JP3032149B2 - 錫めっき浴および錫めっき方法 - Google Patents

錫めっき浴および錫めっき方法

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JP3032149B2 JP7349448A JP34944895A JP3032149B2 JP 3032149 B2 JP3032149 B2 JP 3032149B2 JP 7349448 A JP7349448 A JP 7349448A JP 34944895 A JP34944895 A JP 34944895A JP 3032149 B2 JP3032149 B2 JP 3032149B2
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    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D3/00Electroplating: Baths therefor
    • C25D3/02Electroplating: Baths therefor from solutions
    • C25D3/30Electroplating: Baths therefor from solutions of tin
    • C25D3/32Electroplating: Baths therefor from solutions of tin characterised by the organic bath constituents used

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気めっきぶりき
および極薄錫めっき鋼板などの製造に用いる高電流密度
による錫めっきに適した錫めっき浴、および錫めっき方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気めっきぶりき等の錫めっき鋼板の製
造に用いられる錫めっき浴として、フェロスタン浴(フ
ェノールスルホン酸浴)、ハロゲン浴、アルカリ浴が知
られている。これらの錫めっき浴の中でフェノールスル
ホン酸浴は、得られる電気めっきぶりきの外観、耐食性
等優れた特性を有しているため、錫めっき鋼板の工業生
産に広く採用されているが、高電流密度で錫めっきを施
すと、めっきやけとも呼ばれる外観不良が発生するた
め、高電流密度による錫めっきは不可能である。また、
多量のフェノールスルホン酸を含むため、化学的酸素要
求量(COD)が高く、処理せずに排水すると環境汚染
を導くので、排水処理設備が必要であり、コストアップ
の一因ともなっている。ハロゲン浴は高電流密度による
錫めっきが可能であるという利点があるが、この錫めっ
き浴は腐食性が強く、他の浴に比較し多額の設備維持費
が必要であるという欠点を有し、さらに不溶性陽極を用
いた錫めっきがむずかしいという欠点もあり、広く採用
されていない。アルカリ浴は錫酸ナトリウムを錫源とす
るため、2価の錫イオンを用いる他の浴と比較すると、
同一の錫めっき量を得るために、約2倍の電気量を必要
とし、ほとんど用いられていない。
【0003】近年、アルキルスルホン酸を酸成分とする
錫めっき浴が用いられはじめた。この錫めっき浴の特徴
は適正電流密度範囲がフェノールスルホン酸浴に比較し
広いこと、廃液処理が簡便であることが挙げられる。特
開平4−228595号公報によれば、濯ぎ洗い用の水
は中和によって錫イオンを回収した後は、環境に有害な
成分を含まないため通常の方法で排出可能といわれてい
る。しかし、有機スルホン酸を酸の主成分とするため、
フェロスタン浴に比較し、化学的酸素要求量は低いが、
処理せずに排水すると環境汚染を導くおそれがあり、好
ましい錫めっき浴といい難い。
【0004】また、最近、これらの錫めっき浴に代わる
ものとして、硫酸、2価錫イオンを主成分とし、二つ以
上の電子供与性置換基を有し、そのうちの少なくとも一
つがヒドロキシル基である電解液溶解性の芳香族化合
物、例えば、o−ヒドロキシアニソールをスラッジ抑制
剤としてエトキシ化α−ナフトールスルホン酸のような
光沢添加剤とともに添加した高電流密度による錫めっき
が可能な錫めっき硫酸浴が提案されている(特開平6−
346272号公報)。この錫めっき浴を用いて高電流
密度による錫めっきは可能と思われるが、浴中に鉄イオ
ンが存在するとスラッジの生成を抑制する効果が少な
く、実用的な錫めっき浴といい難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記の錫めっき浴のもつ種々の問題点を解
決することにある。すなわち、本発明は、高電流密度で
連続的に鋼ストリップに錫めっきを施しても、めっきや
けのない優れた外観の錫めっきが得られ、かつ連続操業
してもスラッジの生成を大幅抑制でき、その上、低公
害、低コストである錫めっき浴およびこの錫めっき浴を
用いた錫めっき方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の錫
めっき浴および最近提案された硫酸浴について詳細に検
討した結果、本発明の錫めっき浴および該錫めっき浴を
用いた高電流密度による錫めっき方法を開発するに至っ
たものである。すなわち本発明は、主成分として10〜
50g/lの硫酸、20〜100g/lの2価錫イオ
ン、0.1〜20g/lの2価鉄イオン、1〜10g/
lのエトキシ化α−ナフトールスルホン酸および/また
はエトキシ化α−ナフトールを含む錫めっき浴であり、
または主成分として10〜50g/lの硫酸、20〜1
00g/lの2価錫イオン、0.1〜20g/lの2価
鉄イオン、0.1〜5g/lの錫めっき浴可溶性アミノ
化合物、1〜10g/lのエトキシ化α−ナフトールス
ルホン酸および/またはエトキシ化α−ナフトールを含
む錫めっき浴であり、あるいはまた主成分として10〜
50g/lの硫酸、20〜100g/lの2価錫イオ
ン、0.1〜5g/lの錫めっき浴可溶性アミノ化合
物、1〜10g/lのエトキシ化α−ナフトールスルホ
ン酸および/またはエトキシ化α−ナフトールを含む錫
めっき浴である。さらに本発明は、錫めっき浴可溶性ア
ミノ化合物が炭素数1〜18のアルキル基を有するアル
キルアミン、中でも炭素数1〜5のアルキル基を有する
アルキルアミン、グリシン、アラニン、アミノ-n-酪
酸、ヴァリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジ
ン、アルギニン、ヒスチジン、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジ
ン、硫酸ヒドラジニウム、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒ
ドロキシルアンモニウムおよび尿素の1種または2種以
上であることを特徴とする錫めっき浴である。またさら
に本発明は、上記の錫めっき浴を循環させ、かつ、鋼ス
トリップを移動させながら、浴温度30〜60℃、陰極
電流密度30A/dm2 以上の条件で連続的に鋼ストリ
ップに錫めっきを施す錫めっき方法である。上記の本発
明の技術を用いることにより、めっき浴中のスラッジの
生成を大幅に抑制することができ、かつ低公害、低コス
トな錫めっき浴を用いる、高電流密度による錫めっき方
法を開発することができたのである。
【0007】
【発明の実施の態様】以下、本発明について詳細に説明
する。まず本発明の錫めっき浴に共通の不可欠の成分で
ある硫酸、2価錫イオン、およびエトキシ化α−ナフト
ールスルホン酸について説明する。酸成分として硫酸を
用いるが、硫酸はフェノールスルホン酸に比較し、作業
環境や大気の汚染が少なく、その上、フェノールスルホ
ン酸のように化学的酸素要求量(COD)も問題となら
ず、廃液処理上の問題も少なく、さらに低コストで工業
的にも多くの利点をもっている。硫酸濃度が10g/l
以下では、電解時に陰極近傍のpHが高くなりすぎ、2
価錫イオンが沈澱しやすくなり、外観の優れた錫めっき
を得ることができない。また、50g/l以上になる
と、高電流密度で外観の優れた錫めっきを得ることがむ
ずかしくなるだけでなく、設備等の腐食も促進し、好ま
しくない。したがって硫酸濃度は10〜50g/lの範
囲が好ましく、15〜30g/lの範囲がより好まし
い。
【0008】錫めっき浴中の2価錫イオンとしては、建
浴時には浴中に不要な成分を入れないようにするため、
硫酸第1錫を用いることが最も好ましい。水酸化第1錫
も用いることができるが、工業的に製造された水酸化第
1錫は少量の水酸化第2錫または酸化第2錫を含み、溶
解しにくいだけでなく、スラッジの生成の要因となる4
価錫を添加することになり好ましくない。可溶性錫電極
を用いる連続錫めっき操業の場合には、2価錫イオンは
可溶性錫電極の溶解で補給されるし、また不溶性電極を
用いる連続錫めっき操業の場合、別途この錫めっき浴に
空気または酸素含有気体を吹き込みながら粒状錫を溶解
させることによって補給される。
【0009】本発明の錫めっき浴中の2価錫イオン濃
度は20〜100g/lの範囲が好ましく、30〜60
g/lの範囲がより好ましい。2価錫イオン濃度が20
g/l以下では高電流密度で錫めっきを行う場合に、外
観の優れた錫めっきは得られない。また、2価錫イオン
濃度が100g/l以上になると、連続錫めっき時に鋼
ストリップによってめっき槽から持ち出される2価錫イ
オンの量も増加し、経済的に好ましくない。
【0010】また、本発明の錫めっき浴のエトキシ化α
−ナフトールスルホン酸、またはエトキシ化α−ナフト
ールはフェノールスルホン酸浴において錫の均一電着性
を向上させるために用いられていることはよく知られて
いるが、本発明の錫めっき浴においても同様な効果があ
る。特にエトキシ化α−ナフトールスルホン酸は2価鉄
イオンの錫めっき浴中の溶存空気、あるいは不溶性電極
表面で発生する酸素による3価鉄イオンへの酸化を抑制
する効果があることがわかり、その結果、スラッジの生
成を抑制するのにも効果的であることがわかった。最近
のフェノールスルホン酸浴においては、エトキシ化α−
ナフトールスルホン酸の代わりにエトキシ化α−ナフト
ールが用いられることが多いが、これは錫の均一電着性
がエトキシ化α−ナフトールスルホン酸より優れている
ためと思われる。しかし、エトキシ化α−ナフトールは
2価錫イオンの4価錫イオンへの酸化抑制には効果が少
ないが、本発明の錫めっき浴においては、2価錫イオン
の酸化は錫めっき浴中の2価鉄イオンおよび/または錫
めっき浴可溶性アミノ化合物によって2価錫イオンの酸
化は十分抑制されるので、単独で添加することも可能で
ある。エトキシ化α−ナフトールスルホン酸とともに添
加することは、錫の均一電着性の向上、2価錫イオンの
4価錫イオンへの酸化抑制の観点から好ましい。その添
加量は単独で添加する場合も、併用し添加する場合も1
〜10g/lの範囲に維持することが好ましく、3〜6
g/lの範囲がより好ましい。1g/l以下では鋼板表
面への密着性の優れた均一な錫めっきを施すことがむず
かしく、また、10g/l以上添加しても効果が飽和す
るだけでなく、錫めっき浴中の有機物の減少による低公
害性をも目的とした本発明の主旨に反し好ましくない。
なお、エトキシ化α−ナフトールは1モルのα−ナフト
ールに約3〜15モルのエチレンオキサイドを付加反応
させたものの総称で、エトキシ化α−ナフトールスルホ
ン酸はさらにスルホン化したものの総称で、1モルのα
−ナフトールに10モルのエチレンオキサイドを付加さ
せたエトキシ化α−ナフトール、および5〜6モルのエ
チレンオキサイドを付加させ、さらにスルホン化したエ
トキシ化α−ナフトールスルホン酸が錫めっき用のフェ
ノールスルホン酸浴に一般的に用いられているが、これ
らの化合物の使用が本発明の錫めっき浴にも適してい
る。
【0011】ついで、本発明の第1の特徴である錫めっ
き浴中に存在する2価鉄イオンについて説明する。一般
に、錫めっき浴中の2価鉄イオンは容易に3価鉄イオン
に酸化され、さらに3価鉄イオンは2価錫イオンを4価
錫イオンに酸化し、スラッジの生成原因となるため、好
ましくないと考えられている。しかし詳細に検討した結
果、錫めっき浴中に2価鉄イオンが存在しないと、可溶
性錫電極を用いて連続的に錫めっきを行う場合、2価錫
イオンが錫めっき浴中に混入する空気で4価錫イオンへ
酸化されスラッジの生成量が増加すること、特に不溶性
電極を用いて連続的に錫めっきを行う場合は錫めっき浴
中に混入する空気および不溶性電極表面で発生する酸素
により2価錫イオンは4価錫イオンへ酸化され、スラッ
ジの生成がより促進されることがわかった。2価鉄イオ
ンの存在はこの2価錫イオンの4価錫イオンへの酸化を
抑制しスラッジの生成をも抑制する効果があり、2価鉄
イオンの存在は本発明の錫めっき浴の重要な要素であ
る。めっき浴中の2価鉄イオン濃度が0.1g/l以下
であると2価錫イオンの4価錫イオンへの酸化を十分抑
制することができず、スラッジの生成が増加する。また
2価鉄イオン濃度が20g/l以上になると、その一部
が錫と共析する恐れがあり、外観の優れた錫めっきを得
ることができない。したがって、2価鉄イオン濃度は
0.1〜20g/lの範囲が好ましい。本発明の錫めっ
き浴を建浴する場合、不要な成分を錫めっき浴中にいれ
ないようにするため硫酸第1鉄で添加することが最も好
ましく、水酸化第1鉄で添加することも考えられるが、
水酸化第1鉄はスラッジ発生の原因となる微量の水酸化
第2鉄を含むことがあり、好ましくない。錫めっき浴を
新しく建浴する場合は上記のように硫酸第1鉄の添加が
必要であるが、上限である20g/lを越えないように
注意することが必要である。2価鉄イオンは常温で放置
するだけで硫酸第1鉄として析出するので、20g/l
を越えた場合は錫めっき浴の使用を中止し、硫酸第1鉄
を除去した後、再使用することができる。
【0012】さらに、本発明の第2の特徴である錫めっ
き浴に添加される錫めっき浴可溶性アミノ化合物の効果
について説明する。アミノ化合物の添加は2価鉄イオン
の3価鉄イオンへの酸化を抑制し、かつ2価錫イオンの
4価錫イオンへの酸化を抑制する効果があるとみられ、
2価鉄イオンの存在しない錫めっき浴に添加しても、2
価鉄イオンの存在する錫めっき浴に添加しても効果があ
る。特に2価鉄イオンの存在する錫めっき浴への添加は
2価鉄イオンと錫めっき浴可溶性アミノ化合物の両者に
より2価錫イオンの4価錫イオンへの酸化を抑制するの
でスラッジの生成の抑制に効果的である。この錫めっき
浴可溶性アミノ化合物の添加量は0.1〜5g/lの範
囲が好ましく、0.5〜2g/lの範囲がより好まし
い。添加量が0.1g/l以下では添加した効果がほと
んどなく、また5g/lを越えても効果が飽和するだけ
でなく、錫めっき浴に十分溶解しないことがあり、錫め
っき表面の欠陥発生の一因となることがあり好ましくな
い。錫めっき浴可溶性アミノ化合物として、具体的には
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アミル
アミンなどの炭素数1〜18のアルキル基を有するアル
キルアミン、中でも炭素数1〜5のアルキル基を有する
アルキルアミン、グリシン、アラニン、アミノ-n-酪
酸、ヴァリンなどのモノアミノ・モノカルボン酸、アス
パラギン酸、グルタミン酸などのモノアミノ・ジカルボ
ン酸、リジン、アルギニンなどのジアミノ・モノカルボ
ン酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジ
ン、硫酸ヒドラジニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウ
ム、尿素などが挙げられるが、これらのアミノ化合物を
1種または2種以上を添加することが可能である。
【0013】つぎに、本発明の錫めっき浴を用いた錫め
っき方法について説明する。まず錫めっきが施される鋼
ストリップには用途に応じ適切に選択された鋼ストリッ
プを用いればよく、特に限定されるものでない。前処理
として、公知の電解アルカリ脱脂、硫酸酸洗を施し、鋼
ストリップ表面を清浄化、活性化し、本発明の錫めっき
浴を用いて錫めっきが施される。溶接缶用に用いられる
極薄錫めっき鋼板(LTS)、例えば、ニッケル等のフ
ラッシュめっきを施した鋼板、クロムめっきを施した鋼
板上への錫めっきにも適用可能である。
【0014】本発明の錫めっき浴を用い、高電流密度で
効率よく錫めっきを行うには、高速循環させた本錫めっ
き浴中で鋼ストリップを連続的に高速で移動させながら
錫めっきすることが好ましく、従来のフェノールスルホ
ン酸浴で実現困難であった50 A/dm2以上の高電流
密度で錫めっきを施しても、外観の優れた錫めっきが可
能である。本発明の錫めっき浴を用い、低電流密度でも
十分外観の優れた錫めっきは可能であるが、高電流密度
で錫めっきを行う場合、鋼ストリップの移動速度と錫め
っき浴の循環速度の相対速度の低下は2価錫イオンの供
給不足を導き、均一な錫めっきができず、電流密度の増
加とともに該相対速度をあげることがより好ましく、陰
極電流効率が高く、外観の優れた錫めっきが得られる範
囲であれば、陰極電流密度は高いほど生産性の向上によ
る経済的な点からも好ましく、電流密度30〜200
A/dm2で錫めっきを行うことが好ましく、50〜1
50A/dm2の範囲がより好ましい。
【0015】本発明の錫めっき浴の浴温は30〜60℃
が好ましい。電解や攪拌等により発熱するので、錫めっ
き浴の浴温を30℃以下にするには、冷却が必要であ
り、この冷却はコストアップの一因であるだけでなく、
外観の優れた錫めっきが得られない。また、浴温60℃
での連続操業は錫めっき液の加熱に要す費用が増加し、
経済的に不利であるだけでなく、設備などの腐食を促進
し、かつ水蒸気の発生が多く、作業環境の面からも好ま
しくない。
【0016】本発明の錫めっき浴を用いる錫めっき方法
において、陽極には可溶性錫電極、不溶性電極、いずれ
も用いることができるが、高電流密度による錫めっきに
おいては、錫めっき浴中の錫イオンの消費も増加し、可
溶性錫電極を用いる場合、この陽極の消耗が激しく、交
換頻度も増加するので、不溶性電極を用いることがより
好ましい。不溶性電極には公知のチタンを母材とし、白
金、酸化イリジウムなどで被覆したものが適用可能であ
る。不溶性電極を用いる場合、錫めっき浴中の2価錫イ
オンは、本発明の錫めっき浴に粒状の金属錫を空気また
は酸素含有気体を吹き込みながら溶解することによって
補給される。
【0017】錫めっき後の鋼ストリップは、用途に応じ
溶融処理(リフロー処理)が施される。従来のフェノー
ルスルホン酸浴を用いた錫めっきの場合、錫めっき液の
希釈液がフラックス効果があったので、錫めっき後、ド
ラッグアウト槽に鋼ストリップを通過させるだけで、十
分目的を達成することができたが、本発明の錫めっき浴
は希釈してもフラックス効果が少ないので、光沢の優れ
たぶりきの製造には水洗後にフラックスを塗布すること
が好ましい。しかし、フラックスを塗布しないで溶融処
理を施しても、実用上十分な光沢を有するぶりきを得る
ことができるので、フラックスを必ずしも塗布する必要
はない。ついで化成処理が施されるが、化成処理には用
途に応じ、公知の重クロム酸塩、クロム酸、リン酸塩な
どの処理液を用いればよい。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳細に説明する。表1〜3に示す錫めっき浴を建浴
し、これらの錫めっき浴を液流速200m/分で循環さ
せ、表2に示す浴温、電流密度の条件で電気量 50ク
ーロン/dm2の錫めっきを行い、下記の(1)および
(2)に示す特性を評価した。さらに表1〜3に示す組
成の錫めっき浴を用い、(3)に示す方法でスラッジの
生成量も測定した。なお、鋼板への錫めっきに用いる陽
極には、チタン母材に白金めっきを施した不溶性電極を
用いた。得られた特性を錫めっき条件とともに表4〜7
に示した。なお、実施例では1モルのナフトールに6モ
ルのエチレンオキサイドを付加反応させ、さらにスルホ
ン化したエトキシ化α−ナフトールスルホン酸および1
モルのナフトールに10モルのエチレンオキサイドを付
加反応させたエトキシ化α−ナフトールを用いた。 (1)陰極電流効率 得られた錫めっき鋼板の錫めっき量を蛍光X線法で測定
し、理論錫めっき量に対する百分率を陰極電流効率とし
た。 (2)錫めっきの光沢度 JIS Z8741の方法により得られた錫めっき鋼板
の光沢度Gs60°を測定した。光の入射、反射の方向
は用いた錫めっき原板の圧延方向とした。 (3)スラッジ生成量 浴温45℃の表1に示す各組成の錫めっき液1リットル
を攪拌し、1リットル/分で空気を5時間吹き込み、ス
ラッジの生成量を測定した。スラッジ生成量が0.5g
以下を◎、0.5〜1gを○、1〜2gを△、2g以上
を×で表示した。
【0019】
【表1】 (注) SA:エトキシ化α-ナフトールスルホン酸、EN:エトキシ化α-ナフトール
【0020】
【表2】 (注) SA:エトキシ化α-ナフトールスルホン酸、EN:エトキシ化α-ナフトール
【0021】
【表3】 (注) SA:エトキシ化α-ナフトールスルホン酸、EN:エトキシ化α-ナフトール
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】上記に示したように、本発明の錫めっき浴
を用い、本発明のめっき条件で鋼板に錫めっきを施す
と、高い電流効率で光沢の優れた錫めっき鋼板が得ら
れ、生成するスラッジも少ないことがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明の錫めっき浴は主成分として10
〜50g/lの硫酸、20〜100g/lの2価錫イオ
ン、0.1〜20g/lの2価鉄イオン、1〜10g/
lのエトキシ化α−ナフトールスルホン酸および/また
はエトキシ化α−ナフトールを含む錫めっき浴で、低コ
ストで、かつ環境汚染を軽減することが可能な錫めっき
浴、または主成分として10〜50g/lの硫酸、20
〜100g/lの2価錫イオン、0.1〜20g/lの
2価鉄イオン、0.1〜5g/lの錫めっき浴可溶性ア
ミノ化合物、1〜10g/lのエトキシ化α−ナフトー
ルスルホン酸および/またはエトキシ化α−ナフトール
を含む錫めっき浴、あるいはまた、主成分として10〜
50g/lの硫酸、20〜100g/lの2価錫イオ
ン、0.1〜5g/lの錫めっき浴可溶性アミノ化合
物、1〜10g/lのエトキシ化α−ナフトールスルホ
ン酸および/またはエトキシ化α−ナフトールを含む錫
めっき浴であり、低コストで、かつ鋼ストリップへ高電
流密度による錫めっきが可能であり、また連続操業して
もスラッジの生成が少ない。
【0028】また、本発明の錫めっき浴中に含まれる錫
めっき浴可溶性アミノ化合物は、炭素数1〜18のアル
キル基を有するアルキルアミン、グリシン、アラニン、
アミノ-n-酪酸、ヴァリン、アスパラギン酸、グルタミ
ン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、ヒドロキシルア
ミン、硫酸ヒドロキシルアンモニウムおよび尿素の1種
または2種以上であり、2価鉄イオンの3価鉄イオンへ
の酸化を抑制し、かつ2価錫イオンの4価錫イオンへの
酸化を抑制するので、スラッジの生成の抑制に効果的で
ある。
【0029】また、本発明の錫めっき浴中に含まれる錫
めっき浴可溶性アミノ化合物は、中でも炭素数1〜5の
アルキル基を有するアルキルアミンであると、スラッジ
の生成の抑制にさらに効果的である。
【0030】さらに本発明は、上記の錫めっき浴を循環
させ、かつ鋼ストリップを移動させながら、浴温度30
〜60℃、陰極電流密度 30A/dm2以上の条件で連
続的に鋼ストリップに錫めっきを施す錫めっき方法であ
り、錫めっき鋼板の製造において、コスト、環境汚染、
生産性の観点のいずれにおいても優れ、工業的な価値は
極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−346272(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 1/00 - 7/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分として、10〜50g/lの硫
    酸、20〜100g/lの2価錫イオン、0.1〜20
    g/lの2価鉄イオン、1〜10g/lのエトキシ化α
    −ナフトールスルホン酸および/またはエトキシ化α−
    ナフトールを含む錫めっき浴。
  2. 【請求項2】 主成分として、10〜50g/lの硫
    酸、20〜100g/lの2価錫イオン、0.1〜20
    g/lの2価鉄イオン、0.1〜5g/lの錫めっき浴
    可溶性アミノ化合物、1〜10g/lのエトキシ化α−
    ナフトールスルホン酸および/またはエトキシ化α−ナ
    フトールを含む錫めっき浴。
  3. 【請求項3】 主成分として、10〜50g/lの硫
    酸、20〜100g/lの2価錫イオン、0.1〜5g
    /lの錫めっき浴可溶性アミノ化合物、1〜10g/l
    のエトキシ化α−ナフトールスルホン酸および/または
    エトキシ化α−ナフトールを含む錫めっき浴。
  4. 【請求項4】 前記の錫めっき浴可溶性アミノ化合物
    が、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルアミ
    ン、グリシン、アラニン、アミノ−n−酪酸、ヴァリ
    ン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニ
    ン、ヒスチジン、モノエタノールアミン、ジエタノール
    アミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン、硫酸ヒド
    ラジニウム、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルア
    ンモニウムおよび尿素の1種または2種以上である、請
    求項2または3記載の錫めっき浴。
  5. 【請求項5】 前記の錫めっき浴可溶性アミノ化合物
    が、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルアミン
    である、請求項4記載の錫めっき浴。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の錫めっ
    き浴を循環させ、かつ、鋼ストリップを移動させなが
    ら、浴温度30〜60℃、陰極電流密度30〜200A
    /dm2 の条件で、連続的に鋼ストリップに錫めっきを
    施す錫めっき方法。
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