑となつて、コイル材Ｃをラインスピードに
対応させて円滑に巻出すことができなくなるおそ
れがあつた。

この考案は、上記事情を考慮してなされたもの
で、コイル材の垂下部分を挾みながらコイル材を
繰出し、そのコイル材の繰出による巻回半径の変
化に伴つて水平ガイドを移動してコイル材の垂下
位置に追従してなるピンチロールを備えることに
より、マンドレルリールを直接回転駆動させる必
要がなく、またコイル外径の変化に影響されるこ
ともなく、コイル材をラインスピードに対応させ
て円滑に巻出すことができ、しかもコイル外径の
変化に応じて、コイル材を常に理想的な位置にて
巻出すことができるコイル巻出し装置を提供する
ことを目的とする。

以下、この考案の一実施例を第２図および第３
図に基づいて説明する。なお、上記従来例のもの
と同様の部分には、同一符号を付してその説明を
省略する。

本実施例によれば、マンドレルリール１の下方
に、コイルラインに沿つて形設された水平ガイド
６が配備され、このガイド６上には、移動台７が
移動自在にガイドされている。移動台７には、コ
イル材Ｃの垂下部分を所定の力で挾む１対のピン
チロール８が回転自在に備えられ、この内一方の
図中左側のピンチロール８は、ベルトあるいはチ
エーンなどの伝達機構を介して移動台７上の変速
モータ９に連結されている。

ところで、マンドレルリール１には、それ自体
を回転駆動する駆動機構が備えられているが、し
かしこの駆動機構は、コイル材Ｃのセツト時にお
いてのみマンドレルリール１を回転させるもので
あつて、通常のコイル巻出し時においては、クラ
ツチなどによつてその駆動系が断たれているもの
である。したがつて、通常のコイル巻出し時にお
いて、マンドレルリール１は自由に回転できる状
態にある。

また、本実施例では、ループガイド５が移動台
７に支持されている。

しかして、このような構成によれば、変速モー
タ９が図中左側のピンチロール８を時計回り方向
に回転駆動すると、１対のピンチロール８はコイ
ル材Ｃを挾持したままそれを下方へ引き出す。こ
のとき、マンドレルリール１は自由に回転できる
状態にあるから、コイル材Ｃの張力によつてマン
ドレルリール１が回転し、コイル材Ｃの巻出しが
行なわれる。

このように、ピンチロール８の回転によつてコ
イル材Ｃを巻出すから、変速モータ９の速度調整
を行なうことにより、コイル巻出し速度をライン
スピードに合わせて任意に設定することができ
る。しかも、マンドレルリール１がピンチロール
８の回転によつて巻出されたコイル材Ｃに引かれ
て追従回転するから、コイル外径の変化は、コイ
ル巻出し速度に対し何ら影響を及ぼさない。

また、ピンチロール８はコイル材Ｃを繰出し、
コイル材Ｃ垂下位置を維持することにより、コイ
ル材Ｃの引出し力が常に下方に作用するようにし
たので、移動台７は、コイル外径の変化に対応し
て第３図に示すように自動的に移動する。この結
果、ピンチロール８は、常に理想的な位置、即
ち、コイル材Ｃの巻回半径が変化しても、ピンチ
ロール８が常にコイル材Ｃの垂下位置にてコイル
材Ｃの垂下部分を挾みながらこれを巻出すので、
ピンチロール８にとつて負荷の少ない理想的な給
送状態を得るとともにコイル材Ｃにとつてもピン
チロール８の挾持部で歪みが付加されることがな
く、ひいては次工程のループコントロールに対し
てもコイル材Ｃのループ状のたわみを弾性回復限
界内に収め得、コイル材に歪みが残らないように
することができる。

また、本実施例にあつては、２組のループ検出
器３が備えられており、これらはコイル材Ｃのル
ープ状のたるみが、異常過多または異常過少にあ
ることを検出し、そしてその検出信号によつて変
速モータ９を自動制御することにより、常時適量
の蓄積を維持しつつコイル材Ｃを巻出すようにな
つている。

なお、ピンチロール８を水平方向に沿つて移動
自在に支持するための構成は、何ら上記実施例に
限定されず任意である。

以上説明したように、この考案に係るコイル巻
出し装置によれば、マンドレルリールの下方に、
コイルラインに沿つて形設された水平ガイドと、
その水平ガイドに移動自在に設けられ、コイル材
の垂下部分を挾みながらコイル材を繰出し、その
コイル材の繰出しによる巻回半径の変化に伴つて
上記水平ガイド上を移動してコイル材の垂下位置
に追従してなるピンチロールとを備えた構成なの
で、マンドレルリールを直接回転駆動させる必要
がなくなり、従来の装置の如き欠点、即ちマンド
レルリールの駆動制御が円滑に行なえず、コイル
材の巻出しをラインスピードに対応することが困
難であつた点を解消し得ることはもとより、コイ
ル材の巻回半径が変化しても、ピンチロールが常
にコイル材の垂下位置にてコイル材の垂下部分を
挾みながらこれを巻出すので、ピンチロールにと
つて負荷の少ない理想的な給送状態を得るととも
にコイル材にとつてもピンチロールの挾持部で歪
みが付加されることがなく、ひいては次工程のル
ープコントロールに対してもコイル材のループ状
のたわみを弾性回復限界内に収め得、コイル材に
歪みが残らないようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のコイル巻出し装置の概略正面
図、第２図はこの考案の一実施例の概略正面図、
第３図はそのコイル減少時の状態を示す概略正面
図である。 １……マンドレルリール、６……水平ガイド、
７……移動台、８……ピンチロール、９……変速
モータ、Ｃ……コイル材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マンドレルリールに支持されたコイル材先端を
   一旦垂下させてループ状に弛ませてから送出すコ
   イル巻出し装置において、マンドレルリールの下
   方に、コイルラインに沿つて形設された水平ガイ
   ドと、その水平ガイドに移動自在に設けられ、コ
   イル材の垂下部分を挾みながらコイル材を繰出
   し、そのコイル材の繰出しによる巻回半径の変化
   に伴つて上記水平ガイド上を移動してコイル材の
   垂下位置に追従してなるピンチロールとを具備し
   てなることを特徴とするコイル巻出し装置。