JP3023792B2 - 椅子の背杆カバ―装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、椅子の背凭れを支
持する背杆をカバーにより覆う背杆カバー装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の装置としては、例えば実
開平6-5553号公報に記載のものが挙げられる。この公報
記載の装置は、背凭れを支持する背杆の後面だけをカバ
ーにより覆うものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来装置
では、背凭れの前面にカバーがないため、座部と背凭れ
との間から背杆が直接見えるため、見栄えが悪いという
問題点があった。

【０００４】従って、本発明は、このような問題点を解
決するため、座部と背凭れとの間から背杆が直接見える
ことをなくして、見栄えの良好な椅子とし、かつ、カバ
ーを、工具を使うことなく簡単に、しかも確実に取り付
けることができるようにした椅子の背杆カバー装置を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 座部の後部から起立する背杆の上部に背凭れを取
り付けた椅子の背杆カバー装置であって、前記座部と背
凭れとの間における背杆の前後に背杆前面カバーと背杆
後面カバーとを配設し、前記背杆後面カバーの内部の左
右に複数の突片を互いに離間させて突設し、少なくとも
これら左右の突片のいくつかの前端に係合部を形成し、
これら係合部に対向する係止爪を背杆前面カバーに突設
して、前記係合部と前記係止爪とを係合させることによ
り、前記背杆前面カバーと背杆後面カバーとを互いに結
合し、かつ背杆前面カバーより背杆に向かって延出する
突起を、背杆に穿設した係合孔に嵌合することにより、
背杆前面カバーを背杆に係合させる。

【０００６】(２) 上記(１)項において、背杆後面カバ
ーより背杆に向かって延出する係止爪を、背杆に穿設し
た係合孔に係止させる。

【０００７】

【０００８】

【０００９】(３) 上記(１)または(２)項において、背
杆前面カバーと背杆後面カバーとのいずれか一方の側縁
に、他方を向きかつ上下に連続するリブを形成し、他方
の側縁の少なくとも一部には、前記リブと嵌合する溝部
を形成する。

【００１０】(４) 上記(１)〜(３)項のいずれかにおい
て、背クッションの中央下端から下方に突出する突出部
を設け、この突出部を背杆前面カバーの上端前面に当接
させる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の一実施例を備え
た椅子を分解して示し、図２〜図８は、この実施例の詳
細を示す。

【００１２】図１に示すように、この椅子は、キャスタ
ー(１)付きの脚(２)の中心に立設した支柱(３)の上端に
支基メカニズム部(４)を固定し、支基メカニズム部(４)
の上に、座裏カバー(５)及び座クッション(６)からなる
座部を取り付け、支基メカニズム部(４)の後部には、背
杆(７)を枢着し、背杆(７)の上部に、これを挟んで背裏
カバー(８)及び背クッション(９)からなる背凭れを取り
付けてなるものである。なお、符号(10)は肘掛け、符号
(11)は背凭れ上下調節ねじを示す。

【００１３】背裏カバー(８)の下端(8a)は中央で細くな
っており、ここに、楕円形のパイプ材からなる背杆(７)
の上端が収容されている。この下端(8a)と背杆(７)との
後面を、合成樹脂材料製の背杆後面カバー(12)が覆うよ
うに、この背杆後面カバー(12)が背杆(７)に係止されて
いる。背杆(７)の前面を覆うのが、合成樹脂材料製の背
杆前面カバー(13)である。背杆(７)を覆うこのカバー構
造が、本発明の背杆カバー装置である。

【００１４】図２は、本発明の背杆カバー装置を構成す
る背杆前面カバー(13)の側面図であり、図３は、背杆後
面カバー(12)の側面図である。図４〜図８は、背杆後面
カバー(12)を背杆(７)に取り付け、この背杆後面カバー
(12)に背杆前面カバー(13)を結合させた状態における、
それぞれ図２及び図３のIV−IV線、V−V線、VI−VI線、
VII−VII線、VIII−VIII線に沿う断面を示す。

【００１５】図１に示すように、楕円形のパイプ材から
なる背杆(７)の下端には、支基メカニズム部(４)への枢
着部材(7a)が一体に溶接されており、背杆後面カバー(1
2)の下端は、水平方向前方に延び、その前端部に近い位
置では、図４に示すように内側の左右に一体に形成され
た突片(14)により、枢着部材(7a)ごと背杆(７)の左右を
当接させて収容している。

【００１６】図５に示すように、２番目の位置において
は、背杆後面カバー(12)の内部の左右に同様に一体に形
成された突片(15)により、枢着部材(7a)ごと背杆(７)の
左右を当接させて収容する。この突片(15)の上端部に
は、上向き（前向き）に開口する係合部(16)が形成され
ており、この係合部(16)が、背杆前面カバー(13)の背面
に突設した対応する係止爪(17)に係合して、背杆前面カ
バー(13)を背杆後面カバー(12)に結合している。

【００１７】図６に示すように、３番目の位置において
は、図４について説明した１番目の位置と同様に、背杆
後面カバー(12)の内部に一体に形成した左右の突片(18)
により、枢着部材(7a)ごと背杆(７)の左右を当接させて
収容している。

【００１８】図７に示すように、４番目の位置において
は、背杆後面カバー(12)の内部の左右に同様に一体に形
成された突片(19)により、枢着部材(7a)ごと背杆(７)の
左右を当接させて収容する。この突片(19)の上端部に
は、上向き（前向き）に開口する係合部(20)が形成され
ており、この係合部(20)が、背杆前面カバー(13)の背面
に突設した対応する係止爪(21)に係合して、背杆前面カ
バー(13)を背杆後面カバー(12)に結合している。

【００１９】５番目の位置、すなわち、背杆(７)が上方
に立ち上がって延びる部分では、背杆後面カバー(12)の
内側の左右に突片(22)が形成されており、この位置では
枢着部材(7a)が終わっているので、突片(22)は、背杆
(７)に直接当接して、これを収容している。この左右の
突片(22)の前端には、収容部(23)が前向きに開口してお
り、ここに背杆前面カバー(13)の背面に突設させた係止
爪(24)が係合して、背杆前面カバー(13)を背杆後面カバ
ー(12)に結合している。

【００２０】さらに、図３に示すように背杆後面カバー
(12)の内面には、その上下方向に離間して係止爪(25)(2
6)が前向きに突設されており、これらの係止爪(25)(26)
が、図１に示す背杆(７)の係合孔(27)(28)に係合して、
背杆後面カバー(12)を背杆(７)に係止している。

【００２１】図４ないし図８に示すように、背杆前面カ
バー(13)の左右両側縁には、リブ(29)が形成されてお
り、このリブ(29)が、背杆後面カバー(12)の左右両側縁
に少なくとも部分的に形成した溝部(30)に嵌合してい
る。

【００２２】なお、図２に示す符号(31)は、背杆前面カ
バー(13)を取り付ける際の見当となる十字形の突起(係
合手段)で、背杆(７)の丸孔状の係合孔(32)（図１）に
嵌合している。

【００２３】組付けに当たっては、まず、背杆後面カバ
ー(12)を背裏カバー(８)の下端(8a)及び背杆(７)を背面
から覆うようにして、その前面側に突設する係止爪(25)
(26)を、背杆(７)の対応する係止孔(27)(28)に挿入し
て、この背杆後面カバー(12)を背杆(７)に係止する。

【００２４】次いで、背杆(７)の前面に背杆前面カバー
(13)を、その背面に突設した目安である十字形の突起(3
1)を背杆(７)に穿設された係合孔(32)に嵌合させること
により、背杆(７)及びこれに取り付けられた背杆後面カ
バー(12)に対する位置を設定位置とし、このように定ま
った位置において、背杆前面カバー(13)を強く押し込む
と、背杆前面カバー(13)の背面に突設された係止爪(17)
(21)(24)が、それぞれ背杆後面カバー(12)の対応する係
合部(16)(20)(23)に係合して係止される。この際、背杆
前面カバー(13)の上端前面は、背クッション(９)の中央
下端から下方に突出する突出部(9a)の後面に当接するよ
うにする。このとき、背杆前面カバー(13)の両側縁のリ
ブ(29)は、背杆後面カバー(12)の溝部(30)に嵌合して、
背杆(７)の全周を囲むカバーが完成する。なお、背杆前
面カバー(13)を先に背杆(７)に取付け、その後に背杆後
面カバー(12)を取付けてもよい。

【００２５】

【発明の効果】請求項１記載の発明によると、座部と背
凭れとの間から背杆が直接見えることがなくなり、見栄
えの良好な椅子が得られ、しかも、背杆後面カバー及び
背杆前面カバー同士を結合させるので、背杆や両カバー
に加工上の誤差があっても、両カバー間に隙間が生じな
い。

【００２６】

【００２７】背杆前面カバーより背杆に向かって延出す
る突起を、背杆に穿設した係合孔に嵌合させることによ
り、背杆前面カバーの背杆への位置決めが容易となる。

【００２８】背杆後面カバーの内部の左右に、複数の突
片を互いに離間させて突設し、少なくともこれら左右の
突片のいくつかの前端に係合部を形成し、これら係合部
に対向する係止爪を背杆前面カバーに突設して、前記係
合部と前記係止爪とを係合させることにより、前記背杆
前面カバーと背杆後面カバーとを互いに結合したことに
より、背杆後面カバーに背杆前面カバーを簡単に、かつ
確実に取り付けることができる。

【００２９】請求項２記載の発明のように、背杆後面カ
バーより背杆に向かって延出する係止爪を、背杆に穿設
した係合孔に係止させると、背杆後面カバーが背杆から
外れるのを防止することができる。

【００３０】請求項３記載の発明のように、背杆前面カ
バーと背杆後面カバーとのいずれか一方の側縁に、他方
を向きかつ上下に連続するリブを形成し、他方の側縁の
少なくとも一部には、前記リブと嵌合する溝部を形成す
ると、左右のずれがない両カバーの確実な取り付けがで
きる。

【００３１】請求項４記載の発明のように、背クッショ
ンの中央下端から下方に突出する突出部を設け、この突
出部を背杆前面カバーの上端前面に当接させると、背杆
前面カバーが背杆側に押しつけられ、両者が確実に密着
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を備えた椅子の分解斜視図で
ある。

【図２】背杆前面カバーの側面図である。

【図３】背杆後面カバーの側面図である。

【図４】背杆後面カバーを背杆に取り付け、この背杆後
面カバーに背杆前面カバーを組み付けた状態における、
図３のIV−IV線に沿う断面図である。

【図５】同じく、図２及び図３のＶ−Ｖ線に沿う断面図
である。

【図６】同じく、図２及び図３のVI−VI線に沿う断面図
である。

【図７】同じく、図２及び図３のVII−VII線に沿う断面
図である。

【図８】同じく、図２及び図３のVIII−VIII線に沿う断
面図である。

【符号の説明】

(１)キャスター (２)脚 (３)支柱 (４)支基メカニズム部 (５)座裏カバー (６)座クッション (７)背杆 (7a)枢着部材 (８)背裏カバー (8a)下端 (９)背クッション (9a)突出部 (10)肘掛け (11)背凭れ上下調節ねじ (12)背杆後面カバー (13)背杆前面カバー (14)(15)突片 (16)係合部 (17)係止爪 (18)(19)突片 (20)係合部 (21)係止爪 (22)突片 (23)係合部 (24)係止爪 (25)(26)係止爪(係合手段) (27)(28)係合孔 (29)リブ (30)溝部 (31)突起(係合手段) (32)係合孔

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 座部の後部から起立する背杆の上部に背
   凭れを取り付けた椅子の背杆カバー装置であって、 前記座部と背凭れとの間における背杆の前後に背杆前面
   カバーと背杆後面カバーとを配設し、前記背杆後面カバ
   ーの内部の左右に複数の突片を互いに離間させて突設
   し、少なくともこれら左右の突片のいくつかの前端に係
   合部を形成し、これら係合部に対向する係止爪を背杆前
   面カバーに突設して、前記係合部と前記係止爪とを係合
   させることにより、前記背杆前面カバーと背杆後面カバ
   ーとを互いに結合し、かつ背杆前面カバーより背杆に向
   かって延出する突起を、背杆に穿設した係合孔に嵌合す
   ることにより、背杆前面カバーを背杆に係合させたこと
   を特徴とする椅子の背杆カバー装置。
2. 【請求項２】 背杆後面カバーより背杆に向かって延出
   する係止爪を、背杆に穿設した係合孔に係止させた請求
   項１記載の椅子の背杆カバー装置。
3. 【請求項３】 背杆前面カバーと背杆後面カバーとのい
   ずれか一方の側縁に、他方を向きかつ上下に連続するリ
   ブを形成し、他方の側縁の少なくとも一部には、前記リ
   ブと嵌合する溝部を形成したことを特徴とする請求項１
   または２記載の椅子の背杆カバー装置。
4. 【請求項４】 背クッションの中央下端から下方に突出
   する突出部を設け、この突出部を背杆前面カバーの上端
   前面に当接させたことを特徴とする請求項１〜３のいず
   れかに記載の椅子の背杆カバー装置。