JP3026116B2 - 複合セラミックス焼結体およびその製造方法 - Google Patents

複合セラミックス焼結体およびその製造方法

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JP3026116B2
JP3026116B2 JP3081879A JP8187991A JP3026116B2 JP 3026116 B2 JP3026116 B2 JP 3026116B2 JP 3081879 A JP3081879 A JP 3081879A JP 8187991 A JP8187991 A JP 8187991A JP 3026116 B2 JP3026116 B2 JP 3026116B2
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sintering
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powder
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坂口敏章
英紀 北
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株式会社いすゞセラミックス研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合セラミックスおよ
びその製造方法に関し、特に断熱エンジンのピストンヘ
ッドに用いて好適な複合セラミックスおよびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来技術】セラミックス粉末を圧縮成形して焼結した
セラミックス焼結体は、機械部品など各方面で使用され
ている。こうしたセラミックス焼結体を機械部品たとえ
ば、自動車用内燃機関のシリンダライナ、ピストン等と
して使用する時、その置かれた環境により例えば対摩耗
性や対熱衝撃性を確保しなければならない。またいわゆ
る断熱エンジン用部品として使用する場合には、上記の
ような性質の外に、断熱特性をも確保しなければならな
い。
【0003】断熱エンジンのピストンヘッドは、緻密に
焼き上げられたカップ状の窒化珪素からなるヘッド部分
の内側に、多孔質の複合セラミックス焼結体を満たし
て、断熱性を保持している。このようなピストンヘッド
は、予め製作された前記窒化珪素のヘッド部分の内側
に、粘土状の原料を満たし、これらヘッド部分を高温に
て焼結し、カップ状ヘッド部分の内側に断熱特性を持っ
た複合セラミックス焼結体を形成する。しかしながら、
複合セラミックス焼結体が焼結される時収縮するため、
窒化珪素のヘッド部分と複合セラミックス焼結体との間
に透き間が生じる欠点を有する。
【0004】Siの粉末と、他にTiN,Al2 O3 等
無機化合物を1種以上含有し反応焼結法にて焼結するこ
とにより、焼結時の寸法変化の小さいセラミックスを得
る方法が例えば特開昭63−252973号公報に記載
されて、公知である。
【0005】また、チタン酸アルミニウムに焼結ムライ
トや、焼結アルミナなどを添加して安定化させ、機械的
強度を向上させたセラミックスを得る方法は、例えば特
開昭59−13471号公報に記載されて、公知であ
る。
【0006】上記のように、シリコン粉末に種々の添加
物を混合させて反応焼結させる例はあるけれども、その
結果として、窒化珪素よりも断熱性が向上した例は過去
にない。また過去の例に見られる粉末チタン酸アルミニ
ウム、あるいはそれを主成分とする無機化合物添加複合
セラミックスでは、焼結過程でやはり寸法収縮が起こ
り、所望の形状の部品を得るには、研磨等の後加工が必
要となる。さらにチタン酸アルミニウムは、通常焼結体
内部に多くのマイクロクラックが存在するため、強度レ
ベルは低い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は上述の
ような従来の欠点を改善する発明であって、その目的
は、焼結時の寸法変化が極めて小さく、しかも従来には
ない低熱伝導性を持ち、かつ強度を向上させた複合セラ
ミックス焼結体を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述のごとき発明の目的
を達成するために、本発明は窒化珪素、アルミニウムと
チタンの酸化物、窒化物とそれらの固溶体からなり、微
細な気孔が全体体積の20%以上含むことを特徴とする
複合セラミックス焼結体を提供し、さらに所定の粒径を
持った珪素粉末に対して、チタン酸アルミニウム粉末を
含有させ、ボールミルで湿式混合した後乾燥し、粉砕し
て原料粉末を得るステップと、該原料粉末を圧縮成形し
た後、窒素雰囲気中で焼結せしめるステップと、を有す
ることを特徴とする複合セラミックス焼結体の製造方法
及び上記焼結のステップの後得られた焼結体を空気中で
再焼結するステップと、を有することを特徴とする複合
セラミックス焼結体の製造方法を提供する。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0010】実施例1、 所定の粒径を持った珪素粉末に対して、チタン酸アルミ
ニウム粉末を重量比で20%乃至80%含有させ、ボー
ルミルで10時間湿式混合した後乾燥し、原料粉末を得
た。この原料粉末を金型に詰め、一軸加圧成形し、直径
10mm、厚さ5mmの円板状成形体にした後、窒素雰囲気
下1400℃で焼結して焼結体を得た。得られた焼結体
の寸法変化は±0.1%以内となる。また、熱伝導率
は、図1に示すように、1.5〜3*10-3cal/m
/sec/k以下で、強度は、図2に示すように、平均
8.9(kg)/(ミリ平方メートル)であった。X線
回析法による分析の結果、焼結体は、窒化珪素、酸化ア
ルミニウム、窒化チタン、酸化珪素、及びチタン酸アル
ミニウム、ムライトアルミナスキータイトなどの固溶体
を組成に持つことが分かった。また、SEM、TEMに
よる組織観察から、この焼結体は20%以上の気孔を有
し、かかる粒内にマイクロクラックが発生していること
が確認された。以上から、種々の化合物によるフォノン
散乱と気孔や空隙による断熱層の存在が、この複合セラ
ミックスの低熱伝導の機構であると考えられる。
【0011】なお、上記焼結体の原料の中に更に、珪
素、マグネシューム、リチウム、クロム、ジルコニウ
ム、および鉄、またはその酸化物の群から選ばれる1種
類以上の原料を含ませることができる。
【0012】実施例2、 上記実施例1で得られた焼結体を、大気雰囲気中、約4
50℃〜800℃の熱処理を加えることにより実施例1
に示したものとは特性及び組成の異なる複合セラミック
スが得られた。この焼結体の寸法変化率は±0.1%以
内、また熱伝導率は、図1に示すように、0.9〜3.
0*10-3cal/cm/sec/kであった。また、
4点曲げによる破壊強度試験で図2に示すように、平均
10.4(kg)/(ミリ平方メートル)の値を得た。
前記実施例1と同様に、X線回析と組成観察を行なう
と、この焼結体は窒化珪素、酸化チタン、酸化珪素、酸
化アルミニウム、及び実施例1に挙げたそれらの結晶質
固溶体が、ガラス相の存在により強固に結合していた。
これが、実施例1と比較して強度が向上した本質的理由
であると考えられる。また、大気中での熱処理の段階
で、結晶構造が等方的な窒化チタンが、非等方的結晶構
造を有する酸化チタンに変化したために、粒界剥離によ
る機構、クラックの発生や、残留窒化チタンと酸化チタ
ン界面のフォノン散乱、加えて粒内あるいは粒界にマイ
クロクラックを有するアルミナスキータイト、及びチタ
ン酸アルミニウム生成量が増加したことによる全体的な
気孔率の増大が、実施例1の複合セラミックスよりもさ
らに低い熱伝導性を示す主な理由である。
【0013】なお、上記2つの実施例と特性を比較する
ため、一般的なチタン酸アルミニウムのデータを挙げる
と、4点曲げ強度は約1.5(kg)/(ミリ平方メー
トル)、熱伝導率 4*10-3cal/cm/sec/
kである。また、先に述べたように、焼結時に少なくと
も1.0%以上の寸法の収縮が起こるため、目的形状品
を得るためには後加工が必要である。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る複合セラミックス焼結体とその製造方法によれば、焼
結時の寸法変化が極めて小さく、しかも従来にはない低
熱伝導性を持ち、かつ強度を向上させた複合セラミック
ス焼結体を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における熱伝導率の測定結果を示す特性
図である。
【図2】実施例における4点曲げ強度測定結果を示す特
性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 35/581 C04B 35/58 102J 35/584 104J (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/18 C04B 35/10 C04B 35/14 C04B 35/46 C04B 35/58 101 C04B 35/581 C04B 35/854

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン、アルミニウム、チタンの酸化
    物、窒化物とそれらの固溶体からなり、微細な気孔が全
    体体積の20%以上含むことを特徴とする複合セラミッ
    クス焼結体。
  2. 【請求項2】シリコン、アルミニウム、チタンの酸化
    物、窒化物とそれらの固溶体からなり、微細な気孔が全
    体体積の20%以上含む複合セラミックス焼結体にさら
    に珪素、マグネシューム、リチウム、クロム、ジルコニ
    ウム、および鉄、またはその酸化物の群から選ばれる1
    種類以上を含有することを特徴とする請求項1記載の複
    合セラミックス焼結体。
  3. 【請求項3】所定の粒径を持った珪素粉末に対して、チ
    タン酸アルミニウム粉末を含有させ、ボールミルで湿式
    混合した後乾燥し、粉砕して原料粉末を得るステップ
    と、該原料粉末を圧縮成形した後、窒素雰囲気中で焼結
    せしめるステップと、を有することを特徴とする複合セ
    ラミックス焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】所定の粒径を持った珪素粉末に対して、チ
    タン酸アルミニウム粉末を含有させ、ボールミルで湿式
    混合した後乾燥し、粉砕して原料粉末を得るステップ
    と、該原料粉末を圧縮成形した後、窒素雰囲気中で焼結
    せしめるステップと、上記焼結のステップの後得られた
    焼結体を空気中で再焼結するステップと、を有すること
    を特徴とする複合セラミックス焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】上記再焼結の温度が、450℃以上である
    ことを特徴とする請求項4記載の複合セラミックス焼結
    体の製造方法。
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