JP3029837U - 建物の隅角部における外壁パネルの接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外壁パネルの軽量化を図り、施工時の取扱い
を容易とすると共に、外壁パネルの共通化を図り、製造
コストを削減し、出荷ミスを無くすことを目的とする。 【解決手段】 隅角パネル１は、建物の隅部に設置され
て外壁の一部を形成するパネルであり、外壁パネル２の
側縁によって建物の隅部に形成される空間に組み付けら
るものである。隅角パネル１は、外壁パネル２のカマチ
３に釘で固定される長板状の第１連結板８と、この第１
連結板８に直角に固定されており外壁パネル２のカマチ
３に釘で固定される長板状の第２連結板９とを備えてい
る。この第１連結板８と第２連結板９の内面側には大略
直方体状の中ザン１０が設けられている。また、第１及
び第２連結板８，９と各中ザン１０の間にできる空間に
は、断熱・防音材としてグラスウール１１が充填されて
いる。隅角パネル１の外面には、第１連結板８と平行に
対向する位置に第１覆板１２と、第２連結板９と平行に
対向する位置に第２覆板１３とが設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、木造住宅において、所定形状の複数の外壁パネルを建物の床面の外 周に沿って起立させて外壁を形成した際の建物の隅角部における外壁パネルの接 合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年の木造住宅は、所定形状の複数の外壁パネルを建物の床面の外周に沿って 起立させて外壁を形成することが行われている。このような木造住宅に用いられ る外壁パネルは、建物の側面を形成する側面部と、建物の隅角を形成する隅角部 とを一体として形成されていた。従って、従来の外壁パネルは重量が約８０ｋｇ と重くなり、一人では持ち運びができず、運搬時や施工時の取り扱いが困難であ った。特に、大工や職人が高齢化しつつある現在の建築現場においては重労働と なり、作業効率が低下するという不都合があった。

【０００３】 また、隅角部の無い側面部の外壁パネルは工場の製作ラインで製作されるが、 隅角部付外壁パネルは工場の製作ラインでは製作できないため手作業により製作 されており生産効率が悪くコスト高であった。

【０００４】 また、隅角部付外壁パネルは、隅角部が右側にあるものと左側にあるものとの ２種類があり、これらを適宜選択して使用しているが、これらは形状が似ている ため見間違えやすい。そのため、隅角部付外壁パネルを工場から出荷する際には 左右を間違えて出荷することがあり、現場での組立作業に支障をきたしていた。 また、常に左右２種類の隅角部付外壁パネルを製作しなければならないため、コ ストがかかる。倉庫での保管についても、左右２種類の隅角部付外壁パネルを保 管しなければならないため広いスペースが必要であった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 かかる不都合を解消するために、本考案は、外壁パネルの軽量化を図り、施工 時の取扱いを容易とすることを目的とする。また、外壁パネルの共通化を図り、 製造コストを削減すると共に、出荷ミスを無くすことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するために、本考案の建物の隅角部における外壁パネルの接 合構造は、建物の床面の外周に沿って起立された所定形状の複数の外壁パネルの 側縁を互いに接合して外壁を形成し、該建物の隅角部において一対の外壁パネル の側縁によって形成される空間に、四角柱状の隅角パネルを介在させて両外壁パ ネルを接合する建物の隅角部における外壁パネルの接合構造であって、 前記外壁パネルは、矩形状に枠組みされたカマチと中ザンとによって形成され た枠組体と、該枠組体の形状に対応して該枠組体の外側を覆う一対のカガミ板と を備え、 該カガミ板は、その一側端縁が前記枠組体の一側のカマチより所定寸法突出さ れ且つ該カガミ板の他側端縁が前記一側端縁の突出量に対応して該枠組体の他側 のカマチを露出させる位置に設けられ、 前記隅角パネルは、前記隅角部に対面する一方の外壁パネルの一側のカマチに 連結される第１連結板と、該第１連結板に直角に固着されており、前記隅角部に 対面する他方の外壁パネルの他側のカマチに連結される第２連結板と、前記両連 結板の内面側に一体に固定された大略直方体状の複数の中ザンと、前記第１連結 板に平行に対向して前記空間の外側を覆う第１覆板と、該第１覆板に直角に固着 されて前記第２連結板に平行に対向して前記空間の外側を覆う第２覆板とを備え 、 前記第１覆板は前記カガミ板の他側端縁に当接して第２連結板と外壁パネルの カマチとの接合部を覆い、前記第２覆板は前記カガミ板の一側端縁に当接して該 カガミ板が第１連結板と外壁パネルのカマチとの接合部を覆う形状に形成され、 両覆板は、前記一対の外壁パネルの側縁によって形成される空間に装着する取 付施工前においては、前記一体の両連結板に取り外し自在に仮止めされており、 取付施工時に隅角パネルの両覆板を取り外し、該隅角パネルの第１連結板を前 記隅角部に対面する一方の外壁パネルの一側のカマチに当接すると共に、該隅角 パネルの第２連結板を前記隅角部に対面する他方の外壁パネルの他側のカマチに 当接して該隅角パネルの内方から両連結板を両外壁パネルに釘打ち固定し、両覆 板を両連結板に釘打ち固定して成ることを特徴とする。

【０００７】 これによれば、外壁パネルと隅角パネルとが分離して形成されているため、こ れらを一体としたものに比べて重量を軽くすることができ、運搬時や施工時にこ れらの取り扱いが容易となる。また、外壁パネルと隅角パネルをそれぞれ１種類 ずつ製作すればよいため、部材の規格が統一されて生産コストの削減が図られる 。また、出荷ミスをすることが無くなるので、現場での施工作業が円滑に行われ る。さらに、左右２種類の外壁パネルを保管する場合に比べて保管スペースを減 少させることができるので、保管コストの低減も図ることができる。

【０００８】 また、前記建物の隅角部における一対の外壁パネルと両外壁パネル間に介在さ れた前記隅角パネルとを、中央部が該隅角パネルの両覆板の角部形状に対応して 屈曲し両端が両外壁パネルの外側に延出する略Ｌ字型に形成され、複数の釘孔を 有する帯状の連結金具によって釘打ち連結することが好ましい。これによれば、 前記建物の隅角部における一対の外壁パネルと両外壁パネル間に介在された前記 隅角パネルとの連結が強固になり、強度の高い外壁を形成することができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

本考案の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図１は本考案の一例であ る隅角パネルと外壁パネルとを示す説明図、図２は隅角パネルと外壁パネルとの 接合状態を示す説明図である。本実施形態における隅角パネル１は、建物の隅部 に設置されて外壁の一部を形成するパネルであり、外壁パネル２の側縁によって 建物の隅部に形成される空間に組み付けらるものである。

【００１０】 外壁パネル２は、長板状の部材が矩形状に形成されたカマチ３と、このカマチ ３の内部に格子状に設けられた中ザン４とで形成される枠組体５と、この枠組体 ５の表裏両側面を覆う一対の薄板状のカガミ板６とで形成されている。また、枠 組体５とカガミ板６とによって形成される空間には、断熱・防音材としてグラス ウール７が充填されている。

【００１１】 外側のカガミ板６は、図２のＡ部に示すように、枠組体５と水平方向に若干ず らして取り付けられており、外壁パネル２のカマチ３はカガミ板６からはみ出た 状態となっている。逆に、反対側の端部は、図２のＢ部に示すように、カガミ板 ６がカマチ３よりもはみ出た状態となっている。本実施形態においては、外壁パ ネルは全て同一の構成を備えているため、例えば建物の側面部のように外壁パネ ル２を並設するときは、カガミ板６がずれている分だけ隣接する外壁パネル２の カガミ板６とカマチ３とが重なるので、外壁パネル２同志の緊結の作業が行いや すくなるのと同時に、カガミ板６と隣の外壁パネルのカマチ３を釘打ち固定する ことができ、左右の外壁パネル２の結合がより強固なものになる。

【００１２】 隅角パネル１は、図１において左側の外壁パネル２のカマチ３に釘で固定され る長板状の第１連結板８と、この第１連結板８に直角に固定されており図１にお いて右側の外壁パネル２のカマチ３に釘で固定される長板状の第２連結板９とを 備えている。この第１連結板８と第２連結板９との内面側には大略直方体状の中 ザン１０が設けられている。この中ザン１０は、第１連結板８と第２連結板９の 上端部と下端部、及び外壁パネル２に設けられている中ザン４と略同一の高さに 設けられている。また、第１及び第２連結板８，９と各中ザン１０との間にでき る空間には、断熱・防音材としてグラスウール１１が充填されている。

【００１３】 隅角パネル１の外面には、第１連結板８と平行に対向する位置に第１覆板１２ と、第２連結板９と平行に対向する位置に第２覆板１３とが設けられている。こ の第１覆板１２と第２覆板１３は、角材である補強部材１４で直角に結合されて いる。この第１覆板１２と第２覆板１３は、本実施形態では第１覆板１２の幅が 狭く、第２覆板１３の幅が広く形成されている。これは、前述のように外壁パネ ルのカガミ板が枠組体とずらして固定されているためであり、このずれ幅に対応 して第１覆板１２の幅が狭く、第２覆板１３の幅が広くなっている。

【００１４】 連結金具１５は、複数の釘孔が設けられＬ字形に形成されている帯状の金属板 である。

【００１５】 次に、本実施形態の隅角パネル１の施工手順について説明する。外壁パネル２ は、既に建物の床面の外周に沿って組み付けられており、建物の隅部には外壁パ ネル２の側縁によって空間１６が形成されている。隅角パネル１は、倉庫から出 荷されたときは第１覆板１２と第２覆板１３とが釘等により第１連結板８と第２ 連結板９とに仮止めされた状態となっている。

【００１６】 隅角パネル１を空間１６に取り付けるときは、まず、仮止めされている第１覆 板１２と第２覆板１３とを第１及び第２連結板８，９から一体に取り外し、その 内部に収納されているグラスウール１１も取り出す。次に、第１連結板８と図１ 左側のカマチ３とが当接し、第２連結板９と図１右側のカマチ３とが当接するよ うに、空間１６に隅角パネル１を設置する。その際、第１及び第２連結板８，９ とカマチ３とが当接する面に薄いシート状の継目用グラスウールを挟んで施工し 、すきま風や冷気の侵入を防止する。次に、第１連結板８と図１左側のカマチ３ とを太め鉄丸頭釘等を用いて釘打ち連結する。同様に、第２連結板９と図１右側 のカマチ３とを釘打ち連結する。この際、釘は一定間隔にちどり（ジグザグ）で 平打ちすることが好ましい。

【００１７】 次に、第１及び第２連結板８，９と中ザン１０とにより形成される空間にグラ スウール１１を充填し、最初に取り外した第１覆板１２及び第２覆板１３とを第 １及び第２連結板８，９に釘等により取り付ける。最後に、隅角パネル１と外壁 パネル２とを、連結金具１５で釘打ち固定する。連結金具１５は、隅角パネル１ の中ザン１０及び外壁パネル２の中ザン４の位置に釘打ち固定する。

【００１８】 以上の手順によって隅角パネル１が外壁パネル２により建物の隅部に形成され る空間１６に取り付けられる。その後は、定法によって隅角パネル１及び外壁パ ネル２の外側に、建物の外壁となる図示しない化粧板もしくは外装材が取り付け られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一例である隅角パネルと外壁パネルと
を示す説明図。

【図２】隅角パネルと外壁パネルとの接合状態を示す説
明図。

【符号の説明】

１…隅角パネル、２…外壁パネル、３…カマチ、４…中
ザン、５…枠組体、６…カガミ板、７，１１…グラスウ
ール、８…第１連結板、９…第２連結板、１２…第１覆
板、１３…第２覆板、１５…連結金具。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｂ 2/56 ６３３ Ｅ０４Ｂ 2/56 ６３３Ａ ６４１ ６４１Ｚ ６４３ ６４３Ｇ ６４５ ６４５Ｃ Ｅ０４Ｆ 13/08 8913−2Ｅ Ｅ０４Ｆ 13/08 Ｅ １０１ 8913−2Ｅ １０１Ｑ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物の床面の外周に沿って起立された所定
   形状の複数の外壁パネルの側縁を互いに接合して外壁を
   形成し、該建物の隅角部において一対の外壁パネルの側
   縁によって形成される空間に、四角柱状の隅角パネルを
   介在させて両外壁パネルを接合する建物の隅角部におけ
   る外壁パネルの接合構造であって、 前記外壁パネルは、矩形状に枠組みされたカマチと中ザ
   ンとによって形成された枠組体と、該枠組体の形状に対
   応して該枠組体の外側を覆う一対のカガミ板とを備え、 該カガミ板は、その一側端縁が前記枠組体の一側のカマ
   チより所定寸法突出され且つ該カガミ板の他側端縁が前
   記一側端縁の突出量に対応して該枠組体の他側のカマチ
   を露出させる位置に設けられ、 前記隅角パネルは、前記隅角部に対面する一方の外壁パ
   ネルの一側のカマチに連結される第１連結板と、該第１
   連結板に直角に固着されており、前記隅角部に対面する
   他方の外壁パネルの他側のカマチに連結される第２連結
   板と、前記両連結板の内面側に一体に固定された大略直
   方体状の複数の中ザンと、前記第１連結板に平行に対向
   して前記空間の外側を覆う第１覆板と、該第１覆板に直
   角に固着されて前記第２連結板に平行に対向して前記空
   間の外側を覆う第２覆板とを備え、 前記第１覆板は前記カガミ板の他側端縁に当接して第２
   連結板と外壁パネルのカマチとの接合部を覆い、前記第
   ２覆板は前記カガミ板の一側端縁に当接して該カガミ板
   が第１連結板と外壁パネルのカマチとの接合部を覆う形
   状に形成され、 両覆板は、前記一対の外壁パネルの側縁によって形成さ
   れる空間に装着する取付施工前においては、前記一体の
   両連結板に取り外し自在に仮止めされており、 取付施工時に隅角パネルの両覆板を取り外し、該隅角パ
   ネルの第１連結板を前記隅角部に対面する一方の外壁パ
   ネルの一側のカマチに当接すると共に、該隅角パネルの
   第２連結板を前記隅角部に対面する他方の外壁パネルの
   他側のカマチに当接して該隅角パネルの内方から両連結
   板を両外壁パネルに釘打ち固定し、両覆板を両連結板に
   釘打ち固定して成ることを特徴とする建物の隅角部にお
   ける外壁パネルの接合構造。
2. 【請求項２】前記建物の隅角部における一対の外壁パネ
   ルと両外壁パネル間に介在された前記隅角パネルとは、
   中央部が該隅角パネルの両覆板の角部形状に対応して屈
   曲し両端が両外壁パネルの外側に延出する略Ｌ字型に形
   成され、複数の釘孔を有する帯状の連結金具によって釘
   打ち連結されることを特徴とする請求項１記載の建物の
   隅角部における外壁パネルの接合構造。