JP3035527B2 - 鉄道車両用アルミニウム合金形材およびその形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造 - Google Patents

鉄道車両用アルミニウム合金形材およびその形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造

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JP3035527B2
JP3035527B2 JP10283715A JP28371598A JP3035527B2 JP 3035527 B2 JP3035527 B2 JP 3035527B2 JP 10283715 A JP10283715 A JP 10283715A JP 28371598 A JP28371598 A JP 28371598A JP 3035527 B2 JP3035527 B2 JP 3035527B2
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康裕 大内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道車両の構体とし
て用いられるアルミニウム合金形材と、そのアルミニウ
ム合金形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の構体構造は、近年、ダブルス
キンタイプと称されるアルミニウム合金形材を用いた構
造が定着しつつある。このダブルスキンタイプのアルミ
ニウム合金形材は、形材表面を形成する互いに平行な平
板状の面板部を、これらの裏面側に一体形成された複数
のウェブ部により繋いだ構造を有し、内艤装等の取り付
けを容易として工期の短縮化を図るための吊り溝が一体
形成されたものが多用されている。
【0003】図9に吊り溝を備えた従来のダブルスキン
タイプのアルミニウム合金形材の一例を横断面図で示
す。互いに平行な面板部71,72の間に、複数のウェ
ブ部73がそれぞれ斜めに一体形成されており、各面板
部71,72には長手方向に伸びる一様断面の吊り溝7
4およびリブ75a,75bがそれぞれ一体に突出形成
されている。
【0004】吊り溝74は、面板部71,72の表面か
ら外側に突出する左右の溝側壁部742a,742bの
先端を互いに接近する向きに折り曲げることによって、
開口部741の幅wが溝幅Wよりも狭くなっており、吊
り溝74内にボルト76の頭部76aを挿入してそのね
じ部76bを外部に臨ませた状態で、ねじ部76bに機
器吊り受け金77等をナット78で締結することで、所
要機器を鉄道車両構体に固定するように構成されてい
る。ここで、図において79は機器吊り受け金77の座
を兼ねた吊り溝の開き止めである。
【0005】リブ75a,75bは吊り溝74を面板部
71,72の表面から突出形成しているが故に設けられ
るものであって、吊り溝74の高さHと同じ高さを有し
ており、アルミニウム合金形材に沿って床材や化粧パネ
ルを配置する場合、それらを吊り溝74の両溝側壁74
2a,742bの折り返された上面と、リブ75a,7
5bの上面で受けることができるように考慮されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な吊り溝を備えた従来の鉄道車両用アルミニウム合金形
材においては、吊り溝およびリブが面板部から突出して
形材の長手方向全域に形成されているために、吊り溝や
リブを横断するような機器等を取り付ける必要のある場
合には、吊り溝およびリブを削り落さなければならな
い。ここで、吊り溝は本来、工期短縮を目的としたもの
であるにも係わらず、吊り溝を削る2次加工によってそ
の目的を達成できなくなるばかりでなく、吊り溝を削る
ことによって形材の均一な強度を損なうこともある。
【0007】また、従来のアルミニウム合金形材を台枠
に使用した場合など、荷重による撓みや変形により、吊
り溝が開いてしまい、前記した座を兼ねた開き止めを取
り付けることができない場合もある。
【0008】更にまた、上記した従来のアルミニウム合
金形材を構体に用いて機器を取り付ける場合、吊り溝が
形材の長手方向全域に及んでいるため、吊り溝の適宜箇
所に切欠加工を施さなければ、形材の端面部分からしか
ボルトの頭部を吊り溝内に挿入することができず、ま
た、切欠加工を施してそこからボルトの頭部を挿入して
も、所要箇所にまでボルトを移動させる必要があり、手
間が掛かるという欠点もある。また、吊り溝内にボルト
頭部を挿入して所要機器を取り付けた後には、ボルトの
頭部が設計通りに吊り溝内に収まっているか確認できな
いという問題がある。
【0009】本発明はこのような諸問題点を一挙に解決
すべくなされたもので、吊り溝を横断する部材を配置す
る際の吊り溝の2次加工を必要とせず、艤装作業等の容
易化および能率化と、強度の安定化を図ることのできる
鉄道車両用アルミニウム合金形材と、そのアルミニウム
合金形材を用いて合理的かつ安定して確実に機器を取り
付けることのできる鉄道車両の機器取付け構造の提供を
目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の鉄道車両用アルミニウム合金形材は、形材
表面を形成する互いに平行な平板状の面板部が、その各
面板部の裏面側に一体形成された複数のウェブ部により
繋がれているとともに、上記各面板部のうち少なくとも
一方の面板部に、形材長手方向に伸び、かつ、溝幅より
も狭い開口部を有する一様断面の吊り溝が形成されてな
る鉄道車両用アルミニウム合金形材において、上記吊り
溝が、面板部の表面よりも内側に埋め込まれて形成さ
、かつ、その吊り溝は、面板部に形材長手方向に沿っ
て形成されて当該吊り溝開口部を形成するスリット状の
切欠部と、その切欠部を挟んでその両側縁からそれぞれ
所定寸法だけ離れた位置で面板部の裏面から相手面板部
側に立ち上がる溝側壁部と、その両溝側壁部の先端を一
体的に繋ぐ溝底部によって構成されているとともに、そ
の溝底部と両溝側壁部との各コーナー部分に上記ウェブ
の一体が一体形成されていることによって特徴づけられ
る(請求項1)。
【0011】ここで、本発明の鉄道車両用アルミニウム
合金形材においては、吊り溝の開口部を形成する切欠部
とその両側の溝側壁部との間の面板部の裏面側に、形材
長手方向に沿った一様な凹凸もしくは傾斜を形成した構
を採用することができる(請求項2)。
【0012】一方、本発明のアルミニウム合金形材を用
いた鉄道車両の機器取付け構造のうち、請求項3に係る
発明は、上記した請求項1または2に記載の鉄道車両用
アルミニウム合金形材を用いた車両構体に対して、その
吊り溝にボルト頭部を挿入して所要機器を固着する機器
の取付け構造であり、吊り溝の開口部の幅よりも長い
辺と、当該開口部の幅よりも短い短辺を持つ略長方形状
の横断面形状の頭部を有するボルトを用いることによっ
て特徴づけられる。
【0013】また、請求項4に係る発明のアルミニウム
合金形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造は、請求項
2に係る発明のアルミニウム合金形材を用いた鉄道車両
の機器取付け構造であって、機器を取り付けるべく吊り
溝内に頭部が挿入されるボルトとして、その頭部の下面
に、吊り溝の切欠部とその両側の溝側壁部との間の面板
部の裏面側の凹凸もしくは傾斜に合致する凹凸もしくは
傾斜が形成されたものを用いることによって特徴づけら
れる。
【0014】本発明は、ダブルスキンタイプの鉄道車両
用アルミニウム合金形材に一体形成される吊り溝を、面
板部の内側に埋め込み、しかも、その吊り溝の溝底部と
溝側壁部とのコーナー部分にウェブ部の一端を一体形成
することによって、吊り溝の強度並びに形材の強度の低
下を招くことなく、形材の面板部の表面を突起物のない
一様な平坦面とすることを可能とし、所期の目的を達成
しようとするものである。
【0015】すなわち、吊り溝を面板部の内側に埋め込
むと、従来のような突出した吊り溝を設けるが故に必要
となるリブの撤廃が可能となり、面板部の表面には全く
突起物の存在しない平坦面とすることができ、従って吊
り溝を横断する部材等の取付けに際して、形材を2次加
工する必要がなくなり、作業の簡素化と、断面形状を変
化させないことによる形材強度の一様化を達成できる。
【0016】また、吊り溝を面板部の内側に埋め込むこ
とによって、その側壁部が拡開することを防止すること
ができ、従来の突出した吊り溝を設ける場合のような機
器吊り受け金の座を兼ねた開き止め用の部材を廃止する
ことができる。
【0017】そして、面板部に形成された溝開口部とし
ての切欠部の両側で相手面板側に向けて立ち上がる溝側
壁部と溝底部とのコーナー部分にウェブの一端を一体形
成す ることによって、吊り溝の強度のみならず形材全体
としての強度の低下を防ぎ、むしろ従来の形材を上回る
強度が得られることが確認されている。
【0018】請求項3に係る発明のアルミニウム形材を
用いた鉄道車両の機器取付け構造においては、面板部の
内側に埋め込まれた吊り溝内に頭部が挿入されるボルト
として、長辺が吊り溝の開口部の幅より長く、短辺が同
開口部の幅よりも短い略長方形状の横断面形状の頭部を
持ったものを使用することにより、切欠加工を施すこと
なく任意の位置において機器固定用のボルトの頭部を吊
り溝内に挿入することができ、機器取付け作業の合理化
を図ることができる。
【0019】また、請求項2に係る発明の鉄道車両用ア
ルミニウム合金形材は、請求項4に係る発明の機器取付
け構造との組み合わせにより、機器取付け作業の確実化
および吊り溝の強度を補強することができる。
【0020】すなわち、面板部に形成されて吊り溝の開
口部を形成する切欠部の両側の溝側壁の内側の面、つま
り、吊り溝内に挿入されるボルト頭部の下面が当接する
面に形材長手方向に伸びる一様な凹凸または傾斜を形成
した請求項2に係る発明のアルミニウム合金形材の吊り
溝に対し、その凹凸または傾斜と合致する凹凸または傾
斜が頭部下面に形成されたボルトの頭部を挿入して機器
を取り付ける請求項4の機器取付け構造を適用すれば、
吊り溝内に挿入されたボルトを介して吊り溝に作用する
力の方向を分散させ、両者を平坦とする場合に比して実
質的に吊り溝の強度を補強し、機器の取付け強度を増大
させる効果を奏することができる。
【0021】また、この請求項4に係る発明の構成と請
求項3に係る発明の構成を併用する場合、凹凸もしくは
傾斜をボルト頭部の短辺に沿って形成しておくことで、
ボルト頭部をその長辺が形材長手方向に沿うようにして
吊り溝開口部内に挿入した後、略90°回転させること
によりボルト頭部下面と吊り溝内の凹凸または傾斜が噛
み合い、ボルト頭部の長辺を確実に吊り溝の横断方向に
沿わせることができ、また、その状態でのナット等のボ
ルトへの締結に際してもボルトが回動すること を防止す
ることができ、熟練を要することなく吊り溝内へのボル
ト頭部の納まりを設計通りとすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について述べる。図1は本発明の実施の形態
の構成を示す横断面図であり、図2はそのA部拡大図で
ある。互いに平行な平板状の面板部1,2が、これらの
裏面側に一体形成された複数の傾斜したウェブ部3によ
って相互に一体化されている。
【0023】面板部1,2の表面には、形材長手方向に
伸びるスリット状の切欠部41が合計3箇所に形成され
ているとともに、面板部1,2の裏面側には、各切欠部
41に対応してそれぞれ一対の溝側壁部42a,42b
が一体形成されている。各溝側壁部42a,42bは切
欠部41に対して平行であり、切欠部41の両側縁から
一定の寸法だけ離れた位置で相手面板側に向けて立ち上
がっている。そして、各一対の溝側壁部42a,42b
の先端はこれらに直交して一体形成された溝底部43に
よって相互に連結されており、これらにより、溝幅Wよ
りも開口幅(切欠部41の幅)wの狭い吊り溝41を形
成している。
【0024】また、各吊り溝4の溝側壁部42a,42
bと溝底部43とがなすコーナー部は、それぞれ一体形
成されたウェブ部3によって相手面板部の裏面に繋がれ
ている。
【0025】各吊り溝4の天井面、つまり切欠部41の
両側縁と溝側壁部42a,42bとの間における面板部
1,2の裏面は、図2に示すように、切欠部41に近い
側ほど溝底部43に接近する向きの斜面Sとなってい
る。この斜面Sは、形材長手方向に一様である。
【0026】次に、以上の実施の形態を鉄道車両の構体
として用いたときの機器の取付け構造と、その取付け方
法について説明する。図3はその取付け構造の例を示す
要部断面図である。また、図4は、図3の取付け構造に
用いられるボルト5の説明図で、(A)は正面図、
(B)はその底面図を示している。
【0027】ボルト5は、その頭部51の横断面が略長
方形状をしており、その長辺51aの長さL1は、吊り
溝4の溝幅Wよりも短く、かつ、溝の開口幅である切欠
部41の幅wよりも長い。また、短辺51bの長さL2
は切欠部41の幅wよりも短い。更に、ボルト5のねじ
部52の下端面52aには、頭部51の長辺51aに平
行なマークMが付されている。そして、その頭部51の
下面は、長辺51a方向の端部側が下向きとなる斜面s
によって形成されており、この斜面sは、短辺51bに
沿って一様であり、かつ、上記した吊り溝4の天井面の
斜面Sと同じ角度である。
【0028】車両構体に取り付けるべき機器は、従来と
同等の機器吊り受け金6を介してボルト5によって吊り
溝4に取り付けられる。すなわち、ボルト5はその頭部
51の長辺51aが吊り溝4を横断する方向に向けて吊
り溝4内に納められる。その状態で吊り溝4外に突出し
たねじ部52に、機器吊り受け金6に形成された貫通孔
61を嵌挿して、ねじ部52にナット7をねじ込むこと
によってアルミニウム合金形材からなる車両構体に締結
される。なお、8は通常の平坦な座金であり、この座金
8は設けても設けなくともよい。
【0029】ボルト5を図3に示した姿勢で吊り溝4内
に納めるには、頭部51の短辺51bを吊り溝4の横断
方向に沿わせることによって当該頭部51を吊り溝4内
に挿入した後、ねじ部52の端面52aに付されたマー
クMが吊り溝4の長手方向に沿うようにボルト5を回動
させればよい。このとき、ボルト5の頭部51の下面に
形成された斜面sと、吊り溝4の天井面に形成された斜
面Sとが面接触状態で相互に合致することによって、ボ
ルト5が図3に示した正規の姿勢を向いていることを手
触感によっても容易に判断することができ、熟練を要す
ることなく常にボルト5の姿勢を正確なものとすること
ができると同時に、ナット7のねじ込み時においてもボ
ルト5が意図せずに回転してしまうことを防止すること
ができ、更に、ナット7の締結後のボルト5の姿勢は、
マークMの方向によって容易に判別することができる。
【0030】また、ボルト5の頭部51の短辺51bの
寸法L2が吊り溝4の開口幅wよりも小さいため、吊り
溝4内への挿入は形材の長手方向任意の位置で行うこと
ができる。
【0031】そして、以上の実施の形態において特に注
目すべき点は、アルミニウム合金形材の面板部1,2は
何ら突出物のない一様な平坦面となっている点であり、
これにより、吊り溝4を横断するような部材を配置する
場合においても何ら2次加工を施す必要がなく、上記し
たボルト5の頭部51の挿入に際しても従来のように切
欠加工を施すことなく任意の位置で吊り溝4内に挿入し
得ることも併せて、アルミニウム合金形材の基本断面形
状を変化させる必要がなく、意図した強度設計通りの構
体を製造することができる。
【0032】ここで、以上の実施の形態では、吊り溝4
に対するボルト5の姿勢を規制するために、吊り溝4の
天井面とボルト5の頭部51の下面とのれぞれ互いに合
致する斜面S,sを設けたが、この斜面S,sに代えて
凹凸面を形成しても同等の作用効果を奏することができ
る。その例を図5および図6に示す。
【0033】図5は本発明の他の実施の形態の形材の吊
り溝4の近傍の横断面図であり、図6はボルト5の正面
図(A)および底面図(B)である。この例において
は、吊り溝4の天井面に切欠部41の両側縁に沿った突
条Pを設けるとともに、ボルト5の頭部51の下面に
は、その2本の突条Pが内側に嵌まり込む凹所pを短辺
51bの方向に設けている。このような構成によって
も、ボルト5の頭部51の長辺51aが吊り溝4を横断
する方向となっている場合にのみ、突条Pが凹所p内に
鉤状に嵌まり込み、ボルト5を常に正しい姿勢とするこ
とができると同時に、ナット7の締結時においてボルト
5が回動することを確実に防止することができる。
【0034】ここで、本発明のアルミニウム合金形材
は、以上のような頭部の短辺の長さが吊り溝4の開口幅
wよりも短いボルトを用いることによって、形材を全く
加工することなく任意の位置で吊り溝4内にボルト5を
挿入することかできるのであるが、機器の取付け強度を
より高くする必要のある場合、上記の短辺に相当する方
向の頭部寸法、つまり機器取付け状態において吊り溝4
に沿う方向のボルト頭部寸法L2を、より長くしたもの
を用いるとよい。そのボルトの例を図7および図8にそ
れぞれ正面図(A)および底面図(B)を示す。図7に
示すボルト5′は、上記の方向への頭部寸法L2が吊り
溝4の開口幅wよりも大きく、その頭部51′に1本の
ねじ部52′を設けたものであり、頭部51′の下面に
は図4のボルトと同様に斜面sを形成している。また、
図8に示すボルト5″は、上記方向への頭部寸法L2が
図7のものよりも大きく、その頭部51″に2本のねじ
部52″を設け、頭部51″の下面には同様の斜面sを
形成している。
【0035】このようなボルト5′または5″は、図2
に示したような、吊り溝4の天井面に斜面Sが形成され
たアルミニウム合金形材に適用することにより、吊り溝
4の天井面との接触面積を増やしてその負荷能力を増大
させるばかりでなく、吊り溝4の強度もしくは機器の取
付け強度を補強することができる。すなわち、図3に示
した取付け構造と同様に、ボルト5′または5″の頭部
51′または51″を吊り溝4内に挿入し、そのねじ部
52′または52″に対して機器吊り受け金を挿入して
ナットをねじ込むことによって機器を形材に取り付けた
構造においては、ボルト5′または5″の頭部51′ま
たは51″を介して吊り溝4の天井面に作用する力は、
斜面S,sの法線方向と接線(表面)方向に分散する結
果、両者を平坦面とする場合に比して、吊り溝4の切欠
部41の両側で突出して天井面を形成するフランジ状の
部分を機器の負荷による形材表面側への引張力が緩和さ
れる。
【0036】なお、図7または図8に示したボルトを用
いる場合、ボルトは吊り溝4に対してその端部から挿入
するか、あるいは吊り溝4の天井部を構成するフランジ
状の部分の適宜位置に切欠きを設けることによって挿入
すればよく、そのような切欠きを設ける場合でも、従来
の面板部から突出した吊り溝のように溝の側壁をも削り
落とす場合に比して、形材の削り落とし量は少なくてす
み、作業の軽減および形材強度に及ぼす影響の低減効果
を奏することができる。
【0037】また、本発明においては、吊り溝天井面お
よびボルト頭部下面の形状は、上記した各実施の形態に
おいて例示したような斜面、あるいは1つの突条と凹所
のみならず、複数の突条とそれに合致する複数の凹所と
の組み合わせ、更には斜面と1つもしくは複数の突条と
凹所との組み合わせを採用することができることは勿論
である。
【0038】更に、図8に示したボルト5″では、ねじ
部52″を2本設けたが、3本以上としてもよいことは
言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ダブル
スキンタイプの鉄道車両用アルミニウム合金形材の面板
部の内側に吊り溝を埋め込み、面板部の表面を一様な平
坦面としているので、吊り溝を横断するような部材を配
置する場合においても従来のように吊り溝を削り落とす
2次加工の必要がなくなり、鉄道車両の構体に対する艤
装作業を容易化してその工期を大幅に短縮することがで
きると同時に、形材の基本断面形状を変化させないが故
に、意図した強度で設計・製造することが可能となっ
て、強度の安定性をも向上させることができる。
【0040】しかも、埋め込まれた吊り溝の両溝側壁部
と溝底部のコーナー部分にウェブ部を一体形成して相手
面板部に接合しているから、吊り溝が面板部から突出し
た従来の形材に比して吊り溝強度のみならず形材全体と
しての強度をも向上させることができる。
【0041】更に、ボルト頭部の横断面が、吊り溝の開
口幅よりも短い短辺と開口幅よりも長い長辺を備えてな
る略長方形状のボルトを用いることにより、埋め込まれ
た吊り溝に対して何ら切欠加工等を施すことなく、任意
の位置においてボルト頭部を吊り溝内に挿入することが
できる。
【0042】更にまた、埋め込まれた吊り溝の天井面
と、ボルト頭部の下面に、ボルト頭部の長辺が吊り溝を
横断する方向に沿ったときに互いに合致する凹凸または
傾斜を設けておくことによって、ボルト頭部の姿勢を熟
練を要することなく容易に設計通りの納まりとした状態
で、ナット等による締結時においてボルトの回動を阻止
しすることができ、機器取付け作業の容易化と確実化、
並びに一層の工期短縮化を図ることができ、また、機器
の負荷時における力を分散することによる機器の取付け
強度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示す横断面図であ
る。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1の実施の形態を鉄道車両の構体として用い
たときの機器の取付け構造の例を示す要部断面図であ
る。
【図4】図3の取付け構造に用いられるボルト5の説明
図であり、(A)は正面図、(B)はその底面図であ
る。
【図5】本発明の他の実施の形態の吊り溝4の近傍の横
断面図である。
【図6】図5の形材に適用されるボルトの正面図(A)
および底面図(B)である。
【図7】本発明の機器取付け構造の更に他の実施の形態
に用いられるボルト5′の説明図で、(A)は正面図、
(B)はその底面図である。
【図8】本発明の機器取付け構造の更にまた他の実施の
形態に用いられるボルト5″の説明図で、(A)は正面
図、(B)はその底面図である。
【図9】従来のダブルスキンタイプの鉄道車両用アルミ
ニウム合金形材の構造例を示す横断面図である。
【符号の説明】
1,2 面板部 3 ウェブ部 4 吊り溝 41 切欠部 42a,42b 溝側壁部 43 溝底部 5 ボルト 51 頭部 51a 長辺 51b 短辺 52 ねじ部 6 機器吊り受け金 7 ナット S,s 斜面 P 突条 p 凹所
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61F 1/08 B61D 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形材表面を形成する互いに平行な平板状
    の面板部が、その各面板部の裏面側に一体形成された複
    数のウェブ部により繋がれているとともに、上記各面板
    部のうち少なくとも一方の面板部に、形材長手方向に伸
    び、かつ、溝幅よりも狭い開口部を有する一様断面の吊
    り溝が形成されてなる鉄道車両用アルミニウム合金形材
    において、 上記吊り溝が、面板部の表面よりも内側に埋め込まれて
    形成され、かつ、その吊り溝は、面板部に形材長手方向
    に沿って形成されて当該吊り溝開口部を形成するスリッ
    ト状の切欠部と、その切欠部を挟んでその両側縁からそ
    れぞれ所定寸法だけ離れた位置で面板部の裏面から相手
    面板部側に立ち上がる溝側壁部と、その両溝側壁部の先
    端を一体的に繋ぐ溝底部によって構成されているととも
    に、その溝底部と両溝側壁部との各コーナー部分に上記
    ウェブの一体が一体形成されていることを特徴とする鉄
    道車両用アルミニウム合金形材。
  2. 【請求項2】 上記吊り溝の開口部を形成する切欠部と
    その両側の溝側壁部との間の面板部の裏面側に、形材長
    手方向に沿った一様な凹凸もしくは傾斜が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用アルミ
    ニウム合金形材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の鉄道車両用ア
    ルミニウム合金形材を用いた車両構体に対して、その吊
    り溝にボルト頭部を挿入して所要機器を固着する機器の
    取付け構造であって、 吊り溝の開口部の幅よりも長い長辺と、当該開口部の幅
    よりも短い短辺部を持つ略長方形状の横断面形状の頭部
    を有するボルトを用いることを特徴とするアルミニウム
    合金形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造。
  4. 【請求項4】 鉄道車両の構体に請求項2に記載のアル
    ミニウム合金形材を用いるとともに、その吊り溝に対し
    て機器を取り付けるためのボルトとして、その頭部の下
    面に、上記凹凸もしくは傾斜に合致する凹凸もしくは傾
    斜が形成され ているものを用いることを特徴とするアル
    ミニウム合金形材を用いた鉄道車両の機器取付け構造。
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