JP3034352B2 - 安定な一重らせん構造の分子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類及びその製造法 - Google Patents

安定な一重らせん構造の分子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類及びその製造法

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    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/04Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は安定な一重らせん構造の
分子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類に関し、さ
らに詳しくは、一重らせん構造を分子内架橋によって安
定化し、それによって安定な生物活性を示す分子内架橋
(1→3)−β−D−グルカン類及びその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】(1→3)−β−D−グルカン類が各種
の生物活性を有することは、近年、明らかになってき
た。たとえば、宿主介在性の抗腫瘍活性の発現(マクロ
ファージ、単球などの食作用の活性化、殺菌能の増大な
ど)、哺乳類補体第二経路の活性化、カブトガニ血液凝
固系のG因子の活性化、昆虫などの節足動物及び軟体動
物におけるフェノールオキシダーゼ系の活性化などが挙
げられる。
【0003】(1→3)−β−D−グルカン類の細胞活
性化作用の詳細な機作は明らかではないが、細胞の表面
に(1→3)−β−D−グルカン類に対して感受性を有
する特異的な受容体(レセプター)が存在し、(1→
3)−β−D−グルカン類が該受容体に結合すると、そ
の信号が細胞の機構によって効果器(エフェクター)に
伝達されて、活性化が生起するものと考えられている
[千原呉郎;薬学雑誌、108巻、3号、171−18
6頁(1988)]。
【0004】(1→3)−β−D−グルカン類の高次構
造は、その置かれた環境によって異なり、一重らせん、
三重らせん、糸まり状(ランダムコイル)及び無水状態
でのみ存在する一本鎖構造が知られている。また、これ
らの高次構造は2種以上が併存することもある。なお、
重合度が20未満の糖鎖では、このように種々の高次構
造をとることはできない[Saito, H.,ほか; Macromolec
ules, 11巻、1244−1251頁(1978)]。
【0005】(1→3)−β−D−グルカン類は、天然
には主として真菌類の細胞壁を形成する成分として存在
する。これらを異物として識別する必要のある動物の防
御を担当する細胞、たとえばカブトガニのアメーボサイ
ト、哺乳動物の白血球などの免疫担当細胞には、(1→
3)−β−D−グルカン類に対して感受性を有する蛋白
質がその受容体ないし酵素前駆体として存在しているこ
とが明らかにされ、その分離についても報告されている
[Morita, T.ほか、FEBS Letter,129巻、318−3
21頁(1981);Ochiai, M.ほか、J. Biol. Che
m., 263巻、12056−12062頁(198
8);Czop, J.P.ほか、J. Immunol.,141巻、317
0−3176頁(1988)など]。
【0006】本明細書において(1→3)−β−D−グ
ルカン類とは、(1→3)−β−D−グルカン及びその
誘導体を意味し、このような(1→3)−β−D−グル
カン類の感受性細胞の活性化は、(1→3)−β−D−
グルカンか、そのような構造を分子中に有する天然の多
糖類ないしその誘導体によって惹起される。しかし、こ
れらの物質の中にも、こうした活性化能を示さないもの
がある。その相違の原因について、従来は重合度、分子
中の分岐の有無、他の物質との結合状態などの差や、水
溶性の差などで説明されてきた。一方、三重らせん構造
をもつ(1→3)−β−D−グルカン類が、この活性化
をもたらすとの説も発表されている[Yanaki, T.ほか、
Agr. Biol. Chem., 50巻、2415−2416頁(1
986)]。
【0007】本発明者らは、水溶液中で三重らせん構造
をもつソニフィラン(医薬品、科研製薬株式会社製、分
子量及び高次構造をそろえたシゾフィラン)がカブトガ
ニのG因子をほとんど活性化しないことを観察し、か
つ、上記の三重らせん構造のシゾフィランをアルカリ処
理して一重らせん構造の含有率を増したところ、上記の
G因子の活性化能を著しく増すことを観察した。さら
に、各種の一重らせん構造の(1→3)−β−D−グル
カン類が、上記のG因子に対して高い活性化能を示すこ
と、またマウスのザルコーマ180の縮退に高い活性を
示し、顕著な抗腫瘍性があることを見出した。このこと
から、(1→3)−β−D−グルカン類の生物活性は、
その一重らせん構造によるとの結論に達した[Saito,
H.,Yoshioka,Y., Uehara, N., Aketagawa, J., Tanak
a, S., Shibata, Y.; XVth International. Carbohydra
te Symposium; Aug. 12-17(1990), p.289] 。
【0008】この(1→3)−β−D−グルカン類の一
重らせん構造は、水性溶液中で三重らせん構造その他の
構造に移行して、平衡状態に達する傾向がある。とくに
高温、高濃度の条件下では、一重らせん構造が速やかに
三重らせん構造に移行することが知られている[小川宏
蔵;界面、12巻、678−689頁(1974)]。
【0009】このような高次構造の変化は、通常の生理
学的環境下ではそれほど速やかではなく、たとえばカブ
トガニのG因子の活性化能により(1→3)−β−D−
グルカン類の生物活性を短時間内に観察する場合には、
活性の大きな変化は現われない。しかし、ザルコーマ1
80に対する抗腫瘍実験のように、投与から効果の判定
までに数日ないし数週間を要する場合には、投与した
(1→3)−β−D−グルカン類の一重らせん構造が他
の高次構造へと移行するため、その生物活性が経時的に
低下したり、保存中に生物活性を失い、腫瘍阻止効果が
低下することがしばしば観察されている。
【0010】そこで、(1→3)−β−D−グルカン類
の一重らせん構造を安定化するために、その側鎖にかさ
高な置換基を導入することも試みられたが、十分な効果
を得るに至っていない。これは、側鎖の導入がおおむね
強アルカリ中で行われ、この条件下では主鎖がランダム
コイル状となるためである。側鎖を導入した後も、一重
らせん構造をとり得る程度のかさ高な側鎖を導入した場
合にのみ、生物活性を示す。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、(1
→3)−β−D−グルカン類の一重らせん構造を安定化
し、長期間にわたって安定な生物活性、とくに抗腫瘍性
を示す分子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成すべく研究を重ねた結果、(1→3)−β−D
−グルカン類の一重らせん構造を分子内架橋させて安定
化することにより、安定な生物活性を示す(1→3)−
β−D−グルカン類が得られることを見出して、本発明
をなすに至った。
【0013】本発明の(1→3)−β−D−グルカン類
は、安定な一重らせん構造を有する分子内架橋(1→
3)−β−D−グルカン類であり、詳しくは20以上の
D−グルコシド単位を有する(1→3)−β−D−グル
カン類の水酸基に官能基を導入し、ついで一重らせん構
造を形成させ、これをそのまま、又はさらに(1→3)
−β−D−グルカン受容体と結合させた後、該官能基の
間で分子内架橋させ、ついで必要に応じて前記受容体を
解離することによって得ることができ、次の性質を有す
る安定な一重らせん構造を有する分子内架橋(1→3)
−β−D−グルカン類である。 (a)水和固体試料における一重らせん構造の含有率が
20%以上である。 (b)一重らせん構造の保持率が、水溶液又は水懸濁液
中、4℃で1ヵ月保存後において50%以上である。
【0014】また本発明は、このような分子内架橋(1
→3)−β−D−グルカン類の製造法に関する。
【0015】本発明に用いられる(1→3)−β−D−
グルカン類は、式(I)
【0016】
【化1】
【0017】で示される(1→3)−β−D−グルコシ
ド単位が連続して20個以上、好ましくは180個以
上、より好ましくは370個以上結合した(1→3)−
β−D−グルコシド構造部分を1分子中に少なくとも1
個含有するポリグルコシドである。上記の(1→3)−
β−D−グルコシド構造部分を含有するものである限
り、他にいかなる構造が分子中に存在しても差支えな
い。たとえば、式(II)で示される(1→4)−β−D−
グルコシド単位、式(III)で示される(1→6)−β−
D−グルコシド単位及び/又は式(IV)〜(VI)で示される
置換グルコシド単位
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】(式中、R1 、R2 及びR3 は同一でも異
なっていてもよく、水素原子、メチル基のようなアルキ
ル基、ヒドロキシメチル基のようなヒドロキシアルキル
基、カルボキシメチル基のようなカルボキシアルキル
基、アセチル基のようなアシル基、硫酸基、リン酸基、
又はそれらの金属塩、アンモニウム塩もしくは有機アミ
ン塩であり、かつ、その少なくとも1個は水素原子以外
の基である。)を1個又はそれ以上含有していてもよ
い。さらに、本発明に用いられる(1→3)−β−D−
グルカン類は、2個以上の(1→3)−β−D−グルコ
シド構造部分が、他の糖鎖構造部分を挟んで存在してい
てもよい。
【0021】本発明に用いられる(1→3)−β−D−
グルカン類は、上記の条件が満たされるならば、その分
子量はとくに制約されるものではない。
【0022】このような(1→3)−β−D−グルカン
類としては、天然に由来するもの、合成されたもの、又
はその一部を化学的に修飾したもののいずれでもよく、
入手の容易さからは、天然に由来するものが好ましい。
【0023】このような(1→3)−β−D−グルカン
類の代表例として、次のようなものが挙げられる。
【0024】(1)(1→3)−β−D−グルコシド単
位のみからなり、直鎖状のもの:アルカリゲネス属バク
テリアに由来する(1→3)−β−D−グルカン類(カ
ードランなど)、鞭毛藻に由来するパラミロン、高等植
物の繊維組織のβ−グルカン又は篩管から抽出されるカ
ロース;ならびにこれらの(1→3)−β−D−グルカ
ン類又は褐藻類に由来するラミナラン類の部分加水分解
物中に含まれるD−グルコース重合体など。
【0025】(2)(1→3)−β−D−グルコシド単
位と(1→6)−β−D−グルコシド単位からなるも
の:コンブ属、アラメ属褐藻類に由来するラミナラン
類、ケイ藻に由来するクリソラミナラン類、ブクリョウ
菌に由来するパキマン、Phytophthoraの細胞壁に由来す
るグルカン、Sclerotinia に由来するスクレロタン、ス
エヒロタケに由来するシゾフィラン、Sclerotium、Cort
icium 、Stromatinia などに由来するスクレログルカン
類、シイタケに由来するレンチナン、酵母類の細胞壁に
由来するβ−グルカン類など。この種類には、直鎖状の
もののほか、分岐状、樹状の分子構造を示すものも包含
する。
【0026】(3)(1→3)−β−D−グルコシド単
位と(1→4)−β−D−グルコシド単位からなるも
の:Cetraria、Usnea 、Evernia などに由来するリヒェ
ナン類、オオムギ胚乳中に含まれるβ−グルカン類な
ど。
【0027】(4)置換β−D−グルコシド単位を含む
もの: 上記の(1)〜(3)に示したβ−D−グルカンの糖鎖
の水酸基の少なくとも一部を、メチル基のようなアルキ
ル基、ヒドロキシルメチル基のようなヒドロキシアルキ
ル基、カルボキシメチル基のようなカルボキシアルキル
基、アセチル基のようなアシル基、硫酸基、リン酸基の
ような酸基、その他の置換基によって修飾されたもの。
ただし、未修飾の(1→3)−β−D−グリコシド単位
が連続して20個以上結合した(1→3)−β−D−グ
ルコシド構造部分を、1分子中に少なくとも1個含有す
る。これらの置換基は、それ自体既知の方法で導入する
ことができる。
【0028】上記に列挙した(1→3)−β−D−グル
カン類のうち、ある種のものは市販品として入手でき、
それらはそのまま本発明に利用することができる。また
必要に応じて、糖鎖を部分的分解及び/又は分別処理し
て、上述の(1→3)−β−D−グルコシド単位を含有
する画分を調製して、本発明に供してもよい。
【0029】このような糖鎖の部分的分解及び分別処理
は、それ自体既知の方法で行うことができる。たとえ
ば、糖鎖の部分的分解は、酸又はアルカリによる分解、
β−グルカナーゼを用いる加水分解、加酢分解、音波処
理などで行うことができる。また分子量分画は、エタノ
ール、アセトン、ジエチルエーテルなどの有機溶媒や塩
類を用いる分別沈殿法、分子篩剤や分子篩膜を用いる分
画によって行うことができる。
【0030】このような(1→3)−β−D−グルカン
類を、一重らせん構造の形で分子内架橋させ、本発明の
安定な一重らせん構造の分子内架橋(1→3)−β−D
−グルカン類を得る。
【0031】分子内架橋は、(1→3)−β−D−グル
カン類の一重らせん構造を維持する位置で、官能基で置
換された水酸基の間で行われる。官能基としては、オキ
シラン環、アミノ基、ヒドラジノ基、アルデヒド基又は
カルボキシメチル基が例示され、アミノ基、ヒドラジノ
基、アルデヒド基又はカルボキシメチル基が好ましく、
ヒドラジノ基又はアルデヒド基がとくに好ましい。架橋
は、上記の官能基と反応しうる基、たとえばアミノ基、
ヒドラジノ基、アルデヒド基又はカルボキシル基を両末
端に有する炭化水素鎖又はヒドロキシ化炭化水素鎖によ
って形成される。その両水酸基の間の架橋鎖の原子数
は、図1から考えられるように10〜50個が好まし
く、15〜25個がより好ましい。
【0032】本発明による架橋の形成は、以下のように
して行われる。なお、引続く2工程を同時に行っても差
し支えない。
【0033】(1)官能基の導入 本発明の製造法では、まず、(1→3)−β−D−グル
カン類に官能基又はそれを含む側鎖を導入する。すなわ
ち、主鎖又は側鎖を形成するグルコース残基に存在する
水酸基の一部に、次のいずれかの反応によって、オキシ
ラン環、アミノ基、ヒドラジノ基、アルデヒド基又はカ
ルボキシメチル基を導入する。 オキシラン環を有する化合物でエポキシ化する。用
いるオキシラン化合物としては、エピクロロヒドリンの
ようなエピハロヒドリン及びジグリシジルエーテルのよ
うなジオキシラン化合物などが例示される。 で得られたエポキシ化物を、さらに濃アンモニア
水を用いてアミノ化する。 上述のエポキシ化物に、さらに抱水ヒドラジン又
は各種のジヒドラジドを反応させてヒドラジノ化する。
主として抱水ヒドラジンが用いられる。ジヒドラジドと
しては、炭素鎖の短いものでよいが、とくに長い架橋鎖
を与える場合は、アジポジヒドラジドによって長い側鎖
を結合させることもある。 で得られたヒドラジノ化物に、さらにジアルデヒ
ド及び還元剤を用いて、アルデヒド基を導入する。ジア
ルデヒドとしてはグリオキサール、マロンジアルデヒ
ド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ア
ジポジアルデヒドなどが例示され、グルタルジアルデヒ
ドのような炭素鎖の短いものでよい。また還元剤として
は、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナト
リウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラ
ンなどが例示される。 シゾフィランのようなスクレログルカン類の主鎖を
形成しているグルコース残基の6位に結合して、側鎖を
形成しているグルコース残基を酸化してアルデヒド化す
る。酸化剤としては過ヨウ素酸などが例示される。 で得られたアルデヒド化物に、抱水ヒドラジン又
はジヒドラジドを反応させて、ヒドラジド基を導入す
る。ヒドラジド化剤としてはと同様なものが用いられ
る。 (1→3)−β−D−グルカン類をカルボキシメチ
ル化する。カルボキシメチル化剤としては、モノクロロ
酢酸が例示される。 以上の反応は、すべて公知の方法で行ってよい。このよ
うな官能基の導入は、(1→3)−β−D−グルカン類
を構成する1個のグルコース残基に結合する3個の遊離
水酸基あたりの置換度が、一般に0.1〜1.0、好ま
しくは0.4〜0.8の範囲になるように行う。
【0034】ただし、その水酸基の少なくとも一部が、
上記のような官能基、たとえばカルボキシメチル基で置
換されているような(1→3)−β−D−グルカン類を
出発原料として用いるときは、この官能基導入の工程を
省略してもよい。
【0035】(2)一重らせん構造の形成 官能基を導入した後、(1→3)−β−D−グルカン類
の高次構造の状態に応じて、次のようにして一重らせん
構造を形成させる。なお、存在する(1→3)−β−D
−グルカン類の大部分が一重らせん構造である場合で
も、放置中に三重らせん構造に移行して純度が低下する
ので、同様の処理を行って、一重らせん構造の含有量を
増大させる。高次構造が一本鎖構造の(1→3)−β−
D−グルカン類である場合には、水和することによって
一重らせん構造とする。
【0036】三重らせん構造の(1→3)−β−D−グ
ルカン類である場合は、次のいずれかの処理を行って、
一重らせん構造のものを得る。 たとえば0.3モル濃度以上の水酸化ナトリウム水
溶液のようなアルカリ性溶媒に溶解して、pH12以上に
短時間保った後、中和する。処理温度は、β−1,3−
グルコシド結合のアルカリによる切断を避けるために、
できるだけ低温、すなわち10℃以下で、好ましくは0
〜4℃で行う。処理時間は30秒あればよく、1時間以
上は好ましくない。なお、官能基を導入する工程で系を
アルカリ性にした場合は、単にこれを水洗又は中和して
アルカリを除くことにより、一重らせん構造を得ること
ができる。 酸を添加して、pH1.5以下に15〜60分間保っ
た後、中和する。処理温度は0〜50℃が好ましく、2
0〜40℃がさらに好ましい。 固体試料を100%ジメチルスルホキシド(以下、
DMSOという)に溶解し、得られた溶液を凍結乾燥し
てから水和する。又は得られたDMSO溶液を蒸留水に
対して透析する。
【0037】(3)受容体との結合 上記のようにして得られた一重らせん構造の(1→3)
−β−D−グルカン類は、そのまま架橋して一重らせん
構造を保護してもよいが、より効果的には、結合部位を
保護するため、生理学的条件において、(1→3)−β
−D−グルカン受容体と結合させる。このような受容体
としては、カブトガニ・アメーボサイト・ライセート又
はそのG因子、節足動物のフェノールオキシダーゼ前駆
体、ヒトリンパ球ザイモザン受容体などのほか、トリプ
トファン、N−アセチルトリプトファンのような糖受容
性アミノ酸及びトリプトファンを含むペプチドが例示さ
れる。受容体と(1→3)−β−D−グルカン類誘導体
との結合は、水、塩類水溶液などの生理学的環境条件下
で行われる。
【0038】(4)分子鎖間の架橋防止 ついで、(3)で得た水溶液に、水溶性で、かつ(1)
で導入した官能基と反応しない物質を添加する。その目
的は、次の分子内架橋を行う工程で、分子鎖間の架橋を
防ぐためである。このような水溶性物質としては、ポリ
エチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドンなど、及びそれらを主成分とする水溶性共
重合体が挙げられる。ポリエチレングリコールは、平均
分子量20,000〜500,000のものが好まし
い。
【0039】このような水溶性物質の量は、(1→3)
−β−D−グルカン類の1〜100倍が好ましく、10
〜50倍がさらに好ましい。あるいは、このような水溶
性物質を添加する代わりに、多量の水を加えて、系中の
(1→3)−β−D−グルカン類の濃度を極度に、たと
えば10-3〜10-5重量%に低下させてもよい。
【0040】また、このような水溶性物質の添加は、次
の(5)工程で用いる架橋剤を該水溶性物質及び水と混
合した溶液の形で添加することにより、(5)工程と同
時に行うこともできる。
【0041】(5)分子内架橋 (1)で導入した官能基、又は前述の出発原料として用
いる置換(1→3)−β−D−グルカン類に存在する官
能基と反応する二官能性の架橋剤を用いて、該官能基の
間で分子内架橋させる。
【0042】すなわち、結合している官能基に応じて、
たとえば(1)ので導入されたオキシラン環に対して
はジアミン類を;、又はで導入されたアミノ基又
はヒドラジノ基に対してはジアルデヒド類を還元剤とと
もに、あるいは二塩基性カルボン酸又はその塩を;又
はで導入されたアルデヒド基に対してはジアミン類又
はジヒドラジド類を還元剤とともに;で導入されたカ
ルボキシメチル基に対してはジアミン類又はジヒドラジ
ド類をカルボジイミド類とともに用いて架橋を行うが、
架橋剤はとくにこれらに限定されない。
【0043】一重らせん構造の(1→3)−β−D−グ
ルカン類の立体構造において、らせんの対応する位置の
6−位の官能基の間の距離は、図1に示すように約15
Åとされている。しかし、このらせん構造は柔軟であっ
て、たとえばシゾフィランの主鎖の(1→3)−β−D
−グルカン類のグルコース残基3個あたり1個の割合で
存在する側鎖の6−O−グルコシル相互の距離は約15
〜20Åである。したがって、架橋剤はこのような一重
らせん構造のいずれかの官能基間の分子内架橋を行うの
に適した分子長を有する二官能性化合物が好適である。
具体的には、グルコース残基の架橋に関係する水酸基の
間の架橋鎖の原子数が好ましくは10〜50個、より好
ましくは15〜25個になるように架橋剤を選択する。
【0044】架橋剤として用いるジアミン類としては、
ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オ
クタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメ
チレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなど;ジヒド
ラジド類としては、アジポジヒドラジド、ペンタメチレ
ンジヒドラジド、ヘキサメチレンジヒドラジド、オクタ
メチレンジヒドラジド、デカメチレンジヒドラジド、ド
デカメチレンジヒドラジドなど;ジアルデヒド類として
は、グルタルジアルデヒド、アジポジアルデヒド、ピメ
リンジアルデヒド、ヘキサメチレンジアルデヒド、オク
タメチレンジアルデヒド、デカメチレンジアルデヒド、
ドデカメチレンジアルデヒドなど;二塩基性カルボン酸
及びその塩としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメ
チレンジカルボン酸、ブラシル酸、ドデカメチレンジカ
ルボン酸など及びそれらの塩が例示される。
【0045】なお、高分子量の(1→3)−β−D−グ
ルカン類のように、水溶性が低いグルカン類を架橋させ
る場合は、分子中に水酸基を有する架橋剤を用いること
により、分子内架橋された(1→3)−β−D−グルカ
ン類をより水溶性ないし親水性にすることが可能であ
る。このような架橋剤として、2,3,4−トリヒドロ
キシアジポジヒドラジド、2,3,4−トリヒドロキシ
アジポジアルデヒドなどが例示される。
【0046】架橋剤とともに併用される還元剤として
は、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナト
リウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラ
ンなどが例示される。
【0047】また、アミノ基又はヒドラジノ基の間の架
橋剤として二塩基性カルボン酸又はその塩を用いると
き、あるいはカルボキシメチル基の間の架橋剤としてジ
アミン類やジヒドラジド類を用いるとき、カルボキシル
基と反応して架橋を促進するために、カルボジイミド類
又はN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−
ジヒドロキノリン(EEDQ)を併用することが好まし
い。カルボジイミドとしては、1−エチル−3−(3−
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、シクロヘキ
シル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−
meso−パラトルエンスルホン酸塩、ジシクロヘキシルカ
ルボジイミドなどの水溶性カルボジイミドが用いられ
る。
【0048】(6)受容体の解離 (3)で結合させた受容体の解離は、通常、(7)の分
離工程において、エタノール又はアセトンを添加するこ
とによって、同時に行うことができる。しかし、このよ
うな溶剤の添加によっては、受容体が解離しない場合が
ある。この場合は、(7)の分離工程に先立って、塩類
の濃度を調節することによって解離する。たとえば、塩
化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウムなど
を添加して、系中の塩濃度を0.5〜5Mにすることに
よって、受容体を解離し、吸着剤などを用いて回収する
ことができる。この条件で解離することが困難な場合に
は、さらに少量の、たとえば0.01〜0.05Nの酸
又は塩基を加えて、解離を促進する。さらに、イオン交
換樹脂を用いて、受容体を解離、吸着させることもでき
る。
【0049】(7)分離 分子内架橋させ、受容体を解離した分子内架橋(1→
3)−β−D−グルカン類を含む系に、適当な溶媒を加
えて沈殿させることにより、系中の水、塩及び(4)で
添加した水溶性物質から該グルカン類を分離する。添加
する溶媒としては、エタノール、アセトンなどが例示さ
れる。
【0050】(8)未反応の官能性基の処理 (5)の分子内架橋において、架橋反応にあずからずに
残存した官能性基に、適当な保護基を反応させて安定化
する。すなわち、官能性基がアミノ基又はヒドラジノ基
の場合は、たとえば0.1モルの酢酸ナトリウム溶液中
で、無水酢酸によってN−アセチル化する。オキシラン
環の場合も、同様に無水酢酸によってアセチル化する。
またアルデヒド基の場合は、エタノールアミン、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどを用いてアミノ
アルキル化する。ついで0.1モルの水酸化ナトリウム
溶液のようなアルカリ性水溶液で十分に洗浄した後、
(7)と同様にして、分子内架橋(1→3)−β−D−
グルカン類を再び沈殿させて分離する。
【0051】このようにして得られた本発明の分子内架
橋(1→3)−β−D−グルカン類の水和固体標本の高
分解能13C−核磁気共鳴(以下、13C−NMRという)
スペクトルを測定したところ、C−2、C−3、C−5
のケミカルシフト値がそれぞれ73.0〜73.8、8
7.3〜91.0、75.6〜75.8 ppmの範囲にあ
った。これらを一重らせん構造(図2)、三重らせん構
造、ランダムコイル構造をそれぞれ100%含有するも
のの13C−NMRスペクトルのケミカルシフト値(表
1)と比較すると、その高次構造中に一重らせん構造が
含まれることが明らかになった。
【0052】
【発明の効果】本発明の分子内架橋(1→3)−β−D
−グルカン類の一重らせん構造の保持率は、水溶液又は
水懸濁液中、4℃で1ヵ月後も50%以上である。この
ことは、G因子活性化能および腫瘍阻止率が良好に保持
されていることと相まって、その一重らせん構造が安定
であることを示している。
【0053】このような、分子内架橋(1→3)−β−
D−グルカン類は、治療の困難が指摘されている固形腫
瘍に対して、優れた増殖抑制作用を示し、かつその効果
が安定に持続する。投与量は、対象となる腫瘍を有効に
阻止し得る量であり、対象動物の種類、症状、投与経路
及び剤形によっても異なる。この物質の毒性は極めて低
く、また投与による副作用はない。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例及び試験例によって詳
細に説明する。本発明は実施例によって限定されるもの
ではない。
【0055】実施例1〔グルタルジアルデヒド架橋ヒド
ラジノカードラン(受容体無添加)〕 市販カードラン(和光純薬製)を水でよく洗浄したの
ち、吸引ろ過して、溶媒を除去することにより、オリゴ
糖などの不純物を除いた。この精製カードラン5gに水
30ml、2M 水酸化ナトリウム水溶液13ml及びエピク
ロロヒドリン3mlを、撹拌しながら順次加えた。これを
40℃で30分間撹拌して反応させた後、アセトン80
%−水20%の混液で十分に洗浄してエポキシ化物を得
た。これを、容量で50%量の水に懸濁させた。この懸
濁液に、同容量の80%抱水ヒドラジンを加えて、40
℃で1時間撹拌して反応させた後、上述のアセトン−水
混液で十分に洗浄した。これを乾燥し、濃度が5%にな
るようにDMSOに溶解し、ついで凍結乾燥した。
【0056】グルタルジアルデヒドの25%水溶液1ml
に、平均分子量50,000のポリエチレングリコール
2gを10mlの水に溶解したものを加えて、均一な水溶
液とした。これに上述のヒドラジノ基を導入した凍結乾
燥カードラン1gを添加した。ついで水素化シアノホウ
素ナトリウム0.82gを加えて、40℃で4時間撹拌
を続けて反応させて、分子内架橋させた。反応終了後、
濃度が70%になるようにエタノールを加えて放置し、
架橋カードランを沈殿させた。これをろ過して、沈殿を
エタノールによって十分に洗浄した。
【0057】このようにして得た一重らせん構造の分子
内架橋カードランを、0.5mlの0.2M 酢酸ナトリウ
ム水溶液に懸濁し、無水酢酸0.25mlを加えて、0℃
に冷却しつつ30分間撹拌し、さらに0.25mlの無水
酢酸を添加して、室温で30分間撹拌を続けることによ
り、未反応のアミノ基をアセチル化した。水洗後、さら
に水酸化ナトリウムの0.1M 水溶液及び水でよく洗浄
してからろ過、乾燥して、本発明の一重らせん構造の分
子内架橋カードランを得た。
【0058】実施例2〔グルタルジアルデヒド架橋ヒド
ラジノカードラン〕 実施例1と同様にして、市販カードランのエピクロロヒ
ドリン処理によって、ヒドラジノ化カードランの凍結乾
燥体を得た。このようにしてヒドラジノ基を導入した凍
結乾燥カードラン1gに、あらかじめ調製したカブトガ
ニ・アメーボサイト・ライセートのG因子画分3μg /
mlを含むリン酸緩衝生理食塩水1.0mlを加えて、均一
になるまで撹拌し、室温で30分間放置した。
【0059】グルタルジアルデヒドの25%水溶液1ml
に、平均分子量50,000のポリエチレングリコール
2gを10mlの水に溶解したものを加えて、均一な水溶
液とした。これに上述の官能性カードラン含有液に添加
した。ついで水素化シアノホウ素ナトリウム0.82g
を加え、実施例1と同様に反応させて、分子内架橋カー
ドランを沈殿させた。これをろ過して、沈殿をエタノー
ルによって十分に洗浄して、G因子を解離した一重らせ
ん構造の分子内架橋カードランを得た。これを、実施例
1と同様の方法で処理することにより、未反応のアミノ
基をアセチル化し、精製して、本発明の一重らせん構造
の分子内架橋カードランを得た。
【0060】実施例3〔2,3,4−トリヒドロキシア
ジポジアルデヒド架橋ヒドラジノカードラン〕 実施例1で得られたヒドラジノ基を導入したカードラン
1gをとり、これに、あらかじめ調製したカイコ血漿
(ヘモリンフ)中の(1→3)−β−D−グルカン認識
タンパク質標品3μg /mlを含むリン酸緩衝生理食塩水
1.0mlを加えて撹拌し、室温で30分放置した。これ
に、2,3,4−トリヒドロキシアジポジアルデヒドを
1%含有する0.1M リン酸緩衝液(pH8.0)200
mlを加えて、撹拌しながら室温に2時間放置した。これ
に2.5gのジメチルアミンボランを添加し、40℃で
4時間撹拌して、分子内架橋させた。反応後、エタノー
ルを70%になるように加えて、分子内架橋カードラン
を沈殿させた。この沈殿を集めて、70%エタノールで
十分に洗浄した。
【0061】このようにして得た受容体を解離した一重
らせん構造の分子内架橋カードランを、0.5mlの0.
2M 酢酸ナトリウム水溶液に懸濁し、無水酢酸0.25
mlを加えて、0℃に冷却しつつ30分撹拌した後、さら
に0.25mlの無水酢酸を添加して、30分間室温で撹
拌を続けることにより、未反応のアミノ基をアセチル化
した。
【0062】水洗後、さらに0.1M 水酸化ナトリウム
水溶液、水及びリン酸緩衝生理食塩水を加えてよく撹拌
してから、70%になるようにエタノールを加えて沈殿
させることを繰返すことにより、本発明の一重らせん構
造の分子内架橋カードランを得た。
【0063】実施例4〔ドデカメチレンジアミン架橋ア
ルデヒドシゾフィラン〕 スエヒロタケの培養によって得られたシゾフィラン5g
に、水40ml、2M 水酸化ナトリウム水溶液17ml及び
エピクロロヒドリン3mlを順次加え、30℃で30分間
撹拌して反応させた。ついでアセトンを水に対して80
%になるように加えて、エポキシ化シゾフィランを沈殿
させ、80%アセトン水溶液で十分に洗浄した。
【0064】このようにして得たエポキシ化シゾフィラ
ン1容量部に2.5容量部の80%抱水ヒドラジンを加
え、40℃で2時間撹拌して反応させた。ついでアセト
ンを80%になるように加えてヒドラジノ化シゾフィラ
ンを沈殿させた。これを40%グリオキサール水溶液3
mlに溶解し、水素化シアノホウ素ナトリウム4.1gを
加え、40℃で4時間撹拌して反応させ、アルデヒド化
シゾフィランを得た。これに80%になるようにアセト
ンを加えて沈殿させ、80%アセトン水溶液で洗浄し
た。このものを乾燥してから、濃度が1%になるように
DMSOに溶解させ、ついで凍結乾燥した。
【0065】0.2M リン酸水素二カリウム水溶液に1
00mMのN−アセチル−L−トリプトファンを溶解した
液5mlに、上記のようにして得たアルデヒド化シゾフィ
ランを加えて溶解し、室温で30分間放置した。
【0066】ポリビニルピロリドン50g、ドデカメチ
レンジアミン10g及びトリメチルアミンボラン4.8
gを350mlの0.2M リン酸水素二カリウム水溶液に
溶解し、これを上述のアルデヒド化シゾフィラン溶液に
加えて、40℃で1夜撹拌を続けることにより、分子内
架橋させた。
【0067】このようにして得た一重らせん構造の分子
内架橋シゾフィランを含む溶液に、70重量%になるよ
うにエタノールを加えて、該架橋シゾフィランを沈殿さ
せた。この沈殿を70%エタノール水溶液で十分洗浄し
てから、0.1M リン酸緩衝液(pH8)に溶解させ、撹
拌しながら0.1M 濃度になるようにトリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタンを加え、室温で30分撹拌を続
けて、遊離のアルデヒド基を塞いだ。
【0068】これにアセトンを80%になるように加え
て、生じた沈殿をろ別した。この沈殿を、水及びリン酸
緩衝生理食塩水のそれぞれに、繰返し溶解してからアセ
トンを前述のように加えて沈殿させ、最後に80%アセ
トン水溶液で十分に洗浄した。この沈殿を水に溶解し、
凍結乾燥して、本発明の一重らせん構造の分子内架橋シ
ゾフィランを得た。
【0069】実施例5〔ピメリン酸架橋ヒドラジノシゾ
フィラン〕 実施例4で得られたヒドラジノ化シゾフィランをDMS
Oに溶解して1%溶液を調製した。これを凍結乾燥した
もの5gに、あらかじめ調製したカブトガニ・アメーボ
サイト・ライセートのG因子画分30μg /mlを含むリ
ン酸緩衝生理食塩水5.0mlと、pH4.7の0.01M
酢酸緩衝液100mlとを加えて、均一になるまで撹拌
し、さらに平均分子量50,000のポリエチレングリ
コール2gを加えた。
【0070】ついで、ピメリン酸カリウム24gと水2
00mlからなる水溶液を加え、再びpHを4.7に調整し
た後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド35.7gと水100mlからなる水
溶液を、撹拌下に室温で滴下して反応させた。pHを4.
7に保ちながら、反応混合液を室温で48時間ゆるやか
に撹拌して、分子内架橋を完結させた。
【0071】このようにして得た分子内架橋シゾフィラ
ン水溶液に、水に対して80%になるようにアセトンを
加えて、該架橋シゾフィランを沈殿させた。これを80
%アセトン水溶液で洗浄した後、5mlの0.2M 酢酸ナ
トリウム水溶液に溶解させ、2.5mlの無水酢酸を加え
て、0℃で30分間撹拌した後、さらに2.5mlの無水
酢酸を加えて、室温で30分間撹拌することによって、
未反応のアミノ基をアセチル化した。
【0072】水に対して80%になるようにアセトンを
加えて、このアセチル化架橋シゾフィランを沈殿させ
た。これを80%アセトン水溶液で洗浄した。ついで、
水、0.1M 水酸化ナトリウム水溶液、水及びリン酸緩
衝生理食塩水のそれぞれに、繰返し溶解してからアセト
ンを前述のように加えて沈殿させ、最後に80%アセト
ン水溶液で洗浄して、本発明の一重らせん構造の分子内
架橋シゾフィランを得た。
【0073】実施例6〔2,3,4−トリヒドロキシア
ジポジヒドラジド架橋アルデヒドシゾフィラン〕 1%の過ヨウ素酸ナトリウムを含むpH4.5の0.05
M 酢酸ナトリウム緩衝液100mlにシゾフィラン1gを
溶解し、室温で4時間反応させてから、容量で3倍量の
エタノールを加えて、アルデヒド化シゾフィランを沈殿
させた。生じた沈殿をDMSOに溶解して、凍結乾燥し
た。これにヒトリンパ球ザイモザン受容体10μg /ml
をリン酸緩衝生理食塩水に懸濁させて得た懸濁液1.0
mlを加え、37℃で10分間放置した後、0.2M リン
酸水素二カリウム水溶液5mlに平均分子量10万のポリ
エチレングリコール5gを加えて調製した溶液を添加
し、撹拌混合した。
【0074】これに2,3,4−トリヒドロキシアジポ
ジヒドラジド240mg、水素化シアノホウ素ナトリウム
26mg及び0.2M リン酸水素二カリウム水溶液0.1
mlを混合して調製した液を加え、37℃で48時間反応
させて、分子内架橋させた。反応終了後、エタノールア
ミン5gを添加して、40℃で30分間反応させること
によって遊離のアルデヒド基を塞いだ。ついで水200
mlを加えてからイオン交換樹脂を加えて撹拌することに
よってヒトリンパ球ザイモザン受容体を吸着させ、ろ過
して後、ろ液に3倍容のエタノールを加え、生じた沈殿
を回収して、本発明の一重らせん構造の分子内架橋シゾ
フィランを得た。
【0075】実施例7〔グルタルジアルデヒド架橋ヒド
ラジノシゾフィラン〕 実施例6で得たアルデヒド化シゾフィラン1gにアジポ
ジヒドラジド0.4gと水素化シアノホウ素ナトリウム
40mgを加えて、40℃で10時間反応させてヒドラジ
ノ化シゾフィランを得た。これに3倍容のエタノールを
加えてヒドラジノ化シゾフィランを沈殿させた。
【0076】この沈殿をDMSOに溶解して凍結乾燥
し、pH8.5の0.1M リン酸緩衝液5mlに溶解し、L
−トリプトファン1gを添加した後、5倍容の平均分子
量50万のポリエチレングリコールの80%水溶液を加
えた。これに25%グルタルジアルデヒド水溶液5mlと
水素化シアノホウ素ナトリウム410mgを加え、37℃
で48時間撹拌して反応させることにより、分子内架橋
させた。
【0077】ついで、3倍容のエタノールを加えて分子
内架橋シゾフィランを沈殿させ、この沈殿を0.2M 酢
酸ナトリウム水溶液0.5mlに溶解し、これを0℃に冷
却して0.25mlの無水酢酸を加えて30分間撹拌し、
さらに室温で0.25mlの無水酢酸を加えて30分間撹
拌を続けた。このようにして未反応のヒドラジノ基をア
セチル化した後、3倍容のエタノールを加えて得た沈殿
を、0.1M 水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、同様に
して沈殿、蒸留水への溶解、中和、沈殿を繰返して、本
発明のグルタルアルデヒド架橋ヒドラジノシゾフィラン
を得た。
【0078】実施例8〔ヘキサメチレンジヒドラジン架
橋カルボキシメチル化カードラン〕 実施例1で用いたものと同じカードラン10gを、窒素
気流中、0℃で100mlの5M 水酸化ナトリウム水溶液
に溶解した。23.6gのモノクロロ酢酸を20mlの水
に溶解した。前述のカードラン溶液を撹拌しながら、上
記のモノクロロ酢酸水溶液を滴下し、ついで60〜65
℃で2時間撹拌した。生じたゲル状物を5倍容のエタノ
ール中に添加し、強く撹拌して細粉化し、得られた微粉
末をろ過した。70%エタノール水溶液で十分に洗浄し
てから、エタノール及びエチルエーテルで順次洗浄し、
乾燥した。このようにして精製した微粉末を水700ml
に溶解させ、1M 酢酸水溶液で中和し、活性炭40gを
加えて室温で1時間撹拌し、ついでろ過した。ろ液を減
圧で濃縮して100mlとし、300mlのエタノールを加
えて沈殿を得た。この沈殿をろ別し、エタノール及びエ
チルエーテルで順次洗浄し、濃硫酸上で乾燥して、グル
コース残基1個あたりの置換度が0.63の、部分カル
ボキシメチル化カードラン11.4gを得た。
【0079】このようにして得た部分カルボキシメチル
化カードランを、濃度が約1%になるようにDMSOに
溶解し、凍結乾燥した。その1gをとり、カブトガニ・
アメーボサイト・ライセートのG因子画分30μg /ml
を含むリン酸緩衝生理食塩水1.0mlと、0.01M 酢
酸緩衝液100mlを加えて均一になるまで撹拌し、つい
でポリビニルピロリドン10gを加えてから、ヘキサメ
チレンジヒドラジド6gを含む水溶液50mlを加え、さ
らに系を撹拌しながら1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド8gを含む水溶液20
mlを室温で滴下した。反応混合物を室温でpHを4.7に
調整しながら48時間ゆるやかに撹拌を続けて、分子内
架橋反応を完結させた。
【0080】これに3倍容のエタノールを加えて沈殿さ
せ、以下、実施例6と同様に沈殿と精製を繰返して、本
発明の一重らせん構造の分子内架橋カルボキシメチル化
カードランを得た。
【0081】実施例9[グルタルジアルデヒド架橋ヒド
ラジノ酵母グルカン] 市販酵母グルカン(シグマ社)を水でよく洗浄したの
ち、吸引ろ過して、溶媒を除去することにより、オリゴ
糖などの不純物を除いた。この精製酵母グルカン5gに
水30ml、2M 水酸化ナトリウム水溶液13ml及びエピ
クロロヒドリン1mlを撹拌しながら順次加えた。これを
40℃で30分間撹拌して反応させた後、水で十分に洗
浄してエポキシ化物を得た。これを容量で50%量の水
に懸濁させた。この懸濁液に、同容量の80%抱水ヒド
ラジンを加えて、40℃で1時間撹拌して反応させた
後、水で十分に洗浄した。これを乾燥し、濃度が5%に
なるようにDMSOに溶解し、ついで凍結乾燥した。
【0082】このようにしてヒドラジノ基を導入した凍
結乾燥酵母グルカン1gに、あらかじめ調製したカブト
ガニ・アメーボサイト・ライセートのG因子画分3μg
/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水1.0mlを加えて、均
一になるまで撹拌し、室温で30分間放置した。
【0083】グルタルジアルデヒドの25%水溶液1ml
に、平均分子量50,000のポリエチレングリコール
2gを10mlの水に溶解したものを加えて、均一な水溶
液とした。これを上述の官能性酵母グルカン含有液に添
加した。ついで水素化シアノホウ素ナトリウム0.15
gを加えて、40℃で4時間撹拌を続けて反応させるこ
とにより、分子内架橋させた。反応終了後、濃度が70
%になるようにエタノールを加えて放置し、架橋酵母グ
ルカンを沈殿させた。これをろ過して、沈澱をエタノー
ルによって十分に洗浄した。
【0084】このようにして得たG因子を解離した一重
らせん構造の分子内架橋酵母グルカンを0.5mlの0.
2M 酢酸ナトリウム水溶液に懸濁し、無水酢酸0.25
mlを加えて、0℃に冷却しつつ30分間撹拌し、さらに
0.25mlの無水酢酸を添加して室温で30分間撹拌を
続けることにより、未反応のアミノ基をアセチル化し
た。水洗後、さらに水酸化ナトリウムの0.1M 水溶液
及び水でよく洗浄してから、ろ過、乾燥して、本発明の
一重らせん構造の分子内架橋酵母グルカンを得た。
【0085】実施例10[グルタルジアルデヒド架橋ヒ
ドラジノレンチナン] レンチナンは千原らの方法[Chihara, G. ほか、Cancer
Research, 30 巻、2776−2781頁(197
0)]により、次のように調製した。生シイタケ(Lent
inus edodes の子実体)8kgを冷水で洗い、ミキサーで
磨砕し、総量40リットルの沸騰水で8時間抽出した。
懸濁液をチーズクロスでろ過し、ろ液をやや濁りが生ず
るまで減圧濃縮し、これに等容のエタノールを加えて生
ずる沈殿を集めた(12.8g)。集めた沈殿の10g
を水に溶かし(4400ml)、0.2M のセチルトリメ
チルアンモニウムヒドロキシド(CTA-OH) を沈殿が生じ
なくなるまで加えて、得られた沈殿を9000rpm で5
分間遠心分離して集め、これを240mlの20%酢酸で
0℃、5分間、ついで50%酢酸により0℃で3分間抽
出し、不溶画分を400mlの6%水酸化ナトリウム水溶
液に溶かし、3倍容のエタノールで沈殿させた。これを
Sevag の方法[Whistler,.R.L.編、Methods in Carbohy
drate Chemistry,5巻、5〜6頁(1965)Academic
Press, Inc., New York]により、クロロホルムと1−
ブタノールでタンパク質を除き、3倍容のエタノールで
沈殿させ、メタノール、エーテルで洗ってから、室温で
酸化カルシウム上で減圧乾燥し、レンチナン6.2gを
得た。
【0086】得られたレンチナン5gに水30ml、2M
水酸化ナトリウム水溶液13ml及びエピクロロヒドリン
1.5mlを撹拌しながら順次加えた。これを40℃で3
0分間撹拌して反応させた後、アセトン80%−水20
%の混液で十分に洗浄してエポキシ化物を得た。これを
容量で50%量の水に懸濁させた。この懸濁液に、同容
量の80%抱水ヒドラジンを加えて、40℃で1時間撹
拌して反応させた後、上述のアセトン−水混液で十分に
洗浄した。これを乾燥し、濃度が5%になるようにDM
SOに溶解し、ついで凍結乾燥した。
【0087】このようにしてヒドラジノ基を導入した凍
結乾燥レンチナン1gに、あらかじめ調製したカブトガ
ニ・アメーボサイト・ライセートのG因子画分3μg/
mlを含むリン酸緩衝生理食塩水1.0mlを加えて、均
一になるまで撹拌し、室温で30分間放置した。
【0088】グルタルジアルデヒドの25%水溶液1ml
に、平均分子量50,000のポリエチレングリコール
2gを10mlの水に溶解したものを加えて、均一な水溶
液とした。これを上述の官能性レンチナン含有液に添加
した。ついで水素化シアノホウ素ナトリウム125mgを
加えて、40℃で4時間撹拌を続けて反応させることに
より、分子内架橋させた。反応終了後、濃度が70%に
なるようにエタノールを加えて放置し、架橋レンチナン
を沈殿させた。これをろ過して、沈殿をエタノールによ
って十分に洗浄した。
【0089】このようにして得たG因子を解離した一重
らせん構造の分子内架橋レンチナンを、0.5mlの0.
2M酢酸ナトリウム水溶液に懸濁し、無水酢酸0.25m
lを加えて、0℃に冷却しつつ30分間撹拌し、さらに
0.25mlの無水酢酸を添加して室温で30分間撹拌を
続けることにより、未反応のアミノ基をアセチル化し
た。水洗後、さらに水酸化ナトリウムの0.1M水溶液
及び水でよく洗浄してから、ろ過、乾燥して、本発明の
一重らせん構造の分子内架橋レンチナンを得た。
【0090】試験例 実施例1〜10で得られた一重らせん構造の架橋グルカ
ン類、及び比較のために架橋していない活性化一重らせ
んシゾフィランを用いて、下記のように、一重らせん構
造の含有率、G因子活性化能及び腫瘍阻止率を求めた。
また、合成直後と1ヵ月後の値を比較することによっ
て、その長期間の安定性を評価した。
【0091】(1)一重らせん構造含有率 試料を凍結乾燥して水分を除去した後、飽和水蒸気中に
保ち、得られた水和固体試料の高分解能13C−NMRス
ペクトルを測定し、各炭素原子のケミカルシフトにおけ
るピークの高さを、表1に示す他の高次構造の炭素原子
のケミカルシフトのピークの高さと比較して、試料中の
(1→3)−β−D−グルカン類中の一重らせん構造の
含有率を算出した。
【0092】
【表1】
【0093】C−2、C−3及びC−5のケミカルシフ
トと各ピークの高さから、このようにして得られた一重
らせん構造の含有率を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】さらに、無菌状態において水溶液又は水懸
濁液を4℃で1ヵ月間保存した後、同様に測定して一重
らせん構造の含有率を求め、初期値と比較して、含有す
る一重らせん構造の保持率を得た。その結果を表2に示
す。なお、架橋していない一重らせん構造シゾフィラン
について、該構造を形成した直後に固相で測定した13
−NMRスペクトルより一重らせん構造含有率は60%
を示したが、1ヵ月保存後は6%(保持率10%)に減
少した。これは一重らせん構造から、他の高次構造への
移行が進行したからである。
【0096】(2)G因子活性化能 測定すべき試料を含む下記及び水を含む反応混合液20
0μl を調製した。 試料 50μl カブトガニ・ライセート凝固酵素前駆体画分(A280 =2.5) 30μl カブトガニ・ライセートG因子画分(A280 =0.9) 20μl トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 20μモル 塩化マグネシウム 20μモル Boc-Leu-Gly-Arg-pNA 0.13μモル
【0097】この反応液を37℃で30分間インキュベ
ートした後、遊離するp−ニトロアニリン(pNA)の
量を測定した。すなわち、インキュベート後の試料に、
0.04%亜硝酸ナトリウム(0.48M 塩酸溶液)、
0.3%スルファミン酸アンモニウム及び0.07%N
−1−ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩のそれぞれ
0.5mlを順次加えて、ジアゾカップリングによって色
調変換し、545nmにおける吸光度(A545 )を測定し
た。
【0098】この測定を、各物質を合成した直後に、そ
の水溶液又は水懸濁液について行った。また、その試料
を4℃で1カ月保存した後に同様に測定し、545nmの
吸光度が0.1を示すときの最小試料濃度(g/ml)を
求め、その−log(g/ml)値でG因子活性化能を表
わした。その初期値と比較して、G因子活性化能の保持
率を算出した。その結果を表2に示す。
【0099】なお、−log(g/ml)で表わしたG因子活
性化能の初期値は、比較例の非架橋活性化シゾフィラン
が12であるのに対して、実施例1で得られた分子内架
橋カードランは11であって10倍高く、優れたG因子
活性化能を示した。
【0100】(3)腫瘍阻止率 体重約25g、6週令のCLJ−ICR雌マウスの鼠径
部皮下に5×106 個のザルコーマ180腫瘍細胞を移
植した。移植後24時間目より、1日1回、1〜5日目
と7〜11日目の合計10回にわたり、実施例1〜10
の本発明の一重らせん構造の分子内架橋(1→3)−β
−D−グルカン類及び比較例の架橋していない一重らせ
ん構造のシゾフィランをそれぞれ投与した。すなわち、
それぞれの試料を乳鉢ですりつぶして注射用生理的食塩
水に懸濁もしくは溶解し、オートクレーブ中で121℃
で20分間滅菌した後、腹腔内投与した。なお、別に無
投与の対照群を設けた。
【0101】投与13日目に腫瘍結節を摘出して、その
重量を測定し、無投与の対照群の腫瘍の重量と比較して
腫瘍阻止率を算出した。
【0102】以上の試験を、一方では試料の溶液又は懸
濁液を調製後直ちに投与し、他方、その溶液又は懸濁液
を4℃に1ヵ月間保存した液を同様に投与した。これら
の結果を表2に示す。
【0103】表2から明らかなように、本発明の分子内
架橋グルカン類の水溶液又は水懸濁液を、4℃で1カ月
間保存した後も、分子内架橋による一重らせん構造の安
定化に伴って、G因子活性化能及び腫瘍阻止率がともに
良好に保持されている。すなわち、この条件において、
分子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類のG因子活
性化能の保持率は10%以上であり、とくに優れている
ものは100%である。これは架橋していない一重らせ
ん構造シゾフィランの0.001%に比べてはるかに高
い。なお、1ヵ月後のG因子活性化能の保持率が一重ら
せん構造含有率の保持率に比べて低いが、これはG因子
活性化のためには一重らせん構造部分が一定の長さ以上
にわたって形成されていることが必要であり、この長さ
が大きいほど、G因子活性化能が強いためである。さら
に、腫瘍阻止率は、1ヵ月後も65%以上、とくに優れ
ているものは98%以上あって、架橋していない一重ら
せん構造シゾフィランが1ヵ月後に15.5%まで低下
したのと対照的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1→3)−β−D−グルカン類の一重らせん
構造及び分子内架橋に必要な距離を示す概念図である。
【図2】一重らせん構造カードランの固体13C−NMR
スペクトルを示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 37/00 A61K 31/715

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定な一重らせん構造を有する分子内架
    橋(1→3)−β−D−グルカン類。
  2. 【請求項2】 20以上のD−グルコシド単位を有する
    (1→3)−β−D−グルカン類の水酸基に官能基を導
    入し、ついで一重らせん構造を形成させ、これをそのま
    ま、又は該グルカン類の受容体と結合させた後、該官能
    基の間で分子内架橋させ、ついで必要により前記受容体
    を解離することによって得ることができ、次の性質を有
    する安定な一重らせん構造を有する分子内架橋(1→
    3)−β−D−グルカン類。 (a)水和固体試料における一重らせん構造の含有率が
    20%以上である。 (b)一重らせん構造の保持率が、水溶液又は水懸濁液
    中、4℃で1ヵ月保存後において50%以上である。
  3. 【請求項3】 20以上のD−グルコシド単位を有し、
    水酸基の少なくとも一部が官能基で置換されている(1
    →3)−β−D−グルカン類に一重らせん構造を形成さ
    せ、これをそのまま、又は該グルカン類の受容体と結合
    させた後、該官能基の間で分子内架橋させ、ついで必要
    により前記受容体を解離することによって得ることがで
    き、次の性質を有する安定な一重らせん構造を有する分
    子内架橋(1→3)−β−D−グルカン類。 (a)水和固体試料における一重らせん構造の含有率が
    20%以上である。 (b)一重らせん構造の保持率が、水溶液又は水懸濁液
    中、4℃で1ヵ月保存後において50%以上である。
  4. 【請求項4】 20以上のD−グルコシド単位を有する
    (1→3)−β−D−グルカン類の水酸基に官能基を導
    入し、ついで一重らせん構造を形成させ、これをそのま
    ま、又は(1→3)−β−D−グルカン受容体と結合さ
    せた後、該官能基の間で分子内架橋させ、ついで必要に
    より前記受容体を解離することを特徴とする、安定な一
    重らせん構造を有する分子内架橋(1→3)−β−D−
    グルカン類の製造法。
  5. 【請求項5】 20以上のD−グルコシド単位を有し、
    水酸基の少なくとも一部が官能基で置換されている(1
    →3)−β−D−グルカン類に一重らせん構造を形成さ
    せ、これをそのまま、又は(1→3)−β−D−グルカ
    ン受容体と結合させた後、該官能基の間で分子内架橋さ
    せ、ついで必要により前記受容体を解離することを特徴
    とする、安定な一重らせん構造を有する分子内架橋(1
    →3)−β−D−グルカン類の製造法。
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